予算特別委員会速記録第三号

○木村副委員長 桐山ひとみ委員の発言を許します。
   〔木村副委員長退席、委員長着席〕

○桐山委員 それでは、予算委員会、質問させていただきます。
 まず最初に、市町村総合交付金について質問させていただきます。
 市町村総合交付金は多摩・島しょ地域にとっては行政水準の向上と住民福祉の増進を図る目的で創設をされ、多摩振興の発展のため、市町村財政にとって重要な財政補完制度でございます。
 知事は就任されてから、多摩地域に足を運び、また視察も行かれ、市町村の取り組みと課題については、直接、市町村長との個別の意見交換も公開で実施もされております。
 また、昨年三月には、知事が進める都政の透明化の取り組みの一環として、市町村総合交付金の市町村別交付額をホームページで公表し、透明性と情報公開に努められております。
 制度創設から十年が経過し、見直しが予定されております。現在、振興支援割を中心とした市町村との意見交換を行っていると聞いております。
 大規模災害への備えが求められる中、災害発生時の市町村の応急復旧の拠点にもなる庁舎の建てかえは重要です。市町村からも公共施設の防災機能強化の必要性を聞いており、見直しに当たってはこういう視点も含め検討すべきと考えております。
 今後の市町村総合交付金の活用についてお伺いをしたいと思います。

○多羅尾総務局長 市町村総合交付金は、住民福祉の向上や市町村の健全な財政運営などに寄与することを目的とした、市町村が実施する各種施策に要する一般財源の不足を補完するものでございます。
 また、本交付金については、平成二十八年度の交付分より、市町村別の交付額を初めて公表するなど透明化の推進にも努めております。
 お話の公共施設の防災機能の強化も含め、市町村総合交付金の活用に当たっては、市町村のご意見を十分に伺いながら、使いやすい制度となるよう検討してまいります。

○桐山委員 庁舎の建てかえなどの経費は認めていない現状がございます。今後は、各市町村でも耐用年数が迫り、庁舎の問題というのは、やはり基金を積み立てして、一般財源が原則でございますので、なかなか後回しになることが現状です。
 しかしながら、防災機能の強化等の公共施設の建てかえの促進というものも大変重要でございますので、ぜひともこのような費用も大きな課題でございますから、個別課題に対する支援としての検討をぜひ要望しておきたいと思います。
 振興支援割の中の特別事情割の中では、市町村の地域の課題等の経常経費を見ていただいていると伺っております。今後も、知事の目指す政策とすり合う事業の経常経費に重点を置くなど、引き続きのご支援をお願いしたいと思います。
 次に、今回新たに三十年度予算案より追加をされます政策連携枠を設定した趣旨と、具体的にどのような支援を行うのか、お伺いをしたいと思います。

○多羅尾総務局長 市町村総合交付金については、平成二十九年度予算から五十億円増額した五百五十億円を予算案として提案しております。
 そのうち二十億円分については、市町村において、都と市町村が連携して取り組む施策に活用していただくこととし、平成三十年度においては、待機児童対策、電気自動車の導入、消防団活動の充実などの政策課題を設定しております。
 具体の支援メニューなどの詳細については、市町村ごとの課題もさまざまであり、ご意見も伺いながら、今後、制度設計を進めてまいります。

○桐山委員 この政策連携枠につきましては、市町村と連携を図りながら課題解決に取り組もうとしていることは理解をさせていただきます。
 ただいまご答弁がありました中に、政策連携枠のうち待機児童対策、また電気自動車の導入、消防団活動の充実など政策課題を設定されるとのことでした。その中での電気自動車の導入について伺います。
 電気自動車の普及は世界的な流れもありますが、都庁においても庁有車への切りかえを進めていくと聞いております。行政においても率先して庁有車を電気自動車に切りかえるべきではないかとも考えております。
 また、地元西東京市でもコミュニティバスが走っておりますが、多くの自治体でも多く導入しているコミュニティバスも電気自動車に切りかえていくことを目指していくべきであります。既に、羽村市においては電気バスが運行されております。
 電気バスの導入を促進することは、知事が目指しますスマートエネルギー都市の実現にも寄与すると考えます。
 市町村総合交付金の政策連携枠におきまして、コミュニティバスの導入を支援するべきと考えておりますが、知事のご所見を伺います。

○小池知事 コミュニティバスの導入支援の前に、まず、市町村総合交付金は、そもそも市町村が取り組む各種施策に要する財源の補完としての役割を十分果たしていくことが重要でございます。
 また、市町村にとって使いやすく、喫緊の課題に対応できるものとするということも必要であります。
 先般、昨年に続いて、全ての市町村長の皆さんと個別に意見交換を行いまして、再生可能エネルギーの導入を進める取り組みなど、大変工夫をしておられる様子を伺うことができたわけでございます。
 また、二〇二〇年東京大会の先を見据えますと、電気自動車の普及促進を初めとする環境負荷の少ないスマートエネルギー都市の実現というのは重要な課題と認識しております。
 そこで、市町村総合交付金の政策連携枠を活用いたしましてコミュニティバスの電気バスへの切りかえも後押しをすることは、電気自動車の普及の一助となる可能性がございます。
 今後、ご提案の事例も含めまして、市町村のご意見も伺いながら制度設計を行ってまいります。

○桐山委員 前向きなご答弁と受けさせていただきます。
 市町村総合交付金は市町村に対する包括的な財政補完制度でありまして、市町村にとって使い勝手のよい制度であることが重要でございます。
 この三十年度予算には知事の決断によりまして五十億円もの大幅増額をされ、大変評価をさせていただいております。
 今後も、総合交付金の見直しに当たりましては、さまざまなご意見が出てくると思われます。この具体的な支援メニューなどの詳細については、市町村ごとの課題もさまざまあることから、しっかりと丁寧に聞いていただける、そういったことが非常に大事だと思っておりますので、引き続き対応をとっていただけますようによろしくお願いいたします。
 今後、知事におかれましても、多摩地域は二十三区との財政力の違いが非常に多く、課題をかなり抱えております。そういったことでのこの市町村総合交付金は、非常に重要な財源の一つでございます。この多摩格差解消のためにも、今後も市町村長との意見交換、透明性を担保しつつ、積極的に多摩にも足を運んでいただき充実を図れますように要望させていただきたいと思います。
 次のテーマに移ります。
 国民健康保険について伺います。
 先ほど共産党の和泉議員からも質疑がございましたが、私からは、角度を変えて質問をさせていただきます。
 少しわかりやすいように、今回、パネルをつくらせていただきましたが、平成三十年度、もう来月ですけれども、四月から新たに都道府県が財政運営の責任主体となりまして、安定的な財政運営等、国保運営において中心的な役割を担うことで制度を安定化させるための制度改革が行われます。
 新制度では、東京都が保険給付に必要な経費を全額区市町村に交付し、区市町村は都に納付金を納付するという新たな財政運営の仕組みに移行します。このような関係性です。
 それで、今回東京都が示されました保険料率から、制度改正によりまして所得水準や医療費水準が高い区市町村の保険料が一定を超えて上昇する、先ほども議論があったところですけれども、保険料が上昇する場合、国は六年間、激変緩和措置として国が追加負担をする財政支援と、また、東京都の繰入金を活用して支援されるという仕組みになっております。
 今回、このように仕組みが変わるように見えますけれども、いわゆる財政運営の責任主体が変わるということでありまして、基本的には区市町村の役割はそうは変わりません。
 そのことを申し上げておきたいと思いますが、この激変緩和措置の中で、今回は、新たに追加をされて、平成三十年度予算の中に十四億円の財政の支援をするということで予算計上されております。
 これらの財政支援は、市区町村がこれまで行ってきた保険料を引き下げるための一般会計からの繰り入れとは異なりまして、今回の制度改革による影響に配慮したものだと理解をしておりますが、そのご所見をお伺いしたいと思います。

○梶原福祉保健局長 新制度における納付金の仕組みでは、医療費水準や所得水準が高い区市町村の保険料が上昇する場合があるため、国が追加で負担する公費と、都道府県繰入金の一部を活用して、激変緩和措置を行うこととされました。
 都の繰入金は、区市町村の医療給付費等の総額に対して定率で交付することとしており、激変緩和措置に用いると、その分、区市町村への交付額が減少をいたします。
 都独自の支援は、区市町村が新制度へ円滑に移行できるよう、激変緩和措置に用いた都繰入金の額と同額を支援するものでございます。

○桐山委員 この激変緩和措置だけでは保険料を高く設定せざるを得ないという状況でもあるということで、市長会や区長会からも財政支援の要望があったことも、私も聞いているところでございます。
 今回は都の独自の財政支援ということで、非常に、これはこの制度改革に対する影響に配慮をされたということで、財政支援をされるということを理解をさせていただきたいと思います。
 続きまして、今回のこの制度改革に伴いまして、都が市区町村との協議を経て策定をした国民健康保険運営方針では、国保の収支を改善するために、市区町村には、一般会計からの法定外繰り入れを計画的、段階的な解消、削減に取り組む計画、先ほども出ておりましたが、赤字を解消するための計画ともいいますか、国保財政健全化計画を策定することとなっております。
 国から示されている内容として、具体的にどのような計画を策定することが求められているのか、お伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 計画策定についての国の通知では、決算補填等を目的とする法定外一般会計繰り入れ等を行っている区市町村は、その要因を分析した上で、削減、解消のための基本方針や具体的な取り組み内容、目標年次及び年次ごとの削減予定額等を定めた計画を策定することとしております。
 計画の期間は原則として六年以内でございますが、実際の削減期間については、各区市町村がそれぞれの実情を踏まえて実現可能な期間を設定するものとされております。

○桐山委員 この国保運営方針に示された中では、国保の財政健全化計画のほかに、医療費の適正化に取り組むレセプトの強化ですとか、またジェネリック医薬品の使用促進、また保険者による特定検診受診率の向上、保健指導の実施率の向上、重症化予防のための保険事業の展開などの取り組みを行うなど、インセンティブの強化を図ることも示されております。医療費の削減努力をすればするほど、新たに交付金など努力の支援もあるそうでございます。
 国保の制度を今後も持続可能なものとしていくためには、被保険者が医療にかからなくても済むよう日ごろからの健康づくりや生活習慣病予防の早期発見等を進め、医療費の伸びを抑えていくことが必要になります。
 こうした保健事業は制度改革後も引き続き市区町村が担ってまいりますが、事業を効果的、そして実施するためには、レセプトデータ等の分析のもと、データヘルス計画を策定していかなければなりません。被保険者の状況に応じた取り組みを進めることが、何よりも重要です。
 また、国保の保険部門と健康づくりの部門が連携をすることで、より効果的、効率的に生活習慣病予防につながるかを分析しやすくなると考えております。
 私は、常々申し上げているんですけれども、この国保のデータベース化、KDBシステムといいますけれども、レセプトをしっかりと各区市町村が分析することによりまして、各区市町村の医療費のいわゆる傾向がわかるということでございます。
 こういったことをしっかりと区市町村が、健康づくり、そして予防という観点から、こういった事業をしっかりと東京都が後押しをしていただくことが何よりも重要だというふうに考えています。
 今回、市区町村とともに、保険者ともなります都も、都内市区町村の全体のデータを分析して提供する等、市区町村の取り組みをさらに支援していくべきだと考えておりますが、ご見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 国民健康保険の被保険者の健康を保持増進し、医療費の伸びの抑制を図るためには、区市町村がレセプト、健診データ等を分析し、地域の被保険者の健康課題を明確にした上で、保健事業を展開していく必要がございます。
 都は、区市町村が医療費を分析する際に調整交付金で支援をしておりまして、昨年七月時点でデータヘルス計画を策定しているのは四十の区市町、策定予定が十五の区市町となっております。
 来年度は、引き続き、医療費分析を行う区市町村を都の繰入金で支援いたしますとともに、新たに創設される国の都道府県国保ヘルスアップ支援事業を活用し、区市町村ごとの疾病別の医療費や健診結果等について、国保データベースシステムで分析し、区市町村の取り組みを支援してまいります。

○桐山委員 ありがとうございました。国保の制度改革が進んでまいりますけれども、各区市町村におきましては、引き続き保健事業ということで、健康づくりをしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 また、低所得者対策ではしっかりと財政支援が今後は必要になってまいります。そういったことも、今後、東京都と市区町村がしっかりと連携をとりながら取り組みを行っていただきたいことを要望しておきたいと思います。
 次のテーマに移ります。
 東京都保健医療計画では、新たにフレイル、そしてロコモティブシンドロームの予防が新たに追加されることについて質問させていただきます。
 これまで国は、平成二十年に、医療制度改革によりまして、特定検診、特定保健事業が始まり、腹囲を基準にメタボリックシンドロームを減少させていこうという政策が打ち出されました。そのわずか数年のうちに、ロコモティブシンドローム、通称ロコモが、二〇〇七年に、日本整形外科学会は、人類が経験したことのない超高齢化社会、日本の未来を見据え、ロコモという概念を提唱したといわれております。
 このロコモは、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こってまいります。立つ、歩くといった機能が低下している状態になり、進行が進みますと日常生活にも支障が出ます。
 要支援、要介護になる要因のナンバーワンは運動器障害です。二位が脳血管疾患、そして三位が認知症と続いています。
 これまでも、骨、関節、筋力の衰えとして、転倒予防や骨粗鬆症予防など、各区市町村でも事業展開をなされてきております。ロコモ対策といっても、健康増進事業として、先ほども申し上げたとおり、既に取り組みを行っていると思います。
 また、フレイルという新しい言葉がありますが、このフレイルも、虚弱という意味から、二〇一四年、日本老年医学会が提唱したとされ、虚弱高齢者対策としてフレイル対策と呼ばれるようになりました。
 このロコモや身体的フレイルは、運動器の衰え、すなわち運動器障害を予防しようということが重要でございます。
 厚生労働省では、二〇一三年にロコモ対策に身体活動指針を打ち出し、アクティブガイドが作成され、東京都においても健康増進事業としてウオーキングマップ等の策定もされております。
 これまで、身体活動に特化した取り組みとして東京都が取り組んでいる施策についてお伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 高齢になっても健康で自立した日常生活を送るためには、習慣的に適度な身体活動、運動に取り組み、運動機能を維持することが大切でございます。
 このため、都は、都民が負担感なく身体活動量をふやすことができるよう、駅の階段利用を呼びかけるほか、区市町村が策定をした、ウオーキングの効果や消費エネルギーなどの情報を盛り込んだマップを紹介するポータルサイトを開設するなど、普及啓発を行っております。
 また、運動体験や身体、体力測定などを行う健康づくりイベントの開催、ロコモティブシンドローム予防教室、リハビリテーション専門職等を活用した介護予防、高齢者が体操等を行う通いの場づくりなどに取り組む区市町村を、包括補助などで支援しているところでございます。

○桐山委員 取り組みを行っているということです。少しでも歩く時間や距離を延ばす、また、少しでも階段を使う、そして少しでもお掃除をいつもよりたくさんする、こういったちょっとした簡単なことで体を使う時間をふやすということが何よりも重要です。
 知事も推奨していただいておりますラジオ体操も、本当にいつでもどこでもできる体操です。こういったことの普及事業を、ぜひとも引き続きよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、フレイルの中では、オーラルフレイルについてお伺いします。
 このオーラルフレイルとは、歯の衰えといわれております。これらにつきましても、今後、事業支援をしていく必要があると考えます。
 東京都医師会ではフレイルを、そして東京都歯科医師会ではオーラルフレイルに対し、強化をしております。よく食べ、よく運動し、そして人とのつながりを大事にして、三位一体で地域の中で取り組んでいくものとされています。
 オーラルフレイルは、この初期の段階なんですけれども、第一段階としては人とのつながりの低下や孤食、社会性の低下から始まりまして、第二段階としては栄養面、歯科口腔の機能における軽微な衰え、いわゆる滑舌の低下ですとか食べこぼし、わずかなむせとか、かめない食品がふえるなど、あえて見える化をしてオーラルフレイルとして位置づけております。
 口腔機能強化における支援も行ってきておりますが、今後さらに身体への大きな虚弱化、フレイル化への入り口でもあり、大変気づきやすいともいわれております。
 健康と機能障害の間にありまして見逃しやすいために、早目に気づき、そして適切に対応することが大変重要だと考えておりますが、都の見解を求めます。

○梶原福祉保健局長 今お話のありましたオーラルフレイルは、軽微な口腔機能の低下から始まることから、日ごろから虫歯や歯周病などの予防を心がけ、早目に気づいて対応することが必要でございます。
 このため、現在策定中の東京都歯科保健推進計画では、高齢になっても身体機能を維持し、食べる、話す、笑うといった口の機能を十分に使うとともに、口腔ケアを続けることがフレイル予防につながることを歯と口の健康づくりの中に盛り込むこととしております。
 今後、この計画に基づきまして、歯磨きや口の体操などの口腔ケアに都民がみずから取り組むこと、かかりつけ歯科医で正しい歯磨きの仕方などの保健指導や定期的な歯科健診、予防処置を受けることなどの重要性について、普及啓発を行ってまいります。

○桐山委員 このオーラルフレイルという新たな名称といたしましても、まだまだ認知も普及もされてはおりませんが、今後は、今まで高齢者への歯の衰えに対する考え方や取り組みにつきましても、オーラルフレイルという名称のもとで進んでいくと思います。ですので、東京都といたしましても、オーラルフレイルという名称への転換を、普及啓発とともにお願いをし、要望をしておきたいと思います。
 今後は、フレイル対策が二〇二五年問題、超高齢化社会に向け、元気な高齢者支援の取り組みが重要な鍵になると思っております。局としては、フレイル事業は、介護予防、そして高齢者支援、健康づくりといった組織を横断することから、内部での連携が大変重要です。
 西東京市では、東京都でいち早く、虚弱な体をまず知ることから始めるフレイルチェックを考案した、フレイル研究の第一人者でもあります東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授と連携をし、二十九年度よりフレイル事業を展開しております。住民にわかりやすく、住民同士でチェックできる簡易評価法、フレイルチェック、早期介入ポイントを住民に意識させるモデルを構築をされた方でございまして、これらを元気高齢者がフレイル予防サポーターになり、そして住民主体で楽しい場をつくりながら、同時に意識と行動に変化を与え、地域活動を構築していくというものでございます。
 これらを、パネルを見ていただいたらわかるんですけれども、フレイルというのは、健康でいる状況と、そして介護、要支援になる、ちょうど中間点を指します。この段階では、少しでも早く気づくことが大事。そして、早く気づくことによって、それぞれ何が自分には必要で、何を改善していったらいいのかということを十分に介入をしていけば、元気な体に戻っていくということが出ております。
 こちら、ドミノ倒しにならないようにと書かせていただいておりますが、社会とのつながりというコミュニティです。
 高齢者がどんどんどんどん独居になってひとり暮らしになっていくと、人とのつながりがなくなって外に出なくなります。そうすると、心も沈んでいきます。そして、一人でいると孤食になります。そうすると、栄養もどんどんどんどん偏ってきて、筋肉が衰えてきて体重も減少していきます。そして、体に悪影響が起こってまいります。こういったつながりをしっかりと地域で支えていくことが何よりも重要です。ドミノ倒しにならないようにということで、ぜひとも東京都の支援をお願いをしたいと思います。
 最後に、知事にご答弁お願いしたいんですが、都民が健康で過ごしていくために、今後、高齢者対策として取り組む重要政策だと私は考えております。知事の認識と取り組みについて、ご所見を伺っておきたいと思います。

○小池知事 とてもわかりやすいご説明、ありがとうございました。
 人は年齢を重ねますと、だんだん体の力が弱くなって、外出する機会が減って、病気にならないまでも、手助けや介護が必要になってくる。
 このようなフレイルを予防するためには、都民一人一人が日ごろから食事や運動、そして休養などの生活習慣に気をつける、それに加えまして、地域における健康づくりや介護予防の取り組みが進められることが重要だということを教えてくれます。
 今回、東京都保健医療計画を改定することといたしまして、新たにフレイル、ロコモティブシンドローム予防を生涯を通じた健康づくり推進策の一つに位置づけることといたしました。そして、その意味や重要性の普及啓発に努めるとともに、区市町村の取り組みを支援することといたしております。
 八十八歳で亡くなった母も、何の病気かよくわからないということで、病院をはしごしておりました。そして、お母さん、それは加齢だというと、いつも怒っておりました。しっかりと、このようなフレイルについての段階なども情報として与えて提供しているということは、極めて重要だと私も思うところでございます。
 年齢を重ねても、いつまでも人は健康で暮らしたいと思うのは当然でございます。そうした都民の願いに応えるためにも、区市町村や関係団体と密接に連携しながら、フレイルの予防に取り組んでいきたいと考えております。

○桐山委員 知事、ありがとうございます。
 フレイル対策は、二〇二〇年、その先の二〇二五年の超高齢社会に向けましては、このフレイル予防を今から東京都の施策としてしっかりと対策を進めていくということが何よりも元気高齢者の支援につながると考えておりますので、引き続き、ぜひ保健、医療、福祉部門、しっかり局一丸となって取り組みを行っていただきたいことを要望させていただきます。
 次の質問に移ります。
 都内学校現場におけます体罰根絶に向けた取り組みについて伺います。
 昭和生まれの方なら、一度ぐらいは学校の先生にげんこつやびんたや暴言を吐かれた経験があるのではないでしょうか。私もその一人で、運動部活動などで勝ち負けの勝負の世界にいますと、規律もさることながら、指導者も熱が入ると感情的になり、どなられたり、手を出されたこともあった時代でした。
 こういった体罰と認定をされる行為が表に出され問題視された背景には、二〇一二年、大阪市立桜宮高校のケースがあります。部活の体罰に抗議をし生徒が自殺をするという大事件が起きました。
 そのことをきっかけに、東京都も二〇一三年より、都内公立学校における体罰実態把握調査が開始をされました。直近情報では、平成二十八年度に発生をした都内公立学校における体罰の実態把握でございます。
 体罰を行った者は三十四人、前年度六十二人よりも約四五%減少。体罰の行為者では、教職員が二十九人、外部指導員が五人。体罰の場面別では、授業等の教育活動中が前年度五十一人よりも大きく減少して二十四人、部活動中が十人。体罰に対する認識では、感情的になってしまったが前年度四十七人よりも大きく減少したとも報告をされております。
 しかし、体罰が行われた学校は三十三校、都立学校四校、区市町村立学校二十九校で、このうち五校において、児童生徒に傷害を負わせるなど体罰の程度が著しい事案があったとも公表をされております。
 そこで質問をさせていただきますが、教育現場での懲戒と体罰の定義について伺います。

○中井教育長 学校教育法第十一条には、校長及び教員は、教育上必要があると認められるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童生徒及び学生に懲戒を加えることができる、ただし、体罰を加えることはできないと示されております。
 都教育委員会は、ただいま委員の方からもお話ありました平成二十四年に大阪市立高校で起きました部活動中に発生した体罰事案、これを契機といたしまして、翌年、部活動指導等の在り方検討委員会を設置し、体罰根絶に向けた対策について検討し、報告書にまとめたところでございます。
 その検討結果を受け策定した体罰根絶に向けた総合的な対策の中で、懲戒とは、児童生徒に対して戒めるべき言動を再び繰り返させないという教育目的に基づく行為や制裁であり、体罰とは、児童生徒に直接的または間接的に、肉体的苦痛を与える行為であると定義づけたところでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。
 先月ぐらいの報道で、愛知県で発生をした体罰案件もありました。学校の児童九人に、頭を黒板に押しつけるなど十四件の体罰を行ったとして、停職六カ月の懲戒処分にした。昨年四月以降では、廊下を走った児童など、別の八人の頭を定規やほうきの柄でたたいたり、顔をつねったりしていたことが確認されたといいます。教諭は、指導に熱が入り手を出してしまったと話しているそうです。
 さらに、三月八日の報道では、横浜市教育委員会の体罰審査委員会は、市立小学校の男性教諭が児童をたたいたり蹴ったりする行為を繰り返しており、これが体罰に当たると認定をし、処分を検討されているそうです。
 こういったケースがまだまだ起こっている現場ではございますが、学校では、学校でこのように体罰が発生をした際、迅速な対応が求められますが、体罰事案が発生した場合、都教育委員会に対しては、学校からどのように報告が挙げられるのか、お伺いをしておきます。

○中井教育長 都の公立学校において、教職員による児童生徒への体罰等が発生した場合、校長は、教職員や児童生徒等から聞き取りを行い、事実関係を取りまとめた上、都立学校の場合は都教育委員会に対して、区市町村立学校の場合は区市町村教育委員会に対して、事故報告書を提出いたします。
 なお、区市町村立学校の場合、区市町村教育委員会は、当該教職員等に対して改めて事実確認を行った上で、都教育委員会に対して事故報告書を提出することになっております。

○桐山委員 毎年度、この実態調査を行っておりますが、二〇一三年度から始まっておりますけれども、現在も学校名は公表されておりますが、体罰調査表を見ましても、悪質で危険な行為を今なお教員が行っている現状は続いております。また、根絶には至っておりません。
 教育委員会におけるこれまでの取り組みについてお伺いをいたします。

○中井教育長 都教育委員会では、平成二十五年度に体罰根絶に向けた総合的な対策を取りまとめるとともに、教職員が具体的な指導場面の映像によって体罰等に対する理解を深めることができるよう、体罰根絶を目的とするDVDを作成し、全ての公立学校に配布いたしました。
 また、平成二十八年度からは、各学校に対して、体罰根絶の宣言を行い、ホームページ等で公表するよう指導しております。
 そうした中でも、体罰等を起こした教職員に対しては、厳正に懲戒処分等を行うとともに、アンガーマネジメント研修を実施し、再発の防止を図っております。
 今年度は、こうした取り組みに加えて、公立学校の全ての教職員向けに服務に関する指針等をまとめたガイドラインを作成し、体罰等についても、未然防止の観点から、教職員がとるべき具体的な行動例等を示したところでございます。

○桐山委員 次に、体罰の根絶に向けては私立学校における取り組みも重要です。
 私立学校におけます体罰の根絶に向けた取り組みについて、生活文化局長に答弁を求めます。

○塩見生活文化局長 体罰等は、直接受けた児童生徒のみならず、その場に居合わせた全ての児童生徒に悪い影響を及ぼす許されない行為でございます。
 そのため、都は、各私立学校に対しまして、教員の指導力向上など体罰等の抑止に資する国の資料などの情報提供を行うとともに、学校関係者が集まる会議等を通じて、体罰禁止の徹底を求めております。
 また、体罰等が疑われる場合には、学校に事実関係の確認を行い、その事実が明らかな場合には、速やかに適切な対応をとるよう学校を指導しております。
 今後も体罰等の根絶に向けて、さまざまな機会を通じた私立学校の啓発と支援に取り組んでまいります。

○桐山委員 私立学校は公立と違いまして、学校法人化のもとで責任を持って対応されているものと認識をされます。
 教員への扱いに対し、個別に今後、不服として申し出てくる生徒児童の保護者がいれば、ぜひ相談体制がとれるようにお願いをしておきたいと思います。
 さて、もう一度、教育長にお伺いします。
 毎年度行っております実態把握を行うに当たり、どのような方法で調査を行っているのか伺います。

○中井教育長 都教育委員会は、全ての児童生徒を対象として、発達段階に応じて小学校の第一学年から第三学年、小学校の第四学年から第六学年、中学校、高等学校等の三つの区分で、それぞれ質問の仕方や表現を変えた記入式の調査を実施しております。
 その中で、小学校の低学年の小さな児童もおりますので、例えば小学校の第三学年までの児童に対しては、学校で先生にやめてほしいこと、やめてほしかったことがありますかなどといった、理解しやすい質問を行っているところでございます。

○桐山委員 今後は外部からの教員や指導者がふえてくることもございます。外部人材への指導や実態の把握に今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

○中井教育長 都教育委員会は、部活動指導に当たる外部指導員に対し、体罰禁止の考え方等を十分に指導した上で、資格証とバッジを配布し、学校の指導方針のもとで指導力や専門性を発揮するよう周知徹底を図っております。
 また、小中学校における学校支援の活動の取りまとめ役であるコーディネーターに対しても、研修の機会を捉えて、体罰等の防止など、子供たちへの適切な対応について注意喚起を行っております。
 さらに、毎年、全ての公立学校を対象に、外部指導員等による体罰等を含めた調査を行い、その実態を的確に把握しています。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、外部指導員等を含めた体罰等の根絶に努めてまいります。

○桐山委員 今回、体罰の取り組みを挙げた理由といたしましては、今後、教員の過重労働による状況から、教員の働き方改革が現在進められております。学校運営のあり方としてのチーム学校として、また外部指導者など、さまざまな形で学校に指導者が入ってまいります。
 そういったことで、市区町村におきます地域人材の活用ですとか、さまざまな指導がこれから行われていく状況の中で、教員以外の人材も学校の中でしっかりと適切な指導を行っていただきたいという思いを込めて質問を選ばせていただきました。
 子供は言葉でいってもわからない存在だ、だから体で教えてもいいという発想から、どこまでが懲戒でどこからが体罰か、それらの多くの意見の相違もあります。
 また、文部科学省の家庭教育に関する文脈で語られるしつけとの関係や、子どもの権利条約で言及されている身体的もしくは精神的な暴力に該当するか否かなど、体罰は人権を侵害する重大な行為で、決してあってはならない行為であり、法律で禁止されている学校や教員には、ぜひとも繰り返し伝えていただき、ご指導いただきますように、しっかりと徹底し、要望させていただきたいと思います。
 最後の質問をさせていただきます。都市計画道路です。
 都市計画道路は、人、物の円滑な移動を支える重要な都市基盤でございまして、私も一般質問の中でも取り上げさせていただきました。
 市内ではまだまだ整備率は四割を超えたところでございますが、着実に工事を進めていく必要があると思います。
 一方で、整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直すとの基本的な考えに立ちまして、都市計画道路のあり方について検討会を立ち上げていると聞いておりますが、この都市計画道路のあり方検討の狙いについてお伺いをいたします。

○邊見東京都技監 これまで都は、おおむね十年ごとに事業化計画を策定し、計画的かつ効率的に整備するため、優先的に整備に取り組む路線を示す一方で、都市計画道路の必要性の検証を行い、適宜計画の見直しも行ってまいりました。
 現在、第四次事業計画に基づき事業を進めることで、今後おおむね二十年で都市計画道路全体のネットワークの約八割が完成する、その一方で、残る計画は、完成までになお時間を要することになります。
 このため、整備すべきものは整備し、見直すべきものは見直すとの基本的な考えに立った上で、今般、新たに、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路のあり方について幅広く検討を行うことにいたしまして、現在、地元区市町とともに検討を進めてございます。

○両角委員長 桐山ひとみ委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時四分休憩

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