予算特別委員会速記録第三号

○鈴木(隆)委員長 島田幸成理事の発言を許します。
   〔委員長退席、野上(ゆ)副委員長着席〕

○島田委員 まず初めに、都政のガバナンスと都政改革についてお伺いします。
 本日も豊洲問題についての議論があるわけですが、私は、さきの経済・港湾委員会での豊洲市場建設における盛り土問題で、その検証について質疑をさせていただきました。
 豊洲市場建設過程で、当時の市場長が建物下に盛り土がなかった事実を全く知らなかったこと、また、担当部長が、盛り土をせずモニタリング空間を建設したことを上層部に上申しなかったといった、考えられない事実がわかりました。
 委員会では、市場長から、こうした一連の過失に対し、謝罪の言葉があったわけであります。
 また、昨日のこの予算委員会でも、築地市場における環境確保条例手続の不備が指摘されたわけであります。
 都は、こうした組織のガバナンスの欠如、手続の不備を真摯に捉え、東京都全組織を再点検し、今後二度とこのような問題が起きないよう、再発防止に向けて取り組まなくてはいけません。
 特に、建物下に盛り土がなかったことについては、いつ、誰が、なぜこのような決定をしたのか、意思決定過程が不明確であり、議会でも大きな問題となっております。都政における重要な決定は、納税者である都民に対して、その意思決定過程を文書により明確にしなくてはいけません。
 今後、東京都は都政における意思決定プロセスをどのように明確にし、対応するのか、見解をお伺いいたします。

○多羅尾総務局長 適正な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民の都政への参加を進めるとともに、行政が説明責任を果たす際の基盤となるものでございます。
 豊洲市場における文書管理の問題を受けて、今後、同様の事態が発生することがないよう、意思決定過程の記録化の推進など、適正な文書管理に向けて、東京都文書管理規則を今月末までに見直すとともに、条例化への取り組みを進めております。
 このような取り組みを通じ、行政の説明責任を果たしてまいります。

○島田委員 今、ご答弁で意思決定過程の明確化ということで、特にこのような大変重要な、大きなプロジェクトの場合には、やはり何かあっては大変であります。ですので、意思決定過程を明確にするということで、このたび文書管理の条例化をしていくということでございますので、ぜひその取り組みについて進めていただきたいと、そのように思っております。
 また、豊洲市場建設における環境アセスについては、間違った内容で申請したことは残念なことでありまして、あってはならないことであります。
 東京都は、都の多くの事務の中で、企業や都民に対して、さまざまな申請手続など、時には依頼したり、時には指導する立場であるのに、その東京都自身が不適切な手続をとったということは都民の信頼を大きく失墜するものであり、今後二度とこのようなことがあってはなりません。
 今後、東京都はコンプライアンスの強化に向けてどのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。

○多羅尾総務局長 都は、豊洲市場の問題を、関係する職員のみならず組織全体の問題として捉え、コンプライアンスの強化に向けて、業務の進め方を緊急点検し、必要な対策を実施してまいりました。
 昨年十一月には、公益通報制度を拡充し、弁護士による外部窓口を設置するとともに、広く法令違反行為を対象として都民からの通報も受け付けることといたしました。
 あわせて、来月、これまでの行政監察室をコンプライアンス推進部に組織改正し、チェック機能の充実や職員に対するさらなる意識啓発など、庁内のコンプライアンスの一層の強化に取り組んでまいります。

○島田委員 今、答弁をいただきました。次からは、今度、コンプライアンス推進部、これを設置するということでございまして、話には、五人、人数をふやすということでございます。
 都職員の意識改革、これが大事だと思っております。問題があってから対応するのではなくて、事案の未然防止のためのコンプライアンス推進、これをぜひお願いしたいというふうに思っております。
 東京都は、そして知事は、こうした一連の都の不祥事を受けまして、知事は自身の報酬カットを行い、また、再発防止に向けて対策を講じております。
 また、予算編成過程の見える化など情報の開示、文書管理規程の見直し、公益通報制度などを矢継ぎ早に行いまして、都政の体質改善とともに、都政の大改革に向けて施策を断行しております。
 こうした知事の改革姿勢に対しましては賛同するものでありまして、我々も身を切る改革を行い、今後、都政改革に取り組む所存でございます。
 こうした中、今回の予算案の中で、保育士の処遇改善による待機児童解消、私立学校の無償化など、国の施策では不十分な、あるいは国がちゅうちょして先延ばししてきたような取り組みを、思い切って、そしてめり張りをつけて予算を計上していることは大変評価できるところであります。日本の首都東京が、小池知事のリーダーシップのもと、国にはできない、都ならではの施策を実施していくことは重要だというふうに考えております。
 二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、そうした東京都ならではの施策をどのように打ち出しているのか、知事に見解をお伺いいたします。

○小池知事 二〇二〇年に向けた実行プランについてのお尋ねをいただきました。
 これは、私が掲げております都民ファーストの都政への具体的な道筋を示すものでございます。そして、このプランを道しるべとして、三つのシティーを実現していく、そして新しい東京をつくっていく、これが私の政策の部分でございます。
 この実行プランでは、今まさに東京が抱えている喫緊の課題、これを迅速に解決へと導くということと同時に、東京が持続的成長を遂げなければなりませんので、現状維持だけでなくて、さらにこれまでの延長線、これまでの繰り返しではなく、都ならではの先進的な政策を大胆に打ち出したい、その思いを詰め込んだところでございます。
 例えば、ご指摘の待機児童問題でございますけれども、例えば保育人材の確保、定着、これは喫緊の課題でございます。そのために、保育士の処遇を大幅に改善いたしまして、かつてない抜本的な取り組みを展開することといたします。
 また、教育でありますけれども、高校生の約六割が、この東京では私立の高校に在学しているという実情に鑑みまして、さらなる授業料負担の軽減に踏み出すなど、やはり新しい東京を支えていくのは人だという、その観点から、人への投資を積極的に行っていきたいと考えております。
 それから、加えさせていただきますと、環境エネルギー政策でありますけれども、これはLED照明に一つ、ピンポイントの部分もございますけれども、都有施設へのLED照明の率先導入、これはもちろんですけれども、ビルや工場など、さらには家庭への導入を促進して、改めて東京に、かつてクールビズでみんなが燃えたように、省エネのムーブメントを起こしていきたいと考えております。そして、その行き着く先は、スマートエネルギー都市東京でございます。
 このように、都民ファーストの視点に立って大義ある政策を着実に推進してまいりたい、そして都民一人一人が希望を持てる新しい東京を実現するということで、都民の共感を追い風として、未来への航路、これを突き進んでまいりたいと考えております。

○島田委員 今、知事から力強い、そして国にはできない、都ならではの施策ということで、特に人への投資ということを中心にお話があったわけでございまして、ぜひこうした先進的な施策を大胆に実行してもらいたいと、そのように思っております。
 そして、このような大胆な施策、今までにない先駆的な事業を実施していくためには、前例にはとらわれない自由な発想、アイデア、そして実施するための行動力が必要だというふうに私は感じております。
 こうした取り組みに欠かせないのは若者の力だというふうに思います。
 知事は、東京未来ビジョン懇談会、通称ビジョ懇というそうでありますけれども、このビジョ懇で、東京の未来を担う若者から意見を聞き、東京都の施策に生かそうとしております。この懇談会には、歌手でタレントである高橋みなみさんを初め、次代を担う若者が出席しているということでございます。
 知事は、未来を担う若者の力を都政運営にどう生かそうとしているのか、見解をお伺いいたします。

○小池知事 「二十世紀の豫言」という新聞のコラムというか、記事がございます。これは今から百六十年前の新聞に掲載されたもので、「二十世紀の豫言」というものでございます。
 船が空を飛ぶ。飛行機ですね。それから、例えば遠くのものを買い物ができる。ネット通販ですね。百六十年前の記事に出ているんです。
 私はこの七月で、参議院選挙に立候補してから二十五年がたとうとしておりますが、二十五年前の選挙戦はポケベルでやっておりました。今やスマートフォン、このように全てコンピューターがぎゅっと詰め込まれた、それらの生活が当たり前のようになって、つまり、科学技術の進歩を大胆に予測しても、そういった、もう考えられなかったようなものがあっという間に実現していくというのが今の世界だと思います。
 そこで、二〇二〇年に向けた実行プランでも、ビヨンド二〇二〇ということで、その二〇二〇年を超えてという目線で、若手職員の斬新なアイデアも生かしまして、明るい東京の未来像の一端を描いたところでございます。
 ですから、もう目の前の話ではなくて、さらに十年、五十年、場合によってはもう百年単位で、大胆な自由な発想でもって、明るい未来を実現するための真の原動力となる、そのような政策立案をと考えたところでございます。そして、その推進力となる都民の共感を呼んでいきたいと考えたわけでございます。
 そこで、東京の明るい未来や、未来に向けて私たちは一体何ができるのかということで、各分野で活躍されておられます若手の方々から自由な発想でアイデア、意見を聞くために、略称ビジョ懇、東京未来ビジョン懇談会を設置したところでございます。
 一月に第一回を開催いたしました。高校生内閣というのがございまして、その方々から、いろんな規制等にとらわれない、既成の概念にとらわれないような発想のプレゼンテーションもいただきました。それから、大変環境に熱心に取り組んでおられます俳優の伊勢谷友介さんからもプレゼンテーションをいただきました。私自身も大変刺激を受けたところでございます。
 ですから、これからもこのビジョ懇を活用して、出席者の皆様方のさまざまな意見、アイデアもお聞きし、また、都民の皆さんからもいろんなアイデアも頂戴をして、今後の政策の推進、そして政策形成などに新たな発想、あ、あのとき東京都がとり入れていたのが今実現しているねと百年後に語られる、そんなことを目指しながらも、そして現実的に進めてまいりたいと思います。

○島田委員 今、若者の力をかりるということでございまして、知事から話がありました。オリンピックまでは、これは何とかいけるんじゃないかと、目標がありますから。ただ、そのオリンピックを超えた、二〇二〇年後は大変厳しい日本の社会になるんじゃないか。そのためには、ここを乗り越えるためには、やはり若者の大胆なアイデアが必要だと私も思っております。
 今回の予算の中でも、これ、小さいことでありますけれども、かわいい羊ですか、それとハリネズミのイラストが描いてありました。
 これ、簡単なことかもしれませんけれども、実は私の娘もちらっとこの予算案を見まして、子供がかたい予算案をこうやって見るということは余りないと思うんですけど、このイラストは何なのということから始まりまして、実は東京都の予算がこういうものであるということをちょっと説明したんですけれども、そういった小さいアイデア、そういったものは生かせるんじゃないか、若者の考えが生かせるんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ今後とも若手の考えを使っていただきたいというふうに思っております。
 続きまして、森林資源の活用についてお伺いします。
 小池知事は就任の後、西多摩地域の奥多摩町や檜原村を視察されました。
 この地域は、高齢化や過疎化など課題がある地域ですが、森林資源や水資源など、まだまだ活用できる資源が眠っているといえます。
 特に森林資源に関していえば、これまで私は多摩産材の活用を訴えてきましたが、公共施設や民間施設でも多摩産材の活用が進んでいます。
 先ほどの未来ビジョン懇談会では、若手の林業家であります東京チェンソーズの青木亮輔さんが、東京の三六%が森林だということや、この森林を未来にどう生かしていくかということが課題だということを話しておられました。林業の後継者不足の中、いかに若い力をかりて、森林資源を活用する取り組みを考えることも重要だと考えております。
 まず、多摩産材の活用の意義について、知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 ただいまのご質問にご答弁する前に、一点だけ訂正させていただきたいと思います。「二十世紀の豫言」という記事をご紹介いたしました際に、百六十年前と申し上げましたが、百十六年前でございました。失礼をいたしました。
 多摩振興、そして森林、林業に絡んでのご質問がございましたが、おっしゃるように東京の多摩地域に広がる森林というのは、林業を営む方々が長年にわたって手塩にかけて育んでこられた大切なものでございます。そして、木材の供給、水源の涵養、そのほか緑ということで、憩いの場などとしても豊かな都民生活に貢献していただいているものと思います。
 多摩の森林の約六割が人工林で、その多くが植林から五十年を経ております。つまり、更新時期を迎えているということでございます。そのためにも、林業の振興を図って、伐採、多摩産材の積極的な利用など、森林循環を促していく必要がございます。
 そこで、都といたしまして、率先をいたしまして、都営住宅、美術館などで、広く都関連施設での多摩産材の利用を進めており、ご承知のように、昨年十月にこの都庁内に開所いたしました、とちょう保育園の内装などは、壁、机、そして椅子など家具、そして、遊具に多摩産材をふんだんに使用したところでございます。
 それから、民間利用を促進するということで、多くの都民が訪れる商業施設などで多摩産材を利用する場合の支援も、東京都として行っている。
 さらには、平成三十年には東京で初めてになります全国育樹祭が開催されることとなっておりまして、これを契機として、都民の日常生活の中に森を意識する機会をもっと創出して、広く木材利用の機運を醸成していきたいと考えております。

○島田委員 今、特に多摩産材の活用の中で、知事から都議会内に保育園を設立したという話がございまして、この保育園は、昨年運営がスタートしたということでございます。
 コンクリートに囲まれた施設ではありますが、園内には多摩産材の壁だとか、家具だとか、遊具が使用され、木のぬくもりを感じる大変温かみのあるスペースとなっていて、園児たちはもちろん、保護者や関係者からも評判がよいというふうに私も聞いております。
 東京都では、民間の保育施設などに多摩産材を活用する事業を実施しておりますが、この事業と合わせて木育を推進することが大事だというふうに思っております。
 木育を推進する理由ですけれども、特に都心の子供たちは木に触れることが少なく、自然の中で森林がどのような役割を果たしているのか、また、森林資源がどのように伐採され、どのように加工されるのかなど、我々の生活と木とのかかわりを理解することが、大変重要だと考えるからであります。
 昨年、こうした観点で木育に関した事業が行われたわけでありますけれども、これをちょっと、皆さんに写真をお見せいたしますけれども、これは保育園の子供たちが森林に入って、一緒にこの森の木を林業家の方と倒すところでございます。
 そして、次の写真ですけれども、この取り出した木をかわいいお子さんが切っているところでございまして、こうした体験を通じて、木のありがたみを感じる、木がどこから来ているかということを感じる、すばらしい木育だなというふうに思っております。
 最後の写真は、これは実際に園の中で使われた遊具、木でつくった遊具でありまして、大変温かみのある保育園になっておりますので、大変この木育、木質化とあわせて木育をやると、木質化と同時に木育をすることが大事だというふうに思っているわけでございます。
 多摩産材の保育施設への利用促進とあわせて、木育の取り組みをさらに充実すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○藤田産業労働局長 あわせてお答えをさせていただきます。まず、子供たちが香りやぬくもりなどの木のよさを知り、木と触れ合い親しむことができるよう、都では、平成二十五年度より、保育園等で多摩産材を活用した内装木質化や、木製遊具、什器等の導入に対する支援を行っております。
 今年度は、新たに木育活動や人材育成等のソフト事業を対象に加え、一件当たりの限度額を四百五十万円に引き上げ、充実を図ったところでございます。
 来年度は、二十件の支援を行う計画となってございます。今後も、こうした取り組みを着実に進めることによりまして、保育園等における多摩産材利用を支援してまいります。
 また、あわせまして、木育活動でございますが、子供たちの心身の成長によい影響を与えるとともに、森林の役割や木のよさ、木を使うことの大切さ等について、子供たちの理解を促進する上で大事な取り組みでございます。
 このため、都は、子供たちが伐採現場や製材所を見学するツアーや、多摩産材を使った木工工作コンクールを開催するとともに、保育士等が木育について学ぶ講習会への参加を支援しております。
 来年度は、平成三十年に開催される全国育樹祭の関連イベントとして、子供たちの緑に関する取り組みを発表する緑の少年団交流大会を開催するなど、森づくりに対する意識の向上を図ってまいります。

○島田委員 ぜひ、木育の取り組みを進めていただきたいと思っております。
 続きまして、ドローンの活用についてお伺いをさせていただきます。
 昨年は、日本の各地で熊が出没しまして、大きな話題となりました。西多摩地域でも熊が出没しまして、猟友会などが対応されましたが、近年、特に地域の農業家から、イノシシや鹿など、野生獣による農業被害もふえているとの声が上がっています。
 農作物の野生獣による被害は、農業所得の減収はもとより、精神的な痛手もはかり知れないものがあります。
 最近、こうした農作物の野生獣の被害に対応するため、ドローンを活用し、野生獣の生息状況を把握し、対応する取り組みが進んでいると聞いています。
 野生獣被害の対応として、どのようにドローンが活用できるのか、都内自治体における現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○遠藤環境局長 現在、都内では、あきる野市と奥多摩町において、ドローンを活用した獣害対策に関する実証実験が行われております。
 あきる野市では、民間企業等とコンソーシアムを組み、赤外線サーモカメラや超音波センサーを搭載したドローンによる野生鳥獣の生息状況把握等に関する研究に取り組んでおります。
 また、奥多摩町は、国立情報学研究所と共同で、野生鳥獣の生態把握調査や追い払いへの活用を視野に、複数のドローンをネットワーク化して自動制御するシステムの研究開発に着手しているところでございます。
 いずれの取り組みにおきましても、機体の性能等に関する検証が続けられており、都としても引き続き、獣害対策に資する先端技術の動向を注視してまいります。

○島田委員 今、猟友会も高齢化しているというふうに聞いております。IT活用に強い若者が、こうしたドローンのところに行けば、非常にこのドローンが活用できるのではというふうに思っております。
 また、ドローンの防災面での利用についてお伺いしますが、つい先日の三月十一日ですが、西多摩の日の出町において、東京消防庁による大規模な林野火災を想定した消防訓練が行われました。消防総監を初め東京消防庁第九方面本部、消防団など、参加人数が五百五十名、これは他県からの協力もありまして、ヘリコプター五機を投入した大規模な訓練でありました。
 私も、その訓練を視察させていただいたわけでございますが、総監を初め関係の方々に、日々の訓練に取り組み、安全・安心に取り組まれているということを、心からまず感謝を申し上げたいというふうに思います。
 その上で、その訓練で、ドローンの活用検証がありました。(パネルを示す)
 これは、火災現場にドローンを飛ばしまして、上空から現場の状況を撮影、リアルタイムで映像を本部に送信することによりまして、延焼状況を確認し、消防活動に役立てるというふうなものであります。
 当日は風が強く、ちょっとドローンが風に飛ばされて思いどおりに飛べないといったこともありました。現在、活用しているドローンはスペックの小さいもので、まだまだ実際の現場の活用には不十分なのではと、そういうふうに思いましたけれども、今後、悪天候などでも安定飛行が可能であったり、災害資材なども輸送できるような、機能性の高いものであれば、災害時でも十分活用できるのではと考えます。
 そこで、災害現場におけるドローンの活用に向けた東京消防庁の取り組みについてお伺いいたします。

○高橋消防総監 無人航空機、いわゆるドローンにつきましては、上空からの映像伝送など、各種災害現場における情報収集等に有効であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、平成二十七年度からドローンを導入し、操作性や映像伝送など、基本的な性能の検証を行ってまいりました。
 その結果、一定の効果が認められましたことから、平成二十九年度は、ガス検知器や赤外線センサーなどを備えた多機能なドローンを導入する予定であり、さまざまな災害現場や各種大規模イベント等などでの実戦的な活用について検証を行うこととしております。
 今後、消防活動能力のさらなる強化に向け、新たな装備資器材の導入について検討してまいります。

○島田委員 今、ご説明があったところでございますが、来年度は約千二百万円ほどの予算を計上して、ドローン自体は、たしか二、三百万と聞いておりますけれども、そこにガス検知器だとか赤外線センサーなどを積んで、さらに精度の高い、防災に対応したこの検証を行うということでございまして、このドローンの活用が期待できるところでございます。
 現在、ドローンは民間事業者が積極的に技術開発を行っており、今後、実証実験を積み、そうした実証実験の成果を検証しながら、実際の活用を図らなければなりません。そのためには、今後、実証実験を数多く行う必要があります。
 実証実験を促進するために、昨年十二月、国家戦略特別区域諮問会議における決定に従い、東京都でも、国家戦略特区において、特定実験試験局制度に関する特例、いわゆるドローン特区の区域決定、認定されました。
 今後、この特例を活用して、民間事業者がドローンを活用し、どのような実証実験を行うのか、見解をお伺いいたします。

○長谷川政策企画局長 今回の実証実験は、多摩地域において土砂災害により孤立する地域が発生したことを想定し、ドローンでその被害状況を確認するというものでございます。
 ドローンから高画質な画像をリアルタイムで伝送することで、道路の寸断の状況や住民の安否などの確認、二次災害の防止に向けた危険箇所の特定などの必要な情報が得られるかを検証いたします。
 実施に当たりましては、電波法上の無線局免許が即日発給されるドローン特区を活用し、実証実験を効果的かつスピーディーに行ってまいります。
 現在、民間事業者や実証の実施場所であります奥多摩町、檜原村、あきる野市と準備を行っているところでございまして、来年度から実証実験を開始する予定でございます。

○島田委員 これまで、自治体や都での活用事例の紹介、今後の実証実験について言及してまいりましたが、ドローンは空の産業革命ともいわれる新たな可能性を有する技術でありまして、農業、災害対応、空撮、測量などの分野では既に活用され始め、民間企業では新たなサービスとしてドローンを使った荷物の配送なども研究をされております。
 今後、さらなる技術革新によりまして、飛行の安定性、信頼性の向上が図られれば、幅広い分野での利活用が広がり、それによる新たなサービスの創出により、都民生活の利便性や快適性の向上、産業の活性化にもつながると考えます。
 西多摩地域を初め、多摩地域は都心部と比べて人口集中地区が少ないため、ドローンの実証実験などを行うのに適した地域だといえます。また、高度な計測機器や医療機器を扱う技術力の高い企業や大学を初め研究機関も多く、ドローンの研究開発を行うための産業基盤も整備されています。
 こうした多摩地域の強みを生かしまして、既にあきる野市や奥多摩町では、ドローンの活用を進めているところでございます。
 都は、こうした現状を踏まえ、今回のドローン特区を活用した実証実験の成果を、他の多摩地域の自治体にも展開するとともに、他の分野における民間事業者の実証実験を後押しするなど、利活用を促進すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○長谷川政策企画局長 今回の実証実験は、土砂災害の危険性のある箇所を抱える多摩地域の他の自治体におきましても非常に有益と考えられます。
 このため、こうした自治体に対しまして、実証実験についての情報提供を行い、オブザーバー参加を促しますとともに、実証実験後に開催予定の検証結果報告会への参加を呼びかけてまいります。
 これらの取り組みにより、ドローン技術や活用可能性に関する各自治体の理解を深めていただき、利活用を促してまいります。
 また、今後、他の分野での利活用につきまして、民間事業者からの規制緩和の提案に応じ、特区制度の活用を検討してまいります。

○島田委員 ぜひ、ドローンの活用の促進をお願いしたいというふうに思います。
 空の産業革命と呼ばれますドローンは、多摩地域産業振興の起爆剤ともなると考えます。
 東京二〇二〇大会では、多摩地域で開発されたドローンが、防災対策やテロ対策、空撮などで大いに活躍することを期待したいというふうに思っております。
 次に、非正規社員の待遇改善についてお伺いをいたします。
 知事は施政方針演説で、個人のライフスタイルに見合った働き方こそ、一人一人の一〇〇%の力を引き出し、社会全体の生産性を高める鍵だと述べられました。
 一方で、働き手の四割近くを占めている非正規社員の待遇格差の解消が課題となっております。
 私は、国が同一労働同一賃金に向けて指針を示したことを第一歩とし、いかにして企業の処遇改善を実現できるかが重要だというふうに考えております。
 非正規社員の待遇を改善する同一労働同一賃金の原則に対する知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 お答えいたします。
 働き方の選択を広げて、誰もが働きがいのある仕事につくためには、非正規雇用労働者の処遇改善に向けて取り組んでいくということが必要だと考えます。
 国においては、ご指摘のように、同一労働同一賃金の実現に向けて、正規雇用労働者と、そして非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指すということで、法改正も視野に入れた議論が、今まさに進められているところと理解しております。
 東京都といたしましては、企業に対して、非正規雇用労働者の公正な待遇確保に向けまして普及啓発を図るとともに、賃金制度、教育訓練制度など、雇用環境の整備に取り組む企業に専門家を派遣するなどの形で支援を行っているところでございます。
 こうした取り組みを進めて、誰もが意欲と能力に応じて活躍できる社会、すなわちダイバーシティーの実現を目指していきたいと考えております。

○島田委員 ぜひ、非正規社員の待遇改善、同一労働同一賃金、この実施に向けて、知事のリーダーシップを発揮していただきたく、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、多摩地域の快適通勤についてお伺いをいたします。
 先日、東京都主催のライフ・ワーク・バランスフェスタに参加をさせていただきました。その中で、東京の特有の課題としまして、通勤時間が長いこと、そして二十代後半から三十代の女性の離職率が高いということが指摘されたところでございます。
 この通勤時間が長いこと、そして離職率が高いということは因果関係があるというふうに、その際、指摘されておりました。
 特に、多摩地域の市街地は、ベッドタウンと呼ばれまして、都心部に仕事に行く方が多いわけでございますが、都心部へは、ご承知のとおり通勤時間が多くかかりまして、公共交通を利用した場合の通勤時間の短縮や混雑の緩和は、地域の方々の多くが要望する事項となっております。
 このたび東京都は、快適通勤事業を予算計上しておりますが、東京都は、多摩地域の快適通勤に向けてどのように取り組むのか、見解をお伺いいたします。

○邊見東京都技監 これまでも、利用者が快適に通勤できるよう、多摩地域の各路線においても、鉄道事業者により、さまざまな取り組みが実施されてきてございます。
 例えば、小田急線では、来年三月の下北沢付近の複々線化の完成により、混雑が大幅に緩和されることに加えて、町田駅から新宿駅までの所要時間が十分短縮する見込みでございます。西武池袋線では、全席座席指定の新型通勤車両を今月中に導入する予定でありまして、JR中央快速線でも、新たにグリーン車を連結する検討を進めてございます。
 今後、快適通勤ムーブメントにより、混雑緩和に向けた機運を醸成し、ピーク時混雑の分散化を図るとともに、引き続き、こうした鉄道事業者の取り組みを促してまいります。

○島田委員 私の地域から、大体新宿に来るまでも一時間以上、一時間半から二時間かかるときもあります。また、混雑しているということで、大変この緩和は重要だと思います。鉄道会社と連携して、この快適通勤に向けた取り組みをお願いしたいというふうに思っております。
 最後に、多摩地域の働く女性の再就職支援についてお伺いいたします。
 先ほど指摘もしましたが、通勤時間が長いこと、三十代の女性の離職率が高いのは、都民の働き方を考える上で大きな課題であります。
 特に、多摩地域は都心部までの時間が長いので、女性の離職率は高くなると考えています。こうした課題を解決するには、公共交通の整備も重要でありますが、一方で、多摩地域の実情を踏まえて、地元で働けるような支援を充実していく必要があると考えます。
 今回、東京都は、身近な地域で就職を望む子育て期の女性を対象に、新たにマザーズハローワーク立川と連携し、再就職を支援する事業を計上しておりますが、この事業の具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○藤田産業労働局長 都は来年度、多摩地域において、子育てとの両立を希望する女性の方などの就業を支援する新たな事業を開始いたします。
 本事業は、マザーズハローワーク立川に登録をされている求職者のうち、就職に当たり、自身のスキルに不安を抱える方を対象に、ビジネスマナーやパソコン操作を学ぶセミナーと企業での職場体験を組み合わせ、職業紹介につなげるプログラムでございまして、これを年五回実施いたします。
 多摩地域では、区部に比べまして求人数が少ないというような現状もございます。こういったことも踏まえまして、実施に当たりましては、仕事と子育ての両立に理解のある企業からの求人の新規開拓を進め、より多くの方の就職を支援してまいります。

○野上(ゆ)副委員長 島田幸成理事の発言は終わりました。(拍手)

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