予算特別委員会速記録第四号

○上野副委員長 石川良一委員の発言を許します。
   〔上野副委員長退席、委員長着席〕

○石川委員 まず、グランドデザインについてお伺いいたします。
 現在、二〇四〇年代の東京のグランドデザインを描くための議論が始まったところであります。昨年から開催されております検討委員会では、新進気鋭の有識者を招き、非常に刺激的な議論が交わされていると聞いております。
 私は、きょうのこの予算特別委員会の質問に当たって、二月十八日の第四回検討委員会を大いに注目していたわけであります。直接この目と耳でぜひ確認をしたいということで委員会に足を運んだわけでありますけれども、傍聴はできないということでありました。
 こうした会議の進捗は、あらゆるチャンネルを通じて都民に知ってもらうことにより、都民からの共感や理解にもつながっていくのではないかと思うわけであります。
 この東京のグランドデザイン検討委員会の傍聴のあり方について、まずお伺いをいたします。

○川澄政策企画局長 大局的な見地から、二〇四〇年代の東京のあるべき将来の姿を描くため、現在、知事を初めとする庁内メンバーから成る東京のグランドデザイン検討委員会を設置し、検討を進めているところでございます。
 これまで委員会では、幅広い分野の有識者や専門家を招いて議論を展開しており、先進的なアイデアもいただいているところでございます。
 この委員会では、有識者、専門家に自由闊達なご提言や意見交換を行っていただくため、傍聴席は設けておりませんが、委員会での有意義な情報は、都民を初め、広く世の中に共有することで、さらなる議論の展開にもつながることから、報道機関やホームページを通じて発信しております。
 今後とも、本検討委員会につきましては、傍聴のあり方や迅速な情報提供など、積極的な情報発信について引き続き検討を行ってまいります。

○石川委員 マスコミにはメモも、カメラの取材も許可をしているわけでありますから、傍聴できないということはちょっと理解に苦しむわけであります。
 私のところに委員会の案内状、これも多分、皆さんのところにも来たのではないかと思いますけれども、こういうものがあって、そして出席をしようとしたわけでございます。会議をオープンにすべきことをまずは求めておきたいと思います。
 本題に入らせていただきます。
 東京の都市づくりについて、知事は今まで何度となく後藤新平東京市長を例に出して、東京の都市計画の必要性を訴えてまいりました。そして、今回の施政方針の中でも、かつて後藤新平は、関東大震災後の東京を、震災後でありながら、そこに理想や夢や希望を込めていきましたと高らかにうたい上げております。昭和通りや靖国通りの話は有名ですが、土地区画整理事業、橋梁の整備、インフラの地下埋設など多くの事業を手がけたわけであります。
 またもう一人、震災復興で大きなリーダーシップを発揮した人物に渋沢栄一がいるわけであります。渋沢は経済界の重鎮として、長期的かつ国際的な視野から、民の力を結集し、復興計画を練りました。そして、徳川時代からの江戸城を中心とする軍都から、経済を中心とした経済都市を目指しました。道路補修、養育院設置、東京湾、築港、京浜運河の採用を提案したわけであります。
 計画実現のため、後藤新平は、既得権益勢力としての地主に対して、断固たる態度をとるというものでありました。大風呂敷ともいわれながら、合理的精神によるビジョンを示した後藤、そして、民の力を使いながら商業都市を夢見た二人のリーダーによって、全てが成就をしたわけではありませんが、世界に誇る首都東京に成長する基盤を築くことができたといえるわけであります。
 もう一つ、東京のまちづくり構想に欠かせないものに、グリーンベルト構想がございます。一九三九年、昭和十四年に策定された、大都市の過大膨張に対応するために、東京市の外周に九十六万二千ヘクタールの環状緑地帯を設置するとした東京緑地計画であります。欧米の緑地計画を源流とし、一九二四年のアムステルダムの国際都市計画会議に強く影響を受けたものといわれております。
 ほとんどは実現しなかったわけでありますけれども、今日の山の手にある大公園や河川敷の公園は、この計画によって整備をされたものであります。
 大きな構想をそのまま実現することは困難なわけでありますけれども、後の世にレガシーとして残っていくことは間違いありません。始まったばかりの東京のグランドデザインを策定するために、多くの専門家の知見に触れることも、都民の声を直接聞くことも意義のあることだと思います。
 同時に、指導的な立場にある人がしっかりとした構想を持ち、大所高所からリーダーシップを発揮することも同じように重要といえるでしょう。
 舛添知事は、海外の都市に生活をしたこともあり、また、経済文化面にも詳しく、政治学の専門家でもあり、また、政治家としてもさまざまな経験を有しているわけであります。二〇四〇年代の東京の都市づくりをどうしたいのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 石川委員のご質問、ありがとうございます。
 今から二十五年より先の未来をしっかりと描いておくことが、今の政策をきちんとやれることにつながる、そういう観点から、ハード、ソフト両方のいろんな知恵を働かさないといけないというふうに思っております。
 とりわけ、高齢化率が三割を超える、そして少子高齢化と、これが最も早く進むまちが東京でありますので、それを前提に置いた上で、例えば自動運転なんていう話がありますけど、これは極めて切実なニーズが出てくると思います。水素社会への転換ということもそうでありますし、それから、企業活動のあり方にしても、ハードの面からとソフトの面から、やっぱり考え直さないといけないし、我々が恐らく二十年後、思ってもいないような技術革新が生まれてくる可能性もあると思います。
 しかし、最終的には、東京に生まれて、東京で育って、東京で老後を過ごして、それでよかったなと、こういうまちにする必要があると思っていますので、そのためにさまざまな分野の方々のお知恵を頂戴しているわけでありまして、引き続き内外の知見も取り入れながら、都議会でのこういう議論も通じまして、よりよいグランドデザインをつくってまいりたいと思っております。

○石川委員 私も都市計画審議会委員を務めておりますけれども、個々の事業は、道路計画やビルの高さ、デザイン、カラーも、また、まち並みも、しゃれたまち並みが冠につく街区もありまして、それなりの整合性が図られているわけであります。
 しかし、東京都全体の中や、隣接するまち並みとの整合性まで図れているとはいえません。
 一昨年、私どもの会派でシンガポールに視察に行ってまいりました。ご存じのように、シンガポールの人口は二〇一三年ベースで五百四十七万人、面積七百十六平方キロと、ほぼ東京二十三区と同じ広さの多民族国家なわけであります。
 一九六五年にマレーシアから独立をしましたが、わずか四十年ほどの間に、ジャングルに囲まれた小さな港町から世界有数の商業センターと貿易港を持つ近代的なビジネス国家に成長し、しかも緑を大切にするガーデンシティーへと発展を遂げました。
 失われた二十年などともいわれておりますけれども、我が国がデフレ経済に見舞われ、停滞をしている間も成長を続け、今ではアジアで最も豊かな国に成長したわけであります。政治の安定もあり、しっかりした都市計画に基づくまちづくりは、東京のグランドデザインを考える上でも大いに参考になるわけであります。
 私たちは、URA、都市再開発局のシティーギャラリーをイの一番に視察をしたわけでございます。都市計画についての歴史やまちができ上がっていくプロセスがわかりやすく展示をされておりました。また、五百四十七万人が住んでいるまちが、模型、いわゆるジオラマとなって、一目瞭然シンガポール全体を見渡すことができるわけであります。しかも、今のまちの姿だけではなく、将来のビルのデザインまで構想としてつくられているわけであります。
 四十年から五十年先を見越した長期的、包括的な構想としてのコンセプトプランが、これを具体化するためのマスタープランで細部まで計画をされ、十年から十五年先の開発の指針となっているわけであります。
 これは、東京に当てはめますと、グランドデザインと長期ビジョンとの関係になるかと思います。東京のまちづくりに欠けているのは、この長期プランの中での総合性と統一性というふうにいえるのではないかと思います。
 都市計画のグランドデザインを進めるに当たって、東京のまちづくりの現状と将来のビジョンなどを、シティーギャラリーのような取り組みの中で示していくことが重要であると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 石川委員ご指摘のように、諸外国の都市に行きますと、ジオラマでそのまちの姿を描いたものがあって、これはもう本当にたくさんの方々が海外から見に来られる、ぜひ我々もこういうものをつくりたい。というのは、鳥の目で上からぱっと見るというのは、非常に都市計画全体もよく見えるようになるので、昨年十一月に石井国土交通大臣と会談した際にこの話が出まして、国土交通省と東京都が連携して、そこに民間企業も入れて、ジオラマ、シティー・フューチャー・ギャラリー、仮の名前ですけれども、これをつくろうじゃないかということで一致をいたしました。
 先月、一回目の会議を開催しまして、海外の大きな都市がどういうふうにこれをやっているのか、観光にどういうふうに生かしているのか、都市づくりにどう生かしているのか、こういうことを紹介しながら検討をやったわけでありますけれども、今後、こういう会議を続けながら、すばらしいシティー・フューチャー・ギャラリーをつくりたいと思っております。

○石川委員 東京の都心のまち並みを忠実に再現した巨大ジオラマ模型を設置することで、東京のまちづくりが見える化することになり、総合性を持ったまちづくりに大きく前進をするのではないかと期待しております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックまでには間に合うというタイムスケジュールで進めているというふうに聞いておりますが、都がぜひリーダーシップを発揮して、都市計画の拠点であると同時に、観光の名所となるように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 一方、特に東京は治安は世界一ですが、大震災に備えるという、安全・安心社会を実現する上で大きな課題を抱えているわけであります。
 木密の改善や特定整備路線の整備、緊急輸送道路、沿道の耐震化など防災対策を進めておりますが、こうした事業の進捗状況を、シティーギャラリーを通じて見える化していくことについて、都の見解をお伺いいたします。

○安井東京都技監 海外では、都市の模型などを展示している例もございますが、具体的な展示内容や手法等につきましては、今後、国などとともに検討していくこととしてございます。

○石川委員 土地区画整理事業や再開発事業、木密地域の整備等の防災事業など、規模が大きくなればなるほど、権利者はまず、先が見えず不安となるわけであります。整備前と整備後の計画を見える化することで関係者の理解が深まり、事業の促進につながっていくのではないかと思っております。ぜひ取り入れていただきたいと思っております。
 さて、この二年間、知事の所見を伺っておりますと、思い入れの強いものに、欧米と比較をして最もおくれている電柱の撤去と電線等の地中化があるのではないかと思います。国でも、法整備することが与党の国会議員の中で議論がされているわけであります。
 東京都も、オリンピック・パラリンピック開催もにらみながら、東京都無電柱化推進計画第七期を策定したところであります。
 そこで、都は、無電柱化にどう取り組んでいくのかお伺いいたします。

○佐野建設局長 無電柱化は、良好な都市景観の創出や安全で快適な歩行空間の確保並びに都市防災機能の強化を図る上で重要でございます。
 都は、平成二十六年十二月に策定した第七期の無電柱化推進計画に基づき、二〇二〇年東京大会の開催までに、センター・コア・エリア内の計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させます。
 また、都市の防災力を高めるため、周辺区部や多摩地域では、第一次緊急輸送道路及び主要駅周辺を中心に事業を推進してまいります。
 特に、災害時の避難や救急活動、物資輸送を担う第一次緊急輸送道路につきましては、その五〇%を平成三十六年度までに無電柱化してまいります。

○石川委員 都道と区市町村道、合わせて七十五万四千本もの電柱が東京にはあるといわれておりますが、これ以上電柱をふやさないために、区画整理や再開発などまちづくりの機会を捉えて、電柱を新たに立てないことを目標にした計画を打ち出すなど、東京の都市づくりを考える上で、無電柱化の取り組みを一層推進する必要があると思っております。
 国もいずれ無電柱化のための法整備の方向に進むと思いますが、国に先駆けて進めていただきたいと思います。
 もう一つ、知事の言葉に情熱を感じる施策に、自転車が走るまち東京の実現があります。
 東京の交通政策を考えると、自転車は重要な役割を果たすものであり、自転車の活用を積極的に図るべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○安井東京都技監 自転車は、健康の維持や増進にもなる身近な交通手段でございまして、環境に優しく誰もが使いやすい交通体系を構築するため、一層活用することが重要でございます。
 このため、都は、学識経験者を含めた検討会からの提言を踏まえ、自転車走行空間のネットワーク化やシェアサイクルの活用、交通ルールやマナーの徹底などに取り組んでございます。
 今後とも、関係各局や区市などと連携しながら、これらの施策を推進いたしまして、東京の実情に合わせた自転車の利用環境の整備を図ってまいります。

○石川委員 無電柱化や自転車に関する取り組みは、オリンピックの終了で終わるわけではないわけで、大胆に、しかも長期的な視点から取り組み、東京の都市づくりのグランドデザインの中にしっかりと位置づけていただくことを要望しておきたいと思います。
 続きまして、少子化対策について伺います。
 我が国の人口は平成十七年に減少局面に入り、少子化問題は社会経済の根幹を揺るがしかねない待ったなしの課題となっています。次代の社会を担う子供を安心して産み、育てることができる環境を整備し、子供が健やかに育つことができる社会の実現のために、内閣府では総合的な少子化対策に取り組んでいますと、内閣府は少子化対策の冒頭で語っているわけであります。そして、少子化社会対策大綱を平成二十七年に策定し、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目のない支援体制を整えるとしております。
 一方、都も、舛添知事当選直後から、子育て支援としての保育事業等による待機児ゼロを目指す具体的な施策を進めており、長期ビジョンにも位置づけられているわけであります。
 まずは、都が進めている少子化対策の内容について、改めてお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 子供を持ちたいと希望する全ての人が安心して子供を産み育てられるようにするためには、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制を整備することが必要でございます。
 そのため、都は、妊娠や出産に関する相談窓口の設置や、不妊治療助成を都独自に拡充するほか、地域における子供と家庭の相談窓口である子供家庭支援センターの体制強化や、保育サービスの拡充等に取り組む区市町村を支援しております。
 また、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援体制の整備を進める区市町村を支援するため、今年度から、ゆりかご・とうきょう事業を実施しております。

○石川委員 国や東京都も区市町村も、少子化対策の一環として子育て支援を重視し、待機児ゼロを目指しているわけであります。
 女性が社会に出て働き続けられる環境をつくっていくことは、国民経済を維持する上でも重要なわけであります。ワークライフバランスという言葉に象徴されるように、長時間労働からの解放によって、男性も子育てや家事にバランスよく参画できる環境をつくり、女性も働き続けることが可能な社会をつくっていくことは、これから実現しなければならない課題なわけであります。
 しかし、残念ながら、子育て支援の充実に比例して出生率が上昇するというふうに、単純にはいかないわけであります。なぜならば、少子化の直接的な原因は、結婚したくても結婚できない状況が続いたことによる未婚化率の上昇によるものだからであります。
 婚活という言葉の生みの親である中央大学の山田昌弘教授は著書の中で、少子化の主因は、未婚者の増大にあることがなかなか受け入れられない。結婚しているカップルは二人程度の子供を産み育てている。特に一九八〇年から一九九〇年代の少子化は、ほぼ一〇〇%未婚率の上昇によって説明できる。二十一世紀に入ってから、既婚者の子供の数も減少傾向にあるが、それでも少子化の七割は未婚者の増大に起因している。そしてこれは、人口学者など研究者の間では常識となっている事実である。しかし、実際に保育所の不足など、既婚夫婦にとっての子供の育てにくさばかりが報道されてきた。少子化の原因としての未婚者の増大は、近年ほとんど語られてこなかった。学会も同じで、子育てに関する研究は数多いが、結婚に関する研究は社会学でも経済学でもほとんど行われてこなかった。政策の現場でも子育て支援のみ議論され、結婚をどうするかは全く手がつけられてこなかったと述べております。
 氏は過去に、厚生省の人口問題審議会、経済企画庁国民生活審議会、東京都児童福祉審議会、東京都青少年協議会、内閣府国民生活審議会で委員として発言する場を持っていたにもかかわらずなわけであります。
 私も氏と直接会う機会があり、少子化の原因は、日本では結婚問題であることが、ようやく最近、婚活ブームなどで理解できるようになり、行政も関心を持ち始めているとのことでありました。
 少子化の直接の原因は未婚化にあるとの考えに対しまして、都の基本的な考え方、認識を、改めて伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 少子化の直接の要因は、未婚化・晩婚化、初産年齢の上昇、夫婦の出生力の低下の三つといわれております。
 こうした現象の背景としては、結婚や子供を持つことへの価値観の多様化や子育てに対する負担感の増加、不安定な就業状況など、さまざまな要因があると認識をしております。

○石川委員 三つの要因といっておりますけれども、我が国の場合は、結婚した男女の間に生まれた子供の平均出生数は、一九七二年で二・二人が二〇一〇年で一・九六人となっているわけで、四十年経過をしてもそんなに大きく変化しているわけではありません。しかも、結婚していない男女の間に生まれた子供の出生割合は、出生全体の二%程度で、他の先進国フランスなどの五二%等と比べても極端に少ない社会といえるわけであります。ですから、結果からして、少子化の直接的な原因は、結婚しない男女がふえたことにたどり着くわけであります。
 では、どうして若い男女が結婚しなくなったのかを明らかにしなければなりません。
 二〇一三年に、少子化の原因を分析する、内閣府の家族と地域における子育てに関する意識調査の結果が公表されております。
 それによると、若い世代で未婚、晩婚がふえている理由について、未婚男性は、経済的に余裕がないからとの回答が五割以上で最も多かったわけであります。未婚女性では、独身の自由さや気楽さを失いたくないから、希望の条件を満たす相手にめぐり会わないからと続き、未婚や晩婚の背景に、経済的理由と希望を満たす相手との出会いが足りないことが浮き彫りになっております。
 将来の結婚の意思について、七割以上の人が結婚したいと回答しております。多くの若者が、将来、家庭を持つことを望み、希望する子供の数は平均二人以上となっているものの、晩婚化が進み生涯未婚率が上昇しており、国民の希望をかなえることができないのが現状なわけであります。結婚活動、いわゆる婚活に対する支援が必要なことは明らかなわけであります。
 そこで、東京都は、結婚支援のためにどのような施策に取り組んでいるのか、また、新年度取り組もうとしているのか、お伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都は今年度から、東京子育て応援事業を開始し、NPO法人や企業が実施するさまざまな先駆的、先進的取り組みの立ち上げを支援しております。
 この事業では、若者支援、出会い・結婚支援、親子の健康づくり、多世代交流、子供・子育て支援の五事業を対象としており、今年度は十六件を採択いたしました。このうち、出会い・結婚支援事業では、地域に根差したボランティアサポーターによる出会いの場づくりを行う事業を採択しております。
 現在、来年度の事業者募集に向けた準備を進めており、今後とも、社会全体が連携して子育てを支援するという考えに立って事業を進めてまいります。

○石川委員 比較的長い答弁をいただいたわけですけれども、金額で見ますと、都が行っている出会いや結婚支援事業は、平成二十六年度四百七十万円、二十七年度五百万円、都全体ということであります。まさに、スズメの涙程度というふうにいわざるを得ないわけであります。
 内閣府が行っている切れ目のない支援の中で、結婚支援事業がすっぽりと抜け落ちているということになるわけであります。
 私は、一昨年の都議会決算特別委員会で少子化問題を取り上げ、結婚支援の大切さを訴えてきたわけであります。結婚の問題は極めて個人的な問題であり、行政が関与する必要はないという意見も一方にはあります。しかし、本人はもちろんのこと、家族も含めて、婚活に対する期待はますます大きくなっており、私たちが地域で都民の要望を伺っても、まさに真正面からこの問題に取り組まなきゃならない課題だということを実感するわけであります。
 鹿児島県では、鹿児島県県民生活局青少年男女共同参画課が、小冊子婚サポBOOK、結婚への扉読本を平成二十七年十月に発行し、身だしなみ、食事マナー、挨拶、立ち振る舞い、会話、メールなどの具体的なアドバイスを行い、メールマガジンに登録すると、市町村が実施する独身男女の出会いのイベント情報等の配信も受けられるようになります。
 また、鹿児島県が婚活運営を民間会社に委託し、婚サポセミナーやフォーラムを月二回から四回実施し、行政の関与で事業の信頼性を高め、民間の参入で、きめ細かいサービスを受けられるというメリットが生まれております。
 長野県では、ながの結婚支援ネットワークとして、県内で結婚支援を行っている市町村や社会福祉協議会等の関係団体がネットワークを組んで、結婚を希望する男女に出会いの機会を広げる活動を行っております。また、自分の希望する結婚条件に合う相手を検索できるシステムを構築しております。
 地方では、日本創生のための将来世代応援知事同盟が十二の知事の参加で結成をされ、昨年七月に国に対して、財源確保などの働きかけも始まっております。
 地方都市では、既に早くから結婚活動の支援に取り組んでいるわけであります。県が婚活にしっかりと取り組むことで、出会いの場に対する社会的信用度が高まり、民間の事業者は出会いの場の具体的な運営を任されることによって、官と民が連携し、そのよさを発揮しながら婚活事業を進めているケースが拡大しつつあるわけであります。
 舛添知事は、本年二月八日、加藤勝信一億総活躍担当大臣と会談した際、結婚支援についても何かできないか考えてみたいと答えたとの報道がございました。
 国も結婚支援に取り組み始めているわけでありますけれども、結婚活動の支援に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。

○舛添知事 石川委員、全体の政策体系からいいますと、結婚する、仕事はちゃんと雇用がある、それから例えばワークライフバランスがきちんとなっていて、例えば、女性も力いっぱい仕事もできる、家庭も支えられる。まさに保育所がなければ子供をつくれませんから、そういう意味では、保育所をしっかり、待機児童ゼロと。それから住むところどうするんだ、都営住宅含めての住宅。こういう政策をまずしっかりやるというのが私の第一であって、そこから先の婚活とか結婚支援なんですけど、先ほどちょっとおっしゃったように、いろんな個人の価値観とか人生観があるので、余り行政がどこまで介入していいかという問題があると思います。
 今ちょっと考えていますのは、例えば私の経験からしましても、ボランティア活動、これから二〇二〇年に向かってたくさんございまして、私の経験は、森林のボランティアをやっていたときに、そういう仲間で、同じ自然を愛するという仲間でカップルとして生まれた方がおられました。今もうお子さんも二、三人できておられます。
 だから例えば、そういうボランティア活動や何かの場をうまく同時に活用して結婚支援ということも考えていいかなと、そういうことであれば、予算をつけるときもつけやすいというか、一石二鳥になりますから。
 私はやっぱり二〇二〇年に向かってボランティア社会をつくっていくという中で、大変すばらしい、婚活というか結婚支援の場が生まれるのではないかと思っていますので、これはまた議会の皆さん方のお知恵も拝借して、よりよい形で結婚支援ということ、これは、まつば委員がご質問してくださいましたけれども、同じような観点からも取り組んでまいりたいと思っております。

○石川委員 知事がおっしゃるとおり、本当にボランティア、さまざまな組み合わせでもって支援をしていく。ただ、いずれにしろ、結婚支援というものが、まだなかなか光が当たっていないということをしっかりとまず対応していただければありがたいなと思っております。
 中長期的な課題として男女共同参画社会の確立が必要であり、特に経済的な理由で結婚にちゅうちょする人が多いことも明らかにされているわけであります。派遣職員やフリーターとしてしか職につけなかった人のためにも、正規職員化への都の支援は重要と考えます。
 女性は男性に自分より高い収入を求めるため、結果として、結婚したい女性の要望を満たせないというミスマッチが起こっているわけであります。そこで、男性も女性もともに働き、二人の収入で生活を維持するという現実的な価値観への転換が求められるわけであります。
 欧米のように、収入の多寡にかかわらず結婚に至る、いわば結婚のあり方に対する価値観と選択の多様化が求められているわけであります。
 最近、草食系の男子がふえているなどといわれております。確かに男女の関係に対するアンケート調査などでも、そのことが裏づけられているわけであります。欧米では、結婚相手は自分で探し、自分で決めるものという考え方が定着をしております。日本では、自分で伴侶や交際したい異性とお付き合いをすることができる準備が、学校教育でも家庭教育の場でもなされておりません。
 教育の場に、特に高等学校において、結婚に関する教育をどのように行っているのか、お伺いいたします。

○中井教育長 高等学校では、学習指導要領に基づき、公民科、保健体育科、家庭科において、婚姻、家族生活に関する学習を取り扱っております。
 公民科においては、基本的人権の学習で、憲法に触れながら、婚姻、家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等について扱っております。
 また、保健体育科においては、心身の発達や健康状況などの観点から、結婚生活について指導しています。
 さらに、家庭科においても、男女が相互に協力して、家族の一員としての役割を果たしながら家庭を築くことについて考えさせる授業を行っております。

○石川委員 アメリカなどでは、中学から異性間のデート行動を促すような学校主催のパーティーが行われることは特殊なことではありません。十代の前半から異性との付き合いに関しての教育を行っているわけであります。
 日本では、このような若者のデート行動を促す学校行事もありませんし、日本における結婚活動は、家庭や教育現場での予備教育や訓練なしで進行しているわけであります。ですから、各県が実施しております結婚活動のための基本講座は、男女の交際の基本マナーが中心といえるわけであります。
 ぜひ今後、教育の場で結婚活動の準備活動としての異性との交際を促す、座学だけではない教育プログラムを検討していただきたいと思います。
 最後に、少子化対策は、都の担当もさまざまなセクションに分かれているわけであります。ぜひ都庁内に少子化担当セクションを立ち上げ、ワンストップに近いサービスが可能な組織を考えていただきたいというふうに思いますけれども、見解をお伺いいたします。

○川澄政策企画局長 少子化対策につきましては、これまでも安心して子供を産み育てることができる環境の整備に向け、子育て支援施策など各局で必要な取り組みを実施しているところでございます。
 今後も、関係各局の緊密な連携のもと、一体的に施策を展開してまいります。

○石川委員 都は、内閣府のいうところの切れ目のない支援の最初の結婚支援事業を早期に、しかも大胆に具体化をして、少子化問題という長期にわたる大きな問題を担当するセクションも立ち上げていただくことを要望しておきたいと思います。
 次に、都施行の坂浜平尾土地区画整理事業のその後についてお伺いいたします。
 多摩ニュータウン開発事業、約三千ヘクタールの一〇%の面積に当たる約二百九十ヘクタールが、稲城市のニュータウン面積に当たります。稲城市域の人口計画は二万七千人であり、五万人ほどの既存の人口規模に対する比率としては大きなものといえるわけであります。多摩市の諏訪、永山地区が昭和四十六年三月に入居が始まりましたが、稲城市域は昭和六十三年三月に初入居ということで、多摩ニュータウンの東の都心に最も近い玄関口に当たりますが、十七年もおくれてのまち開きとなったわけであります。それは、稲城のニュータウンエリアは、流域の一級河川、三沢川の雨水を処理するための分水路をトンネルでつくり、直接多摩川に放流する事業の完成を待たざるを得なかったことに最大の原因があるわけであります。
 多摩ニュータウン開発は、当初は、新住宅市街地開発法に基づき、強制的に用地買収を進めてきたわけですから、農業などで生活を営んできた人たちがどのように生活の糧を得るのかという問題が生じたわけであります。土地区画整理事業も残された土地活用を図るという、まさに生活再建の一環としても進められており、また、白抜き地区に対する都や公団の責任として実施をされてきたわけであります。
 多摩ニュータウンにたくさんあった白抜き地区、つまり、従来から集落が形成されていた地区のうち、これまで東京都が進めてきたまちづくりについてお伺いいたします。

○安井東京都技監 多摩ニュータウン開発におきまして、従来から集落が形成されていた地区では、地元自治体と合意の上、都施行の土地区画整理事業等により宅地造成や道路、河川等の公共施設整備を行い、新住宅市街地開発事業の施行地区と調和のとれた一体的なまちづくりを進めてまいりました。

○石川委員 稲城市のニュータウンに接続する比較的狭い白抜き地区は、個別整備地区として、道路や下水道等の整備が他の地域に先行して終了しております。
 一方、坂浜西地区は面積も広いために、土地区画整理事業として進めることとしたわけであります。そして、平成九年八月一日に、都施行の坂浜平尾土地区画整理事業が事業決定をされたわけであります。
 このフリップボードをごらんいただきたいと思います。面積は二百十一・九ヘクタール、計画人口一万四千人、総事業費一千百億円、減歩率四五から四七%という大事業がスタートしたわけであります。
 京王線に新駅をつくるという都市計画決定もされており、京王線の稲城駅と若葉台駅は三・四キロあり、京王線の中では一番長いということで駅の構想もあったわけであります。そして、この水色のところ、これは日本大学の、川松委員さんなどがラグビーを教えているグラウンドですけれども、こういうものもあります。文教的なものもあり、バランスのとれたまちづくりを進めていくということになっていたわけであります。
 いわば多摩ニュータウン、二百九十ヘクタールと比較をしても、引けをとらない二百十二ヘクタールという大規模なもので、東京都は公的住宅を建設する用地を求めており、この土地区画整理事業を想定している坂浜平尾地域で用地の先買いを行い、十四・六ヘクタールほどを東京都も用地を取得したわけであります。しかも、土地区画整理事業決定までの間、都道や一級河川の整備も下水道などの整備も二重投資を避けるために、先送りに先送りを重ねての決定となったわけであります。
 ところが、平成十一年に策定された東京都の財政再建推進プランによって、東京都は新しい公的住宅建設は一切行わないという政策転換と、経済の低迷により事業採算がとれないという理由で、坂浜平尾土地区画整理事業の実施は困難との方向が示されました。結果として、稲城市のまちづくり計画そのものが振り出しに戻ってしまったわけであります。
 稲城市はまちづくりのための手法として土地区画整理事業を推進しており、市も地権者も、中止の決定には、そのショックは並大抵のものではなかったわけであります。しかも、平成九年の都市計画変更で、ニュータウン白抜き地区も市街化調整区域も消えてしまったわけであります。
 都施行の坂浜平尾土地区画整理事業は頓挫をしたわけですが、おくれている都市基盤整備事業を推進する義務を、旧白抜き地区はもちろんのこと、エリア全体に対して都は負っていると強く指摘をしなければなりません。
 さて、坂浜平尾土地区画整理事業は、その後、地区計画により、平成十九年十月に坂浜西地区地区計画の決定がなされました。面整備区域として、上平尾地区、面積二十五・一ヘクタール、事業費八十八億五千万円の事業が平成二十二年七月に、小田良地区は面積二十九・三ヘクタール、事業費百一億円が平成二十四年十二月に、組合施行の土地区画整理事業としてスタートをしたわけであります。都施行の坂浜平尾土地区画整理事業で実現すべきことを、組合施行の土地区画整理事業として推進をしているわけであります。
 都施行の区画整理を中止をするかわりの事業として、平成十六年に稲城市長と東京都建設局長との間で結ばれた坂浜平尾土地区画整理事業見直しに関する覚書は、先行買収した都有地については道路及び河川事業の代替地とするほか、公園計画地への集約及び組合土地区画整理事業の今後のまちづくりへの活用を図るとなっております。
 またさらに、坂浜平尾土地区画整理事業見直しに関する覚書についての確認書を東京都と稲城市の、これは部長間で結んでいるわけであります。
 先行買収用地について、約束に基づいて、今後まちづくりをどのように、この用地を活用していくのかお伺いをいたします。

○安井東京都技監 先行買収した都有地につきましては、道路及び河川事業を進める中で、必要に応じて事業用地や地権者の代替地として活用してございます。
 また、現在進められている組合施行の土地区画整理事業におきましては、都は地権者として事業に協力してございます。
 坂浜平尾のまちづくりを進める上で都有地の活用は有効であり、引き続き地元の意見を聞きつつ、関係局と調整してまいります。

○石川委員 坂浜平尾土地区画整理事業は、現状六〇%ある緑被率を開発後も四〇%以上に維持する計画となっております。その大きな計画を担うのが総合公園としての小田良谷戸公園十五ヘクタールと、清水谷戸緑地十四・七ヘクタールであります。この緑地は手つかずの緑として残されており、オオタカの生息も確認をされており、公有地化が待たれるわけであります。
 この清水谷戸緑地は、届け出のない造成工事が行われたり、ミニ開発が進みつつあるエリアとなっております。貴重な都内の緑を保全することが大変重要なことであり、事業化を図り、緑の保全を進めるべきと考えるわけであります。
 都市計画決定された、この清水谷戸緑地と小田良谷戸公園の現状についてお伺いいたします。

○安井東京都技監 小田良谷戸公園、清水谷戸緑地は、区域面積が約三十ヘクタールでございまして、現在はおおむね樹林地となってございます。
 このうち、小田良谷戸公園の約六ヘクタールにつきましては、稲城市が特別緑地保全地区に指定をしてございます。
 なお、この公園緑地は、都が区市町とともに策定いたしました都市計画公園・緑地の整備方針におきまして、効果的な緑のネットワークを形成する観点から、事業の重点化を図るべき公園、緑地ではございます。
 しかしながら、近隣に既に避難場所が指定されていることから、防災上の優先度の観点からは、現在の整備方針が目標としている平成三十二年度までに優先的に整備を図る区域としては定められてございません。

○石川委員 この公園緑地を都が早期に優先事業地区に指定することを要望しておきたいと思います。
 当初、土地区画整理事業を進める大きな要因として、ミニ開発によるまちのスプロール化を避けることにあったわけであります。しかし、都施行を前提として土地区画整理事業が頓挫したことによって市街化調整区域の縛りも解かれ、ミニ開発を引き起こす原因となったことも明らかなわけであります。違法な開発はしっかりと監視をしていただきたいと思いますし、先ほどの覚書の中でも、都の先行取得用地を公園計画地に集約することになっております。この約束をしっかりと実行することを強く求めておきたいと思います。
 小田良谷戸公園は、都立公園であるにもかかわらず、稲城市が六・二ヘクタールは特別緑地保全地区に指定をして、市が確保する努力をしております。都も残された貴重な緑の確保に全力投球をしていただきたいと思います。
 次に、個別の事業についてお伺いをいたします。
 鶴川街道は、現在、面整備ではなく、都の道路整備により拡幅が進められることになっております。
 そこで、現在の進捗状況と今後の整備予定についてお伺いいたします。

○佐野建設局長 鶴川街道は、町田市から稲城市を経て調布市に至る幹線道路でございます。現在、神奈川県境から駒沢学園入口交差点までの約一・八キロメートルの区間で道路拡幅事業を実施中でございます。
 これまでに、若葉総合高校入口交差点におきまして、右折レーン設置工事などを実施いたしました。
 平成二十八年度は、引き続き用地取得を進めるとともに、電線共同溝や歩道の設置工事を実施するなど、整備に取り組んでまいります。

○石川委員 坂浜平尾土地区画整理事業の中止によって、その後の対応には都に大きな責任があることは論をまたないわけであります。知事が就任をする前のことになるわけでありますけれども、負のレガシーも現に存在をしているわけであります。二百十二ヘクタールという、しかも一千百億円の事業が中止になった影響は極めて大きいわけであります。
 特に、東京都にとって重要な緑の問題もあります。多摩ニュータウンに関係する積み残しのまちづくりをどうするのかという問題でもあるわけでございます。約束された事業を早期に進めていただくことを求めまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○早坂委員長 石川良一委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時七分休憩

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