午後六時四十分開議
○秋田副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
川松真一朗委員の発言を許します。
○川松委員 一九六四年のオリンピックを契機として、東京あるいは都民生活は大きく変わりました。現在の都の政策でも、二〇二〇年大会を契機に、世界で一番になることを押し出しています。私は、例えば世界で一番美しいと称される都市のあり方というのを常日ごろ考えているわけです。それは、ソフト面もハード面もであります。
今の東京でどうしても気になってしまうのが、自転車スマホ、歩きスマホであります。誰もがまちを歩いていて、冷やっとした場面に出くわしているのではないでしょうか。特に多くの人が行き交う交差点や、狭い道においてのマナーが気になってしまうわけであります。
今、都では、こころの東京革命を展開していますが、いま一度、このオリンピック・パラリンピックに向けて、世界から尊敬される日本人の美徳を精神面から充実させるべきと考えます。
特に、規範意識はスポーツを通じて得られることも多く、二〇二〇年を前にスポーツの力を活用しながら伝えていくことが効果的で、まさに今、絶好の機会と考えますが、都の所見を伺います。
○廣田青少年・治安対策本部長 こころの東京革命では、親と大人が責任を持って子供たちをしっかりと育んでいこうという理念のもと、さまざまな啓発事業を展開していますが、特にスポーツを活用した啓発は効果的であると認識しております。
このため、これまでの取り組みに加え、今年度から新たに東京都体育協会などと連携し、子供を指導するコーチ等に対し、スポーツを通じ、社会のルール、マナーを習得していくことの大切さを再認識してもらう研修を実施したところであり、来年度は約四百名の指導者の受講を予定しております。
また、サッカーやラグビーなどのトップリーグに所属し、東京をホームタウンとするスポーツチームとの協同事業の準備も進めております。
今後とも、スポーツの持つ力を最大限活用し、ルール、マナーの習得を通じ、規範意識の醸成に取り組んでまいります。
○川松委員 ぜひトップリーグの会場には、小さい子も大人も含めてたくさん参りますので、活動を推進していただきたいと思います。
昭和三十八年十一月三十日に東京都オリンピック国民運動推進連絡会議が結成され、下部機構としてさまざまな運動が展開され、標語がつくられましたけれども、公衆道徳高揚、秩序ある明るいまちに親切で楽しいまちに、交通道徳高揚、高い交通道徳でオリンピックを飾ろうとなっています。五十年の月日を経て、改めて今の東京人が向き合うべき精神であると考えます。
伝統と革新が共存するまち東京の大会として、こういった精神をもっと大切にしていただきたいと強く要望しておきます。
さて、江戸から東京への時代から、今は東京からローマ字のTOKYOへの時代となってきています。今後、ますます注目が高まるのはいうまでもありません。だからこそ、国内のみならず、世界に向けての情報発信力の強化は必要不可欠であります。
近年は、世界を意識したグローバル施策がふえてきていますが、都庁の海外発信力はまだまだ発展途上であります。都は、都庁全体の海外発信力の強化に向けてどのように取り組みを行っているのか伺います。
○川澄政策企画局長 海外への情報発信力を強化するためには、各局が効果的に発信できるよう、海外広報を所管する政策企画局が各局の事業動向を集約し、総合的な調整を行っていくことが重要でございます。
こうした認識のもと、各局に対して海外への情報発信の手法やタイミング等に関するノウハウを提供するほか、PR映像やメッセージの作成支援を行っております。
また、海外メディア対応では、在京特派員へのプレス配信の窓口を担い、取材機会の創出を図るとともに、各局と連携した取材対応を行っているところでございます。
さらに、海外メディアに関する基礎的な知識や海外向けプレス資料の作成方法を習得する講習会を開催し、各局担当職員の海外広報スキルの向上も図っているところでございます。
今後とも、こうした取り組みを通じて、各局連携を図りながら、全庁の発信力を一層高めてまいります。
○川松委員 海外に向けた情報発信は、それぞれの事業を所管する都庁各局の発信力を強化し、都庁が一体となって推進することで、より大きな成果に結びつくものと考えます。引き続き、取り組みを充実させていただきたいと思います。
さて、去年第二回定例会で、情報発信の強化を求める我が党の代表質問に対し、知事から、相手に着実に届き理解される広報を意識していくという答弁がございました。効果的な情報発信を行うためには、行政情報の一方的な発信ではなく、外国人の興味、関心を踏まえた彼らの視点での広報が必要と考えますが、都の見解を伺います。
○川澄政策企画局長 海外に向けて効果的に情報発信を行うためには、受け手の共感を呼ぶことと、記憶に残ることがより重要な要素になるというふうに考えております。
こうした観点から、海外で好まれる短編でメッセージ性の高い映像を制作するほか、外国人編集者とともに海外向けPR冊子の作成に取り組んでまいります。
加えて、速報性にすぐれたフェイスブックやツイッターなどのSNSを活用し、写真や動画、インフォグラフィックス等の視覚的に訴求力のある素材を使って、都政情報や東京の魅力を発信してまいります。
今後とも、多様な広報手段を組み合わせて、相手に届く効果的な情報発信を推進してまいります。
○川松委員 まさにこの海外広報ということは、東京のブランディングという視点にとっても大切なことであります。海外メディアが取り上げたいと思うような仕掛け、また、そこから派生するSNSの展開も今はとても大切です。
知事が要人とお会いする際に、江戸文化の再生というのだったら、どこかで着物でお会いするとか、そういうことを世界のメディアが大きく取り上げてくることで、東京はこういうまちなんだと多くの人に知っていただくことになると思います。
次に、先般公表されました女性活躍推進白書について伺います。
私は、去年の第三回定例会で、白書の策定に当たり、企業が多い東京の実態や課題と労働者側の意識をしっかりと捉え、その解決の方向性も含めて可視化することが重要であると指摘しました。
白書では今回、企業とそこで働く従業員に対して、女性活躍推進に関する意識調査や、都民に対する世論調査を実施したほか、およそ百四十のデータを用いて、東京ならではの女性の活躍をめぐる実態をしっかりと見える化しております。
中でも、私自身が興味深いと感じた点は、東京の男性の半数が、男性も家事、育児を行うことは当然としているなど、高い意欲がうかがわれる一方で、およそ四割の男性が、仕事と両立させることは現実として厳しいと感じており、東京の長時間労働、長時間通勤の実態が浮き彫りになっている点もありました。
こうした回答は、東京の女性の活躍に向けた道筋を示す上で重要な示唆を与えてくれているものと受けとめるべきです。
今回の調査や分析で明らかになったこうした実態をどのように受けとめ、今後の取り組みに反映していくのか、都の見解を伺います。
○多羅尾生活文化局長 家事、育児を行うことは当然と考えている東京の男性が、実際には仕事中心の生活スタイルから抜け出せないことは大きな問題と認識しており、この落差を埋めるため、社会全体で働き方の見直しを進める必要がございます。
このため、例えば企業の経営計画に、男性社員の育児休暇取得促進を明確に位置づけた上で、管理職が率先して取得することにより、対象者の男性の八割が育児休暇を取得した事例など、先駆的な取り組みを広く発信し、他の企業にも波及させてまいります。
また、東京ウィメンズプラザで実施している、男性が家事、育児を学び合う講座に加えて、子育てのやりがいなどを語っていただくパネルディスカッションを新たに開催するなど、男性の家事、育児への参画をさらに推進してまいります。
○川松委員 男性の子育てなどへの参加に関してですが、男性が主体的に子育てを担うことは極めて意義深いことであります。けれども、私は、イクメンという言葉が存在しているうちは、まだまだ男性が子育てを担うことが珍しいといわざるを得ないと思っています。
男性の家事、育児への参加促進は大変重要な取り組みであるため、企業における働き方の見直しの推進とあわせて、今後一層の充実に努めていただくよう改めて要望いたします。
さて、白書で示した取り組みの方向性をどう具体的に施策に結びつけていくのか、そこが大事なのであり、白書の公表は、まだ女性の活躍を実現するための初めの一里塚でしかありません。
さらに、女性の活躍というテーマは前からいわれていることでありまして、都の力だけでは東京の女性が直面している障壁を打ち破っていくのは難しく、さまざまな主体が人ごととせず、解決に向けて取り組んでいくことが必要であります。
私自身もワークライフバランスというものをオランダモデルから学びました。そのオランダの歴史を見ても、価値観の大転換には大変な苦労があったわけです。
このことから、今後、どのような主体が何を実行していくのかについて、私が常々申し上げています可視化していただくことこそが極めて重要だと考えますけれども、白書で示した取り組みの方向性をどのように具体化していくのか、都の見解を伺います。
○多羅尾生活文化局長 来年度策定する女性活躍推進計画では、女性のチャレンジ支援や柔軟な働き方実現等に向けて、都が行う具体的な取り組みを目標の数値化や達成年度の明示も含め取りまとめてまいります。
また、都民、事業者などさまざまな主体が、女性の活躍推進に向けてそれぞれみずからの役割を認識し、具体的な行動をすることが重要でございます。
そのため、企業、経済団体や、NPOなどの市民団体、教育団体にも計画策定過程に参画していただき、それぞれの取り組みを促す具体的な行動目標もあわせて盛り込み、行政と民間が一体となって女性活躍推進に取り組んでまいります。
○川松委員 先ほどお話ししましたオランダでも、男女の働き方の違いがあってもよいと広く認められているようですけれども、それが男性に比べて女性の経済への参加が進んでいないというのはイコールではないわけです。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
さて、世界で一番の文化都市を目指し、多くの外国人観光客に東京に訪れてもらうためには、東京の歴史と文化の魅力を戦略的に発信することが重要です。
去年の第一回定例会におきまして、特に江戸東京博物館の展示の充実と発信力向上について私は質問したわけですが、その後さまざまな取り組みが進められ、来館者からも好評を博していると伺っております。
そこでまず、東京の歴史と文化の魅力の発信拠点としての役割が期待される江戸東京博物館において、多くの外国人の方に来館してもらうため、どのような取り組みを行っているのか伺います。
○多羅尾生活文化局長 江戸東京博物館には、近年、外国人の来館者が急増しており、これまで以上に外国人観光客の視点に立った取り組みを進めることが重要でございます。
そこで、館のホームページやPR紙である江戸博ニュースの多言語化、海外の旅行エージェントへのセールスに加え、アメリカでの日本の芸術文化を紹介する見本市で広告掲出するなど、外国人観光客向けに積極的な広報を展開しております。
今年度実施した外国人向けモニター調査では、ホームページが閲覧しやすい、常設展のリニューアルで増設した、すしの屋台など体験型模型がわかりやすいなど、好意的な意見が多く寄せられております。
今後も、二〇二〇年に向け、展示解説の外国語表記の充実など、江戸東京博物館に世界からより多くの観光客が訪れていただけるよう、取り組みを推進してまいります。
○川松委員 さきの第四回定例会代表質問におきまして我が党は、多くの旅行者がパリに行けばルーブル美術館、ロンドンに行けば大英博物館を必ず訪れるように、東京にもそうした核となるものが必要だと主張いたしました。
江戸東京博物館には、敷地内にある徳川家康公の銅像や常設展示室の日本橋等、来館者が江戸博を訪れた記念に写真撮影し、家族や友人にSNS等で発信したくなるような作品や建造物も多々あります。
加えて、周辺地域には旧安田庭園や国技館、相撲博物館などがあり、ことしの十一月にはいよいよ、日本が世界に誇る葛飾北斎等の作品を紹介するすみだ北斎美術館が江戸博からも至近距離にオープンする予定でございます。さらに、平成二十九年には、刀剣博物館が両国地区に移転予定であり、この地域に江戸東京の魅力を発信できる施設が集積し、文化発信拠点として注目度が高まるものと期待されております。
そこで、こうした機運を捉え、外国人旅行者にこれまで以上に江戸博に来てもらうことが非常に重要です。そのためには、江戸博といえばこれというような代名詞になるような展示作品や資料をこれまで以上に充実させて、江戸博自身の発信力をさらに強化するとともに、近隣施設と連携しながら、江戸東京の文化を海外にもっと伝えていくことが必要と考えますけれども、舛添知事のお考えを伺います。
○舛添知事 私も外国の要人がいらっしゃったときはなるべく江戸博に連れていって、見ていただく。先ほど、斉藤委員からジオラマの話ありましたけど、あそこに小型のジオラマが、江戸時代のつくってありまして、これは非常に喜ばれております。
それで、やはり作品の収蔵、特に、今、相撲の話ありましたけれども、浮世絵なんかで相撲絵、これももうちょっと集めてもらいたいというふうに思っていますので、ぜひ収蔵、展示、これは基本でありますので、これをしっかりとやりたいというふうに思っています。
それから、浮世絵の話をしましたけれども、あそこに江戸庶民の暮らしがわかる展示がありますので、ぜひこういうことを、外国の方がそこに、畳の間に上がって一緒に写真を撮るというのを非常に喜ばれたので、こういうことをやっていきたいと思っています。
それで、今ご指摘のように、近くに相撲博物館があります。それから、たばこと塩の博物館、これも移ってまいりました。そして、いよいよすみだ北斎美術館が十一月に、今おっしゃったように開館します。ですから、ここが一帯の江戸文化の中心になるような博物館や美術館がそろうことになります。それから、何といっても両国ですから、あそこの船着き場も利用できるようになりました。あれで隅田川の川下りをやると。一遍浅草まで行って、ずっと東京湾まで行くと。舟運ということも隅田川を使って十分できると思います。
これから桜の美しい季節になります。そして、夏は花火の季節になります。そういう意味で、江戸東京博物館を中心に、江戸文化の薫りを東京から発信していきたいと思っております。
○川松委員 ぜひ、江戸博は大英やスミソニアンに比べれば歴史は浅いかもしれませんけれども、東洋の魅力や江戸の魅力を考えれば、潜在能力は高いと思います。映画では「ナイトミュージアム」の映画のロケ地になるぐらい、知事に強化していただきたいとお願いしておきます。
同時に、このオリンピックの開催をてこに、世界に向けて大きく飛躍を遂げてほしいと思うのが、江戸の文化と仕事のわざを今の世に伝える伝統工芸品であります。
私の地元墨田におりますびょうぶ職人さんは、展示会への出展や体験教室を開催し、海外で積極的に活動されていますが、こうした動きはまだ一握りであります。
国際的な感覚を身につけた職人をふやすため、ターゲットとなるヨーロッパや北米の市場で評価されるデザイン、機能、あるいはPRのポイントなどを学ぶこと。また、実際に現地へ足を運び、世界を肌で感じることが重要です。そして、成果を業界にフィードバックし、より多くの意欲ある職人が後に続くよう、うねりをつくり出していくべきです。
そこで、職人の国際化に向けた来年度の都の取り組みを伺います。
○山本産業労働局長 都は来年度から、伝統工芸品の職人を対象に、海外での事業展開に必要となる知識やスキルを付与する取り組みを開始いたします。
具体的には、海外市場やデザインの動向、マーケティングなど、商品開発に役立つ講座を開設するとともに、意欲の高い職人を海外に派遣し、展示会などの視察のほか、つくり手やバイヤー等との交流を通じて、現地の状況を肌で感じる機会を提供いたします。
こうして得られた知識や経験を報告会の開催や派遣報告書の配布などによりまして他の職人にも還元し、海外展開を志す機運を広く醸成してまいります。
このような取り組みにより、伝統工芸品の海外展開を一層強力に後押ししてまいります。
○川松委員 ありがとうございます。
そして、東京でのラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピック大会は、私たちの強みを世界に示す絶好の機会だと思います。
とりわけ、二〇二〇年の先をも見据えた産業の持続的発展を考えれば、市場の縮小や国際競争の中で厳しい環境にある中小企業がすぐれた自分たちの技術を最大限活用し、ここから生まれてくるであろうさまざまなビジネスチャンスを生かし、着実に成長につなげていくのは、今をおいてほかありません。
中小企業でも皆が結束し、互いの強みを生かして行動すれば、道は開けると思います。こうした思いから、私は、さきの第三回定例会におきまして、新製品の企画開発や独自のブランド戦略など、中小企業が業界共同で進める取り組みの重要性を訴えてまいりました。
そこで、来年度、こうした意欲的なプロジェクトに挑む中小企業団体に対する都の支援策について伺います。
○山本産業労働局長 都はこれまで、経営基盤の安定化に向けて、展示会への出展や研修会などに取り組む団体を支援してまいりましたが、来年度からはこれに加えまして、製品の高付加価値化や新たな市場分野の開拓など、二〇二〇年大会やその先を見据えた意欲的な取り組みを後押しできるよう支援を拡充いたします。
具体的には、ブランド戦略の立案や海外からの顧客層の取り込み、商品の共同開発などの取り組みを新たに助成対象とするとともに、助成限度額を大幅に引き上げ、最大一千万円といたします。
また、これまでの専門家による事業計画の策定から実行までの支援に加えまして、新たにマーケット動向や知的財産など、特定分野の専門家も活用できるようにいたします。
これにより、業界の将来的な成長を目指す意欲ある団体の取り組みを強力に後押ししてまいります。
○川松委員 今述べました伝統工芸品も新製品もアピールの場、つまり、展示会が必要になってくると思います。また、さまざまな展示会や集客力の高いイベントも数多くの外国人旅行者の来訪が期待できるだけに、しっかりとした誘致施策を打ち出していくことが重要であるのはいうまでもありません。
私の地元の国技館や江戸東京博物館など、この点で力を発揮できる施設があり、こうした拠点をうまく活用して、海外からの旅行者をふやすことは十分にできるはずであると考えます。
そこで、展示会やイベントの誘致に関するMICE支援について、都は来年度どのような取り組みを行う考えであるのか見解を伺います。
○山本産業労働局長 都はこれまで、MICEのうち国際会議や企業の会議等を対象といたしまして、その誘致活動や開催に必要な経費への助成などを行ってまいりました。来年度は、新たに展示会やイベントを対象とした支援を開始いたします。
具体的には、都内で開催する展示会につきまして、海外からの参加者がふえるよう、外国で展示会のPRを行う経費に対し、三百万円を上限とする助成を開始いたします。
また、東京で開催される集客力のある国際的なイベントがふえるよう、その誘致活動に必要な経費や海外に出向く経費、開催時の会場借り上げ費等に対する助成を開始いたします。
こうした取り組みにより、展示会やイベントを含めたMICE誘致を総合的に展開してまいります。
○川松委員 そして、その東京の都市としての変化に応じて、都内での観光のあり方も、これからもっともっと多様性を示していくものと考えています。
例えば、先ほど知事がお話しになりました水辺を活用した舟運による観光を活発にする取り組みは、次第に本格的になってきております。水辺や舟運については、私の地元の墨田区でも以前からさまざまな展開の検討は続いており、脚光を浴びるのはもう少し早い時期でもよかったなというふうに思ってもいます。
まずは地域での意見を十分に聞きながら、水辺ににぎわいをつくる努力を重ねて、観光ルートとしてのレベルを高めていくべきことが重要だと考えます。都としても、観光協会などときちんと連携し、ハード整備に力を入れつつ、集客につながる取り組みも進める幅広い施策展開を求めます。
そこで、水辺を活用した観光を活発にするため、来年度、都はどう取り組んでいくのか、考え、所見をお伺いします。
○山本産業労働局長 都はこれまで、水辺の魅力を生かし、観光客の誘致に取り組む地元自治体に対し、施設の整備やイベント開催に必要となる経費の二分の一について助成を行ってまいりました。
来年度は、こうした自治体への支援に加え、観光協会など地域の観光関連団体が取り組む水辺の魅力を高めるオープンカフェや観光PR施設などのハード整備に対して、その経費の五分の四について一千万円を上限に助成を行ってまいります。
また、船着き場と近隣の観光スポットを結ぶルートの整備や、川岸ににぎわいを生み出すイベントの開催に必要な費用につきましても、同様の助成を実施いたします。
こうした取り組みによりまして、水辺の魅力を高める観光振興を着実に展開してまいります。
○川松委員 ぜひこの水辺の観光を推進していただきたいと思うと同時に、地元の人間からすると、安全・安心についても気になることがございます。
地盤の高さが海面より低い、いわゆる海抜ゼロメートル地帯が広範囲を占める東京東部の低地帯では、津波や高潮による水害のおそれがある中で、およそ三百万人の人々が河川の堤防や水門に守られて生活をしております。
首都直下地震などの巨大地震が発生した場合にも、この地域の人たちの命と暮らしを守るためには、河川の堤防や水門等の耐震性の向上を図ることが重要で、都においては、平成二十四年十二月に策定した整備計画に基づき、現在、隅田川や今井水門などで事業が進められております。
この計画に示された河川施設の耐震対策のうち、特に緊急性の高い高潮堤防や水門等については、平成三十一年度までの七カ年で完了させる計画となっていますが、現在の取り組み状況についてお伺いをします。
○佐野建設局長 東部低地帯では、最大級の地震に対しても堤防や水門などの機能が確保されるよう、耐震対策を早期に完了させることが重要でございます。
このため、都は、この地域を高潮などから直接守る堤防四十キロメートルと水門など二十二施設の対策を優先して整備を進めております。
平成二十八年度は、堤防約七キロメートルと四施設の工事に新たに着手いたします。これにより、二十五年度の本格着手から四カ年で、堤防については七割を、また、施設については大規模で工事に時間がかかる上平井水門等を含め八割を、それぞれ事業化することになります。
このうち二十八年度末には、隅田川で河口から白鬚橋までの堤防の耐震化がおおむね完了するなど、約二十キロメートルの堤防と大島川水門等六施設について耐震対策が完了いたします。
平成三十一年度完了に向けて着実に整備を進めてまいります。
○川松委員 東部低地帯の河川の耐震対策を着実に進めていただく一方で、世界で一番にふさわしい成熟都市とするためにも、隅田川を中心とした水辺のにぎわいを創出し、水の都東京の再生を図っていくことは重要であります。
地元両国は、先ほどから触れているように、今後、外国人観光客も多く訪れてきそうです。国技館については、二〇二〇年大会の際、ボクシング会場となる予定であり、その目の前に先ほど知事がお話しした船着き場があるわけであります。
今、舟運を活用した観光が注目を集めてきた中で、水上タクシーという新たな舟運手段も誕生しています。
長期ビジョンにおいて、両国エリアを歴史と文化が息づく東京の顔となるよう、現在の船着き場、待合所周辺を両国リバーセンターとすることとしておりますが、そのためには多くのお客様をお迎えする水辺の玄関となるような大変な整備が不可欠であると思います。
そこで、両国リバーセンター整備に向けた取り組みをどのように進めていくのか、お伺いいたします。
○佐野建設局長 隅田川沿いに位置する両国におきましては、舟運の活性化を図りながら、川とまちとが結びつくような魅力ある水辺空間を創出し、にぎわいを高めていくことが重要でございます。
このため、両国リバーセンターの整備に当たっては、現在、浅草やお台場などをつないでいる水上バスの船着き場に加え、日本橋川や江東内部河川を周遊する小型船舶も活用しやすい船着き場を増設し、両国を拠点とした舟運ルートの拡大を促してまいります。
あわせて、カフェ等にぎわい施設の導入も視野に入れ、船着き場周辺の動線の改善が図れるような施設の配置など、事業内容を地元墨田区と連携して検討いたします。
こうした取り組みを着実に進め、多くの人々が楽しめる水辺空間の創出を図ってまいります。
○川松委員 ぜひよろしくお願いいたします。
そして、東京の顔をつくるということで、泉岳寺駅の大規模改良についてもお伺いいたします。
都営地下鉄浅草線の泉岳寺駅が位置する品川駅周辺は、国際化が進む羽田空港に近く、リニア中央新幹線の始発駅が整備されるなど、世界と日本各地をつなぐ結節点として、これから日本の成長を牽引する国際交流拠点として発展していくんだろうということが期待されます。
泉岳寺駅の整備に当たっては、駅機能の強化にとどまらず、周辺まちづくりと連携し、世界の人々が集う国際交流拠点の玄関口としてビジョンをしっかりと持ち、事業を具体化していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○塩見交通局長 泉岳寺駅は、空港と都心を結ぶ重要な交通結節点であり、今後、周辺の開発により、居住者や国内外のビジネス客に加えまして、海外からの旅行者など、さらなるお客様の増加が見込まれております。
このため、ホームやコンコースを現状の二倍以上に拡張するとともに、エレベーターの増設などバリアフリーをより充実させてまいります。
また、周辺のまちづくりと連携し、JR新駅や周辺施設の歩行者ネットワークとの連絡を図り、回遊性を確保するなど、駅機能を大幅に向上させてまいります。
さらに、相互直通運転各社と連携し、空港アクセスを強化するとともに、観光情報案内、発信機能等を備えた国際交流拠点の玄関口にふさわしい施設の整備を図ってまいります。
こうした取り組みを通じ、東京の発展に貢献してまいります。
○川松委員 ありがとうございます。
さて、六月にはラグビーテストマッチ日本代表対スコットランド代表戦が東京スタジアムにおいて実施されます。
ラグビーの本場イングランドでの二〇一五年のワールドカップ大会では、ファンゾーンにおきまして、さまざまな飲食ブースの設置、記念グッズの販売、コンサートの実施等、ラグビーファンだけでなく、地元の人や一般の方々も含めて楽しめる環境が整えられておりました。
ファンゾーンの設置は開催都市の役割であり、二〇一九年大会を見据えて試合を盛り上げるのであれば、会場周辺においても機運醸成イベントを実地に試すことが必要であると思います。
開催都市として、都は、単に試合会場やイベントスペースを用意するというのではなく、観客にどうやって楽しんでもらえるかということを前提に準備を進めると同時に、動線等観客の流れなど、この機会によく見ておくことが今後の準備に役立つと考えられます。
知事も本番さながらにと言及しているわけですから、二〇一九年大会を盛り上げる上で、今回のテストマッチをどのように活用し、ワールドカップの成功に結びつけていこうとするのか、考えを伺います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 ラグビーワールドカップでは、会場周辺において大会を盛り上げる取り組みを行うことが大きな特色でございまして、六月のテストマッチの活用では、その点を特に重視してまいります。
具体的には、お話のファンゾーンを想定して、スタジアム周辺の広場を活用し、地元市や他の開催都市とも連携して、試合前から飲食を堪能し、映像などを楽しめるようにするとともに、日本の魅力や文化を発信してまいります。
また、ラグビートップリーグの選手にご協力いただきまして、ラグビー体験を実施するなど、試合を盛り上げるイベントを行います。さらに、SNSなどを活用した来場者の一体感の創出に取り組んでまいります。そして、アンケート調査を実施いたしまして、観客の視点から見た課題を整理し、本番に向けた貴重な情報としてまいります。
このテストマッチで得られました収穫と課題を今後の大会準備に反映し、二〇一九年大会の成功につなげてまいります。
○川松委員 そして、東京スタジアムですけれども、二〇一九年ラグビーワールドカップだけではなくて、翌年の二〇二〇年オリンピックでも会場となります。世界的なビッグイベントに必要な機能を備えていかなければなりません。
イングランド大会のメーンスタジアムとなりましたトゥイッケナム・スタジアムは、VIPのホスピタリティー、インゴール、LEDリボンビジョンなどの機能が私の目にはとまりました。
二〇二〇年大会では、東京スタジアムは七人制ラグビーだけでなく、近代五種の馬術の会場ともなることから、相互の大会競技に支障を来さないよう、大会間で十分な調整を図るとともに、周辺土地活用も含め、最も効果的な活用ができるような調整を行っていく必要があります。
また、会場内だけでなく、国内外からの観客がスムーズに東京スタジアムにお越しいただけるよう、事前によく検証しておく必要があると思います。
このような課題があることから、去年の第三回定例会におきまして、私は、東京スタジアムの会場の改修、交通アクセス改善の必要性について指摘し、ラグビーワールドカップ特別対策委員会では、その後の検討の進捗について質問を行ったところであります。
そこで、東京スタジアムにかかわる環境整備について、今後、具体的にどのように検討を進めていくのかを伺います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 東京スタジアムにつきましては、大規模スポーツ大会にふさわしい会場とするために、そのあり方について、現在、鋭意検討を進めております。
具体的には、臨場感を向上させるための仮設席の設置、フィールド面の拡張、フリーWi-Fi対応など、さまざまなメニューの実現性について調査をしております。
また、会場周辺等につきましては、隣接して新たに整備する武蔵野の森総合スポーツ施設との一体的な活用、ファンゾーンの設置、観客動線や移動手段の確保など、大会運営上必要な観点などから課題を整理しておりまして、さらに、地元市やJリーグ、交通事業者等とも連携協力をしてまいります。
今後、主催者でありますワードラグビーの視察、六月のテストマッチなどを経まして、さらに内容を掘り下げて検討を進めるとともに、東京スタジアムが二〇二〇年大会の競技会場でもありますことから、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会とも連携して、万全の準備を進めてまいります。
○川松委員 次に、クルーズ客船についてお伺いします。
クルーズ客船は、寄港により数億円の経済波及効果が期待できるなど、東京のさらなる経済成長に大きな役割を果たすものです。
世界のクルーズ客船隻数は、二〇一二年には三百六十隻と過去二〇年でおよそ三倍に増加するとともに、船舶の大型化が進展しております。
世界の主要港では、大型クルーズ船のみならず、同時に中小型の客船も寄港するなど、大小さまざまな客船が港を行き交っておりますが、複数のバースを保有することなどにより、こうした需要にしっかりと対応しております。
首都の玄関口である東京港がクルーズ客船を誘致するためには、海外主要港と同様に、二隻のクルーズ客船を同時に受け入れられるよう取り組んでいくことが必要だと考えますが、東京港では、今後、二バース体制をどのように確保していくのか伺います。
○武市港湾局長 委員ご指摘のとおり、増加する世界のクルーズ需要に対応していくためには、外国の主要港と同様、二隻の客船を同時に接岸できる体制を確保することが不可欠であります。
二〇二〇年の供用開始を目指して現在整備を進めております新客船ふ頭は、当初は一バースでの運用となることから、新客船ふ頭に二バース目を整備するための調査を来年度実施いたします。新客船ふ頭での二バース体制をできる限り早く実現していきたいと考えております。
それまでの間は、現在使用しております晴海客船ふ頭を引き続き使用することで、二バース体制を確保してまいります。
将来的に新客船ふ頭に二バース目が整備された暁には、晴海客船ターミナルを廃止し、クルーズ客船の受け入れは新客船ふ頭に集約することで、新客船ふ頭をクルーズ客船が集う一大拠点としてまいります。
○川松委員 需要をしっかりと確保していくためにも、ハード面での切れ目のない対応を図っていただきたいと思います。
国内でのクルーズ客船の寄港状況を見てみますと、主要港である博多港では、年間二百五十回を超えていますが、東京港の寄港数は年間二十回程度にとどまっています。これは、中国発着船が増加する中で、距離が近いという地政学的なメリットを有するためにふえているものとも考えられます。
一方、東京港は、羽田空港や東京駅に近く、国内外へのアクセスが至便なことに加え、都心に近く観光資源が充実しているなどの高いポテンシャルを有していることから、クルーズ客船の寄港地として非常に大きな魅力を秘めており、さらに寄港数を伸ばすことは十分に可能であると考えます。
そのためには、新たなふ頭の整備をするだけでなく、客船誘致にしっかりと取り組んでいくことが必要ですが、今後、クルーズ客船誘致に向け、より積極的な誘致活動を展開していくべきと考えますが、所見を伺います。
○武市港湾局長 クルーズ客船は、港の華といわれまして、クルーズ客船自体が新たな観光資源となることだけでなく、乗客の消費などにより大きな経済効果が見込まれるため、都としてその誘致に積極的に取り組んでまいります。
そのため、ハード面では、ただいま申し上げたような客船ふ頭を整備いたしますが、加えまして、ソフト面では、新客船ふ頭のプロモーション映像を新たに日本語、英語二カ国語で作成いたしましてPRに使うとともに、観光施策とも連携をいたしまして、国内外の船会社や代理店への営業活動を積極的に行ってまいります。
また、この五月、晴海客船ターミナルで開催されます日本最大級の船旅の祭典、クルーズフェスタ二〇一六へ出展するなど、これまで以上に多角的な取り組みを展開してまいります。
今後、こうしたクルーズ客船誘致活動を積極的に積み重ねることによりまして、国際観光都市東京の地位を確固たるものとしてまいります。
○川松委員 これまで述べてきたように、今のクルーズ船もそうですが、オリンピック・パラリンピック、ラグビーワールドカップ、あるいはMICE、水の都、さまざまなテーマが東京の観光にあると思います。
現在の東京を取り巻く状況は急速に変化していますけれども、それと同時に、外国人旅行者の数の伸びには目をみはるものがあります。
外国人旅行者が東京の有名な観光スポットをめぐりながらも、同時に交通機関を使い、物を買い、ホテルに泊まるなど、さまざまな面から都内の経済を活発にしているわけですから、こうした部分を今後もしっかりと伸ばすことのできるように、産業としての対応の力を高めていくことが大切であります。
このため、現在の海外からの旅行者による消費が一過性のものにとまることのないよう、経営の視点からよりレベルの高いビジネス展開に結びつけることは不可欠であります。
旅行者にとって限られた滞在の期間で、それなりのコストに見合うだけの満足のいくすぐれたサービスの提供をきちんと目指していく努力が大切です。
今お話ししましたクルーズ船での来訪者をふやし、都内ですぐれたサービスを受ける機会をふやすとともに、何度も東京を訪れて、そして、良質な宿泊施設に泊まりながら買い物を楽しむスタイルなどが今後広がっていく、これは大きな夢でもあり、希望であります。
多くの旅行者が興味を持つ観光資源を、新しい大胆な発想で積極的に生み出す取り組みも大切であります。水辺空間やライトアップ以外にも、活用の対象となるテーマはまだ数多くあります。そこで、さまざまな挑戦が必要なんだと思います。
ゆえに、都として観光を一大産業にという思いの中で、観光産業振興に取り組む知事としての決意を最後にお伺いいたします。
○舛添知事 観光を一大産業にするということで、まず経営面から、これはサポートしないといけない面がたくさんあると思います。
ロンドンとかニューヨーク、パリを見て、ホテルに泊まっても、レストランに行っても、いろんな催し物を見ても、やっぱりさすが向こうの方がプロだなと思う点がありますので、こういう点をしっかりやりたい。
それから、宿泊施設は、Wi-Fiを含めて情報がちゃんと提供できるシステムをやらないといけない。
それから、例えば旅館、こういうことをもっと活用していいと思います。和式の旅館ですね。
それから、先ほど来議論がありますように、水辺の空間を活用する、ライトアップを活用する、新たな観光資源の開発をやっていきたいと思っております。
今、私のもとで観光に関する有識者の会議を開いて、そこに外国の方にも入ってもらっておりますので、そういう面での議論を深めていって、観光を一大産業にし、二〇二〇年が終わった後も、さらに発展していくように全力を挙げてまいりたいと思っております。
○秋田副委員長 川松真一朗委員の発言は終わりました。(拍手)
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