予算特別委員会速記録第四号

○野上(ゆ)副委員長 両角みのる委員の発言を許します。
   〔野上(ゆ)副委員長退席、高橋副委員長着席〕

○両角委員 都民ファーストの会東京都議団の両角みのるでございます。皆様お疲れさまでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず初めに、ライフワークバランスについて伺いたいと思います。
 きょうの朝刊各紙に、一面の全面広告が載っておりました。別所哲也さんと小池百合子知事の対談の模様が出ていて、働き方の改革でライフとワークを充実、東京から変えていくと、そういった内容の新聞広告、東京都が出している広告でございます。きょう見られた方も大勢いらっしゃるんではないかなと思いますけれど、小池知事が選挙公約にも掲げましたライフワークバランスを東京から実現をしていくということは非常に意義深いことであると、このように考えております。
 ライフワークバランスについては、子育て、あるいは介護、働き方、通勤の快適化など幅広い分野にまたがる政策であるため、その中の幾つかについて伺いたいと思います。
 まず初めに、子育ての関連でございますが、認可外施設利用支援事業について伺います。
 昨年、緊急待機児童対策の一環として新規に創設をされた認可外施設利用支援事業は、子供が通う保育園の位置づけの違いによる保護者負担格差、すなわち認可保育園と認証保育園に通っている保護者では、費用負担が随分違うというようなことを埋めることに資する待望の制度でありました。
 そこで伺いたいと思いますけれど、この事業は、児童一人当たり月額四万円を上限に区市町村が行う認可外保育施設利用者補助額の二分の一を補助するもので、認可外保育施設利用者支援を通して、待機児童解消の一翼を担うものであります。
 そこで、認可外保育施設利用支援事業の平成二十八年度の実績を伺います。特に、本事業の活用によりまして、新たに保護者負担の軽減に取り組むようになった自治体の数、さらには、現行水準よりさらに保護者負担を軽減した自治体についてお聞かせをいただきたいと思います。

○梶原福祉保健局長 現在、認可外保育施設の利用者の負担軽減を行っている区市町村は二十三区二十三市一町で、そのうち二十二区二十三市一町が今年度補助を申請しており、都は、総額で約九億八千万円を交付決定しております。
 本事業の実施に伴い、年度内に負担軽減内容を充実させた区市町村は七つの区市となっております。
 来年度は、現在、負担軽減を行っていない三市も実施を予定しており、これにより全ての区市が実施する見込みでございます。

○両角委員 お手元に資料がございまして、そちらの三枚目をお目通しいただきたいんですが、(パネルを示す)今局長の方からご答弁ございましたけれど、九億八千万円、この補助が使われた、交付決定をされたと。そして結果として、二十三区中二十二区、二十六市中二十三市がこの東京都の事業を活用しているということで、それがこの表であるわけでありますけれど、この中で、下に矢印がついているのが七つ、三つの区と四つの市がございます。
 この七自治体については、東京都の事業を活用したことによって、結果として保護者負担も下がった。要はレベルがアップしたということです。それ以外につきましては、都の事業を活用したんだけれど、保護者の負担は変わらなかった。つまり、自治体の財源として東京都からの補助金を使って、半分は財源が楽になったけれど保護者の負担は変わらないと、そういった状況がほとんどであります。
 こうした実情を踏まえると、新年度からの事業実施に当たっては、この都事業による実際の果実が直接保護者に届くように補助要綱を改正し、区市町村の補助が、従前よりも充実をするような働きかけを強化すべきではないかと思いますけれど、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 保育の実施主体は区市町村でございまして、認可外保育施設の利用者の負担軽減は、区市町村が議会での議論を経て実施をしております。
 その具体的な方法は、一律定額の助成であったり、所得に応じた助成あるいは認可保育所の保育料との差額への助成などさまざまでございまして、都が月額上限四万円としている事業内容を上回って実施している区市もございます。八万円上限というところもございます。
 本事業は、こうした区市町村の取り組みを支援するものでございまして、都は、この事業の活用を区市町村に働きかけてまいります。

○両角委員 実際、例えば、三鷹市等では、保護者に対する補助が一万円から、この都の事業を使って二万円にふえています。ですから、この都の事業によって、保護者は実際に楽になったなという実感を受けるわけでございます。そういった効果をできるだけしていただけるように、この事業のレベルアップにつながるように、東京都には働きかけていただくように要望をしたいと思います。
 続きまして、介護の人材確保ということについて伺いたいと思います。
 都の高齢者保健福祉計画では、平成三十七年度の介護人材の不足が三万六千人と見込まれておりまして、毎年二千八百人の新規の介護人材を掘り起こしていかないことには、この介護人材の需給ギャップというものを埋めることはできない。すなわち、マンパワー不足によって必要とされる介護サービスを提供できないような状況になるということでございます。
 このため、都は、ここ数年、多額の予算を割いて、介護人材確保に向けた事業を実施しているわけでありますが、予算に比して実際の執行が低くて、事業の実を十分に上げることができていないのではないか、このように感じる次第でございます。
 資料の四枚目をお目通しをいただきたいと思います。(パネルを示す)東京都では、この介護人材確保に向けて、ここ数年、いろんな事業を展開しております。
 特に、ここでは三つの事業を取り上げておりますけれど、職場体験事業、介護職場の体験ができるという事業。それと、トライアル雇用事業というのは、三カ月間、福祉、介護事業所に行って仕事をする、その仕事の経費は都が全額見てくれる、そしてその仕事をしながら、その資格を得ることができるというそういった制度。そして介護職員キャリアパス導入促進事業ということで、これはキャリアパスの導入をしていくような事業所には補助を出していくと、そういったような事業で、それぞれ中身はすばらしいものだと思っておりますが、これらの執行率が非常に低いんですね。
 具体的にいうと、青は予算額で赤が決算額でありますけれど、職場体験事業は三カ年実施をされておりまして、ほぼ、四千二百万に対して千八百万という執行額でございますので、四四%ぐらいで推移をしている。トライアル雇用事業については、これは四三%、四七%の執行率。そして介護職員キャリアパス事業、これが一番ボリュームが大きいものでありますけれど、平成二十七年度スタートした事業で、十一億円の予算額に対して執行は五千六百万、すなわち五%ちょっとの執行でありました。にもかかわらず、翌年度の二十八年度では、予算を二・五倍の二十六億円までにふやしているというような状況があるわけでございます。
 こういった、それぞれいい事業だと思うんですが、執行率が低いというようなことに対して、どのように認識をしているのか。特に、このキャリアパスの事業についてはかなり執行も低くて、翌年、予算もどんとボリュームをとったわけでございまして、ここら辺の原因を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 職場体験事業は、今お話がありました介護業務を経験したことのない都内在住在学の学生などを対象に、またトライアル雇用事業は、介護分野への就労を希望する資格のない方を対象としておりましたが、我が国の労働需給が厳しい状況にある、いわゆる人手不足という状況にあることに加えまして、介護職場のマイナスイメージや制度の周知が十分でなかったこともあり、執行率が低かったものと認識をしております。
 特に、キャリアパス導入促進事業についてでございますけれども、これは国のキャリア段位を評価すると、いわゆるアセッサーが評価するということなんですが、このアセッサー養成講習が年一回の実施にとどまっているということで、なかなかアセッサー講習ができなかったと、アセッサーを育てられなかった。それから、介護事業者に本事業の意義や効果が十分に理解されていないということなどが原因であると考えております。

○両角委員 今、そもそもこの雇用状況が、介護の有効求人倍率というのは非常に高いということもありまして、厳しい状況は理解をするわけでございますけれど、工夫を重ねていっていただきたいというふうに思います。
 そして、平成二十九年度予算案でございますけれど、これは、それぞれ予算を減しております。この予算要求はいかなる観点から行って、そしてまた、この新年度予算要求、予算における事業の改善点というのはどういうものか伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 介護人材対策の平成二十九年度の予算要求に当たりましては、事業実績等を踏まえて精査をいたしまして、規模や事業手法などを見直し、所要額を計上したところでございます。
 具体的には、職場体験事業について、来年度、介護業務の未経験者に加え、経験者であっても体験を希望する方にも対象を拡大し、トライアル雇用事業を通じて再就職の支援も行うことといたしました。
 また、キャリアパス導入促進事業につきましては、事業所の数を見直すとともに、専門家による個別相談やアセッサー養成講習の受講料の助成を開始するほか、段位取得者に対する支援を充実するため、各事業所への補助期間を三年間から最大で五年間に延長するなど、施策の充実を図ることといたしました。

○両角委員 これまでの都の介護人材確保の、予算はついているけれど事業が十分に実施できないというような状況を拝見いたしますと、参加者へ向けてのPRが十分でないのか、あるいは事業を実施するに当たっての執行ノウハウが不足しているのか、体制が十分でないのか、さらには、事業そのものが、このニーズを捉えていないのではないかというようなことも含めて真摯に検討をしていただきたいと思います。
 そこで、この介護人材対策事業の現状と課題を踏まえた上で、今後の介護人材確保の展開について伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 都は、福祉の仕事の魅力や、やりがいを発信する若者向けのイベントの開催や、合同採用試験の実施、あるいは研修受講の機会を確保するための代替職員派遣の支援、職員の資質向上のための介護福祉士の資格取得の支援、離職防止のための相談支援、職場環境改善への支援など、介護人材の確保、育成、定着を柱に、介護人材対策をさまざまな形で総合的に進めております。
 来年度は、先ほど申し上げたキャリアパス導入促進事業の拡充に加えまして、介護職員宿舎借り上げ支援事業の規模拡大、福祉職場への就労を支援する新たなシステム構築などに取り組むこととしております。
 お話のとおり、介護人材というのは、確保というのを非常に大きな課題だというふうに考えております。
 今後、次期高齢者保健福祉計画の策定に着手する予定でございまして、介護人材対策についても実施状況を評価し、必要な見直しを図りながら、施策の充実を図ってまいりたいと考えております。

○両角委員 介護人材の不足が、この介護の施策の隘路とならないような有効策を期待したいと思います。
 引き続きまして、快適通勤ということで伺いたいんですけれど、通勤混雑はサラリーマンが毎日実感をしていることでありまして、このことを都が正面から政策課題として取り上げた意味は大きいと、このように思っております。
 新年度予算では、国や鉄道事業者、民間企業から成る快適通勤プロモーション協議会、これを立ち上げ、夏には鉄道利用者、事業者双方に働きかけを行って、快適通勤ムーブメントを実施するとのことであります。
 通勤混雑緩和の動きに期待をするところでありますけれど、より効果的な取り組みを展開していくには、ソフト面のみならずハード面の施策も総動員して考えることが重要であると思いますが、所見を伺います。

○邊見東京都技監 鉄道の混雑緩和には、鉄道の利用者、事業者双方の取り組みが重要でございます。
 これまでも、鉄道事業者により、車両の長編成化や補助制度を活用した新線の建設、都の連続立体交差事業と一体となった複々線化などが実施されてきてございます。
 鉄道ネットワークのさらなる充実に向けては、国の答申において、事業化に向けて検討を進めるべきとされた六路線を中心に、関係者とともに課題について検討を行ってございます。
 今後、快適通勤ムーブメントにより、混雑緩和に向けた機運を醸成し、ピーク時混雑の分散化を図るとともに、鉄道事業者に対し、こうしたハード施策の実施についても促してまいります。

○両角委員 東京都は、鉄道事業者に対する具体的な権限を有していないわけでありますけれど、しかしながら、このような政策課題として正面から取り上げていくということでありますので、これまで以上に積極的にかかわって政策を前に進めていただきたいと思います。
 この都内の鉄道の混雑状況というのは、時間帯や路線によってもさまざまでありまして、課題も比較的に簡単なものから困難なものまでいろいろあると思います。
 そこでまずは、路線ごとの状況を踏まえて、利用者、事業者の双方の声を把握することが重要と思いますけれど、こうした調査の実施をしていくべきではないかということに対する見解を伺います。

○邊見東京都技監 ムーブメントをより実効あるものとしていくためには、お話のように課題の把握や効果の検証などを行うことが重要でございます。このため、ムーブメントの参加者を初め、鉄道利用者の声を幅広く聞いていく予定でありまして、これに関する予算を計上してございます。
 具体的な実施方法などについては、今後検討してまいります。

○両角委員 このライフワークバランスの政策については、さまざまな部局横断的なものがございます。所管が非常に多岐にわたりますことから、施策を効果的に進めるには、役所の縦割りというのは不十分であると思います。
 そこで、知事に伺いたいと思いますが、そのためには、知事の強くて明確なリーダーシップこそが有効ではないかと考えますが、ライフワークバランス政策に向けての知事のご決意を伺いたいと思います。

○小池知事 まず、仕事の生産性を上げる、家族と過ごす時間、そして、みずからを高める、スキルアップする時間も大切にする。ライフワークバランスというのは東京の活力を高める鍵だと考えております。
 そこで、都庁で、隗より始めよという認識のもとで、育児、そして介護を初めとする生活と仕事を両立できる職場づくりに向けて、私を筆頭にいたしまして、管理職全員がイクボス宣言を行ったのはご存じのとおりであります。
 それから、二つ目に、毎日遅くとも二十時、もう九時過ぎていますけれども、退庁することを基本ルールとする二十時完全退庁を突破口にしまして、ライフワークバランスの実現への職員の働き方改革に全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
 こうした取り組みを一層強力に推進していくためにも、都政改革本部で、ライフワークバランスを所管する関係局で構成するプロジェクトチーム、横串を刺すプロジェクトチームを立ち上げたところでございます。
 これによりまして、都庁の働き方改革を前進させるとともに、関連する各部門が強固に連携しながら施策の展開を図って、そしてそれが、いつしかというか、できるだけ早いうちに、社会全体のライフワークバランスの実現につながればと、このように考えているところでございます。

○両角委員 次に、ブランディングということについて伺いたいと思いますが、江戸東京きらりプロジェクト推進委員会について伺います。
 都では、フランスのコルベール委員会を参考に、江戸東京きらりプロジェクト推進委員会を立ち上げ、東京の伝統産品という宝を発掘し、ブラッシュアップして世界に発信していくための仕組みづくりに向けた取り組みが始まっております。
 こうした動きは、夢のある取り組みであるということで期待をするところであります。昨年の十二月に開催をされた、この会議の内容、議事録を拝見すると、コルベール委員会ジャパン・チェアマンのリシャール・コラス氏、あるいは、ようかんの虎屋の社長さんなどが、活発な議論をされていて、これからが楽しみだなと、そんなふうに感じたわけでございますが、こういった東京のいろんな分野で戦略的なブランディングが今求められているんではないかというふうに感じるわけでございますが、その際に、知事の発信力を生かしていくことができれば、よりよい効果が生まれるんではないかと、このように感じている次第でございます。
 そこで、知事に伺いますが、江戸東京きらりプロジェクト、このプロジェクトへの意気込みを伺いますとともに、発信力のある知事みずからがその広報担当として東京のブランド価値を高めていってほしいと思うわけでございますが、知事の所見を伺います。

○小池知事 お尋ねの江戸東京きらりプロジェクトの件でございます。
 この江戸というのは、四百年以上の歴史を育み、そして今、東京として花開いているわけでございます。その歴史に裏打ちされた老舗企業の逸品や伝統的な工芸、そして、たくみのわざ、さらには食の文化、多くの宝物があちこちに、きらりきらりとあるわけでございます。
 こうした宝物は東京の財産でありますし、これらをまず発掘をして、そして新たな視点から磨き上げると、それによって価値を高めていく、さらに効果的なプロモーションができれば、世界に発信、しっかりとその情報が届くことだと思います。
 今回の江戸東京きらりプロジェクトでは、まずその牽引役となる意欲ある老舗企業などの取り組みを一種のモデル、ビジネスモデルとして選定をいたしまして、これらを宝物としてまとめて宝石箱に入れて、そして、国内外に向けてさまざまな機会を捉えて発信しようという考え方でございます。
 コルベール委員会というフランスの組織も、お互いにライバル企業ではあるんですが、ただ、フランスということのくくりでお互いにウィン・ウィンの構造を世界で展開をしていくという、そのような委員会になっておりまして、いわゆる有名なブランド企業などが、お互いにそれで高め合っているということで、結果的に国益にかなっているというような委員会でございます。
 これも一つのモデルにしながら、伝統ある日本の、そして東京の産業の魅力を高めて、わざの継承を図ると同時に、二〇二〇年に向けましてブランディングを進めていく、そして、東京をクール東京と呼ばれるような都市にしていきたいと、このように思っております。
 高付加価値をもっともっとつけるということを少し考えた方がいいのではないかということで始めるわけでございまして、こうした目的を実現するために、私自身、先頭に立ちましてプロジェクトを進め、着実に成果を上げてまいりたいと思っております。

○両角委員 知事も、二回の会議に全部出席をされてるというふうにお聞きをしましたので、ぜひ、これがいい形に展開をしていくことを期待したいと思います。
 引き続きまして、多摩振興について伺います。
 就任以来、小池知事は、被災地はもとよりでありますけれど、多摩地域にも足を運んでいただいて、多摩を重視する姿勢というのを鮮明にされてこられました。また、多摩の全市町村長と直接会って話を聞く機会を設けたということも画期的なことではないかと感じるわけでございます。
 そこで、知事に伺わせていただきたいと思いますが、五日間にわたって市町村長とも意見交換をしたと、この結果を今後の都政にどのように生かしていくのかということを含めて、知事の多摩地域への思いというのを伺いたいと思います。

○小池知事 既にご存じのように、多摩地域というのは東京の面積にして二分の一、人口で三分の一を占めている。また、高い技術力を持つ中小企業も点在しております。大学、研究機関も集積をしているということで、その発展は東京に活力を与えてくれるものと、このように考えております。
 昨年の十月には、フラッグツアーイベントに合わせまして、奥多摩町、檜原村を訪問させていただきました。本当に緑に囲まれて、自然、そして地域の特産物など、ワサビなどですね、さまざまな魅力を実感したところでございます。
 そして、このフラッグツアーでありますけれども、オリンピック・パラリンピック旗のレプリカをつくりました。それは八王子のシルク生地が使われております。それから、今、組織委員会から発売をしております、エンブレムのあのデザインを活用した風呂敷兼スカーフでありますけれども、あの素材も八王子の素材を使っております。染めは早稲田、新宿でございます。一〇〇%メード・イン東京ということになるわけでございますが、そのシルクの産業なども含めまして、多摩地域には、大変な宝物、昔から、昔ながらの宝物も、今、先端をいく宝物も両方あるというふうに認識をしております。
 一方で、多摩地域は人口の減少、少子高齢化への対応を初めとして道路や交通インフラの整備や防災対策、それぞれ地域ごとに諸課題抱えておられることも承知をいたしております。
 そこで、来年度の予算において、市町村総合交付金を初めとして、活力と魅力を高めるまちづくりの推進、地域を支える都市インフラの整備、観光、そして、ものづくりを初めとする産業の振興など、多摩地域の発展に必要な施策の一層の充実をこの予算案に盛り込ませていただいたところでございます。
 先般、市町村長の皆様とお会いしましたけれども、意見交換の結果を踏まえまして、それによって、より現場のニーズに合った予算執行につなげられるのではないか。現地にも積極的に足を運びまして、市町村と緊密に連携しながら、効果的な振興策を展開してまいりたいと存じます。

○両角委員 どうもありがとうございます。
 まさに、この多摩の各地に、現地に行っていただいて、話を直接、首長さんから聞いていただいて、そこから感じたことを政策として落とし込んでいただきたいと思いますし、また、このフラッグツアーのフラッグであったり、オリ・パラのマフラーを、私の地元の八王子、しかも、織物の息子でございますから、それを使っていただいて、今、各地を回っていただいてるというのは、大変ありがたく、八王子市民を代表して御礼を申し上げたいと思います。
 次に、公共調達について伺いたいと思います。
 入札契約などの公共調達の改革ということは、自治体永遠のテーマでもあります。
 そこで、都の入札契約の課題と今後について伺いたいと思いますが、パネルをですね、まず、お配りの一枚目の契約状況というのを見ていただきたいと思います。
 地方自治法の規定によれば、地方公共団体が行う契約は、一般競争入札を原則として、指名競争入札は例外規定であります。
 しかしながら、都の工事の入札実績を見ると、ごらんのとおり、過去三年間、指名競争入札の割合が九五%前後となっているわけでありますが、なぜ東京都では、この指名競争入札が圧倒的な形になっているのか伺います。

○武市財務局長 東京都では、工事案件の太宗を占めます九億円未満の工事につきまして、原則として一般競争入札の要素を取り込みました都独自の希望制指名競争入札を適用しているため、そのような結果になってございます。

○両角委員 都独自の希望制指名競争入札を取り入れているから、ほとんどが希望制指名競争入札ということでありますが、では、この希望制指名競争入札とは、どのような制度で、指名競争入札とはどんな点が異なるのかということを教えていただきたいと思います。

○武市財務局長 都の発注工事の九割は、中小企業が受注しているという状況を踏まえまして、競争性を損ねることなく、できる限り多くの中小企業に対し、入札参加機会を確保するため、都は中小規模の工事に希望制指名競争入札を導入しております。
 通常の指名競争入札は、適正な履行が可能な事業者を選定することで品質の確保が容易である一方、入札参加者全員を指名するという裁量行為が官製談合等につながるというおそれが指摘されております。
 これに対しまして、希望制指名競争入札は、発注者の恣意性を排除するため、一般競争入札と同様に、あらかじめ入札参加希望者を公募し、希望者が少ない場合には公表している指名基準にのっとって追加指名を行い、逆に希望者が多い場合には、一定の数となるまで指名を絞り込む仕組みとしておりまして、競争性、透明性の点におきまして一般競争入札と実質的な差は少ないものと考えております。

○両角委員 東京都では、基準では、予定価格が五百万円以上の工事では、基本十者を指名するということになっておりますが、先ほどのご答弁では、希望制指名競争入札においても、参加者が少ない場合には追加指名をするとのことでありました。その場合の具体的な追加指名の方法を伺います。また、逆に、希望者が多過ぎた場合の具体的な対応を伺いたいと思います。

○武市財務局長 まず、入札参加希望者が十者に満たない場合には、競争性を高めるために、事業者の等級格付、営業所の所在地、専門性などの指名基準にのっとりまして追加の指名を行っております。
 また、入札参加希望者が十者を超える場合には、都内事業者、発注等級に格付されている事業者、指名回数の少ない事業者などが優先的に入札に参加できるよう配慮いたしまして、参加希望者の数に応じて十者、十五者あるいは二十者となるように指名を絞り込んでおります。

○両角委員 お配りの資料の二枚目を見ていただきたいんですけれど、(パネルを示す)今、この希望制においても、数が多い場合は絞り込むと。数が少ない場合は、再度声をかけて指名をすると。具体的な平成二十七年度の工事で見ると、約五千件ぐらいのうち、三五%は応募が多数、いっぱいあり過ぎて数を絞ると、あなた少しやめてくださいということを東京都がすると。三五%の工事については、逆に、参加者が少なくて、おたくとおたく参加してくださいと追加指名をするということが、この指名競争の今の実態でもあります。
 そういうことを考えると、先ほど、これは利点があって、一般競争入札にも通じるんだというお話がございましたが、この指名競争入札においては、発注者の裁量による恣意性や入札価格の高どまり、さらに官製談合の温床となるというようなことがたびたび指摘をされてきたわけでありますが、このような状況を見ると、追加で声をかけたり、あるいは絞り込むために担当者が行うということは、まさに指名競争入札そのものと一緒でございまして、そういった意味では弊害があるのではないかと思います。
 そこで、今後、都では、東京都独自のこの希望制指名競争入札をベースとした現状の入札契約制度から一般競争入札をベースとした方式に抜本的に改めていくべきではないかと考えるわけですが、見解を伺います。
 また、談合情報対応や、安易な特命随意契約を排することなども含めた入札契約改革が求められていると思います。ワイズスペンディングの観点に立った今後の公共調達改革への取り組みと決意を伺います。

○武市財務局長 希望制指名競争入札は、入札参加希望者をあらかじめ公募することから、発注者の裁量による談合は制度的に発生しにくい仕組みになっていると我々考えております。
 加えまして、あらかじめ指名基準を公表するなど、指名の恣意性を極力排除する制度構築を心がけてはおりますけれども、今後につきましては、一般競争入札のあり方についてさらに検討を深めて、改善すべき点があれば改善につなげていきたいと考えております。
 もとより、入札契約制度は、時々の状況や時代背景に応じた不断の改革、改善が必要でありまして、透明性、公平性の観点、競争性の向上、さらには中小企業の育成、受注機会の確保などの社会的要請も考慮いたしまして、都民目線から見て納得が得られる制度の構築が重要でございます。
 現在、都政改革本部において、談合情報への適切な対応等も含めまして、入札契約制度の改革に向けた検討を進めております。年度内を目標に改革案を取りまとめていきたいと考えております。

○両角委員 年度内で改革案を取りまとめていくというお話でありますので、今、この指名という行政の裁量が働くようなことで工事の質なり、あるいは競争性を担保するということではなくて、制度としてそれができるようにしていただきたいということをお伝えしておきたいと思います。
 時間がなくなってまいりましたので、端的に伺います。
 高額医療機器の購入と保守管理の一体契約ということで伺います。
 CTやMRIなどの高額医療機器、都立病院等で購入をしておりますけれど、私、かつて委員会で、これを実態としては、購入と保守管理--保守管理については、メーカー系列が全部特命随意契約を行っているのが実態でありますから、であれば、都立病院等でその機器を購入して、あるいは保守管理をする、それを一体のトータルコストを比較すべきだということで質問をさせていただいたんですが、契約の規定上、それはできるのか、できないかということについて、できないという答えが委員会であった。それに対して、財務局長、もう一度そのことを確認したいと思います。

○武市財務局長 法令上、お話のような規定はなく、これまで発注した実例もございませんが、逆にそれを否定するような法令等の定めもございませんので、債務負担行為による複数年度契約とすることで、制度上、対応可能であるとも考えております。

○両角委員 要は、高額医療機器を購入することと保守管理一体の契約は、やろうと思えばできるというような回答でありました。
 では、なぜ平成二十八年三月に、私が厚生委員会で同様の質問をしたときに、制度上これはできないんだと、制度上と答弁をしたのかということを伺いたいと思いますし、あわせて、今後、この高額医療機器の購入や買いかえに当たっては、病院経営の視点から、この機器の購入、保守管理の一体契約を導入してトータルコスト比較をしていくべきだと思いますけれど、病院経営本部長の見解を伺います。

○内藤病院経営本部長 機器購入、保守委託の一体契約につきましては、都の現行規定では、売買、賃貸、請負など異なる形態を複合した契約の定めがなく、また、運用例も見当たらなかったことから、お話のありました昨年の厚生委員会の時点では、事業所管局として実施が困難であると認識しておりました。
 先ほど、財務局から、否定する法令等もなく、制度上は可能であるとの見解が示されたことから、状況によりましては、契約手法の選択肢が広がる余地があるものと受けとめてございます。
 このため、今後、一体契約の導入に関します効果検証や、制度上、製品指定が認められていない中、事前に保守点検内容をどのように仕様書に盛り込むかといった実務上の課題等も整理、検討する必要があると考えております。
 なお、来年度は、コスト削減を一層図るため、保守委託の複数年契約の導入も試行的に実施する予定でございます。

○高橋副委員長 両角みのる委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後九時三十三分休憩

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