予算特別委員会速記録第二号

   午後三時五十六分開議

○ともとし副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 橘正剛理事の発言を許します。

○橘委員 都議会公明党を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど豊洲市場移転問題、これは自民党委員の方がじっくり質疑を行いましたので、私の質問と一部重なる部分があるかとは思いますけれども、我が会派として、また私個人としても、これは確かめておかなければならないということも、直接確かめなきゃならないこともございますし、また指摘しておかなきゃならないこともございますので、その辺は事前にご了解いただきたいと思います。
 まず初めに、豊洲市場移転問題についてですが、地下水モニタリング調査について、初めに質問いたします。
 今月四日の豊洲市場移転問題特別委員会で、地下水モニタリング調査に携わった六社に対する参考人質疑が行われました。公明党は、その質疑の中で、一回目から九回目のモニタリング調査が、一貫性、妥当性があるのかどうかを丁寧に確認いたしました。
 その結果、一回目の調査会社が作成した採水手順書の引き継ぎ等がきちんと行われていなかったことが判明いたしました。特に、環境基準を上回る有害物質が検出された九回目の調査会社において、採水手順書の引き継ぎが行われていなかっただけではなくて、採水前に井戸のたまり水を一度抜き出すパージという作業で出た水をそのまま分析に回すなど、八回目までとは全く異なる方法で採水を行っていたこともわかってまいりました。
 また、水没や変形などの井戸のふぐあいが五十九カ所もあり、そのような状況を踏まえて、都に延期や辞退を申し入れたものの、都が責任を持つからやってくれとの指示を受け、作業実施に踏み切ったとの、この調査会社の証言もあります。
 さらに、過去の数値と大きく異なる結果を都に伝えた際には、もう一度採水する再採水、もう一度分析する再分析、これらの対応を行わず、約一カ月後にまとめて結果を報告するよう指示されるだけだったとも証言をしております。この証言に対しては、市場は報告は受けていないと、昨日の豊洲市場移転問題特別委員会で説明がなされております。
 このように経過を見てまいりますと、実に不可解な調査であったといわざるを得ないんです。
 知事は三月六日、記者団に対しまして、豊洲市場の安全・安心の確保のためには、信頼されるやり方で調査しなければならないと発言をしておられます。全く私もそのとおりだと思います。
 このような形で地下水モニタリング調査が行われていたことに対して、信頼性が確保されていると思うのかと、疑問な点もあります。
 また、九回目の調査内容については、知事がどの程度まで把握されていたのか。こうした点について、初めに見解を伺っておきたいと思います。

○小池知事 豊洲市場の地下水モニタリング調査に関するご質問でございます。
 この地下水モニタリング調査も、食の安全・安心にかかわるものでございまして、都民の信頼と納得が得られるように実施されることは、これはもう不可欠、重要だと思っております。
 それから、今回の調査も含めまして、そもそも、じゃあ一回目から八回目は一体何だったのか、それから九回目は一体何だったのか、それぞれのモニタリング調査が適切に行われていたのかどうか、次の専門家会議ももう予定されております。そこの場でご評価いただく予定でございます。そしてまた、そのモニタリング調査そのものも、信頼性の高いものとすべきものだと考えております。
 いずれにせよ、今はそのモニタリングの再々調査の結果を待ちたいと、このように考えております。

○橘委員 五十九カ所も井戸のふぐあいがあったことや、パージした水をそのまま分析に回すなど、九回目の調査が過去と違う状況や方法で進められていたことを、市場長は果たして知っていたのでしょうか。また、どの程度まで報告が上げられていたのか、現場の担当者が判断していたのか。この辺についてお答えください。

○村松中央卸売市場長 第九回のモニタリング調査におきまして、一カ所の井戸で、現場における復水状況や分析対象となります物質の特性を踏まえて、パージした水を分析試料といたしました。
 また、井戸の曲がりや詰まり等につきましては、現場において、採水する器具を工夫することや堆積物を吸い上げること、必要に応じて井戸を修復することによりまして採水を行ったところでございます。
 こうした対応は現場レベルで判断しておりまして、その情報は所管部内でとどまっておりました。局として必要な情報の共有が図られなかった点で課題があったと認識しております。

○橘委員 今、答弁の中で、現場レベルで判断していた、そしてまた所管部内にとどめていたというご答弁がございましたけれども、これだけ大きな問題となっているときに、全く緊張感がないといいますか、無責任といいますか、そんな体質が感じられて仕方がありません。
 特に、局長は全てに責任を持つという立場だけに、確認や明確な指示、これらは陣頭に立って指示をする、指揮をとる、これが当然のあり方ではないでしょうか。このことをまず指摘しておきたいと思います。
 次に、建設局長に質問します。
 築地市場の土地履歴調査に関する問題について質問いたします。
 建設局が平成二十八年三月二十五日付でまとめた、築地市場の土地利用の履歴等調査の結果によりますと、築地市場内に、戦後、アメリカ軍のクリーニング工場やガソリンスタンド、資材倉庫、車両の整備工場があったことが判明いたしました。クリーニング工場の脇には、有害物質を含む有機溶剤ソルベントのタンクがあったこともわかり、当時、クリーニングの際にこれを使用していたものと考えられております。
 また、戦前には、海軍造兵廠--これは軍需工場でありますね、海軍造兵廠や海軍軍医学校が存在していたことも判明いたしました。
 そこで、建設局長にお聞きしますけれども、築地市場土地利用の履歴等調査の結果は、戦前の軍需工場、海軍大学校、海軍軍医学校等の日本軍の関連施設については、土壌汚染の可能性は考えにくいと記載しておりますけれども、建設局長、その根拠は何ですか。

○西倉建設局長 建設局は、環状第二号線の建設事業に伴いまして、土壌汚染対策法及び環境確保条例に基づく地歴等の調査を行いまして、平成二十八年三月二十五日付の土地利用の履歴等調査届け出書その八を環境局へ提出いたしました。
 本届け出には、築地市場全体の地歴を調べた上で、届け出の対象となる土地、すなわち環状第二号線の予定地の汚染の可能性について記載してございます。
 土壌汚染の可能性があるか否かにつきましては、これまでの土地利用の履歴で判断しておりまして、環状第二号線の予定地につきましては、汚染のおそれがあると考えられる軍需工場等の施設がなかったことから、これらの施設による土壌汚染の可能性は考えにくいと届け出したものでございます。

○橘委員 予測ということになると思います。
 それで、環境省が平成十五年十一月二十八日に出しました、昭和四十八年の旧軍毒ガス弾等の全国調査フォローアップ調査報告書というのがあるんですけれども、これによりますと、戦前、築地において昭和五年まで置かれていた海軍技術研究所の化学兵器研究室では、催涙ガスの一種でありますクロロアセトフェノン、あるいは今現在も使われているといわれております、ISが化学兵器として使用していたといわれておりますけれども、このマスタードガス、シアン化水素を含む青酸ガスなど、いわゆる毒ガスの研究がなされていたともあります。
 実は、東京都立産業技術研究センターが平成二十四年に本部機能の移転に伴って実施いたしました、北区の旧西が丘庁舎の土壌汚染調査の結果によりますと、有害物質である四塩化炭素が採取され、基準値の二千二百五十倍であったことが、記録が残っております。それ以外にも、有害物質による土壌汚染が確認をされております。
 この旧西が丘庁舎の土地は、明治三十八年から陸軍用地として使用されておりました。陸軍用地として使用されていた土地からこれだけの汚染物質が検出され、土壌汚染が判明したことに鑑みれば、同様のことが海軍施設跡地で発生してもおかしくはないと考えますが、それでもなお築地につきましては土壌汚染の可能性は考えにくいと、局長、これはいい切れますか。

○西倉建設局長 地歴調査には、築地市場全体の地歴を調べた上で、届け出の対象となる土地、すなわち環状第二号線の予定地の汚染の可能性について記載してございます。
 環状第二号線の予定地につきましては、汚染のおそれがあると考えられる海軍関連施設等がなかったことから、これらの施設による土壌汚染の可能性は考えにくいと届け出したものでございます。
 築地市場内の海軍関連施設等が土壌汚染の発生をもたらすおそれがないという意味ではございません。

○橘委員 ところが、環状二号線予定地で土壌汚染が判明しているわけですよ。このことについて確認しておきたいと思います。
 建設局が平成二十三年六月に築地大橋の橋台工事に際して実施した土地利用の履歴調査の結果、汚染のおそれなしだったわけですね、そのときは。それを受けて、平成二十五年度に掘削工事を実施しているんです。
 掘削した土を搬出するために、受け入れ先の規定にのっとって、この土の質の調査を実施したところ、ヒ素が二・四倍とフッ化物一・六倍、こういった環境基準を超えていたことが、開示請求によって判明いたしました。このことは、先ほども質疑でありました。
 昨今、これだけ築地市場移転に関して、議会においても土壌汚染の問題などが繰り返し議論されていることを考えれば、開示請求をまつまでもなく、進んでつまびらかにすべきであったと考えますが、なぜそうしなかったんでしょうか。みずから公表することに何か問題でもあったんでしょうか。お答えください。

○西倉建設局長 平成二十五年に行いました土壌調査は、土壌汚染対策法及び環境確保条例に基づく届け出をした後、築地大橋の橋台工事における土砂搬出に伴い、環状第二号線の事業者として、土砂の搬出先の受け入れ基準に適合しているか否かを確認するためのものでございまして、当時、公表する必要があるとは考えておりませんでした。
 平成二十九年二月十三日付で、築地市場内における土壌汚染対策法に基づく過去の届け出につきまして環境局が開示請求を受けたと聞き、過去の土壌調査の資料を改めて調べましたところ、搬出する土砂に環境基準を超える物質が含まれていたことを、二月二十日ごろに確認いたしました。三月一日に中央卸売市場と環境局にこのことを伝えましたが、みずから公表するものとは考えておりませんでした。
 なお、同三月一日に平成二十五年の土壌調査につきまして建設局に開示請求があり、三月七日にその結果を開示してございます。

○橘委員 結果として開示したわけですから、最初から、みずから公表しておくべきだったんじゃないでしょうか。そう思うと、慎重さといいますか、事の重大さがわかっていなかったという、そういった配慮も足りなかったという、そういったことをいわざるを得ないと、私は思います。
 次に、関連しますけれども、土地履歴調査を実施していなかった問題についてでありますけれども、平成二十八年三月二十五日に、建設局がまとめた築地市場の土地利用の履歴等調査の結果を受けまして、環境局が中央卸売市場に対し、これまで築地市場内で実施された建設、増築、耐震等の工事について、土地履歴調査を実施したかどうかを確認いたしました。
 その結果、条例が施行された平成十三年十月以降に行われた計八カ所のところで、この全ての工事に際し、環境確保条例に基づく必要な地歴調査を行っていなかったことが判明いたしました。
 あわせて、大田市場、多摩ニュータウン市場を除く八市場においても、同様に調査、届け出を行っていない工事があることもわかりました。
 当時の市場長が、条例に基づく履歴等調査届け出書の提出義務の認識がなかったとは思えませんけれども、通常、市場長に就任する際、こういう法令上の義務などは当然説明を受けて引き継がれるのではないかと思いますが、市場長、どうでしょうか。

○村松中央卸売市場長 今回、築地市場の工事におきまして、環境確保条例に基づく届け出漏れが明らかになりました。これを受け、全市場で調査いたしましたところ、同様の事例が多数判明したところでございます。
 新旧の市場長間での引き継ぎはございませんでしたが、市場部局内のそれぞれの組織におきまして、法令上の手続に対する認識が十分でなかったことが問題であると考えております。
 こうしたことから、今後、全ての部局において、法令手続の履行を総点検することとしております。

○橘委員 築地市場という首都圏全域の市民の食生活に直結する施設に関して、八件にもわたって条例に基づく義務違反を繰り返してきたということ。そして、首都圏全域の食を預かる立場として、今の答弁でもわかるように、全く無責任といわざるを得ないと思います。
 これほどずさんな対応をされると、何かしらの意図があると思わざるを得ないんですよ。意図的に隠していたのではないか、そんな思いもしてくるんですけれども、市場長、答えてください。

○村松中央卸売市場長 今回の届け出漏れは、環境確保条例に定める手続につきましての認識が不足していたためでございまして、意図的に隠していたというわけではございません。

○橘委員 そもそもこの問題は、我が党の東村議員が、七年前の平成二十二年三月十一日の予算特別委員会で指摘していた問題なんですよ。
 築地における戦前からの土地利用履歴を示すよう求めた東村議員の質問に対しまして、当時の岡田市場長はこのように答えているんです。築地市場の用地内には、戦前、海軍省の技術研究所、海軍大学校、海軍軍医学校があり、戦後、進駐軍のランドリー工場がつくられた。このように答弁しております。
 それを受けて、東村議員が土壌汚染の可能性を指摘しているんですね、ここで。すなわち、当時の有留環境局長に対して、仮に築地市場を建てかえる場合、改正された土壌汚染対策法に基づいてどういった手続をとることになるのかという質問をしたのに対し、有留環境局長は、改正土壌汚染対策法及び環境確保条例では、仮に、築地市場における土地利用の履歴等の調査の結果、過去に有害物質の使用等が確認された場合、当該有害物質による土壌汚染の状況を調査し、その結果の報告を求めることになるという答弁をしているんです。
 にもかかわらず、市場が長年にわたり調査を怠っていたのはどういうことですか。ましてや、調査未実施の八件の工事のうち三件は、この予算特別委員会の質問の後に行われたものなんです。少なくともこれは、市場が土壌汚染の可能性を認識しておきながら、必要な履歴調査等を行わなかったという点においては、議会軽視、怠慢のきわみとのそしりを免れないと思います。
 そもそも都がつくった条例を都みずからが守らずに違反を繰り返すなどは、言語道断です。土壌汚染の可能性があることを認識していたにもかかわらず、都みずからが条例違反を繰り返し行っていたことの責任について、どう考えますか。市場長、お答えください。

○村松中央卸売市場長 平成十三年の環境確保条例の施行後、相当数の届け出漏れが生じていたことは真摯に反省すべきことでございまして、再発防止が急務であると考えております。
 今回の事案は、三千平方メートル以上の敷地で土地の改変を行う場合には届け出が必要であることについて、正確な認識を欠いていたものでございます。
 今後、法令上の手続に不備がないよう、組織を挙げて取り組んでまいります。

○橘委員 本来、その都度調査をして、仮に土壌汚染のおそれがあったとしても、必要な対策を講じていれば、事業者や都民の不安をここまで生じさせることにはならなかったはずなんです。市場当局は、本気で食の安全を守る覚悟があるとはとても思えません。これまでの市場長を初め、関係者の責任は極めて重大であると私は指摘しておきたいと思います。
 市場のずさんな管理体制について質問しておきますけれども、平成二十九年二月二十三日、築地市場の建物について、水産仲卸売り場旧店舗や青果部第二別館など六つの建物が耐震基準を満たしていないことが判明いたしました。
 あわせて、仮設施設として建設された駐車場など三十五施設についても、建築基準法にのっとって必要な使用許可を二〇〇五年以降、得ていなかった。このことも判明いたしました。
 なぜ六つの建物の必要な耐震補強工事を行わなかったのか、三十五施設の仮設に関する許可をなぜとらなかったのか。この点について答弁を求めます。

○村松中央卸売市場長 築地市場では、防災上重要な建築物等といたしまして耐震診断を実施した十六棟のうち、五棟は耐震基準を満たしており、五棟は工事を行うことで耐震基準を満たしました。残りの六棟は、店舗の移動や筋交いの設置による売り場の分断など、市場業者の営業継続に支障を来すことから、十分な工事をできなかった経緯がございます。
 また、平成三年からの現在地再整備の実施に当たりまして、仮移転先等を確保する必要から、仮設許可を得て施設を整備いたしました。その後、再整備工事が中断された後も、引き続き築地市場の運営に必要として、数度の仮設許可手続を行ってきたところでございます。
 しかしながら、平成十七年五月以降、許可期限切れとなっていることから、現在、是正に向けて、特定行政庁と必要な手続について協議しているところでございます。

○橘委員 今回の質疑を通してわかったことや、今回のモニタリング調査の問題を見れば、市場当局の安全性に対する認識は、私は大いに疑問であると思います。
 さらに、過去の築地市場内の工事においても、市場当局の対応は余りにもずさんだったといわざるを得ません。市場当局は、今後、市場長から現場に至るまで、虚偽や隠蔽体質から脱却して、心を入れかえて取り組んでいくべきであります。
 この質問の最後に、そうしたことも含めまして、市場長に決意を伺います。

○村松中央卸売市場長 建築基準法や環境確保条例上の手続に多くの瑕疵がございました。こうしたことにつきまして、再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。
 まずは、手続に不備のあるものにつきまして早急に是正し、加えて法令遵守の観点から、総点検を実施してまいります。
 このような事態を招いた要因といたしましては、意思決定プロセスの不備やチェック体制の不足、また部門間の連携不足など、組織運営上のシステムの問題と認識しております。
 組織を挙げた総点検を行うことで、職員の意識改革を促し、緊張感を持って事業運営を行ってまいります。

○橘委員 それでは、次に、政策課題について質問をしていきます。
 初めに、事業評価と予算編成について質問いたします。
 現在、都が行っております事業評価は、約四千八百ある都の事業の一つ一つを予算編成の中で評価する、都独自の仕組みでございます。平成十八年度から、この制度は財務局が所管をし、予算編成の一環として事業評価を実施しているわけでございます。
 二十九年度は、過去最高となる七百二十億円の財源確保につながるとともに、八百九十件の評価結果を公表するなど、めり張りのついた予算を実現する、まさに小池知事の予算編成を支える大事な要素になっていると私は思います。
 そこでまず、これまでの実績を踏まえて、都における事業評価の意義、予算編成との関連について、都の見解を伺います。

○武市財務局長 事業評価は、財政再建期に集中的に実施いたしました事業見直しの成果を踏まえまして、財政再建達成後も改革を継続していくための仕組みとして再構築したものでございます。
 具体的には、当時の知事本局がテーマを絞り平成十七年度まで実施してきた評価を、平成十八年度からは財務局に移管し、予算編成の一環として事業をきめ細かく検証して、その結果を迅速に予算に反映させることといたしました。
 その後も、評価手法を充実させながら、関係部局と連携した専門的視点や新たな公会計手法も活用し、一つ一つの事業の効率性や実効性を高めております。
 こうした取り組みによりまして、これまでの十一年間で四千三十八件の評価結果を公表するとともに、約六千九百億円の財源確保へとつなげており、事業評価は、実効性のあるマネジメントサイクルとして、都庁全体に定着しているものと考えております。

○橘委員 過去には、事業仕分けと称しまして、劇場型の手法をもって事業評価にかえるといった動きもございましたけれども、都議会公明党は、この制度導入当初から、都みずからが恒常的な改革への意識を根づかせる仕組みとして評価いたしまして、育ててきたつもりでございます。
 一部に、事業評価を予算編成と切り離して実施すべきとの意見もございますけれども、約四千八百にも上る事業の一つ一つの効率性や実効性を検証して、翌年度予算への速やかな反映を行うためには、やはり予算編成の中で実施することが効率的で実効性があると私は思います。
 今後、さらに事業評価の取り組みを強化し、その成果を都民に示していくことによって、都政への信頼、安心感につながっていくと考えますけれども、小池知事の見解を伺います。

○小池知事 今後の事業評価の取り組みについてのご質問をいただきました。
 先生もご承知のように、東京でも、二〇二五年を境といたしまして人口が減少に転じる、ピークを打つと見込まれております。つまり、未来の不確実さが増しているという今こそ、これまでの延長線上の発想にとらわれずに、全ての施策について、改めてその必要性、そして有益性を厳しく検証していく必要がございます。
 そういった考え方から、平成二十九年度予算編成、今ご議論いただいておりますこの予算案につきましては、四千八百に上ります全ての事業に、終期、まず終わりの期を設定いたしました。そして、もうこれで終わりだという終期が到来したものについては、事業評価を通じて検証を行うシステムを導入いたしまして、従来にも増して創意工夫を凝らす、その下地ができたものと考えております。そして、施策の効率性や実効性を高める取り組みを進めたところでございます。
 今後とも、時代の変化に的確に対応していかなければなりません。これからの時代の変化というのは、まさに日進月歩で変わっていくものだと、このように思います。一度決めたからそれを貫くというのも立派なことかもしれませんが、都民からすれば、それが必要なことなのかどうなのか、時には立ちどまって考える必要もあるでしょう。
 そういったことから、事業評価の取り組みを充実強化していかねばならない。そういった意味では、都民ファーストの、つまり都民の目線、視点に立った財政構造改革を一層推進してまいります。
 それによって、新しい東京の実現に向けたさまざまな施策を着実に前に進める。このことで、都民お一人お一人に希望があふれる未来を切り開いてまいりたい、このように確信をしているところでございます。

○橘委員 わかりました。
 次に、来年度東京都予算案に盛り込まれております私立高校授業料の実質無償化に関連いたしまして、通信制高校の授業料について質問いたします。
 都議会公明党の提案を受けまして、都の来年度予算案に、世帯収入約七百六十万円未満の世帯を対象とする私立高校授業料の実質無償化となる措置が盛り込まれております。これは、私たちが執念を持って取り組んだ政策でございますけれども、同時に、小池知事の大英断にもよるものだと思っております。その辺、高く評価させていただきたいと思っております。また、感謝もしております。
 さて、一方、今回の無償化では、東京都認可の通信制高校が対象から外されておりまして、さきの代表質問で、都議会公明党は、都内に九校ある通信制高校で頑張る高校生の保護者も支援すべきだと主張いたしました。
 答弁では、今後、調査していくとのことでありましたけれども、この中で学校に対するヒアリングを行う方針を示しておりましたけれども、ヒアリングの後はどう進めるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。

○桃原生活文化局長代理次長 今後、お話の学校に対してヒアリング調査を行いまして、その結果を踏まえまして、対象となる生徒数や履修登録の状況等をもとに制度を検討いたしまして、あわせて事業規模を把握をいたします。
 その後、各学校と調整をしながら、申請時期や審査期間、支給時期などの年間を通じた事務処理の流れを定め、必要となる事務体制の整備、システムの構築などの検討を進めてまいります。

○橘委員 今の答弁を聞いておりますと、これを実施するのかしないのか明確ではないんですけれども、事務体制の整備とかシステムの検討を進めるというふうにあったからには、これはやると受けとめてよろしいですね。--はい、うなずいていらっしゃいますので、そのように受けとめさせていただきます。
 やるからにはずるずると先延ばししないで、迅速にやっていきましょうとお願いしておきます。
 突然ではありますけれども、小池知事、この通信制高校の授業料について、今、質疑を通して大体わかったと思いますが、どのような認識をお持ちでしょうか。ぜひお願いします。

○小池知事 今回の予算案におきましても、教育への投資、未来への投資という言葉と直結するという考え方で、ご議論をベースに盛り込ませていただいたところでございます。
 誰もが個性と能力に応じて希望する教育を受けられる、そういう環境をつくる、そしてそれを整えていくというのは、極めて重要なことだと考えております。そのために、東京の未来を担う人に焦点を当てて、都の特別奨学金を大幅に拡充することとしたわけでございます。
 今後、通信制課程の生徒に必要な支援を検討するに当たりましては、まず各学校の現場の実情をしっかりと把握をしてまいりたいと思います。
 そして、結構これオーダーメードになると思うんですが、制度設計を行う必要がございますので、そこで支援の対象となる生徒数や未成年の就労生徒の割合がどうなのか、一つ一つ学校にヒアリングをしてまいりたいと考えております。学校数はそうたくさんはございませんが、通信制の生徒さんというのはさまざまな、年齢層も広かったりするわけでございます。
 そういった意味で、このオーダーメードの体制づくりということでのヒアリング、このヒアリングの結果を踏まえまして、通信制課程への適用に向けていく検討を進めていきたい、このように考えております。

○橘委員 これは前向きな方向性が示されたと思います。これは迅速にやっていきたいと思いますので、またよろしくお願いしたいと思います。
 次に、精神障害者と、それから知的障害者の雇用、採用について質問いたします。
 まず、都の非常勤制度を活用した障害者のチャレンジ雇用は、公務の職場における障害者雇用という意味でも先駆けとなった取り組みでありますし、障害者の一般就労促進の観点からも極めて重要な取り組みでございます。
 我が党は、このチャレンジ雇用の実施をいち早く議会で主張いたしまして、現在の事業となった経緯がございます。
 この制度を進化させて、都は、今年度から新たに、東京チャレンジオフィスを開設いたしました。一般企業への就労に向けたステップアップの場として、意義は大きいと思います。
 まず、現状の成果について伺っておきたいと思います。

○梶原福祉保健局長 お話のように、都は今年度から、障害者の受け入れ先を一カ所に集約し、新たに東京チャレンジオフィスを開設いたしました。
 チャレンジオフィスでは、障害者の就労ニーズにきめ細かく対応できるよう、非常勤職員の雇用期間を最長三年間まで更新可能とし、福祉保健局では十五人を受け入れたほか、一カ月程度の短期の実習生を延べ十六人受け入れております。
 これまでに、庁内各局から、印刷物の封入や発送、データの入力や集計、会議、イベントでの会場設営や受付など、多様な業務を受注しており、非常勤職員のうち二人が企業に就職をしております。
 来年度は、非常勤職員の受け入れを拡大し、二十三人とする予定でございます。

○橘委員 さて、都庁の障害者の採用選考ですけれども、身体障害者にこれは限られているわけであります。精神障害者や知的障害者は採用の対象となっていないのが現状であります。
 民間企業におきましては、特に精神障害者の雇用が進んでいる状況を踏まえまして、都庁においても精神障害者、知的障害者の長期的、安定的な雇用の確保に向けて、一歩前に進める環境整備が必要と考えます。
 私は、この問題につきまして、昨年の予算特別委員会、この席で取り上げまして、実現に向けて検討すべきと提案をいたしました。その際、都側からは、検討していくとの極めて前向きな答弁があったわけであります。
 その後、一年間の検討を踏まえまして、どう対応するのか、都の見解を伺います。

○多羅尾総務局長 誰もが生き生きと活躍できる社会の実現のため、障害者の方々が能力や適性に応じて働き続けることができるよう、都が率先して取り組むことが重要でございます。
 都は、昭和五十六年度から身体障害者を対象とした採用選考を実施しており、これまでに七百三十六名を採用しております。今年度の選考からは、受験年齢の引き上げにより、障害者雇用の門戸をさらに広げております。
 一方、障害者雇用促進法の改正により、平成三十年度から精神障害者が雇用率の算定対象となることなどを受け、障害者雇用のさらなる促進が求められております。
 こうした状況を踏まえ、人事委員会事務局等とも連携して、現行の身体障害者を対象とした採用選考について、精神障害者や知的障害者を来年度から対象に加えることを検討してまいります。

○橘委員 もう実現まで直前という段階までこぎつけることができた、そのように思います。
 まず、この精神障害者、知的障害者の採用につきましては、非常に難しい壁があるという、法律の壁もあるということがわかりました。地方公務員法といったことも、一つの乗り越えなきゃならない課題でもありました。
 そしてまた各県も、知的障害者、精神障害者を採用したいという心は、気持ちはあるんだけれども、いろんな法律の壁もございまして、なかなかそれを乗り越えることができなかった。また、都内区市町村であっても、その気持ちはあってもなかなかできなかった。どこが先鞭をつけるか、そしてその壁を乗り越えることができるのか、そういったことが課題となっておりましたけれども、今回、東京都が本当に決断をしてくれまして、これは大きな波及効果になってくると思います。
 もともと、この問題をなぜ私が取り上げたかといいますと、精神障害者、知的障害者の団体の皆さんから、懇談したときに、親なき後に、自分たちの子供が安定して、また安心して働き続けるような、そうした雇用環境、また採用環境を整えていただきたいんですと、そういった声がたくさん寄せられました。何とかそれを乗り越えることができないのかと、そんな思いで、昨年、この席で提案をさせていただいたわけです。
 一年間かかりましたけれども、じっくり検討していただいて、また精力的に検討していただいて、きょうの答弁につながったと思っております。ぜひ、このまま採用試験までこぎつけるように、最後の詰めを行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 この身体障害者の採用選考の対象が仮に拡大しても、つまり今回門戸が開かれる、そういったことになりましても、現行の能力主義の水準、公務員としての能力主義の水準があるわけですね。つまり、業務に対応できるかどうかという基準を変えない限り、特に知的障害者は読み書きや言葉の理解が苦手な場合があるなど、その障害特性から、現実的に合格することは困難な面があるという、これもまた現実的な事実であります。
 しかしながら、民間企業において、知的障害者、精神障害者については、最初からフルタイム勤務として採用するのではなくて、短時間勤務の契約社員などで採用して、習熟度に応じて徐々に働く時間を延ばすといった工夫を行っているところが多いようでございます。したがって、採用、定着に向けては、合理的配慮やさまざまな工夫が必要であるかと思います。
 門戸開放の検討とあわせて、精神障害者、知的障害者の雇用促進の定着、これに向けたさらなる内容の検討、これも進めていくべきだと思いますが、見解を伺います。

○多羅尾総務局長 能力主義、成績主義は、公務員の任用における根本原則であり、障害者の雇用においても、この原則に基づき運用されることが求められ、能力、適性に応じて有為な人材を確保することが必要でございます。
 このため、知的障害者等を対象とした新たな雇用の枠組みを設けるに当たっては、障害の特性にかなった職務の見きわめ、その職務に求められる能力水準の設定など、制度全体の体系的な整理が必要でございます。
 また一方で、障害の程度によっては一定の就労訓練や段階的な就労時間拡大の必要性から、一律の常勤雇用にそぐわない場合も考えられるなど、個々の状況を踏まえたきめ細かな職場環境の整備も不可欠でございます。
 都における障害者雇用のさらなる促進に向けて、引き続き必要な検証と改善を積み重ねてまいります。

○橘委員 次に、テーマを変えまして、がん教育について質問いたします。
 この四月から、小中高の児童生徒を対象としたがん教育が全国的に展開されることになりました。日本はがん患者が急増しておりまして、三人に一人ががんで亡くなり、二人に一人ががんに罹患するという状況になっている中で、がん教育を一般的な教養として必要不可欠なものとして位置づけるという、これは画期的な医療政策の転換といわれております。
 そこで、東京都教育庁は、がん教育の実施に当たりまして、学校教育におけるがん教育の位置づけ、重要性の認識、四月からの実施に向けた準備状況、この辺はどのようになっているのか、お答えいただきたいと思います。

○中井教育長 児童生徒ががんについて理解を深め、健康や命の大切さについて主体的に考えることができるようにすることは大変重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、これまで保健の授業を中心に、健康的な生活の仕方とがんの予防等に関する学習の充実を図るよう、区市町村教育委員会や各学校を指導するとともに、専門医を講師に招聘して、がん教育のあり方に関する教員研修を実施してまいりました。
 また、今年度、医師や学識経験者から成る委員会を立ち上げ、小中高の発達段階に応じて、児童生徒ががんについて学ぶことができるリーフレットを作成いたしました。
 今後、健康教育に関する研究指定校においてリーフレットを活用したモデル授業を実施し、その成果を全都に普及してまいります。

○橘委員 このがん教育につきまして、これまで先行して実施している幾つかの県がございますけれども、そうした先行している自治体を見ますと、教育委員会、それから関係の行政部門、それから医師、あるいはがん経験者などが、がん教育を担う関係者の連携、これが十分できているところが多いようでございます。これができるか、連携ができるかどうかという、これが成功の鍵を握っているようであります。
 そこで、東京都は、がん教育推進協議会を早急に立ち上げて、この外部講師の活用について、都レベルの連携体制を構築すべきだと考えます。
 今現在、東京都には、この一番連携の軸となるがん教育推進協議会、これはまだ立ち上げられていないんです。これがしっかりしていないと、連携もとれないし、またどこがおくれているのか、どこを押さなきゃならないのか、その辺が見えてこないんです。現場任せになってしまったら、格差が出てくるんです。したがって、このがん教育推進協議会、これを立ち上げるかどうか、これが大事な大事な鍵になるんです。
 四月から新年度が始まって、そこから始まるわけですけれども、今この段階でやっておかなければ、おくれをとることになります。したがいまして、このできるかどうか、これは都内自治体の参考ともなるだけに、協議会の設置はぜひとも必要だと私は思いますけれども、これについて見解を求めます。

○中井教育長 学校におけるがん教育を展開するに当たり、教員が指導することはもとより、医師やがん経験者などの外部講師を活用することにより指導の充実を図ることは、がん教育を実施していく上で効果的でございます。
 そのため、都教育委員会は、外部講師の活用をさらに推進するため、関係部署と連携し、学識経験者や医師、がん経験者、区市町村教育委員会担当者等から成るがん教育推進協議会を新たに設置して、外部講師の効果的な活用方法や連携体制のあり方について、区市町村教育委員会や学校に周知してまいります。
 こうした取り組みを通して、児童生徒ががんに対する正確な知識と、がん患者に対する正しい認識を持つとともに、みずからの健康を適切に管理することができるよう、学校におけるがん教育を推進してまいります。

○橘委員 この年度末の中で、よくそこまで決断をしていただいたと思います。これができることによって、連携というのは非常に密になってまいります。これは大きな大きな効果になってくると思いますので、よろしくお願いいたします。
 ところで、このがん教育というのは、医師による授業が、その効果が非常に大きいといわれております。がん教育ですから、学校教育の一環として、教育とついていますから、学校の教師によるがん教育、がん教室、これは非常にやっぱり効果があります。教師がやることによって、大きな意味があります。
 ところが、実際に聞く側に、生徒側に立ってみますと、やはり医師というのは専門分野でございますので、専門家からがんの話を聞く、そういったことは非常に命に刺さるようでございます。したがって、この連携が大事でありますし、また、医師がこの授業に立つということ、これが非常に効果が大きいといわれております。
 具体的に行われる授業というのは、地域の医師会と地元自治体の教育委員会等の連携によって医師による授業が行われる、こういったことが多いようでございますけれども、医師の確保、特に二十三区に比べて、比較的、多摩地域は医師が少ない。こういった格差もあるわけでございまして、この点については、都教委としても、東京都医師会と十分連携をとって、格差のない事業が行われるようにすべきだと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。

○中井教育長 がん教育の実施に当たり、学校が医師を外部講師として依頼する場合、各地区の医師会の状況などを踏まえることが必要でございます。
 都教育委員会は、地域の実情などを踏まえ、都内の全ての公立学校においてがん教育のさらなる推進を図るため、求めのあった場合に、外部講師としての医師を円滑に招聘できるよう、都医師会との連携を一層強化してまいります。

○橘委員 幸い東京都の場合は、東京都医師会が、このがん教育について物すごく造詣が深くて、また協力をしていきたいと、そういった意向も、私自身がお会いしたときも示しておりました。どうか東京都医師会と連携をよくとって、このがん教育が医師の全面的な協力のもとで推進していけるように、配慮をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、テーマを変えまして、無電柱化の推進について質問をいたします。
 昨年十二月に、国会で公明党の推進によりまして無電柱化推進法が超党派の議員立法で成立いたしました。
 東京都は、二〇二〇年に向けた実行プランで、二〇一七年度中に東京都無電柱化推進条例案の策定や、道路法三十七条の適用による電柱新設の禁止を、都道全線で指定するとしておりますが、この方針については我が党も賛同するものであります。
 これを受けて、都も現在の計画を見直す必要があると考えますが、これについては東京都は今後どう取り組んでいくのか、お聞きいたします。

○西倉建設局長 昨年十二月に施行されました無電柱化の推進に関する法律では、国が無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るため、無電柱化の推進に関する計画を定めることとしております。
 こうした国の動きも踏まえまして、都としても条例案の策定を進めますとともに、都内における無電柱化の基本方針、整備目標などを含めました新たな計画を策定し、総合的、計画的に無電柱化を推進することで、東京の都市防災機能の強化を図ってまいります。

○橘委員 確認でありますけれども、この無電柱化推進計画、仮称でありましょうけれども、これを見直していくときには、建設局が行うんですか。それともほかの局も入るんですか。

○西倉建設局長 道路法の道路と、それからそれに該当しない、臨海部に臨港道路というものもあります。それから、都市整備局の方で面的な整備を行うケースもありまして、そういったところを含めまして、全庁的に無電柱化を進める計画を立てたいと思っております。
 それから、あわせて、区市町村の方も計画を立てられるように支援をしてまいりまして、区市町村の方で具体的な計画が定められるものについては、都の計画の中に盛り込んでいきたいというふうに思ってございます。

○橘委員 建設局で中心になってやっていらっしゃいますけれども、私は、この無電柱化、何のために無電柱化するのかということを考えた場合に、それに関係する部門といいますか、局、これにも入ってもらった方がいいような気がするんですね。
 なぜかといいますと、この無電柱化というのが、どこからこの課題が大きく取り上げられるようになったのかというと、阪神・淡路大震災のときに、道路脇に立っていた電柱が、軒並み電線が揺られることによって、反動をつけられて、道路側に全部倒れた。軒並み倒れた。幹線道路であってもそうだった。したがって、それによって緊急車両、救急車、消防車、自衛隊の車両、警察車両、そういったものがそこを通れなくなった。それによって、救える可能性のあった命が救えなかったという、そういう苦い経験、教訓、そこから学んで無電柱化というのが推進されたと認識しております。
 これを、景観という観点もありますけれども、そういったことを考えますと、命を守るための事業でもあるんですね。災害のときに命を守る事業でも、大事な大事な事業でもあるんです。というふうに私は認識しております。
 そしてまた、これがなかなか進んでこなかったんです。なぜかといいますと、これは膨大な予算が必要なものですから、なかなか進んでこなかった。
 そこで、公明党は、防災・減災ニューディールという政策を打ち上げまして、その中に電線類の地中化というものを盛り込みました。これによって脚光を浴びるようになって、国の予算も、また東京都の予算も多くつけられるようになってきた、それによって促進されたという経緯をたどっていくんですね。
 そこで、こういう経緯をたどるんですけれども、今現在、電柱が、電信柱がどの辺に立っているのかと見てみますと、意外と大事なところにいっぱい立っておりまして、そこにたどり着けないというケースがあるんです。
 実は私、先日ですけれども、自分の車を運転しまして、自家用車を運転しまして、板橋区内、私の地元ですけれども、板橋区内に災害拠点病院が四カ所あるんです。その四カ所に、自分の車を救急車に見立てて、国道から、都道から、自分の車で入ってみました。アクセスしてみました。そうしますと、重立ったルートが一つの病院に対して三つないし四つぐらいあるんです。細かいところはもっとありますけれども、三つか四つのルートがあるんですけれども、そこを通ってみました。
 ところが、全部電柱が立っているんです。この電柱が道路の方に倒れたら、ここは通れない、ここも通れないというのがわかりました。辛うじて一カ所だけ、病院の真ん前が広く拡幅されましたので、そこは大丈夫だなというふうに確認できました。ところが、その道路まで行き着くまでの路地が全部、電柱だらけなんです。倒れたらそこにもたどり着けないんです。ということが自分で回ってみてわかりました。
 つまり、これはほとんど区道なんです。区道にそういう電信柱がいっぱい立っているということは、これは救急車もそこに進入できないということになるわけです。したがって、守るべき命、守られるべき命が守られないという事態がここで発生してくるわけです。
 今、建設局長にいいましたけれども、建設局で計画をつくるのはよし、けれども、同時にそういった災害拠点病院であるとか、命を守るその観点からの分野の意見もきちっと聞いた方が、整備の優先順位といいますが、そういったことができるのではないかと思ったんで、提案した次第でございます。検討いただきたいと思います。これは私の意見でございます。
 同時に……(「聞いた方がいいよ」と呼ぶ者あり)という声もありますけれども、気持ちを受け取ってください。
 それで、同時に、先ほどいいましたように区道が、板橋区でいえば区道ですね。区道、市道、そういったところが、なかなか進んでいないんですね。ということは区市町村の協力を得なければ、そういった災害拠点病院に通じるルート、そういったところも守れないんですよ。
 したがって、この推進計画を見直すときには、区市町村ともよく連携して、また来年度は、基金を使ったこの事業も始まってまいります。区市町村支援も始まってまいります。こういったふうにして、東京都がリードするのは当然ですけれども、区市町村と連携を密にとって、この計画を推進していただきたいと思いますが、局長、いかがでしょうか。

○西倉建設局長 都内全体で無電柱化を進めるためには、都道のみならず区市町村道の整備を促進することが重要でございます。
 これまで都は、区市町村に対しまして、防災に寄与する道路等を対象に財政支援を行いますとともに、職員向けの研修を実施するなど技術支援にも取り組んでまいりました。
 これに加えまして、平成二十九年度より補助制度を拡充し、計画策定に必要な調査や道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業等に対しまして、新たに財政支援を行ってまいります。
 また、東京電力やNTTなどと低コスト化に向けた技術検討を行いまして、その成果を区市町村に提供するなど、支援を強化いたします。
 引き続き、都がリーダーシップを発揮して、区市町村と連携しながら、無電柱化を積極的に推進してまいります。

○橘委員 同じ防災対策に関連して、もう一問質問いたします。
 災害時に帰宅困難者を民間施設や事業所などが受け入れる民間一時滞在施設備蓄品購入費用補助事業について質問いたします。
 この事業は、帰宅困難者対策の一環としまして、一定の条件を満たしている民間施設などが、水、食料、簡易トイレ、毛布などの備蓄品を購入するときに、これを都が補助するものでありまして、平成二十五年度に制度がつくられてから、二十八年度までの四カ年の事業として実施をされてまいりました。
 まず、この事業の実績について説明を求めます。

○多羅尾総務局長 行き場のない帰宅困難者を受け入れる民間一時滞在施設は、民間事業者の自発的な協力によって初めて確保できることから、都としても、備蓄品購入費用の補助などを通じまして、事業者の後押しをしていくことが不可欠でございます。
 このため、都は平成二十五年度に、帰宅困難者を受け入れる事業者を対象とした備蓄品購入費用の補助制度を創設し、二十七年度までの三年間で合計九十二事業者を対象に、約二億円の補助金を交付し、新たに約三万八千人分の一時滞在施設の確保につなげました。

○橘委員 この事業の補助金を受けようという、そういった企業、何社かちょっとお話を聞いてみたんですね。そうしましたら、知ったのが随分後になってからだとかというふうにして、結構、PR不足が響いたんじゃないかという、そんな気がいたしました。
 この辺、どうですか。

○多羅尾総務局長 民間事業者の方々にこの補助制度を活用していただくためには、制度を広く周知していくことが重要でございます。
 都ではこれまで、経済団体とも連携し、事業者が参加する防災に関する講演会などに加え、駅周辺の民間事業者や商店街、鉄道事業者などで構成する駅前滞留者対策協議会の場を積極的に活用し、補助制度の周知に努めてまいりました。また、補助制度のチラシを作成し、区市町村を通じて事業者に配布するなどの取り組みも進めてまいりました。
 来年度新たに、民間一時滞在施設確保への協力を事業者に働きかける非常勤職員を配置いたします。この職員も活用いたしまして、区市町村と連携した積極的なPRを行うことなどにより、この補助制度がさらに活用されるよう努めてまいりたいと考えております。

○橘委員 課題も私なりに把握いたしました。民間企業、民間事業者、この備蓄をどこにするのか、その場所の問題。それから予算の関係におきましては、企業は、また事業所は、やはり一年間の予算を組む、そのときに、どの辺でどの程度の予算を確保しなきゃならないのか。それから、いざというときに対応するための社員をどこに配置しなきゃならないのか、どのくらい確保しておかなきゃならないのか。社内であっても、事業所内であっても、結構な手続を踏まないと会社からオーケーが出ないという、こういった実態もあるようでございます。
 したがいまして、その手続とかに要する社員の負担、これもまた大きいということで、さまざまな課題が私なりに、聞いた限り見つかってまいりました。
 そこで大事なことが、この事前審査とか、それから補助金の交付申請、それから応募期間が短いであるとか、そういった課題が見えてまいりました。この辺について改善していかないと、せっかく民間の皆さんが一時滞在施設として協力しますというふうにして名乗りを上げようとしても、なかなかこれにたどり着けない。この困難がいっぱいあるということがありますので、こういった細かい配慮をしていくべきだと考えますが、どうでしょうか。

○多羅尾総務局長 備蓄品補助制度をより多くの事業者に活用していただくためには、利用しやすい制度に見直していくことが重要でございます。
 都ではこれまで、水、食料、簡易トイレ、毛布の四品目を三日分一括購入した場合のみを補助対象としてきましたが、平成二十七年度には一品目のみの購入も新たに対象とするなど、見直しを行っております。
 来年度は、事業者の利便性向上の観点から、募集期間を今年度よりも約四カ月間、大幅に拡大するとともに、事業者の負担軽減を図るため、申請手続を簡素化してまいります。
 今後も引き続き、事業者のニーズを的確に把握しつつ、より利用しやすい制度への見直しを実施してまいります。

○橘委員 次に、テーマを変えまして、交通機関の混雑緩和対策について質問いたします。
 東京の鉄道などの混雑緩和対策として、働き方改革や、知事が提唱しておられる快適通勤ムーブメントなどの必要性が指摘されております。大事な取り組みであることは同感でありますけれども、一方で、私は混雑緩和というのは、一義的には、まずは鉄道事業者が緩和のための努力をするということ、これがまず第一義であるべきだと私は思っております。
 したがいまして、この路線整備であるとか相互乗り入れなどで、まずは事業者が中長期的な緩和策を示すべきだと考えますけれども、都の対応策について伺っておきます。

○邊見東京都技監 鉄道の混雑緩和には、鉄道の利用者、事業者双方の取り組みが重要でございます。
 これまでも、鉄道事業者により、車両の長編成化や補助制度を活用した新線の建設、都の連続立体交差事業と一体となった複々線化などが実施されてきておりまして、小田急線でも、来年三月に複々線化が完成する予定でございます。
 鉄道ネットワークのさらなる充実に向けては、昨年四月の国の答申において、事業化に向けて検討を進めるべきとされた六路線を中心に、現在、都は鉄道事業者など関係者とともに連携し、課題について検討を行ってございます。
 今後、快適通勤ムーブメントにより、混雑緩和に向けた機運を醸成し、ピーク時混雑の分散化を図るとともに、鉄道事業者に対し、このようなハード施策の実施についても促してまいります。

○橘委員 中長期的なハード施策に関する取り組みを進めるためには、まずは、東京都でありますから、都営地下鉄が率先して混雑緩和策、これに本腰を入れて取り組んでいますよというシグナルを送る、これも大事かと思います。これについて、交通局、どのようにお考えでしょうか。

○山手交通局長 都営地下鉄では、定期的に実施しております乗客量調査の結果を踏まえまして、必要に応じてダイヤ改正や車両の増備を行うなど、輸送力の増強を図ってございます。
 新宿線では、今年度、八両から十両に増強した車両を五編成導入し、大江戸線につきましては、臨海地域等の開発による需要増が見込まれることから、平成三十年度に三編成を増備いたします。
 三田線につきましても、沿線地域の開発が進みまして、相互直通運転を行っております東急目黒線からのお客様もふえてございます。さらに、平成三十四年度には、神奈川県の海老名方面からの相模鉄道と東急電鉄との直通運転が予定されており、一層のお客様の増加が想定されます。このため、相互直通運転を行っている各社と、現行の六両編成を八両に増強する協議を開始いたしました。
 引き続き、都営地下鉄や相互直通各線の需要動向を見きわめつつ、混雑緩和対策に取り組んでまいります。

○橘委員 今、答弁の中で出てきました三田線でありますけれども、現在、六両編成でありますけれども、大変混雑しております。八両編成化することによって、これは混雑を大幅に緩和する、そういったことも効果として、また期待できるかと思いますので、推進をお願いしたいと思っております。
 次に、都市鉱山の活用、これはオリンピック・パラリンピックに関係するものでございまして、この都市鉱山の活用について質問をいたします。
 組織委員会は、オリンピック・パラリンピックのメダルをリサイクル原料で製作することとし、来月、四月からでありますけれども、スマートフォンを初め、小型電子機器の回収プロジェクトが始まってまいります。各家庭に眠る使用済みの小型電子機器には、希少金属を初めさまざまな金属が含まれておりまして、都市そのものが鉱山と呼ぶに等しい状況にあることを、これを踏まえたものであります。
 東京都は、このプロジェクトに先行して、二月から新宿区の協力を得て、東京都庁第二本庁舎一階に回収ボックスを置き、取り組みをスタートさせたわけであります。これが話題を呼んでおります。
 四月からも、東京都として積極的に回収を推進して、区市町村にも呼びかけるなどして、東京から大会成功への機運を盛り上げていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○遠藤環境局長 二〇二〇年東京大会で使用されるメダルの材料といたしまして、携帯電話等の小型家電の回収を都民に呼びかけ、二月十六日からきのうまでの約一カ月間で、携帯電話約一万一千台、その他の小型電子機器約三千台の合計一万四千台余りが集まりました。
 さらに回収を進めるため、先般、特別区清掃リサイクル主管課長会で回収を呼びかけるなど、都庁舎以外における協力ボックスの設置を各区市町村に依頼したところでございます。
 今後は、オリンピック・パラリンピック組織委員会の都市鉱山からつくるみんなのメダルプロジェクトが始まるため、より多くの都民の協力が得られるよう、都としても広報、周知を図り、組織委員会と連携しながら、引き続き回収の推進に取り組んでまいります。

○橘委員 都議会公明党は、二〇〇八年、第三回定例会の一般質問などで、東京が世界有数の埋蔵量を誇る都市鉱山であるとして、携帯電話や小型電子機器の回収を提案してまいりました。
 今回の都市鉱山からのリサイクルを東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、大会後も継続していく意義は大きいと思います。この点について見解を伺います。

○遠藤環境局長 天然資源に恵まれない我が国にとりまして、大消費地東京の都市鉱山を掘り起こし、リサイクルを推進していくことは大変重要な課題でございます。
 今回、携帯電話の回収に短期間で多くの都民の協力が得られたのは、自分の携帯電話が大会メダルに生まれ変わるという期待感が都民の共感を幅広く呼び、具体的な行動につながったからだと考えております。
 今回の回収事業をきっかけに、都民に都市鉱山の有益性を周知いたしまして、小型家電リサイクルの取り組みを定着させてまいります。
 今後とも、区市町村や事業者と連携して3Rの推進に努め、二〇二〇年東京大会のレガシーとして、持続可能な都市東京の実現を目指してまいります。

○橘委員 最後の質問になるかと思いますけれども、心肺停止のときに電気ショックを行って救命措置を行う、いわゆるAEDについて質問いたします。
 昨年末に我が会派の同僚議員が、地元の都営住宅の餅つき大会に参加した折に、一人のご婦人がその場で急に倒れたために、素早く心臓マッサージを行ったそうです。幸い救急車内で脈と呼吸が回復したという出来事がありました。後で聞いたところによりますと、このご婦人は急性心筋梗塞だったようでございまして、今では無事、社会復帰をされているとのことでございました。
 そのときにこの議員が思ったのは、この近くにAEDがあったならば、その日はたまたま日曜日だったものですから、高齢者福祉センター、これも休館日であったと、そういったことがありまして、もうこれが近くにあったらという問題意識を持ったようでございます。
 そこで、消防庁にお聞きしますけれども、消防庁として、救急現場に居合わせた人、このAEDを使用する講習について、東京消防庁は、もっともっとこれはさらに、居合わせた人の訓練というものを強化していくべきと思いますけれども、いかがでございましょうか。

○高橋消防総監 平成二十七年中、東京消防庁管内でバイスタンダーがAEDを使用して除細動を実施した傷病者数は、二百三十四人であります。そのうち約六四%に当たる百四十九人が医療機関到着前に心拍が再開しており、AEDの使用は傷病者の救命に高い効果があると認識しております。
 このため、事業所、町会、各種ボランティア団体のほか、中学生や高校生に対する救命講習の受講促進に加え、所定の受講時間の確保が難しい方や、小学校高学年の児童を対象として、短時間でAEDの使用方法を学べる救命入門コースを、今年度から開始したところでございます。
 今後とも、東京二〇二〇大会に向け、毎年二十万人以上を目標に、AEDを使用できる都民の育成に努めてまいります。

○ともとし副委員長 橘正剛理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時十四分休憩

ページ先頭に戻る