予算特別委員会速記録第五号

○早坂委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月九日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 小宮あんり理事の発言を許します。

○小宮委員 都議会自民党を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
 既に本会議やこの予算特別委員会において、来年度の事業についてさまざまな質疑が行われてきました。四年後には、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。世界中の国が東京に注目するこの機会を捉えて、私たちはこの東京というまちを、より住みやすく、美しく、安全で、そして、活力にあふれた、そうしたまちへと引き上げていかなければなりません。開催まで、あとわずか四年です。この限られた期間に、私たちが何をすべきか、きょうは改めて問いたいと思います。
 また、舛添都政になる以前から、東京が都市の課題として取り組んできた待機児童対策が、今どんな局面を迎え、女性が活躍することが求められる中で、新たに抱えている現状の課題にどう臨んでいくのか。きょうは、これまでのさまざまな議論に加えてさらに、あるいは特に支援をしていかなければならない、そうした分野について質疑をしてまいりたいと思います。
 今、保育サービスが利用できないという一人の保護者の声が国会で取り上げられ、話題になっています。東京都ではこれまでも、待機児童対策を重要な課題と捉えて、保育の受け皿拡大に全力で取り組んできました。
 東京都が独自の基準で設けた認証保育所も、創設以来十五年を迎え、今では、都内で約七百カ所、二万人のお子さんをお預かりするまでになりました。保護者の方々からも、とても頼りにされています。石原都政の時代から、都は国をリードして、都独自の補助を創設するなど、保育サービスの拡充に取り組んできたわけです。保育サービスの拡充というのは、全会派が一致して推進していくべき問題です。
 そこでまず、保育サービスの拡充のための都の取り組み状況、また、今後の支援について伺います。

○梶原福祉保健局長 都はこれまで、保育サービスの拡充に向け、区市町村や事業者の整備費の負担の軽減や、都有地の減額貸付、国有地、民有地の借地料補助など、さまざまな独自の整備促進策を実施いたしますとともに、保育人材の確保、定着を図るため、就職支援研修と就職相談会の一体的な実施や、保育人材コーディネーターによる就職相談から就職後の定着支援、保育士等のキャリアパスに取り組む事業者への支援、宿舎借り上げ支援などを行ってまいりました。また、障害児やアレルギー児など、特に配慮が必要な児童に対する保育の充実を図る補助も実施をしております。
 来年度はさらに、離職防止を図るために、保育従事者への巡回相談を行う区市町村や、卒業予定者の保育所への就職を促進する養成施設への支援のほか、保育士の負担軽減を図るための補助者の雇い上げ経費の貸し付け等を開始いたします。

○小宮委員 施設を整備するための補助であったり、また、保育サービスには欠かせない保育士を確保、定着させるためのさまざまな支援を行ってきたことがわかりました。
 保育の実施の主体というのは区市町村ですけれども、認可保育所以外にも、認証保育所や認定こども園、小規模保育や家庭的保育など、地域の実情に応じたさまざまな保育サービスが提供されています。
 都は、それぞれに適切な支援が行われるよう、多様な施策を実施してきました。その結果、昨年度は、年間目標である一万二千人分を超える保育サービスの拡充を達成しています。しかし、こうした都や区市町村の努力があるにもかかわらず、現時点で待機児童は解消していません。来月四月時点での状況も厳しいであろうというふうに思います。
 平成二十六年度から二十九年度までの四年間で、都は、保育サービスを四万人分確保し、待機児童をゼロにすることを目標に掲げています。二年前に出したこの四万人という目標は、国の子ども・子育て支援新制度がスタートをする前に区市町村が行ったニーズ調査というものをもとに算出されたものです。そして、昨年の四月には、その子ども・子育て支援新制度が始まりました。保育サービスの考え方というものは、保育に欠ける子に提供するものから、保育を必要とする子供へ提供するものへと変わりました。
 このような状況を考えれば、現在掲げている四万人分という目標の整備、これはまだ計画の年次半ばではありますけれども、見直すということも必要ではないでしょうか、都知事の見解を伺います。

○舛添知事 平成二十六年度に策定いたしました東京都長期ビジョンでは、待機児童の解消に向けまして、保育サービスをご指摘のように四万人分ふやす目標を掲げ、昨年度の保育サービス利用児童数は、整備目標の一万二千人分を超えます一万二千六百二人分増加いたしました。
 現在、保育の実施主体であります区市町村は、保育サービスの整備に積極的に取り組んでおりまして、今年度も、認可保育所は約百六十カ所ふえる見込みでございます。ただ、出生数の増加や人口の流入、それから共働き世帯の増加などによりまして、都内の保育ニーズはますます増大しておりまして、保育サービスの拡充を一層進めていかなければなりません。
 国は現在、待機児童解消のための緊急対策を検討しておりまして、都は国に対して、都独自の認証保育所や補助制度への財政支援や、国有地の減額貸付など、さらなる整備促進策の充実を申し入れているところでございます。
 今後、国は、各自治体の実態を調査し、一億総活躍プランに新たな取り組みを盛り込むと聞いておりまして、都は国と協力して実態把握に努めるとともに、区市町村と連携しながら、待機児童解消に向けた取り組みを全力で進めてまいります。
 お話の整備目標につきましても、この四月の待機児童の状況を踏まえながら、さらなる拡充を検討したいと思っております。

○小宮委員 この国を、東京を、活力あるまちにしていくためには、女性の力が欠かせません。働く女性にとって安心できる保育サービスがあるかどうかというのは、本当に切実な問題であると思います。
 特に待機児童の問題は、人口が集中をして、地価が高く、保育施設の確保が困難な都市において深刻だということはいうまでもありません。だからこそ、都はこれまで、さまざまな施策を総動員して、国に先駆けて、多様で充実した保育サービスの提供に努力してきました。
 国は、本質的に全国一律のサービスの提供を考える立場にあります。区市町村との連携のもと、東京がこれまで以上に率先して思い切った対策というものをとっていくことで、国をリードし、多くの女性の切実な声にぜひ応えていただきたい、そういうふうにお願いをいたします。
 さて、保育サービスを拡充するためには、施設の整備だけではなく、保育士の確保が欠かせません。介護や保育といった福祉人材の確保は、急務の課題となっています。都は現在、職場体験や大規模な就職説明会、キャリアパス導入に取り組む事業者への支援など、福祉人材の確保に向け、さまざまな取り組みをしています。
 しかし、少子高齢化による労働力人口の減少や他の業種への人材流出等により人手不足が深刻化してきております。こうした取り組みをより一層加速させていくとともに、やはり四、五年先というものも見据えた中期的な対策も必要です。
 そのためには、都における福祉人材対策をより積極的に展開していく必要があると思いますが、今後、都はどのように福祉人材の確保に取り組むのか、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は現在、福祉の仕事の魅力をアピールするイベントや合同採用試験の実施、資格取得の支援や養成施設在学者への修学資金貸付、離職防止のための相談支援や職場環境改善への支援など、福祉人材の確保、育成、定着を図るため、さまざまな取り組みを展開しております。
 こうした取り組みを、区市町村や事業者、養成施設や就労支援機関等とも連携し一体となって進めるため、来年度、東京都社会福祉協議会に、関係機関が参画する福祉人材対策推進機構を設置いたします。
 機構では、普及啓発や人材育成など、課題ごとの部会で具体的な対策を検討し、人材の掘り起こし、マッチング、定着、再就業などを総合的に支援するほか、都独自の人材バンクシステムを構築することとしており、今後とも、福祉ニーズが増大する将来を見据えまして、福祉人材対策を積極的に進めてまいります。

○小宮委員 人材を確保できなければ、保育サービスも介護サービスも成り立ちません。福祉政策の重要な課題として取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、児童虐待への対応について伺います。
 児童虐待の相談件数というのは、残念ながら増加の一途をたどっています。虐待により命を落とす子供も後を絶ちません。ことしに入ってからも、一月に、狭山市の三歳女児がやけどを負い、その後死亡したという事件や、大田区で三歳男児が暴行を受け死亡した事件が発生しています。本当に痛ましいことです。
 国は、児童福祉法の見直しも視野に議論を行ってきました。そして、三月十日の報告書には、都道府県と区市町村の役割の明確化や機能強化について、また、里親制度の充実強化などが盛り込まれています。報告書を実現するには、まだまだ時間を要します。しかし、深刻化する児童虐待に、国、都、区市町村というのは、一刻も早く連携して取り組んでいかなければなりません。
 都はこれまでも、児童相談所の体制強化に向け、児童福祉司や児童心理司を初めとする人員の増を行ってまいりました。しかし、従来のペースの人員増では、複雑化、困難化する虐待への対応が追いつかないのではないかと危惧をいたします。そこで、都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は来年度、児童相談所の体制を強化するため、児童福祉司十八名を初め職員を合計四十一名増員をいたします。
 増員する児童福祉司は、虐待相談件数の多い児童相談所に集中的に配置して、虐待通告を受けてからの情報収集、児童の安全確認、保護者対応など、援助方針の決定に至るまで専任のチームで行う体制を整備いたします。これに伴い、継続した対応が必要な養育家庭や、施設入所の児童等に、よりきめ細かな支援を行う体制も拡充をいたします。
 また、児童福祉司や児童心理司の事務を補佐する職員を新たに配置いたしますとともに、人材育成を担う児童福祉、児童心理の専門課長や、新任職員の個別指導を担う児童福祉司や児童心理司のOBなども増員をいたします。
 今後も、順次、児童福祉司や児童心理司を増員することとしており、児童相談所の体制を一層強化してまいります。

○小宮委員 増員をする児童福祉司を集中的に配置したり、初期の対応とその後の対応の役割分担を図るなど、深刻化する児童虐待に対し、虐待へより早く、より機動的に対応しようとする都の強い意気込みがわかりました。
 専門委員会の報告書では、区市町村において、子供のいる家庭への支援の拠点を整備すること、そこを拠点として、子供・子育て支援事業や子供家庭の福祉相談、また、保護を要する児童や虐待により措置対象となった子供と、その家庭の在宅支援などを行うよう求められています。
 これは、既に都が区市町村を支援し、設置をお願いしている子供家庭支援センターの役割と同様のものです。国の児童虐待に対する考え方が、都に倣い、追いついてきたものと考えます。
 現状、各区市町村の子供家庭支援センターの取り組み状況はさまざまであり、子供と子育て家庭の多様な相談に的確に対応するためには、さらなる体制強化が必要です。特に虐待対応については、緊急かつ適切な対応が必要なため、都として支援を充実すべきと考えます。見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、地域における子供と家庭の相談窓口である子供家庭支援センターの虐待対応力を強化するため、児童相談所や学校、保健所などの関係機関との連携を担う虐待対策コーディネーターを配置する区市町村を支援するほか、新任職員等を対象に、事例検討などケースワークの実践力を高める研修を実施しております。
 来年度は、増加する児童虐待相談にきめ細かく対応するため、虐待対策コーディネーターを増員いたしますとともに、虐待対応の中核を担う人材を育成するため、中堅職員を対象に、困難ケースへの支援方法や司法面接の基本的技術等に関する研修を、年間を通じて、全部で十二回実施をいたします。
 今後とも、こうした取り組みを進め、区市町村の虐待対応力の一層の強化を図ってまいります。

○小宮委員 都と区市町村が連携をして、支援の網からこぼれる子供がいなくなるようにしてもらいたいと思います。
 また、虐待を受けている子供の多くは、複数の課題を抱えており、専門的なケアが必要です。国の報告書では、家庭において子供を育てていくことがまず優先されるべきこと、ただし、家庭では対応が困難な専門的な支援を必要とする子供には、施設での治療的なケアが欠かせないこと、不幸な状況にある子供を社会全体でしっかりと保護し育てていくには、家庭での養育と施設での養育のバランスが重要であり、両者をともに充実していくべきことなどが述べられています。
 都は以前から、施設での専門的なケア機能の強化を図ってきました。その結果として、対応の難しい子供の養育について、さまざまなノウハウを蓄積した施設がふえてきました。こうした蓄積というものを、養育家庭への支援のために活用すべきと考えます。都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 児童養護施設や乳児院では、社会福祉士等の一定の要件を満たす者を里親支援専門相談員として配置しておりまして、この相談員が中心となって、児童相談所と連携し、入所児童の養育家庭への委託の推進や委託後のアフターケア、地域の養育家庭の開拓などを行っております。
 現在、家庭的養護の推進をテーマに議論している児童福祉審議会専門部会におきましても、施設の専門性をより生かした養育家庭への支援方法や児童相談所、施設、民間団体、区市町村、養育家庭等がチームとなって子供を養育していくことの重要性など、さまざまなご意見をいただいております。
 今後、専門部会での議論も踏まえながら、養育家庭への支援の充実に向け、施設の専門性やノウハウのさらなる活用策を検討してまいります。

○小宮委員 里親家庭か施設かといった議論ではなくて、関係するさまざまな主体が連携をして不幸な状況にあるそうした子供たちを救い、守り、そして育てていってほしいというふうにお願いします。
 昨今、元気な高齢者のさまざまな活躍が期待される一方で、認知症や孤立など、地域で見守っていく必要がある、そういう高齢者がふえています。
 国は、団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年を目途に、地域包括ケアシステムを構築して、高齢者が住みなれた家や地域で暮らしながら、必要となったとき、医療や介護、そして地域の見守りといった支援を円滑に受けられるようにする、そういう体制の構築を目指しています。
 区市町村が構築する、この地域包括ケアシステムに対して、都はこれまで、認知症疾患医療センターを区市町村ごとに指定するなど、都として支援が必要な分野に積極的に取り組んできました。
 また、先週、都は地域のさまざまな主体による見守りを推進していくために、今月三十日に都と事業者との連携による高齢者等を支える地域づくり協定を締結すると発表いたしました。高齢者の見守り活動に町会や自治会などの地域住民はもとより、日常業務で高齢者等と接する機会の多い民間事業者に参画してもらうということは、地域における支え合いの意識を醸成し、高齢者の在宅生活に安心を提供していく上で大きな意義があると思います。
 今後とも、都は、地域全体で高齢者を見守り支えていくための取り組みを積極的に推進していく必要があると考えますが、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 お話のように、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らせる社会を実現するためには、地域の誰もが生活のさまざまな場面で、互いに思いやり、手助けができる互助の仕組みづくりが必要でございます。
 そのため、都は現在、民生委員、自治会等の見守り活動や、高齢者等を日常的に見守り、異変に気づいた際に専門機関につなぐサポーターの養成など、地域の実情に応じた取り組みを行う区市町村を包括補助で支援しております。こうした取り組みを都内全域でさらに進めるため、このたび、タクシー、新聞販売、不動産、コンビニ、生協、農協など日常的に高齢者等と接する機会の多い十六の団体や事業者と、高齢者等の見守りや認知症の方への支援などに関する協定を締結することといたしました。
 今後とも、区市町村や事業者等と連携し、社会全体で高齢者等を見守り支える取り組みを積極的に推進してまいります。

○小宮委員 この協定締結によって、高齢者を取り巻く多くの人が、積極的に高齢者の安全にかかわる環境ができることを期待します。
 さて、高齢者を狙ったオレオレ詐欺などの特殊詐欺については、警視総監の治安状況報告にもありましたが、これまでの取り組みの成果が出ており、都内では平成二十五年をピークに認知件数、被害総額とも減少傾向にあります。しかし、減少したといっても、昨年の被害総額は六十億円を超えており、相変わらず深刻な社会問題であることに変わりはありません。罪のない高齢者から財産をだまし取るという、こうした絶対に許せない犯罪は徹底的に撲滅すべきです。
 我が党では、本年度、電話を使ったオレオレ詐欺への抑止効果が高いとされる自動通話録音機を無償で貸し出す事業の創設を提案し、緊急対策として一億円の予算を確保しました。その結果、合計で二万台の自動通話録音機が配布されたと聞いております。都議会自民党も、この事業を都民に広く知っていただくため、都内の郵便局と信用金庫の協力を得て、約九万部のパンフレットを配布してきました。
 都は、この事業を引き続き推進し、高齢者をオレオレ詐欺から守るべきと考えますが、自動通話録音機の一層の設置普及のために、今後、どのように取り組むのか伺います。

○廣田青少年・治安対策本部長 自動通話録音機は、電話を受ける段階で自動メッセージが流れ、犯人に通話を断念させることから、使用している世帯では被害が発生した事例はなく、その抑止効果は極めて高いため、都が実施した緊急対策でも追加配布要望が多数寄せられております。
 今後、さらに普及を促進するためには、住民にとって、より身近で高齢者の実態を把握することができる区市町村がその特性を生かし、自動通話録音機の効果等を積極的に周知し設置促進を図るなど、区市町村の主体的な取り組みが不可欠でございます。
 このため、都は来年度、区市町村が自動通話録音機を購入する際の費用の二分の一を都が負担する補助事業を導入することとし、今後三年間で、五万台の無償配布を計画しております。

○小宮委員 高齢者に身近な区市町村の補助事業になるということですが、区市町村ごとに取り組みの差が生じるということも懸念されます。引き続き、都として普及啓発や区市町村への働きかけをしっかりと行っていただきたいと思います。
 また、そうしたハード面の整備だけでなく、高齢者に対して、だまされないための講話による被害防止など、ソフト面での対策も強化していく必要があります。
 さらに、特殊詐欺被害を防止するためには、金融機関等での声がけが大変有効だということです。声がけによって昨年は、全国の金融機関等で約一万二千件、二百六十六億円もの被害が回避できたと伺っています。
 今後、特殊詐欺被害を撲滅するために、さらにどのような取り組みを進めていくのか、伺います。

○廣田青少年・治安対策本部長 都では、特殊詐欺の最新の手口等を踏まえ、実演式防犯講話の内容を毎年度見直しており、来年度は急増している架空請求詐欺の手口も取り入れることとしております。
 また、より多くの都民に被害防止を呼びかけていくため、講演回数を本年度より二十回ふやした八十回に拡充するとともに、講演会を収録したDVDの配布や、警視庁や区市町村と連携したイベントの開催など、環境の整備に努めてまいります。
 さらに金融機関に対し、職員にだましの最新の手口や、事例を踏まえた声かけ講習会を行うなど、民間事業者との連携を強化し、特殊詐欺の撲滅に取り組んでまいります。

○小宮委員 さて、グローバル化が急速に進展する中で、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しています。世界のさまざまな国や地域の人々との交流がふえる中で、改めて、日本人としての自覚と誇りを持ち、世界で活躍できる、そうした人材の育成が求められています。
 そのため、これからの社会の担い手となる児童や生徒に対しては、他国の文化を尊重する態度を育むことはもちろん、我が国の伝統文化を理解し、そしてまた、日本人が古くから大切にしてきた礼儀正しい立ち居振る舞いも身につけてほしいと思います。
 しかし、現在の子供たちの中には、礼の仕方や、箸の持ち方など、以前は当たり前にできていたことが必ずしも十分にできていない子もいると聞きます。日本人が大切にしてきた伝統文化や礼儀作法を、今後は教育の中で子供たちが身につけていくということも必要ではなかろうかと思います。都教育委員会の見解を伺います。

○中井教育長 児童生徒が世界の人々から信頼され、敬愛される日本人として成長するためには、ただいま理事ご指摘のとおり、我が国の伝統文化について理解するとともに、これまで受け継がれてきた礼儀作法を身につけることが重要でございます。
 現在、学校では、各教科や道徳、学校行事等、さまざまな場面で思いやりの心や公徳心、礼儀作法等について指導しております。また、都教育委員会は、我が国の伝統文化に関する教育を推進する学校を二百校指定するなどの支援を行ってきております。
 今後、この指定校を二百五十校に拡大するとともに、児童生徒が礼儀作法について武道、茶道等の専門家から体験的に学ぶ機会をふやすなど、指導の一層の充実を図り、日本人が大切にしてきた心や態度を育む教育を推進してまいります。

○小宮委員 我が国の伝統や文化を理解するとともに、日本人らしい礼節を身につける取り組みは大変重要であり、ぜひ推進していただきたいと思います。
 また、長い歴史の中で培われた我が国の伝統や文化への理解を深めるためには、児童や生徒が学校の授業などで学ぶことに加え、直接見たり触れたりする、そうした体験が大切です。とりわけ、高校生の時期に伝統芸能等を鑑賞し、感動を味わうことは、我が国の伝統文化に対する関心を高め、造詣を深めるものと思います。
 そこで、都立高校における日本の伝統文化に関する教育の充実を図るために、今後、都教育委員会はどのように取り組むのか、伺います。

○中井教育長 お話のとおり、児童生徒が我が国の伝統や文化を学ぶ上で、直接見たり触れたりすることができる体験活動は極めて重要でございます。そのため、これまでも一部の都立高校では、実際に劇場等において、一流の実演家の演技を鑑賞する教育活動を通して、伝統芸能についての関心と理解を深める取り組みを行ってまいりました。
 こうした取り組みの成果を踏まえ、今後、都教育委員会は、全ての都立高校において、生徒が在学中に一度は劇場で能や歌舞伎等の伝統芸能を鑑賞できる機会を設定し、東京の子供たちが、卒業後も生涯にわたって、我が国の伝統や文化について親しむ素地を培い、豊かな感性や創造力を持った人間を育成してまいります。

○小宮委員 次に、障害のある子供たちの芸術活動について伺います。
 書道家の金澤翔子さんやピアニストの辻井伸行さんは、障害がありながらも、一流の芸術家として、国内のみならず世界的に活躍されています。二人はいずれも都立特別支援学校の在校生でした。現在の都立特別支援学校に通う子供たちの中にも、この二人に続く子供がいるかもしれません。子供たちの隠れた才能を見出し伸ばすということは、教育の本質ともいえる大変重要な役割です。
 都は先月、我が党の要望を受け、子供たちのすぐれた芸術作品を見出し展示する、アートプロジェクト展を初めて開催しました。私も会場に足を運び、作品を拝見しましたが、自由で生き生きとした躍動感を持った作品、緻密さの中に力強さを感じさせる作品など、子供たちの持つエネルギーと可能性を強く感じました。ぜひ、今後もこうした機会をつくり、より多くの都民に鑑賞してもらい、障害のある子供たちの理解へとつなげていただきたいと思います。
 また、これらの作品を特別支援学校のスクールバスにラッピングをして、都内を運行させるなど、より多くの人たちが子供たちの作品を見ることができるようにするべきと考えます。
 そこで、アートプロジェクト展の今後の展開と展示作品に関する取り組みについて伺います。

○中井教育長 障害のある児童生徒のすぐれた芸術的作品を通じて、障害者への理解を一層促進するためには、ご指摘のとおり、日常的に多くの都民が鑑賞できる機会を積極的に設けることが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、本展覧会の作品集を制作し、アートプロジェクト展開催期間中に、芸術業界関係者等に配布して広く周知いたしました。また、お話のスクールバスのデザインに展示作品を活用することにより、都民がまち中でも見ることができるよう準備を進めてまいります。
 さらに、来年度も本展覧会を引き続き開催するとともに、企画の段階から障害者の芸術作品の普及に努めている団体等との連携を図るなど、児童生徒の作品が本展覧会終了後も、さまざまな場所で展示される仕組みづくりに努めてまいります。

○小宮委員 障害者への理解を促進し、共生社会を実現するためには、今こそが絶好の機会なんです。東京が、我が国でいえば五十年に一度あるかないかという大行事を控えているからです。東京オリンピック・パラリンピックの開催です。
 五十年前とは時代も環境も違います。現在の東京の課題を把握している私たちには、二〇二〇年東京大会を成功させるための手だてを、積極的かつ効果的に講じていく責任があります。特に、東京は世界で初めて二度目のパラリンピック大会を開催する都市となります。パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功なし、知事と我が党の思いは同じであると思います。
 しかし、残念ながら、パラリンピックに対する都民の知識や関心は、まだまだこれからといわざるを得ません。先日行われた第十回東京マラソン女子車椅子レースの部では、土田和歌子選手が九連覇という偉業をなし遂げました。また、車椅子テニスで世界的に有名な国枝慎吾選手など、ことし九月に開催されるリオ大会での活躍が楽しみな選手は大勢います。しかしながら、昨年十一月に公表された都の世論調査では、半数近くの都民がパラリンピックの選手を一人も知らないと答えています。
 本年夏に開催されるリオ大会は、このように、これまでパラリンピックを知らなかった方々に、その魅力を伝える絶好の機会です。都としても二〇二〇年大会に向け、この機会を逃すことなくパラリンピックに注目を集める、光を当てる、そうした取り組みを大々的に行っていくべきと考えます。知事の見解を伺います。

○舛添知事 常々申し上げておりますように、私は、パラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功はないと考えております。二〇二〇年の東京パラリンピックを満員の観客で盛り上げ、ぜひとも史上最高の大会にしていきたいと考えております。
 都はこれまでも、NO LIMITS CHALLENGEやチャレスポTOKYOなどの、さまざまな体験イベントを通じまして、パラリンピックの普及啓発に取り組んでまいりました。ことし夏のリオ大会は、絶好の機会でありまして、その盛り上げに向けまして、よりインパクトのあるメディアへの発信力が大きい事業を展開し、パラリンピックの認知度を飛躍的に高めていきたいと考えております。
 そこで、ゴールデンウイーク期間中の五月二日に、大勢の人が集まります銀座中央通りで、トップアスリートの迫力あるパフォーマンスを目の当たりにできます斬新なイベントを開催いたします。リオ大会でも活躍が期待されます車椅子テニスのトッププレーヤーやウィルチェアラグビーの日本代表選手によるデモンストレーションなど、魅力的なプログラムを展開してまいります。
 今後とも、二〇二〇年大会に向けまして、パラリンピックの機運醸成に全力で取り組み、大きな動きを創出していきたいと思っております。

○小宮委員 リオ大会前に大規模なイベントを銀座で打ち上げる。まずは、それによって広く都民に関心を持ってもらう。またそれと同時に、必要であると思うのが、パラリンピック競技を知ることだと思います。
 先日、私は、杉並区で行われたパラリンピックを知ろうという公開講座に参加しました。
 障害にはさまざまな種類や程度があり、それが競技結果に影響しないよう同じ程度の障害で競技グループを形成するクラス分けといった規則があります。例えば、競泳の肢体不自由部門では、障害の重さにより十のクラス分けがされています。つまり、金メダルが十個。また、視覚障害者の競技であるゴールボールは鈴の入ったボールの音が聞こえるように、観客は競技中は静かに観戦しなければならないなど、初めて知るルールも多く、知れば知るほど、改めてその競技を観戦してみたいと思いました。
 都民には、競技の種類やルールがまだまだ知られていません。パラリンピック大会の機運を醸成するには、そうした知識の普及が欠かせないと考えます。都の取り組みについて伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 都は、パラリンピックのおもしろさを知っていただくために、各イベントにおきまして、パラリンピックの競技のルールや魅力を紹介するガイドブックを広く配布し、参加者への普及啓発を行っております。
 今後、都民にパラリンピックの魅力をより直接的に伝える手段としまして、視覚に訴えた取り組みを強化してまいります。都はこれまで、東京都提供番組や「広報東京都」を通じまして情報発信をしてまいりましたが、これに加えまして、都民への訴求効果が高い動画コンテンツを積極的に活用してまいります。
 来年度には、二〇二〇年パラリンピック全二十二競技の特徴や見どころをアニメーションでわかりやすく紹介する動画を活用するなど、さまざまな広報媒体を使って、パラリンピックの情報発信を幅広く展開してまいります。

○小宮委員 また、子供たちにとっても、四月から学校で始まるオリンピック・パラリンピック教育の中で、パラリンピックの競技種目やルールについて学ぶ機会を取り入れるべきと考えますが、見解を伺います。

○中井教育長 パラリンピックの種目等について学習することは、児童生徒の関心を高め、夢に向かって努力したり、困難を克服したりする意欲を培う上で非常に有効でございます。
 このため、四月に全ての学校へ配布予定の学習読本や映像教材には、パラリンピックの歴史や意義、競技種目やそのルール等の内容を盛り込んでございます。各学校では、これらの教材を活用して能動的な学習を取り入れた授業を行ってまいります。
 また、パラリンピアンとの交流等を通じ、実際のパラスポーツを体験する機会も、さらに設定するとともに、障害者スポーツ大会のボランティアとして参加することなどにより、パラスポーツへの理解を深めてまいります。
 こうした体験や活動を重視した教育を行うことで、障害者に対する理解を促し、障害の有無にかかわらず、ともに助け合い、支え合っていこうとする心をしっかりと育んでまいります。

○小宮委員 子供たちにとっては、パラリンピックを学んで、体験して、ボランティアもやるということは、障害者への理解や、ひいては共生社会を考えていくための貴重なきっかけになると思います。
 一方で、広く都民に対しては、パラリンピック全二十二競技の特徴や見どころをホームページやSNSなど動画で配信すると伺いました。これに加えて、広報媒体として効果的なテレビやラジオといったマスメディアを活用することが重要だと思います。既にそうした取り組みもしたという答弁がありましたけれども、ぜひ単発ではなく、戦略性や継続性を持ってパラリンピックへの広報を積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 東京都では生活文化局が広報番組を持っています。そうした番組をまずは活用して、パラリンピック選手や競技の情報発信をすべきと考えます。見解を伺います。

○多羅尾生活文化局長 都では、リオ大会が開催される来年度、オリンピック・パラリンピックに向けた情報発信を重点広報テーマに定め、二〇二〇年東京大会に向け、お話のパラリンピックの機運醸成に力を入れてまいります。
 テレビは高い訴求力があり、施策の内容をタイムリーに伝えることができ、特に、都提供のテレビ番組は、視聴者層に応じて都政情報をわかりやすく発信することが可能でございます。
 そのため、都の看板番組である「東京クラッソ」において、四月に新たにコーナーを設け、パラアスリートや障害者スポーツの魅力を連続して紹介することを初め、各種番組においても、同様の企画を実施してまいります。
 「広報東京都」や都庁総合ホームページ、ツイッターなど他の媒体とも連動し情報発信するなど、都の広報全体として、積極的にパラリンピックの魅力を伝えてまいります。

○小宮委員 四年後のパラリンピック大会を盛り上げていくために、ここまでの話をまとめると、まず、リオ大会前に大々的にイベントを打つ、そして競技への知識も広める、また、メディアを使って普及啓発していくということですけれども、このように、さまざまな角度からの施策を組み合わせて、パラリンピック大会への機運を、ぜひ醸成していっていただきたいと思います。
 また、これらに加えて重要なのは、都議会自民党が昨年来主張してまいりました、障害者スポーツに親しむための場の整備です。といっても、新たな箱物をつくるわけではありません。我が党が訴えているのは、既にある区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化や都立特別支援学校の活用です。
 また、都内に二カ所ある都立障害者スポーツセンターについては、機能や利便性を向上させるため、来年度から順次改修工事が進められると聞いていますが、その間の代替施設はどうするのか。今ある都の資源を積極的に活用して、障害者スポーツの場の確保を図るべきと考えます。知事の見解を伺います。

○舛添知事 二〇二〇年東京パラリンピックは、障害者スポーツの環境を劇的に変える千載一遇のチャンスであります。
 スポーツをする場の拡充についても、都の持てる資源を広く活用して取り組んでまいります。
 そこで、都立特別支援学校につきましては、障害者スポーツ拠点の一つと位置づけまして、身近な地域で誰もが気軽にスポーツを楽しめる場とするとともに、あわせて競技団体の活動拠点にしてまいります。
 具体的には区部、多摩の地域バランスを考慮いたしまして、まず来年度は、大塚ろう学校、府中けやきの森学園、墨東、大泉、村山の各特別支援学校の計五校をモデル校として活用の促進を図り、その後、順次拡大してまいりたいと思っております。
 また、広域的な拠点として設置している二つの障害者スポーツセンターにつきましては、理事ご指摘のとおり、施設の拡充を図るため改修工事を行います。改修期間中も機能を低下させないために、北区にあるセンターでは、敷地の中に仮設施設を整備いたします。また、国立市のセンターにつきましては、味の素スタジアム内の室内施設を有効活用して、工事期間中の代替機能とするとともに、改修後の継続活用についても検討してまいります。
 こうした取り組みを通じて、都内全域でバランスよく障害者スポーツの場を整備し、二度目のパラリンピックを迎える都市にふさわしい環境を整え、大会のレガシーとしてまいりたいと思っております。

○小宮委員 都内全域で障害者スポーツの場が整備されれば、大会のレガシーともなる大変すばらしいことであると思います。
 また、あわせて、せっかくバリアフリーの施設ができるなら、そうした、例えば施設と駅を結ぶ、施設と施設を結ぶ道路のバリアフリー化というものを、東京都は積極的かつ重点的に進めて、面的なバリアフリーのまちづくりも目指していかなければなりません。
 都はこれまで、駅や官公庁、福祉施設等を結ぶ道路を選定し、歩道の段差解消や勾配の改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置などを進めてきました。これまで、整備対象とした延長三百二十七キロは、年度内に整備が完了すると聞いています。
 二〇二〇年の東京大会に向けて、国内外から障害者を含む多くの人が東京を訪れることから、さらなる道路のバリアフリー化が必要です。
 年度内に策定する東京都道路バリアフリー推進計画について、その具体的内容及び来年度の取り組みについて伺います。

○佐野建設局長 高齢者や障害者を含めた全ての人が安全で円滑に移動するためには、道路のバリアフリー化を進めていくことが重要でございます。
 今月末に策定する東京都道路バリアフリー推進計画では、二〇二〇年東京大会の開催を見据え、競技会場や観光施設周辺等の整備を大会開催までに完了させることとしております。
 さらに、本格的な高齢社会の到来を踏まえ、これまで対象としてきた駅や官公庁、福祉施設等を結ぶ道路に、新たに文化施設やスポーツ施設等の周辺も加え、都道のバリアフリー化を一層推進してまいります。
 本計画は、今後十年間で、約百八十キロメートルを整備するもので、平成二十八年度は、そのうち約三十キロメートルを整備いたします。
 引き続き、誰もが安全・安心、快適に利用できる道路空間を創出してまいります。

○小宮委員 それから、子供から高齢者、障害者など、誰もが快適に利用できる道路空間というものをつくり出すためには、道路の無電柱化が重要です。
 都議会自民党は、東京から電柱をなくそうと掲げ、都内全域で無電柱化を推進するよう、都に要請してきました。都は、平成二十六年に、新たな無電柱化推進計画を策定し、事業を推進しています。
 かねてから申し上げているとおり、私は、都道だけでなく、生活道路のような幅の狭い区市町村道の無電柱化も重要であると考えています。
 昨年の第三回都議会定例会において、幅の狭い区市町村道における無電柱化の課題となっている地上機器の設置について、新たに手引を作成して、区市町村の取り組みを支援すると、建設局長から答弁をいただいております。
 そこで、改めて、今後の区市町村道の無電柱化促進に向けた取り組みを伺います。

○佐野建設局長 面的な広がりを持った無電柱化を図っていくためには、都道はもとより、区市町村道の事業を一層推進することが重要でございます。
 このため、都は、道幅の狭い区市町村道における課題の一つである地上機器の設置場所について、民地や公共空間、都道などを活用する際の事務手続や整備事例、民地活用における地上機器部分の非課税の取り扱いなどを盛り込んだ手引を作成いたしました。
 今後は、区市町村が手引を活用して事業を進められるよう、今月末に説明会を開催して周知を図るとともに、毎年、この手引を使用した研修会を行うなど、技術的な支援を拡充してまいります。
 引き続き、都がリーダーシップを十分に発揮して、区市町村と連携しながら無電柱化を積極的に推進してまいります。

○小宮委員 ご答弁にありました民地に地上機器を置いた際の非課税の取り扱いなど、建設局が主税局とともに取り組んでいただいたということは評価したいと思います。
 引き続き、区市町村への支援を拡充して、電柱化を推進し、バリアフリーのまちづくりを目指していただきたいと思います。
 さて、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催は、スポーツ産業の振興にもつながります。とりわけ、パラリンピックを契機にした障害者スポーツ人口の増加が期待されています。障害者スポーツで使用される用具というのは、障害の状態や技術のレベルに合わせ、加工や微調整が不可欠です。そういったきめ細かな対応は、まさに中小企業の得意とする分野です。
 しかし、障害者スポーツの分野になじみのある中小企業というのは多くありません。この分野に参入したくても、どのような用具があるのか、どうやったら自社の技術を活用することができるのかなど、わからないことが多いと思います。
 また、用具の開発に当たっては、障害者の方はもちろんのこと、スポーツ団体や有識者など、さまざまな方と連携をして取り組んでいく必要があります。
 スポーツ産業の振興のためにも、中小企業が障害者スポーツの用具開発に参入しやすくなる環境を整備していくべきと考えます。見解を伺います。

○山本産業労働局長 二〇二〇年大会に向けて、障害者スポーツ人口の増加と、それに伴う障害者スポーツ用具の利用拡大が見込まれますことから、都は来年度、中小企業の用具開発への参入を促す取り組みを開始いたします。
 具体的には、将来の市場規模や競技者のニーズ、既存の用具の形状や素材等について調査を実施し、その結果をガイドブックとして取りまとめ、セミナー等を通じ中小企業に広く周知をしてまいります。
 さらに、中小企業と障害者スポーツ団体やアスリート、医療関係者等の有識者による研究会を開催しまして、用具開発のプロジェクトの立ち上げに向け、競技者のニーズと中小企業の技術を結びつけてまいります。
 こうした環境を整備することにより、中小企業の障害者スポーツ用具市場への参入を後押ししてまいります。

○小宮委員 さきに話したゴールボールですけれども、障害者スポーツに必要な器具といってもさまざまあるわけですね。そのスポーツにそもそも必要なものから、個人に合わせたものまでありますが、ゴールボールをやっていらっしゃる方からお伺いしたところ、現在は、カナダとドイツの二つのメーカーしか公認球をつくっていないというふうにも聞いております。ぜひ、さまざまな用具の開発に取り組んで、障害者スポーツの裾野を広げていただきたいと思います。
 さて、オリンピックでは、時差の解消や開催都市の気候になじむために、多くの国が事前キャンプを実施しています。事前キャンプは、これを受け入れる地域にとっても、各国選手団との国際交流や地域のPRを行う絶好の機会になります。
 都では、区市町村の事前キャンプ誘致を支援するため、各国オリンピック委員会などの視察受け入れに関する調整やスポーツ施設の紹介などを行っています。また、区市町村が行う事前キャンプの施設整備や誘致活動に関する補助も実施しています。
 昨年十一月には、世田谷区とアメリカ・オリンピック委員会が事前キャンプの実施に関する覚書を締結するなど、その成果も出ています。
 一方で、パラリンピックの場合、事前キャンプに要する費用負担やホテルのアクセス面等の課題もあり、事前キャンプを行う国は少数にとどまっています。
 そこで、都内へのパラリンピックの事前キャンプ誘致に向け、今後、都はどのような取り組みを進めていくのか伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 パラリンピックの事前キャンプは、オリンピック同様に、組織委員会が候補地の情報を提供することになっております。
 しかしながら、各国選手団の財政や施設のアクセシビリティーなどに課題があり、事前キャンプは、これまで実際には余り行われてきておりません。
 しかし、この取り組みは、地域にとって障害者スポーツの振興につながる大きな意義がございます。そして、その実現のためには、競技施設はもとより、宿泊施設の整備に関する情報を都内の受け入れ先及び各国へ丁寧に伝えることが重要でございます。そこで、誘致を希望する区市町村に対しましては、競技種目に応じた受け入れに関する情報を詳細に提供してまいります。
 また、ことしの夏には、各国に向け、都内のスポーツ施設等を紹介する都独自のウエブサイトを立ち上げ、きめ細かい情報を発信いたします。
 さらに、リオ大会を活用しまして、各国への個別PRを展開するなど、区市町村の誘致活動を積極的に支援してまいります。

○小宮委員 ぜひ、東京大会では、パラリンピアンにこそ、事前キャンプで最終調整を行って、最高の状態で競技に臨んでほしいというふうに思います。
 迎え入れる地域にとっても、さまざまな交流だけでなく、共生社会のまちづくりにつながると思います。この共生社会という言葉、知事も、たびたびお使いになって発信をしていらっしゃいます。昨年十一月、知事が都立永福学園に視察に訪れた際、私も同行させていただきましたが、障害の重い生徒とボッチャで競い合われました。知事も生徒も、大変集中をして真剣勝負であったというふうに思います。結果として、知事が勝たれたわけですけれども、この後、知事は、障害のある人もない人も同じステージに立って本気でやる、これが共生社会なんだというふうにおっしゃっておられました。だから、二〇二〇年大会でも、障害のある人もボランティアとして大会に参加をして活躍してもらいたい、同じように感動を分かち合ってもらいたいと。
 先月、開催された東京マラソンでは、約一万人のボランティアが参加し、選手とともに大会を盛り上げました。その中には、障害者もボランティアとして参加し、選手をサポートする姿もあったと伺っています。
 今後、二〇二〇年大会に向けて、東京マラソンでの実績も踏まえ、障害者のボランティア参加を推進していくことが重要であると考えます。知事の所見を伺います。

○舛添知事 今、小宮理事がおっしゃっていただいた都立永福学園、ご一緒に視察をしましたけれども、ボッチャの試合をやってくれと。向こうは銅メダルで、私も車椅子に乗りましてやったので、絶対負けると思ったんです。しかし、気にせず全力で当たれということで全力で当たったら、たまたま真ん中に入っちゃって勝っちゃったら、障害を持った子供たちが本当に悔しがって、次は絶対勝つぞと。やっぱりこれがいいことだったと思っていますので、全く障害者、健常者の区別なくて、こんなに同じ気持ちを抱いたというのは本当によかったというふうに思っています。
 それから、ちなみにその後、小宮理事も私も、障害者の皆さんがコーヒーを入れてくださったんですけど、大変おいしくいただいたのも覚えております。
 そういう意味でも、二〇二〇年大会は競技を楽しむだけじゃなくて、障害がある人もない人も、例えばボランティアとして参加できる、そうして自分たちの大会だと、こういうふうにしたいというふうに思っています。
 そこで、おっしゃられたように、先般、行われました東京マラソンで、ボランティアを障害者がやってくださいということでやったんですけれども、実際、お話をお伺いしましたら、最初は不安だったけど、こんなに活躍できてうれしいという言葉が返ってきました。こういう取り組みを、さらに検証しながら重ねまして、来年度は、より幅広く可能性を探るために、ロンドン大会、リオ会、もうすぐ開かれますけれども、この実例を調査したいと思います。
 それから、シンポジウムなどを通じまして、障害者がボランティアに参加する、ボランティアで頑張るんだと、そういう意義を広く発信して、都民の関心を掘り起こしてまいりたいというふうに思っております。
 東京都ボランティア活動推進協議会での議論などを通じまして、二〇二〇年大会に向けまして、障害者がボランティアに参加して、障害の種類や程度に応じて、それぞれの能力を発揮できる仕組みを構築してまいりたいと思っております。

○小宮委員 さて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会は、いうまでもなく、開催都市東京が持てる力を最大限発揮してつくり上げていかなければなりません。
 例えば、都庁各局では、東京大茶会や東京映画祭など、大規模なイベントを開催しています。開催時期や内容を調整する上で、さまざまな課題があることは承知しておりますけれども、こうしたイベントを、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会と一体的に開催することで、東京の魅力を幅広く発信する、そうした機会ともなり得ます。
 都庁各局のイベントを結集し、都庁一丸となって二〇二〇年大会を盛り上げていくべきと考えますが、見解を伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 四年後のオリンピック・パラリンピックイヤーでございます二〇二〇年の盛り上がりを最高潮のものにしていくためには、ご指摘のとおり、都庁各局が実施しておりますイベントを、効果的かつ集中的に展開することが重要でございます。
 このため、二〇二〇年大会直前や大会の期間中に、文化、スポーツ、観光、食などの各方面のイベントを相互に関連させて有機的に結集し、東京の多様な魅力とおもてなしを国内外にアピールできますよう、局横断的な協議を開始いたします。
 各イベントには、それぞれ開催条件や課題がございますが、組織委員会とも連携し、可能な限り、二〇二〇年大会との一体感が図れますよう、計画的かつ戦略的に検討を進めてまいります。
 二〇二〇年大会を史上最高の大会として盛り上げていくため、全庁一丸となり、都の総力を挙げて取り組んでまいります。

○小宮委員 また、大会の機運を醸成していくためには、都の持つ資源を積極的に活用する必要があります。
 今後、都立公園のような気軽に参加できる場で、大会を盛り上げるためのさまざまなイベントが企画され、二〇二〇年大会につながる体験や思い出ができれば、都民一人一人にとって、大会がさらに身近なものとなります。
 都立公園では、既に多くのイベントが行われていると思います。二〇二〇年東京大会に関連するイベントが新たに企画された際の、都の考え方を伺います。

○佐野建設局長 二〇二〇年東京大会の記憶と思い出が、長く、多くの方々の心に刻まれるような、この大会を盛り上げるイベントが開催されることは重要でございます。
 現在、都立公園では、アスリートによるスポーツ教室や国内外の食文化の発信など、数多くのイベントが行われており、大きなにぎわいを見せております。
 こうしたイベントで園地を使用する場合には、イベントが行われる月の十三カ月前から先着順で受け付けを行っており、申請が競合する場合には、抽せんにより使用者を決定しております。
 今後、二〇二〇年東京大会の機運を醸成するようなイベントにつきましては、都立公園を優先的に活用できるよう、園地の使用を決定するなどの取り組みを進めてまいります。

○小宮委員 都立公園は公共の空間ですから、実施するイベントは、公共性が高くて、国や地方公共団体の関与を原則とするなど、さまざまな制約があることは承知しております。
 しかし、二〇二〇年大会の機運を醸成するためには、民間の発想や企画など、これまで以上に多様なイベントを受け入れることが必要です。
 また、多くのイベントを実施するためには、公園の持てる空間を有効に活用すべきと考えます。
 都立公園の活用について、都の見解を伺います。

○佐野建設局長 多くの人が楽しめる魅力的なイベントを開催するために、公園の広い空間を活用することは効果的でございます。
 これまでも、一部の都立公園では、騒音など、周辺への影響に配慮しながら、民間企業などによるさまざまなイベントが開催できるよう、広場などの園地を提供してまいりました。
 例えば、潮風公園におきましてはテレビ番組と関連したクイズ大会が、夢の島公園では有料の音楽ライブなど、さまざまなイベントが行われました。
 二〇二〇年東京大会の機運醸成に向け、民間の自由な発想を生かしたイベントを受け入れるために、これまでイベントが行われなかった園地につきましても、一定期間、利用を可能とするなど、地域や公園利用者の理解と協力を得ながら、公園の広い空間の有効活用を図ってまいります。

○小宮委員 さて、日本を訪れる訪日外国人旅行者は、ここ数年、急激に増加をしています。都内でも、以前は見られなかった場所で、観光バスによる混雑や渋滞が発生するなど、社会問題となっています。
 観光バスの駐車場は、観光の施設側で整備することが原則であるということや、観光バスの駐車場が不足する地区については、基本的には、地元自治体が主体となって関係者と連携して駐車対策を行う必要があるということは理解しています。
 しかし、各地区は、これまでに例のない観光バスの急激な増加に対応し切れていません。都は、広域的な自治体として、地元自治体を支援する立場にあると考えます。
 今後、都は、観光バスの駐車問題についてどのように対応していくのか伺います。

○安井東京都技監 都は、国、警視庁、地元区、旅行業協会やバス協会などとともに、観光バスの路上駐車問題に対する検討を進めており、昨年十二月の会議では、浅草や銀座、新宿などの現状につきまして、情報交換を行っております。
 また、都は、路上駐車の実態調査を行っておりまして、例えば新宿では午前中、銀座では夕方に駐車が集中するなど、地区により異なる傾向が見られることがわかってございます。さらに、バスの周遊ルートや周辺の駐車場の利用状況等に基づきまして、空き駐車場への誘導の可能性などについても調査を進めております。
 次回の検討会議の場では、都のこうした調査結果を報告し、関係機関による対策に反映させてまいります。

○小宮委員 観光客の受け皿をしっかりと整備するということは、重要な課題であると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 外国人旅行客の受け入れの環境というものを充実することも必要です。
 これまで都として、外国語の案内標識を整備したり、Wi-Fiの利用環境を整えたり、観光客に応対するボランティアを育成する取り組みを行ってきました。
 今後は、さらに、観光案内の拠点の整備や、東京も足を延ばせばいろいろな地域に多様な観光の資源がありますから、地域密着型の窓口を整備することが重要です。
 来年度、都として、地域における観光案内機能の充実に向け、具体的にどのような取り組みを進めるのか伺います。

○山本産業労働局長 東京を訪れる外国人旅行者に対して、観光に関する情報を的確に提供するため、都はこれまで、観光情報センターの整備を進めるとともに、観光ボランティアの育成に取り組んでまいりました。
 来年度は、外国人旅行者の多い地域において、近県を含めた観光情報を提供する広域観光案内拠点の整備に向け、地元自治体等を対象に三千万円を上限に助成をいたします。
 また、地域のきめ細かな情報を提供する観光案内窓口を百五十カ所整備するため、民間の事業者等に対し、必要経費の三分の二について、三百万円を上限に助成するなどの支援を行ってまいります。
 さらに、今年度より開始したボランティアによる観光案内を、新たに銀座、浅草などでも実施をいたします。
 こうした取り組みにより、外国人旅行者への観光案内の体制の充実を確実に進めてまいります。

○小宮委員 観光案内所といったハード面への支援に加えて、外国人観光客への対応力を高めたり、移動や滞在、食事やショッピングなど、さまざまな場面で、快適かつ便利な環境というものを提供するためのソフトの支援も重要です。このことが、観光リピーターをふやし、消費を刺激することにつながり、観光産業を東京の主要な産業へと育てます。
 都は、観光に携わる事業者を積極的にサポートすべきと考えます。来年度の取り組みについて伺います。

○山本産業労働局長 都はこれまで、宿泊施設でのWi-Fi環境の整備が進むように支援し、また、飲食店向けには、外国語でのメニューの作成をサポートする仕組みづくりなどを行ってまいりました。
 来年度は、新たに、外国人旅行者の対応に取り組む宿泊や飲食のほか、小売の事業者向けに、接客ノウハウ等を提供するセミナーを、延べ一千人を対象に実施いたします。また、専門家によるアドバイスを、延べ二百回の規模で行ってまいります。加えて、コールセンターサービスを活用し、免税店での手続や商品の配送を行う際のサポートを行うとともに、施設内の表示等の多言語化も支援いたします。
 さらに、買い物をする外国人旅行者の利便性を高めるため、観光タクシーで商業施設等をめぐるモニターツアーを十のコースで実施し、ルート開発に結びつけてまいります。
 これらにより事業者の対応力を高め、観光消費の拡大につなげてまいります。

○小宮委員 観光しながら、手ぶらでタクシーに乗って、お買い物もできるというのは大変興味深いことでもあると思いますので、期待したいと思います。
 さて、今後、海外の旅行者にとっては、海の入り口ともなる臨海部は、二〇二〇年東京大会の主要な舞台ともなる重要な地域です。
 東京臨海部は、絶えず発展と進化を遂げてきました。昭和十六年の開港以来、七十五周年を迎える東京港は、東日本の物流を支えるほか、居住地として、ビジネス拠点として、また、観光地の顔もあわせ持っています。
 今後、国際会議や大規模展示会などの開催地、MICE、国際観光拠点としてさらに発展していくためには、公共交通や舟運、船によるアクセスの強化が重要です。
 ごみの埋立地を海の森へと変えたように、最先端の技術と自然環境を調和させた環境先進都市東京のモデルとなる、そうしたまちづくりを進めていくべきと考えます。
 臨海部の今後のまちづくりについて、所見を伺います。

○武市港湾局長 東京の臨海部は、これまで以上に、活力と潤いにあふれるまちへと発展していく大きな可能性を有しております。
 この力を最大限に発現していくために、舟運などの交通機能、スポーツや文化の発信機能、五十年ぶりに復活した海水浴を初めとする自然を楽しむ場の提供など、将来を見据えたさまざまな機能を充実させ、臨海部を環境面でも先進性を有する、東京を代表する魅力あるエリアとしてまいります。
 そこで、臨海エリアの将来像につきまして、現在検討中の都市づくりのグランドデザインなどを通じて、これまでの既成概念にとらわれることのない新しい姿を示してまいります。

○小宮委員 臨海エリアの将来像について、これまでの既成概念にとらわれることなく、新たな姿を示していくとの答弁をいただきました。発展を続ける東京の中で、臨海部の役割を見直していく、そうした必要もあると考えます。
 例えば、かつて日の出、竹芝ふ頭の役割は、物流の拠点でした。しかし、物流機能が沖合へ拡張し、鉄道網が充実、さらに再開発事業が進んだ結果、人々が集まる交流拠点として新たな発展を遂げています。
 また、二〇二〇年東京大会を契機に、大きく変貌する晴海ふ頭や国内外から多くの人々が訪れるであろう豊洲市場、臨海副都心にもすぐアクセスできる、そうした立地にあります。
 こうした状況を踏まえて、日の出、竹芝ふ頭を、舟運機能が充実し、人々が集い、にぎわう、そうした拠点として整備していくべきと考えますが、見解を伺います。

○武市港湾局長 日の出、竹芝ふ頭は、鉄道網からのアクセスなど、立地条件がよいことに加え、周辺の再開発の進展により、さらなるにぎわいの創出が期待されるなど、舟運の拠点としてのポテンシャルが極めて高く、これを最大限に発揮させることが必要であります。
 まずは、既存の水上バス用の桟橋に加え、より小型の船が着岸可能な桟橋を新たに整備するとともに、ダイナミックな港の景観を楽しみながら飲食できる施設を設けるなど、待合施設の機能強化を迅速に進めてまいります。
 その上で、日の出、竹芝ふ頭を、水上バスやクルーズ船などの多様な航路が結節し、多くの人々が集い、にぎわう舟運のグランドターミナルとしていきたいと考えております。

○小宮委員 さて、間近で水辺に臨むことができる舟運、船による交通や輸送、観光というのは、東京の水辺の魅力を引き出すものです。東京を訪れる国内外の方々に、その魅力を感じていただくため、活性化が不可欠といえます。
 知事は、来年度、舟運の社会実験に取り組むことを明らかにしていますが、今後、具体的にどのように取り組むのか伺います。

○安井東京都技監 舟運の活性化に関する来年度の社会実験では、羽田からお台場及び両国を経由して浅草に至るルートなど、複数の航路で運航を行い、その重要性などを調査してまいります。
 これにあわせまして、例えば浅草二天門などの船着き場周辺におきまして、駅などへの案内サインを拡充するとともに、オープンカフェの設置やライトアップ等を行うことにより、にぎわいのある空間を創出してまいります。
 民間のノウハウを十分に活用しつつ、地元区や舟運事業者と連携した社会実験を行うことによりまして、舟運の利便性や魅力の向上を図り、定期航路の運航につなげてまいります。

○小宮委員 また、一昨年来、都が取り組みを進めているBRT、バス・ラピッド・トランジット、これは専用の道路やレーンを走行するバスによる高速輸送システムですけれども、このBRTは、選手村や臨海副都心といった地域と都心とを結ぶ重要な交通手段となります。さらに、将来の東京のまちを支えるインフラともなります。
 都は、昨年九月にBRT事業者を選定しています。運行開始に向けて、どのように取り組むのか伺います。

○安井東京都技監 都は、昨年よりBRTの運行事業者と事業化に向けた検討を重ね、具体的な内容を詰めてまいりました。
 運行ルートにつきましては、虎ノ門から環状二号線を経由して有明に至るなどの四つの路線といたしまして、まず、二〇一九年に都心と勝どきや晴海とを約十分で結ぶ路線区間から運行を始めます。
 また、停留施設は、車椅子の方が介助なしで利用できるようにするとともに、車両には、自動運転や水素燃料電池など、最先端の安全、環境技術を取り入れます。
 さらに、停留施設や車両など、BRTのデザインに統一感を持たせまして、次世代の都市交通システムにふさわしい交通機関として整備してまいります。
 近く事業計画を公表いたしまして、来年度から、停留施設などの具体的な設計に着手し、二〇一九年の運行開始を確実なものとしてまいります。

○小宮委員 日本を訪れる外国人旅行者の目的の一つに、神社仏閣などの歴史的、伝統的な景観を味わうことがあります。多くの外国人旅行者が京都を訪れる理由というのは、京都の清水寺や金閣寺がミシュラン・グリーンガイドなど、外国人旅行者がよく見る観光ガイドブックで高い評価を得ていることが挙げられます。
 東京にも、歴史や文化の面で、価値の高い多くの都立の文化財庭園があります。中でも、浜離宮恩賜庭園と小石川後楽園の二つは、金閣寺などと同じく、全国の庭園でも六つしかない国の特別名勝と特別史跡に重複して指定された名園です。
 これらの価値と魅力を都から発信し、また、庭園を訪れた外国人旅行者には、その価値をわかりやすくアピールすべきと考えますが、見解を伺います。

○佐野建設局長 外国人旅行者に、都立庭園のすばらしさをわかりやすくアピールするためには、庭園の魅力を高めるとともに、おもてなしの心で丁寧に対応することが重要でございます。
 これまで都立庭園では、茶屋を初めとする建築物の復元や石組みの修復などにより、往時の姿を再現してまいりました。
 また、庭園の歴史や文化を外国人の来園者にわかりやすく伝えるため、多言語のウエブサイトの開設やパンフレットの作成、英語で解説する庭園ガイドを行ってまいりました。
 さらに、平成二十八年度は、浜離宮恩賜庭園の見どころを多言語の音声と映像により解説するとともに、感動をその場でSNSにより発信することもできるスマートフォン用アプリの提供を開始いたします。
 今後とも、世界中のより多くの方々が、ぜひ都立庭園を訪れてみたいと思うような取り組みを進めてまいります。

○小宮委員 東京の持つこうしたすばらしい庭園の魅力というものを、もっと多くの人に知ってもらうことが、東京の世界における存在感を高めます。庭園は、日本の伝統美、美意識の一つの結晶であり、東京というまちの機能性だけではない奥深さを表現しています。こうした庭園の情報を効果的かつ戦略的に発信していくべきです。
 二〇二〇年東京大会に向けて、知事と議長の主催により、都立庭園で東京ならではのおもてなしの会を開催してはいかがでしょうか。各国大使、公使を初め道府県知事、議長、スポーツ選手や名誉都民なども招いて、庭園の魅力を堪能してもらうということで、二〇二〇年東京大会への機運も一層高まると思います。
 さらに、東京の伝統文化や伝統工芸に加え、日本各地の物産なども紹介すれば、地方創生の一助ともなり得ます。知事の見解を伺います。

○舛添知事 今ご指摘のように、東京の庭園は、江戸の伝統が息づく、極めて魅力的な空間であります。東京という歴史ある都市に欠かせない彩りが、海外で余り認知されていないのは、大きな損失であります。
 昨年、都議会の皆様とケンブリッジ公爵殿下、ウィリアム王子様ですけれども、お迎えして、日本庭園の散策や伝統的な茶の湯を体験いただき、大変喜んでいただきました。このような各国の影響力ある方々に、みずからの体験を帰国されてからも伝えてもらうことは、東京にとって強力なアピールになります。その後も、各国のVIP、王室の皆さん方が、ぜひ自分も船に乗りたいというようなことをおっしゃってきて、ご案内をさせていただいております。(「庭園の話だよ」と呼ぶ者あり)二〇二〇年--船に乗って、その後、行ったのが浜離宮庭園でございます。そういうことも含めてでございます。
 二〇二〇年大会を成功させるには、日本全国はもとより、世界中の協力が不可欠であります。各国の大使、公使と全国自治体の方々、各界で活躍されている方々などが楽しい時間を共有すれば、東京、さらには日本の多様な魅力も伝えられると考えております。
 ご提案のように、知事と議会が一緒になりまして、東京のすぐれた庭園を舞台に、東京を挙げたおもてなしの姿を国内や世界に披露する会を開催することは、大会に向けて、日本から世界に明るいメッセージを発信することになり、大変有意義であると考えております。
 今後、開催に向けまして、都議会の皆様とともに十分検討してまいりたいと思っております。

○小宮委員 伝統文化を守り、育てるとともに、東京を世界一の環境先進都市としていく、これも私たちの大きな責任です。
 先月発表された環境審議会の答申では、そのために必要なさまざまな取り組みが提言されています。温室効果ガスの削減、水素社会の実現や再生可能エネルギーの普及拡大、さらに、生物多様性に配慮した緑化の推進、騒音問題の解決や暑熱環境の改善などです。
 そして、審議会では、具体的な数値目標に加え、目に見えない取り組みへの目標の設定というものが提言をされています。
 都は、この答申に基づき、新たな環境基本計画を策定し、具体的な施策を展開していくことになります。東京が世界一の環境先進都市となるためには、多くの都民や事業者に理解を得て、参加してもらうということが重要です。
 そのためには、都民の日常生活にかかわるさまざまな環境課題というものを、可能な限り見える化していかなければなりません。
 単に目標を掲げるだけでなく、目標の達成度合いを把握し、施策の効果を検証すること、それを次の施策につなげること、そして、それらを公表し、都民や事業者に対する説明責任というものを果たしていくことが不可欠と考えます。都の見解を伺います。

○遠藤環境局長 環境政策を進めていく上で、個々の施策の到達状況を把握し、公表していくことは重要でございます。
 今後、新たな環境基本計画において掲げる目標ごとに、その状況を毎年度把握し、ホームページや環境白書等を通じて、都民、事業者に対してわかりやすく公表してまいります。
 具体的には、温室効果ガスの削減量や再生可能エネルギーの導入割合など、数値化された目標はもとより、ご指摘をいただきました騒音問題や暑熱環境の改善など、数値ではあらわしにくい目標についても、可能な限り関連する指標などを用いて進捗状況を明らかにしてまいります。
 これらの取り組みにより得られた都民、事業者からの意見や、目標の達成度などを踏まえ、さまざまな角度から検証し、環境政策のPDCAサイクルを構築してまいります。

○小宮委員 都市における環境の守り手として、近年、都市農業が注目されています。食の安全や地産地消の取り組み、防災空間の確保、環境の保全など、都市農地の持つ多面的な機能が改めて評価されています。都市の農地というのは、開発をして宅地化すべきものから、守るべきものへと大転換を遂げました。今後、法制上や税制上の措置を講ずるなど、政府による基本計画の策定が待たれています。
 そうした中で、都としては、都市農地の担い手確保や経営支援はもちろん、ブランド化やハード整備などを支援していくという取り組みが示されております。
 私は、基本法の基本理念にある国民の理解のもとに施策が推進されるべきという点が重要であると考えています。
 都市で農業を営む人は、都民のわずか〇・〇八%です。一千三百万都民に対して一万人です。今後、都として東京の農地を守っていくためには、広く都民全体の理解が欠かせないと思います。
 私の住む杉並区でも、都市農業を営む若手経営者らが、都市農業への理解を深めるために、体験農園に親しめるような環境を整備したり、青少年育成委員会と連携して子供たちに収穫を体験させるなど、さまざまな努力をしています。
 都として、都民が都市農地に親しむこうした機会をしっかりと支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都民が農業に接する機会として、農業者が、実際に農作業体験を行う場を提供することは、生産者を身近に感じ、地域で生産されている新鮮な農産物や、農地が持つさまざまな機能を知ることにつながり、都民の都市農業への理解促進に役立っております。
 そのため、都ではこれまで、農業体験農園や防災機能を備えた市民農園のほか、都民が収穫物の加工を体験できる施設などの整備を支援してまいりました。加えて、来年度は、防災協力農地を活用した避難訓練などへの支援を行うとともに、ウエブサイトを活用して、農業の魅力や体験ができる場の情報発信などに取り組んでまいります。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、都民に身近で親しまれる都市農業の実現を目指してまいります。

○小宮委員 都市の農地をともに守っていこうという都民理解が進むよう、都としてすべき支援をしっかりと行っていただきたいと思います。
 昨年の防災の日を皮切りに、防災ブック「東京防災」が都内全世帯に配布されたことは大きな反響を呼びました。東日本大震災から五年、改めて防災対策を考えるきっかけになったと思います。
 今後は、せっかく配布したこの防災ブックが、家庭に眠ることのないように活用され、都民の自助、共助の意識を高める一助となり、都民や地域の防災力向上に寄与することが大切です。防災ブックを活用した新たな取り組みを伺います。

○中西総務局長 「東京防災」は、災害に対する事前の備えや発災時の行動などを示したものであり、多くの都民が内容を理解し、実践していただくことが重要でございます。
 このため、これまでに実施してまいりましたさまざまな普及啓発に加え、来年度からは、防災の専門家を自治会等に派遣し、「東京防災」を基本テキストとして、それぞれの地域における課題を考える東京防災学習セミナーを実施いたします。
 また、災害時を含め、外出先において通信環境を問わず、「東京防災」の必要な情報を得ることができる電子書籍の提供についても準備を進めてまいります。
 今後も引き続き、「東京防災」の活用を積極的に促進し、都民の防災意識の向上を図ることにより、東京の災害対応力をさらに高めてまいります。

○小宮委員 さて、防災ブックにも掲載されていますが、災害時における都民の大きな要望は、親しい人の安否確認です。三・一一以降、民間の通信社から、さまざまな安否確認サービスが提供されています。しかし、こうしたサービスを知っている人や使用した経験のある人は、決して多くはありません。
 災害時の安否確認を徹底すること、特に保育園や幼稚園、学校など、既に独自の連絡体制を整えたというところもあるでしょうけれども、災害時を見越せば、より複層的に安否確認が行えるよう備えておくべきと考えます。児童生徒の安否情報を可能な限り迅速に発信し、家族を安心させることが重要です。
 そこで、災害時の安否確認の推進に向けた都の取り組みについて伺います。

○中西総務局長 首都直下地震など災害発生時には、家族間、特に子供たちの安否確認を適切に行い、安心できる状況を整えた上で、安全な場所にとどまっていただくことが重要でございます。
 そのため、都では、各通信事業者の取り組む各種安否確認サービスについて、「東京防災」でのPRを初め、イベント等の場で普及啓発に努めてまいりました。
 例えば、NTTとNHKが共同開発いたしましたJ-anpiは、各社の災害用伝言板や避難所等が提供いたします安否情報を、携帯電話等により簡易に一括で確認できる仕組みであり、都は、その普及拡大に期待しております。
 今後は、こういった各種安否確認サービスやSNS等を最大限有効に活用するなど、保護者が通学した子供たちの安全を容易に確認できる仕組みづくりに向け、関係局とともに検討を進め、早期の具体化を目指してまいります。

○小宮委員 三・一一以降、東京都は、災害に強いまちづくりを進めています。しかし、いつ来るかわからない、今起こるかもしれないという災害に対して、公助には限界もあります。
 だからこそ、防災には、日ごろから、自分でできる備えは自分でやる、隣近所が協力して、いざというとき、自分たちと自分たちの住んでいる地域を守るといった自助や共助とのバランスが欠かせません。
 そこで、知事から、自助、共助の重要性と都の今後の取り組みについて伺います。

○舛添知事 阪神・淡路大震災におきまして、生き埋めや閉じ込めに遭いながら助かった人のうち、自力で脱出したり、近隣住民等によって救出された人の割合は、九〇%を超えているということであります。
 また、東日本大震災において、岩手県釜石市では、日ごろの防災教育が徹底していたことから、発災時に中学生が小学生を的確に誘導するなど、児童生徒のほぼ一〇〇%が無事に避難することができたそうであります。
 これらの事例が示しますとおり、自助、共助は、災害時に命を守る上で不可欠なものでありまして、その重要性については強く認識をしております。
 そのため、私は知事就任以降、住民参加型の訓練を、それまで九月一日一回でしたけど、年四回実施するとともに、「東京防災」を都内全世帯に配布して、学校等においても活用を図るなど、さまざまな施策により、都民、事業者などによる自助、共助の推進に取り組んでおります。
 今後も、都民一人一人の意識と、家族、地域の防災力を高めることで、世界一安全・安心な都市東京の実現につなげていきたいと思っております。

○小宮委員 ライフラインの維持向上というのは、いざというときだけではなく、都民の安全・安心の基本となるもとです。高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラは、一斉に老朽化し、耐用期限を迎えます。
 重要なライフラインの一つである水道についていえば、全国に約千四百ある水道事業体のうち、二百以上の事業体で漏水率が二〇%を超えているとの報道がありました。これらの事業体の多くは、技術者の不足などにより、こうした課題への対応が困難とのことです。
 一方、東京では、漏水率三%という極めて低い数字を達成しています。また、長い年月をかけて築き上げてきた、すぐれた漏水防止技術を活用して、途上国の水道事業の改善にも貢献しています。
 今後は、海外のみならず、さきに述べた国内水道事業体の抱える課題に対して、協力、貢献していくべきと考えますが、所見を伺います。

○醍醐水道局長 我が国の水道事業は、市町村経営が原則であるため、小規模事業体が多く、お話のように、技術者不足等によりまして漏水率の改善が進んでいないことから、東京水道の持つ技術力を活用した国内水道事業体への協力は重要であるというふうに認識をしています。
 水道局ではこれまで、日本水道協会が国内事業体向けに開催する漏水防止講座等に、当局の施設を実技フィールドとして提供してまいりましたが、今後は、これに加えまして、当局がみずから漏水防止研修を開催し、他事業体の職員を受け入れるとともに、講師の派遣なども実施をしてまいります。
 さらには、漏水防止への協力にとどまらず、東京水道が培った水源から蛇口までの総合的な技術力やノウハウを活用し、事業体からの要請に応じまして、幅広い分野で国内水道事業体の運営に貢献をしてまいります。

○小宮委員 社会インフラの整備について、次は、ハード面から伺います。
 都内には、いまだ千カ所を超える踏切が存在し、このうち、ピーク時の遮断時間が四十分以上の、いわゆるあかずの踏切は二百カ所以上あります。これらの踏切は、交通渋滞や踏切事故の原因ともなっています。こうした問題を解決するには、複数の踏切を同時に除却する連続立体交差事業が必要不可欠です。
 さきの本会議の我が党の代表質問に対し、都は、京浜急行本線の品川駅から北品川駅付近、また、西武新宿線の野方駅から井荻駅間及び井荻駅から東伏見駅間を、社会資本総合整備計画に位置づけると表明しております。
 これまでも、この区間というのは、事業化の可能性について検討するという答弁をいただいてまいりました。都としても、大変重要な重点区間だったわけですけれども、これまでの方法とどう違うのか。そこでまず、この社会資本総合整備計画とはどのような制度か伺います。

○佐野建設局長 社会資本総合整備計画は、地方公共団体が、国の交付金を得て事業を実施する場合に作成するもので、平成二十二年度に始まった新たな国の補助制度により導入されたものでございます。これにより、地方公共団体が、みずからの判断で国庫補助事業を実施することが可能となりました。
 新規の連続立体交差事業といたしましては、平成二十五年に、JR埼京線十条駅付近を、初めてこの計画に位置づけ、現在、都市計画手続を進めているところでございます。
 これに続く区間といたしまして、今回、京浜急行本線の品川駅から北品川駅付近、西武新宿線の野方駅から井荻駅間、井荻駅から東伏見駅間の三区間に取り組むこととしたものでございます。

○小宮委員 東京都がみずからの判断で事業を実施するとしたことは、大変大きな一歩であると評価します。地元からの期待も高まっています。
 品川駅周辺では、国際交流拠点を目指したまちづくりが進められており、京浜急行本線の連立事業は、そうした開発に合わせ、着実に進めるべきです。
 一方、西武新宿線の二区間は、中野区、杉並区、練馬区、西東京市の四区市にまたがっています。各区市の沿線まちづくりの課題や進捗状況というのは、それぞれ異なると思いますが、沿線地域では、駅周辺のまちづくりに意欲的に取り組むなど、鉄道の立体化を待ち望んでいます。
 そこで、西武新宿線の二区間の今後の取り組みについて伺います。

○佐野建設局長 西武新宿線のこれら二区間は、都市計画道路と八カ所で交差するなど、鉄道立体化により大きな効果を得られる区間でございます。
 外環ノ2や補助第一三三号線などの関連する都市計画道路の整備計画が具体化するとともに、杉並区で西武新宿線沿線のまちづくり方針が策定されたことなどから、これらの区間を社会資本総合整備計画に位置づけ、新規に着工を準備する区間として、国や沿線区市との協議を開始することといたしました。
 連続立体交差事業の効果を高めるためには、本事業と並行し、地元区市が、駅前広場や関連する街路など、まちづくりに着実に取り組むことが重要でございます。
 今後、構造形式や施工方法の検討を進めるとともに、地元区市や鉄道事業者と連携を図りながら、事業化に向け取り組んでまいります。

○小宮委員 こうした社会資本の充実強化の重要性は論を待ちません。これに加えて、今後、東京が、さらなる進化、発展を遂げるために、何より重要なのは人です。その大きなポイントとなるのが女性です。
 先日、東京都は、女性活躍推進白書を発表しました。女性が希望するとおりに生き生きとした生活を送り、社会のあらゆる場で活躍することは、首都東京の発展にもつながります。白書の中では、子育てや家事などと仕事を両立し、キャリアアップができる職場環境を望む声が掲載されていました。
 都は、白書の策定によって、東京ならではの課題を整理し、解決の方向性を示しています。働く場における女性のキャリア形成に向けた今後の取り組みについて、どのような支援をしていくのか所見を伺います。

○多羅尾生活文化局長 女性が主体的にキャリアを形成するためには、本人の意識とともに、経営者や管理職が、女性の活躍は企業の成長の原動力であると捉えることが重要でございます。
 白書では意識調査を行いましたが、上司が個々人の状況等も踏まえた上で、成長を期待して高目の目標を設定し、指導することにより、女性の仕事への意欲が高まるという結果が出ており、キャリア形成に資すると考えられます。
 そのため、都は、経済団体と連携し、経営者、管理職向けのシンポジウムや白書の説明会を開催して理解を促すほか、白書を都内全大学百七十六校に配布いたします。
 あわせて、働く女性のネットワークづくりを支援する事業について、新たに管理監督層向けのコースを設定するなど多様化を図り、キャリア形成支援の充実に取り組んでまいります。

○小宮委員 女性が、みずからの希望に応じて職場で活躍し、キャリアを積んでいける、そうした環境を支援することは重要です。特に、都内企業の九九%を占める中小企業において、女性が働きやすい環境を整備することを、都は積極的に支援すべきです。
 我が党はかねてより、女性が活躍できる環境整備への支援をハード、ソフト両面から充実すべきと提言し、議会でもたびたび取り上げてまいりました。都は、これに応えて、今年度から女性用のトイレや更衣室など、ハード面の整備を支援すること、また、各企業において、女性の活躍を進める人材を養成する研修を実施することなど、さまざまな事業を展開しております。
 これに対して、企業の責任者からは、現場の実態を踏まえ、より使い勝手のいい、そうした事業にしてほしいという多くの声が届いています。支援の一層の充実を求めるところですが、来年度の取り組みについて伺います。

○山本産業労働局長 来年度、都は、中小企業における女性の活躍を推進するため、ハード、ソフト両面からの支援の充実を図ってまいります。
 具体的には、職場環境整備に係る助成金の対象に、工事現場等の女性用仮設トイレや子連れ出勤に対応するベビールームを追加し、補助率を二分の一から三分の二、補助上限も百万円から五百万円へと大幅に引き上げてまいります。
 また、人事担当など、社内で女性活躍を進めるキーパーソンへの研修機会を拡充し、短期間で集中的に学べるコースも設定して受講しやすくするとともに、推進責任者の設置を促す奨励金も五百社に拡大をいたします。さらに、こうした企業が女性の活躍推進の行動計画を策定、公表した上で、社内に浸透を図るための説明会等を行った場合には、奨励金に三十万円を加算することで、実情に応じた具体的な取り組みを促してまいります。

○小宮委員 近年の景気回復に伴い、人材の獲得競争が激化し、人材不足に陥る企業がふえています。しかし、人材の育成、確保に関しては、業界ごとにその状況は大きく異なります。だからこそ、個別の状況を踏まえた支援が重要です。
 都は、我が党の要望に応え、国からの基金を活用して支援を行ってきました。この事業を活用して、例えば、介護業界では、処遇改善を掲げて、コンサルティングや研修を行い、従業員の定着率向上を図っています。また、建設業界では、若手に対する資格取得支援事業というものを行っています。このように、業界の課題に応じた取り組みが重要なのです。
 中小企業にとって、人材は企業の命運を握る鍵です。この国の基金事業は三月で終了しますけれども、都は、今後も中小企業の人材確保を強力に支援する必要があると思います。国の制度にかわる都独自の支援策を構築すべきと考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は、来年度新たに、業界の状況に精通する事業者団体を通じ、業界別面接会の実施や専門資格の取得促進など、採用から育成、定着、雇用環境整備までを幅広く支援する独自の事業を開始いたします。
 具体的には、事業者団体から、業界ニーズを踏まえた人材確保に関する企画提案を募り、大きな効果が見込まれる提案を行った十団体程度に対して、一団体一億円を上限に、当該事業を委託して実施をいたします。
 業種や業態特有の課題に即したきめ細かな支援を行うことで、中小企業の人材確保を効果的に推進し、都内経済の持続的な発展を人材面から後押ししてまいります。

○小宮委員 ぜひ業界団体の実情をよく聞いていただいて、効果的な事業が行われるように取り組んでいただきたいと思います。
 さて、全国のたくみのわざの魅力を発信する新たなイベント、ものづくり・匠の技展を八月に東京国際フォーラムで開催すると聞いています。一口にたくみのわざといっても、和服や家具といった身近にあるものから、下町ボブスレーに代表されるような、日本のものづくり産業を支える町工場のすぐれた技術まで、その種類は極めて多岐にわたります。
 イベントでは、こうした多くのたくみのわざを、海外の方でもわかりやすく楽しみながら、その魅力を感じられるよう、実演や体験などができるよう工夫すべきと考えますが、所見を伺います。

○山本産業労働局長 ことしの八月十日から三日間開催するものづくり・匠の技の祭典二〇一六では、伝統と革新をテーマとして、日本文化を支えるたくみのわざと中小企業のすぐれたものづくりの技術を、東京を訪れる外国人も含め、幅広い世代にわかりやすく紹介をいたします。
 例えば、和服の仕立てや着つけ、家づくりや左官といった職人わざの実演など、東京のみならず全国から集めたすぐれたわざを間近に見るとともに、日本料理の奥深さを堪能するなど、衣食住の分野ごとに職人わざの世界を体感してもらえるように趣向を凝らしたいと考えております。
 今後、都と関係団体による実行委員会において検討を重ね、誰もが楽しめる充実した内容とし、ものづくりとたくみのわざの魅力を国内外に広く発信してまいります。

○小宮委員 都では、動物愛護の拠点である動物愛護センターを中心に、保護した動物の譲渡に取り組み、致死処分数も年々減少しています。これをゼロに近づけるためには、より一層の譲渡拡大が必要です。
 また、昨今のペットブームを反映し、都内の動物取扱事業者数は増加傾向にあります。その一方で、適切とはいえない飼養環境のもとで運営している事例も見受けられることから、監視指導を充実強化すべきと考えます。
 こうした課題に対応し、動物愛護施策を総合的に推進していくためには、現在のセンターのあり方を見直し、これまでよりも進んだ施策展開ができるようにする必要があると考えます。所見を伺います。

○梶原福祉保健局長 動物愛護相談センターは、動物愛護管理法等に基づき、動物の適正飼養の普及啓発、保護した動物の譲渡、動物取扱業の監視指導、動物由来感染症対策、災害時の動物救護などを行っておりまして、都における動物愛護や危機管理の拠点としての役割を担っております。
 お話のとおり、今後、致死処分数のさらなる減少や、事業者等による動物の適正な取り扱いを推進していくためには、保護した動物を譲渡するまでの飼養環境の向上や、事業者の増加等に対応した監視指導の充実など、センターの機能を強化していくことが必要でございます。
 そのため、来年度から、国や他県の取り組みも踏まえながら、これからの動物愛護相談センターに求められる機能やそのあり方について、さまざまな観点から調査検討を開始する予定でございます。

○小宮委員 この四月から、健康保険法の改正により、特定機能病院や五百床以上の地域医療支援病院について、紹介状がなく受診した場合に五千円以上の自己負担を義務づける、そうした制度が始まります。
 都立病院では、多摩総合医療センターがその対象となっています。そのための条例改正を予定していますが、趣旨や内容とともに、第一回定例会で条例化する考え方について伺います。

○真田病院経営本部長 本制度は、国の法令改正により、医療連携の推進などの目的で対応が義務化されたものであり、多摩総合医療センターのみが対象となります。徴収する金額は、国が定めた金額の最低額を自己負担としてお願いしたいと考えております。
 施行日は、四月一日が原則でありますが、自治体が運営する病院については、六カ月の経過措置が設けられております。そこで、その措置を最大限に活用し、都民に対する周知の徹底を図りたいと考えております。
 既に、所管の厚生委員会に報告という形で質疑がなされたところであり、本日の議論も踏まえた上で、条例案を本定例会の最終日に提案したいと考えております。

○小宮委員 今回の制度の目的が、医療機関の機能分担、連携の推進ということであるならば、患者自身にそうした意識を持っていただくとともに、医療機関側でも、その仕組みが円滑に機能するよう努力していかなければなりません。
 特に多摩地域は、さまざまな医療機関が集積している区部とは異なり、医療資源が限られており、地域医療支援病院である多摩総合医療センターでは、これまで以上にかかりつけ医や地域の病院との連携を充実させていかなければなりません。
 そこで、条例制定に当たっては、多摩総合医療センターで、さらなる医療連携の取り組みが必要であると考えます。具体的な取り組みを伺います。

○真田病院経営本部長 地域医療機関との連携強化には、患者の紹介時や転退院時における支援を充実することが重要でございます。
 このため、連携医療機関からの初診予約枠を拡大し、かかりつけ医からの紹介患者を円滑に受け入れるようにいたします。
 そのことで、身近な医療機関と専門病院の双方に主治医がいるような、安心の医療連携体制の構築を進めてまいります。
 また、多摩総合医療センターにおける専門的な治療が終了したものの、引き続き地域の病院で治療が必要な場合には、転院の利便性と安全性を確保するため、同センターが契約する民間救急車を活用し、転院先まで搬送する体制をこの四月から新たに実施いたします。
 こうした取り組みに加え、多摩地域の公社病院との強固な連携体制を構築することはもとより、地域医療機関との緊密な連携体制づくりにも積極的に取り組んでまいります。

○小宮委員 業務委託における品質の確保について伺います。
 都民に質の高い行政サービスを提供するには、施設や設備の管理など、都がさまざまな分野で行っている業務委託の品質を確保し、向上させる必要があります。
 しかし、価格を重視する通常の入札方式では、低価格入札により、その年度の品質が低下すること、そして、中長期的に低価格のみを前提とした競争が続くことにより、品質の低下が継続するという二つのリスクを抱えています。
 こうしたリスクを低減させるため、都は、我が党が求めてきた入札契約制度の改革の成果として、総合評価方式や複数年契約の導入などの取り組みを既に進めており、このことは大いに評価できます。
 一方で、都が発注者として短期的に、また中長期的に、業務委託の品質を確保し、向上を図っていくためには、業務マネジメントの取り組みが不可欠です。業務委託に際しては、品質の低下を防ぐという観点から、所管する部署が実施している成績評定というものを活用して、年間を通じて履行確認を行うなどの取り組みを進めるべきと考えます。所見を伺います。

○長谷川財務局長 業務委託の品質を確保するためには、入札制度による取り組みに加えまして、お話のとおり、日常の履行状況の適切な管理が重要でございます。
 現行の成績評定制度は、全業務共通の評定項目によって、業務委託の履行結果を所管部署が評定しているものでございますが、業務マネジメントの観点からは、施設管理や清掃、給食など、さまざまな業務に応じた評定も必要であり、現在、こうした考えに沿った見直しを進めております。
 具体的には、品質確保に必須となる着眼点に基づき、評定項目の内容を詳細に定めるとともに、個々の業務特性に応じ、現場で工夫して独自の項目を設定できるようにすることで結果の評定だけではなく、日常の業務点検による品質管理にも生かせるようにしてまいります。
 これにより、履行中の問題の早期発見と解決を図り、業務委託の品質の確保につなげてまいります。

○小宮委員 成績評定の項目の見直しにより、履行中の品質の確保を進めようという取り組みは理解しました。
 しかし、業務マネジメントに当たっては、PDCAのサイクルが重要です。評定項目の見直しは、PDCAのドゥー、実行に当たります。次のステップは、チェック、評価です。そして、その結果をアクション、改善につなげる。そして、次の計画、プランに生かすことができて初めて業務マネジメントがサイクルになります。
 先ほどの成績評定制度の改善というものを、次年度以降の契約にも生かすなど、行政サービスの品質向上のサイクルをつくる、そうした取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。

○長谷川財務局長 今回の成績評定制度の見直しにおきましては、受託者から提案された工夫やノウハウなどを評価する項目も新たに加えまして、中長期的な品質の向上につながる有為な取り組みにつきましては、次年度以降の仕様書の改善や予定価格の設定に反映できるようにしてまいります。
 また、業務ごとの独自項目の設定に当たりましては、所管の部署と契約の部署が協議をして、組織的に検討する仕組みとしてまいります。これによって、各局において、当該業務に特有の課題や求める品質の水準などを把握し、次年度以降の契約に生かすことが可能となるとともに、総合評価方式を導入する契機にもなり得るものと考えております。
 今後とも、これら成績評定制度の改善などを通じ、発注者として、業務委託における継続的な品質の確保、向上に取り組んでまいります。

○小宮委員 業務委託の履行中の改善、そして中長期的な品質の確保に係る都の新たな取り組みが明らかになりました。我が党が代表質問から続けてきた契約制度改革の成果の活用と定着に向けて、都が発注者としての責任を果たすべく、今後も、しっかりと取り組んでいただくことを期待いたします。
 これまで質疑をしてきたさまざまな事業というのは、全て東京の活力を高め、日本全体の発展につながるものです。こうした事業一つ一つを、都の総力を挙げて着実に実行していかなければなりません。
 そこで、平成二十八年度予算に掲げられた施策を、より迅速かつ効果的に前進させるために、具体的にどのような考えで取り組むのか伺います。

○長谷川財務局長 東京を世界一の都市へと飛躍させるためには、この予算に掲げた施策を着実に実施し、事業効果を最大限発揮させることが重要でございます。
 そのため、予算の執行に当たりましては、都民生活を取り巻く課題を踏まえ、時期を逸することなく取り組むとともに、関係部局間の連携を一層強化しながら、創意工夫を凝らし、事業の実効性や効率性を高めることが必要と考えております。
 加えて、二〇二〇年大会に向けた施設整備や災害に強い都市づくりなどのインフラ整備に関しては、品質の確保の観点にも配慮しつつ、迅速な事業着手と計画的な事業執行に努めなければなりません。
 こうした点を庁内に徹底し、二十八年度予算の施策が都民に十分な成果をもたらし、東京の発展の礎を築けるよう、全庁一丸となって全力で取り組んでまいります。

○小宮委員 東京には、保育や介護などといった短期的、集中的な検討を要する課題、また、二〇二〇年大会を成功させるという中期的な課題、さらには、息の長い取り組みが必要な、災害に強いまちづくりなど、さまざまな課題があり、一つとして手を抜けるものはありません。
 しかし、行政サービスにも、予算にも限りがあります。だからこそ、できるだけ無駄を省く選択と集中、これに、今ご答弁にもあった連携が大切です。例えば、パラリンピックを成功させるためには、さまざまな局が連携して取り組むということで、大きな成果が得られるはずです。ぜひ都民のために、そうした努力を重ねていただくことをお願いします。
 私の質問の後、秋田副委員長より関連質疑がありますので、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)

早坂委員長 計測をとめてください。
 ただいま、秋田一郎副委員長より関連質疑の申し出がありました。
 本件は、予算特別委員会実施要領第七の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。
 秋田一郎副委員長の関連質疑を認めます。
 なお、秋田副委員長に申し上げます。
 発言は、小宮理事の質疑の持ち時間の範囲内となっておりますので、あらかじめご了承願います。
 計測を始めてください。

○秋田委員 予算特別委員会締めくくり総括質疑の関連質疑を行わせていただきます。
 オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 さきの予算特別委員会総括質疑において、我が党の質問に対し、知事から、大会の成功とレガシーのため、開催都市である都が中心となって、大会準備を全面的に支えていくこと、そして、都、国、組織委員会が三位一体となり、責任を持って、しっかりと役割を果たしていくとの答弁がありましたので、その言葉を前提に質問をします。
 大会準備は多岐にわたり膨大となっていますが、その中でも、当座、先行して準備が進んでいる大きなものとして、会場となる施設整備があります。
 施設には二種類あります。大会後も恒久的に使用するいわゆる恒設施設と、大会後は撤去する仮設施設です。
 恒設施設は、大会後の利用もはっきりしていると思いますが、問題は仮設施設です。仮設とはいえ、膨大な経費を投入しているわけで、設置して、またすぐに撤去していては、都民目線からも、環境面や持続可能な都市といった面からも問題になる場合もあるのではないかと考えます。
 何より、恒設、仮設を問わず、多くの施設が新たに建つ以上、後利用については開催都市としてしっかり考えていく必要があります。
 リオデジャネイロ大会では、仮設施設であるハンドボール会場、パラリンピックのゴールボール会場が、教育環境の充実を求める市民の声を受けたリオ市の提案により、大会後は分解されて、リオ市内の四つの体育館つき小学校に姿を変えるとのことです。大会会場が子供たちの学びやとなって受け継がれていくというのは、すばらしいレガシーだと思います。
 そこで、この施設整備について、都は開催都市としてどのように捉え、考えていくのか伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 ただいま副委員長から、リオ大会で施設を解体して他の用途に転用する例をご紹介いただきました。
 都といたしましても、開催都市東京のこの都内におきまして多くの施設が整備されることを踏まえ、それら施設につきまして、大会のレガシーとしていく観点や環境への配慮、施設や資材の有効活用などの観点から、さまざまに検討していく立場にあると認識しております。
 そのレガシーとする一例としまして、有明体操競技場は、招致の時点では、大会後取り壊す計画でありましたが、アジェンダ二〇二〇や、有明北地区のまちづくりの将来像等、さらには、周辺の開発状況から検討しました結果、大会後は都が引き取り、十年程度都内中小企業の振興に資する展示場として活用することとし、大会後の後利用に相当する整備費について負担することといたしました。
 そのため、競技場本体の設計等に係る費用を平成二十八年度予算案に盛り込んでございます。

○秋田委員 ただいま有明体操競技場について、都内中小企業の振興に資する展示場として活用していくとの答弁がありましたが、仮設も含めた他の施設についても、引き続き検討を重ねていただきたいと思います。
 さて、我が国最大の展示施設として東京ビッグサイトがございます。現在でも稼働率が高く、他の展示会を新たに受け入れることが難しい状況にあります。都議会自民党にも、既に利用をされている皆様から要望の声をたくさん頂戴しております。それゆえ、私はこの新しい展示場に対して大きな期待を寄せています。
 そこで、都はこの新しい展示場を具体的にどのように活用していくのか、見解を伺います。

○山本産業労働局長 体操競技場の後利用として活用する展示場の面積は、約一万平方メートルを想定しており、中小規模の展示会を中心とした利用を図ってまいります。これにより、これまで東京ビッグサイトの稼働率が高いため新規に受け入れることが困難であった展示会を開催することが可能となります。
 また、多くの展示会主催者からは開催規模を拡大したいとの要望が寄せられていることから、既存の展示場の近くにあるという利点を生かし、一体的な運用による大規模な展示会も開催してまいります。
 二〇二〇年以降もこの施設を有効に活用し、さまざまな展示会ニーズに応えることで、中小企業のビジネスチャンスのさらなる拡大につなげてまいります。

○秋田委員 有明体操競技場は、仮設といっても、大会後一定期間展示場として使われる以上、その機能が十分に発揮されるものとなるよう、しっかりと整備を進めていただきたい。そして、拡張する東京ビッグサイトとともに、利用者ニーズをきめ細かく捉え、有効に活用されることを期待いたします。
 ところで、大会準備が本格化するにつれ、こういった施設整備に限らず多くの課題に対処しなければなりません。大会の運営面も含めた業務全般に対応する一方で、都市の日常的活動も円滑に保たれなければなりません。
 開催都市である都として責任を果たしていく場面が、今後、多く求められてくると思います。また、テロ対策のように国が前面に出なければならないものもあります。
 そこで、役割分担を考えるに当たり、国や開催都市としての責任を果たすべく担っていく役割について、現時点でどのようなものが考えられるのか伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 開催都市の都といたしましては、日常の都市活動や都民生活を維持しながら、万全な大会運営を行っていくことが重要であると考えております。
 例えば、大会の安全・安心対策について、東京大会では、都市機能が集中する大都市の中で各競技会場がそれぞれ独立して立地しておりますことから、会場ごとに極めて高いレベルのセキュリティー対策が求められます。お話のテロ対策を含め、国とも連携をしながら、選手村、会場間のアクセスも対象に入れて、単なる大規模イベントの警備の枠を超えた都市全体の治安対策として対応する必要があります。
 また、輸送、交通対策につきましても、競技が開催される一定の期間や時間帯に、選手や大会関係者、多くの観客が高速道路や公共交通機関を使って広域的かつ集中的に移動いたします。
 その中で、都市活動や都民生活に支障なく大会運営が円滑になされるよう、国と一体となった都市全体のマネジメントをどのようにしていくかが大きな課題となります。

○秋田委員 確かに、ただいま答弁のあったセキュリティー対策や輸送、交通対策は、オリンピック・パラリンピックの開催を起因といたします。これだけの規模の大会となると、一会場ごとではなく、東京全体が会場となるといっても過言ではありません。開催都市である都の責任は極めて大きいと思います。
 さきの予算特別委員会総括質疑であったロンドン大会の例を見ても、ロンドン市やイギリス政府といった公的部門の果たした役割はすこぶる大きく、それが大会を成功に導いたゆえんといってもよろしいのかと思います。
 そこで、冒頭に申し上げたとおり、さきの総括質疑で知事から、東京大会を成功させるため、三位一体となってとの答弁がありましたが、東京都、組織委員会、国の三者で業務全般の役割分担を決めていくに当たり、知事として、今後どのように進めていくお考えか、知事の決意とあわせて伺います。

○舛添知事 二〇二〇年東京大会は、テロの脅威の増大、資材や人件費の高騰など、大会を取り巻く環境が大きく変化し、数多くの課題が顕在化してきております。
 また、最大規模の選手や観客などがこの大都市東京に集中する中で、ホスピタリティーあふれる万全な運営が求められます。
 こうした多岐にわたる膨大な業務に対応して、都、組織委員会、国が責任を持ってしっかりと役割を果たせるよう、三者の協議の場を設け、精力的に調整し、会場整備、セキュリティー、輸送対策など大会準備全般にわたって、個別具体的に詰めてまいります。
 都は、開催都市として、大都市機能の維持や都民生活と大会運営を両立させるとともに、大会に向けた取り組みの全てを東京の将来につなげるという視点に立って、その責任と役割を明確にしてまいります。
 そして、リオ大会以降本格化する準備に遅滞なきよう、役割分担のしかるべき姿を明らかにしてまいりたいと思っております。
 こうした方針を組織委員会の森会長、遠藤大臣、馳大臣とでしっかり確認し合い、緊密な連携のもと、私が先頭に立ちまして、この国家的事業を何としても成功に導いてまいりたいと思っております。

○秋田委員 ありがとうございます。東日本大震災、急激に進む少子高齢化、世界のグローバル化。バブル崩壊から四半世紀、この国はいいようのない閉塞感にさいなまれ、この間に生まれ育った若者たちは、将来に対する夢や希望を持てずに過ごしてきました。
 私は、若者が夢や希望を持てない社会は、どんなに物質的に豊かであったとしてもいい社会とはいえないと思います。そして、そうした社会をつくった責任は私たち大人にございます。
 東京大会の開催は、この国がもう一度飛躍する、閉塞感を打ち破る最後のチャンスだと私は思います。二十年後、三十年後に振り返ったら、あのときが分岐点だった、そういう時期なんだと思います。
 確かに、成熟社会となった今、高度経済成長期のような時代は望めないのかもしれません。けれど、これをうまく乗り切れば、大会を成功に導いたならば、子供たちや若者が未来に希望を持てる、夢を持てる社会を取り戻せるような気がいたします。
 ただいま知事から、国、組織委員会としっかり確認し合い、緊密な連携のもと、みずからが先頭に立って、何としても成功に導くという大変力強い答弁がございました。
 知事がそのとおり行動をしていただけるならば、子供たちや若者たちの未来のための礎となる覚悟をお持ちならば、私たちも一緒に泥をかぶってでも、大会の成功と世界で一番の都市東京の実現に取り組んでまいります。そのことをお約束して、私の関連質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○早坂委員長 小宮あんり理事及び秋田一郎副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十八分休憩

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