予算特別委員会速記録第四号

○秋田副委員長 上田令子委員の発言を許します。
   〔秋田副委員長退席、委員長着席〕

○上田委員 財政について。
 この十年間で、福祉保健予算費は三千七百三十七億円増加しました。今後も増加の一途は免れず、さらに都債残高は約六兆円、この二つの要因から将来世代への負担がのしかかり、世代間の格差が生じかねません。
 この観点から、都財政のグランドデザインをお示しください。

○舛添知事 都の人口構造の変化を見ますと、これは急速な高齢化という、ほかに例を見ないスピードでありまして、これを財政面から捉えれば、今おっしゃったように、社会保障関係経費が増大すると。したがって、将来を担う世代への負担も見込まれると。
 こういう中で、都債を計画的に活用することで、都債残高を着実に減少させるというような将来を見据えた取り組みを行ってきました。
 それから、将来をやっぱりちゃんと見据えていかないといけないということをやっていくのが私の仕事だというふうに思っております。
 したがいまして、都債の発行額を前年比で二割以上抑制をいたしまして、発行余力を培うと同時に、基金を一兆一千億円以上確保して、都の財政ってこういう乱高下をしますから、それにもかかわらず、強固で弾力的な財政基盤をつくるということで、基金の活用をやったわけでございます。
 そういう点を加味しまして、中長期にわたって持続可能な、サステーナブルな、そういう財政運営を行っていきたいと思っております。

○上田委員 知事の危機感を確認させていただきました。それを実現するために、透明化しないと財政規律は保てないと考えます。
 つきましては、資料請求した市町村総合交付金の市町村別の交付額が示されない理由をご説明ください。

○中西総務局長 市町村総合交付金の交付額の算定に当たりましては、年間を通じまして、市町村との綿密な意見交換や現地調査を行うなど、実情をきめ細かく把握した上で適切に算定を行ってございます。
 交付額は、市町村の公表前の計画に係る財政需要など、信頼関係に基づき把握した情報も含めて算定をしており、その詳細が明らかになることで市町村の実情に即した適切な算定が困難になることも想定されます。
 また、市町村別の交付額を一律に公表することは、市町村の財政状況や経営努力などが金額でのみ判断され、都民に誤解を与えるおそれがございます。
 こうしたことから、これまで都は、市町村の理解のもと、当該市町村分のみの交付額を提示してまいりました。

○上田委員 再配分のご苦労がしのばれます。その財源確保のためにも、税制優遇されている生産緑地耕作放棄地に適正課税をしていく必要があると考えます。
 都は、放棄面積相当の歳入への影響額について、把握すべきではないかと考えますが、所見を伺います。

○小林主税局長 生産緑地は、保全する農地として宅地への転用制限等の措置が講じられていることから、固定資産税におきましては、一般農地として評価、課税を行っております。
 都では、継続的に現地調査を行い利用状況を確認しており、仮に耕作されていないと見られた場合には、農地利用現況調査及び農家への指導等を行っている区の農業委員会の判断も参考にして、適正に評価し課税を行っております。

○上田委員 農業委員会の管理体制には、かなりばらつきがあります。殊に、江戸川区には厳しい指導をお願いしたいと思います。
 次に、都市間交流についてです。
 知事外遊費は、今年度、二億余らせていますが、予算案では三億三千万計上。私がかねがね民間、職員からの登用を求めていた二代目外務長、担当部長は、またもや外務省からの出向でした。延遼館も設計に入ります。
 さらに、ここにある自民党の小金井選出の都議のレポートによれば、知事とポーランド大使との会談を仲介したとありますが、知事は文書で明確に否定しています。これは、便乗、悪乗りではないでしょうか。
 このように、知事の都市外交にほころびが生じている今、このままでよいのか抜本的な見直しが必要と考えますが、ご所見を求めます。

○川澄政策企画局長 都はこれまで、都市外交を二〇二〇年東京大会を成功に導き、世界一の都市東京を実現する手段と位置づけ、都市外交基本戦略に基づき、さまざまな形で東京の発展に資する施策の効果的な実現を図ってまいりました。
 今後とも、首長相互の訪問や海外諸都市との実務レベルでの交流、協力等を通じて各都市の先進事例を学び、都が抱える都市問題の解決を図っていくなど、都市外交をより有効に活用し、東京を一段とレベルの高い都市に引き上げ、都民生活の向上に結びつけてまいります。

○上田委員 三代目外務長には、期待したいと思います。
 新国立競技場の費用負担に対する都の割合が決定し、都有地の無償貸与も決定されました。
 膨大な負担額に対していまだに十分な説明がなされぬまま、今後、無償貸与は、組織委員会も含めどれだけ行う予定があるのか。都条例が根拠になるとは思いますが、どのように都民に説明していくのか伺います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇二〇年東京大会における組織委員会及びJSCに対する都有財産の貸し付けにつきましては、招致段階で都が無償使用をIOCに保証したことや、国が特別措置法で国有財産の無償使用を決めたことなどを踏まえ、行政財産使用料条例等の無償貸付の規定を適用することといたしました。
 JSCへの貸し付けにつきましては、新国立競技場用地の一部である都有地を対象としております。
 また、組織委員会への貸し付けに関しましては、有明体操競技場などの競技会場の用地のほか、今後の検討の中で具体化いたします大会運営に必要な駐車場や倉庫などにつきましても、都有財産を活用する方針でございます。
 無償貸付の方針につきましては、既にオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会でご説明し、質疑いただいたところでございますが、今後とも、適時適切に都民への説明責任を果たしてまいります。

○上田委員 行き当たりばったりにならないよう、要望をいたします。
 さて、行政組織の活性化について、知事よりさきの定例会で、不断の見直しを行ってまいりますとの力強い答弁をいただきましたが、その後も管理職を含む不祥事が続出する中、本年度も職員給与アップ、都民の理解も得られないのではないでしょうか。
 一方、職員自殺者は、五年間で二桁台に上っています。
 不祥事も自殺も個人の問題とせず、規範、規律意識の醸成と、風通しのよい都民のために働きがいのある組織風土醸成に向けまして、具体的な対応状況とご所見を、知事、お示しくださいませ。

○舛添知事 組織にとりましては、人が最大の財産でありまして、その組織が動くためには人がしっかり働いてもらわないといけないと。そのキャパシティーというか、能力を最大限引き出すことが私の役割だというふうに思っております。
 そういう観点から、昨年三月に、職員の意識改革の徹底、それから、早急に取り組むべき課題をまとめました都庁組織・人事改革ポリシーを策定したところであります。
 今、このポリシーに基づきまして、例えば先ほど申し上げましたけど、係制を廃止するような形、それから、人事給与制度も非常に弾力性を持ち、信賞必罰的な面も入れました。
 それから、都庁版のワークライフバランスをしっかりやるということで、誰もが安心して職務に専念できる、そういう職場づくりにも取り組んでおります。
 こういう取り組みによって、都庁職員としての規範意識はもとより、都民のために働くんだと、そういう使命感や気概を持った職員を育てていきたいというふうに思っております。

○上田委員 これからは、意識改革から行動改革の時代です。我々議会とともに、職員と議会の倫理条例をつくれればいいと思います。
 さて、投資五十億円の官民連携ファンドですが、出資金の回収は秘密保持事項で明らかにできないものの、専門家や外部委託する監査法人らと運用状況を監視するということです。
 これまで二千万円程度、監査法人へ予算がついており、ファンド終了までに一億以上の支払いが想定、運用益などを上回らぬか懸念しております。
 質問権、調査権行使の判断の明確な指針と、都民の情報提供の進め方につき、お示しください。

○塚本会計管理局長 都は、出資金や経費を上回る資金回収を図るべく、ファンドの運営状況を継続的に監視しております。
 具体的には、運営事業者が意思決定を行う機関へのオブザーバー参加、外部委託する監査法人による調査など、随時、質問権、検査権を活用しているところでございます。
 ファンドの運営状況については、契約上の守秘義務の関係もあり、全てを詳細に公表することは困難でございます。
 しかし、官民連携ファンド事業に対する都民の理解を得ることは大変重要でございます。
 このため、都としては、各ファンドの投融資や都の資金回収状況について、今後ともできる限り公表してまいります。

○上田委員 武家の商法、新銀行東京の二の舞とならないよう、大枚払う監査結果を公明正大にご活用ください。
 都市基盤整備ですが、再開発には都有資産が含まれる例がありまして、足立区千住一丁目は、都税事務所の跡地を含む再開発事業が認可申請中です。
 組合設立に必要な地権者五名以上という基準を満たすためか、都を含め三人だった地権者が一夜にして五名に追加、全てグループ会社内でかさ増ししておりました。
 違法性がないとのことですが、法の趣旨に背くような事案の中に地権者の都がいますので、一切関知しないことはあり得ません。
 都有財産は、都民に還元すべきで、よもや払い下げ等ないと前提とし、今後の都有地を含む再開発事業の進め方について、ご説明ください。

○安井東京都技監 再開発組合の認可権者としての立場からお答えいたしますが、組合施行による市街地再開発事業につきましては、事業認可申請に際し、五人以上の土地所有者等の権利者による共同申請であれば、都市再開発法の要件を満たしており、認可申請前までに地権者の数がいつ確定するかということは全く問題とはなりません。
 都有地を含む場合、含まない場合、それぞれにつきましても、再開発事業については、今後とも都市再開発法に定める基準に従い審査をいたしまして、適正に認可を行います。

○上田委員 足立区は、二十三区待機児童ワースト四位です。都が床を確保し百名規模の保育園を提供し、足立区民に還元できることを願い、定点観測を続けます。
 医療政策についてです。
 さきの定例会、私の再質問に対する病院経営本部長の答弁に、都立小児総合医療センター非常勤顧問I医師が、製薬会社から報酬受領した件につき、都は把握せず、また、把握する必要はないとのことでした。
 しかし、利益相反管理手順書第三条の対象は、研究を実施する非常勤も含む職員と定められています。当該顧問は、申告義務が発生する、前年度一年間の合計金額が同一組織から年間百万円を超える場合に該当していませんか。
 I顧問は、二〇一四年度、三百五十万円もの製薬会社からの報酬を得ております。(パネルを示す)こちら、赤字がI顧問で、同様の委員等を務めている方の報酬と比べております。
 本部長の答弁と矛盾するように思えます。改めまして、利益相反の観点から問題がなかったか、お答えください。

○真田病院経営本部長 顧問のような特別職非常勤の金銭の授受につきましては、地方公務員法の適用がないことから、服務上の問題はなく、都としては、業務に支障が出ていない以上、服務管理の観点から、それを把握する必要はありません。
 一方、研究活動における利益相反については、各病院が院内ルールを定めてチェックしてきましたが、小児総合医療センターでは、厚生労働科学研究費、いわゆる科研費による研究で、かつ、自院の患者さんのデータを使用したものを対象に行っており、これまで顧問の関連では、これに該当するものはないと認識していました。
 また、本人からも、利益相反に関する申告はありませんでした。
 第四回定例会における私の答弁は、こうした状況を踏まえてお答えしたものであり、矛盾はしていないものと考えます。
 その後、病院として、再度顧問の関連の研究についてチェックしたところ、一部に自院の患者さんのデータを使用している事実が判明し、本人に確認したところ、当該事実を認めました。
 このため、病院として、顧問に対し自院データを使用した科研費研究の報告を求めるとともに、それ以外の科研費研究もあわせ、手順書に沿って全件の利益相反のチェックを実施しました。
 その結果、顧問の利益相反の申告の誤り等について、故意ではないが、必要な手続が行われていないことは遺憾であること、また、終了した研究については、利益誘導などの弊害がなく、研究が適切に行われていることを確認いたしました。
 これらの結論を得て、院長が手続の遵守に関し、必要な対応を既に措置しております。

○上田委員 利益相反の認識があり、手続違反があるという重大な事実が明らかになりました。
 ちなみに、終了した研究とはこのことでしょうか。(パネルを示す)適正手続を経ず、入院している子供たちのデータを使ったということになりますね。こちら、取り下げていただきたい思いでいっぱいです。
 この医師は、センター顧問の肩書を流布し、発達障害の薬に関して普及啓発活動を率先して行っており、ホームページ、こうした製薬会社のパンフレット、枚挙にいとまがありません。
 利益誘導の弊害がないのか、肩書を使った利益誘導以外の何物でもないのではないでしょうか。
 昨年、厚労省は、類似事例に関しまして辞任要請する厳しい措置を講じています。
 つきましては、都においても厳正なる対応を求めるものですが、I顧問に対し、今後どのような措置を講ずるのか、厚労省の対応を踏まえ具体的にお答えください。

○真田病院経営本部長 病院としましては、事後にはなりましたが、外部委員を含む利益相反委員会でチェックを行いました。
 そこでは、製薬会社からの報酬などについての本人へのヒアリングに加えまして、データの改ざんがないかのモニタリング調査、別の医師が第三者として論文内容を検証することなどにより行いましたが、利益誘導などの弊害がなく、研究が適切に行われていることを確認いたしております。
 したがって、今回の検証の範囲では、お話のような顧問の肩書を使用して利益誘導している事実はないと考えます。
 しかし、手続違反については遺憾であることから、顧問に対して院長から厳重注意をいたしました。その上で、改めて必要な手続をとるよう指示するとともに、厚労省にも所定の報告を行いました。
 また、本人から顧問の呼称返上の申し出があったため、次年度以降継続しないとともに、元顧問の肩書を今後使用しないよう指導してまいります。
 さらに、非常勤の雇用につきましては、本人の意向等も勘案の上、患者の引き継ぎ等の整理がつき次第、終了する考えでございます。

○上田委員 やめるということですね。非常勤顧問は、懲戒の対象外で処分はできず、退職以外ないんですよね。ほとぼりが冷めたら復帰する可能性はゼロではないので、都民、当事者とともに注視してまいります。
 先月、精神保健指定医の資格の更新を失念し、失効状態で職務を行った都立病院医師が懲戒処分となりました。失効中、二百十八件も診察、強制入院二十一件、うち未成年一件、身体拘束六十五件、隔離三十五件、うち未成年二件。指定医の判断で、合法かつ強制的に人の身体を拘束できるんです。資格があれば、逮捕監禁罪に問われませんが、本来、無資格なら当然罪に問われます。
 これは、別途追及させていただきますが、未成年者も保護入院されていることから、センターにおいて子供たちへ、いうことを聞かなければ退院させない等、脅迫的なことはないか、子供が病院関係者を通さず、直接外部へSOS発信できる環境にあるか、人権尊重の取り組みにつき、お示しください。

○真田病院経営本部長 都立病院では、児童の権利に関するジュネーブ宣言、児童の権利に関する条約等を踏まえて、都立病院の子ども患者権利章典を制定しております。
 そこでは、どのようなときでも、一人の人間として大切にされ、病院の人たちやご家族と力を合わせながら医療を受けることができますとするほか、十分なインフォームド・コンセント、勉強や遊ぶ権利の尊重なども掲げております。
 小児総合医療センターでは、院内にこの権利章典を掲げるとともに、各職員がこの趣旨を踏まえながら適切に対応しております。
 具体的には、患者さんが手紙、はがきなどを送ることや受け取ることは自由にできるようになっているほか、公衆電話を各病棟の電話ブースに設置し、スタッフに気兼ねすることなく話すことのできる環境を確保するなど、人権を尊重した対応を行っております。

○上田委員 センターを自主退所した若者からもヒアリングしてみたいと思います。
 そもそも、この質問をするきっかけとなったのは、都の発達障害者支援ハンドブックです。(資料を示す)I顧問は、製薬会社から三百五十万を受けながら、この薬物療法コラムの中で、ADHDの副作用につき、一過性であることが多いと副作用を軽視する著述に問題を感じたからです。
 二〇〇五年、梅ケ丘病院で小二女児溺死事件の際に院長でもありました。皮肉にも、発達障害支援法施行日でありました。
 I顧問は、都教委いじめ問題対策委員会等、各種委員も務めています。
 政府は、国連・子どもの権利委員会勧告で、薬品産業から独立して、この領域における研究が実行されることを求められているのに、執筆や委員選任の際、製薬会社との利益相反を都が把握していなかったこと及び今後どのような方針を持って利益相反なき都の医療政策を進めるのか、精神保健専門医失効問題も含め、悪意なき申告漏れで済まされない重大事案と考え、元厚労大臣でもある知事の見解を求めます。

○舛添知事 厚労大臣をやっていたときも同じ問題意識を持っておりましたけれども、研究をするときに、やっぱり民間部門とのさまざまな協力もしないといけない。
 私は、例えば製薬会社との協力はよくないとは思いません。いろいろ患者のために有効になることがあれば、そういう交流はやっていいと思います。しかし、片一方で、研究を遂行するに当たって、利益相反とおっしゃっているようなことがあって、患者や都民の利益が害されてもならないと。
 この二つのバランスをどういうふうにとっていくかということが最大のポイントだと思いますので、先ほど来、病院経営本部長が答弁しているとおり、きちんとしかるべきことはやるように私からも指示をしておりますので、患者、都民の利益保護と、それと研究活動を進める、このバランスをきちんととってまいっていきたいと思っております。

○上田委員 利益相反がないとか、この患者データの方はちゃんと適正に使われたとはありますけれども、自治体医療を揺るがす根幹的な重大な問題だと私は思っております。
 研究する自由もあると思いますけれども、まずは、私は、医師たるものは子供たちの心と、そして、命を最優先に考えていただきたいというふうに思います。
 このたび、顧問は、もう引退されるということでございますが、第二、第三のまた新しい権威が登場しないように心からお祈りをいたしまして、お願いをいたしまして、当事者、そして、都民の皆様と引き続き定点観測をして、抜本的な対策の見直しを強く求めるものでございます。
 次に、医療法人の管理体制ですが、債務超過法人に、それを理由に不可とすることができない状況になっています。
 赤字を改善できない財務体質の課題をクリアせず、定款変更で新設することに関して、医療の安全がどうやって維持できるのかご説明ください。

○梶原福祉保健局長 私どもは行政でございますので、法律等に基づいて指導を行っています。
 都は、医療法、医療法施行規則、厚生労働省通知等に基づいて、医療法人の運営管理の指導を行っております。
 医療法人が医療機関等を新規に開設する場合には、定款または寄附行為の変更について認可が必要であり、都は、医療法及び医療法施行規則に基づき、変更後二年間の事業計画及びこれに伴う予算書等を提出させております。
 都は、厚生労働省通知、医療機関の開設者の確認及び非営利性の確認について及び医療法人運営管理指導要綱を踏まえ、開設、経営に関する資金計画について、収入見込みの根拠となる患者数等の見込みは過大でないこと、支出見込みの根拠となる人件費等の見積もりは適正であること、必要な自己資本が確保されていることを金融機関等の残高証明で確認できること、借入金がある場合は、その借り入れが確実なものであることを金融機関等の融資証明等によって確認できること、第三者からの資金の提供がある場合は、医療機関の開設、経営に関与するおそれがないこと、債権または債務が財政規模に比べ過大になっていないことなどを審査しております。
 さらに、都は、直近の事業年度分の貸借対照表を含む事業報告書等及び勘定科目内訳書を提出させており、財務状況を確認しております。その際、債務超過が認められた場合には、債務超過の原因の確認や改善計画の提出を求めております。
 また、開設認可後においても、医療法人から毎会計年度終了後に提出される事業報告書等で事業内容や経営状況等を確認しており、法令違反の疑いがある場合は関係書類の提出を求めるなど、詳細に調査を行った上で改善報告を求め、必要に応じて立入検査を実施し、医療法人の適切な運営の確保に努めております。

○上田委員 改善計画をチェックしておしまいではなくて、最近は、薬局とクリニックのセットのクリニックが非常に乱立をしていることから、チェック体制の強化を望むものでございます。
 続きまして、教育政策、新教科、人間と社会の狙いと、その狙いをどのように達成し、評価していくのか伺います。

○中井教育長 新教科、人間と社会の狙いは、高校生一人一人が人としての生き方の指針となるさまざまな価値観に対する考えを深め、社会とのかかわりの中で、みずからの生き方を主体的に選択し、行動する力を育成することにあります。
 そのため、都教育委員会が独自に作成した教科書を用いた上で、アクティブラーニングの手法や、選択、行動する場面を具体的に経験する体験活動等を取り入れた学習を全ての都立高校で展開してまいります。
 また、人間と社会の実施に伴う、生徒一人一人の意識の変容の状況や指導上の課題等を、学校訪問等を通して把握することも行ってまいります。

○上田委員 先生の裁量権により委ねる方が効果が出るやに思います。
 先生は、子供の人生を時に左右しますことからも、体罰防止について、次はお尋ねしたいと思います。
 平成二十五年、体罰ガイドラインを作成しておりますが、その後の周知徹底のお取り組みについてご説明ください。

○中井教育長 都教育委員会は、平成二十五年に多くの体罰が顕在化したことを契機に、体罰と適切な指導との区別を明らかにするため、体罰関連行為のガイドラインを定めました。
 これをもとに、教職員の体罰防止に向けて、区市町村教育委員会と連携を図り、全校での校内研修や校長と全教職員との個別面談による共通理解、職層に応じたアンガーマネジメント研修の実施、中体連や高体連と連携したすぐれた指導法講習会の開催等、さまざまな機会を通してガイドラインの周知徹底を図っております。
 体罰は、許されない行為であり、今後とも引き続き、あらゆる機会を通して体罰の根絶を図ってまいります。

○上田委員 バスケ部顧問の体罰による自殺で、大阪市桜宮高校への賠償命令が出ました。ぜひガイドラインは保護者に知っていただいて、体罰を受けた我が子を守るレシピとして活用していただきたく、親への周知を求めるところでございます。
 続きまして、都立高校入試です。
 急病などにより通常受検が難しい生徒に対する措置と、インフルエンザなどで受検ができなかった場合の救済策について伺います。

○中井教育長 都立高校の入学者選抜においては、これまでも事故や病気等により通常の検査方法での受検が困難な場合、あらかじめ手続を行うことで、検査時間や検査会場について特別な措置を講じております。
 インフルエンザ等の感染症に罹患してしまった者は原則受検できませんが、感染のおそれがないとの医師による判断がある場合には受検を認めております。
 また、定員を分割し二回に分けて募集を行う選抜を実施するなど、複数回の受検機会を設けることで、仮に検査当日、急病等で受検できなかった場合にも対応できるような取り組みも行っております。

○上田委員 インフルエンザで受験し、思うような結果が出ず、相模原で母子自殺の件もありました。また、広島の例も胸が痛むものでございます。
 子どもの権利条約第六条の成長発達の権利を踏まえ、対等な健康状態で受検できる見直し、慎重に慎重を極めた受検指導を都教委においては検討をお願いいたします。
 次に、待機児童です。
 保育所等の利用がかなわず待機になってしまった方々は、いっぱい私も電話がかかってきています。自力で何とかするしかないのでしょうか。フォローはどうなっているのか、お答えください。

○梶原福祉保健局長 保育の提供は、児童福祉法及び子ども・子育て支援法に基づき区市町村が行うこととなっております。
 また、区市町村は、子ども・子育て支援法に基づき、子供と保護者が、保育その他の子供、子育て支援を円滑に利用できるよう、必要な支援を行っております。
 具体的には、役所の窓口や子育て広場、児童館などに配置した専任の職員が、子育て家庭の状況を把握し、それぞれのニーズに応じた保育サービスや子育て支援が利用できるよう、情報提供や相談支援、マッチング等を行っております。
 都は、区市町村によるこうした取り組みを、利用者支援事業により支援しており、今年度は十八区十七市に対して補助を行っております。

○上田委員 家庭的養護推進についてお尋ねします。
 乳児院における児童一人当たりのコストは七百万円、児童養護施設が約四百万円、退所するまで一億相当コストがかかります。里親であれば施設の半額、特別養子縁組をすればコストがかかりません。この観点から見ても、家庭養護である養育家庭への委託を推進すべきと考えますが、ご見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 私ども、コスト面から社会的養護を議論することには極めて違和感がございます。私も現場の苦労、努力、悩みはよく知っておりますが、児童相談所はもとより、児童養護施設でも、乳児院でも、全てのスタッフが子供の最善の利益のために二十四時間三百六十五日働いていることは、委員もどうぞご理解をいただきたいと思います。
 都におきましては、要保護児童の措置委託に当たって、児童の福祉を第一に考え、児童の年齢、生育歴、心身の発達状況、保護者の家庭引き取りの可能性など、児童一人一人の状況を総合的に勘案し決定しており、まずは養育家庭への委託を検討しております。
 また、現在、学識経験者や事業者等から成る児童福祉審議会の専門部会では、養育家庭の委託促進、ファミリーホーム等の設置促進、委託促進のための体制強化など、家庭的養護を進めるための具体的な方策についてご議論いただいております。
 都としては、今後、専門部会での議論も踏まえながら、社会的養護のもとにある児童が、できる限り家庭的な環境で養育されるよう、養育家庭を初めファミリーホーム、グループホームなどの家庭的養護を推進してまいります。

○上田委員 施設におきましては、ただいま東京都の全ての児童養護施設の指導書と置き手紙、全部集めまして、内容を精査させていただいております。その上、またご議論をさせていただきたいと思いますが、原資は税金ということで、このごろの社会問題を考えますと、施設、脱施設というトレンドというものは世界情勢を考えても否定をすることはできないと思います。家庭的養護ではなく、家庭養護の取り組みを引き続き求めるものでございます。
 続きまして、障害者対策でございます。
 西東京、田無の会たんぽぽは、最初の苦情の訴えから十四年がたちますが、虐待防止法もなく、当時は対応が後手に回りました。この反省をどう生かすのか、施設への最新の対応状況もご答弁ください。

○梶原福祉保健局長 都はこれまでも、施設の適正な運営を確保する立場から、障害者総合支援法に基づき定期的に行う指導検査等において、虐待防止マニュアルの作成や研修の実施等、施設の取り組み状況を確認し、必要な指導を行ってまいりました。
 また、障害者虐待防止法を踏まえ、虐待問題への理解を深め、虐待防止のために必要な対応等を内容とする障害者虐待防止・権利擁護研修を施設の管理者や従事者を対象に毎年実施しており、今後とも、障害福祉サービスの実施主体である区市町村と連携して、障害者虐待の防止に取り組んでまいります。
 なお、障害者支援施設たんぽぽにつきましては、昨年十一月に西東京市と合同で行った実地検査以降も適宜施設を訪問し、運営体制に改善が図られていることを確認しております。

○上田委員 平成十四年ですか。私が当選して、いろいろと議会で議論をして、ようやく理事長も交代となったところでございます。私のような議員が出てこなくても、行政側の方で適正指導ができますことを本当に心からお願いいたします。
 さて、公権力の行使では、刑事訴訟法第二百三十九条第二項では、公務員は、その職務に際して犯罪があると思料するときは、捜査機関に対し告発しなければならないと規定をされております。
 つきましては、昨年末、テレビでも放映された、都内にある劣悪な環境の猫カフェ、ねこのてへの対応です。行政庁、職員による告発、あるいは動物愛護法、食品衛生法に基づく行政処分など、法にのっとった本当に適切かつ迅速な対応が必要であると考えます。現在の対応状況について伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、利用者からの苦情を受け、昨年七月から十二月までに当該事業者に対し十回の立入検査を行い、施設及び動物の適正な管理など、動物愛護管理法で定められた基準の遵守について繰り返し指導をしてまいりました。
 しかし、施設の管理状況等の改善が認められなかったため、本年一月八日に、飼育頭数の適正化、動物の適正な管理、飼養環境の改善、清掃、消毒の徹底、台帳類の整備等について二月六日までに改善するよう勧告をいたしました。
 改善状況を確認するため、二月八日に再度立入検査を行いましたが、改善が認められなかったため、弁明の機会を付与した上で、二月二十六日に、勧告と同様の内容について、三月二十六日を期限とする改善命令を行いました。
 今後とも、法に基づいて厳正に対処してまいります。

○早坂委員長 上田令子委員の発言は終わりました。

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