予算特別委員会速記録第四号

○早坂委員長 小松久子委員の発言を許します。

○小松委員 それでは、初めに、女性の活躍推進について伺います。
 昨日三月八日は国際女性デー、女性の権利と世界平和を目指したさまざまな催しが世界各地で開かれました。
 七日には、国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に対する勧告を公表し、夫婦同姓や再婚禁止期間などを規定した民法の改正や、妊娠、出産にかかわるハラスメント防止、国会議員や企業の管理職など指導的な地位を占める女性を二〇二〇年までに三〇%以上にする目標の達成などを求めています。
 このたび、都が女性活躍推進白書を策定し、東京における女性の活躍をめぐる現状を分析、課題を整理し、その解決に向けた方向性を示したことは評価しますが、目に見えないガラスの天井があるといわれるほど、女性を取り巻く環境は依然として厳しい状況です。
 白書の中で特に印象に残ったのは、有識者からの応援メッセージです。男女平等参画といえば女性の問題と考えがちだが、実は男性の生き方、企業のあり方にも大きな変革を求めているというものです。この言葉は、男女平等参画社会の実現を視野に入れ、男性や企業が変わることで、女性の活躍できる機会が広がるということを意味していると思います。その結果、男女が互いに責任を分担し、仕事や家庭、地域にかかわる社会が実現するのではと考えます。
 さて、知事は、常々、男性や企業が働き方を見直すことの重要性について発言されています。今後どのように意識改革に取り組んでいかれるのか、知事の見解を伺います。

○舛添知事 今、小松久子委員がおっしゃいましたように、男性が家庭生活でもパートナーとしっかり役割を分かち合うと。そして、それを企業も積極的に支援すると。そういうことで働き方全体が見直される。そうじゃなければ、先ほどご指摘のように、女性にだけ焦点を当てても、これは完璧なものにならないというふうに思っていますので、そういう方向で努力をしたいというふうに思っております。
 そして、少子高齢化が急速に進むこの東京が、さらに成長して住みよいまちになるためには、どうしても女性の活躍が不可欠でありまして、今申し上げましたように、そのためには、男も変わらないといけない、企業のあり方も変わらないといけないというふうに思っております。
 先般、東京都女性活躍推進大賞の贈呈式に私も出ましたけれども、これは、在宅勤務のやり方でやっている方、それから残業しない効率的な働き方、それからトップのリーダーシップにより、そういうことを実現した企業などに、具体的な例に触れまして、これを推進大賞として表彰したわけですけど、大変な感銘を受けました。
 こうした新たな動きを社会全体で実施してもらえるように、都の広報番組とかシンポジウムを通じましてもこれを広めていきたいというふうに思いますし、私自身の言葉で発信して、男性や企業の意識改革にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

○小松委員 知事ご自身の言葉で、改革に向けて強いリーダーシップを発揮されることを期待しています。また、この白書の公表が、東京に住み、あるいは働く多くの女性たちへの心強い応援メッセージになることを期待していますが、それにとどまらず、今後、施策の効果が上がってこそ、自治体として初めて白書を策定した価値が生まれるのだと思います。
 そこで、白書策定を踏まえ、今後どのように施策を展開していくのか、改めて都の見解を伺います。

○多羅尾生活文化局長 来年度は、いわゆる女性活躍推進法に基づき、都の女性活躍推進計画を取りまとめます。策定に当たっては、白書で示した方向性の具体化に向け、行政の取り組みのみならず、企業、経済団体、NPO等に主体的に行動を起こしていただけるよう、計画策定過程にも参画していただきながら、それぞれの役割や目標などを明らかにしてまいります。
 また、計画の策定と並行して、例えば、提言で示した柔軟な働き方の推進に向けて、有効な手段の一つである在宅勤務をより多くの企業に普及させるため、その効果を検証するプロジェクトの構築にも着手いたします。
 こうした取り組みを通じて、東京の女性の活躍を着実に推進してまいります。

○小松委員 都の取り組みを通じて、今後、企業に対しても積極的に働きかけていくことを要望いたします。
 次に、みとりについて伺います。
 昨年の予算特別委員会で生活者ネットの西崎議員が知事に伺いましたが、余命少なくなったときに、自宅で過ごしたいと思っている人が約八割に上っています。最期のときをせめて家庭的な雰囲気で迎えたいと考えていることがうかがえます。
 都の地域包括ケアシステムの在り方検討会議の中間まとめでは、終末期を地域で暮らし続けたいという希望に対応できるよう、地域に根差し、地域に開かれた、とも暮らしなどを含む多様なみとりの場として、ホームホスピスの取り組みが紹介されていました。
 日本で最初のホームホスピスは、二〇〇四年に宮崎市に、かあさんの家が誕生し、現在では二十地域に広がっています。
 先日、小平市にあるホームホスピスを視察してきましたが、もともとは個人の住宅に介護や病気療養などでひとり暮らしが難しくなった高齢者が家庭的な雰囲気の中で共同生活し、希望があれば最期のみとりまで対応しています。
 そこで、ホームホスピスのような取り組みを広げていくために、都として支援することが必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。

○梶原福祉保健局長 昨年七月に設置いたしました地域包括ケアシステムの在り方検討会議では、いわゆるホームホスピスの取り組みが紹介され、今後のひとり暮らし高齢者等の増加も踏まえながら、地域におけるみとりの場の必要性などについて議論が行われました。
 都は、こうした検討会議での議論も踏まえ、来年度から、地域の医療機関と連携して、みとりに対応する小規模な施設に対し、開設時の施設設備の整備費や運営費に対する補助を開始いたします。
 また、看護、介護職員等を対象に、多職種連携の方法や家族との接し方など、みとりのための研修も行い、暮らしの場でのみとりを支援してまいります。

○小松委員 地域での暮らしを続けていくには、医療との連携が不可欠です。
 がん患者は、病状の進行に伴い、さまざまな身体的、精神的苦痛が生じますが、緩和ケアにより、その症状のほとんどは在宅でも緩和できるようになっており、家族とともに残された時間を穏やかに過ごすことができます。
 在宅での療養を希望するがん患者を、住みなれた地域に移行させるための体制づくりについて、都の取り組みを伺います。

○梶原福祉保健局長 がん診療連携拠点病院等で手術などの初期治療などを終えた患者さんの円滑な在宅療養への移行のためには、地域の病院は二つの役割を担うことが期待されております。
 その一つは、拠点病院等での治療を終えた患者を引き継ぎ、化学療法などの治療を行いながら在宅移行を支援すること、もう一つは、かかりつけ医が行う在宅での治療や緩和ケア等を支援することでございます。
 このため、都では平成二十六年度から、地域医療連携に関するモデル事業を都内四病院に委託して実施しており、来年度は、本事業を検証した上で、地域の病院の役割やかかりつけ医と連携して行う緩和ケアのあり方等について検討する予定でございます。

○小松委員 がん患者が在宅での治療を希望すれば、住みなれた地域への移行がスムーズに行われる、このように取り組みを進めていただきたいと思います。
 続いて、都市計画道路についてです。
 都市計画道路の整備方針、第四次事業化計画案が昨年公表され、現在策定が進められています。計画検討路線が二十八、見直し候補路線が九路線挙げられていますが、両者の違いは何か。この中には直ちに計画廃止すべきものがあると考えますが、これら路線に対し十年間でどのように検討していくのか、見解を伺います。

○安井東京都技監 今回の整備方針案では、学識経験者の意見を踏まえた上で、区市町とともに、交通処理機能の確保や緊急輸送道路の拡充など十五の項目を設定し、それに基づき都市計画道路ネットワークの検証を行いました。
 その結果、必要性が確認されなかった区間を見直し候補路線と位置づけております。
 また、必要性は確認されたものの、接続先の都市計画道路がなく、ネットワークとしての整備効果が見込めない区間、前後区間で道路の計画幅員が異なる区間など、線形や幅員等の再検討が必要となる路線を計画検討路線として位置づけてございます。
 これらの路線につきましては、整備方針策定後、速やかに関係自治体とともに検討を進め、必要に応じて都市計画の廃止や変更などの手続を進めてまいります。

○小松委員 次の質問、パネルをごらんください。第四次事業化計画案で優先整備路線に選定された小金井三・四・一号線、三・四・一一号線、国分寺崖線を横切り、くじら山のある武蔵野公園を分断することになります。横一直線の三・四・一号線、南北を走るのが三・四・一一号線です。湧水を水源とする野川の自然や、それを生かした野川公園。野川公園、こちらですね。こちらがくじら山のある武蔵野公園です。
 この自然を生かした公園、憩いの場として小金井市民だけでなく、多くの都民に親しまれています。また、はけと呼ばれる国分寺崖線、この緑の帯の部分です。この国分寺崖線は、連続した貴重な緑や湧水があり、東京都景観計画では景観基本軸としているほか、緑確保の総合的な方針でも崖線の緑の保全が示されています。
 もちろん、小金井市の基本構想にも崖線緑地の保全が明記され、小金井市都市計画マスタープランには、はけの森の保全を勘案し、連雀通りを活用する--連雀通り、この東西に走っています--連雀通りを活用する、そのため路線変更などの可能性を検討すると書かれています。
 東西道路には、南に東八道路、国分寺崖線の上に沿って連雀通りがあるため、小金井三・四・一号線、そして三・四・一一号線も計画検討路線や見直し候補路線に入れるべきだったのではないかと考えます。この路線の選定過程及び選定理由についてお答えください。

○安井東京都技監 両路線につきましては、ただいまご答弁しました十五の検証項目に照らして必要性を確認してございます。
 小金井三・四・一号線は、東側で三鷹市内の連雀通りと接続し、区部と多摩地域とを東西に結ぶ道路でございます。本路線の整備により、地域間の連携強化や生活道路への通過交通の排除による安全性向上などが図られます。
 また、小金井三・四・一一号線は、府中市内の都市計画道路と一体となって、五日市街道と甲州街道とを南北に結ぶ道路でございます。本路線の整備によりまして、並行する小金井街道の渋滞緩和、広域避難場所である武蔵野公園のアクセス向上などが図られることになります。
 このように、両路線とも、市の行政区域を越えまして広域的な道路ネットワークを形成する非常に重要な路線であることから、優先整備路線として示してございます。

○小松委員 それでは、続いて、震災対策に移ります。
 東京都は帰宅困難者の数を五百十七万人と推計し、帰宅困難者対策条例に基づき、さまざまな対策の強化を行っています。
 二月八日に千代田区と合同で帰宅困難者対策訓練が行われました。その際、JRや私鉄などの鉄道関係者も多くの民間事業者とともに参加し、五千人規模となりました。訓練では、都心で勤務する人も多い千葉、埼玉県とも連携し、高齢者や妊婦など要配慮者対策なども行われました。
 このように、大地震を想定した訓練を二十三区の駅周辺で広げていただきたいと思います。
 今回の訓練で事業者がどのような取り組みを進めたのか伺います。

○中西総務局長 二月八日に行いました千代田区との合同による訓練は、東京駅、飯田橋駅などの駅周辺五地区におきまして、各エリアの地域協力会や事業者等と協力して実施をいたしました。
 具体的には、鉄道事業者による駅の利用者保護、地域協力会による情報提供ステーションの運営、民間事業者による一時滞在施設の開設、運営、高齢者や妊婦の体験セットを装着した要配慮者役の船等による搬送など、各事業者が持つ特性やノウハウを最大限生かした、さまざまな訓練を織り込んで実施したものでございます。
 こうした訓練を通じまして、災害時の対応を複合的に検証することができたと考えており、この成果を踏まえ、今後とも各事業者と連携を図りながら、帰宅困難者対策を推進してまいります。

○小松委員 一方で、事業者からは、被災者の受け入れが難しい状況と聞きます。その理由として、民間事業者から災害時に避難者を受け入れるためのスペースや、対応するための要員不足を課題として挙げる声を聞いています。
 このような課題解決に向け、どのように進めているのか伺います。

○中西総務局長 今回の帰宅困難者対策訓練におきましては、地域で活動する各事業者等の取り組みが重要であることを再認識いたしました。
 一方で、都内事業所に対する調査では、災害時に帰宅困難者を受け入れることが難しいと回答した事業者が四割を超えており、その理由といたしまして、受け入れスペースや備蓄、人員などの制約が挙げられています。
 都では、本年度から、一時滞在施設の設置者に対する備蓄補助の対象品を見直し、利用しやすくするとともに、帰宅困難者の受け入れに付加的に必要となります備蓄倉庫等の整備費用の補助を開始しております。
 今後とも、災害時に帰宅困難者への対応が円滑に進められるよう、国や区市町村、事業者団体等と協議を進め、事業者の理解促進に向けた普及啓発を行いながら、帰宅困難者対策を着実に実施してまいります。

○小松委員 阪神・淡路大震災では、亡くなった人の九割は建物の倒壊などによる圧迫死で、さらにその六割に当たる約二千人は窒息によるものだったことが、震災から二十一年目に当たる一月十七日、NHKスペシャルで放映されました。
 建物が倒れて瞬時に亡くなった人は案外少なく、大多数は瓦れきの下で体を圧迫され、ある程度の時間は生きていた。けれども、一時間後には多くが亡くなったとのことです。
 別の調査では、建物の倒壊から十五分の間に九割が亡くなったといい、だとすれば、十五分間窒息しない程度の空間が確保されていれば、この人たちは死なずに済んだということです。
 耐震対策を完璧にできればよいですが、お金がかかることであり、経済力の乏しい高齢者などは、耐震の備えを諦めてしまっている人も多い状況です。しかし、大切なのは、とにかく生き残ることです。
 杉並区民によるまちづくり活動で、ほどほど耐震の会というグループがあります。震災に遭っても何とか生き延びよう、完璧を期するより、ほどほどでいいから改善すべきという考え方に立ち、住宅の耐震改修などを促す啓発活動を行っています。このようなメッセージを発信することが重要だと思います。
 地震が発生したときに命を守るため、部分的な耐震改修や耐震シェルターなど所有者が気軽に取り組めるような方法についても普及を進めることが必要と考えますが、見解を伺います。

○安井東京都技監 震災時に住宅の倒壊から人命を守るためには、建物全体の耐震補強を行う必要がございますが、次善の策として、倒壊時に一定の空間を確保する対策も重要でございます。
 このため、都は、一部屋だけの部分的な改修にも活用できる工法や耐震シェルターなどの装置につきまして、安価で信頼できる事例を募集、選定し、平成十七年度から延べ百十六件の事例をパンフレットやホームページで都民に情報提供してまいりました。
 また、毎年夏と冬に開催しております耐震キャンペーンにおける展示会や、区市町村が開催するイベントなどで、実物に触れることができる機会を設けてございます。
 引き続き、こうした工法等につきましての周知や展示を積極的に行い、普及に努めてまいります。

○小松委員 さて、乳児を持つ親にとって、災害時の備えとして、ミルクの確保は重大な問題です。災害時に安全なミルクが確実に供給されるのかという不安を持つ保護者から、液体ミルクの製造、販売を求める声が高まっています。これが実物です。アメリカ製で新生児用、これ、六十ミリリットル入りです。飲ませるときには乳首をつけて飲ませます。
 液体ミルクは、紙パックや、このようにプラスチック容器に無菌状態で密閉され、常温で半年から一年間保管が可能です。清潔な水が不足したり、お湯を沸かしたりできない被災時も利用できる便利なものです。しかし、日本では製造、販売が認められていません。
 一九五一年に当時の厚生省が乳幼児用の食品を粉乳と限定しており、現時点では海外から個人輸入でしか手に入れることができません。東日本大震災の際、フィンランド在住の日本女性らが計一万四千個を被災地に送り喜ばれたという報道がありました。
 二〇一三年には、日本周産期・新生児医学会、日本小児科学会などの連名で、災害時の液体ミルク緊急輸入のための整備を求める要望書も出されています。災害時には先進国でもミルクがない、つくれない状態が容易に発生するため、欧米では普及している調乳不要の液体ミルクを有事には迅速に輸入し被災地に届けることができる体制と法規の整備を急がれたいという内容です。
 災害時に乳児の命をつなぐ安全なミルクを供給するための備蓄体制について、都としてどのように考えるのか伺います。

○梶原福祉保健局長 現在、東京都地域防災計画では、乳幼児の調製粉乳は、被災後、最初の三日間は区市町村で、四日目から七日目までは広域的見地から都が確保することとしており、現在、都は、調製粉乳を一日当たり四・六万人分、哺乳瓶を一万人分備蓄しております。
 また、区市町村等の防災関係者向けに、妊産婦や乳幼児期の心身の特性と支援に当たっての留意点を示した妊産婦・乳幼児を守る災害対策ガイドラインを策定しており、その中では、母子に必要な支援物資の特性、家庭や区市町村での必要量、調達方法などを具体的に示し、調製粉乳、哺乳瓶、お湯、消毒剤をセットで供給できる体制が重要であることを記載しております。

○小松委員 東京都で一年間に生まれる赤ちゃんは、二〇一三年のデータで二十三区が約八万人、多摩地域で三万人、合計十一万人です。常時、都内では十一万人の赤ちゃんが母乳、またはミルクを必要としているわけです。非常時に母乳がとまってしまった母親は少なくなく、ミルクがなければ乳児は生きられませんが、東日本大震災の避難所では、お湯がないのに粉のミルクだけ配られた母親が途方に暮れてしまったということが実際にありました。問題提起とさせていただき、次の質問です。
 社会的養護について、昨年四月、東京都は施策推進計画の中で、二〇二九年度の社会的養護に占める家庭的養護の割合の目標をおおむね六割と設定していますが、都においては養育家庭への委託は余り伸びていません。その原因と対策に取り組まなければ、六割の目標を達成することは困難です。
 都における養育家庭の登録数は、十年前と現在、それぞれどうなっているか、また、委託児童数はどうなっているか伺います。

○梶原福祉保健局長 養育家庭の登録数は、平成十七年度末には三百八十六家庭、平成二十六年度末には四百七十五家庭となっております。
 一方、養育家庭への委託児童数は、平成十七年度末には三百四十九人、平成二十六年度末には三百四十七人となっております。

○小松委員 里親家庭数が八十九家庭もふえている一方で、委託児童数が横ばいということは、せっかく養育家庭になって社会的養護を担おうという都民の熱意が生かされていないということであり、残念です。養育家庭への登録家庭数がふえているのに委託がふえない理由を伺います。

○梶原福祉保健局長 要保護児童の措置委託に当たりましては、児童の福祉を第一に考え、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引き取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案し決定をしております。
 登録家庭数に比べ、養育家庭への委託数が伸びていない理由はさまざまでございますが、特に乳幼児の場合など、実親が子供に会えなくなるという思いから承諾しない場合があることや、虐待等により心に深い傷を受け情緒的な課題を抱えているなど、養育家庭への委託が難しい、専門的なケアが必要な児童がふえていることなどが挙げられます。

○小松委員 養育家庭への委託を進めるためには、親権者の承諾、そして児童の障害や発達上の課題への対応が必要とのことですが、このような社会的養護の必要な児童が養育家庭に委託されるまでの間、児童相談所はどのようなかかわりをしているのか伺います。

○梶原福祉保健局長 児童相談所は、措置委託に当たりまして、児童の福祉を第一に考え、児童一人一人の状況を総合的に勘案して決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しております。
 養育家庭への委託に不安を抱く実親に対しましては、家庭的な環境が児童の成長を促すこと、そのため養育家庭委託が望ましいことなどを説明しております。
 委託に当たりましては、実親の意向、養育家庭の状況をきめ細かく把握するとともに、児童の様子を観察しながら、委託に向けた交流を重ねるなど、時間をかけて丁寧に対応しております。

○小松委員 多くの専門家が指摘していることですが、諸外国と比べて日本の仕組みは実親優先主義であり、子供の福祉より親の意思を尊重することが前提とされているため、養育家庭委託を難しくしています。実親から承諾を得ることが必須条件である以上、この壁をクリアするには、児童相談所に努力してもらうしかありません。里親OBや民間団体などの力もかりながら、養育家庭をしっかりとサポートしていただきたいと思います。
 終わります。(拍手)

○早坂委員長 小松久子委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○早坂委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってかえるものとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 この際、各常任委員長に申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、三月十七日の午後五時までに提出されますよう、特段のご配慮をお願いいたします。
 なお、来る三月二十二日については、午後一時から委員会を本委員会室で開会し、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月二十三日に予定しております討論などの委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時二十五分散会

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