予算特別委員会速記録第五号

   午後六時五分開議

○秋田副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 田中健委員の発言を許します。

○田中(健)委員 それでは、都議会民主党を代表しまして、締めくくり総括質疑を行います。
 初めに、今後の都財政と行財政のあり方について質問をいたします。
 平成二十八年度予算案を見ますと、給与関係費は平成二十七年度と比較し、四百億、二・六%の伸びを示しています。主な要因は、給料の月額増改定、また、公的年金制度の一元化に伴う事業主負担分の増加など、制度改正もありますが、職員定数の増加も一つの要因となっています。
 都は、職員定数について、財政再建の中で大幅な削減を進めてきましたが、二十八年度の行政系職員の定数は、昨年度に続き二年連続の増加をしております。雇用形態もさまざまであり、職員定数が給与関係費にそのまま直結するわけではありませんが、職員の人件費は固定費であり、職員定数の増は将来にわたる義務的経費の支出を増加させる要因となります。
 そこで、まずは平成二十八年度の行政系職員の定数に対する考え方を伺います。

○中西総務局長 都の職員に係る人件費は、いうまでもなく都民の税金で賄われており、したがいまして、執行体制は常に最少の経費で最大の効果を発揮するものでなければなりません。
 職員定数については、毎年度、各局の事業動向や個々の職務内容と業務量などを十分に精査するとともに、徹底した事務事業の見直しや内部努力を進め、簡素で効率的な執行体制の構築に努めております。
 平成二十八年度についても、二〇二〇年東京大会の開催準備に万全を期すほか、急増する児童虐待相談への対応など、喫緊の課題解決に必要な人員を措置するとともに、業務の委託化や事業の統廃合などによる見直しもあわせて行い、職員配置の一層の最適化を進めたところでございます。
 このように、都政の重要課題に的確に対応する効率的かつ効果的な体制の整備を図りました。

○田中(健)委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催準備に必要な人員の確保、または児童虐待への対応として児童相談所の職員を補強するなど、都政の課題解決に人員を措置することは私も理解をしております。
 しかし、その一方で、人口減の社会における将来世代の負担の増加についても考える必要があると思っております。義務的支出の増加は財政の硬直化を引き起こし、新たな行政課題への機動的な対応力も低下させる懸念があります。
 そのため、オリンピック後も、将来にわたって財政負担の増加につながる職員定数について、単年度での要不要を厳しく査定することはもちろんでありますが、将来を見通した計画的な取り組みを進めていくことが必要です。
 職員定数について、中長期的なビジョンが必要と考えますが、見解を伺います。

○中西総務局長 都におきましては、これまでも徹底した事務事業の見直しや内部努力により、簡素で効率的な執行体制の構築に努めてまいりました。
 今後は、二〇二〇年東京大会の開催準備や東京都長期ビジョンの実現など、行政の質の高さや成果が一層求められる状況において、さまざまな変化や課題に即応していく必要があり、現段階で長期的な職員定数を推計することは困難なものと認識しております。
 こうした中、職員定数については、あらかじめ期限や目標を定めて管理するよりも、毎年度、事業動向や個々の職務内容、業務量を将来も見据えてつぶさに精査し、めり張りをきかせた措置をしていくことが重要でございます。
 引き続き、こうした考え方のもと、現実の行政展開に応じ、時宜にかなった適正な定数管理を行ってまいります。

○田中(健)委員 必要なところに必要な人員を措置することと将来の負担増についてもしっかりと視野に入れて、生産性の向上や組織、人事の見直しによって厳しく管理していくことの両面から取り組んでいただきたいと思います。
 さて、知事は日ごろより、短い時間でよい効果を上げる、都も効率よい働き方をといった趣旨の発言を各所でされております。私も全く同感であり、労働人口が減少する時代を迎える中、都庁においても生産性の向上が必要で、最少の人員で最大の成果を上げることは欠かせないと考えております。
 政策の実現を加速させるには、任期の折り返しを迎えた今、トップである知事が都庁内の意識改革を進めていくことが必要です。
 今後、仕事の進め方の見直しや事務の効率化、業務改善など質の改革を通じ生産性を伸ばし、新たな行政課題への対応力を生み出していくべきと考えますが、今後の行政改革のあり方について知事の見解を伺います。

○舛添知事 今後の人口動態に起因する行政ニーズの変化や、二〇二〇年東京大会の準備を初めとします諸課題に的確に対応していくためには、今、田中委員がおっしゃったように、業務をより一層効率化し、生産性の向上を図っていくことが必要であると考えています。
 そういう意味で、この二年間、個々の事務事業や行政のあり方について、不断の改革に取り組んでまいりました。
 平成二十八年度予算編成におきましても、事業評価の取り組みを通じまして、三百二十五件の事業の見直し、再構築を図るなど、自己改革の取り組みを一層徹底しております。
 また、限りある人材の有効活用の観点から、必要な人員は確実に措置する一方で、係制の廃止とか人事管理における成績主義の一層の推進など、執行体制の強化に努めてまいりました。
 さらに、昨年三月には、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランを策定しまして、育児期の職員のキャリア形成を基軸とした支援を行っております。
 来月から、全職員の生産性向上を目指しまして、時差勤務の拡大も図るなど、働き方改革の取り組みを進めてまいります。
 今後とも、大胆に改革を進めまして、世界一の都市東京の実現に向けて、効率の高い都政運営に全力で取り組んでまいります。

○田中(健)委員 ただいまの知事答弁にありました生産性の向上に向けた改革の推進に加えまして、ITの活用による効率性のアップ、まだまだICTの利用で都庁の効率性はアップできると思っています。
 また、今、時差勤務もありましたが、時間短縮なども大きく寄与するものと思っておりますので、筋肉質で効率的な行政運営に努め、私が申し上げておりました職員定数についても、中長期的な見通しを持つことは欠かせないと考えておりますので、この場で強く再度求めておきます。
 次に、国際金融センター構想について伺います。
 都市の活力の源となる経済の分野は重要です。都は、一昨年七月、東京オリンピック・パラリンピック開催の機を捉え、東京をロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融センターとして復活させようと東京国際金融センター構想を発表しました。
 そこでまず、この構想の狙いとこれまでの取り組み状況についてを伺います。

○川澄政策企画局長 国際金融センター構想は、東京を、世界中から人材、情報、資金が集まり、国内外の必要な部門に資金を供給する拠点とすることを通じて、東京、さらには日本の経済の活性化を図るものでございます。
 そのため、都は、国や民間と官民一体の体制を構築して、金融センター実現に向けて取り組みを進めてまいりました。
 都みずからの取り組みとしては、官民連携ファンドの設立や東京グローバル都債の発行のほか、首都大学東京における高度金融専門人材養成プログラムの開講に向けた準備などを進めてまいりました。
 また、構想の実現に取り組む東京の姿を発信するため、国際金融会議の年内の開催に向けて具体的な検討も進めているところでございます。
 今後とも、都は、国や民間と連携し、国際金融センターの実現に向けた施策を展開してまいります。

○田中(健)委員 国際会議、ぜひとも東京で実現することを期待したいと思っております。
 その中で、都は、平成二十四年度に官民連携インフラファンド、平成二十六年度には官民連携再生可能エネルギーファンドという二本のエネルギー関係ファンドを組成いたしました。これらのファンドは、各地の発電所建設のための投融資を進めておりまして、既に運転をしている発電所もあると聞いております。
 今後ファンドは、発電所の売電収入をもとに、都を初めとする投資家からの出資金を回収することになるのでしょうが、何といっても、この場で質しておかなければならないことは、都民の税金を原資とする、都からのファンドへの出資金が毀損されないかということです。
 そこで、これら二ファンドによる発電所への投融資状況及び都のファンドへの出資金の回収状況、さらには今後の出資金の回収見込みについてを伺います。

○塚本会計管理局長 エネルギー関係の二ファンドにおきまして、これまで十九カ所の発電所への投融資を実施いたしました。
 発電所の運転開始などにより、多くの案件でキャッシュ・フローを生み始めており、平成二十六年度までに、既に二億円余りの資金を回収しております。
 都は、有限責任で出資しており、各ファンドの運営は民間事業者が行っているため、都の立場で資金回収の見込みについて具体的に述べることは困難でございますが、今後も都への配当が順調に行われるものと期待しております。

○田中(健)委員 出資金の回収状況の方は理解をさせていただきました。
 都は今後とも、その出資金が適切に回収をされまして、都民の税金が毀損することのないように、ファンドの運営監視においては適切に行っていただきたいと思います。
 また、私は、昨年の予算委員会において、官民連携福祉インフラファンドは、収益目的ではなく、政策目的達成のために組成されるべきであるということや、また、整備された建物については積極的に情報開示を行うべきと申し上げました。
 その後、都は、本ファンドのファンドマネジャー二者と契約を締結し、ファンドを組成しました。来年度以降、二者がそれぞれ組成するファンドは、東京都版のCCRCを理想型とする子育て支援施設や高齢者向け施設を含んだ福祉貢献型建物の整備を進めることとなりますが、本日は、中でも東京都版のCCRCの整備に係る課題を明らかにするとともに、今後の課題解決のために、都が果たす役割についてを質していきたいと思っております。
 初めに、このファンドが整備する建物の理想型としている東京都版のCCRCとはどのようなもので、本ファンドによりその建設が促進されるのか確認をいたします。

○塚本会計管理局長 東京都版CCRCは、地価が高く広い土地の確保をしにくい東京におきまして、子育てをしながら介護を必要とする高齢の家族とも長く住み続けることができるよう、一棟の建物に子育て支援施設や高齢者向け施設のみならず、医療施設、商業施設、住宅などを含む建物を想定しているところでございます。
 現状、民間の不動産開発では、子育て支援施設や高齢者向け施設を含む建物の建設意欲が高くない上、東京都版CCRCには医療施設や商業施設、住宅なども含まれるため、建設に当たっては解決すべき課題も多くございます。
 都は、各ファンドマネジャーが本ファンドの趣旨を理解し、東京都版CCRCを初めとする福祉貢献型建物の整備を進めることを期待しているところでございます。

○田中(健)委員 この東京都版のCCRCについては、一棟の建物に、今おっしゃってもらいましたが、さまざまなテナントが入居することになって、管理面など、また整備面など多くの課題があることは私も理解をさせていただいております。また、建設に向けたハードルは高いということも理解をしております。
 都が東京都版のCCRCの整備を真に進めたいと思うのであれば、この組成されたファンドを監視するのみならず、東京都版CCRCの整備に向けた取り組みをより進めていくべきと考えておりますが、見解を伺います。

○塚本会計管理局長 東京都版CCRCの建設には解決すべき課題も多く、都としても、ファンドによる整備を目指すほか、整備促進に向けた独自の取り組みを進める必要がございます。
 そこで、来年度、新たに有識者などによる検討会を立ち上げ、民間事業者による土地の仕入れや建物の建設に係る金融機関からの資金調達など、金融面から見た東京都版CCRC建設に向けた課題と対策を議論することとしております。
 これらの取り組みにより、東京都版CCRCを初めとする福祉貢献型建物を一つでも多く整備してまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 本ファンドの組成に加えて、今の答弁にありました、来年度から有識者などによる検討会において議論を行っていくということでありますので、東京都版のCCRCの整備促進に向けた、金融面から見たこれまでの課題と、さらに対策というのが明らかになれば、都内各地において、今回のファンドのみならず、ファンドだけですと一棟、二棟できただけで終わりということになってしまいますが、それが民間事業者独自の取り組みも進めた形で福祉貢献型建物の整備促進になることが期待をされております。
 来年度立ち上げる検討会において、都は、しっかりとした議論を行っていただき、また、議会にもしっかり報告をいただきたいと思っております。
 官民連携ファンドは、政策課題を解決する手法のみならず、投資の機会の拡大という面を通じて東京の国際金融センター化に寄与するはずであります。特に、今、議論をしております東京都版CCRCというのは、知事が昨年度の所信表明でも述べ、政策の一つとして掲げているものであります。
 最後に、このファンドの取り組みを通じた福祉貢献型建物の整備と国際金融センター構想の実現に向けた決意を知事から伺いたいと思います。

○舛添知事 今、もう田中委員がご指摘いただいたように、二つの点があると思います。
 今回のファンドによりまして、東京都版のCCRCなど、こういう福祉貢献型の建物の建設が進めば、東京に末永く住み続けたいと思う人々に対する一つの選択肢になるわけでありまして、政策課題に応えるという、民間による整備促進のきっかけにもなり得ます。
 同時に、二つ目は、ファンドにより整備された建物が、例えばREIT市場に上場する投資法人に売却されれば、REIT市場そのものを活性化していく、そういうことを通じて東京の国際金融センター化にも貢献すると思います。
 つまり、都の資金を呼び水にしまして、民間の資金とノウハウを活用して政策課題を解決するという、こういう官民連携ファンドの取り組みは有効な手法でありまして、今後とも取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○田中(健)委員 次は、産業振興について伺いたいと思います。こちらもファンドなんですが、中小企業の連携促進ファンドについて伺います。
 ファンドには、ご案内のとおり一定のリスクがあります。先ほどまで述べていました官民連携の福祉インフラファンドなどは、市場がまだ未成熟でありますし、民間が投資をしづらいという分野であり、都がファンドを設立し、さらにそれを呼び水とする、まさに今、知事がおっしゃっていただいたような意義があるとは考えます。
 一方、都が来年度設立を予定している中小企業連携促進ファンドでは、ベンチャー企業等へ株式投資という形で行うものでありますが、国や民間でも同じようなファンドが存在をいたします。また、ベンチャー、中小企業の資金調達を都が支援する手段としては、制度融資を初めとする融資も多々あります。
 ファンドという手法自体を私も否定するわけではないのでありますが、しかしながら、来年度、この中小企業連携促進ファンドをまず立ち上げる意義についてを伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 中小企業やベンチャー企業が中長期的に事業を継続するためには、融資のほか、投資など多様な資金調達手段を確保することが重要でございます。
 このため、都は来年度、中小企業単独では埋もれがちな技術を、大学、研究機関等との連携を通じて顕在化させ、資金と経営の両面から支援を行うファンドを設立いたします。
 近年、国や民間でもファンドを設立する動きが見られますが、日本におけるベンチャー投資の規模は、米国などに比べ著しく小さいのが現状でございます。
 こうした中、都の資金を呼び水として、民間の資金とノウハウを活用したファンドを設立し、中小企業やベンチャー企業の成長に向けた支援を行うことは有意義であると考えております。
 この仕組みにより、将来性のある企業の育成や新しい産業の創出につなげてまいります。

○田中(健)委員 この中小企業連携促進ファンドは、都が三十億をまず出資して、そして民間が三十億を出資して、総額六十億円の規模を目指すというものでありますが、ファンドという仕組み上、都が出資した出資金が保証されるというものではありません。
 都は、このファンドの毀損リスクをどのように考えて、どのような対策をとることを考えているのか伺います。

○山本産業労働局長 中小企業に対する金融支援には、融資、投資を問わず一定のリスクが存在いたします。
 ファンドにつきましては、社会経済情勢により、投資環境が目まぐるしく変化をするため、常に適正なリスク管理を実施することが必要でございます。
 このため、都は、専門家を活用して投資先企業やファンドの資産状況の把握を行うほか、ファンド運営事業者へ必要な提言を行うなど、出資目的に沿った運営がなされているかについて適切なモニタリングを行ってまいります。

○田中(健)委員 ところで、都がベンチャー企業を支援するファンドを立ち上げるのは今回が初めてではありません。平成二十五年一月には、ベンチャー企業成長支援ファンドを立ち上げて支援を行っています。
 設立から三年を経過した現在、このファンドの投資実績、また、資金回収の状況についてを伺います。

○山本産業労働局長 ベンチャー企業成長支援ファンドは、都が二十億円を出資する一方で、ベンチャー企業の成長支援という都の政策目的に賛同する民間事業者や公的中小企業支援機関等からの出資を得まして、全体で五十五億円で設立し、現在までに十九社に投資を行っております。
 また、資金回収の状況につきましては、ファンドの清算期間が終了する平成三十六年までは確定をいたしません。

○田中(健)委員 ベンチャー企業成長支援ファンドの投資件数はわかりましたが、やはり資金回収状況というのは、今おっしゃってもらいましたが、事業の終了後、平成三十六年まで待たねばならず、なかなかファンドというのが適切に運用されているかというのが、私たちも判断ができかねます。
 そんな中で、国において、国も多くの官民ファンドを設立し、いろいろな是非が議論されておりますが、国は官民ファンドの運営に係るガイドラインというものを設定して、ファンドによる支援決定件数、また支援額、さらにはKPIの評価による政策目的の達成状況というのをつくり、また検証報告という形でそれをレポートとして毎年提出して明らかにしております。
 都が来年度、新たに立ち上げる中小企業連携促進ファンドについては、ぜひとも国のこうした取り組みも参考に、政策目的の達成状況を対外的に公表するなど、さらなる情報公開というのを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 ファンド運営に関する情報開示につきましては、秘密保持契約などによる一定の制約を受けるものでございまして、このことは国も都も同様でございます。また、制約の程度は個々のファンドによってさまざまでございます。
 こうした個別の制約の中で、都は今後とも、関係法令や投資事業有限責任組合契約等に従いまして、適切に情報を開示してまいります。
 あわせて、繰り返しになりますが、効率的な運用に向けまして、出資目的にかなったファンド運営がなされているかについてのモニタリングも行ってまいります。

○田中(健)委員 もちろんファンドには民間資金も入り、全てを公開できるというのは思っておりません。
 しかし、官民連携インフラファンドにおいては情報公開を極力進めていくと、昨年のこの場でも発言をもらっております。
 ファンドにおいては、やはり極力、議会の目や、また外部の目が入りチェックできる体制を整えることが必要かと考えています。
 モニタリングと、先ほど来答弁してもらっておりますが、このモニタリングも、何をしているのか、また、どういう状況なのかというのは、私たちには公開されることはありません。
 ですので、達成状況を公開する検証報告書の作成等、ガイドラインの制定、これも国と都は違うと、今、答弁がありましたが、ぜひとも、すぐにはなかなかできないかと思うんですが、これからファンドを使って東京都がさまざまな支援をしていくというならば、このガイドラインに沿った運営ができるような体制を整えていただきたいということを強く求めておきたいと思います。
 次に、NPO法人への金融支援について伺います。
 中小企業信用保険法が改正をされまして、昨年十月よりNPO法人が信用保証協会の保証制度の対象になりました。
 この改正に伴い、都の制度融資におけるNPO法人への対応というのはどのように広がったのか伺います。

○山本産業労働局長 国は、中小企業と同様に事業を行い、地域の経済や雇用を担うNPO法人の事業資金の調達を支援するべく、中小企業信用保険の対象にNPO法人を追加する法改正を行いました。
 都は、これを受けまして、制度融資において、法改正の趣旨を踏まえた制度の見直しを行い、改正法が施行された昨年十月からNPO法人にも対象を広げたところでございます。

○田中(健)委員 今までから大きく、事業系のNPOについては、東京都が発行しております事業制度一覧が適用されるということであります。
 これまでのNPO法人の課題としては、どうしても民間の金融機関からの融資を受けるのが難しく、個人からの借り入れに頼るといった活動資金の不足が挙げられておりました。今回、制度融資への門戸が開くことで、NPO法人の資金繰りが安定する効果が期待できます。
 創業期にあるNPO法人に対して、都は、制度融資以外にも昨年度から、先んじて、女性・若者・シニア創業サポート事業を実施しております。
 NPO法人が新たに制度融資の対象となってから約半年、今後見えてくる課題もあるかと思いますので、ぜひとも今回の法改正とともに、引き続きNPO法人に対する金融支援の取り組みを求めておきます。
 次に、都内中小企業の海外の展開支援について聞きたいと思います。
 昨年暮れにタイに進出した東京都中小企業振興公社では、開所以来、現地法人の設立の手続や販売拡大等のアドバイスが早速始まっているとお聞きをしています。
 また、東京都中小企業振興公社は、タイのカシコン銀行と業務提携を結んでおります。
 一方、AECの設立でメコン川流域にタイ企業や日本企業が多く進出を始めており、バーツ建ての取引が周辺諸国との間でふえているといった実績も見え始めております。
 そこで、協力関係にあるカシコン銀行と連携して、都内の中小企業の海外展開を支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 公社では、カシコン銀行の有する現地中小企業の豊富な情報を活用し、都内中小企業に対して、販売代理店や技術提携先等を紹介するなど、現地での新たなビジネス展開を後押ししてまいりました。
 これまで、都内医療機器メーカーとカシコン銀行の取引先であるタイ企業とのマッチング等を行っているところでございます。
 タイ事務所開設後は、より緊密に情報交換を行うなど連携を深め、都内中小企業の海外販路拡大に向けたサポートに取り組んでまいります。

○田中(健)委員 昨今の世界経済の減速の状況と、また、タイ経済も実はかなりこの影響を受けておりまして、低迷によってタイの成長率は本年度三%と下回りました。
 しかし、経済統合が進むASEAN全体を見ますと、市場規模は六億人といったこの市場は堅調でありまして、中長期的には最も成長が見込まれる地域の一つといわれております。
 人口規模でEUをしのぐこの巨大市場は、都内中小企業にとっては、これから大きなビジネスチャンスであります。
 そこで、都は、先ほどはタイの支援ということを述べてもらいましたが、ASEAN市場での海外展開をどのように支援していくのか、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は、ASEAN市場を目指す都内中小企業に対し、ベトナムやマレーシアなど、ASEAN諸国の展示会への出展支援や、現地のビジネス事情に精通した専門家によるハンズオン支援を行い、企業の販路開拓を後押ししております。
 来年度からは、海外展示会の出展規模を拡充するとともに、海外展開のノウハウを持たない企業が円滑に海外市場に挑戦できるよう、事業計画策定への支援を実施してまいります。

○田中(健)委員 海外展開にこれまで全く取り組んでいなかった企業に対しても、一から経営支援、また支援プランを行っていただけるということをお聞きしました。
 ぜひとも、タイだけでなく、今、マレーシアも含め答弁してもらいましたが、ASEAN全域に海外展開を広げる都内中小企業の取り組みを強く支援していただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、オリンピック・パラリンピック、そして文化都市であります。
 大学は、アスリートやアーティスト、ボランティアなどになる若者や研究者が集まり、スポーツ施設も整う高等教育研究機関であります。
 現在、組織委員会は、全国の大学と連携協定を結び、オリンピック・パラリンピック教育の推進やグローバル人材の育成などを進めています。
 二〇一二年ロンドン大会では、大学連携組織ポディウムというものを組織し、活発に活動し、各国のオリンピック・パラリンピックチームも誘致をしておりました。都が組織委員会に大学連携組織を立ち上げることを提言すべきと私は考えます。
 かつて大学で教鞭をとり、大学を熟知している知事だからこそ、都民の期待も大きいものと考えております。
 都としても、大学をオリンピック・パラリンピックのパートナーとして捉え、ともに大会の成功に向けて取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○舛添知事 大学は、高等教育研究機関であるとともに、我が国の未来を担う大きな可能性を秘めた若人が学ぶ場であります。
 二〇二〇年大会の成功と大会がもたらすレガシーを見据えて、大学におきましては、その高い研究機能や高水準の施設など、みずからが保有する豊かな資源を駆使して、水素社会構築への取り組みとか、災害対策、それから暑さ対策などの、こういう都市課題の解決に大いに貢献してもらいたいと思っております。
 そして、私が特に期待しますのは、学生諸君が二〇二〇年大会に積極的に参加してくれることであります。
 首都大学東京では、この一月にボランティアセンターを立ち上げまして、大会での活躍も視野に入れた豊かな人間性と独創性を備えたリーダーシップを発揮する人材の育成に取り組んでおります。
 大会運営や語学力を生かした観光案内など、さまざまなボランティアに従事する経験というのは、これは海外に視野を広げ、日本にいて海外のことがわかるわけですから、日本の文化を世界に伝える国際性豊かな人格の形成へとつながっていきます。
 二〇二〇年大会に向けて、こうした取り組みに加えまして、文化や教育活動に各大学が積極的に取り組み、日本の将来を切り開いていく、そういうグローバルな人材を数多く輩出していただきたいと考えております。
 今後とも、大学を非常に重要なパートナーとして捉えまして、その力を十分に生かして、大会の成功につなげていきたいと思っております。

○田中(健)委員 知事の決意を聞かせていただきました。
 先ほどの委員会の質疑の中でも、やはり将来、未来に希望の持てない、また夢の持てないような東京では困る、日本では困るということで、その大きな力になるのが、私はこの大学であり、大学生であり、若人だと思っております。
 ぜひとも、知事の思いを実現していただきたいと思いますし、私たちもそれを進めていきたいと思っております。
 そんな中で、都は、大学との連携に具体的にはどう取り組んでいく考えなのか、見解を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 現在、都は、二〇二〇年大会に向けまして、首都大学東京を初めとする都内の大学との連携に取り組んでおり、多言語への対応や異文化に対する理解促進の観点から、多言語対応協議会の活動に協力いただくとともに、東京都ボランティア活動推進協議会にメンバーとして参加いただいております。
 また、大学の持つ質の高いスポーツ施設を各国の事前キャンプに活用してもらえるよう、大学と連携しまして、海外に向けその情報を発信しております。
 さらに、大学のスポーツ医科学の知見を活用し、競技種目の特性に応じたトレーニング内容の改善や、栄養面、心理面でのサポートなど、選手の競技力向上に取り組んでおります。
 今後、さまざまな観点から大学と連携した取り組みをさらに進め、組織委員会とも協力しながら、大学の持つ専門性や学生の若い力を、二〇二〇年大会に向けて一層活用してまいります。

○田中(健)委員 組織委員会は大学と連携協定を結んでいるというんですが、具体的にまだまだ何を行っていくのかという姿が見えてきません。
 ぜひ、多くの若者が二〇二〇年大会にかかわる機会をつくると、先ほど知事もいっていただきました、具体的な取り組みが求められております。
 組織委員会とも連携すると、今、局長からもお話がありました。ぜひオールジャパンの体制を構築していただきたいと考えます。
 それでは、次に、文化都市を目指す東京都と芸術系大学との連携についてお伺いをします。
 イギリスでは多くの大学が二〇一二年ロンドン大会にかかわり、国内、国際連携やスポーツ科学など多岐にわたる分野でイノベーションが促されて、各大学の評価が大きく高まりました。二〇二〇年大会においても、大学に目覚ましい革新がもたらされることを期待しております。
 また、都が取り組む文化都市に向けた各施策においても、芸術系大学との連携は欠かせないと思っております。
 学生や若手クリエーターを抱える芸術系大学は、二〇二〇年大会に向けて都が主導をする文化プログラムや、また、東京都文化ビジョンを展開する担い手として重要な存在だと考えます。
 文化都市を目指す都は、芸術系大学とどう連携をし、文化、芸術の活発な取り組みを展開させていくのか、見解を伺います。

○多羅尾生活文化局長 東京の芸術文化活動をさらに活発化するには、さまざまな担い手による芸術文化の魅力向上が重要でございます。
 中でも、都内の芸術系大学には、将来の文化都市東京を担う有望な人材が集まっており、東京文化ビジョン実現のための大切なパートナーの一つとして、都はこれまでも、芸術系大学と連携をしてまいりました。
 例えば、東京都美術館では、芸術系大学と連携し、ボランティアに研修を行い、障害者向け鑑賞会などで芸術の魅力を伝えてもらう取り組みや、東京芸術劇場でも音楽大学オーケストラフェスティバルを開催し、若手演奏家の育成を支援する取り組みを実施しております。
 今後、国際交流のノウハウを持つ芸術系大学との連携を強めるなど、二〇二〇年に向けた文化プログラムを初め、新たな発想を取り入れた芸術文化活動を促進してまいります。

○田中(健)委員 大会の成功とレガシーを実現して、文化都市東京のさらなる成熟につなげていくためには、東京だけでなく、全国で文化プログラムが行われ、機運醸成が図られるように、他道府県とも連携していかなければなりません。
 東京においても取り組みを進めること、また、その中で人材が育っていくようにしなければならないと考えております。取り組みをお願いいたします。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 東京都は、東京都犯罪被害者等支援計画を二期にわたり策定をし、支援に取り組んできました。今年度末で第二期計画が終了し、四月より第三期の支援計画がスタートいたします。
 第二期の犯罪被害者等支援計画の取り組み実績と、第三期計画へとつなげるべき課題をどのように捉え、また、どのような目標のもとに支援を推進するのか、見解を伺います。

○中西総務局長 都は、第二期の東京都犯罪被害者等支援計画に基づき、東京都総合相談窓口における相談、付き添い、精神的ケア等の支援の充実を図るとともに、区市町村や民間団体等との連携も進めてまいりました。
 また、昨年七月から、性犯罪被害者が被害直後から相談、医療、精神的ケア等の支援をワンストップで受けられる事業を開始いたしました。
 第三期計画では、これまでの成果や、さらには支援策や都民啓発の充実を望む声を踏まえ、社会全体で支える支援の実現を目指し、被害者支援施策の充実強化、都民、事業者等の理解の促進、連携体制の強化の三つを柱として、着実に支援を進めてまいります。

○田中(健)委員 被害者支援というのは、寄り添う気持ちで行うことが大切であります。
 区市町村との連携や支援体制の向上、さらに犯罪被害当事者のみならず、支援を行う区市町村も相談できるような拠点を多摩地区に設置することも必要と考えておりますが、見解を伺います。

○中西総務局長 犯罪被害者等を社会全体で支えていくためには、身近な行政の窓口である区市町村において相談を受け付け、さまざまな支援につないでいくことが重要でございます。
 都はこれまで、都内全ての区市町村に設置された対応窓口の機能強化に向け、研修会の開催のほか、東京都総合相談窓口が行う研修生受け入れや区市町村への訪問、助言などの取り組みを進めてまいりました。
 今後もこれらの取り組みの充実を図り、区市町村と東京都総合相談窓口との連携を進め、多摩地域を含め、都内全域における支援体制を強化してまいります。

○田中(健)委員 新宿一店舗ということで、今、大変にご苦労されているというお話も聞いておりますし、また、資金面もまだまだ十分でないというお話もお聞きしておりますが、ぜひとも多摩地域にも、そういった人たち、多くの人たちが利用できるように、これから検討を進めていただければと思っております。
 被害者となったときに相談できること、また、支援の内容を広く周知することも必要であります。
 第三期の計画作成に当たり、昨年の第一回定例会で我が会派の酒井議員が、被害当事者や支援団体の意見を十分取り入れた素案を作成するように求めたところであります。
 第三期計画は、被害当事者や支援団体の意見をどのように酌み取り、また、計画実施に当たり、どのように連携して犯罪被害からの回復に取り組んでいく決意なのか、見解を伺います。

○中西総務局長 都は昨年、計画の策定に当たり、犯罪被害者等の実態を把握するためのアンケート調査を実施し、被害者や支援団体の声を広く把握いたしました。
 この調査結果では、被害者が精神的に大きなダメージを受け、周囲の言動によっても傷ついていることが明らかとなりました。また、今後充実が望ましい支援としては、啓発やカウンセリング、支援機関、団体間での連携等が挙げられています。
 こうした声を踏まえ、深刻な精神的ダメージを受けた被害者への支援充実に向け、精神科医療との連携や、支援団体の協力を得て、医療関係者の人材育成を図るなど、多様な主体と連携して支援を進めてまいります。

○田中(健)委員 最後になりますが、貧困の解消と、また共生社会の実現についてを伺いたいと思います。
 私たち都議会民主党は、代表質問では格差や貧困の解消を、そして本委員会代表総括においては共生社会というものを中心に質問し、議論を進めてまいりました。
 私からは、最後に、ホームレスの問題について質問をしたいと思います。
 東京都の長期ビジョンには、二〇一四年八月現在で千六百九十七人のホームレスについて、二〇二四年度には全て地域生活に移行させる目標が掲げられています。
 千六百九十七人は、東京都の路上生活者概数調査の数でありますが、ことし一月、ある団体が行った夜間の調査では、都の調査に比べ三倍の路上生活者が確認をされており、夜間においても実態を把握することが重要でないかと私たちは考えております。
 来年度には全国規模でのホームレスの実態調査が実施をされますが、都としても、より正確で詳細な実態を把握し、さらなる支援の強化に役立てるように取り組んでいくべきと考えますが、まず見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、道路、公園、河川敷、駅舎等におけるホームレスの概数調査を年二回実施いたしますとともに、国からの委託により、五年ごとに個別面接により生活実態調査を行っており、路上生活の期間、健康状態、障害の有無等について詳細に調査をしております。
 また、都区共同で巡回相談を行い、ホームレスの方が多く集まる地域や住民から依頼のあった地点などにつきましては、日中に加え、夜間も実施しており、今後とも、個々のホームレスの状況のより詳細な把握に努め、適切な支援につなげてまいります。

○田中(健)委員 この概数調査というのがなかなかわかりづらいんですが、これはずっとこれまで二年ごとにやってきたということなんですが、この概数調査というのは、平日調査であります。また、実態把握には不十分といったのが私たちの考えであります。
 もちろん、大変に、新宿の夜間を見回ってもらって、夜間の調査も適時に応じてしていただいているという話も聞かせていただきましたが、その概数調査は、これまでずっと行ってきた、変化を見るのには適しておりますが、そうではなくて、実態の把握、例えば公園は昼間見てもやっぱりいません。夜になると、あちらこちらにいた人たちが寝床にやってまいります。そういったところも、ぜひつぶさに見ていただいて、その実態の把握に努めていただきたいと思います。
 再度、夜間の調査を行っていただきたいと求め、次の質問に移ります。
 さて、東京都のこのホームレスの自立支援実施計画では、公園や河川で寝起きしているホームレスのうち、高齢者や路上生活期間が長い人の割合がふえていると指摘をされており、ホームレスの期間が長期化するなど、脱却が難しく、できる限り早い段階で自立を促す取り組みが必要であります。
 そこで、長期路上生活者の自立支援に向けた都の取り組みについて見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は現在、ホームレスの方の自立を促すため、特別区と共同で自立支援センターを設置し、緊急一時保護から就労自立に向けた支援までを一貫して実施しておりまして、利用者の約七割は路上生活期間が一カ月未満でございます。
 一方で、実態調査によれば、路上生活が五年以上の者が五割を超え、高齢化が進んでおり、健康不安の増加などの課題も生じてきております。
 このため、本人の状況に応じて福祉事務所等への相談を促すほか、今年度から、巡回相談に看護師も同行し、健康面からの相談にも応じております。
 来年度はさらに、長期路上生活者が多い地域において、医師、保健師等の専門職によるアウトリーチを区市と連携して重点的に実施し、自立支援の充実を図ってまいります。

○田中(健)委員 今、看護師と一緒の調査、また、さらに来年度から、医師や保健師ということで、大変専門的な方が一緒になってその対応に当たっていただけるということ、また、アウトリーチも取り組んでいただけるということを大変に力強く聞かせていただきました。ぜひ、これからの取り組みに期待をさせていただきたいと思っております。
 また、いわゆるネットカフェ難民に対しても支援拡充が必要と考えます。
 大きな社会問題となったのは平成十九年、東京都は、低所得者生活安定化プログラムを策定し、生活相談や居住相談、また資金貸付などの支援をこれまで行ってきたところであります。
 しかし、当時のフリーターやニートといわれた人たちに加えて、昨今は女性なども目立ち、私は地元大田区であるんですが、蒲田駅周辺でも、ネットカフェ等の店舗数がふえてきた印象を受けております。
 そこで、私は、いわゆるネットカフェ難民に対し、居住の確保などの支援の拡充に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、ネットカフェなどで寝泊まりしながら不安定な就労をしている方を対象に、支援拠点であるTOKYOチャレンジネットにおきまして、生活、住居、就労に関する相談援助や一時的な住宅の提供、資金貸付、資格取得支援などの総合的な支援を行っております。
 来年度は、女性専用のフリーダイヤルを新設いたしますほか、利用希望の多い一時住宅の戸数を七十戸から百戸にふやすこととしております。また、これまで介護職のみであった資格取得支援の対象に、短期間で取得でき、かつ、就職の際に有利な大型自動車免許やクレーン運転技能などを追加いたします。
 こうした取り組みにより、不安定就労の方の自立を支援してまいります。

○田中(健)委員 この総合的支援は、他の自治体を見ても、かなり力を入れて来年度から取り組んでいただけるということであります。
 女性がふえてきたというものに対しては、女性の専用のダイヤル、また、一時住宅は百戸にふやしていただく、免許の資格も支援をしていただくということで、大変手厚い支援かと思っております。ぜひ、これが有効に機能しますように、これからも推移を見守っていきたいと思っております。
 舛添知事は、二〇二四年度には全てのホームレスを地域生活に移行させるという目標を掲げています。
 私は、ホームレス問題は、包摂を基本に取り組んでいくべきだと考えています。不本意ながら路上生活に陥ってしまった人に寄り添い、相談に乗り、ともに問題を解決していく取り組みこそが、世界一優しくて暮らしやすい東京として、内外からも称賛されるものと確信しております。
 全てのホームレスの地域生活移行という目標を一日でも早く達成するために、舛添知事の見解を伺い、私の質問を終わらせていただきます。

○舛添知事 ホームレス対策は、みずからの意思で安定した生活を営めるように支援することが基本でありまして、就業機会の確保と居住の場所を確保することが必要であります。
 こうした考え方に立ちまして、都はこれまで、特別区との共同事業として、自立支援センターを都内五カ所に設置するなど、ホームレス対策に取り組んでまいりました。
 センターでは、就労意欲を高めるための職場体験講習や、ハローワークと連携した職業紹介、アパート確保のための相談など、自立に向けた支援を行うほか、退所者に対しても、再び路上生活に戻らないよう、定期的な訪問相談を実施しております。
 先ほど概数調査の話がありましたけど、歴年で見ると平成十六年八月が六千七百三十一人から、千五百五十五人まで減っておりますので、四分の一にまで減っていると。
 長期ビジョンでは、平成三十六年度までに都内の全てのホームレスの方を地域生活に移行させるという目標を掲げておりまして、今後とも、特別区等と連携して、自立に向けた支援を力強く進めてまいりたいと思っております。

○秋田副委員長 田中健委員の発言は終わりました。(拍手)

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