予算特別委員会速記録第四号

   午後六時五十分開議

○ともとし副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 栗林のり子委員の発言を許します。

○栗林委員 それでは初めに、結婚、妊娠、出産、子育て、教育と切れ目のない、この支援に関することから、何点か伺わせていただきます。
 平成二十四年の予算特別委員会、この場所で、この場所に立ち、私は質疑時間の三分の一ほどを使いまして、結婚の支援の必要性について質問させていただきました。
 非婚、晩婚化ということを背景に少子化という問題を考えたとき、この結婚というテーマをきちんと政策の中に位置づけるべきだということを訴えさせていただきました。
 ところが、結婚という問題は行政が取り組むことではないという感覚が根深くあり、また、結婚というテーマを扱う部局もなく、結局、どの局長からもご答弁をいただくことができませんでした。
 ちょうど、その同じころ、国会では婚活議連が立ち上がり、その婚活議連の会長に、当時国会議員でいらっしゃいました小池知事が就任されたとの報道があり、私はそのニュースを受けて、大変力強く感じ、勇気をいただいたところでございます。以来、粘り強く取り組んでまいりました。
 結婚支援とは、決して価値観や生き方に入り込み押しつけをするのではなく、あくまでも結婚を希望する人に対して実現できるよう応援することであります。
 また、結婚という、そうした選択だけではなくて、それぞれが選択、希望する生き方も尊重される、多様な生き方を応援する、それが東京の活力につながると確信しております。
 その後、粘り強く取り組み続けさせていただきまして、港湾局では、海の森倶楽部を利用しての婚活イベントや、また、福祉保健局においては、子育て応援ファンド事業で婚活を取り入れたということで、少しは前進はいたしましたが、以来、我が党は、もっともっと進めるべきだということで、昨年の予算特別委員会では、まつば議員が、そして昨年四定では、高倉議員が質問をさせていただきました。
 そして、今回、うれしいことに、今月四日、東京都結婚応援イベント、TOKYO縁結日二〇一七、これが東京国際フォーラムで開催されました。この実施を決断された知事のリーダーシップに、感謝と感動でいっぱいでございます。
 初めに、東京初の大きなムーブメントとなる、このイベントに参加された知事の所感と今後の展望について伺います。

○小池知事 婚活支援についてのご質問、ありがとうございます。
 お触れになりました、TOKYO縁結日二〇一七でございますが、おかげさまで何と三千名もの方々にご来場いただきまして、大にぎわいでございました。そしてまた、多くのメディアでも報道されるなど、注目を集めるものとなったと思います。それから、来場者のアンケートによりますと、約七割の方々から肯定的な回答をお寄せいただいております。
 こうしたことから、今回のこのイベントは、誰もが生き生きと輝くダイバーシティーの実現に向けて、結婚を希望する方々の後押しをする、また、結婚支援の機運を醸成するという目的にかなうものであったかなと受けとめております。
 いつかは結婚したいと考えている方々が、実際に一歩踏み出すためには、二〇二〇年東京大会、オリンピック・パラリンピックですね、誰と一緒に見ようといったような具体的な目標やイメージを持っていただく、そして社会全体で結婚を応援する機運を醸成していくことが重要だと考えております。
 今後も、個人の価値観や人生観にも十分配慮しつつ、民間の方々と連携をしながら、東京の島々を、例えば船舶で周遊する婚活ツアーなどを後押しするなど、結婚したいと願う方々の希望の実現に向けまして、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 私は、基本的に少子化の一番の課題は婚姻数の減少にあると、このように考えておりますので、この婚活支援、しっかり進めてまいりたいと考えております。

○栗林委員 ありがとうございます。
 私も、引き続き婚活応援団として頑張っていきたいと思っております。
 今回の知事の施政方針にも、そして今お話にもありました、島しょ全域の観光振興にも結びつく、島々を船舶で周遊する婚活ツアーの提案は、我々も求めてきた取り組みだけに、大いに期待をするところでございます。
 この事業の詳細と今後の展開について伺います。

○藤田産業労働局長 これまで都は、島しょ地域の魅力ある資源を生かし、旅行者の誘致を図るアイデアを民間のノウハウに結びつけて実現する取り組みを行ってきたところでございます。
 お話の来年度は、島しょ地域を周遊する際に利用する船舶での移動時間を効果的に活用いたしまして、出会いの機会に結びつける観光ツアーをつくり、いわゆる婚活にも役立ててまいります。
 具体的に申し上げますと、まず、船舶の利用を組み込んだ観光コースについて、旅行事業者やイベント会社によるモニター調査を実施いたします。その結果を踏まえまして、旅行会社が船で島を周遊する観光ツアーを作成する費用の二分の一について、百万円を上限に助成を行ってまいります。また、縁結びをテーマに島の観光スポットを特集したガイドブックを作成いたしまして、ツアー参加者をふやす工夫も行ってまいります。
 こうした多様な取り組みによりまして、島しょ地域の観光客の誘致を効果的に進めてまいります。

○栗林委員 ぜひよろしくお願いいたします。季節も大変重要でございますので、できるだけやはり夏ぐらいに企画していただくと、大変シーズン的にもよろしいのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 今後は、局横断的な、さまざまな企画も期待できると思います。オリンピック・パラリンピックを目標に、結婚の機運醸成のさらなる高まりに向けての今後の取り組みに期待をさせていただきます。
 続きまして、妊娠相談ほっとラインについて伺います。
 平成二十五年第四回の定例会の一般質問で、私は、妊婦健診の未受診や飛び込み出産などのリスクを抱える妊娠、出産に対する問題を解決するために、妊娠相談体制の構築を求めたところでございます。
 都は平成二十六年度より、妊娠相談ほっとラインを開設し、そして今年度からは、我が党の提案を受け、電話相談の受け付け時間の延長も図られたところでございます。
 東京で暮らす若い世代の中には、妊娠や出産に関して身近に相談相手がいない人も多く、この妊娠相談ほっとラインは、匿名で気軽に利用できることから、貴重な相談窓口でございます。相談内容によっては、助言や情報提供をするだけではなく、継続的な支援が必要な場合があります。受けた相談がしっかり決着がつくまで支援がつながるよう取り組むべきと考えます。
 そこで、今年度の利用状況と、ケースに応じて継続的な支援につなげる工夫についてお伺いします。

○梶原福祉保健局長 今お話にありましたように、今年度から妊娠相談ほっとラインでは、電話相談の時間を一日六時間から十二時間に延長しておりまして、一カ月の平均相談件数は、昨年度の百二十八件から、今年度は二百三十五件と、一・八倍に増加をしております。
 この窓口では、妊娠や出産に関する悩みを抱える女性からの相談に対し、看護師等の専門職が電話やメールで助言等を行いますとともに、相談内容に応じて、医療、保健、子育て支援などの関係機関を紹介しております。特に継続的支援が必要と判断した場合には、区市町村の保健所や保健センターへの相談を勧めております。
 また、区市町村は、妊娠届け出時の面接など、さまざまな機会を通じまして、悩みを抱える妊婦を把握し、支援につなげる取り組みを行っており、都は、ゆりかご・とうきょう事業や包括補助で支援をしております。

○栗林委員 継続的な支援が必要なケースは、やはり地域の行政機関につなげるまでが大変重要ではないかと思います。また、支援に当たっては、医療機関、警察、福祉事務所等、ケースに応じて関係機関が連携することが必要でございます。
 妊娠相談から支援までの、この流れをぜひ図式化していただいて、安心マップというようなものなども作成をして、わかりやすく、相談から解決まで見える化していただくことを求めておきます。
 妊娠相談ほっとラインでは、予期しない妊娠や、また、望まない妊娠に関する相談が、何と三分の一を占めているということであります。生まれて間もない子供が死亡に至るような事件を防ぐためにも、望まない妊娠のケースへの対応が大変重要でございます。
 そのようなケースの場合、妊婦健診がやはり未受診であったり、飛び込み出産など、緊急な対応が求められます。救急車で病院に搬送された場合、母子手帳もなければ住民票もわからないケースなども多いと聞きます。
 そこで、総合周産期母子医療センターの機能も持つ都立病院における、こうした未受診妊婦への支援の状況について伺います。

○内藤病院経営本部長 総合周産期母子医療センターに指定されてございます都立病院では、お話の未受診妊婦を数多く受け入れているところでございます。こうした妊婦の大半は、家庭環境や経済面等に課題を抱えていることから、退院後も母子が安心して生活を送れるよう、入院中から育児指導や生活環境の改善に向けた支援を行うことが重要と認識してございます。
 現在、都立病院では、医療ソーシャルワーカーを中心に区市町村と連携いたしまして、出産後の母子手帳の取得や退院後の保健師の見守り、さらには生活保護の申請などの支援を行っております。
 今後とも、支援を必要とする母子を確実に関係機関につなぎ、入院時から退院後まで切れ目なく支えていくことで、一人でも多くの母子の生命と健康を守っていきたいと考えております。

○栗林委員 未受診妊婦の場合は、本当に身近に相談したり、頼れる人がいない場合が多いようです。総合周産期母子医療センターを有している都立病院こそ、さまざまな問題や悩みを抱える妊産婦に対して、一層丁寧な対応、支援に努めていただきたいと思います。
 また、さまざまな事情から、出産しても自分で育てることができない場合には、さまざまな必要な支援につなげていくことが必要であり、特別養子縁組もその重要な選択肢の一つではないかと思います。
 都は、いよいよ来年度から、特別養子縁組を前提とした新生児委託事業を開始するとのことでありますが、私も以前より、この事業の推進を求めてきたことから、期待は大きいところでございます。
 そこで、事業の具体的な内容について伺います。

○梶原福祉保健局長 里親子の愛着関係を育むには、早期に養子縁組里親への委託に結びつけることが重要でございます。
 そのため、都は来年度から、養子縁組が最善と判断した場合には、できる限り新生児のうちに委託するための新生児委託推進事業を開始いたします。
 この事業では、児童相談所と乳児院に専任の職員を配置し、いつでも交流が開始できるよう、里親に対して、沐浴や体調管理など新生児の養育に関する研修を実施いたします。乳児院での交流開始後は、里親の養育不安を軽減するための助言や、里親子関係のアセスメントを短期間で集中的に行い、委託につなげてまいります。
 また、委託後も、家庭訪問等により、養育状況を確認するとともに、里親からの相談に応じるなど、安定した養育が行えるよう支援してまいります。

○栗林委員 以前、我が党も、愛知県で先駆的に取り組んでいる愛知式新生児里親委託事業なども視察をさせていただき、早く東京都でも導入をしていただきたいと強く求めてきたところでございます。しかし、先日は、こうした制度を利用して詐欺行為を働いていた民間事業者が逮捕されるという、とんでもないことで、許されることではありません。
 現在、こうした事業者は届け出制で済むため、悪徳事業者を見抜くことが難しいともいわれております。届け出制から許可制として、少しハードルを高くすることも必要と考えます。そして、実績のある信用度の高い優良の民間団体とは、行政のパートナーとして認定団体として位置づけるなど、官民による支援ネットワークを構築し、連携を図ることが不可欠ではないかと思います。
 先ほどの未受診妊婦の場合ですけれども、こういう例がありました。
 緊急事態で妊婦からSOSが支援団体に入りました。その支援団体は、救急車を手配し、この支援団体も同行して病院に行きました。しかし、この支援団体が、身内でも行政の担当者でもないため、なかなか信用してもらえず、手続などのサポートが大変困難だった。また、時にはトラブルになることもあるようでございます。行政だけの支援では抜け落ちてしまう、このすき間の支援、こうした支援は、この民間力が担ってくれています。
 今後は、事業の開始に当たり、特別養子縁組が必要な妊婦がいた場合には、この事業に確実に結びつくように、関係する医療機関や区市町村の母子保健機関に周知することが必要でございます。
 東京式新生児委託推進事業が多くの方々に喜んでいただける制度となるよう要望いたします。
 次に、産後ケアについて伺います。
 妊娠から出産、子育てと、そうした支援のモデルとして、我が党は、フィンランドの理想的な子育て支援体制でもあるネウボラをモデルとして、東京版ネウボラをいち早く制度化することを求めてきました。その結果、ゆりかご・とうきょう事業を始めたことは高く評価させていただきます。
 しかし、産後ケアについては、一部の区市町村で取り組みが始まっておりますが、まだまだ少ないのが現状でございます。
 そこで、助産所に関して区市町村に情報提供するほか、区市町村が拠点を整備できるようにするなど、都内で産後ケアの取り組みが進むよう、区市町村を支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 産後ケアは、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で重要な取り組みでございます。そのため、都は、ゆりかご・とうきょう事業などによりまして、産後ケアに取り組む区市町村を支援しており、現在十の区市が実施をしております。
 また、区市町村が産後ケアの実施拠点を整備できるよう、改修経費についても補助をしております。
 さらに、産後ケア体制の整備の参考となるよう、担当者連絡会で各区市町村の取り組みや、昨年度行いました助産所や産婦人科医療機関における産後ケア等の実施状況調査の結果を紹介しております。
 今後とも、より多くの区市町村が産後ケアに取り組めるよう、母子保健従事者研修など、さまざまな機会を通じまして、積極的に働きかけてまいります。

○栗林委員 世田谷区では、全国初でこの産後ケアセンターが誕生しました。子育て中のお母さんたちに聞いてみると、多くの方がこのセンターを利用されていて、口々に、あのケアセンターがあったので、今こうして不安なく子育てができていますとおっしゃっていました。
 病院から退院をして不安でいっぱいのときに、このセンターは利用できます。そして、このセンターの、入ったときにかけてくださる言葉、それは、ゆっくりお母さんになりましょうねという言葉なんです。この言葉を聞いただけで、どれだけ安心感が生まれるか。困ったときはいつでもいらっしゃい、こういう安心の拠点になっています。ぜひこの都内でも設置が進むようお願いしたいと思います。
 国においても、来年度から産婦健診の補助事業を開始すると聞いています。こうした取り組みとあわせたり、また、隣接区市で合同で、幾つかの区で合同で利用ができる拠点をつくるなど、産後ケアが進むよう区市町村に働きかけていただきたいと思います。
 また、産前産後の時期に限らず、子育て家庭は、子供の成長に伴い、さまざまな課題を抱え、その都度、支援が必要な家庭に対しては、地域の関係機関が連携して対応することが必要であり、その関係機関の支援に早期につなげていくことが、児童虐待など、未然に防止する上でも重要であります。
 こうした対策について伺います。

○梶原福祉保健局長 現在、都内全ての区市町村は、子供家庭支援センター、児童相談所、学校、保健所等の地域の関係機関で構成するネットワークを構築し、各関係機関が情報の共有を図りながら、援助方針などを確認し、児童や家庭への支援を実施しております。
 来年度は、新たに、このネットワークの中心となる子供家庭支援センター等に巡回支援チームを設置する区市町村を包括補助で支援をいたします。
 この巡回支援チームは、学校、学童クラブ、保育所などの関係機関を定期的に巡回し、養育困難や貧困などの課題や不安を抱える家庭の情報収集を行い、より早期に必要な援助につなげることを目的としております。
 これにより、関係機関の連携を一層強化し、児童虐待の未然防止に取り組んでまいります。

○栗林委員 次に、保育園待機児童解消に向けての取り組みについて伺います。
 企業主導型保育施設の設置促進について伺います。
 待機児童解消には、多様な保育サービスが不可欠でございます。その一つが企業主導型保育施設でございます。これは企業内保育と違いますので、よく間違われるのではないかと思うんですが、この保育施設は、企業が従業員のために、会社と同じ建物でなくても、駅の近くや住宅地などに設置できるもので、自社の従業員だけでなく、他の企業との共同利用や地域に住む方も利用できる施設です。
 この施設について、国が開設に要する設置工事や大規模修繕経費などの四分の三を補助するものであり、運営費も補助されると聞いております。こうした補助制度を活用すれば、企業の実情に応じて、比較的柔軟な形態で整備できる点で、大変意義ある事業だと思います。この補助制度は、ことしから開始されたものであり、まだまだ広く企業に知られているとはいえません。
 都は、こうした制度を広く周知すると同時に、企業主導型保育施設の設置、運営に関する企業の疑問や不安に応えるような取り組みが必要と考えますが、都の来年度の具体的な取り組みを伺います。

○藤田産業労働局長 都は、国の企業主導型保育事業の認知度を一層向上させるため、来年度から、経済団体や金融機関等を通じて広く企業に周知を図ってまいります。また、保育所設置に関する企業からの相談に対応する窓口を新たに設けまして、検討開始から設置に至るまで、一貫したサポートを行ってまいります。
 この相談窓口では、セミナーも活用して、設置のメリットや開設までの手順等を企業にお伝えをするほか、既に運営されている保育所の見学会を行い、必要なノウハウを提供することで企業の疑問や不安を解消し、設置の促進を図ってまいります。
 加えまして、開設時の負担を軽減するため、国の助成対象となっておりません備品等の購入経費に対しまして、定員に応じて最大三百万円まで助成する都独自の支援を、年間百件規模で実施をする予定でございます。
 待機児童の解消につなげるためにも、こうした取り組みを通じまして、企業による保育所の整備を強く促してまいります。

○栗林委員 次に、性犯罪防止、被害者支援について伺います。
 性犯罪の処罰のあり方を百十年ぶりに変える刑法改正案が閣議決定されました。近年、性犯罪の被害者が勇気を持ってその非道さを訴え続けてきて、その結果、性犯罪が悪質化し、信頼関係で成り立っていた学校や家庭にまで忍び込む事実が明らかにされました。改正案は、被害者の声を重たく受けとめ、性犯罪を厳罰化したものでございます。
 昨年も、名門といわれている有名大学の学生や医大生による集団レイプ事件、卑劣きわまりない残忍な犯行に怒りが頂点に達します。性犯罪を許さない社会をつくらなければなりません。
 先日の第一回定例会の一般質問においても、我が党の遠藤都議が質問をさせていただいたところであります。私の方からは、初めに、子供や青少年に対する性犯罪未然防止と被害者支援について伺います。
 スマートフォンの急速な普及やインターネット利用の低年齢化に伴い、子供たちを取り巻く環境は、想像を超えるほど急激に変化しています。
 三十年ほど前ですが、パソコンがまだここまで普及されていなかったころです。情報通信機器の専門家がいっていたことを思い出します。情報化社会、情報化社会といっても、情報の情は情けと書く、報は報いである。情けとか報いるとか、こういう人情とか心がベースになければ、真の情報化社会は成り立たないといっていました。今改めて、本当にそのとおりだと感じます。
 心が育まれ、想像力が豊かになり、危険を判断できる力を備えつける教育もあわせて重要でございます。情報があふれ、そこで溺れてしまう子供たち、そして若者を断じて守らなければなりません。
 都のネットトラブルの相談窓口では、特に子供の性的画像が他者に渡り、公開されるなどの被害、トラブルが急増しております。二〇一一年度、二十七件だった相談件数が、二〇一五年度には百四十一件、わずか四年で五倍以上になっています。その中でも、被害のうち四割前後が、いわゆる自画撮り被害と聞いています。被害者の中には、不登校になったり、人前に出られなくなったり、また、画像をもとに実際に会うことを強要され、さらなる性犯罪に遭ったとの相談もあります。
 この子供の自画撮り被害を未然に防止するため、都は、条例改正を含め、東京都青少年問題協議会において対策を検討しているとのことでありますが、未来ある子供たちが被害に遭わないための取り組み強化策について伺います。

○廣田青少年・治安対策本部長 都は、青少年がネット上のいじめや有害サイト等のトラブルに巻き込まれたときに相談できる窓口として、こたエールを開設し、各種相談に応じてまいりました。
 ご指摘のように、最近では、ネットで知り合った見知らぬ男性と画像をやりとりするうちに、要求がエスカレートし、自分の裸の画像を送らされてしまったり、同年代の女性に成り済ました男性に同様の画像を送ってしまうなど、子供の判断力の未熟さにつけ込んだ、いわゆる自画撮り被害が増加し、被害に遭った子供たちを苦しめております。
 そこで今回、東京都青少年問題協議会で、悪質な働きかけ行為自体を条例で規制することも含め、効果的な未然防止策を検討するとともに、学校関係者や警察等と連携し、こうした働きかけに子供が安易に応じないよう、子供や保護者への普及啓発を強化してまいります。

○栗林委員 少子化といわれる中、一人一人の子供が大切にされる社会でなければならないと思います。理不尽な大人の金もうけや欲望のはけ口にされることは絶対に許されません。どうか、そのような強い決意で対策を講じていただきたい。そして、条例は罰則規定も設け、周知することも要望させていただきます。
 続いて、女性の性犯罪、性暴力被害の支援について伺います。
 都は、平成二十七年七月より、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業を開始しております。スタートから一年八カ月が経過いたしました。まず、昨年一年間の相談窓口の利用状況と、そこから見えてきた課題について伺います。

○多羅尾総務局長 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの利用状況は、平成二十八年の一年間で見ると、相談が約六千件、産婦人科や警察などへの付き添い支援が約百六十件でございました。
 日々受けている相談、支援の実績から、被害者の声を受けとめ必要な支援につなぐというセンターの役割は、一定程度果たすことができていると認識しております。
 しかしながら、まだ声を上げられないでいる多くの被害者がいると考えられるので、その思いをすくい上げるためにも、ワンストップ支援事業の相談窓口の存在を、より広く都民に周知していくことが必要でございます。
 今後は、創意工夫を凝らして、相談窓口の認知度を高めていくことが課題であると考えております。

○栗林委員 相談窓口を知ってもらうことが大事だと思います。一般都民向けの啓発イベントなど、今後の取り組みについて伺います。

○多羅尾総務局長 都はこれまで、先ほど答弁いたしました相談窓口である性暴力救援ダイヤルを、ホームページや啓発行事、研修会などで周知してまいりました。
 今後はこれに加え、SNSを積極的に活用するとともに、多くの観客が集まるスポーツイベントなど、さまざまな機会を用いて、広く都民にPRしてまいります。
 また、犯罪被害者週間行事において、性犯罪、性暴力をテーマとして取り上げ、被害の深刻さへの理解や、被害者への誤解の解消等に努めていきます。
 これらの取り組みを通じ、性被害の悩みを抱えた方々への確かな支援を図ってまいります。

○栗林委員 続きまして、特別支援学校における医療的ケア児への支援について伺います。
 私の地元世田谷区には、肢体不自由校の光明特別支援学校があり、通学している生徒のうち、医療的ケアの必要な生徒は約三〇%であります。特に呼吸器使用児は、都の医療的ケア実施要綱により、親が常時同室待機しなければならない状況です。また、通学も自主送迎ということから、負担軽減を考える必要があります。
 国も、このような課題を重たく受けとめ、法改正を受け、医療的ケアが必要なお子さんを支えるために、医療、福祉、教育の連携を求めています。
 また、世田谷区では、こうした医療的ケアを必要とする子供たちを支援するために、医療連携推進協議会、障害の部を立ち上げ、この問題に取り組み出そうとしています。
 都は、医療的ケアを必要とする子供の支援体制の構築に向け、こうした各区の取り組みとも連携をしながら取り組み強化をすべきと考えますが、所見を伺います。

○梶原福祉保健局長 医療的ケアが必要な障害児が、地域で適切な支援を受けながら生活できるようにするためには、医療、保健、福祉の連携を強化し、在宅生活を支えるサービスを充実していく必要がございます。
 このため、都は、来年度新たに、地域で医療的ケア児の支援にかかわる関係機関の連絡会を設置いたします。
 連絡会には、保健所、訪問看護ステーション、障害児通所施設などに加えて、自治体からも参加を求め、医療的ケア児に関する情報共有や連絡調整のほか、支援方策等について検討を行う予定でございます。
 お話のように、現在、地域においても、さまざまな取り組みが始まっておりまして、今後、区市町村と連携しながら、医療的ケア児への支援を進めてまいります。

○栗林委員 さまざまな困難があるかと思いますけれども、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 今、国も国家戦略特区制度の中で、医療的ケア児の教育のための、訪問看護及び居宅介護の特区における規制緩和として、現行の法律制定時には想定されていなかった医療的ケア児への対応のため、居宅は学校も含むと解釈すべきであるというような議論がなされていると聞いております。この特区制度が具体的になった際は、都は真っ先に手を挙げていただきたいと思います。
 光明特別支援学校は、今、改築工事も始まっています。校舎が新しくなるだけではなく、このソフト面の改善も重要と考えます。
 世田谷区には、国立成育医療研究センターがあり、その病院内の院内学級そよ風は、都立光明特別支援学校の分教室であります。医療、福祉、教育をいかに結ぶかという、ぜひモデル校として取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、都道補助第二六号線の進捗状況と今後の予定について伺い、私の質問を終わります。

○西倉建設局長 補助第二六号線の東北沢地区は、世田谷区と渋谷区、目黒区の区境に位置し、目黒区駒場四丁目から渋谷区大山町までの延長五百五十メートルの区間で、木密地域不燃化十年プロジェクトにおける特定整備路線として事業を進めております。
 本事業の進捗状況でございますが、昨年の十二月末現在、約九割の用地を取得し、排水管や電線共同溝の設置工事を実施しております。
 引き続き、残る用地の取得を進めまして、平成二十九年度から、全線にわたり街路築造工事に着手することとしております。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、着実に整備を進め、地域の防災性向上を図ってまいります。

○ともとし副委員長 栗林のり子委員の発言は終わりました。(拍手)

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