予算特別委員会速記録第三号

   午後九時二十九分開議

○高橋副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 桜井浩之委員の発言を許します。

○桜井委員 小池知事を初め、理事者の皆様におかれましては、連日大変お疲れさまでございます。
 私の質問は、ちょっと地味な質問になるかとは思いますが、どうかしっかりご答弁をいただけますよう、冒頭にお願いを申し上げたいというふうに思います。
 初めに、子育て応援とうきょうパスポート事業について質問をいたします。
 昨年の第四回定例会でも触れましたが、都では、社会全体で子育てを応援する機運を醸成することを目的に、昨年十月から子育て応援パスポート事業を開始したわけです。事業趣旨に賛同した協賛店が、中学生以下の子供がいる家庭や妊婦さんに対し、粉ミルクのお湯の提供や商品の割引等のサービスを提供しております。
 この事業の成功に至っては、子育て家庭に関連する多種多様の協賛店をふやすことにかかっていると思います。
 そこで、子育て応援とうきょうパスポート事業の協賛店拡大に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、より多くの事業者の方に子育て応援とうきょうパスポート事業に協賛をしていただけるよう、東京商工会議所、日本百貨店協会、日本フードサービス協会、日本チェーンストア協会等を通じ、各団体に加入する企業等に働きかけております。
 また、「広報東京都」やホームページにより、広く協賛店を募集いたしますとともに、区市町村の子育て支援や商店街振興の担当部署を通じて、地域の企業や店舗等に協賛を呼びかけております。
 こうした取り組みによりまして、本年三月一日現在、パスポート事業の協賛店は、飲食店やスーパー、衣料品店、美容院など千五百二十店となっております。

○桜井委員 昨年の第四回定例会では、協賛店が約千二百店ということでありましたので、ただいまの答弁で、その後千五百二十店までふえたということは大変喜ばしいことであります。
 しかし、事業を開始してから日が浅いこともあり、子育て家庭からは、本事業を知らないという声も耳にいたしております。
 子育て応援とうきょうパスポートの利用促進に向けた取り組みを進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、パスポート事業を広く都民の方に知っていただくため、提供されるサービスや協賛店等の情報をお知らせする運営サイトを開設しております。運営サイトでは、スマートフォン等でデジタルパスポートをダウンロードできるようにしておりまして、現時点で六千名以上の方に利用をいただいております。
 また、パスポートを印刷したチラシを約九万部作成いたしまして、子育て支援や母子健康手帳の交付窓口など区市町村を通じて配布するほか、子育て世帯向けのイベントでも事業の周知を図っております。
 今後、百貨店と連携したキャンペーンを実施する予定でございまして、保育所や子育て広場など子育て家庭に身近な場所にポスターを掲示するなど、パスポートの利用を一層促進してまいります。

○桜井委員 今後の取り組みにより、利用者がさらに拡大することを期待いたしたいと思います。
 また、都内の一部自治体では、このとうきょうパスポート事業と同様の取り組みを独自に実施しているところがあります。
 こうした事業に参加している利用者や事業者は、既にパスポート事業の趣旨に理解があると考えることから、とうきょうパスポートの利用者や協賛店の拡大に向けては、こうした自治体と連携して、その地域の企業や店舗等に働きかけていくことも有効ではないかと思います。
 今後とも区市町村と連携を密にして、子育て応援とうきょうパスポート事業を推進していただきたいと思います。
 そこで、小池知事にお伺いをしたいと思います。
 知事は、政治家として長年活動されていらっしゃいますが、その中で大手企業に対しても多くの人脈があるというふうに思います。そういう中で、前段におきまして、この事業の成果というものは、いかに多くの協賛事業者を募ることにかかっているというふうに申し上げさせていただいたわけでありまして、大手チェーン店やレジャー施設を経営されている事業者に、知事からご協力をいただくということも有効だというふうに考えておりますけれども、知事のご所見をお伺いいたします。

○小池知事 安心して子供を産み育てることができる、そんな東京を実現するためには、社会全体で、子供、そして子育て家庭を支援することが重要でございます。
 今お尋ねの子育て応援とうきょうパスポート事業にいたしましても、こうした機運を醸成するために、企業、そしてまた店舗などの協力を得て、地域の中で子育て環境を整備する取り組みでございますが、よりこの流れを広く知らしめていく、そして活用してもらうということ、東京全体にこの取り組みが広がるように、子育て応援とうきょう会議、そしてさまざまな子育てのイベント、都の広報紙、ホームページなどを通じまして、わかりやすい情報を必要な方に積極的に発信する、届けるようにしていきたいと思っています。

○桜井委員 次に、都立墨東病院における医療について質問したいと思います。
 私の地元墨田区を含む区東部保健医療圏は、人口に対する病院数、病床数、医師数、看護師数などがいずれも都平均、全国平均を下回るなど、医療資源が不足している地域であります。
 都立墨東病院は、東京ERや高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターなど、さまざまな重要な機能を持つ基幹病院として、地域において不可欠な存在であります。
 先日の代表質問で、この墨東病院が今回新たにスーパー総合周産期センターに指定されるという答弁がありました。
 思い起こしてみると、十年以上前から産科医や小児科医など周産期医療にかかわる人材の不足が叫ばれており、墨東病院も平成十八年には新規分娩の受け付けを休止、また、二十年六月には、土日祝日の母体搬送の受け入れ制限をせざるを得ない状況に陥っていました。
 このような状況の中、平成二十年十月、複数の医療機関に救急搬送要請を拒否された妊婦さんが、脳内出血で亡くなられるという痛ましい事態が起きました。産科医の確保や救急医療体制のあり方など多くの課題が明らかになり、我が党は速やかに、周産期医療提供体制の早期構築を緊急要望いたしました。あれから八年以上が経過しました。
 そこで、墨東病院におけるこれまでの産科医師確保のための取り組みと、平成二十七年度の周産期医療の実績についてお伺いをいたします。

○内藤病院経営本部長 墨東病院を初め都立病院におきましては、これまで必要な医師確保に向け、その処遇改善や勤務環境整備、東京医師アカデミーの開講など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。あわせて、大学医局との関係強化も図ることで、墨東病院の産婦人科常勤医師は、本年二月時点で十一名となり、お話しいただきました搬送困難事案が発生する直前の平成二十年九月の四名に比べまして、七名増加してございます。
 これらの医師確保の取り組みによりまして、墨東病院の分娩数は、平成二十年度二百二十八件から、平成二十七年度八百五十五件と大幅に回復してございます。また、平成二十七年度の母体搬送受け入れ件数は二百一件と、都内トップクラスの実績となってございます。
 引き続き安定的、継続的な周産期医療提供体制の充実に向けて、医療人材の確保、育成に着実に取り組んでまいります。

○桜井委員 これまでの医療人材の確保、育成などの取り組みにより、現在、墨東病院における周産期医療体制が確保されているということが確認できました。
 一方、施設設備面においては、救急医療機能等の強化のため、平成二十三年度より新棟の整備などを実施しており、私も平成二十六年五月の開棟式に出席をさせていただいたところであります。
 周産期医療においても、母体救命に的確に対応するためには、救命救急医療の強化が必要となります。
 そこで、墨東病院において母体救命を行うため、ハード面において救急医療機能をどのように強化をしてきたのか伺います。

○内藤病院経営本部長 出産の高齢化などに伴いますハイリスク妊産婦の増加等を踏まえまして、緊急に処置が必要な妊産婦の受け入れを強化するためには、周産期医療と連携して母体救命に対応する救命救急医療を強化することが重要でございます。
 墨東病院では、新棟の整備に伴い、より重症の患者を受け入れられるよう看護師を手厚く配置した救命救急特定集中治療病床の増床を行うとともに、救急搬送患者を受け入れる初療室を増設いたしました。
 また、検査時におけます院内移動リスクを最小限に抑えるため、CT検査と血管撮影を一カ所で行えるようにするとともに、ERや初療室と同一のフロアに放射線検査室を新たに整備するなど、救急受け入れ体制の強化を図ってまいりました。
 今後も、高機能の救急医療部門と周産期医療部門が一体となりまして、母体救命救急に対応してまいります。

○桜井委員 周産期医療体制の危機的状況から八年以上が経過し、ソフト、ハード両面からのさまざまな取り組みを実施するなど、それこそ墨東病院が都民のために汗をかいて努力してきた結果が、今回、スーパー総合周産期センターの指定につながったものと認識いたしております。
 少子高齢化が進展する中、将来の我が国を支えていく子供たちや、その子たちを産み育てていく母親の生命と健康を守るため、墨東病院が今回、必ず受け入れるスーパー総合周産期センターの指定を受けたことは、一つの課題に対して都としての回答を出したものと評価をいたしたいと思います。
 次に、墨東病院における脳血管疾患、心疾患への対応力の強化についてお伺いをいたします。

○内藤病院経営本部長 区東部保健医療圏で唯一の救命救急センターを有している墨東病院は、脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患医療及び心筋梗塞といった心疾患医療においても重要な役割を担っております。
 一刻を争う脳血管疾患には、診療放射線科等と連携しながら、救急専用のMRI、CTなどの医療機器を使用して対応するとともに、心疾患医療では、心臓カテーテル検査室などを備えまして、質の高い医療を提供してございます。
 これに加え、平成二十六年度に脳卒中集中治療室、いわゆるSCUを六床新たに整備し、平成二十七年度には心臓冠動脈疾患治療室、いわゆるCCUを三床から六床に増床するなど、増加が見込まれます脳、心疾患患者への受け入れ体制を一層強化いたしました。

○桜井委員 脳梗塞に代表される脳血管疾患は、特に高齢者に多く、また、平成二十五年の国民生活基礎調査によると、寝たきりとなる要介護状態四及び五の主な原因の第一位となっています。同じく急性心筋梗塞や心不全などの心疾患も高齢者に多く、また、日本人の死亡原因では、がんに次いで第二位となっております。
 団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年には、都における六十五歳以上の高齢者数は約三百三十二万人、七十五歳以上の後期高齢者人口は約百九十八万人と推計されており、平成二十七年より、高齢者で約三十一万人、後期高齢者に至っては約五十四万人も増加することが見込まれております。
 脳梗塞は、二〇一五年における一日の六十五歳以上の入院患者数が八千二百二十二人に対して、二〇二五年には一万八百六十七人、心不全は、同じく二〇一五年に二千六百三十五人に対して、二〇二五年には三千七百十四人と、高齢化に伴い入院患者数も増加する見込みです。
 高齢化の進展に伴い患者数の増加が見込まれており、地域の拠点である墨東病院において、積極的に診療体制を強化していく必要があります。
 そこで、墨東病院における脳血管疾患医療及び心疾患医療の強化について伺います。

○内藤病院経営本部長 先ほども若干ご答弁させていただきましたが、一刻を争います脳血管疾患には、診療放射線科等と連携しながら、救急専用MRI、CTなどの医療機器を使用して対応するとともに、心疾患医療におきましては、心臓カテーテル検査室などを備えまして、質の高い医療を提供してございます。
 いずれにいたしましても、墨東病院が高度救命センターであり、また、区東部保健医療圏におきまして唯一の救命救急センターを有しているということから、その役割をきちんと果たしてまいりたいと、このように考えております。

○桜井委員 一般的に高齢者は、一人で多くの疾患や合併症を持つことに加え、療養期間が長期化する傾向があるといわれています。
 一方、病院経営を取り巻く環境が厳しい中、DPCなど現行制度の中で病院を効率的に運営するため、早期の転院や退院を促す病院もあると聞きます。
 今般、地域医療構想においては、医療機関の機能分化が求められておりますが、病床機能や経営の効率化を踏まえつつも、患者目線の医療を忘れてはなりません。患者中心の医療を掲げる都立病院は、患者さんそれぞれの病態や事情に合わせた患者中心の医療を提供していくべきであると考えます。
 そこで、患者中心の医療の提供に向けて、墨東病院がどのように取り組んでいくのか伺います。

○内藤病院経営本部長 患者さんの病態や抱えるご事情はさまざまでございまして、一人一人に応じた治療や相談支援等の一層の充実が欠かせません。墨東病院では、身体への負担が少ない治療の提案や、円滑な転退院に向けた調整等を推進してございます。
 例えば、治療に当たりましては、内視鏡や心臓カテーテル等による低侵襲な手術に取り組んでおります。今月末には、新たにハイブリッド手術室を稼働させる予定でございます。さらに、後遺症の軽減や合併症の予防を目的に、急性期リハビリテーションにも積極的に取り組んでいるところでございます。
 一方、相談支援におきましては、退院後も安心して地域に帰れるよう、多職種のスタッフが連携して患者支援センターを運営してございます。
 今後とも、治療後の生活の質の向上にも十分配慮しながら、患者中心の医療を展開してまいります。

○桜井委員 高齢化の進展や医療と介護の一体的な改革の推進など、今後も医療を取り巻く環境は激しく変化していくことが予想されます。将来に向かって積極的に病院の経営基盤を確立するとともに、患者さんの目線を持ち合わせた患者中心の病院運営を続けていくことが、今後、都立病院に求められる姿であると考えます。
 そして、医療環境の変化はもちろんのこと、大規模災害などの状況下においても、都民の生命と健康を守り続けることが都立病院の最大の使命です。引き続き、都における安全・安心の医療を提供していくことをご期待いたしております。
 次に、木造密集地域対策について質問します。
 墨田区は、かつて七割に及ぶ区域が戦火に焼かれ廃墟と化しました。その後、焼け跡に人々が集まり、住宅や工場が建ち並び、目覚ましい復興を遂げました。
 この間、区は、学校などの教育施設を充実させ、文化、産業施設を増設するなど、区民生活の向上のためにさまざまな課題に取り組んできましたが、復興の足取りが力強かったからこそ、生活道路などの都市基盤整備が不十分なまま市街化が進み、特に北部地域は、いわゆる木密地域となり、現在に至っております。
 区はこれまでも、国の制度を活用し、都の支援を受けながら木密地域の改善に取り組んできましたが、現状は厳しいものとなっております。
 都が実施している地域危険度測定調査において、過去、墨田三丁目地域は総合危険度一位と評価されたことがあります。現在は四位と改善はされたものの、災害における危険性は現在も非常に高く、安全・安心の確保は喫緊の課題であります。
 したがって、都や区は何に取り組むのか、住民は何をすればよいのか、明確な道筋を示す必要があると考えます。
 そこで、都は、墨田三丁目地域を含む墨田区北部のまちづくりについて、どのように認識をいたしているのか、お伺いをいたします。

○邊見東京都技監 墨田区北部は、住宅に店舗や工場などが多く混在し、老朽化した木造建築物が集積し、狭小な敷地や行きどまり道路などが多くございます。
 このようなことから、地域危険度が最も高いランク五に該当する地区が多く、都は、防災都市づくり推進計画において、この一帯を整備地域に定めてございます。
 このうち、墨田三丁目など、中でも危険度の高い三地区を不燃化特区に指定し、区と連携して建築物の不燃化や共同化などを促すとともに、延焼遮断帯となる特定整備路線の整備を進め、防災性の向上を図ってございます。

○桜井委員 墨田三丁目地域を含む墨田区北部の防災性の向上のため、さまざまな取り組みをするとのことでありましたが、その取り組みの一つとして、都市計画道路補助一二〇号線の整備があるかと思います。
 補助一二〇号線は、地域の延焼遮断帯として、燃え広がらないまちの形成に大きな役割を果たすものであり、遅滞なく整備を進めるべきものと考えます。
 そこで、補助一二〇号線整備の取り組みについてお伺いをいたします。

○邊見東京都技監 鐘ヶ淵地区の補助第一二〇号線は、震災時の大規模火災による延焼を遮断するなど、都民の生命と財産を守るため必要不可欠な路線でございます。このうち、南東部分の一期区間三百七十メートルは九割近い用地を既に取得しており、来年度、本格的に道路整備工事に着手いたします。
 また、残りの二期区間五百三十メートルは、特定整備路線として沿道のまちづくりにも配慮しながら、現在、精力的に用地取得を進めており、本年一月には、権利者の代替地となる近傍の都有地の造成工事にも着手をしてございます。
 今後とも、この路線の早期完成に向けて全力で取り組んでまいります。

○桜井委員 ただいまの答弁で、来年度、補助一二〇号線においては一期区間で工事に着手するとのことですが、全区間の一刻も早い完成をよろしくお願いしたいと思います。
 墨田区には、まだまだ多くの木密地域が分布しており、この地域の改善に寄与するのが、都が策定いたしました木密不燃化十年プロジェクトであるわけです。これは、整備地域の中で特に重点的、集中的に改善を図る地区を不燃化特区として指定し、都区が連携して不燃化を強力に推進しようというものであります。
 各区は、都の助成を活用し、老朽建築物の除却や建てかえを住民にお願いしておりますが、実際には、建てかえや住みかえにはそれなりの資金が必要であり、何かと対応していかなければならない課題もあるわけです。
 そこで、課題を抱えている方に手を差し伸べ、老朽建築物を燃えない建物にしていただきたいと思います。墨田区で指定されている不燃化特区の取り組みについて伺います。

○邊見東京都技監 墨田区は、個々の権利者や居住者の方々が建てかえや不燃化に一歩踏み出していただけるよう、個別訪問、いわゆるローラー作戦を展開しており、今年度からは、専門家による建築プランの提示も行えるようにした都の制度を積極的に活用してございます。
 また、主要な生活道路となる道路の拡幅についても、今年度から防災生活道路として整備を加速してございます。
 不燃化のコアとなるまちづくり事業として、鐘ヶ淵地区では、特定整備路線の沿道において共同建てかえを働きかけており、京島地区では、京成曳舟駅周辺において再開発による拠点形成を図ってございます。押上地区では、連続立体交差化に合わせたまちづくりの具体化に努めるなど、各地区独自の取り組みも展開してございます。

○桜井委員 これからもさらなる工夫を重ねていただきまして、燃えない、燃え広がらないまちを実現していただきたいと思います。
 次に、隅田川における水辺のにぎわい創出について質問をいたします。
 隅田川は、川沿いで江戸時代から多彩な文化が花開き、花火、大相撲、祭りが行われてきました。現在も、浅草や東京スカイツリー等、周辺観光スポットに多くの観光客が訪れておりまして、東京の観光資源として大きなポテンシャルを有しております。
 東京を世界に開かれた国際観光都市として、海外からも含め多くの方々に楽しんでもらうためには、この隅田川をさらに魅力的な観光資源に位置づけていく必要があると思います。
 そこで、都は、実行プランにおいても、隅田川を中心として水辺のにぎわい創出に取り組むとしておりますが、その取り組み内容について伺います。

○西倉建設局長 都はこれまで、隅田川におきまして、スーパー堤防やテラス整備を進め、水辺に親しみやすい環境を整えるとともに、川辺で飲食を楽しめるかわてらすやオープンカフェの誘導を行うなど、規制緩和により水辺の利活用を促進してまいりました。
 これらに加えまして、合流する河川により分断されておりますテラスの連続化や夜間照明の整備など、水辺の動線の強化を図っております。
 平成二十九年度は、大横川合流部など二カ所でテラスを結ぶ橋梁を、両国橋上流など七つの区間で照明を、それぞれ整備いたします。これらにより回遊性を向上させるとともに、夜の水辺に彩りを添え、安心して歩けるようにいたします。
 さらに、川沿いに観光拠点がある浅草、両国など四地域をにぎわい誘導エリアとして、水辺とまちの結びつきを強化し、地域全体のにぎわいを高める取り組みを展開してまいります。

○桜井委員 次に、私の地元である両国は隅田川に位置しております。両国国技館を初め、江戸東京博物館など多くの人々を引きつける施設がありまして、さらに昨年の十一月には、すみだ北斎美術館がオープンいたしました。これらの地域の観光ポテンシャルを生かし、先ほど申し上げた水辺のにぎわい創出を進めていく必要があると考えます。
 また、隅田川には防災船着き場があるわけでありますけれども、船着き場については、災害時に効果的活用ができるよう整備を進めるとともに、平常時においても、舟運の活性化に寄与する取り組みを進めることが重要であります。
 都は、隅田川の両国付近において両国リバーセンターを整備することとしておりますが、その整備内容についてお伺いをいたします。

○西倉建設局長 両国リバーセンターは、複合的に施設を整備することで舟運の活性化を促し、川とまちとが結びつくような魅力ある水辺空間を創出するものでございます。
 具体的には、既存の防災船着き場に加え、小型の船舶も利用しやすい船着き場を増設いたしまして、多様な水上ルートに活用できる拠点といたします。また、緩やかな勾配のスーパー堤防を整備し、水辺とまちとの動線を円滑にいたします。さらに、墨田区と連携いたしまして、船着き場付近の公有地に、にぎわいと防災に資する拠点施設を整備いたします。
 整備に当たりましては、定期借地方式により民間事業者の創意工夫を生かし、水辺に憩えるにぎわい施設を配置いたしますとともに、災害時には帰宅困難者の一時待機施設として用いることとしておりまして、平成二十九年度の早期に事業者の公募を実施いたします。
 これらの取り組みを着実に進めまして、隅田川と両国のまちのにぎわいを相乗的に高めてまいります。

○桜井委員 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 次に、水道管路の耐震継ぎ手化について質問したいと思います。
 東日本大震災から早くも六年がたちましたが、寒空の中、避難所に多くの住民が避難し、応急給水車に水を求めた姿は忘れることができません。また、昨年発生した熊本地震においても、熊本市内を初め、広域で断水が発生をいたしました。
 この東京についても、マグニチュード七クラスの首都直下地震が三十年以内に七〇%の確率で発生するといわれている中、その被害想定をしっかりと認識する必要があると思います。
 都の被害想定によれば、首都直下地震が発生した場合に、都全体の断水率は最大で四五%にも達するとされており、被災後の首都機能に甚大な影響を及ぼすことは明白であるわけです。
 我が党では、震災時の断水被害軽減には管路の耐震継ぎ手化が重要であるとして、これまでその促進を提言してまいりました。
 そこで、水道管路の耐震継手化十カ年事業について、その取り組みとこれまでの進捗状況をお伺いしたいと思います。

○醍醐水道局長 水道管路の耐震継手化十カ年事業は、平成二十五年度からの十カ年で、新たに約五千キロメートルの管路について、管の継ぎ手部に抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管に取りかえるものであります。
 この十カ年事業では、耐震継ぎ手率を事業開始時の三二%から五四%に引き上げることとしておりまして、これによりまして、平常給水までの復旧日数を三十日以内から十八日以内に短縮することといたしました。
 これまで、震災時の被害を最小限にするため局を挙げて取り組んできた結果、平成二十八年度末の耐震継ぎ手率は四一%となる見込みであります。

○桜井委員 今のご答弁もいただきましたとおり、着実に向上しているものの、耐震継ぎ手率はまだ約四割程度ということであります。東京の水道管は約二万七千キロメートル、地球の約三分の二周に相当する膨大な延長であるため、全ての耐震継ぎ手化には長い期間を必要とすることもわからないわけではありません。
 しかし、切迫性が指摘される首都直下型地震への備えは、まさに時間との勝負、一刻たりとも、その取り組みを緩めてはならないものと考えるわけであります。
 一方で、都内の民間開発や被災地の復興需要等を背景とした建設労働者の不足感が高まる中、労務単価が上昇し、従来よりも工事費が上昇している環境にあるわけです。全体の耐震継ぎ手化を計画的に推進しつつも、より優先度を考慮した水道管の取りかえが必要だと考えます。
 そのような中、水道局の計画では、平成三十一年度までに、首都中枢機関等の重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化を完了するとしております。平成三十一年度までに完了させる重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化について、今年度の到達見込みをお伺いします。

○醍醐水道局長 都内に約三千三百カ所存在しております重要施設のうち、これまで最も重点的に取り組んでまいりました首都中枢機関や救急医療機関等への供給ルートの耐震継ぎ手率は、平成二十八年度末の見込みで九六%でございまして、平成三十一年度の完了に向け、今のところ順調に推移をしております。
 一方で、昨年度策定をいたしました東京水道経営プラン二〇一六において、新たな目標として、避難所となる中学校と、そして一日の乗車人数が二十万人を超える主要な駅につきましても、同じく平成三十一年度までに耐震継ぎ手化を完了させることといたしました。
 これらの施設の進捗率は、平成二十八年度末で、中学校では六二%、主要な駅では六三%となる見込みでございます。

○桜井委員 重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化について、政府機関や病院などは進捗見込みが九割を超えていると、着実に進んでいることがわかりました。
 一方で、新たな重点化対象として取り組みが開始されて間もない中学校や主要な駅などは、進捗見込みは六割台という状況であるわけです。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会では、国内外から多くの方々を迎えることから、この大会前に目標を達成しておくことが、世界で一番の都市東京の実現には不可欠なことと考えます。
 また、管工事組合を初めとする水道工事の事業者も、東京の水道をより安全・安心なシステムにつくりかえていくため、人手不足の中、体制を整え頑張っていると聞きます。
 重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化について、課題と今後の取り組みについて伺います。

○醍醐水道局長 目標の達成に向けまして取り組むべき具体的な課題として、まず、避難所となる中学校につきましては、夏休みなどの休校期間に集中的に工事を実施せざるを得ないなど、施工期間に制約がございます。また、主要な駅につきましては、鉄道施設はもとより、駅ビルや地下街等の関連施設への影響にも十分配慮して施工を行う必要がございます。
 このため、これらの施設の耐震継ぎ手化に対して、今後、財源と人員を重点的に投入するとともに、工事の分割発注ですとか施工日程の弾力化などを通じまして、効率的な施工管理を行うことにより、平成三十一年度の完了に向けて万全を期してまいります。

○桜井委員 地震に強い水道の構築に向け、さまざまな工夫をして事業を進めている局の姿勢がただいま確認できたわけですけれども、限られた場所や時間の中で、それぞれの工事が大変難しい状況の中で進められていることは理解いたしました。
 今後も、首都東京のライフラインを強靭なものとするため、重要施設への供給ルートについては予算をしっかり確保していただいて、水道管の耐震継ぎ手化を着実に進めていただきたいと思います。
 それから、済みません、ちょっと飛ばしてしまった質問がありまして、申しわけありません。やらせていただきたいと思います。
 次に、多摩メディカルキャンパスについてお伺いをしたいと思います。
 多摩地域において、区部に先行した高齢化の進行により、重症患者、合併症患者の増加が予測され、これに対応した医療体制の充実が求められております。
 一方、高度で専門的な医療機能を有する病院の多くは区部に分布しており、多摩地域の医療水準の向上を図るためには、都立三病院など医療関連施設が集まる多摩メディカルキャンパスが、今後ますます医療拠点としての役割を発揮することが期待されております。
 都では、昨年二月に多摩メディカル・キャンパスあり方検討会の報告をまとめ、平成二十九年度予算では、今年度に引き続いて、基本構想と基本計画の経費を計上しているわけでありますが、現在の検討状況と今後の取り組みについて伺います。

○内藤病院経営本部長 重ねての病院事業へのご質問、ありがとうございます。
 多摩地域の医療の充実には、多摩メディカルキャンパスのポテンシャルを最大限発揮することが重要と認識してございます。こうした認識のもと、具体的な整備を進めるための検討チームを設置いたしまして、あり方検討会の報告をもとに、その後の難病の医療体制に関する国の動きなども踏まえながら、本年二月に基本構想及び基本計画策定の土台となる方針をまとめました。
 具体的には、都における難病医療の拠点の整備、キャンパスにおけるがん医療の高度化、さらに国家戦略特区を活用した小児医療分野の先進医療の推進などを盛り込んでおります。本年夏ごろには、各施設の機能強化や整備スケジュール等を含めました基本構想としてまとめまして、その上で整備手法や建物配置計画など、より具体的な基本計画の策定を進めてまいります。

○桜井委員 多摩キャンパスに都の難病医療の拠点を整備するとのことです。難病は希少な疾患ではありますが、症状は多様であり、大学病院であっても十分に対応できているとはいえず、適切な医療体制の確保が求められているわけであります。
 一方、国は、平成二十七年一月の難病の患者に対する医療等に関する法律の施行に合わせ、医療費助成の対象となる疾患を五十六から三百六と大幅に拡大をいたしました。今後もさらに拡大予定とされているわけであります。
 都の難病医療の拠点となる病院の整備に当たっては、こうした状況を踏まえ、幅広い疾患に対応すべきであります。整備の考え方について、見解をお伺いします。

○内藤病院経営本部長 多摩メディカルキャンパスにおきましては、神経病院を改築いたしまして、まだ仮称でございますが、難病医療センターとして整備してございます。これにあわせまして、同病院が長年にわたりまして症例を蓄積してきましたパーキンソン病やALSなど脳神経系の疾患のみならず、免疫系や消化器系、染色体や遺伝子に関連する疾患など、指定難病の拡大も踏まえまして、より広範囲な難病を診療の対象としてございます。
 また、新たな検査方法にも取り組みまして、早期に正確な確定診断を行うとともに、高度な治療を初め、リハビリテーションに至る総合的な難病医療を提供していく予定でございます。
 さらに、キャンパス内の多摩総合医療センターや小児総合医療センターと連携いたしまして、身体合併症を有します患者様への質の高い医療の提供や臨床研究等にも積極的に取り組み、都の難病医療の拠点としての役割をきちんと果たしてまいりたいと考えております。

○桜井委員 多摩地域の医療水準の向上と都の難病医療の充実に向けて、着実に整備を進めていただきたいとお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○高橋副委員長 桜井浩之委員の発言は終わりました。

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