午後三時三十五分開議
○上野副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
中山信行委員の発言を許します。
○中山(信)委員 都議会公明党を代表いたしまして、締めくくり総括質疑を行わせていただきます。
冒頭、一言申し上げます。
世の中にはさまざまな思惑、戦略が渦巻いております。人々の不安と不信、不満をかき立て、今の境遇を不幸だと思わせることにより、自分たちにいざなう戦略もあると思います。
しかし、都議会公明党はあくまでも、希望と感謝と感動につながる前向きの政策を積み重ねて、都民生活を幸福へと結びつけていく明るい政治ブランドを目指してまいりたいと思います。
以下、真実、事実から都民の目をそらせて惑わすような悪には断固立ち向かう、正義の心を強く持って、質疑をしてまいりたいと思います。
情報、論拠、真偽を常に大切にするリテラシーの視点から質問いたします。
初めに、お手元の資料1をごらんください。(パネルを示す)このチラシは、三鷹市の方から、都営団地の回覧板に挟み込まれていると連絡があったものであります。
日本共産党の市議会議員が、安保関連法を戦争法と呼び、反対する署名を呼びかけております。自治会長も、いつ、誰が挟み込んだかわからないということでありました。
私は個人攻撃をするつもりはございませんので、戦争法という表現に着目したいと思います。
日本共産党は、平和安全保障関連法制に対し、戦争法と呼ぶいいかえを、こうしたチラシだけではなく、東京都議会の本会議や委員会質疑でも行っております。もともと戦争法という表現は、戦闘行為が実際に始まった状態の中にあっても、人権や一定の人道的ルールが守られるようにしようとつくられた、戦時国際法、ハーグ法または条約と申しますけれども、ジュネーブ法または条約などを総称する際に用いられるものであります。違反すれば、戦争犯罪として訴追されることもあります。
一方、安保関連法は、戦争の勃発を未然に防止するための抑止力を高めることが目的で、責任ある立場から、防衛政策上のすき間を埋めることを主眼としたものであり、全く性質を異にするものであります。これを戦争法と呼ぶことは、いわば人種差別禁止法を人種差別法と呼ぶようなものであります。
どういいかえようと自由だといい張るのであれば、例えば日本共産党の思想の淵源、過去の歴史からして、いつ暴力革命に走りかねないと危惧する人が、この都議会の中にいらっしゃったとすると、日本共産党を暴力革命党といいかえ、本会議場でこの表現を連発し、毎回議事録に残して構わないことになってしまいます。私は、品格ある都議会の場を、泥仕合のような場にするべきではないと考えます。
この夏の参議院選挙から、十八歳に達した都内の高校生も新たに有権者の仲間入りをします。情報リテラシーの観点からも、日本共産党は、議会の場や議会費を充てて行う活動の中では、戦争法といいかえることはやめ、議事録からも削除すべきと私は考えます。略する場合も、誰の目から見ても正式名称の簡略形とわかる表現を用いるべきであります。
今、私が申し述べたことにつきまして、著名な国際政治学者でもあられます舛添知事に、率直なご感想をお伺いいたします。
○舛添知事 国際法に係る用語でございますけれども、ご指摘のように、戦争法とは、元来は国際法の世界では戦時国際法、ハーグ条約などを意味する言葉として使われておりまして、武力紛争法などという呼び方もされます。一般的には、既にこのように法律学上明確に定義づけられている用語と混同するような言葉の使用は控えるのが妥当だと考えます。
安全保障につきましては、国の根幹にかかわる問題でありまして、国権の最高機関である国会の場でしっかりと議論すべきものでございますが、その際には、国際情勢や安全保障情勢をしっかりと踏まえた上で、しかも法律学的な根拠を持って、現実に立脚した議論がなされることを期待しております。
○中山(信)委員 資料2をごらんください。(パネルを示す)これは、国立大学が今後、大幅な値上げに進む危険があると報じた、日本共産党の機関紙「赤旗」の記事であります。
「赤旗」の記事の赤く囲んだ表現を抜き書きしたものが、このパネルです。ここにはっきり国公立大学と書いてあります。
国公立大学といえば、東京では首都大学東京であります。首都大学東京は、今後、値上げする予定があるのかないのか、所管する総務局長にお伺いいたします。
○中西総務局長 公立大学法人の授業料は、地方独立行政法人法の規定により、法人が上限を定めて都へ申請し、都は、その上限額を議会の議決を経た上で認可する仕組みとなってございます。授業料の具体的な額の決定については、認可された上限額の範囲内で、他大学の動向や社会経済状況などを総合的に勘案し、法人が自主的、自律的に判断しております。
現在、首都大学東京からは、授業料の値上げを予定しているという話は聞いてございません。
なお、都が認可した授業料の上限額、また法人が決定した授業料の額は、首都大学東京が開学いたしました平成十七年度以来、いずれも変更しておりません。
○中山(信)委員 予定は聞いていないというふうにいっています。これは、人によってはデマだというかもしれません。私は、この「赤旗」の記事は事実に基づくものではない、論拠なく不安をかき立てているだけで、無責任きわまりないというふうにいっておきます。
次に、主権者教育についてお伺いいたします。
都立高校でも、選挙権を得る学年を中心に、主権者教育を行っております。
まず確認として、主権者教育とはどういうものか。あくまで中立、公平であるべきと考えますが、東京都教育委員会の見解を確認いたします。
○中井教育長 高校生が国家、社会の形成者としての資質や能力を身につけ、有権者としてみずからの判断で権利を行使できるようにするためには、学校が政治的中立性を確保しつつ、実践的な指導を行っていくことが必要でございます。
現在、都立高校では、公民科の授業などにおいて、選挙管理委員会と連携した模擬選挙や出前授業等を実施しており、その際は、実際の政党等を支持または反対するような指導とならないよう、公職選挙法等を踏まえ、討論の題材等について十分に配慮して実施しております。
今後とも、都教育委員会は、生徒が政治の原理や選挙制度についての理解を深めるとともに、現実社会の諸課題について公正に判断する力等を身につけることができるよう、主権者教育を一層充実してまいります。
○中山(信)委員 ありがとうございました。政治的中立を確保しつつという答弁がありました。これが大事であります。
しかし、現実には、これに真っ向から反する事件が、既にお隣の埼玉県で起きております。
埼玉県の春日部市にある市立中学では、昨年九月と十二月に、同じ教員によって「赤旗」の記事を教材として配る事件が起きました。
九月の際は、教室で配布する際に資料としてこれを添付しまして、安保法制に反対する団体の主張を扱った記事の横に、政権の長たる誰かさんの答弁よりもよっぽどこの法案の本質をいい当てていると、この教員が手書きでコメントを書き加えております。
十二月のときは、マイナンバー違憲訴訟の記事の横に、国家による管理、統制、つまり昔歩んだ危険な道への後戻りを感じさせるとコメントしたものを配布しております。関心のある方は、昨年十二月十六日の埼玉県議会の文教委員会での議事録や、同日付の全国一般紙をご参照いただきたいと思います。
はっきりいって、確信犯であります。九月の時点で、校長の指導に、授業を改善すると答えておきながら、十二月上旬には再度実行しています。なぜこうしたようなことが起きるのか。自制を促すべき立場の人が、実はあおっていることが発覚いたしました。
十二月十一日に、日本共産党の政策委員長の要職にある国会議員の小池晃氏が、安保法制は反対、問題ありますよねということを先生がいわなくちゃ教育にならないと、国会の記者会見で発言しています。
パネルをお願いします。パネルは、小池晃氏の発言の核心部分だけを抜き書きしたものであります。資料としてもお配りしてあります。共産党に一票を入れなさいとさえいわなければいいとか、対立した考えはありますといいつつ、安保法制反対という自分の考えを述べろとかと主張しております。いわば、法律のくぐり抜け方を記者会見の場で指南しているようなものであります。
報道した全国紙が一社しかありませんでしたけれども、何のことはない、小池氏自身のホームページのJCPムービーズというバナーをクリックすれば、今も確認できますので、資料として配布いたしました。このパネルの抜き書きも、音声を何度も聞き取り、確認しております。
戦争を憎む、平和を愛するということと、それを実現するために責任ある立場の人や機関がどのような手だてを打つかという政治判断は、また別の問題であります。小池氏は、こういう問題で中立というのはあり得るのかともいっておりますけれども、明らかに意図的に論理をすりかえて、教育者や世論のミスリードを誘っています。
教育長、小池晃氏の発言は、都が実践を目指す公平、中立な主権者教育に、その尊厳を脅かすものであり、挑戦状をたたきつけるようなものであります。
こんなミスリードを誘う発言を黙認しておいてよいのか、小池発言に対する教育長の見解を伺います。またあわせて、小池氏の発言などに影響されて、春日部市の教員と同様の言動をする教員が、今後都内でも発生する危険は十分にあります。その発生を防ぐために、都はどう対策を講じるのか、そして万一、同様の事態が発生したらどう対処するのか、以上三点について、教育長の明確な答弁を求めます。
○中井教育長 学校教育においては、政治的に対立する見解がある現実の課題に対して、教員が個人的な価値判断を述べることはあってはならないことでございます。文部科学省の通知でも、教科や総合的な学習の時間等の指導に当たっては、教員は個人的な主義主張を述べることを避け、公正かつ中立な立場で生徒を指導することとされております。
また、都教育委員会は、これまでも教員が各教科において系統的、計画的な指導計画を立てるとともに、授業等で使用する教材を事前に校長が確認した上で指導するよう、学校に周知徹底しております。
文部科学省の通知や都教育委員会の指導に反する行為があった場合は、都教育委員会として適切に対処してまいります。
○中山(信)委員 春日部市の場合でも、九月の時点で注意などではなくて厳正に対処していれば、十二月の事件は発生していなかったかもしれません。軽い処分など恐れていないとさえ思われます。教職公務員試験に合格しているわけでありますから、法規制の内容は十分承知しているはずであります。それをあえてやっている。断固たる処分を求めるものであります。
次に、教材の選択について伺います。
都の主権者教育での指導マニュアルには、指導教材とする新聞紙誌の取り扱いについて、単に数紙と書かれているだけであります。しかし、これだけですと、教材選択に教員の恣意性が入り込み、偏った論調の新聞だけを集めて教材としてもよいことになってしまいます。また、間違っても政党機関紙や政治団体の機関紙などは教材とすべきではありません。
賛否が分かれる話題については、必ずさまざまな見解の教材を選択すべきであります。また、そうした選択が可能な話題を、授業においては選ぶべきであります。
都教委は明確な方針を示すべきと考えますが、見解を求めます。
○中井教育長 学校において、教員は、生徒が有権者として主体的に考え、判断することができるよう、国や社会が直面するさまざまな問題について、公正、中立な立場で指導を行う必要がございます。
これまで都教育委員会は、教員が特定の見方や考え方に偏った教材による指導を行わないよう、例えば新聞を教材とする場合には、異なる見解を含む複数の全国一般紙を活用するなど、多様な見解を提示し、比較検討させる指導の重要性等について、全都立高校に指導してまいりました。
先ほどご答弁申し上げた、校長による指導計画の事前確認とともに、こうした方針が徹底されるよう、今後とも各学校に対し、しっかりと指導をしてまいります。
○中山(信)委員 よろしくお願いしたいと思います。
教員の方もそうですけれども、子供たちの家庭においても、そうした全国一般紙を五種類とか六種類とか購読するのは、大変経済的に困難であります。学校の図書館にあったとしても、毎日読みに通うのは難しいです。せめて高校三年生の教室だけでも、それらを購読してみてはどうかと提案させていただきます。同じ話題でも大きく見解が分かれていることが、よくわかると思います。
次に、学校近くでのビラまきについて伺います。
資料4をごらんください。この資料は、足立区議会の議事録の抜き書きで、無所属の区議会議員の発言に関するものであります。
昨年の六月二十五日に、足立区内の小学校の近くの商店街の中で、学童から下校途中の児童をつかまえて、共産党の腕章をつけた運動員が安保法制反対の署名を強要し、小学一年生が泣き出して自宅に帰ったという事件が発生しており、それを取り上げた発言であります。議事録を読んでいただいてわかるとおり、事件を取り上げた議員の発言の後で、ご丁寧に、共産党の女性区議会議員が発言を求め、事実であったことを認めております。
調べたところ、同じ目に遭った二年生の親からはすぐに学校に連絡が入り、驚いた教員が飛んでいってやめさせております。なお、この地域を担当する共産党の男性議員は、後で非公式に学校に謝罪に行ったそうでありますが、なぜ非公式だったのかはわかりません。何といっても、ショックを受けた子供が一番心配です。先ほどのハーグ条約やジュネーブ条約の見地からいえば、人道にもとる行為であります。ひど過ぎます。
資料5をごらんください。これは別の団体のチラシであります。
これは別の団体のチラシで、毎年のように都立高校の前で配られています。ことしもこの春、足立区内を含め、五十二校の門前で配布されています。これが、日々、都内の子供たちが出会っている出来事なのであります。
こうした動きは、十八歳選挙権が行使される参院選が近づくと、一層活発化するおそれがあります。都は、こうした行為から児童生徒を守るための確固たる対応をとるべきと考えます。
また、チラシなどを手にしてしまった生徒が出た場合、これを放置せず、特定な見解の一つであることを教えるとともに、一人一人の生徒が複数の視点から論拠を調べ、吟味するなど、情報リテラシーの視点に立った対応ができるよう指導し、心のケアを図るべきと考えます。あわせて見解を求めます。
○中井教育長 都教育委員会はこれまでも、校長が学校周辺において教育活動に支障を及ぼす行為があると判断した場合には、関係機関と連携するなどして、当事者に対し、当該行為の中止を要請するよう指導しております。
また、都教育委員会は、生徒がチラシや街頭演説を通して特定の政党や候補者の主張に接した際には、これまでの学びで得た知識やさまざまな情報を活用し、多面的、多角的に考察して適切に判断する力を身につけられるよう、各学校における日々の指導の充実をさらに図ってまいります。
○中山(信)委員 ビラ、チラシに対しても、そういう態度でよろしくお願いしたいと思いますし、万が一授業で起きた場合には、本当に一人一人の生徒、児童の心のケアをよろしくお願いしたいと思います。
以上、述べてきた諸点は、確かに教育委員会の案件でありますけれども、政治的な企てを教育の場にも及ぼそうとする動きが現にあるわけであります。その被害をこうむるのは、都内の高校生、中学生、小学生であり、さらには、その健全な成長を信じて毎日学校に送り出している保護者の方々であります。これを安閑と眺め、等閑に付すような態度で臨んでいては、結果的にこれに加担することになってしまいます。
ここで、政治家舛添要一としての知事の感想をお伺いしたいと思います。
○舛添知事 有権者として正しく権利を行使するための主権者教育を含めまして、教育行政には公平、中立が求められております。この政治的中立性の確保は、まさに教育委員会の重要な意義だと認識しております。
学校が政治的活動の舞台となるようなことは厳に避けねばならないと考えております。
○中山(信)委員 十八歳選挙権の行使というせっかくのよい機会が、高校生にとって、エゴむき出しの大人の側面に触れて、人生に嫌気が差してしまうような機会にはならず、人間的成長を遂げるよい機会へと導いていくことが大切であります。都教育委員会の確固たる対応をよろしくお願いいたします。
次に、これも情報リテラシーの観点から、各局との照合を確かめたいと思いますけれども、資料6をごらんください。(パネルを示す)これは、共産党のある都議会議員の方の通信物であります。個人攻撃をしたいわけではありませんので、あるとだけ申し上げておきます。
この通信の中央の大見出しの横のリード文に、舛添都政のさまざまな実績について、平成二十五年六月の都議会議員選挙で共産党都議が議席を伸ばしたから生まれ出た成果だと報じております。
共産党の議席がふえたことと、これらの政策に進展があったことと、果たして因果関係があるのでしょうか。この通信物の記事では、その詳細は一切説明されていません。しかし、二十五年六月に実施された都議会議員選挙以降の進展は全部自分たちの成果だというのは、いかがなものでありましょうか。タイミングの前後関係だけで成果だというのであれば、私は、言葉による詐欺みたいなものだと考えます。
そこで、今ここに舛添知事がいらっしゃいますので、知事ご本人に伺うのが一番確実だと思います。お尋ねします。
都有地を使っての保育施設や特別養護老人ホームの設置促進は、都議会で共産党の議席数がふえたおかげだといっております。たしか知事は既に候補者であったころから、未利用の都有地などを活用して福祉施設を拡充したいと訴えていらっしゃったと記憶しております。都知事にご就任時点では、既に日本共産党都議団の議席数は現在の状態にあったわけでありますが、その主張があたかも知事の政策判断に影響したかのように喧伝しています。それは本当のことでしょうか。
待機児童対策や介護基盤の整備など、福祉施策の充実への思いを込め、都の予算編成のトップに立つ知事ご本人の言葉でお答えいただきたいと思います。
○舛添知事 私の政治の原点は、いろんなところで申し上げていますけれども、認知症を患いました母親の介護経験であります。大変苦労いたしましたので、同じような苦労をほかの人には味わわせてはならないと、そういう強い思いから、東京を世界一の福祉先進都市にするということを公約に掲げまして、就任以来、二年たちますが、さまざまな福祉政策を展開してまいったとおりでございます。
まず、就任の年に策定した長期ビジョンでは、都市戦略の一つに、福祉先進都市の実現ということを明確に据えまして、待機児童解消に向けた保育サービス四万人分、特別養護老人ホームの定員六万人分、障害者の日中活動の場四千五百人分の整備など、明確な政策目標を具体的に示したわけでございます。
また、その達成に向けまして、保育所、特別養護老人ホーム、障害者グループホーム等に対する都独自の整備費補助、都有地の最大九〇%までの減額貸付、国有地、民有地の借地料補助、国家戦略特区を活用した都立公園での保育所の整備、保育士へのキャリアアップ補助など、この二年間でさまざまな施策を打ち出してまいりました。
来年度は、さらに福祉人材の確保に向けまして、新たな施策を展開いたします。また、保育サービスの整備目標も、この四月の待機児童の状況を踏まえ、さらなる拡充を検討したいと思っております。
今後とも、東京で生まれ、生活し、老後を過ごしてよかったと、誰もが実感できる社会の実現に向けまして、行政の力、地域の力、民間の力を結集して、大都市東京の特性を踏まえた福祉政策の充実に向けて、全力で取り組んでいく決意でございます。
○中山(信)委員 もう少しちゃんとお答えいただきたかったと思いますけれども、共産党のこのリード文の主張には、都政をよく知る人たちからしたら、私は全く根拠がないと思います。プロパガンダはしょせんプロパガンダであります。実態とは異なります。
共産党は、優秀な都庁マンが苦労して生み出した各種の新規施策を、あたかも自分の成果であるかのようないい方をしながら、ことごとく予算案には反対しております。予算が成立しなかったら、どんなにすばらしい新規施策も、全く実行できないということを指摘しておきます。
これまで情報リテラシーという視点、主権者教育と検討してまいりましたが、この項目での最後に、防災への備えという点から、足立区内を走る都道環状七号線の西新井陸橋の耐震化工事について、昨年当初、共産党の都議と区議が抗議を行ったことについて触れたいと思います。(パネルを示す)西新井陸橋は、都道が鉄道の東武スカイツリー線をまたぐオーバーパスの陸橋であります。老朽化した陸橋が地震などの際に破損してしまいますと、コンクリートの塊などが落下し、鉄道を直撃するおそれがあります。
チラシでは、延命化と称してといっておりますけれども、この日本語、おかしくないでしょうか。称してとの後に、都は実は何を行おうとしていると主張したいのでしょうか。もし、延命化と称して大渋滞を引き起こそうとしているという主張なら、とんでもないいいがかりであります。どこの世界に、ただ渋滞を引き起こすために公共工事を行う役所があるでしょうか。日本共産党は、このチラシを用意するとともに、所管する第六建設事務所に対しても訪れて、渋滞の懸念などを理由に、補助二五八号線などの迂回体制の充実が図られるまで工事を延期せよと、抗議を申し入れています。
そこで伺います。都が共産党の主張を受け入れず工事を延期しなかった理由は何か。また、共産党の抗議から一年余が経過しております。実際に共産党の主張どおり、工事開始から今日に至るまで渋滞は続いているのか、苦情等が寄せられ続けているのか、それぞれ建設局長にはっきりと答弁を求めたいと思います。
○佐野建設局長 西新井陸橋は、建設から既に五十年近くが経過し、平成二十二年には、東武線をまたぐ部分で損傷が確認されたため、直ちに緊急工事を行いました。これに加え、第一次緊急輸送道路である環七通りの重要性などを考慮し、抜本的な対策を早急に行う必要があると判断いたしたものでございます。
このため、平成二十三年度に、長寿命化工事として、まず橋脚補強に着手し、二十六年度からは、車線を規制しながら、陸橋の床を鋼鉄製に取りかえる工事などを行っております。工事に際しましては、歩道橋への横断幕の掲示や、周辺交差点での看板の設置などにより、交通規制の告知を行い、都民の理解と協力をお願いして進めております。
こうした取り組みの結果、現在、工事による大きな渋滞はなく、これに伴う苦情も寄せられておりません。
○中山(信)委員 大きな渋滞もなく、苦情もないそうであります。工事は当然、今でも続いているわけでありますけれども、建設局の皆さん、まことにご苦労さまでございます。
共産党のいう、何々のおそれがあるとか、何々が心配だなんてものは、しょせんこんなものなんですね。
逆に、大丈夫だといわれたときの方が要注意であります。党を代表される方が、リアルな危険はないと保証した国の方が、今、盛んにミサイルを撃ち込んできております。
第二部に入らせていただきます。これからは端的に伺ってまいりますので、ご答弁もテンポよくお願いできればと思います。
防災に続きまして、河川の水害対策、建設局長に伺いたいと思います。
足立区を含む城東地域は、地盤が低く、洪水や高潮など水害に対して対策が必要な地域となっております。城東地区の各都民の皆様の気持ちを込めて、綾瀬川の耐震工事について質問させていただきます。
綾瀬川の左岸側は、首都高速六号線の下の堤防であり、耐震補強工事が既に進められておりますけれども、右岸の堤防は、経年劣化もあり、表面の傷みも進み、以前は時折、水がにじみ出る状況もありました。右岸につきましても、耐震性に支障がないことはわかっておりますけれども、特に東日本大震災を受けた最大級の地震への対応という点で、新たな視点に立ち、堤防について早期の耐震対策を進めるべきと考えます。建設局長の意欲的な答弁を求めたいと思います。
○佐野建設局長 綾瀬川では、平成二十四年十二月に策定した整備計画におきまして、約十一キロメートルの堤防で耐震対策を実施し、三十三年度までに完了させることとしております。これまでに、左岸側を中心に約四割の区間で、堤防前面の地盤改良などの工事に着手しております。
二十八年度は、内匠橋下流や綾瀬新橋上流の右岸側におきましても、堤防直下の地盤改良や鉄筋の増設による堤防本体の補強工事などに着手いたします。堤防本体の補強に際しましては、目地からの水のにじみ出し対策や、コンクリート壁表面の補修をあわせて行うなど、見た目にも地域の方々が安心感を得られるような対策も実施いたします。
引き続き、対策完了に向け、左右両岸を並行して施工するなど、スピード感を持って事業を推進してまいります。
○中山(信)委員 綾瀬川だけでなく、城東地域全体をよろしくお願いしたいと思います。
関連しまして、都内の中小企業におきます水害対策への支援についてお伺いいたします。
中小企業にとりましても、大規模な水害は存続のリスクにかかわる大問題であります。原材料や完成品の在庫までが浸水被害を受けるおそれがありまして、水が引くまでの数週間、製造や出荷の麻痺状態が続く事態も考えられます。
そうした城東地域などにおいては、ものづくりを中心とした企業が集積しておりまして、対策は急務であります。対策の効果を高めるためにも、水害の発生を想定し、発災時にとるべき行動や、浸水被害を最小限に食いとめるための平時の取り組みなどを定めた計画、いわゆるBCPをあらかじめ策定しておくことが必要であります。
水害への備えという点では、保険商品のあり方や、受電、配電、動力設備に関する備え、復旧過程での代替可能な作業環境の確保、水没で使えなくなる機械の対策など、課題を洗い出し、そのための自助、共助、公助の役割分担、国と都と区市町村の役割分担を検討しておく必要があります。都議会公明党が視察させていただきました常総市の高杉市長さんも、工業、商業などは、自然災害を想定した公的な支援制度が余り整っていない点を指摘されておりました。
都は、こうした水害ならではの特性を踏まえて、まずは、企業一社一社の実情に合った水害版BCPの策定をきめ細かく支援していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
○山本産業労働局長 都は、中小企業が地震、水害等のさまざまなリスクに対処できるよう、セミナーの実施やBCP策定講座の開催、企業への専門家派遣などにより、BCPの策定を支援しております。
浸水のリスクがある事業所が、これに適切に備えることは重要でございますことから、今後は、止水壁や排水ポンプの導入等、企業が各社の実情に応じた対策が進められるよう、BCPの事例紹介を充実させてまいります。
また、浸水被害対策に取り組む企業を対象に、水害対応をテーマとしたBCP策定講座を行い、さらに、こうした企業に専門家を派遣することにより、水害の特性や各社の実情を踏まえた支援を行ってまいります。
○中山(信)委員 産業に関連いたしまして、産業集積の質問をさせていただきたいと思いますけれども、東京には、多種多様な中小企業のほかに、大学、研究機関等の集積がありますほか、地方とを結びます道路網や鉄道網といったものが発達しております。それが特色であります。
今日のIT技術を活用していけば、物理的に一カ所に集約しなくても、近隣の自治体とも連携したウイン・ウインの販路開拓や製品の共同開発が可能になります。都の見解を伺います。
○山本産業労働局長 都は、産業集積の維持発展を図るため、今年度より、区市町村の取り組みを支援する事業を開始いたしました。具体的には、中小企業と大学など、さまざまな主体とのネットワーク形成による産業集積の強化を図る区市町村へ経費を助成しております。この事業を活用して、デザイナーとものづくり企業による地域ブランドづくりを通じた産業集積の取り組みなどが進んでおります。
また、都外を含めた自治体同士がそれぞれの産業特性を生かし、共同で取り組む商談会や研究開発等への支援も行っており、実際に医工連携の取り組みが始まっております。
こうした施策を積極的に促進し、地域経済の活性化を図ってまいります。
○中山(信)委員 よろしくお願いしたいと思います。
その産業に関連しまして、海外販路開拓でございますけれども、都内の中小企業のすぐれた製品、これは見本市等で見せていくことはとても大事でございますが、なかなか見本市の場では詳細までご紹介できないというのがあります。
そこで、大手企業も活用しておりますけれども、アクセス数の多い動画サイトなどを活用して、映像で発信していけば、その製品の魅力を海外に対してよく発信することができます。場合によっては、内部までも紹介することができる。ただ、そうした際に、直接中小企業に海外から問い合わせがあっても、語学力等の点でどう対応していいかわからず、チャンスを逃してしまうことになりかねません。
こうした問題に対して、都はどのように支援していくのか、お伺いしたいと思います。
○山本産業労働局長 企業の製品等の魅力を広くわかりやすく発信していくため、来年度、中小企業振興公社の支援企業の製品、技術の特徴や使用例が詳細にわかる動画を制作いたします。これを海外展示会で活用するとともに、公社ホームページや海外から多くのアクセスのある動画投稿サイトにも掲載をいたします。
また、こうした情報を見た海外企業からの公社への引き合いにつきましては、海外ビジネスに精通した専門家が問い合わせ内容や要望を企業に取り次ぎ、海外の商慣習の留意点など、内容に応じた適切な助言等を行うことで、商談が円滑に進むようサポートしてまいります。
○中山(信)委員 先ほど、業界団体と連携した人材育成の質問がございました。そうした業界団体の中には、女性や若者が働きやすい職場を整えていながら、またそうしたIT商品などを開発して働きやすい環境を整えていながら、マイナスイメージだけが伝わっていて人材が集まらない、そうした団体もたくさんございます。
そういう人材育成に苦慮する業界に対して、産業労働局としてどのように支援していくのか、お伺いしたいと思います。
○山本産業労働局長 都は来年度、業界の状況に精通する事業者団体から人材確保に係る企画提案を募り、有効な提案に対しまして、一団体一億円を上限に、当該事業を委託して実施いたします。
人材確保に向けた課題は業種や業態によって異なることから、採用後のスキルアップや職場定着に向けた環境整備など、実情に応じた支援を行います。
また、お話のように、仕事の内容と異なるマイナスイメージが先行し、若者の採用に苦慮している業界もあることから、例えば、業界独自の採用面接会と組み合わせて、効果的に魅力を伝える動画やポスターを作成するなど、イメージアップのための取り組みについても支援の対象としてまいります。
○中山(信)委員 次の質問に移ります前に、産業に関連して、都市農業もこれからは有力な都内産業の一つとして位置づけて、その営農の可能性を大きく支援していかなければならないと思います。
私どもも、都市農業振興プロジェクトチームを立ち上げまして、この対策に力を入れてまいりました。昨年成立しました都市農業振興基本法においては、五百平方メートル以下の生産緑地の指定の可能性、あるいは道連れ解除の見直し、そうしたものへの対応というものが淵源として含まれていると思っております。都からも提案をしていただいております。こうした方向が実現していくことは大きな流れとなってきております。
そうしますと、都内において小さな面積の農地がたくさん出てくる。けれども、これを一人の農家が営農していくということは大変難しい。農業はやはりその場を離れてしまうと、なかなか作業はできない点がございます。
そうした意味で、体験農園ですとか市民農園とかで、東京都内には大変成功をおさめている農家がいらっしゃいます。そうした方々のノウハウを広く公開するなどして、小さな規模の農園でも、農家がきちっと収支採算性を保って、農業でもうかる、そういう仕組みをつくっていかないと、やはり最終的には農地はどんどん減っていってしまう、そういうことになってしまいます。
東京都は、この小規模な農地が今後出てきた場合におきまして、小規模農地の保全に向けた、農家が営農でもうかる、そういう仕組みというものに向けて支援を充実していくべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
○山本産業労働局長 小規模な農地につきましては、ICTなどを活用した施設による効率的な農作物の栽培や、果樹や植木の苗木生産といった本来の生産機能に加え、ブルーベリーなどの摘み取り農園、地域住民から要望の多い農業体験農園や市民農園など、多様な用途での活用の可能性がございます。
このため、都では、区市町やJAなどが防災機能を備えた市民農園を整備する際の支援に加え、国の制度改善を見据え、来年度は、意欲ある農業者が小規模農地を活用し、新たな施設整備を行う際の支援を充実してまいります。
○中山(信)委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
東京が都市農業の大拠点でございますので、それを可能にしていくための法改革をこれから実現してまいりたいと思います。ぜひ、具体的な政策で農家を応援していただきたいと思います。
先ほど業界団体の話をしましたけれども、介護などの福祉人材の団体も、若者などが働きやすい環境をつくるために苦慮しておりますけれども、なかなか魅力が伝わらず苦労しております。
東京都社会福祉協議会の青年部が昨年実施しました研究会の資料を拝見しました。こちらでございます。第二十一回介護労働シンポジウムというものでございまして、例えば賃金面以外にも、やる気スイッチどころか、やる気が失われるスイッチが蔓延している。そうしたことを、明るくコミカルではありますけれども、指摘して、若い人たちが福祉の仕事に将来性を感じ、夢を持ってもらえるような職場づくりを目指した研究活動が行われております。
もちろん賃金面での改善の試みは、今後も続けていくべきでありますけれども、現状であっても、若い方々の意欲を引き出し、採用することによって、人材確保には困っていない介護事業者も、私の友人にはおります。
来年度、事業者団体も加わり新たに発足する福祉人材対策推進機構の役割として、事業者における職場環境や処遇の向上に向けた取り組みを促進するとともに、そうした魅力をアピールしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 来年度新たに、区市町村や事業者、養成施設や支援機関等も参画して、東京都社会福祉協議会に設置いたします福祉人材対策推進機構では、福祉人材の確保、育成、定着のための具体策を検討し、人材の掘り起こしからマッチング、職場定着までを総合的に支援することとしております。
そのため、機構には事業者支援コーディネーターを配置し、事業者が働きやすい職場環境を整備できるよう、個別訪問等による相談、助言を行います。また、開拓専門員を配置し、大学や関係機関と連携したセミナーの開催などを通じて、福祉の魅力、やりがいをきめ細かく発信するなど、人材の掘り起こしを強化してまいります。
今後とも、福祉職場に若者等が希望を持って就労し、将来にわたって働き続けることができるよう、福祉人材対策に積極的に取り組んでまいります。
○中山(信)委員 続きまして、一人一人が輝く社会について質問させていただきます。
初めに、女性の活躍推進についてであります。
我が党は、長年にわたり女性に関する問題に光を当て、その推進を実現してまいりました。先日公表されました東京都女性活躍推進白書に基づく施策の具体化は、来年度策定予定の女性活躍推進計画を挟み、早くて二十九年度になる見込みと伺っております。白書自体は大変よい内容が盛り込まれていると、我が党の三名の女性議員もそう評価されておりました。
しかし、そのよい白書ができても、具体的な政策が一年後では、幾ら何でも間があき過ぎます。
そこで、知事にお尋ねします。今も東京において、壁にぶつかって悩んでいる女性の方々がいらっしゃいます以上、できるものから前倒しして実施すべきと考えますが、見解を伺います。
○舛添知事 東京の女性の活躍推進に向けて、将来をしっかりと見据えた中期計画を策定することが重要である一方、今おっしゃいましたように、目の前にある課題の解決のためには、できることから着実に実施する必要がございます。
まず、私みずから、白書の内容について発信するシンポジウムを五月に開催いたします。さらに、推進計画に盛り込む予定の施策を、女性活躍推進リーディングプロジェクトとして、前倒して実施していきます。例えば、地域活動に意欲ある女性が具体的な行動に踏み出せるように、白書で取り上げました、子育て支援に地域の力を集めて取り組むNPOの活動事例などを東京ウィメンズプラザのイベント等を通じて幅広く紹介してまいります。
また、当初、男性向けのみでありました家事・育児参画講座に、利用者のニーズにも応えまして、夫婦向けのコースを追加して設けるなど、メニューの多様化を図ってまいります。あわせて、白書の英訳版を作成し、海外メディア等を通じて、東京が女性の活躍に向けて本格的に乗り出したということを発信したいと思います。
来年度、こうした取り組みを実施し、推進計画策定後の展開へと引き継ぐことで、東京の女性の活躍をより加速化させてまいります。
○中山(信)委員 女性の活躍の質問に関連しまして、子育て家庭の健康を守るシャープ八〇〇〇についてお伺いしたいと思います。
シャープ八〇〇〇に連絡してもなかなか通じないという声をよく聞きます。そのため、我が党は昨年の予算特別委員会で、回線数の増加や受け付け時間の延長を求めて質問をし、都も約束をしました。また、妊娠相談ほっとラインについても、実施曜日が限られている点や受け付け時間が短い点などを指摘して、昨年の第二回定例会で、都は検討の約束をしておるわけでございます。
来年度、それぞれ予算をふやすなど、取り組みの充実を図っていると思いますが、実施体制をどのように改善し、どういった効果が見込まれるのか、見解をお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 小児救急電話相談シャープ八〇〇〇は、現在、平日は午後五時から午後十時まで、土日祝日は午前九時から午後五時まで実施しており、電話回線は、平日は四回線、土日祝日は二回線から三回線を確保し、年間約三万件の相談に対応しております。
来年度からは、平日の相談時間は午後六時から午後十一時までとし、午後五時までであった土日祝日は午後十一時まで延長いたします。また、回線を増設し、通年で五回線を確保することとしており、これにより年間約七万件の相談に対応できるものと見込んでおります。
また、妊娠相談ほっとラインでは、妊娠や出産に関する電話やメールの相談に看護師等の専門職が助言を行い、必要に応じて適切な関係機関を紹介しており、電話相談は、月、水、金は午前十時から午後四時まで、火、木、土は午後四時から午後十時まで実施し、メール相談は随時受け付けております。
来年度は、相談者がより利用しやすいよう、電話相談の時間を延長いたしますとともに、時間帯も統一し、月曜から土曜の午前十時から午後十時までといたします。
○中山(信)委員 メールによる相談もあるわけですけれども、特に、妊娠しているのではないかと悩んでいる女性にとっては、すぐに電話で話ができる、そういう相談ほっとラインの拡充というのは、大変心強いかと思います。これからもよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、障害者などが持って生まれた才能を生かした生の芸術、アール・ブリュットについてお伺いいたします。
欧米に比べまして、国内ではアール・ブリュットの認知は、いま一つの現状にあります。そこで、先日の本会議の一般質問でも、我が党はその進展策の充実を求め、都は、にぎわいのある場所での展覧会の開催など前向きな答弁をされたところであります。一般質問の答弁にもありましたけれども、展示拠点の件は、専門家検討会でも話題となっているそうでありますが、都政は、何といってもトップの意向が大切であります。
展示拠点についての舛添知事ご自身の今のお考えをお聞かせください。
○舛添知事 美術の専門教育を受けていない方が本能的に生み出す芸術であるこのアール・ブリュットでありますが、これをより多くの方々に知っていただくことは、私は大変重要だと考えております。
アール・ブリュットは、これは実際皆さんごらんになるとわかりますけれども、作品を見た人に、これまでにない芸術の世界観を抱かせるとともに、教育、福祉、医療等のさまざまな分野において、新たな気づきや展開を生み出す力を持っているわけであります。また、作品を通じて人間の多様性を理解するきっかけにもなると考えております。
こうしたアール・ブリュットのすばらしさを伝えるためには、展示の拠点が不可欠でありまして、やはりこれは都心部などの交通の便がよく、多くの人が訪れる場所を選ぶことが必要だと思います。
昨年、数々のアール・ブリュット作品を展示しますパリのアル・サン・ピエール美術館を視察いたしましたけど、この美術館も、パリ有数のにぎわいを持ちますモンマルトルの丘に近接する非常に利便性が高い立地でございました。
こうしたことを踏まえまして、渋谷の既存文化施設を活用して、都における展示の拠点として整備していきたいと考えております。今後、専門家の意見も聞きながら、来年度は都庁舎など複数箇所で試行的に展示を行い、平成二十九年度には拠点において展覧会を開催いたします。
○中山(信)委員 渋谷を中心に、若者の間でアール・ブリュットの評価が高まることは大変喜ばしいことだと思います。ぜひ推進をお願いしたいと思います。
続きまして、障害者スポーツの進展について伺います。
パラリンピックを経た後に、障害者スポーツの機運が急速に冷え込むようなことであっては、そもそも大会の成功とはいえません。障害者スポーツの機運向上をこの機会に徹底して行う必要があります。
あらゆる手段を駆使すべきでありますけれども、映像などを通し、障害者アスリートの人生ドラマ、それを支える家族や関係者の熱意など、試合当日の熱戦までに展開されるプロセスに光を当てることができれば、より多くの人々の理解も深まり、感動が高まるものと考えます。舛添知事の見解をお伺いしたいと思います。
○舛添知事 今ご指摘のように、二〇二〇年東京パラリンピックの成功に向けまして、一人でも多くの方に障害者スポーツの魅力を訴えかけ、関心を持つようになってもらうことが重要であります。
そこで、このたび都は、障害者スポーツに触れる機会の少ない若い世代をターゲットにしまして、トップアスリートたちの躍動と気迫を漫画のヒーローに重ね合わせた映像を作成、公開しました。音楽も、すごいビートのきいた音楽をつけてあります。そのインタビュー編では、競技を始めたきっかけや、壁をどう乗り越えたか、声援にどれほど勇気づけられたかが語られております。アスリートの魅力の背景にあるものに直接触れて、関心を寄せていただきたいと思います。
夜、あるテレビ局は、これを特集して組んでくださっていましたので、そういうメディアのご協力も大変感謝したいと思います。
また、アスリートたちの活躍の裏には、ともに険しい道を切り開いてきた指導者や、義足や用具づくりで選手を支える技術者などがいます。今後は、こうした方にも光が当てられるように、テレビやインターネットなど、さまざまなメディアに対して働きかけを行ってまいります。
さらに、パラリンピックを目指す有望選手を都の強化選手として認定、支援するとともに、国内や国際大会での活躍をホームページなどで継続的に発信し、多くの都民が地元東京の選手を我がまちの誇りとして、二〇二〇年大会に向けて応援する仕組みをつくってまいります。
そして、パラリンピックの本番では、こうした選手たちが力の限り戦う姿は、多くの人の心に強い印象となって刻まれ、大会後も途絶えることなく障害者スポーツへの関心が広がっていくように全力で取り組んでまいります。
○中山(信)委員 次に、心のバリアフリーについてお伺いしたいと思います。
今お話にあった、義手、義足というようなことの技術者にも光を当てるということが、やはり都民の障害者に対する思いというものを、大きく、よい方向に変えていくきっかけになるかと思います。
障害者差別禁止法の施行、二度目のパラリンピックの開催など、都におきましても、新たな決意で心のバリアフリーの進展を図っていく必要があります。その主役は、広く都民や都内の企業、団体となるべきであります。
ハード面の整備、段差の解消やエレベーターの設置補助などにおきましても、公的な助成というものは、ある面、限られたものでありました。
ましてや今後は、情報支援や意思決定支援など、ソフト面での充実が求められるわけでありまして、市民意識の高まりこそが問われていくことになります。
企業の社会的責任、CSRという言葉がありますけれども、同じように、都が目指す心のバリアフリー事業におきましても、社会の内発的な盛り上がりを導いていく役割が期待されております。でも、それはある意味、補助金行政で導くよりもハードルの高い試練であります。
心のバリアフリーによって、よりよい東京への改革を図る舛添知事の所見をお伺いいたします。
○舛添知事 高齢者や障害者を含めまして、誰もが安心して快適に暮らし、訪れることができる社会を実現するためには、ユニバーサルデザインの視点に立って、ソフト、ハードの両面から福祉のまちづくりを進めることが必要であります。
今ご指摘の心のバリアフリーの推進は、こうした取り組みの大きな柱でありまして、都は現在、学校や地域におけるユニバーサルデザイン教育や学習会の開催、事業者の接遇研修などに取り組む区市町村を積極的に支援しております。
また、年度内には区市町村や事業者が研修等で活用できるよう、障害特性に応じた配慮のポイントや効果的な実例を盛り込みましたガイドラインも作成をいたします。
東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市であります。そのレガシーとして、誰もが互いに尊重し、支え合いながら、支援や配慮を必要としている方に自然に手を差し伸べることができる真の共生社会を実現するために、心のバリアフリーの取り組みを一層推進してまいります。
○中山(信)委員 都の心のバリアフリー事業が、若い世代の方々の心に響くものになるかどうか、これは非常に大事です。その中身が受け身的なものばかりでは魅力に欠けて、参加し続ける意欲も失われてしまいます。若い世代に対して実際の行動を促して、社会を変えていくだけの、そういう心のバリアフリー事業にしていかなければなりません。
来年度の取り組みについて、福祉保健局長にお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 心のバリアフリーを進めるためには、将来、福祉のまちづくりの担い手となる若い世代が、互いを思いやり、支え合って生きていく大切さを学ぶことが重要でございます。
そのため、都は障害者との交流や車椅子等を使った障害の疑似体験など、小中学校でユニバーサルデザイン教育を行う区市町村を包括補助で支援してまいりました。
来年度は、思いやりの心を育むことを目的に、小中学生によるポスターコンクールを実施いたしますとともに、障害特性を踏まえた適切な配慮を理解し、実践するためのリーフレットを作成し、都内全ての高校生を対象に配布をいたします。
さらに、参加者が主体的に考え、行動につなげられるよう、大学生や障害者が企画段階からかかわるシンポジウムを開催するなど、さまざまな手法により、若い世代への心のバリアフリーの普及啓発に取り組んでまいります。
○中山(信)委員 障害者の施策の関連で、知的障害者の都外施設についてお伺いしたいと思います。
かつて都内でも、障害者への偏見や無理解が根強く、障害者入所施設の開設が困難な時期がございました。他県の皆様の温かいご理解をいただいて、都外で入所施設を開設してきた歴史があります。
今では、知的障害者の方が恵まれた環境の中で安心して地域になじみ、地元からも貴重な雇用、就労の場として喜ばれております。また、時代の先端を行く農業体験、これが知的障害者の方々の人生を豊かにする上で大変役に立っているという報告ありますけれども、まさにウイン・ウインの先進事例となっております。
私は縁ありまして、初当選当初からそういった都外施設へ訪問させていただき、そこに刻まれてきた感動の人間ドラマの一端を学ばせていただいてまいりました。
しかし、現状は、都外施設から都外へのグループホームに移る場合には、都内から都内、都外から都内へという場合とは異なりまして、グループホームに関する支援のあり方について、別の扱いとなっております。
けれども、長年その地域で暮らしてきた知的障害者の方にとっては、住みなれた施設そのものが地域でございまして、地域移行する場合も、都内に戻るより施設周辺を希望する例が多くなっております。関係者、特に親御さんたちは大変年齢を重ねておりまして、自主努力での維持はなかなか難しい状況になってきております。
そこで、舛添知事にご決断をお願いしたいと思います。都外施設入所者につきましても、本人の希望や家族の意向を踏まえつつ、都内、都外を問わずに地域生活への移行を支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
○舛添知事 中山委員が非常にこの問題、取り組まれたことに敬意を表したいと思いますが、東京都外にある障害者の入所施設は、在宅福祉サービスが十分でなく、都内での土地確保が難しかった昭和四十年代から平成の初めにかけて整備されました。これらの都外施設は、現在も約三千人の障害者に安定した生活の場を提供してございます。
これらの施設に入所されている方の中には、委員お話しのように、地域で自立した生活を送ることを希望される方もいらっしゃるわけであります。
都は現在、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現を基本理念に、グループホームなどの地域生活基盤の整備を進め、障害者の地域での自立生活を支援しております。
今後とも、施設に入所している方やそのご家族の希望を十分に踏まえながら、都内は当然でありますけれども都外も、まさに都内、都外を問わず、障害者の地域生活への移行を積極的に進めてまいります。
○中山(信)委員 歴史的な方針転換の答弁であったと思います。そうした場面に、同志議員と一緒に立ち会えることを感謝したいと思います。
その上で、今後は財務当局のご協力もいただきながら、二〇二〇年には第一号の案件の着手ということを実現していただきたいというふうにお願いしておきます。
また、まずは運営面での支援をご検討されたい。都外施設の入所者が住みなれた施設の周辺で地域生活の継続を希望する場合にも、都内への地域移行と同様に積極的に都は支援すべきと考えますが、福祉保健局長、いかがでございましょうか。
○梶原福祉保健局長 都は現在、都内七カ所、都外三カ所の入所施設に地域移行促進コーディネーターを配置いたしまして、グループホームでの生活体験の機会を提供するなど、入所者の状況を踏まえて地域移行を支援しております。
また、今年度から、都外施設入所者の都内グループホーム等への地域移行につきまして、相談支援事業者と連携して取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
一方、お話のように、都外施設の中には、入所者の希望に応じて当該施設周辺のグループホーム等への移行を支援しているところもございます。
今後、改めて都外施設の入所者やその家族の希望を調査し、地元自治体の意向も踏まえながら、都外施設入所者の地域移行への支援方法について検討してまいります。
○中山(信)委員 ぜひ実現をよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、住まいの問題について触れたいと思います。
東京都内でも、住まいの安心は大事な課題でございまして、一つは、買い物難民の問題でございます。
一階に併存店舗があっても潰れている、あるいは近くの商店街が衰退してしまっている。そうした中で、高齢者の方がなかなか買い物に行けないということがありますけれども、そうした際に、日用品とかを売る車が、週二、三回でも団地内で販売できるようになれば、高齢者が出かけるきっかけにもなりますし、居住者の方々同士の中で安否確認をすることもできます。
一挙三得でありますけれども、こうした事柄がなかなか現状の中では難しい状況になっておりまして、その点につきましても、東京都は大きく転換をしていただいて、この検討に踏み出していただきたいと思いますが、ご見解をお願いいたします。
○安井東京都技監 都営住宅団地内におきましては、販売などの営業行為は、住棟に併設した店舗に限って認めております。
しかしながら、経営者の高齢化などによりまして店舗が閉店した場合には、身近に買い物をする場所がなくなり、お話のように、高齢者や障害者などが不便を感じている団地もございます。
一方、区市町村によりましては、地元商店街などと連携した移動販売などのサービスが始められておりまして、日常の買い物が困難な方々の生活支援にも役立っております。こうした移動販売を都営住宅団地内に導入すれば、居住者の利便性の向上やコミュニティの活性化にもつながるものと受けとめてございます。
今後、地元自治体と調整いたしまして、団地周辺で営業を続ける商店への影響にも配慮しつつ、生活必需品の移動販売の導入に向けて検討してまいります。
○中山(信)委員 続きまして、共益費の問題でございます。
自治会の役員の方々も高齢化しておりまして、団地の共益費の回収が大変困難になっております。都はモデル事業を実施されておりますけれども、かえって徴収率が上がったというようなことをお伺いしておりまして、いよいよ本格実施に向けて踏み込むべきではないかと思いますけれども、都の見解をお願いいたします。
○安井東京都技監 都営住宅の共用部分を適切に維持管理するためには、共益費を確実に徴収することが重要でございます。このため、自治会による集金が困難となっている団地につきましては、モデル事業の成果を踏まえまして、都が直接徴収する仕組みを導入することが必要となっております。
今後、直接徴収につきましては、まず、実施に必要な体制や団地の募集手順など具体的な方法を精査いたします。その上で、自治会総会での合意や居住者全員への周知などを条件に、希望する団地を募りまして、住宅の使用料とともに公共料金等を共益費として徴収していくことといたします。
○中山(信)委員 大事な答弁であったと思います。周知ということですので、署名とか判ことか、そういうことでいいんだと思いますけれども、ぜひ実現をしていっていただきたいと思います。
続きまして、二問あわせてお伺いいたします。
一つは、ひとり親家庭への居住支援でございまして、ひとり親もなかなか、民間賃貸住宅で断られてしまう。昼間は子供一人しかいない、そういうことを、共働き世帯では問題ないのに断られてしまう。そうしたときにNPOとかが、ひとり親でもオーケーな大家さんを探したり、子育てに適した環境を見つけてきたりして、リスト化しております。これは居住支援協議会で活用している例がある。この活用をどうしていくか。
もう一つは空き家対策。リフォームという点が、いろいろな出口戦略がありますけれども、共通しております。子育て向けのものであれ、福祉のものであれ、リフォームという点で、大家さんたちの後を押す手を打つことができれば、空き家が都内の宝物となって大きく施策が展開していきます。この点の都技監の答弁をお願いいたします。
○安井東京都技監 まず、ひとり親世帯など住宅の確保に配慮が必要な方々に対しましては、区市町村が居住支援協議会を設立し、地域の実情に応じて主体的に取り組むことが重要でございます。
区の協議会では、こうした方々への空き家、空き室の登録、紹介制度などの取り組みが既に始まってございます。都も昨年度、東京都居住支援協議会を設立いたしまして、区市町村向けのセミナーにおきまして、登録、紹介制度に加えまして、ひとり親世帯への居住支援を行うNPOの取り組み、国の財団におけます家賃債務保証制度などについて紹介し、活用を促しているところでございます。
今後とも、全国的な取り組み事例の情報提供や活動費等に対する助成などによりまして、区市町村協議会の設立を促すとともに、その活動を支援してまいります。
次に、昨年、知事からの指示を受けまして、局横断的に空き家対策について検討を進めてございまして、空き家を住宅のみならず地域の貴重な資源と捉えまして、都政のさまざまな分野で積極的に活用していくことといたしました。
例えば、高齢者や子育て世帯向けの住宅としての活用に加えまして、来年度は、地域を活性化させる施設などに転用するための改修費につきましても、区市町村を通じて財政支援を実施いたします。
今後、住宅政策審議会での議論も踏まえつつ、リフォーム等による空き家の有効活用を一層促進するための施策について検討してまいります。
○上野副委員長 中山信行委員の発言は終わりました。(拍手)
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