予算特別委員会速記録第四号

○鈴木(隆)委員長 小林健二委員の発言を許します。
   〔委員長退席、ともとし副委員長着席〕

○小林委員 それでは初めに、文化芸術振興についてお伺いをさせていただきます。
 十六年前、公明党は、文化芸術を国策として強力に推進していくために、文化芸術立国・日本をめざしてと題する政策提言を発表し、当時、私が秘書をしておりました斉藤鉄夫衆議院議員が、衆議院予算委員会で当時の小泉総理に文化芸術政策について質問をいたしました。
 冒頭に、小泉総理は、ふだんどのような音楽、芸術を楽しまれているか、そして、総理の文化芸術に対する基本的な考え方を質問いたしました。総理は、クラシック、ポピュラー、演歌を問わず、何かしら聞かないとおかしくなるぐらい音楽が好きだ、また、文化芸術の重要性というものを国民が理解してくれることによって、質の高い生活が維持でき、発展していくのではないか、私の内閣でも支援できるところがあれば、ぜひとも支援したいと答弁されておりました。
 そこで、小池知事にもお伺いしたいと思います。
 知事はふだん、どのような文化芸術を楽しまれているか、また、文化芸術に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○小池知事 芸術の薫り高いご質問をまことにありがとうございます。
 芸術文化は、都市の魅力を形成する要素となるだけでなく、人々の創造性を育みます。また、暮らしに安らぎ、そして潤いをもたらすものとして、豊かな生活を享受する上で極めて重要なものでございます。
 私も、こうした芸術文化には大変魅せられます。美しい色彩、綿密な描写で有名な伊藤若冲、あの四十五万人の方がごらんになった都立美術館での、あちらも大変な人気でございました。伊藤若冲は、もう以前から私は大ファンでございます。好きな漫画の主人公に模したコスプレも、お恥ずかしながらしたことがございます。
 そういう形で芸術文化というのは大変幅が広うございますが、その振興に当たりましては、日ごろ文化になじみのない方も含めて、多くの人々が伝統文化や現代アート、大衆文化など、東京の多彩な芸術文化の魅力に触れて、楽しめる環境の構築が必要だと考えております。
 二〇二〇年東京大会に向けては、多様な文化プログラムを展開する中で、東京のユニークな文化も海外へ発信をしていって、そして、都民とともに大いに盛り上げて、世界におけるオンリーワンの文化都市東京を目指していきたいと考えております。

○小林委員 私たち公明党が文化芸術振興施策を立案するに当たって、多くの関係者の方々からご意見をいただきましたが、その一つに、アマチュアとして活動されている人たちにも支援を充実させてもらいたいとのご要望が大変多く寄せられました。
 昼間、まちを掃除する人々が夜には四重奏を演奏する、それが私たちの目指す世界です、これは、世紀のバイオリニストといわれたユーディー・メニューイン氏が残した言葉ですが、二〇二〇年東京五輪に向けた文化プログラムの推進にあっては、まさにプロ、アマ問わず、誰もが文化を、芸術を楽しんでもらえるような土壌を醸成していくことが重要であり、都としても、アマチュアとして活躍されている方、また、地域で日常的に文化芸術を楽しんでおられる方々へ積極的な支援を広げていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○桃原生活文化局長代理次長 東京文化プログラムを成功させるためには、都民の皆様が芸術文化を鑑賞するだけでなく、みずからもプログラムに参加できる環境を整えることが重要でございます。
 都内には、地域の文化サークル等、アマチュアによるさまざまな活動が日常的に営まれておりまして、多彩な文化プログラムをつくり上げていく基盤が整ってございます。
 そこで、都は、都民の文化プログラムへの参画を促進いたしますため、こうした活動を核として、東京全体から広く参加者を募る事業に対しまして、来年度から東京文化プログラム助成のメニューを拡充し、支援してまいります。
 具体的には、東京中の合唱サークルが集まる大会やフラダンスのフェスティバル、子供の演劇祭など、多くの都民の方々が主役となる文化事業に対しまして、二千万円を上限といたしまして、対象経費の二分の一を助成してまいります。

○小林委員 私は、一昨年の第一回定例会の一般質問で、障害のある方が文化芸術を鑑賞し、楽しんでいただける環境を整えていくべきと質問いたしましたが、鑑賞するだけではなく、障害者の方々の文化芸術に対する取り組みを披露していく環境の整備も重要であると考えます。
 私は先日、障害者のピアノ演奏を支援するNPO法人アンハードノートピアノパラ委員会の迫田会長にお目にかかり、意見交換をさせていただきました。同委員会は、ピアノパラリンピック運動として、四年ごとに国際大会を呼びかけ、現在二十五カ国におけるピアノ指導者、音楽大学、障害者団体との輪を広げております。
 ピアノパラリンピックは、障害の種別に関係なく参加でき、障害種別ごとにメダルを競うものであり、今日まで、横浜、バンクーバー、ウィーンで国際大会を開催し、明年はワシントンで開催すべく準備を進めております。
 また、昨年五月に銀座中央通りで開催された東京都パラリンピック体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEで見事な車椅子ダンスを披露された市民団体、ジェネシスオブエンターテイメントの皆様と我が党の伊藤こういち都議も意見交換を重ね、ご要望もいただいております。
 都議会公明党は、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功なしと訴えてきましたが、同様に、文化プログラムにおいても、障害者の皆様の活躍なくして成功なしと考えます。
 都議会公明党が強力に推進してきたアール・ブリュットの振興や、福祉施設などとアーティストの交流を進めるTURNプロジェクトなど、都がこれまで取り組んできた障害者の文化芸術活動の推進は重要なものがありますが、さきに紹介したピアノパラリンピックや車椅子ダンスなど、障害者による文化芸術の表現は多彩であり、今後、こうした取り組みにも光を当てて文化プログラムを推進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○桃原生活文化局長代理次長 東京文化プログラムを通じて、障害者の方々が多様な個性や才能を発掘し、活躍できる機会をふやしていくことは、多様性を認め合うダイバーシティーの推進につながるものでございます。
 こうしたことから、都は昨年度より、障害者の方々による演奏会や演劇など幅広い芸術文化活動に対しまして助成を実施しております。
 さらに、アール・ブリュットの振興やTURNの展開により、アートをきっかけにして障害者の方々の社会参加につながる取り組みも行っておりまして、今後とも、これらの事業を着実に進めてまいります。
 また、来年度は、二〇二〇年の文化フェスティバル期間に開催する中核的なプログラムの企画を広く募集する予定としておりますが、その際、ご提案の視点も十分踏まえて対応してまいります。

○小林委員 次に、都市農業についてお伺いをいたします。
 農業を大切にしない社会は、生命を粗末にする野蛮な社会である、その社会は、早晩、あらゆる面で行き詰まるとの言葉があります。この言葉に照らせば、都市における農業をどう考えるかは、生命をどう考えるかに通ずるといっても過言ではないと思います。
 既に今定例会でも触れられておりますが、都では、来年度に農地の保全が計画されている区域などにおいて、買い取り申し出のあった生産緑地一カ所を選定し、都が買い取ってモデル農園を設置する事業を実施すると聞いております。
 私の地元練馬区は、二十三区で最大の農地面積を有しており、小池知事も、練馬の農地の風景はよくご存じと思います。区を挙げて観光農園や果樹直売所、生産農家が主催する販売イベント、ねりマルシェなどを支援し、江戸東京野菜である練馬大根の引っこ抜き競技大会を毎年開催するなど、多彩な取り組みで都市農業振興を進めております。
 このたびの農地活用事業は、こうした練馬区を初め、都市農業に積極的に取り組んでいる区市や農業関係者の意向も十分に配慮し、反映していくことが重要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○藤田産業労働局長 都が来年度に実施いたします東京の将来に向けた農地活用事業では、都が買い取りました生産緑地で、教育や福祉分野等の多面的機能を発揮するモデル農園を設置いたします。
 このモデル農園を円滑に開設、運営するためには、地元の区市や運営主体となります生産者団体等の意向に配慮した協力体制を構築することが必要不可欠でございます。
 そのため、モデル農園の利用者の募集や利用方法などにつきまして、所在地の区市の意向を十分に踏まえた貸付協定を、都、区市、運営主体の三者の間で締結し、地域の実情を反映した運営を展開してまいります。

○小林委員 現在、練馬区では、二〇一九年に練馬区内で世界都市農業サミットを開催すべく準備を進めております。
 この開催には三つの狙いがあります。
 一つ目は、都市農業の存在意義や魅力に関する認識を世界で共有し、今後の発展につなげていくこと、二つ目に、都市農業に関するネットワーク化と情報共有を進め、新たな取り組みを生んでいくこと、三つ目に、都市農業に対する誇りと意欲を高めていくことであります。
 昨年十月に、有識者、各種団体関係者、農業者を中心に、農林水産省、さらに東京都からは産業労働局の農林水産部の方も委員として名を連ねて、第一回世界都市農業サミット推進委員会が開催をされました。
 世界での都市農業の動向を見ますと、アメリカ・ニューヨークでは、屋上農園であるルーフトップファームを初め、農業のあるライフスタイルが流行、イギリス・ロンドンでは、二〇一二年のロンドン五輪を契機に、都市農業を都市政策として展開、また、カナダ・バンクーバーでは、持続可能性のある都市を目指し、都市農業を優先的な行動分野と位置づけております。
 このほかにもさまざまな都市の取り組みがありますが、東京も世界に誇る、さらに世界の模範的な都市農業の姿を示していくべきと思います。
 練馬区が進めている世界都市農業サミットは、練馬区のみならず、東京の都市農業全体に寄与するターニングポイントとしていかねばならないと考えております。
 この取り組みを、ぜひ都としても今後支援していただきたいと思いますが、まずはこの世界都市農業サミットをオール東京で共有していくために、広くPRをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○藤田産業労働局長 今年度、都では、東京の農林水産業への理解促進や都内産農林水産物の消費拡大等を図るため、新たなウエブサイト、とうきょうの恵みTOKYO GROWNを開設し、都民や国内外からの観光客に向けて、東京の農林水産業の魅力を広く発信しているところでございます。
 お話の平成三十一年に練馬区が開催を予定しております世界都市農業サミットは、都市農業の存在意義や魅力等について広く議論する場であり、今後、内容が具体化した段階で、区と連携しながら、ウエブサイト等での情報発信を検討してまいります。

○小林委員 小池知事も、ご自身で種をまいて育てて収穫した練馬大根を、みずから漬けたゆりこ漬けをつくっておられたかと思います。都市農業の重要性は肌身で感じられていると思いますので、ぜひ今後も、新たな視点での都市農業の振興をお願いしたいと思います。
 次に、特別支援教室の取り組みについてお伺いします。
 先日、発達障害の障害特性により、適切に対人関係を築くことができない男の子から、かかわりを求められた女の子のお母様からご相談をいただきました。男の子の行動の結果、その女の子は心的外傷後ストレス障害、PTSDになり、今なお苦しんでいる状況があるとのことです。
 女の子のお母様からは、発達障害支援を進めていく中で、指導、支援が必要な児童を見落とさず、早急に対応していく体制を強化してもらいたいとのご要望をいただきました。
 都では、本年度から平成三十年度までの三年間で、全小学校に特別支援教室の設置に取り組んでいますが、教職員が注意深く見ていくことはもちろん大切ですが、心理の専門家から助言を得ながら、特別な支援につながる初期対応を慎重に、かつ迅速に行っていく取り組みを強化していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○中井教育長 都教育委員会は、特別支援教室の導入に当たり、発達障害の可能性のある児童の状態の把握や、特別な指導の必要性に関する教職員等への助言などを行うため、臨床発達心理士等が各小学校を巡回する体制を整えております。
 本年度は、各小学校を年間十日間、かつ一日四時間を原則として臨床発達心理士等の巡回を行っておりますが、来年度は、年間四十時間の中で、学校の実情に応じて柔軟に活用できるよう運用の充実を図ってまいります。

○小林委員 また、一部の保護者からは、今までと違って小集団での指導時間が少なくなっているのではないか、また教室の広さも十分でないなど、各校での取り組み状況の違いに不安の声も届いております。
 特別支援教室の導入は始まったばかりですが、特別支援教室のさらなる充実のために、既に導入した区市町村や学校の導入実態を把握し、生かしていくべきと考えます。
 加えて、特別支援教室の導入意義への理解が、学校によって温度差があるといった声も寄せられております。
 教職員を初め、学校全体で特別支援教室の導入意義の理解を深め、保護者などの疑問や不安に対してもしっかり説明できるよう、都教育委員会として、区市町村教育委員会を支援していくことも重要であると考えます。あわせて見解をお伺いいたします。

○中井教育長 都教育委員会はこれまで、区市町村教育委員会に対して、特別支援教室の導入ガイドラインなどの説明会の実施や、質問への丁寧な回答を行うことにより、特別支援教室の導入目的や運営のあり方などについての理解を得ることに努めるとともに、特別支援教室での指導、支援の実情を把握してまいりました。
 今後、特別支援教室を導入した区市町村教育委員会への聞き取りや学校訪問等をさらに充実することにより、巡回指導体制の編成状況や教室環境の整備状況等のより具体的な把握に努めてまいります。
 あわせて、既に導入した学校の実践事例を取りまとめて提供することで、教職員が特別支援教室についての理解を深め、学校全体で運営に取り組むとともに、保護者等へのより適切な説明を行えるよう、しっかり支援をしてまいります。

○小林委員 次に、都営地下鉄の取り組みについてお伺いします。
 初めに、防災対応の強化についてですが、先日、練馬区光が丘で開催された地下鉄の防災対策の取り組みについてと題する講演会に参加された方よりご意見をいただきました。
 その講演会では、こちらの交通局作成の都営地下鉄防災ハンドブックも活用して行われたそうですが、(資料を示す)ご意見をいただいた方が、東日本大震災際の際、都営地下鉄の運行状況を知る手がかりとして役に立ったのが、多くの人たちが発信をしたツイッターによる情報だったそうです。
 交通局としても、ツイッターの公式アカウントがあり、日常的な運行状況等を発信していますが、特に災害時には、運行状況はもとより、駅の入場制限など、SNSを活用して必要な情報提供を的確に行っていけば、帰宅困難者対策の一つになるのではないか、また、都営地下鉄防災ハンドブックですが、SNSを活用した災害時の情報提供の取り組みが紹介されていないので、QRコードなどで交通局の公式アカウントを掲載し、SNSの活用を紹介していくべきではないかとのご意見もいただきました。
 SNSを積極的に活用した情報発信と、SNSの活用を紹介したこちらの防災ハンドブックの充実に取り組んでいくべきと思いますが、いかがでしょうか。

○山手交通局長 都営地下鉄では、交通局の公式ツイッターなどを活用いたしまして、十五分以上遅延が発生した場合などに運行情報を随時提供しておりますほか、台風の接近や降雪が見込まれる際には、事前に注意喚起を行ってございます。
 地震などの災害発生時にもツイッター等を活用いたしまして、運行停止から復旧の見通し、運転再開等の情報を提供しておりますが、今後、さらなる情報発信の充実を検討してまいります。
 また、ただいまご紹介いただきました私どもの都営地下鉄防災ハンドブックに、お話のように、ツイッターで情報を発信していることを掲載してまいりますとともに、公式アカウントのQRコードを表示することなどによりまして、災害時の運行情報などを、より多くのお客様にご利用いただけるよう努めてまいります。

○小林委員 次に、バリアフリーに関する課題でございますが、都営地下鉄大江戸線光が丘駅は、約一万三千世帯の方々が居住されている団地群に囲まれており、一日の乗降人員はそれぞれ三万人を超えております。
 光が丘駅の出口は、都道を挟んで北側に四カ所、南側に一カ所あります。エレベーターは北側に一カ所設置されていますが、南側にはなく、かねてより設置を求める多くの声をいただいております。
 近接団地群の住民の方もご年配の方が多くなり、バリアフリーの充実と利便性を高めていく上でも、エレベーターの増設をぜひとも検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山手交通局長 交通局では、光が丘駅を初め、都営地下鉄全駅で、ホームから地上までエレベーター等を利用して移動可能な、いわゆるワンルートの整備は既に完了してございます。
 現在、経営計画二〇一六に基づきまして、二〇二〇年東京大会も見据えまして、乗りかえ駅等へのエレベーター整備に取り組んでおりまして、平成三十三年度までに十六駅に整備する予定でございます。
 ただいまお話がございました光が丘駅への新たなエレベーターの設置につきましては、その後の整備計画を検討する中で、駅の利用実態や駅施設の構造上の課題等を勘案しながら、設置の可能性を検討してまいります。

○小林委員 新たなエレベーターの設置は、駅の構造上の課題もあるかと思いますが、設置の可能性を検討していくとの答弁でもございましたので、ぜひとも増設に向けた前向きな検討をよろしくお願いしたいと思います。
 昨年四月に、国土交通省の諮問機関である交通政策審議会が、東京圏における今後の都市鉄道のあり方についてとの答申を発表し、事業化に向けて進めるべきとされた六路線について、都が策定した二〇二〇年に向けた実行プランで、具体化に向け、事業スキームなどの検討を実施するとしております。これには、練馬区の都営地下鉄大江戸線の光が丘から大泉学園町方面への延伸も含まれております。
 先日、大江戸線の延伸が計画されている町会の新年会にお伺いしました。町会長より、これまで東京都には二十回、延伸のお願いに行った、ここまでしてもまだ延伸が具体的にならない、一体何なんだという思いだと火を吐くようなご挨拶をされておりました。
 私も重く受けとめた一言でありましたけれども、ソフト、ハード両面にわたって検討すべき課題があるのも重々承知をしておりますが、交通政策審議会答申で大江戸線は、都、区部北西部、北多摩北部及び埼玉県南西部と都心部とのアクセス利便性の向上と意義づけられており、鉄道空白地域にお住まいの皆様の悲願でもある大江戸線の延伸実現に向け、ぜひとも知恵を絞っていただき、一刻も早い延伸決定と整備着手に取り組んでいただくことを改めて強く要望したいと思います。
 次に、介護職員への処遇改善についてお伺いします。
 この問題は、都議会公明党も繰り返し取り上げてまいりましたが、私も多くの介護職員の方から、賃金アップを初めとする処遇の実効的な改善を求めるご相談、ご要望を数多くいただいております。
 昨年の予算特別委員会で我が党の代表総括質疑の際にも指摘しましたが、介護報酬改定における介護処遇改善加算が本当に賃金上昇に結びついていくために、国も都もさらに取り組みを進めていくことが重要であります。
 処遇改善加算による賃金改善の方法は、事業者から介護職員に支払われる基本給はもちろん、手当、賞与、一時金などによることも認められており、具体的な方法については事業者が判断するものと認識していますが、処遇改善加算が確実に賃金に結びついていかねばなりません。
 処遇改善加算の実施に当たっては、職員の方々に、賃金改善の内容を十分にご理解いただき、適切な制度の運用を図っていくためにも、都として積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 現在、処遇改善加算を受ける事業者には、賃金改善等に関する計画を作成し、事業所内全ての介護職員へ周知することが義務づけられております。
 また、本年四月からの処遇改善加算の拡充に当たりましては、国の通知の中で、職員への周知には作成した計画書を用いるとともに、新たに、経験や資格に応じて昇給するなど、キャリアアップの仕組みを定めた就業規則等の内容について周知することが示されました。
 さらに、この通知では、職員から加算による本人の賃金改善について照会があった場合には、改善内容を書面等により、わかりやすく回答することを事業者に求めております。
 今後、都は、介護職員に対し適切な説明が行われるよう、研修会やホームページなどを通じて介護事業者に周知徹底を図ってまいります。

○小林委員 また、都では、平成二十七年度から国の介護キャリア段位制度を活用して、職責に応じた処遇を実現するキャリアパスの導入に取り組む事業者を支援する補助制度を開始しておりますが、さらなるキャリアパスの整備、普及が必要であると思います。
 都内のキャリア段位制度の実績は、本年二月時点で、補助創設前の平成二十六年度末に比べると、段位を取得した職員数は約十・八倍の四百七十五名となり、全国に比べても大幅に伸びる成果を上げているとのことですが、今後、さらなるキャリアパスの導入を推進していくために、補助制度の充実を図るべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 キャリアパスの導入を一層推進するため、来年度から、キャリアパス導入促進事業の内容の充実を図ることといたしました。
 まず、より多くの事業者にキャリアパスの導入の意義や効果を理解してもらうため、社会保険労務士などの専門家による個別相談を新たに実施いたします。
 また、段位を評価するアセッサーの養成講習受講料の助成を開始するほか、段位取得者に対する支援を充実するため、各事業所への補助期間を、これまでの三年間から最大で五年間に延長をいたします。
 さらに、平成三十年度からは、離職率の低下など、本事業による成果を評価する助成金を支給する考えでございます。

○小林委員 次に、障害者施策についてお伺いいたします。
 私は先日、地元の重症心身障害児の放課後等デイサービスを運営されている事業所を視察いたしました。精力的に取り組まれているその事業者さんは、現在は一カ所のみ運営されておりますが、区内にもう一カ所、施設を整備していきたいと取り組んでおられます。
 施設を利用されているご家族の方とも意見交換をいたしましたが、やはり身近な地域にこうした重症心身障害児向けの施設がふえていくことを切望されておられました。
 先月、公明党の真山祐一衆議院議員が、予算委員会分科会でこの問題を取り上げました。その際、厚生労働省は、今後、新たに都道府県及び市町村において障害児の福祉計画を策定することが義務化された中で、重症心身障害児を支援する事業所を各市町村に少なくとも一カ所以上確保することを目標として設定し、全国に基本指針として示していくとの意向を示しました。
 都としても、今後、障害児福祉計画の策定に当たっていくこととなりますが、重症心身障害児やそのご家族が抱えている課題を的確に丁寧に掌握して、通所施設を初めとする専門的支援の提供体制の整備に積極的に取り組んでいくべきであると思います。
 今回、国が示した方向性を踏まえ、重症心身障害児の施設整備の今後の取り組みについてお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都は現在、重症心身障害児が地域で安心して生活できるよう、障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおきまして、平成二十九年度までの三年間で百三十人分の定員増を目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成を行うなど、通所施設の設置を促進しております。
 昨年改正された児童福祉法では、お話のように障害児福祉計画の策定が自治体に義務づけられ、国は現在、その基本指針の中に、平成三十二年度末までに、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業所等を、各市町村に少なくとも一カ所以上確保することを成果目標として盛り込むことを検討しております。
 都は来年度、障害児福祉計画を盛り込んだ障害福祉計画を策定する予定でございまして、その中で、通所施設の整備目標を定め、設置を促進していく考えでございます。

○小林委員 多くの障害者の方が住みなれた地域で暮らし続けたいとの願いを持たれている中、グループホームの役割が重要になってまいります。障害者の中には、人工呼吸器や経管栄養など、日常的に医療的ケアが必要な方も多くおられますが、グループホームでは、こうした医療的ケアが必要な障害者の受け入れがなかなか進んでいないのが現状でもあります。
 こうした実態を解消していくためにも、都として、地域居住の場であるグループホームにおいて、医療的ケアを要する障害者の受け入れが進むよう支援を行っていくべきと思いますが、いかがでございますでしょうか。

○梶原福祉保健局長 お話のように、現在、グループホームでの医療的ケアが必要な障害者の受け入れは進んでいない状況にございます。
 そのため、都は来年度から、訪問看護ステーション等と連携して、医療的ケアが必要な障害者の受け入れを行うグループホームに助成等を行う区市町村を包括補助で支援をいたします。
 具体的には、介護など日常生活上の援助に加え、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアにも対応できる生活支援員の増配置に必要な経費を助成いたします。
 また、グループホーム事業者、相談支援事業者、訪問看護ステーションなどによる連絡会の開催や研修の実施など、医療的ケアが必要な障害者のグループホームへの受け入れ促進に向けた関係機関相互の連携体制の構築も支援することとしております。

○小林委員 平成二十八年度の東京都女性活躍推進大賞を受賞された重度障害者の海老原宏美さんが、新聞紙上に寄せた寄稿に次のように記されておりました。知事もお会いになったかと思いますけれども。
 価値をつくり出すという能力は、唯一、人間にのみ与えられている、そう考えるとき、ただそこに静かに存在するだけの人間にその尊厳を見出すことも、人間だからこそできるはずだ、それができなくなったとき、相模原であったような悲惨な事件が起こってしまうのではないだろうか、存在するだけで社会に価値とは何かを問い続ける、そんな重度障害者は、存在しているだけで社会に大きく貢献しているとはいえないだろうか、このように記されておりました。
 この言葉を、障害者施策を推進していく上で、ともどもに重く受けとめていきたいというふうに思います。
 最後に、豊洲市場の事業継続性についてお伺いします。
 昨日、我が党の上野和彦議員より、豊洲市場への都民の皆さんの見学ツアーの実施を提案したところ、知事は、いい提案をいただいたと答えられました。私も、法律に基づいた安全に加え、都民に実際に見ていただくことが大変重要であると思います。ぜひ、なるべく早く実現をしていただければと思います。
 知事は、移転を検討するに当たり、市場の事業継続性が大事だとおっしゃっております。企業の財務上の健全性や将来性を推しはかるときに、減価償却はもちろん必要な要素ではありますが、それに加えて、長期的な資金繰りに問題はないか、つまり、キャッシュ・フローが回るかどうかも大切な判断要素になると考え、我が党はさきの代表質問でこのことを取り上げました。
 市場の将来を見ていく上で、キャッシュ・フローを含めて検討していくことが、知事のおっしゃる総合的な観点からの判断において大切であると思いますが、知事の見解を最後にお伺いします。

○小池知事 ご質問ありがとうございます。市場の安全・安心を確保するには、総合的に判断しなければならないとは再三再四申し上げておりますが、その中の一つに、財務上の健全性の観点ということもございます。
 そして、今後、市場の事業の継続性、持続可能性、これを検証する際には、今ご指摘ございましたように、キャッシュ・フローの考え方も参考にさせていただきたいと考えております。

○ともとし副委員長 小林健二委員の発言は終わりました。(拍手)

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