予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○両角委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 伊藤ゆう理事の発言を許します。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、私から、予算特別委員会での総括質疑をさせていただきたいと思います。
 五年ぶりに予算委員会に立たせていただきます。五年前のことも少し思い出すわけでございますけれども、当時、石原都政下でありました。ここに立ちますと、生々しくその当時のことが思い起こされます。
 五年前も六年前も、当時、私、ここに立つたびに感じておりましたのは、都政、変えたいと、新しい提案したいと思っても、なかなかそれが伝わらない、そして、予算や仕組みが、この都政のさまざまなところに根を張っていて、引っこ抜こうにも、動かそうにも動かないというジレンマを感じていたところでございます。
 そんな落胆していましたときに、小池知事が誕生されまして、あっという間に、それまで当然のこととして都議会の中で行われていた政党復活枠なるものも廃止をされ、まさに留飲の下がる思いでありました。
 その痛快な改革に、私も火がつき、今ここに立たせていただいているわけでありますし、また、きょう傍聴に来ている仲間の都議会議員も、私と同じく、心に火がつき、立ち上がった者ばかりでございます。
 既に私たちも、議員提案条例をつくらせていただいたり、また、公用車十三台を廃止させていただいたりと、改革に取り組ませていただいているところです。
 私たちは、何があっても初心を忘れずに、そして目標を見失わずに、真に都民、生活者のために、都政に尽力してまいりますことを宣言して、質問に入らせていただきたいと思います。
 まず初めに、国で問題になっている、いわゆる森友文書の書きかえ問題について伺います。
 これ、文書が意図的に書きかえられたということで、議会制民主主義の根幹を揺るがす前代未聞の事態でございます。
 知事はこれまでにも、情報公開を東京大改革の一丁目一番地と位置づけられてこられましたが、改めて、公文書の管理について知事の所見を伺いたいと思います。

○小池知事 ご質問にお答えいたします。
 ご指摘のように、東京大改革の一丁目一番地であるのは情報公開でございます。この情報公開をさらに一層進めていくためには、その基盤である公文書の適正な管理というのが何よりも重要でございます。
 このたびの国におけます公文書のいわゆる書きかえでございますが、若干ながら政府や行政に携わった一人といたしましては、言語道断、そして決して許されることではないと、このように考えております。
 一方、都におきましては、公文書の管理に関する条例を昨年制定をいたしたところでございます。公文書管理の理念、そして文書によります事案決定の徹底、さらに政策の形成過程を明らかにする文書の作成義務を規定いたしました。そして、全庁的な公文書管理のルールを確立したものでございます。
 現在、このルールに基づきまして、各部署におきまして、管理状況の点検など行っております。公文書の適正な管理の徹底に取り組んでいるところでございます。
 引き続きまして、公文書、これはもう都民共有の財産といっていいと思います。公文書が都民共有の財産である、その理念を職員に浸透させるとともに、公文書の適正な管理を一層推進してまいって、都民とともに進める都政の着実な実現を目指してまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 今、知事からお話があったとおり、今回の国の文書の改ざんはもう論外であるということを改めて申し上げておくとともに、都政においては、知事の進めてこられた情報公開をさらに一層進めていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 さて、本題ですけれども、この平成三十年度予算案について聞いてまいりたいと思います。
 今回の予算には新規事業が四百七件と過去最高の数に上っておりますとともに、事業評価により八百七十億円の事業見直しが行われました。
 予算づけばかりが注目をされがちなこの予算編成に当たって、事業見直しを伴った予算は、率直にめり張りのきいた予算といえるのではないかというふうに感じております。検証作業に当たった職員の皆さんにも頭の下がる思いで、敬意を表したいと思います。
 まず初めに、今年度の事業評価の取り組みの特徴、実際に見直し、再構築が行われた件数が過去の都政に照らしてどれほどの規模だったのか、所見を伺います。

○武市財務局長 今年度の事業評価の特徴は大きく三点ございます。
 一点目は、施設の整備、改修、重要資産の購入等に当たりまして、事業費の適正化を図るため、統計データや技術的指標などに基づき妥当性などを検証するエビデンスベースによる評価を新たに導入したこと。
 二点目は、事業終期が到来する事業の事後検証を徹底することにより、PDCAサイクルを一層強化し、さらなる効率性、実効性の向上を図ったこと。
 三点目は、実行プランの実施状況レビューの結果を踏まえ、目標に対する成果や実績の検証を徹底いたしまして、各施策の見直しや拡充などを図ったことでございます。
 こうした取り組みの強化により、今年度の見直し、再構築の件数は、前年度から百二件ふえまして、過去最高となる六百七十六件になってございます。

○伊藤(ゆ)委員 事業見直し件数が、今の答弁のとおり、過去最高の六百七十六件になったことがわかりました。
 さきの本会議では、政治は結果だと声高に叫ばれた会派がありましたが、都政史上で最も多い事業見直し、そして八百七十億円の財源を生んだのは、まさに小池都政による結果ではなかったかと思います。
 結果結果と結果を求めるのであれば、客観的な成果についても、正しく目を向けて議論するのが責任政党の姿ではないかということをまず申し述べておきたいと思います。
 予算の削減を行いつつ、都民ニーズに合った予算編成をされている上に、本予算案からは、人に焦点を当てた予算という輪郭がはっきり見てとることができます。
 改めて、人に焦点を当てた知事の三十年度予算にかける思いと、これまでの都政との違いを伺いたいと思います。

○小池知事 お尋ねの平成三十年度予算案についてでございますが、人口減少、超高齢化のうねりが今、目の前にあります。二〇二〇年のその先に、誰もが生き生きと輝く持続可能な都市東京を実現していく、そのことはまさしく知事としての使命でございます。
 この使命を達成するための具体的な道筋を示すものが、ご審議いただいております平成三十年度予算案、そのためにも賢い支出を徹底いたしまして、これまで以上にめり張りのきいた内容といたしたところでございます。
 編成に当たりましては、一つには、人に焦点を当てました。それは、待機児童対策、超高齢社会対策、まさしく人でございますが、そこに重点的に予算を措置したところでございます。
 もう一つ、ICTやIoT、AIなど、日進月歩で進化いたしております最先端技術を駆使した取り組みを盛り込んでおります。そして、三つのシティーの実現に向けた施策に積極的に財源を配分いたしまして、過去最高となります四百七件の新規事業を立ち上げることができました。
 この二点に重点を置きましたことは、これまでの都政、知事にはなかった視点ではないかなと、このように考えております。
 また、予算の編成プロセスにおきまして、生活や現場に根差した発想を直接ご提案いただく、そして施策形成に生かすということで、都民による事業提案制度を都政史上初めて導入をいたしました。
 まさしく東京の今を生きる都民の目線に立ちまして、真に都民の利益にかなう予算案を練り上げたと自負しております。
 この予算案をてこといたしまして、東京の明るい未来に向けて、都民の皆様のご理解、ご協力をいただきながら、都議会の皆様とともに道を切り開いてまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 今の答弁のとおり、最先端技術を駆使した事業なども盛り込まれているということで、この後、その具体例については質問をさせていただきたいというふうに思っておりますが、今、答弁の中にもあったように、都民の声をこの予算の中に反映をしたという話がありましたので、各種団体から直接ヒアリングをされた知事のこれまでの経緯についてもお伺いをしていきたいと思います。
 開かれた都政であること、都民ファーストの視点であることの一環として、知事は、昨年も、福祉団体から業界団体まで、幅広い団体からの予算要望ヒアリングを行いました。これまでの知事にはない対応であったと受けとめています。
 考えてみれば、予算の提案者である知事が各種団体の意見を直接聞く機会を持つことは、都政を身近にするばかりか、要望される皆さんの熱意が届くという意味で、団体の皆さんからも、都民の皆さんからも歓迎をされています。重たく閉ざされた都政の扉がようやく開かれたなという印象を受けております。
 ヒアリングにおいては、密室ではなく、あえてマスコミにもフルオープンで実施されておりますが、予算編成過程におけるこの公開ヒアリングの意義について知事に伺いたいと思います。

○小池知事 ご指摘のように、私は就任以来、一貫して東京大改革を推し進めてまいりました。そして、その要諦は、都政を透明化して、都民とともに進める都政の実現であります。
 このため、昨年度の予算編成から、いわゆる政党復活予算を廃止し、査定状況の途中経過を公表するなど、さまざまな、これまでの予算編成プロセスの見直しを進めてきたところでございます。
 その一環といたしまして、現場の実態に精通しておられる各種団体の皆様方からのヒアリングを行いまして、現場の声、そして都民の皆様の声を直接しっかり受けとめた上で、それぞれの個別事項に関しまして、知事査定の場で議論を重ねて予算案に反映させたということでございます。
 また、このヒアリングの模様は、インターネット中継などを通じまして都民の皆様方に公開をするということで、予算編成のプロセスの透明化が重要でございます。予算編成のプロセスの透明化は大切であると考えておりまして、これも都政の見える化の一環でございます。
 こうした一つ一つの取り組みをしっかりと行うことによりまして、都民ファーストの視点に立ちました、多くの都民の皆様の理解、そして共感を得るという予算案をつくり上げたものでございます。

○伊藤(ゆ)委員 議会の二百億円という議会のパフォーマンスより、よっぽど実のある知事の見える化だというふうに私は受けとめているところでございます。
 直接要望を聞く意義と、それがどのように予算反映されるのか、よくわかりました。都の予算は、さまざまな要望を受けて、都庁内で議論があり、各局の予算要求がまとまり、知事の査定を受けて、予算案として議会に示されると理解しております。
 ですから、知事が予算案としてまとめたものを議会にかけて審議を受けるのが常道なのですが、知事就任以前の都議会では、最終的に予算案としてまとめる直前に、都が議会サイドに予算原案を示し、議会サイドの要求を聞いてから予算書を作成していたというのが実態であります。これがいわゆる政党復活枠二百億円です。
 行政というのは、執行機関になるわけであります。その執行機関の行政に対して、議決機関の議会が事実上予算案に二百億円分の筆を入れてから審議に入るというんですから、これ、誰が考えても道理に合わないわけで、他県の議会で聞いたことがありません。
 一方、政党復活枠を廃止した知事は、各種団体から予算要望を直接受け付けるように改めました。そして、都庁内で議論して導いた予算額を、再度、各種団体に示して、その意見を聴取したと聞いております。
 最後の知事査定の前に、知事みずからが個別予算を示し、意見を求めたわけですから、都民の声を尊重した対応だったといえます。
 議会に示す前に団体に予算を伝えたのは二元代表制に反する旨の批判がありましたが、その批判は全く当たらず、むしろ、政党復活枠こそ知事の予算編成権に踏み込んだ仕組みで、二元代表制の観点から、廃止されて当然の結果だったというふうに考えます。
 そこで、各種団体との意見交換についての知事の見解を伺います。

○小池知事 都政の運営についてのご質問でございました。
 昨年度と同様に実施した予算案発表前の各種団体との意見交換でございますが、昨年の十月から十一月にかけて行いました各種団体ヒアリングにおいていただいた個別の事項に関するご意見、ご要望に対しまして、知事査定の場で一つ一つ議論をし、判断した内容についてお伝えをして回答したものでございます。
 これは予算案発表に至るまでの予算編成のプロセスの一つでございます。よりよい予算づくりを行っていくための重要なプロセスであると考えております。

○伊藤(ゆ)委員 この予算編成過程における、まさにプロセスについては、今答弁をいただきまして、よくわかりました。
 さて、今回のこの予算書、この予算案の概要を見てもよくわかるんですけれども、本当に見やすくなりましたし、できる限り多くの都民の皆さんにも見ていただきたいという思いが詰まっているんじゃないかと思います。カラーにもなりました。新規事業、あるいは、一つわかりやすいのは、都民提案予算もはっきりとここでわかるようになりました。
 小池知事は今回の予算策定に当たって、都民からの事業提案を求め、八・五億円の予算を計上されております。都民からの事業提案というのは全国的にも珍しく、開かれた都政を象徴する取り組みと、都民の皆さんも実感をされていると受けとめております。
 今回、二百五十五件の都民提案が寄せられたと伺っていますが、知事がこの都民、また職員からの提案事業を開始された動機と、そしてまた、行ってみて実感されたことを伺いたいと思います。

○小池知事 新しい東京の実現に向けた歩みをより確かなものにして、都政をしっかり前へ進めていく。そのためには、東京の今を生きる都民の皆様方の目線に立って、一つ一つの政策、そして予算に磨きをかけていかなければならないと考えております。
 こうした思いから、行政にはない新たな発想の活用など、一人一人の都民の声を直接反映させる新しい仕組みといたしまして、平成三十年度予算編成においては、都民によります事業提案制度を導入いたしたものでございます。
 今年度は、都民が提案し、都民が選ぶという考えのもとで、二百五十五件のご提案をいただきまして、インターネットなどによる投票を経まして、合わせて九事業、約八億五千万円を計上いたしております。
 都民目線の身近なアイデア、そして都民の都政への参画といった観点からも、都民ファーストの視点に立った予算づくりに大きく貢献したものと考えております。
 引き続き、より多くの都民の皆様にご参加いただくための工夫であるとか、利用しやすい環境づくりなど、都民によります事業提案制度のさらなる発展に努めていきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 今回、都民からの提案とあわせて、職員からの提案もあって、それもまた、現局ではなくて、もとの職場にいたときに感じたことを新しい職場に移って提案しやすかったというような話もあるようですので、こうした新しい提案を受け付けやすい仕組みをつくったことは、私たちとしても評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 それでは、入札制度改革について伺いたいと思います。
 行財政改革の一環である入札制度改革、都は現在、入札制度改革の試行的な運用を開始し、例えば、これまで事前に公表していた入札の予定価格を事後の公表に改めてきました。
 きょう、初めてテレビを見て聞いている方にとっては、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、今までは、入札予定価格、改革前は、その予定価格を事前に公表していた。それを事前に公表しなくなったそのきっかけが、今、このボードに掲げさせていただいている豊洲市場の市場と工事の入札状況でございます。
 見ていただきますとわかりますが、一回目、この当時はまだ入札予定価格が開示をされていましたので、業者の皆さんはその予定価格を見てから札入れをされる。残念ながら一回目の入札においては、全ての工事案件、全ての会社において入札が不調になったということで、二回目の今度は工事をやることになり、都として新しい、いわば予定価格を値づけしたということで、最初の予定価格よりも大体一・五倍ぐらいに膨らんでおります。
 その結果、九九・七九%を初め、三件ともに九九%を上回る一〇〇%に近い落札になったということでございます。
 そして、こうした件をきっかけに、試行的な運用を六月まで行い、つまり、今後は事後公表にするということで、予定価格の事前公表を廃止したわけであります。
 こうした試行的な運用を六月まで行って、事業者からのヒアリングを通じて、入札制度の最適化を目指すこととされています。
 ちょうどきのう、その入札監視委員会の制度部会が開催され、入札制度改革の検証報告について議論されたと聞いております。
 まず、当日どのような意見があったのか、また、入札の不調発生率の傾向について伺いたいと思います。

○武市財務局長 昨日開催した入札監視委員会の制度部会におきましては、入札契約制度改革に関する試行の検証結果などを盛り込んだ報告書の案についてご議論をいただきました。
 部会では、予定価格の事後公表により九九%以上の落札が減ったことや、JV結成義務の撤廃等により入札参加者が増加し、競争性が高まっているとのご意見をいただきました。
 一方で、不調や一者入札の中止が多く発生しており、都の事業執行のおくれが懸念されるなどのご意見もいただきました。
 お尋ねの入札契約制度改革後の不調発生率につきましては、平成三十年二月末現在、主に大企業が入札に参加する財務局案件では約一八%となっておりまして、主に中小企業が入札に参加する各局案件の不調発生率は約三〇%となっており、財務局案件よりも高い数値となっております。

○伊藤(ゆ)委員 今、大企業と中小企業とで傾向が異なることが答弁からもわかりました。入札制度改革以前の平成二十八年度では、大企業の入札不調率が九・九%だったということですので、今の答弁と照らし合わせますと、大体、大企業の入札不調が二倍になったということであります。
 そして、今の答弁に照らし合わせますと、中小企業の不調発生率が、平成二十八年度時点では一一%だったということですので、これが今回、三倍まで膨れ上がったということであります。
 特に、中小企業のケースで入札不調が高くなったということがわかります。
 この不調発生率について、なぜそのような傾向になっていると分析しているのか、局の見解を伺いたいと思います。

○武市財務局長 財務局案件で発生した不調は、三百七十一件中六十八件となっておりまして、そのうち、全者予定価格超過による不調が三十六件と最も多くなっております。
 一方で、中小企業が主に参加する各局案件では、七百八十一件中二百三十九件の不調となっておりまして、その中では、全者辞退による不調が百二十四件と最も多くなっております。
 各局案件で全者辞退による不調が多いのは、中小企業における積算の負担の重さが理由の一つとして考えられるところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 都には、本当に多種多様な発注案件がありまして、工事規模も一千万円クラスのものもあれば、数百億円規模の工事もあるというふうに理解をしています。
 ですから、受注企業も、中小企業もあれば大企業までさまざまでありまして、私は、大規模工事を受注できる事業者は、精度の高い積算能力と積算に係る費用を賄う体力を有していると感じています。
 一方で、やっぱり積算にも一定のコストがかかりまして、この間伺ってきた零細企業の方でも、安い工事でも、うちなんかだと一つの積算には三十万円程度はかかるんだと、こういうお話でありました。
 体力のない中小零細企業には、こうした積算コストというのが大きな負担となっていると感じています。今回の検証報告に照らして、どのような受けとめ方であるのか、見解を伺いたいと思います。

○武市財務局長 ことし一月に開催いたしました業界団体との意見交換におきまして、中小企業が積算に苦労しており、入札参加の意欲が減退しているというご意見をいただいております。
 また、そうしたご意見に加えまして、中小企業が主に入札に参加する各局案件では、全者辞退による不調発生率が高くなっているという、ただいま申し上げた試行結果を踏まえますと、積算に係る負担の重さが、応募者数に影響を及ぼしているものと分析をしております。
 不調は、都の事業のおくれにつながり、ひいては、都民サービスへの影響も出てくることから、今回の試行結果につきましては重く受けとめておりまして、不調の発生を抑制するための対策を講じる必要があると認識をしております。

○伊藤(ゆ)委員 今の答弁のとおり、不調発生率を抑えていく取り組みをぜひお願いしたいと思います。そして同時に、中小企業の受注機会の確保、人材の確保にもつながってまいりますので、例えば分離分割発注の徹底なども要望をさせていただきたいと思っております。
 そこで、入札制度改革の本格実施に向けて、今後どのようなスケジュールになるのか、その方針を伺いたいと思います。

○武市財務局長 現在実施をしております制度改革の試行の状況につきましては、第三者機関であります入札監視委員会におきまして、開札結果などの客観的データだけではなく、業界団体などからも現場の声を伺いながら、専門的な知見に基づき検証いただいておりまして、その検証報告を今月末にいただく予定となっております。
 その後、検証報告の内容を踏まえまして、改めて東京都といたしましても、業界団体からヒアリングを実施いたしまして、都政改革本部に報告を行う予定としております。

○伊藤(ゆ)委員 このスケジュールについては、中小企業の皆さんも大変関心を持っておられます。入札制度改革は長年にわたって制度変更を繰り返してきました。時代時代の要請に応えて、絶えず適正化を追求せざるを得ない問題であります。
 ですので、現場の声こそ何よりも重要であり、知事みずからが耳を傾ける必要があるかと存じます。
 そこで、業界の皆さんとの意見交換の場には知事みずからが出席をされ、生の声を制度に反映することが重要ではないかと考えますが、知事の所見を伺います。

○小池知事 入札制度は、時代の変化に大きく影響を受けるものでございまして、不断に改善していく必要がございます。
 近年の東京を取り巻く社会経済状況は、リーマンショックによる不況であるとか、東日本大震災の復興需要や東京二〇二〇大会の開催決定など、目まぐるしい速さで変化をしているのはご存じのとおりでございます。
 よって、事業者団体との意見交換でございますが、こうした時代の動きを現場で感じておられる建設業界などの方々の生の声を直接伺える絶好の機会でございまして、多様なご意見を伺うということで、入札契約制度をよりよいものへと高めていくことが可能となると考えます。
 昨年五月に行いました意見交換同様、来月にも私が出席をいたしまして、直接ご意見を伺った上で、しっかりと判断をしていきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 今、来月にも、知事みずからが出席をして、その議論に加わっていくということでございますので、こうした議論を踏まえて、さらに適正な制度改正をお願いしたいと思います。
 受注企業も本当に大小さまざまであることは先ほど申し述べました。絶えず人材育成や、また未来の産業振興を総合的に考えて制度設計していくほかないものと考えます。
 そこで、入札制度の最適化に向けた知事の基本的な考え方について伺いたいと思います。

○小池知事 入札契約制度の構築に当たりましては、競争性、透明性、公平性に加えまして、工事品質の確保、都内中小企業の振興、そして建設労働者の労働環境の向上、担い手の確保、育成などさまざまな観点からの検討は必要であると、このように認識をいたしております。
 とりわけ、現在実施しております試行の状況や業界団体の声などを勘案いたしますと、第一に、中小企業が都の入札契約に参加をして、その力を十分に発揮できる環境をつくるという視点、第二に、都の施策推進、事業進捗への影響を与えないようにする視点、これらが大変重要でございまして、こうした視点に立って、入札契約制度のあり方を検討して、必要な改善策を講じていく考えであります。
 今月末の入札監視委員会の検証報告や業界団体との意見交換を踏まえまして、試行において明確になった課題については速やかに改善をしてまいります。
 いつの時代にいたしましても通用する完璧な答えはございませんが、しかし、試行で得られました成果や課題も踏まえつつ、都の入札契約制度をよりよいものとするために、不断の努力を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 先ほど、豊洲のボードを見ていただいたとおり、まさに九九%で高い、しかも大企業による入札の結果、多くの都民と国民の皆さんも含めて、この入札に対する透明性を求める動きというのは当時あり、それを受けて、知事は、まさに試行的に入札制度改革に踏み出されたというふうに理解をしております。
 しかし、一方で、大企業と先ほど申し上げたように中小企業と、やはり体力も、あるいはまた仕組みも違っておりますので、これは予定価格の事前公表、あるいは事後公表、するしないについては、この企業の体力等々をよく勘案して、今後、早急に結論を出していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 次に、三十年度予算の目玉である待機児童対策について伺います。
 小池知事は、就任以来、待機児童対策への手厚い予算措置を行い、待機児童解消に向けた取り組みには、千五百七十六億円という大きな予算を計上されております。
 これは小池知事就任以前と比べて、幾らくらいの増額になるのか、まず伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 平成三十年度の待機児童解消に向けた保育関連の予算額は、お話のように千五百七十六億円でございまして、小池知事が就任する前の平成二十八年度の当初予算額九百七十八億円と比較いたしますと、五百九十八億円の増加となっております。

○伊藤(ゆ)委員 九百七十八億円から五百九十八億円増加をしたというのは、まさに都民ファースト的視点に立った予算で、都民の声をしっかり受けとめたものと感じております。
 その中で、本予算には、ベビーシッター利用支援事業として、五十億円が計上されて注目をされています。
 背景としては、一刻も早く待機児童への取り組みを進めるために新しい切り口で施策を展開されたと認識していますが、この取り組みで何名のお子さんたちを保育することが可能となるのか伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 本事業では、保育認定を受けたにもかかわらず、保育所等の保育サービスを利用できず、待機児童となった児童千名分、育児休業を一年間取得した保護者の復職支援として五百名分、合計で千五百名分の予算を計上しております。

○伊藤(ゆ)委員 ここで、今回、都がベビーシッター利用支援に踏み切った背景を私なりに理解をさせていただいているところを説明したいと思いますが、(パネルを示す)まず、知事就任以前の平成二十八年の段階で、待機児童者数がやはり八千人を超えておりました。そして、知事就任以来、一万六千人のいわば保育サービス利用児童数ですから、受け皿をつくってきたということで、大きな、そういう意味では定員増になっておりますし、その前年も含めて、一万人を超える定員増をずっと東京都は取り組んではきているところであります。
 しかし、下段を見ていただくとわかりますとおり、この間、定員増はするんですけれども、保育サービスの利用率がどんどん上がっていて、需要に追いつかない状況というものが、昨年度から来年度に対しても、やはり見てとれるわけでございます。
 都としては、今後六万人ふやしていくという予定もあり、二〇一九年末には、待機児童を解消したいという目標を持っていらっしゃるとも聞いていますけれども、しかし、この施設整備は、本当に時間がどうしてもかかります。
 そういう中で、何としても一刻でも早く待機児童を一人でも減らしたいと、今答弁にもあったように、このベビーシッターによって、千五百名分の保育を行うことができると、そういう思いの中でこの事業が始まったものというふうに認識しております。もちろん、施設型と違って、保育の質への不安がつきまといますので、都には万全の対策を求めておきます。
 同時に、先般の一般質問で、我が会派の森澤恭子都議が指摘したように、働く女性の働き方も多様化しておりまして、認可園への入所がなかなか認めてもらえないというような経営者の方々も大変多くいらっしゃいます。
 経営者の方だと、なかなか各市区町村で行っている点数に自分の勤務時間を反映してもらえないというようなこともあるようであります。そういう意味では、認可園にかわって保育してくれるベビーシッターへの期待というのも同時に高まっております。
 そこで、知事の同事業にかける決意を伺います。

○小池知事 女性の活躍を推進していく上で、東京の最大の課題は、いうまでもなく待機児童対策でございます。
 そのため、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つを私は柱といたしまして、保育サービスの拡充に向けた取り組みをさまざま行ってまいりました。
 来年度は、子育て世帯それぞれのニーズによりきめ細かく対応できるように、ベビーシッターを利用する保護者を支援する新たな取り組みを実施するところでございます。
 この取り組みにおきましては、待機児童の保護者が就労できるように、働けるように、ベビーシッターの利用者に、利用料に対して助成を行うというものでございます。
 また、安心して育児休業を取得できるように、一年間の育児休業を取得された方々が、復職する際のベビーシッターの利用料についても支援をしてまいります。
 今後、ベビーシッターの質、そして量を確保いたしまして、安心して利用できる環境を整える、区市町村としっかり連携をしながら、待機児童解消に向けて全力で取り組んでまいる所存でございます。

○伊藤(ゆ)委員 今回は、このベビーシッター事業は、認可園には申し込みをされていたけれども、点数が足りなかった等の、結果として認可園に入れなかった方々を救済する、保育していくというものでありますけれども、今後、多分、ベビーシッターを始めていきますと、恐らく夜間に働いていらっしゃる方、看護師さんなんかもそうかもしれません、夜間勤務を余儀なくされている特にシングルマザーの方などは、ベビーシッター、認可園とはまた違う形で使わせてほしいというような声も出てくるのではないかと思います。こうしたことについては、今後ぜひ積極的に検討していただきたいというふうに思います。
 さて、保育園整備の一層の取り組みを進める上で、保育園用地の確保というのが当然欠かせません。しかし、待機児童数の多い地域、うちの目黒区なんかもそうなんですが、土地の確保が容易ではありません。
 そこで、都営住宅に着目をさせていただきました。これまでも都は、都営住宅の建てかえ時には保育園を増設するなどされており、過去三年間で六百七十三人分の定員増を果たしたと聞いております。
 都心において、都営住宅の土地というのは本当に希少な公共用地であることから、今後も、保育園の併設、増設を求めますが、これまでは、都営住宅における保育園の増設予定というのが明確に示されていなかったと聞いています。
 ここで、今後三年間の都営住宅における保育園の整備予定を明らかにしていただきたいと思いますが、所見を伺います。

○邊見東京都技監 都はこれまでも、都営住宅との合築や、建てかえで創出した用地を活用して、関係局や地元区市と連携しながら、子育て支援施設や高齢者福祉施設などの整備に取り組んでおりまして、その一層の活用を図ることが重要でございます。
 お話の保育所については、今後、平成三十年度から三十二年度までの三年間に七施設を建てかえ、定員を増加いたします。さらに、創出用地の活用により、新規に四施設が整備される予定でございます。
 これら十一施設の整備によって、その受け入れ児童数は、合計約千三百人となり、現在より六百人以上増加する見込みでございます。

○伊藤(ゆ)委員 都営住宅における保育園の整備においては、できる範囲でやるというのではなくて、できる限りやるという意気込みで、都市整備局の皆さんにはご尽力をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
 そしてもう一つ、これは区にとっても大きなテーマなんですけれども、例えば、国有地、今、国家公務員住宅の売却なんかも結構進んでおりまして、国家公務員住宅を売る場合には、まず国が東京都にその土地を買うかどうかの意思確認が行われ、そしてその次には、都が買わないということになると、今度は区に意思確認が行われ、それでも買わないということになると、民間事業者が入札をして買い取って、多くはマンションになったりするわけであります。
 区が買わないというこの意思表示なんですけれども、実は買いたいけれども買えないということも結構ありまして、それはなぜかというと、それだけの国有地を買うだけの資力がないということも多々ございます。
 本来であれば、ちょっとここで官民連携ファンドの話をしたかったんですが、少し時間が足りませんので、細かくは申し上げませんけれども、都が出資をして、官と民と、そして力を合わせて、福祉に貢献するファンドなどもできています。
 都としてできる限り--区に購入意思があるんだけれども、しかし、財政的にゆとりがないという中で保育園整備が進まないときには、都として何かできないのかということをぜひ検討していただいて、区と連携をし、情報提供に努めていただきたいと思います。
 次に、関連しますが、幼児教育の必要性、そして保育士養成の補助についてお伺いしたいと思います。
 ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンという経済学者がおりまして、幼児教育の経済学という本を書いて、日本でもベストセラーになりました。知事は、ヘックマンというのはご存じでしょうか。余り有名ではないかもしれませんが、この中で指摘されているのは、生きていくために最も重要な能力、意欲とか、自信とか、根気強さといったIQでは認知できない非認知能力を、人間は特に六歳までに養うというふうに指摘をしておりまして、大人になってからの介入には莫大な投資が必要だというふうにもいっております。
 ヘックマン氏の研究の特徴として、三十年間というロングスパンで、さまざまな環境で育った子供たちを研究したことでも知られておりまして、その結果、幼児教育の備わった保育園で育った子供たちは、平均的な家庭で育児を受けた子供たちよりも生涯年収が高かったというデータを得たそうです。
 政策、投資効果という意味では、六歳を超えてからの教育というよりも、学びたいと思う意欲を養うこの幼児教育こそ、投資効果が高いのではないかと思います。
 今まではよく富の再配分といってきましたけれども、実は事前配分こそ重要なのではないかと私は考えております。今回、都は新規に保育士等キャリアアップ研修支援事業というのに三億円の予算を計上されました。
 同予算を通じて、保育士が改めて幼児教育を学び、さらにキャリアアップを志向していくようになることを望みますけれども、所見を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 保育士等キャリアアップ研修には、乳児保育、幼児教育などの六つの分野別研修、組織目標の設定や人材育成を学ぶマネジメント研修、子供とのかかわり方などを学ぶ保育実践研修がございまして、その目的は、保育サービスに求められている多様なニーズへの対応や、若手の指導を行うリーダー的職員を育成することでございます。
 都は、意欲のある多くの保育士等がこの研修を受講できるよう、来年度、都内の指定保育士養成施設等が実施する約二百の研修を指定いたしますとともに、研修に要する経費の助成も行い、保育士等のキャリアアップを支援してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 これも新規の事業であり、本当にキャリアアップにぜひ貢献する、中身の濃い事業にしていただきたいなと思っております。
 例えば、モンテッソーリなんかもそうですけれども、講習会というのを有料ですが開いておりまして、保育士の養成講座というものをいろんなところで展開されております。モンテッソーリに限らず、さまざまな事業体がそうした講座を開いていますけれども、なかなか保育士さんをそういう講座に行かせることが、保育園の今の多忙な状況の中では難しいともいわれていますので、都としてぜひ事業者の支援をお願いしたいと思います。
 そして、保育士とともに確保が困難になっているのが介護職員の皆さんです。
 介護に志を持っていても、家庭を支えるだけの所得が得られない、または、最後は体力勝負なので、腰を悪くしてしまって定年まで働けないなどの声をよく聞きます。
 本予算案を見ますと、ICT機器活用による介護事業所の負担軽減支援事業に八千万円の新規予算、介護業務の負担軽減を図っております。
 さらに、次世代介護機器の活用支援事業は、介護職員にとって画期的な支援となるばかりか、日本の成長産業としても期待をされています。
 そこで、都は、次世代介護機器活用による介護人材確保についてどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 次世代の介護機器は、ロボット技術の応用によりまして、利用者の自立支援や介護職員の負担軽減に効果があるとされておりますけれども、導入に当たりましては、費用が高額なことや、現場のニーズに合う機器の選定が難しいなどの課題がございます。
 そのため、都は昨年度から、都内二カ所の介護施設で、アドバイザーの助言をもとに、介助者の動作をアシストする装着型のスーツや、センサーを利用した見守りシステム等をモデル的に導入し、効果検証を行っております。
 来年度は、その成果を活用しまして、次世代介護機器を効果的に導入するためのポイントを掲載したパンフレットの配布や、展示、体験スペースの設置、先行事例の現場見学会等を実施いたします。また、導入経費の一部も補助することとしておりまして、機器を活用して、介護職員の負担軽減を図り、人材の安定的な確保に取り組む事業者を支援してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 同事業は、今申し上げた介護人材の確保にも貢献すると思いますが、同時に、この次世代介護機器の普及が進むことで、機器のコストが下がり、メーカーの国際競争力の強化にもつながりますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そして、保育士、介護士や医師などの労働環境とともに問題視されているのが、学校の教職員の長時間労働であります。昨年行った都の公立学校勤務実態調査によれば、小学校教諭では四割近く、中学校教諭では七割近くが過労死ラインを超えており、この危機的状況の改善は喫緊の課題です。
 そこで、学校における働き方改革推進プランに基づき、学校現場においてICTやタイムカードなどにより、教職員の勤務時間を正確に把握し、集計するシステムを構築するとともに、区市町村教育委員会における長時間労働改善に向けた計画、方針策定を支援すべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○中井教育長 都立学校では、昨年十月からカードシステムによる在校時間の客観的な把握を開始しており、今後は把握した在校時間の状況を、教員の健康管理等により一層活用するよう、学校に対して指導をしてまいります。また、小中学校においても、在校時間の客観的な把握のために、ICカードシステム等を導入する区市町村に対し、来年度から財政的支援を実施していくこととしております。
 今後、都教育委員会は、今般策定したプランに基づき、部活動指導員の配置など、都立学校における取り組みを着実に推進してまいります。さらに、小中学校教員の長時間労働の改善に向け、区市町村教育委員会による実施計画等の策定を促すとともに、ICT化の推進やスクールサポートスタッフの配置などを通じ、その取り組みを支援してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、教育長の答弁にあったとおり、ぜひ積極的に働き方改革に努めていただきたいと思いますが、何よりやっぱり実態の改善が大事でありますので、取り組みとともに、その結果をよく確認をしていただきたいというふうに思います。
 さて、先ほどの介護高齢社会に戻りたいと思いますが、急速な高齢化社会が進む中で、都は、特別養護老人ホーム整備費補助に二百四十九億円の予算を計上しています。これは、予算書を見ますと、二十九年度、ことしの予算ですね、二十九年度予算から百二十五億円もふえる大幅増になっています。
 これは、知事の、高齢者の住まいとして特別養護老人ホームの整備にかける意気込みの大きさかと思いますが、所見を伺いたいと思います。

○小池知事 多くの高齢者は、たとえ介護が必要になったとしても、できる限り住みなれた地域で暮らしたいと望んでいるものでございます。
 こうした都民のニーズに応えるために、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤を充実させるとともに、住まい、医療、介護、介護予防、生活支援サービスを地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築は必要でございます。
 都といたしまして、現在、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、建築価格の高騰に対応いたしました加算や、整備率が低い地域の整備費補助への加算など、さまざまな独自の支援策で特別養護老人ホームの整備を進めております。
 また、今年度改定いたしました実行プランの政策の強化版におきまして、二〇二五年度末までの整備目標を六万二千人分へと引き上げております。
 来年度は、整備費の予算を大幅に増額いたしまして、区市町村が取り組みます地域密着型への支援も充実させておりまして、今後とも、介護サービス基盤の整備を積極的に進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 この質疑をごらんになられていらっしゃる方にとっても、整備目標六万二千人分というのは、本当に心強い答弁ではないかと思いますし、また、予算措置としても本当に大きな予算がついているということが明らかになりました。
 今、地域に、住みなれたところに住んでいただくという話がありましたが、そういう視点からも、この高齢社会を見据えた取り組みの中で、空き家の公的な活用の予算計上があります。今、八十二万戸ともいわれる都内の空き家を高齢社会への取り組みや、あるいは起業家支援に活用することは、時代にマッチした効果的な政策だと考えています。
 平成二十七年に空家対策特別措置法というのが全面施行されて三年です。これまでに、地域における空き家の公的な有効活用を進めるために、都が区市町村に対してどのような支援を行ってきたのか、実績とあわせて、まず伺いたいと思います。

○邊見東京都技監 都は、平成二十八年度から、空き家を地域の活性化に資する施設に改修する際に、区市町村に対し、五十万円を上限として、その費用の二分の一の補助を行ってまいりました。
 これまでに、この補助を活用し、大田区で三件の改修実績がございます。具体的には、戸建て住宅を障害者のグループホームに改修した事例が二件、また長屋建て住宅を小児入院患者の家族のための宿泊所に改修した事例が一件となってございます。

○伊藤(ゆ)委員 これ今、お話を伺いますと、実績は三件ということですよね。これだけ空き家対策、空き家対策といわれていながら三件というのは、本当に心もとない感じがいたします。
 区市町村と連携して効果的な取り組みを促進していかなければなりません。空き家を借りたい人と貸してもよいという所有者をうまく結びつけることが重要だと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○邊見東京都技監 空き家所有者と利用希望者をマッチングする取り組みは、空き家の有効活用に効果的でございます。
 先進的に取り組んでいる都内自治体では、そのための仕組みとして、相談窓口の設置や区のまちづくり公社への委託などを行って、所有者と利用希望者の双方から、利用条件を聞き取り、アドバイスや紹介などを行ってございます。その結果、グループホームが開設されるなど、空き家の有効活用に結びついてございます。
 来年度からは、区市町村がこうしたマッチング体制を整備する際に、その業務などに係る経費を補助し、空き家の有効活用につなげてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 しつこいようですけれども、三件というのは本当に気になる数字で、実は空き家活用には大きな課題が横たわっているのではないかと感じています。それは、一つは用途の問題です。
 空き家というと、一軒家のイメージが強いんですけれども、現在八十二万戸といわれている空き家のうち、マンションなどの共同住宅の空き家は半分以上といわれています。
 多くは、当然ながら、住宅に用途が限定されていますので、例えば起業家支援や小規模保育を目指しても、用途が住宅のままでは空き家としては活用できないということになります。こうした実態が活用の伸び悩みになっているのではないかと考えます。
 そこで、空き家活用に当たっては、こうした用途の変更を伴う活用に取り組む区市町村を支援していく必要があると考えますが、所見を伺いたいと思います。

○邊見東京都技監 都は、空き家対策を進めるため、昨年五月に、都内の全区市町村が参加する連絡協議会を設置し、空き家の用途変更についても情報を共有し、課題の検討を行ってまいりました。
 具体的には、建築基準法などへの適合や、改修経費などの課題が多く挙げられ、例えば、住宅を改修してグループホームとして活用する場合に、間仕切りの増設や消防設備の設置などの費用がかかることなどがございます。
 このような課題に対応するため、来年度から、補助の上限を五十万円から百万円へと二倍に引き上げることといたしました。
 区市町村に対する支援などを拡充し、地域における空き家の有効活用の取り組みを促進してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、答弁の中で、空き家の用途変更についても情報を共有し、課題を検討するということで、心強い答弁をいただきました。
 民間の事業者さんにとってみると、用途変更というのはもう大変な手続だと思って、もうその時点で尻込みしてしまうということもありますので、この空き家活用における用途変更は非常に重要なテーマだと思いますので、引き続き検討をお願いしたいと思います。
 そして、特に高齢者や妊産婦さんにとってよりどころとなる都立病院についても伺いたいと思います。
 民間医療機関では対応困難な医療に率先して取り組むのが都立病院です。都民にとって最後のとりでともいえるのが、この都立病院になります。
 その都立病院に対して、本年一月、都立病院経営委員会から、今後、都立病院が担う医療の方向性として、救急医療や周産期医療などの行政的医療の安定的かつ効率的な提供など、三つの方向性が示されました。同時に、公共的な役割を効果的、効率的に担うため、地方独立行政法人への移行についての検討が提言されています。
 経営委員会報告において、この地方独立行政法人がふさわしいとされた理由について伺いたいと思います。

○内藤病院経営本部長 都立病院経営委員会報告におきましては、地方独立行政法人は公共的な事業を効果的、効率的に行うことを目的とする制度であることから、行政的医療や地域医療の充実への貢献という都立病院の使命を果たすためにふさわしい仕組みであるとされました。また、病院現場の実情に合った適切な人員配置や迅速な人材確保、予算単年度主義にとらわれない多様な契約手法が可能になるなど、より柔軟な経営形態であることも示されたものでございます。
 なお、都といたしましては、こうした報告や都民の意見等を踏まえながら、今後、経営形態について丁寧に検討してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、答弁にあったとおりですが、民間医療機関では対応困難な医療に率先して取り組むのが、先ほども申し上げたように、都立病院の役割です。
 このような役割を果たすため、これまでも多くの税金が投入をされてきました。その分、経営上の無駄や甘いコスト管理が、まさにワイズスペンディングの視点からも、あってはならないと考えます。
 そこでまず、都立病院における一般会計繰入金について、十年間でどのように推移しているのか伺います。

○内藤病院経営本部長 一般会計繰入金につきましては、十年前の平成十八年度は三百五十六億六千万円、直近の平成二十八年度は三百九十九億七千八百万円でございます。
 この間、多摩総合医療センター及び小児総合医療センターの移転開設に伴いまして、一時的に診療を縮小した影響などもあり、平成二十一年度には過去十年で最大の四百六十億六千九百万円の繰入金を計上しましたが、その後は、新入院患者の確保や診療単価の向上など、経営改善に努めたことで圧縮を図り、平成二十四年度以降はほぼ横ばいで推移しているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 過去には四百六十億円を超える繰入金が計上されていたということも、今わかりました。
 都立病院には、採算性の低い周産期医療や救急医療、災害医療などを担う公共性があるため、公的資金が投入されていることは理解しています。同時に、都民の皆さんの理解を得る必要がございます。
 そこで、これほどの多額の税金投入がされている必要性について伺いたいと思います。

○内藤病院経営本部長 一般会計繰入金につきましては、都立病院の基本的役割である採算性を確保しにくい行政的医療を提供するために不可欠な経費といたしまして、法令等一定のルールに基づき、繰り入れを行っております。
 具体的には、周産期医療やがん医療など高度な設備や医療機器を必要とする医療、また急性期の精神科医療や小児医療なども含めまして、多くの医療人材が必要であり、現行の診療報酬だけでは採算をとることが困難な医療などを対象としております。
 なお、その対象となる範囲につきましては、医療環境の変化に応じて随時見直しを行ってきたところであり、今後とも、不採算医療という言葉に甘んじることなく、経営力向上に向けた不断の取り組みを進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 本当に金額が金額で多額な税金投入になっていますので、不断の努力を行っていただきたいということを、都民にかわって申し上げたいと思います。
 さて、先ほど来、待機児童対策や介護人材不足を初め、首都東京特有の問題について触れさせていただいてまいりましたが、この問題は本当にあまたあります。
 私が落選中にお手伝いをしていた大田区のメッキメーカーには、百名の社員さんたちが働いていて、そのうちの五十名の方が女性社員さんでありました。その多くがいわゆるリケジョと呼ばれる研究者で、その会社自体がメッキメーカーとして、下請ではなくて、いわゆる提案型、研究開発型の会社でありましたので、そのリケジョの方々こそ会社の頭脳であり、心臓部分でありました。
 ところが、女性従業員の多くは、結婚や出産を迎えます。その会社には育休も産休も整っていたんですけれども、結局、保育園に入れずに一年、二年とたってしまいますと、もう研究についていけない、迷惑をかけてしまうという理由で、多くが復職を断念されておって、会社にとってもその損失ははかり知れませんでした。
 復職を希望する女性にとっても、その能力を頼りにする企業にとっても、この保育園不足の影響は大きく、日本経済にも深刻な影響を与えているといわざるを得ません。
 にもかかわらず、国は、今回の税制改正で、地方消費税の清算基準を見直し、都の税収一千億円を不当に吸い上げようとしております。加えて、三十一年度税制改正でも、都からさらに財源を奪う税制改正の動きを見せています。
 こうした措置は、東京ばかりか、日本経済全体にも悪影響を与えかねないと、危惧と憤りを禁じ得ません。
 アジアでは、都市間競争レースが激化し、世界における東京の地位低下が懸念される中、こうした動きについて知事はどのように受けとめておられるのか、伺いたいと思います。

○小池知事 近年の地方財政をめぐりまして、国は地方の財源不足をどう解消するかという、本質論、本質的な議論を深めることなく、問題を東京対その他の地方という図式にゆがめていると考えます。東京の財源を不当に収奪するということで地方の財源不足を穴埋めするというのは、不合理な措置の繰り返しだと、このように思います。
 今般実施されました地方消費税の清算基準の見直しにつきましても、まさしく東京を狙い撃ちにした、小手先の手法以外の何物でもないといわざるを得ません。ましてや、平成三十一年度の税制改正で、不合理な措置の拡大を検討する動きということにつきましては、断じて看過できないと、このように感じます。
 こういった措置という、これらの措置ですけれども、これはもうまさしく地方分権に逆行するものであります。そして、日本経済を牽引するのが東京、その東京の活力をそいで日本全体の成長を阻害するというものでございまして、このままでは東京、そして日本は世界の激流に埋没しかねないと強い危機感を抱くのは、私一人ではないと思います。
 日本全体を活性化させるために、今必要なことは何か。それは、地方自治体がみずからの権限、そして財源によって、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を目指していくことでございまして、そのためには、地方税財源全体の充実強化が不可欠と考えます。
 国は、日本ひいては首都東京の経済発展という視点も取り入れながら、みずから果たすべき役割を東京に押しつけるというのではなく、問題の本質に正面から向き合って議論を行っていただきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 本当に、国の小手先の、今回の税制改正で、東京に押しつけているというふうにいわざるを得ない動きだというふうに思います。
 本来、地方の財源は地方が使い、国はみずからの努力で財源を確保し、地方創生に貢献すべきであります。今回の東京狙い撃ちを小池知事のせいと安易に捉えることは、事実誤認であるばかりか、主張をすればするほど東京を不利な立場に追い込むことであります。
 なぜならば、今、東京が狙い撃ちにされているのは、国が借金漬けで首が回らなくなっているからにほかなりません。
 その証左に、石原知事時代にも、三千億円にも上る都税の収奪がありました。当時の石原知事の言葉は有名です。泣く子と地頭と政府には勝てないんだよと、あの石原知事もいわれたわけです。そのことは、ここにいる多くの都議の記憶にあるところであります。
 税収を取り戻せないのは知事のせいと政権与党の都議会会派が声高にいえばいうほど、国への圧力は弱まり、国の思うつぼだということを何度でも申し上げておきます。
 今後、都の主張をより説得力のあるものとし、理解と共感を広げていくためにも、有識者などを集めた知事による検討会を早急に設置し、議論を深め、全国を巻き込んだ大きな動きにつなげていくべきと考えます。(発言する者あり)もう一度いいますが、やじがうるさかったんで、知事による検討会を早急に設置していただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。

○小池知事 平成三十一年度の税制改正に向けた議論が活発化していくことが見込まれる中で、国の主張の問題点を制度面などからしっかり反論していく、そのことはもとより、こうした都の考え方について、まず、都民の皆様を初め、都議会の皆様、都選出の国会議員の皆様、都内区市町村の皆様、そして全国の自治体などに対してよりわかりやすく発信する、そして、理解と共感を広げて、国に拮抗していくための大きな力に変えていくということが極めて重要でございます。
 今ご提案いただきました、有識者などを含めました検討会議は早急に設置をいたしまして、さまざまな角度から税財政をめぐる問題を議論してまいりたいと考えております。新しい発想、そして視点を積極的に取り入れながら、都の主張をより磨き上げられるように全力を尽くしてまいります。ご協力のほどよろしくお願いいたします。
   〔発言する者あり〕

○伊藤(ゆ)委員 今、やじで、こっちを向いてみろということですが、私は前を向いて議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つ、地方創生に名をかりた国の愚策について質問します。
 国は、東京二十三区の大学の定員増を抑制するための法制化を行おうとしています。しかし、学生が学びたいところで学べない国など、先進国に本当にあるんでしょうか。学生や受験生にとっても、学校経営を行う大学にとっても、多大な影響を受ける問題であります。
 少し調べましたところ、平成二十年度から東京二十三区に移転してきている大学のキャンパス数は九つありました。毎年、今、一つの大学が東京二十三区に移ってきているペースであることがわかります。
 聞くところによれば、平成三十三年には東洋大学が、平成三十七年には東京理科大学が二十三区へのキャンパス移転を予定しています。法制化された場合には、これらの計画が断念に追い込まれる可能性があるわけであります。
 国が法によってその動きを封じれば、大学経営が成り立たないばかりか、大学が弱体化し、世界の優秀な人材がますます日本離れを起こすことは必定です。
 地方創生大臣の仕事は地方を創生することであって、東京を弱体化することではありません。いたずらに東京をたたけば、東京の弱体化を招くだけであって、地方を強化することにはならないと考えますが、この問題に対する知事の決意を伺いたいと思います。

○小池知事 国が東京一極集中の是正と称して進めております東京二十三区の大学の定員抑制でございますけれども、地方創生と大学教育のあり方という問題が混在しています。そして、東京対その他の地方の構図に押し込めています。こういうことから、到底納得のできるものではございません。
 定員増を抑制されて新しい学部などがつくりにくくなるということは、大学の教育や研究体制の改革を滞らせて、そこで学びたい学生の夢を潰す、そしてまた、大学の国際競争力や、人こそ資源の我が国の国力を低下させることにつながると懸念をいたしております。
 二月に開催をいたしましたシンポジウムにおきましても、自由でなければならない学問を規制することは日本の教育を衰退させる、また、対立構造ではなく、強みを生かした競争を行うべきであるなどの議論が行われたところでございます。
 国内の限られたパイを奪い合うというのではなくて、高齢者の学び直しなど新たな需要を広げるとともに、世界に向かって高等教育の質を高めるために、フェアに競い合うことが必要だと考えます。
 今後も、教育関係者などとも連携をいたしながら、真の地方創生と国際社会に勝ち抜ける高等教育の実現に向けまして、力を尽くしていきたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 ここまで、国の不作為を取り繕う東京への責任転嫁と、東京への不当な政策を述べてきましたが、私たち都政を預かる者も自覚しておかなければいけないことがあるなと、最近感じています。
 先日、選挙の応援で、岩手県の奥州市に行ってきました。方々の陣営から聞こえてきたのは、東京一極集中に対する懸念であり、そしてまた、二〇二〇東京オリンピック・パラリンピック大会に対するちょっと冷ややかな目でありました。東京だけが繁栄し、地方には還元されないと見る向きがあったところです。
 一方で、やはり最大消費地の東京に農産物などの販路を求めたいという気持ちも強く、東京とともに発展したいという気持ちの強さを実感しました。この二〇二〇大会を通じて、地方と東京がもっと手を携え、連携して事業を起こしていくことの大事さというものを感じるところです。
 先日、都は、東京都観光産業振興実行プランを発表し、地方と東京の観光動線を強化していくということを表明されました。
 地方と東京の観光動線づくりを積極的に行っていくことは、東京を玄関口に、地方のすばらしさを伝えていく上で何よりも重要であると考えますが、知事の見解を伺いたいと思います。

○小池知事 東京二〇二〇大会など国際的な大規模スポーツイベントでございますが、東京と日本の各地域が連携して日本中の観光の魅力を世界に発信できる絶好の機会でございます。
 全国各地の美しい景色であるとか、その土地ならではの食を満喫するなど、東京と各地をつないだ多様な楽しみ方を提案することができますれば、日本全体での外国人の旅行者誘致にもつながるというものでございます。
 これまでも、東北、中国、四国、九州、各地域と連携いたしまして、東京と各地を結ぶ観光ルートに海外メディアや外国人ブロガーなどを招聘するなど、観光の魅力を効果的に発信してまいりました。
 来年度からは、こうした取り組みを北陸地域にも広げ、そしてラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けまして、国内開催都市と共同して、海外の旅行博などでのPRを実施することといたしております。
 今後とも、東京と日本の各地域が力を合わせまして、それぞれの強みを生かした外国人旅行者、インバウンドの誘致を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひこれはオリンピックにおいても、これからぜひ検討していただきたいなと思います。東京に海外から来て、東京から帰っていくというだけではなくて、地方にも宿泊をしていただいて、日本全国のいいところを味わっていただける、そんな東京二〇二〇大会にしてほしいということを要望しておきたいと思います。
 そして、知事が今進めておられる東京きらりプロジェクトについても伺いたいと思います。
 東京の伝統工芸や老舗の産品に磨きをかけ、付加価値をつけて世界に発信するプロジェクトが始まり、来年度は二億円の予算が計上されています。東京には、江戸切り子を初め、伝統に根差した魅力ある産品が多数あり、世界のニーズをつかめば、その需要ははかり知れません。
 知事の、伝統あるわざやあるいは産品の発信にかける思いを伺いたいと思います。

○小池知事 江戸の開府から四百年以上の歴史を持つ東京でございます。伝統を受け継いで今に伝える老舗の逸品、そしてたくみのわざ、食の文化など、きらりと光る数多くの宝物が存在をいたしております。
 江戸東京きらりプロジェクトにおきましては、東京のこれらの貴重な財産である宝物を発掘して、ブランディング、マーケティングの手法を駆使して磨き上げる。そのことで、伝統と革新が出会う、これぞ東京ブランドといえるようなモデルをつくって、内外に発信してまいります。
 今年度、公募で多く集まりました意欲的な提案の中から、例えば江戸組みひものわざを現代に生かした商品づくりや、江戸東京野菜による食のプロジェクトなど、革新的な五つの取り組みをモデル事業として選定いたしました。
 現在、各事業に関連した豊富な知見を有する専門家の支援のもとで、磨き上げに入っているところでございます。
 来年度でございますが、その成果を世界の人々にしっかりと伝えていくために海外でのプロモーションを開始するほか、さまざまなイベントの機会やメディアを活用いたしまして、その魅力を広く発信してまいります。また、今年度開始いたしました五つの取り組みに続く新たなモデル事業の公募についても、引き続き進めてまいります。
 東京をアピールする最高の舞台であります二〇二〇年に向けて、東京の宝物を一層輝くものといたしまして、そのわざ、伝統を次の世代へと続けてまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 そこで、二〇二〇大会は絶好のPRの機会ではないかと思います。
 例えば大会関係者が集まる場所で、江戸切り子など伝統工芸品をPRすれば、強い印象を与えることができると思います。この二〇二〇大会を全国の活性化につなげていくというあらわれとしても、東京だけではなく、全国の工芸品をPRし、それこそ地方創生に一役買う二〇二〇大会を目指すべきだと考えます。
 日本全国の工芸品を二〇二〇大会に集積する働きかけを全国に行っていくべきではないかと考えますが、所見を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 長い歴史の中で育まれ、受け継がれてきた東京や日本の伝統工芸品は、我が国のすぐれたものづくりの伝統を今に伝えるもので、大会を機に日本を訪れる世界中の人々に日本のよさを伝える有力なコンテンツの一つであると考えております。
 一方で、伝統工芸品のPRなどの事業を行うためには、大会と関連づけた商業活動に対します制約等もありますことから、IOCや組織委員会との調整が必要となってまいります。
 そのため、全国の自治体や国、組織委員会とも協力しながら、今後、庁内各局の連携のもと、日本各地と東京がともに成長する取り組みが実現できますよう、東京二〇二〇大会の準備を進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 二〇二〇大会の成功のために欠かせないのが、大会関係者や来場者をストレスなく会場に誘導する輸送計画です。
 そこで、重要な拠点となる築地の車両基地について伺います。
 (パネルを示す)車両基地を築地の市場の跡地につくって、ここに待機したバスが、大会開催期間中においては、ここにちょうど選手村のイメージのパースが張られていますけれども、選手村の選手を迎えに行くわけであります。この車両基地というか、ここに向かっていくための築地の跡地の車両基地の面積は、十五ヘクタールということなので、東京ディズニーランドの駐車場と同じ規模といいますから、バスの運転手が自分のバスを探しやすいようにしておくなど、スムーズな運営には工夫が必要になります。
 特に、この選手村のパースからもわかるように、選手村の中にバスがたまって待っていられる場所が余り見受けられない。中に太い道路が入っていますので、そこでたまることはできるとはいわれていますけれども、しかし、大きなバスプールがあるわけではありませんので、築地にでき上がる車両基地から非常にスムーズに、円滑にこの選手村までバスがやってこないと、渋滞や、あるいは選手に大きなストレスを与えるということになります。
 ですので、この選手村のある晴海に優先順位をつけてバスを送り出す仕組みを入念に考えておく必要があるわけで、交通管制センターのような機能というものを検討するべきではないかと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 大会中の選手輸送に際しましては、築地市場跡地に整備をします車両基地から選手村へ、競技スケジュールに合わせて着実にバスを送り出すことが求められますことから、車両基地内でのドライバーの管理や車両の運用などを総合的に行いますバスのオペレーションを担う機能を、車両基地内に設置することとしております。
 この機能の運用につきましては、大会組織委員会が中心となって、平昌大会の運用なども参考に、最少のコストで最大の効果が発揮できますよう検討を行うこととしておりまして、都も参画しながら、円滑な車両運用の実現に努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 円滑な車両輸送とともに、これから東京大会において注目されるのが、障害者にとっても優しい東京オリンピック・パラリンピックではないかと思います。
 世界で初めて二度目のパラリンピック開催都市となる東京は、二〇二〇大会において、障害者、先日の龍円あいり議員の言葉をかりれば、スペシャルニーズのある方々にとって不自由のないバリアフリー先進大会にする使命があります。
 都は、バリアフリー化の推進に過去最高の百九十億円を計上し、積極的な取り組みを推進されています。鉄道駅洋式トイレ整備促進事業では、二〇二〇大会に向けて、競技会場周辺などのトイレの洋式化などの推進費として九千万円が計上されていることは、まさにスペシャルニーズのある方にとって心強い政策です。
 加えて、想像しますと、競技終了後の一部の会場周辺は大混雑が予想をされますので、車椅子使用者が電車に乗って帰るのが困難という事態もあり得ます。
 そこで、スペシャルニーズ専用のタクシープールを会場周辺の複数箇所に仮設設置するなど、スペシャルニーズを必要とする方が不自由なく帰宅できるように会場周辺も整備する必要があると考えます。
 バリアフリー化推進にかける知事の所見を伺いたいと思います。

○小池知事 大会の成功のためには、バリアフリー化を積極的に推進し、障害のある方、スペシャルニーズの方々にも、大会を楽しめる環境を整備していくことは重要でございます。
 また、整備に際しましては、個人的、身体的要素などの違いを超えて、全ての人々が分け隔てなく包含された大会を目指すインクルーシブという観点、そして大会後にどのようなレガシーを残すかという視点も重要でございます。
 このため、大会に向けて、まずは障害の有無にかかわらず、みずから円滑に移動可能な環境の確保を目指して、道路や駅施設の整備を促進するとともに、今、理事ご提案の内容について、各会場の状況に応じて、障害者向けのタクシーやバスの発着場などの設置を検討してまいります。
 今後とも、大会時、そしてその先の時代を見据えてバリアフリー対策を推進いたしまして、真の共生社会を実現していく所存でございます。

○伊藤(ゆ)委員 今まさにこの障害者用タクシープールの設置も検討していただけるという、心強い答弁をいただきました。ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 こうしたタクシープールのほかに、都営線やメトロを初め、都内の地下鉄線ではユニバーサルデザインがふえてきていて、一昔前に比べてわかりやすいサイン表示がふえました。しかし、車椅子使用者にとっては、今でもやっぱりどこにエレベーターがあり、どこがバリアフリー動線なのかがわかりづらい状況です。
 そこでまず、都営線において、バリアフリー動線をよりわかりやすいサインにしていくべきと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○山手交通局長 都営地下鉄では、誰もが円滑かつ快適に移動できますよう、東京メトロと連携し、旅客案内標識設置マニュアルを定めまして、駅の天井や壁、柱などに案内サインを設置してございます。加えて、エレベーターの位置がわかりにくい駅では、床面に案内ラインも表示してございます。
 昨年度には、東京二〇二〇大会も見据えまして、バリアフリールートをよりわかりやすく示すため、マニュアルを改定し、エレベーターをあらわすサインの色調の変更や、ホームと地上を結ぶバリアフリールートを表示した案内図の新設などを行うことといたしました。このマニュアルに基づきまして、今年度から、ご指摘も踏まえ、サインの改修や増設を順次進め、東京二〇二〇大会までに、交通局が管理いたします百一駅のうち、競技会場周辺駅や主要ターミナル駅等、約六割の駅で改修を完了させてまいります。
 今後とも、わかりやすいサインの充実を図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今、約六割の駅で改修を完了するという、初めての答弁かと思いますが、表明がありました。積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 都は今、障害者の就労促進というのも積極的に進められております。この障害者の就労促進に三十四億円の計上がありますけれども、障害者の雇用促進や職場定着支援などへの取り組みを強化することも非常に大事であります。
 実際、現行二・〇%の障害者雇用率を義務づけられている九万社のうち、二%を満たしているのは五割で、一人も雇っていない企業が三割あるということです。
 一方、日本一の障害者雇用率二・六%を誇っているのは奈良県でありまして、県は「障害者はたらく応援団なら」を立ち上げ、企業とのマッチングの機会の提供を行っております。
 都には、他県の例を参考に支援制度を磨き上げていただきたいと思いますが、知事の所見を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現に向けて、障害のある方々も、能力や適性に応じて働いて、地域で自立した生活を送ることができる社会を、私はつくっていきたいと考えております。
 障害者が職場において生き生きと働いて、社会の担い手として活躍するためには、受け入れる企業の経営者や職場の理解の促進は重要でございます。
 こうした観点からも、都はこれまで、職場の同僚が個々の障害の特性を理解しながらサポートできる環境の整備を支援してまいりました。また、先進的な取り組みを行う企業をエクセレントカンパニーとして表彰いたしておりまして、広く発信するほか、企業とのマッチングを支援するなど、障害者雇用の促進に取り組んでおります。
 来年度は、これに加えまして、経営者などが障害者雇用に積極的な企業の取り組みをじかに見ることができる職場見学会を開始することといたしております。
 お話のありました他の自治体の好事例も参考にしながら、引き続き実効性のある支援に取り組んで、障害のある方々一人一人が輝き続けるダイバーシティー東京を実現してまいります。

○伊藤(ゆ)委員 まさに地方が切磋琢磨し合いながら、この障害者就労支援を磨き上げていくことが重要ではないかと思います。一層の取り組みを期待しております。
 ちょっと話は二〇二〇大会に戻りますが、バリアフリーとともに二〇二〇大会で今課題になっているのが、暑さ対策であります。
 既に都は、街路樹整備やアスファルトの遮熱性舗装など、さまざまな対策を講じていると伺っていますが、東京の暑さは本当に尋常ではありません。
 そこで、暑さ対策の仕組みや商品などを民間公募してはどうかと思います。さまざまなアイデアが寄せられる可能性があるばかりか、それらを展示すればビジネスチャンスにもなる可能性があります。
 特に、同じ夏場の来場者が集積する会場での実証実験を兼ねた公募はおもしろいものになるものと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○和賀井環境局長 東京二〇二〇大会開催に向けた暑さ対策を実施する上で、民間企業等が有する技術や製品を活用していくことは重要でございます。
 そこで都は、上野恩賜公園におきまして、二〇一六年リオデジャネイロ大会に合わせたイベントの開催時に、暑さ対策設備を公募し、その効果を実証いたしました。その際得られた知見は、暑さ対策の手引等で公表するとともに、区市や事業者にも紹介し、暑さ対策設備の導入を促しております。
 来年度は、都が主催します大規模な打ち水イベントに際して、民間事業者等の有する暑さ対策設備等を公募し、展示する場を設けるとともに、実証等も行うことで、暑さ対策設備等の普及につなげてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 暑さ対策については、今、公募も検討するということですので、ぜひ期待したいと思います。
 同時に、東京二〇二〇大会の成功を決めるのは、やっぱり赤字を出さない仕組みづくりだと思います。二〇一六年の招致活動においては、最終的に六億円の赤字が出たと記憶しております。やはり一円たりとも赤字を出さずに二〇二〇大会の成功をなし遂げてもらいたいと思いますので、この大会運営に当たっては、とりわけて予算管理をしっかり行っていただきますように、改めて、あわせて要望しておきたいと思います。
 次いで、この二〇二〇大会の成功には機運醸成が不可欠であります。その一年前に当たるラグビーワールドカップの機運醸成には、予算二億円が計上されています。昨年の代表質問で、都は、スポーツ振興の機運醸成に寄与する広告物については、屋外広告物条例の特例許可により、基準の面積を超える広告物の掲載ができると答弁しました。
 そこで、ラグビーワールドカップに向けてもこの仕組みを利用するなど、都有施設や区市町村施設を含めて、シティードレッシングに貢献する広告スペースを募り、これをワールドカップ機運醸成の広告媒体として、都で大会PRに活用してはどうかと思いますが、所見を伺います。

○潮田オリンピック・パラリンピック準備局長 ラグビーワールドカップの機運醸成に向け、さまざまな空間を活用し、都内各地で訴求力の高いPRが必要で、都はこれまでは、テストマッチ開催時にスタジアム最寄りの飛田給駅の構内に大型写真広告の掲示を行ったほか、東京駅前に大会の開催を周知する大型看板の掲出を行うなど、そうした取り組みを行ってまいりました。
 今後はさらに、都立スポーツ施設を初めとする都立施設を活用するとともに、区市町村の協力も得て、各自治体が管理する公共スペース等も活用し、地域での効果的なPRを行うなど、大会開催機運のさらなる盛り上がりを図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそのように努めていただきたいと思います。市区町村さんの協力を得て、機運醸成してもらいたいなと思います。
 さて、本予算には、成長産業の育成、強化に、昨年に比べて四十五億円増の百四十八億円が計上されています。知事からも、予算の特徴として、AIなどに取り組むということが、先ほど表明としてありました。特に、ロボット産業活性化事業は、今後の日本経済の牽引役と期待される産業で、都の後押しは未来への投資であります。
 二〇二〇大会は、大会関係者や海外メディアなど、世界各国から発信力の高い方々が東京に集まることから、AIロボット、自動走行、電動の歩行補助器具など、今後の経済を牽引する東京の最先端技術を発信するまたとないチャンスであります。
 東京二〇二〇大会の主要会場である臨海副都心において、大会に向けて積極的にPRをするとともに、大会後は、最先端技術を取り込んだモデル都市としてまちづくりを進めていくべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○斎藤港湾局長 臨海副都心には、現在、国や都の研究機関がございまして、それぞれ先進的な研究開発を行うほか、企業と連携した実用化への取り組みなどを進めております。また、新たな技術、製品を展示するショールームなどもこのエリアに立地しております。
 東京二〇二〇大会に向けまして、こうした各機関や企業とも連携し、SNSなどさまざまなチャンネルを活用して、今後の経済を牽引する東京の最先端技術の効果的な情報発信につなげてまいります。
 また、大会後は、AIやロボット、省エネルギーなど、活用可能な最先端技術をまちの中に取り込んでいく観点も持ちながら、MICE、国際観光拠点化に向けたこの地域のまちづくりを進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今お話のあった自動走行とともに、日本のものづくり大国としての本領が期待されているのが電気自動車です。
 知事は、本予算案に六億円の予算を計上し、電気自動車の普及促進を図ろうとされています。集合住宅における充電設備導入促進事業では、新規に一億円の予算を計上するなど、費用対効果の高い導入促進を図られているものと受けとめています。さらに知事は、電気バイクについても、東京マラソンの先導車として活用するなど、今後の開発促進に力を入れられています。
 ここで、知事の電気自動車と電気バイクに寄せる期待と、日本の自動車、バイク産業の将来像について伺いたいと思います。

○小池知事 電気自動車でございますが、自動車に起因する大気汚染対策やCO2削減の切り札として、世界から注目されております。
 今、世界では、自動車メーカー自身の生き残りをかけまして、電気自動車等の次世代自動車の開発競争は大変激しさを増しているところでございます。日本の自動車メーカーは、これまで世界に先駆けてハイブリッド車、電気自動車、燃料電池自動車などをいち早く市場に本格投入して、世界をリードしてきました。
 さらなる電気自動車の普及に向けてでございますが、航続距離であるとか価格などの課題を克服する必要がございます。そして、日本の自動車産業には、これまで培ってきた技術開発の知見がございますので、革新的なバッテリーを開発するなど積極的に取り組んでもらって、引き続き世界を牽引していただきたいと思います。
 また、ご質問の二輪車、バイクでございますけれども、先月開催いたしました東京マラソンにおきましては、ペースメーカーの伴走車といたしまして、外国製の大型電動バイクを導入いたしましたが、このようなバイクを世界シェアの約半分を占める日本のメーカーこそが、技術力を結集して製品化することで、世界中に大きな影響を与えてほしいと思っております。
 都といたしましても、事業者への導入補助に加えまして、充電施設などのインフラ整備を積極的に推進して、電気自動車などへの普及を後押ししてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 電気自動車は大分進んでいるんだと思いますけれども、意外とバイクは日本製のもの、なかなかないんですね。あるいは少ないということで、東京都のこうした取り組みが、こうした電気バイクの開発の後押しにもなると思いますので、積極的にお願いをしたいと思います。
 そして、今回、電気自動車の充電設備の促進に予算がついているわけでありますが、その充電設備についても、できる限り視認性の高いところにこうした設備をつくっていただきたいなと。やっぱり見かけるたびに、あ、電気自動車買おうかなと、こういう動機づけになりますので、政策投資効果の高いところへの予算措置をお願いしたいというふうに思っておりますので、要望しておきたいと思います。
 さて、災害対策について伺いたいと思います。
 あの三・一一から、きょうでちょうど七年と二日が経過しました。この間に、各自治体で災害対策が進み、都でも無電柱化の推進などが進められていますが、災害時に最も重要なものの一つが、電力と、電力を生む燃料ではないかと思います。
 特に、都と災害対策の連絡を密にしなければならない区市町村庁舎の電力は、命をつなぐライフラインであり、電力なしに災害支援要請も行えません。
 そこで、昨年十二月の議会で、私たちは、区市町村庁舎の災害時における非常用発電機と、その燃料の整備状況の把握を求めました。その後、都として把握した区市町村の整備状況を伺いたいと思います。

○多羅尾総務局長 都が本年一月に実施した調査によりますと、災害対策本部が設置されている庁舎について、非常用電源を備えている区市町村は、都内六十二団体のうち六十一団体でございました。
 また、外部から燃料等の供給を受けずに継続して稼働できる時間は、六十一団体中で、七十二時間以上が三十七団体となっており、以下、四十八時間以上七十二時間未満が七団体、二十四時間以上四十八時間未満が五団体、二十四時間未満が十二団体となっております。

○伊藤(ゆ)委員 今の答弁からも、七十二時間未満の電源確保にとどまっている自治体が四割あったということがわかりました。東日本大震災のときには、油の一滴は血の一滴という言葉が出たほど燃料は貴重で、七十二時間は災害救助に当たって人の生死を分ける時間といわれています。
 災害時における区市町村庁舎の電源確保の重要性について、都の認識を伺いたいと思います。

○多羅尾総務局長 災害が発生したとき、区市町村は、被害状況を把握するとともに、住民の避難誘導や避難所の開設を実施するなど、被災者の生命や身体、財産を保護する上で重要な役割を担っております。
 また、都は、区市町村を通じて都内の被災状況を把握し、それに基づき、医療や物資などの支援業務を進めることから、都が効果的に応急対策等を実施する上で、区市町村からの情報は欠かすことができないものでございます。
 こうしたことから、区市町村において災害対策本部が設置される庁舎の非常用電源を確保することは、極めて重要と認識しております。

○伊藤(ゆ)委員 まさに極めて重要な電源なんですが、一方で、今回、整備が十分に進んでいないという状況が明らかになりました。
 それらの自治体が七十二時間以上の稼働時間を確保するに当たって、どのような課題があると認識しているのか伺います。

○多羅尾総務局長 今回の調査結果では、七十二時間以上の稼働時間を確保していない二十五団体のうち七団体は、今後、七十二時間以上の稼働時間を確保する予定があると回答しておりますが、残りの十八団体は、その予定がないと回答しております。
 予定がない理由としては、非常用発電機の燃料を備蓄するためのスペースが不足していることや、七十二時間以上の稼働時間を確保するためには多額の費用を要することなどが挙げられております。

○伊藤(ゆ)委員 今の答弁で、この非常用電源の重要性と、そしてまた費用などの課題が明らかになりました。私たちとしても、これをしっかり認識させていただきたいと思います。
 さて、築地、豊洲についても伺いたいと思います。
 昨年の六月二十日の決定を踏まえて、知事は、有識者から成る築地再開発検討会議を発足し、築地のブランド力や歴史的な意義、観光資源としてのポテンシャルを議論されてきました。メンバーは、シャネルの社長や元文化庁長官など本当に多士済々で、多様な意見を出してほしいという知事の意向がうかがい知れます。
 ここで、これまでの議論を通じて、築地の跡地に感じたポテンシャルについて、知事の受けとめを伺います。

○小池知事 築地再開発検討会議は、東京の魅力をさらに高めて持続的な成長につなげていく、その観点から自由な発想で幅広いご意見をいただいているところでございます。
 築地は、いうまでもなく都心に近接いたしましたまたとないロケーションであり、培ってきた伝統がございます。周辺には、浜離宮のすばらしい景観、そして水辺の魅力、築地本願寺など、さまざまな東京の宝物がちりばめられております。先日、現場を訪問いたしました際も、改めてポテンシャルの高さを感じたところでございます。
 この検討会議におきましては、それぞれの委員のご専門の見地から議論を深めていただいておりまして、築地のまちづくりにとりまして、このようなポテンシャルを生かすことの重要性を改めて認識しているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 今、築地のポテンシャルの高さを改めて認識されているという答弁がありました。これからの築地の再開発に期待をしたいと思いますが、築地とともに、豊洲のまちづくりについても伺いたいと思います。
 困難な埋立作業に伴い、築地と命名されたことは有名ですけれども、豊洲という地名は、昭和十二年七月、将来の発展を願って、豊かな洲となるよう命名されたと聞いております。
 八十一年前に発展を願って命名されたその土地に、東京の台所、豊洲市場が新たに誕生しようとしています。築地とは異なるロケーションに誕生する豊洲新市場の発展のためには、都の積極的な関与が欠かせません。
 そこで、豊洲新市場の発展のために、地元に親しまれることが不可欠ですが、都としてどのような取り組みが必要であると認識しているのか、知事の所見を伺います。

○小池知事 ご指摘のように、豊洲市場への移転を円滑に進めるためには、受け入れ区であります江東区と地元住民の方々のご理解、そしてご協力いただくことは不可欠でございます。
 私は昨年末、江東区長を訪問いたしまして、区から求められている三つの項目につきまして、都として真摯に取り組んでいくことなどご説明いたしまして、引き続きのご協力をお願いしたところでございます。
 また、地元の住民の方々を対象とした見学会にも参加したり、屋上緑化広場からのすばらしい景観を前にして、豊洲市場の施設について直接のご紹介をさせていただくなどいたしております。
 今後とも、江東区と連携をいたしながら、地域のにぎわい創出に向けました取り組みを進めて、地元住民の方々はもとより、東京が誇れる豊洲市場を実現してまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 まさに誇れる豊洲市場にしていかなければいけませんが、していく上で、築地で今、働いている方々の理解というのも欠かせません。
 築地で働く方々が都に求めているのは、誠実さ、思いやり、そして事業者への共感です。新市場の設計に当たっても、ターレのコンセントが合っていなかったということに象徴されるように、本当に仲卸のことを考えてくれているのかという疑問を仲卸の皆さんも持っていらっしゃいます。
 ターレのコンセントについてはこの予算案に盛り込まれ、改善されますが、経営が苦しい中で移転をされる市場関係者にとって、都の共感は、今後直面するさまざまな課題解決において不可欠な心持ちであります。
 本気で寄り添う気持ちが試されている中、市場長の決意を伺いたいと思います。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場への移転を円滑に進めるためには、移転に向けたさまざまな準備を業界と連携して進める必要がございます。
 このため、豊洲市場の施設整備に当たっては、設計から工事完了に至るまでの間、業界団体と調整しながら進めてまいりました。現在、各業界団体では、移転に向けて創意工夫した習熟訓練を行っておりまして、その中で、豊洲市場の施設の使い勝手などについて、さまざまなご意見やご要望をいただいております。
 現場で働く方々からのこうしたご意見やご要望については、都といたしましても真摯に受けとめており、一つ一つの内容を検討し、必要な対策を講じるなど、今後とも業界団体と連携協力して、移転準備を着実に進めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 これから特に移転に際しては、市場関係者の方々も、引っ越しの準備等々、都と協議をしながら進めていきたい課題がたくさんあると思います。丁寧に誠実に対応していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
 さて、児童虐待についても伺いたいと思います。
 私の地元になりますが、目黒区に在住をする五歳の少女が、父親からのたび重なる虐待の末に亡くなったとして、三月三日、父親は逮捕されました。本当に痛ましく、暴行を受けているこのお子さんの当時の心身を思うといたたまれない思いであります。
 事件の経緯としては、二度、香川県で一時保護されていた五歳のお子さんとその家族が、目黒区に転居し、一度、品川児相職員が家庭訪問をしたけれども、お子さんに会えず、その後死亡したということでありました。当時の体重は十二キロで、二歳ほどの体重だったともいわれています。
 もし児相職員がそのときにお子さんに会えていたら、または不審に感じ、翌週に再度訪問できていたら、助けられた命があったのではないかと悔やまれます。
 まだ学校にも通っておらず、友達や先生に頼ることさえできない環境に置かれていた少女にとって、どこに救いがあったのかと思うと、それはやはり児童相談所しかなかったのではないかと思います。
 児相所についてはたびたび人員不足が指摘されており、職員の日々の献身には心から敬意を表したいと思いますが、助けられるのは児相だけであるということもぜひ自覚をいただきたいと思います。
 また、人員不足のみならず、職員の勘が何よりも大事です。そのお宅を訪れておかしいと思えるかどうかは、経験による勘が重要です。だからこそ、児相職員の人材育成は何よりも大切だと考えています。
 まだ入学式にも行けず、遠足にも行けず、友達と遊ぶことさえできずに亡くなった子供の無念さを念頭に置いて、改めてこの事件から学ぶこと、そして再発防止の具体的な方策について伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 虐待により子供が亡くなるという痛ましい事件が起きたことにつきまして、児童相談所を所管する局の責任者として極めて重く受けとめております。まずは亡くなったお子様のご冥福をお祈りいたします。
 今回の事案では、管轄を越えて転居した場合の情報提供のあり方、家庭訪問に拒否的な保護者へのかかわり方などについて、児童相談所の対応に課題があったというふうに認識をしております。
 今後、情報共有や保護者との関係構築など、ケースワークの進め方について、改めて外部の専門家にも検証していただき、その結果を研修やOJTなどを通じて、現場の全ての児童福祉司に徹底をしてまいります。
 現在、都は、児童福祉司の増員など、児童相談所の体制強化を進めております。今後、関係機関との連携も一層強化しながら、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。

○伊藤(ゆ)委員 この児童虐待の防止には、今申し上げたように、本当に職員の育成が欠かせないと思います。また、時間のかかる、これは課題でもありますので、たゆまず職員育成を行っていって、一人でも多くの命を救っていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 もう一つ、職員の働き方改革についても伺いたいと思います。
 小池知事は就任以来、職員の働き方改革として、在宅型テレワークの試行やフレックスタイムの導入などに取り組まれています。一定の成果が上がっていると聞いていますが、まだまだ改革の余地があると認識しております。
 職員の働き方改革を本気で進めるのであれば、職員のICT環境も大胆に見直していくべきであります。
 本年度予算案には、都庁職員の働き方改革として、四十一億円が計上されております。そのほとんどが、都庁の外でも安全に使用できるパソコン端末などのシステム構築に要する経費となっております。
 そこで、システム再構築という決断に至った知事の考えを伺いたいと思います。

○小池知事 ご承知のように、ICTは日進月歩で発展をいたしております。民間企業等は、懸命にICT環境の変化に対応しようとしておりますが、一方で、都政におきましては、依然として古いICT環境のもとでの仕事をしているということでございます。
 私が進めておりますのは、判こレス、判こですね。ペーパーレス、キャッシュレス、この三つのレスを含めました、新しい働き方を都庁に徹底させていくことでございまして、このためには、システムを刷新して、周回おくれの状況から脱却することが不可欠だと判断をいたしております。
 今回の再構築でございますが、職員が使用するTAIMS端末の軽量化、小型化を初め、働き方改革に資するさまざまな機能を付与することといたしております。
 あわせまして、セキュリティー対策に万全を期すということから、端末に仮想化の技術を導入いたしまして、テレワークへの対応、そしてシステムの強靱化を同時に図ることといたしております。
 これによりまして、都庁職員の柔軟な働き方を実現して、組織の生産性を高めるために必要な環境がようやく整うものと考えます。
 今回の再構築を起爆剤といたしまして、働き方に対する職員の意識を変える、そして具体的な行動につなげる、このことによって三つのシティーを実現する施策を効率的に生み出せるように、あらゆる取り組みを複合的に展開することで、隗より始めよということを示してまいりたいと考えております。

○伊藤(ゆ)委員 この予算の大きさも、隗より始めよのあらわれかと思います。実り多きものになるように期待をしたいと思います。
 今回の再構築は、職員のICT環境を大きく変えていくものであると理解しましたが、その再構築には少なからぬ投資を伴うことから、その妥当性の判断も必要です。都として、今回の再構築によりどのような効果を見込んでいるのか、先行事例も踏まえて伺いたいと思います。

○多羅尾総務局長 再構築に向けた検討に当たり、先進的な民間企業や自治体、国の取り組みを調査したところ、都が目指そうとしているものとほぼ同様の環境を整備しておりました。
 そこでは、既にモバイルワーク、テレワーク、ペーパーレス化など、効率的な働き方が実現し、それにより生産性向上による収益増、超過勤務手当、出張旅費、印刷費などの歳出削減、仕事と子育て、介護の両立、災害時の業務継続性の確保を初め、さまざまな効果が得られておりました。
 都においても、費用対効果に留意しつつ、最新の知見も加えて、システムの再構築を進め、働き方改革を実現する中で、新システムを最大限活用し、先行事例と同等以上の効果を生み出してまいりたいと存じております。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 きょうは、これまで税とインフラと東京の国際競争力について伺ってまいりました。
 最後に、ふるさと納税についても伺いたいと思います。
 ふるさと納税の影響で、直近の東京都と都内区市町村を合計した個人住民税の控除額、すなわち都としての減収分は、約四百六十六億円、平成二十九年度ではそのようになるというふうに伺っているところでございます。
 ふるさと納税がこれだけ大きな規模になったのは、制度の趣旨から離れ、各自治体の返礼品競争が過熱しているためと考えられます。返礼品に関しては、総務省が既に、過熱し過ぎないようになどの通達を出しているというふうに伺っております。
 しかし、総務省からの通達が出た後も、この高額な返礼品などが見受けられることから、引き続きふるさと納税の人気が高まると予想できます。
 一方で、返礼品競争から一線を画し、クラウドファンディングの手法を活用して、公共性の高いプロジェクトへの寄附を募集する取り組みもふえてきています。こうした取り組みには敬意を表するものの、ふるさと納税による減収が拡大すれば、東京の待機児童対策を初め、きょう取り上げてきた都市問題への解決がおくれることになります。
 そこで、ふるさと納税に対する知事の認識を伺いたいと思います。

○小池知事 ご指摘のふるさと納税でございますが、被災自治体への支援、そして都内の自治体においても事例があるところでございますが、クラウドファンディングを活用するなど、寄附文化の醸成には一定程度の寄与するものがあると、このように承知をいたしております。
 一方で、本来、住民が行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、ご指摘のように寄附金を通じてではございますけれども、他の自治体に移転をしているということは、受益と負担という地方税の原則からは好ましいものではないと、このように考えております。

○伊藤(ゆ)委員 ふるさと納税を使われている方は大変多くなってきていますけれども、やはり受益者負担という観点からも、ふるさと納税の今後の動向については注意深く対応していただきたいというふうに思います。
 さて、十三年ほど前から、既に他界されましたが、森ビルの森稔会長にご縁をいただきまして、当時、何度も都市論というものを聞かせていただきました。その都度、東京を世界と相対化させ、俯瞰して見ることの意義というものを教わったわけです。
 東京を生活の場とだけ捉えるのではなく、世界の都市の中の東京と捉えてみれば、その東京がどれだけ稼げる都市なのか、またアイデアが生まれる都市なのか、文化が生まれる都市なのか、観光を楽しめる都市なのか、絶えず検証が必要だと気づかされました。
 知事は就任以来、都市間競争レースを意識し、未来の産業につながる自動走行や電気自動車の支援、そして国際金融都市構想やまちのライトアップ事業などを進めてきました。高齢化社会だからこそ、稼げる東京を実現し、都市としての競争力を高めていく必要があると、このように考えます。
 最後に、東京の未来を切り開く知事の決意を伺いたいと思います。

○小池知事 ご指摘のように、国際競争は激化の一途をたどっております。世界における東京の位置づけをしっかりと意識しなければなりません。スピード感を持って競争力を高めなければ、東京、ひいては日本は、時代の激しい流れに取り残されてしまう、私は就任以来、そういう危機感を持って、この都政運営に当たってきたところでございます。
 日本のエンジンであるべき東京が常に対世界の視点を持って政策を練り上げて、国や他の道府県とも連携をしながら、オールジャパンで国際競争に打ち勝つ。そして人口減少、超高齢化のうねりの中にありましても、東京、日本が持続的な成長を果たす、その礎を築いてまいりたいと考えます。また、そのことが、未来の世代に対する我々の責任だというふうに考えております。
 だからこそ、これまでの枠にとらわれることなく、なすべきことを大胆になしていく東京大改革を進めなければならないと考えます。
 特に、東京二〇二〇年大会でございますが、その先の未来に向かって東京を飛躍させる大きなチャンスでございます。大会までの二年間、この上なく重要な時期となりますが、この時期に東京のかじ取りを任された政治家として、都議会の皆様とともに、東京の今と、そして未来についての議論を深めながら、世界で輝く東京に向けて道を切り開いていきたいと考えております。

○両角委員長 伊藤ゆう理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

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