予算特別委員会速記録第三号

○両角委員長 本橋ひろたか理事の発言を許します。
   〔委員長退席、木村副委員長着席〕

○本橋委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 まずは、基礎的自治体と東京都との連携に関する知事の基本姿勢についてお尋ねさせていただきます。
 近年、基礎的自治体の自治権は大きく拡充してまいりました。中でも、東京二十三区の特別区は、都の内部団体であったころに比べますと、自治体としての経営能力が格段に高まってきております。
 私の地元豊島区では、小池都知事の盟友でもあります高野之夫豊島区長が、これまで文化と都市再生を基軸としまして、これらによる政策を力強く牽引しておられます。
 豊島区では、国際アートカルチャー都市構想を推し進める中で、おくればせながらも、平成二十七年七月に、池袋駅周辺地域が特定都市再生緊急整備地域の指定を受けたり、また平成二十八年十一月には、アジアヘッドクオーター特区区域の指定を受けたりと、これまでとは一味も二味も違った都市再生が、豊島区では始まろうとしております。
 また、文化政策では、都の力強いバックアップを得ることを通じまして、東京圏では初めて、平成三十一年の東アジア文化都市をかち取り、平成三十二年の東京オリンピック・パラリンピックに向かって、都と連携しながら、東京の文化プログラムをアピールするなど、今まさに大きく力強く、豊島区は羽ばたこうとしております。
 さらに、日本創成会議の提言で、豊島区が受けた消滅可能性都市の指摘を契機として取り組んできた、女性に優しいまちづくりや子育て環境の整備が、じわりじわりと功を奏しまして、例えば、今月八日の日本経済新聞の全面広告欄では、共働き子育てしやすい街ランキング二〇一七におきまして、豊島区は、東京編、総合編とも第一位との報道が掲載されるなどなど、高く評価され、今まさに我が国、ひいては世界の目が豊島区に向いているといっても過言ではありません。
 ちなみに、この日本創成会議の提言があった当時、私は豊島区の区議会議員でありましたが、私を含め多くの関係者が、最初は、何と思って反発したものですが、高野区長を初め、区の理事者の皆さんは、この提言をむしろ警鐘と受けとめまして、これをてこに豊島区を変えていこう、そう割り切ったことがよかったと、私自身、今は思っております。
 特に、女性が暮らしやすいまちづくりのさらなる推進を図っていくため、子育て世代であります二十歳代から三十歳代を主体とする、としまF1会議なるものを--フィメールワンですね、立ち上げ、当事者の意見やニーズを掘り起こすとともに、女性の区政参加を促進したことがよかったということができます。
 さて、平成二十九年九月に東京都が策定した都市づくりのグランドデザインでは、今後、副都心という概念がなくなりまして、各拠点がオンリーワンの都市として、個性を際立たせていく方向性が示されております。
 池袋は、都心部の業務機能の単なる受け皿から脱却して、国際アートカルチャー都市として、池袋の持てる個性を存分に発揮していく、まさに都が推奨しておりますグランドデザインを体現する都市へと生まれ変わろうとしております。
 こうして、都と豊島区との連携ぶりとその結果に鑑みますと、都がみずから政策を実行し、首都東京として我が国を牽引するということももちろん重要ではありますが、近年、大きく自治権が拡充している特別区に対しては、広域的自治体としての役割を積極的に発揮していくことも極めて重要ではないかと、私は考えるのであります。
 そこで、特別区との連携について、都知事の基本姿勢をお伺いいたします。

○小池知事 お尋ねの都と特別区の関係でございます。
 特別区は、平成十年の地方自治法の改正で、基礎的な地方公共団体と位置づけられました。そして、福祉やまちづくり、防災など、幅広い行政分野におきまして、地域の実情を踏まえながら、みずからの判断と責任で住民に身近な行政サービスを展開しているところでございます。
 一方、都でありますが、広域の地方公共団体といたしまして、待機児童対策や都市づくりなど、特別区が直面する困難な課題について、特別区の意向や地域特性を十分把握した上で、必要な支援、協力を行っているところでございます。
 先日も、特別区長の皆様方から、各区の課題、そして重点施策についてさまざまなお話を伺いました。そして、改めて各区がそれぞれ独自の課題を有しておられ、都と区が連携して取り組むということがいかに重要かと、改めて認識をしたところでございます。
 身近な自治体が、その地域に暮らす都民のニーズに沿った、きめの細かい行政サービスを提供できるように、今後とも各区としっかり連携をしながら、その自主、自律的な取り組み、支援してまいりたいと考えております。

○本橋委員 ぜひ東京都におかれましては、特別区と緊密に連携していただきまして、特別区の進化、発展にご貢献、ご協力いただければありがたいと思います。それが、全体的にいえば、都のサステーナビリティーに確実につながると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以下、何件か、都と特別区との連係プレーに関する論点をちょっと質疑させていただきたいと思います。
 そこで、まずは待機児童対策についてであります。
 さて、知事におかれましては、平成二十八年八月の都知事就任直後から、待機児童を解消するための方策を矢継ぎ早に、精力的に繰り出してまいりました。
 そこでまず、都知事就任からの取り組み状況について、ご説明願いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 都は、平成二十八年九月、待機児童解消に向けた緊急対策を取りまとめ、総額約百二十六億円の補正予算を編成して、保育所等の整備費補助の拡充や都有地活用の推進、保育従事職員の宿舎の借り上げ支援の充実、認可外保育施設の利用者の負担軽減、保育の質の向上を図るための巡回指導チームの編成などを実施いたしました。
 今年度は、保育士等キャリアアップ補助の充実や、二十三区内で保育所用地を有償で貸し付ける場合の固定資産税等の十割減免、ICT化への補助、企業が従業員向けに開設する企業主導型保育施設や預かり保育を行う私立幼稚園の支援などを実施しております。
 また、取り組みをさらに加速するため、九月に追加対策を取りまとめ、賃借料補助のさらなる拡充や、児童の安全対策の強化などを実施しております。

○本橋委員 ただいまの冒頭の方で答弁いただいた、都が平成二十八年に講じた緊急対策についてでありますけれども、その中の一つとして、未利用都有地の情報提供というものがございます。
 そこで次に、この実施状況はどうなっているのかをお伺いしたいと思います。

○梶原福祉保健局長 都は、先ほど申し上げました緊急対策に基づきまして、全庁横断的な都有地活用推進本部を設置し、都有地を活用した保育所整備を推進しております。
 この本部では、全庁的に都有地の洗い出しを行い、これまでに保育所等として活用可能性がある二百五十四件の都有地に関する情報を、区市町村に提供をしております。

○本橋委員 それでは、この未利用都有地の情報提供についてでありますけれども、都としては効果が上がっていると判断しているのか、それとも期待したほど効果が上がっていないと判断しているのか、都のご所見をお聞かせいただきたいと思います。

○梶原福祉保健局長 認可保育所等の整備で申し上げますと、未利用都有地の活用を開始した平成十九年度から平成二十九年度までの十一年間に開設したものが十二件であるのに対しまして、平成三十年度以降の三年間の開設予定は二十一件でございます。
 都有地活用推進本部の取り組み等により、都有地を活用した保育所整備が加速しているものと考えております。

○本橋委員 今の加速ということ自体は、極めて望ましいわけでありますけれども、そうした中で東京都が情報提供している未利用地の中には、利用するには不便な場所もあるといった区市町村の意見も漏れ聞いております。
 そこで、実際はどのようなことなのか、そのことについての認識をお尋ねしたいと思います。

○梶原福祉保健局長 都有地活用推進本部では、各区市町村がそれぞれのニーズに応じて選択していただけるよう、未利用都有地のうち、崖地など建物を建てることが困難な土地を除き、百平方メートル以上で、具体的な活用が決まっていない全ての土地について情報提供を行っております。
 その所在地は全都にわたっておりまして、中には不整形な土地や駅から遠いなど、必ずしも交通至便ではない土地も含まれておりますことから、区市町村からお話しのようなご意見があったものと認識をしております。

○本橋委員 今、ご答弁の内容から察するに、そういった場合も、たまにはあるよねということかと思います。
 さて、ここまでは都有地について伺ってまいりました。東京都の施設の中にも待機児童対策に活用できるものがあるような気がしてなりません。実際、例えば私の地元の豊島区では、都の施設であります豊島合同庁舎の一階に、来月、平成三十年四月に認可保育所が開園予定であります。
 ここ最近、豊島区では、子育て真っ最中の親御さんはもちろん、区民の間でも都税事務所の中に認可保育所ができると大変話題になっております。豊島区からの情報では、区のたっての希望により、都税事務所の一角に保育所が整備されることになったと私は聞きました。都の施設の有効活用でありまして、まことにすばらしいことだと思います。
 そこで、今後、このように都が活用している施設でも、区市町村がその未利用スペースについて活用の意向があった場合、積極的に地元の自治体の相談に乗るべきだと思いますが、この点についてのご所見をお伺いしたいと思います。

○梶原福祉保健局長 都は平成二十八年十月に、とうきょう保育ほうれんそうを設置いたしまして、区市町村や民間保育事業者等からの都有地に関する照会や提案などを受け付けております。
 このほうれんそうでは、区市町村の活用意向があれば、都有地の貸し付けについての諸調整を行っておりまして、豊島都税事務所の庁舎の未利用スペースにつきましても、都有地に準じた調整を行ったところでございます。
 今後も区市町村から都有施設の未利用スペースの照会があれば、活用予定の有無や認可保育所等としての活用の可能性を確認し、調整を行うなど、丁寧に対応してまいります。

○本橋委員 ぜひ、東京都におかれましては、積極的にそういった意味でのご支援をいただきたいと思っております。
 そこで、最後に、東京都としての待機児童解消に向けた知事の意気込みないし決意について伺わせていただきたいと思います。

○小池知事 ご指摘のように、私は待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけております。
 そして、三つの柱、すなわち保育所等の整備の促進、人材の確保・定着の支援、そして利用者支援の充実、これら三つを柱といたしまして、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 来年度でありますが、区市町村が取り組みます保育所などの整備をさらに後押しをいたしてまいりますとともに、新たな取り組みとしましては、待機児童のうち半数を占める一歳児の受け入れに緊急的に対応する施設を支援してまいります。
 また、待機児童の保護者の就労のために、安心してベビーシッターを利用できる環境を整えることといたしております。
 これは、理事の地元の豊島区で、既にベビーシッターを活用して待機児童ゼロを達成したと聞いているわけでございまして、ベビーシッターの活用によって、働く女性、子育て中の女性を大いにバックアップしてまいりたいと考えております。
 さらに、保育サービスの整備の目標についても上積みをいたしております。二〇一九年度末までの三年間で六万人分の増加を目指しております。
 今後とも、区市町村としっかり連携をしながら、待機児童の解消に向けまして、保育サービスの整備、さらに加速してまいります。

○本橋委員 非常に力強い知事のご答弁だったかと思います。ぜひ待機児童対策、引き続きましてよろしくお願いしたいと思います。
 今の知事の答弁の中にも出てきましたフレーズ、都政と区政の連携というのに関連しまして、次に、選択的介護の取り組みについて伺いたいと思っています。
 我が国は世界に類を見ないスピードで少子高齢化が進んでいることは承知のとおりでございます。介護サービスに対する需要がますますふえる一方で、サービスを担う人材の確保も困難な状況となっております。そこから介護サービスを効果的、効率的に提供するための取り組みは極めて重要になってきており、こうした課題を解決するための選択肢の一つとして、選択的介護が期待されていると認識しております。
 申し上げるまでもありませんが、選択的介護は、介護保険サービスと保険外サービスを柔軟に組み合わせて提供することによって、利用者の利便性の向上や介護職員の処遇改善等の効果が期待されるものであります。
 しかしながら、国が求めている保険サービスと保険外サービスの明確な区分の方法などが不明瞭なため、事業者が積極的に取り組めない、あるいは二の足を踏んでいるといった状況などから、昨年、平成二十九年二月の国家戦略特別区域会議で、知事が、利用者の選択を重視するというコンセプトのもと、私の地元の豊島区と連携して提案されたものと理解しております。
 こうした中、昨年から選択的介護のモデル事業の実施に向けて準備を進め、一月に豊島区がモデル事業への参加事業者公募を行ったわけであります。
 そこでまず、今回の公募に至るまでのモデル事業の検討状況についてお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 選択的介護のモデル事業の実施を検討するため、豊島区は昨年五月に学識経験者や関係団体等で構成する有識者会議を設置し、都は共同事務局として参加をしてまいりました。
 会議では、現在の介護保険制度において、保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する際の制約を洗い出し、事業者から受けたさまざまな情報提供や提案を踏まえ、モデル事業を実施する上での課題や留意点を整理いたしますとともに、アンケートを実施して利用者ニーズを把握するなど、四回にわたり検討を重ねてまいりました。
 その結果、来年度から開始するモデル事業として、介護保険サービスの訪問介護に、話し相手や外食の同行などの保険外サービスを柔軟に組み合わせることとし、本年一月に事業者公募を行い、十者から応募があったところでございます。

○本橋委員 ありがとうございます。十者というのは、意外と意欲的な姿勢が垣間見れるななんて、そんな今感想を持ちました。
 こうしたモデル事業の実施によりまして、今後、実際にサービス提供を受けることが想定される利用者などの意見を反映したり、また学識経験者や介護事業に深くかかわっている方々、そして都の福祉保健局の部長さんと区の副区長で構成される、今、言及がありました有識者会議、ここでの専門的な議論も、四回にわたって経てきているということで、とても丁寧な検討が行われてきていると、私は今受けとめたところです。
 これも都と選択的介護に大変な意欲を持っている豊島区が、密に連携を図りながら取り組んできたたまものではないかと私は思っております。
 引き続き、豊島区と緊密な連携を図りながら取り組んでいただきたいと思いますが、選択的介護の今後の展開を見据えますと、モデル事業の効果をしっかりと検証していくことと、新たなサービスメニューを創出していくことが必要と考えるものであります。
 そこで次に、この点についての都の今後の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。

○梶原福祉保健局長 来年度から実施をいたしますモデル事業では、介護する家族の負担軽減や高齢者の自立支援の促進、事業者の人材の確保や収支の改善などの期待される効果、事業としての実現性、継続の可能性等について検証を行ってまいります。
 あわせて、平成三十一年度以降にモデル事業として行う新たなサービスメニューについて、現行の介護保険制度の制約を踏まえた上で、給付上のルールや事業所の運営基準等を緩和した場合に生じる課題を整理し、検討をしてまいります。

○本橋委員 ぜひしっかりと、整理検討の方に取り組んでいただきたいと思います。選択的介護は今後しっかりとした成果を出していくためにも、利用者が安心して使うことができて、そして事業者にとっても積極的に取り組めるものとしていくことが非常に重要だと思っています。
 今後も引き続き、選択的介護モデル事業の検討と、事業効果検証が行われていくことになると思いますが、選択的介護は利用者や事業者にとって、より魅力的なものとなるよう、事業者の方々の創意工夫や、家族介護者として、実際にいろいろと苦労をされている方々のさまざまなご意見、そして都と豊島区の英知を結集していただきまして、国家戦略特区の仕組みを活用しながら、必要な規制緩和等にも果敢に取り組んでいっていただきたいと思うわけであります。
 そこで、最後に、この点の都の意気込みについてご所見を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 選択的介護では、保険サービスと保険外サービスの柔軟な組み合わせにより、事業者の創意工夫の幅を広げ、利用者の利便性や運営効率の向上等に資することが期待をされます。
 一方で、実施に当たりましては、判断能力等が衰えている高齢者がサービスを選択する際の利用者保護の仕組みの構築や、上乗せ料金等の負担が困難な低所得者への配慮、介護保険制度の理念である自立支援、重度化防止などを阻害しないことなどにつきまして、十分留意する必要がございます。
 都は、選択的介護が高齢者の生活をより豊かにするサービスの一つとなるよう、有識者会議における議論を踏まえ、豊島区とともにモデル事業に取り組んでまいります。

○本橋委員 今の局長の答弁を聞いておりますと、この選択的介護モデル事業ですけれども、都にとっても、豊島区にとっても、まさに失敗の許されない大事な事業ということができるのではないかなと思いました。
 先ほどより、昨年、平成二十九年の主な動きを取り上げてまいりましたけれども、より大事な行程は、一昨年、平成二十八年にあったのではないかと私は認識しております。その当時、豊島区の区議会議員を私はしておりましたが、平成二十八年九月五日、公正取引委員会の介護分野に関する調査報告書におきまして、介護サービス、価格の弾力化、いわゆる混合介護の弾力化について競争政策上の考え方の整理について記載がなされました。
 そして、平成二十八年十一月十七日、都の政策企画局と福祉保健局が、高野区長と面談しまして、高野区長がこの件について応諾し、区保健福祉部に検討開始を指示したことは記憶に新しいです。
 そして平成二十八年十二月一日、介護事業者団体から、東京都と内閣府国家戦略特区ワーキンググループに、混合介護実施を要望する提案書の提出がありました。
 平成二十八年十二月二日、都知事が国家戦略特区東京区域会議におきまして、働き方、介護に関する規制緩和提案で、混合介護特区について取り組みたい旨を表明されるわけであります。
 そして平成二十八年十二月七日、都議会定例会での代表質問に対する知事の答弁、ここで知事は、混合介護は介護事業者の収入増で処遇を改善できる、介護する家族にとってサービスの利便性が高まる、事業者団体からの提案もあり特区で協議している、モデル事業で行うと力強く答弁されております。
 そして、この一連の行程の中には、もう一つ大事なものがあると思えてなりません。それは、平成二十八年十一月十日、知事による都内二カ所の介護施設の視察訪問と介護職員の皆さんとの懇談であります。
 特区の制度をフルに生かしたい、急速に進む高齢化にしっかりと対処したいと語る知事におかれましては、たった今、目にしました介護現場の大変さ、苦労に心を寄せられたと同時に、ご自身のご家族に対する介護経験のこともフラッシュバックされたのではないかなと思います。
 そこから、利用者の気持ちが痛いほどおわかりになっているのが、選択的介護の必要性を十分理解されているのが、まさに知事ご自身であると思うわけであります。知事のご著書を拝読した私は、そう推察するものであります。
 選択的介護モデル事業、まずは平成三十年度から三十二年度までの実施期間、都にとりましても、しっかりと実証実験と、その効果や課題の検証に協力していただきたいと強く要望しまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、区市町村道の無電柱化についてであります。
 近年、無電柱化を取り巻く状況は加速しているものと認識しております。国においては、平成二十八年四月に、道路法の改正を行い、国道の緊急輸送道路への電柱の新設を禁止しております。さらに、平成二十八年十二月には、無電柱化の推進に関する法律、いわゆる無電柱化推進法が成立し、無電柱化を促進する法整備がなされたところであります。
 一方、東京都におきましても、昨年、平成二十九年六月に、都及び関係事業者の責務などを定めた、都道府県では初の東京都無電柱化推進条例を策定し、九月一日より施行しております。また現在では、条例の七条で定めることが記載されている東京都無電柱化計画の素案が公表されまして、先月の九日から二十三日の期間で広く都民からの意見を募集したと聞いております。
 そこでお伺いしますが、まず本計画に対する都民からの意見はどのくらいあったのか、また、その内容はどうであったのかをお聞かせいただきたいと思います。

○西倉建設局長 都は、東京都無電柱化推進条例に基づきまして、今後十年間の方針や目標を定めました無電柱化計画の素案を作成し、都民からの意見募集を行いました。その結果、無電柱化を計画的に進めることや、まちづくりの中で無電柱化を支援すること、狭い道路におけます無電柱化の低コスト化を図ることなど二十件の意見が寄せられました。
 今後はこれらの意見を踏まえまして、無電柱化計画を今年度内に策定いたします。

○本橋委員 二十件という数字、これは寂しいのかどうか、ちょっとどういう判断をされているのかわかりませんが、この東京都無電柱化計画にも示されておりますが、都内の道路の約九割は区市町村道であります。つまり都道において東京都が無電柱化を急速に進めたとしても、あわせて区市町村道の整備が進まなければ、都内全域の無電柱化率を向上させることはできないということができます。
 そして、東京都は今年度から、無電柱化チャレンジ支援事業として、区市町村道の無電柱化を一層促進するため、無電柱化計画の策定や低コスト手法の導入に取り組む区市町村に対し、新たな財政支援、技術支援策を拡充しております。
 私の地元の豊島区におきましても、学習院椿の坂と巣鴨地蔵通りの二路線で、この支援事業を使いながら事業を進めておりますが、国道や都道と比べまして狭隘な道路が多い区市町村道においては、いろいろと課題も多いと聞いております。
 そこで次に、区市町村道の無電柱化を推進する上での課題について、都ではどのように捉えておられるのか、また、課題に対する技術的な支援策としてどのような方法を考えているのか、それぞれお伺いいたします。

○西倉建設局長 区市町村道の無電柱化を進める上での主な課題は、多額の整備費用がかかることや、無電柱化事業の経験や技術的なノウハウ等の蓄積が少ないことであると認識してございます。
 このため、都は、区市町村道への適用も見据えた低コスト化に向けまして、東京電力やNTTなどと無電柱化低コスト技術検討会を設置いたしまして、電線共同溝の材料の見直しや電線等の埋設深さを浅くする手法の導入など、技術的な検討を進めております。
 また、今年度より、計画策定に必要な調査や、道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業等に対しまして事業費を全額補助する無電柱化チャレンジ支援事業を開始いたしまして、平成二十九年度は十七区市に財政支援を行っております。
 あわせまして、区市町村が設置する検討会に都の職員が直接参加いたしまして、都が進める技術検討の成果を提供するなど、技術支援を強化しております。

○本橋委員 いろいろな課題があることと、しかし、精力的に対応されていることがわかりました。そうした中で、この無電柱化事業の大きな課題は、やはり時間がかかるということではないかなと思っています。
 先ほどの東京都無電柱化計画によれば、無電柱化の標準的なスケジュールとして、四百メートルの道路を無電柱化するのに約七年かかるとされております。地域住民の立場からしますと、長期間にわたり、家の前の道路を掘っては埋めての繰り返しになっているため、騒音や振動等の負担が大きいのもまた事実であります。
 原因としては、ガスや上下水道の既設管の切り回しや、電力や通信の管設置など、施工が複数の企業者に分かれて行われることが考えられるのであります。
 このような埋設管の切り回しや引き込み配管の際には、企業者が同時に施工するような仕組みづくりができれば、工期の短縮のみならず、経費の節減にもなるため、住民の賛同も得られやすく、無電柱化がさらに促進されると考えるのであります。
 そこで、都としてはどのようにコスト縮減や工期短縮を図っているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○西倉建設局長 無電柱化事業の実施に当たりましては、限られた道路空間に管路等を配置するため、ガス管や水道管等の移設工事を行いまして、空間を生み出しながら整備を進めることが必要でございます。
 そのため、設計段階から関係事業者と十分に協議を行いまして、可能な限り移設工事が少なくなりますよう配慮しております。加えまして、電線管理者が所有しております管路やマンホール等の既存施設を電線共同溝の一部として活用することができる場合には、新たな管路やマンホール等の設置が不要となりますことから、さらにガス管や水道管等の移設工事を減らすことが可能となります。
 こうした取り組みによりまして、道路の掘り返しを減らしまして、効率的に事業を進め、コスト縮減や工期短縮を図ってまいります。

○本橋委員 以上、無電柱化について、るるお尋ねしてまいりました。都内の電柱をゼロにするためには、区市町村の無電柱化を推進することが何よりも必要であります。
 いろいろと課題はありますが、狭隘な道路での無電柱化事業については日が浅く、改善するための方策はまだまだあると考えるものであります。
 既存の考え方にとらわれず、新たな発想を取り入れながら事業を進めていくことをお願いいたします。
 最後に、本事業への都の意気込みをお伺いしたいと思います。

○西倉建設局長 無電柱化は、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行者空間の確保、良好な都市景観の創出を図る上で重要でございます。
 都は、都内全域での無電柱化を加速させるため、都道の重点整備地域をセンター・コア・エリアから環状七号線の内側エリアまで拡大いたしまして、対象路線全線での事業着手や、重点整備路線といたしまして第一次緊急輸送道路と災害拠点病院等を結ぶ都道を新たに位置づけまして、防災性の一層の向上を図ってまいります。
 さらに、面的な広がりを持った無電柱化の推進に向けまして、区市町村を財政的、技術的に支援いたしますとともに、再開発等のまちづくりにおける無電柱化の面的な展開につきましても強化してまいります。
 今後は、これらのさまざまな施策を総合的に展開しながら、東京の無電柱化を強力に推し進めてまいります。

○本橋委員 その姿勢に、豊島区としても本当に最大限協力させていただく次第です。今、巣鴨地蔵通りの入り口から高岩寺までにかけてが、このチャレンジ支援事業を使って鋭意取り組んでいくわけですけれども、モデルケースといいますか、そこでのやり方が、何か東京都内の見本になればいいななんて思っている次第であります。
 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。
 東京二〇二〇大会の移動、交通関係についてご質問させていただきます。
 首都東京は、世界最大規模の都市であり、経済活動に伴う車や人の活発な往来が行われているところであります。大会期間中は、IOC委員やIF、NOC、スポンサー、メディアなどの関係者が、約四万六千室の宿泊施設に宿泊し、競技会場などとの行き来をすると聞いております。
 まず、大会関係者に提供する主な輸送サービスにはどのようなものがあるのか、また、その際に関係者が使用するルートはどのような考え方で設定されるのかをお伺いします。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 選手等の大会関係者に対しましては、大会組織委員会が、車両による輸送サービスを提供することとしております。
 例えば、IOCなどオリンピックファミリーといわれるグループや、NOCと呼ばれる各国のオリンピック委員会のメンバーには、乗用車による輸送サービスを提供することとしております。
 メディアに対しましては、メーンプレスセンターと競技会場間等を往復するバス輸送のサービスを提供するほか、随時使用可能な車両を提供する予定でございます。
 こうした関係者が使用するルートは、オリンピックルートネットワークと称し、安全性、定時性を考慮し、主に高速道路や幹線道路を優先して選定し、会場間等を結ぶ経路としております。

○本橋委員 意外と至れり尽くせりのような、そんな思いをしたのでございますけれども、また、競技の種目によりましては、移動する関係者の数も移動先も変わってくるかと思いますが、競技スケジュールは、いつ、どのような手順で決まるのか、お伺いいたします。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 競技スケジュールの決定につきましては、オリンピックはIOCに、パラリンピックはIPCにそれぞれ承認を受けることになります。
 現在、組織委員会において、各競技の日程や開始及び終了時間をまとめたスケジュールにつきまして、国際競技連盟等の関係者と調整を行っておりまして、本年の夏ごろに予定しておりますIOC及びIPC理事会での承認を目指しております。

○本橋委員 まだまだ熟成中の論点だったのかななんて、ちょっと今思っているところです。その一方で、道路ですけれども、企業や事業者にとっては、まさに動脈に当たる生命線であります。また、都民にとっては生活道でもあります。
 そこから、国道、都道、区道の管理者、企業や事業者との協議はどのように進めているのか、また、これまでの経緯等について具体的に説明をお願いします。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長
これまで、大会輸送の計画策定に向けましては、大会組織委員会とともに、主に三つの会議体で協議を進めております。交通管理者や地元自治体、鉄道、バス、物流等の業界団体などで組織される輸送連絡調整会議を平成二十七年七月に設置し、大会輸送に係る情報の共有と協議を進めております。
 また、学識経験者、関係省庁等を構成員として、大会時の交通の見直しや対策等を検討する交通輸送技術検討会を設置し、本年一月には、交通マネジメントの方向性を示した中間のまとめを公表いたしました。
 さらに、国を事務局とする交通輸送円滑化推進会議に参画し、経団連や東京商工会議所など、経済界に対して、交通需要の抑制に向けた働きかけを行っております。

○本橋委員 さまざまな会議体があることがわかりました。そうした協議の経過の中におきまして、地元の各区の反応はどうかを伺いたいと思います。
 具体的な情報がなくて、対応のとりようがなく、危機感ばかりが募っているとの感想を耳にしたことがありますけれども、協議の場での意見や要望があれば、幾つか紹介していただきたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長
大会輸送の計画策定に向けまして、都は、競技会場などを有する地元自治体等と実務レベルでの調整を続けております。
 具体的には、大会関係車両が通行するルートや最寄り駅から競技会場に向かう観客ルートの作成に向けまして、現在、関係する区や市のオリンピック担当に加え、道路などの関連部署との協議を進めており、地元からの要望の把握を行うとともに、ルート設定に当たりましての課題、対応策などについての調整を行っております。
 これまで、日常生活の動線の確保、居住環境の維持、観客の適切な誘導などの要望が挙げられております。

○本橋委員 大会開催期間というのは決して長いものではありませんが、二週間余りといいましても、生活道の利用に制限などの支障が出るとなると、地元にとっては死活問題になる場合もございます。十分に情報を提供して、協力をしていただくことを要望したいと思います。
 最後に、これらの点についての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 円滑な大会輸送と都民生活の維持との両立を実現していくためには、早期の情報提供を行い、多くの方々のご理解とご協力をいただくことが重要だと認識しております。
 輸送には、大会時の交通の円滑化に取り組む交通需要マネジメントのように、首都圏全体で対策に取り組む事項もあれば、競技会場周辺で選手や観客の輸送を確保しながら、都民の日常生活の動線をいかに確保するかといったきめ細かい対応が必要な事項もございます。
 都といたしましては、引き続きさまざまな関係者と大会輸送にかかわる協議を進めるとともに、地域特有の課題についても、地元の声をよく聞くなど丁寧な対応を行い、都民生活への影響を最小限に抑え、円滑な大会輸送を実現してまいります。

○本橋委員 二〇二〇年、オリンピックが実際行われている最中は、いろいろな意味で、大型バスを初めとして大会関係者のバスが、東京都内を、またあるいは東北方面にまでも移動したりして、そういった光景があります。
 ぜひとも、都民の目の前の道路が……

○木村副委員長 発言は終わりました。発言をやめてください。

○本橋委員 決して不都合にならないよう、ひとつよろしくお願いします。(拍手)

○木村副委員長 本橋ひろたか理事の発言は終わりました。

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