予算特別委員会速記録第四号

○秋田副委員長 斉藤やすひろ委員の発言を許します。
   〔秋田副委員長退席、上野副委員長着席〕

○斉藤(や)委員 初めに、訪日外国人に対する医療提供体制について質問をしたいと思います。
 舛添知事は、観光を一大産業に位置づけるとともに、既に東京都長期ビジョンにおきましては、東京二〇二〇大会時の東京の姿といたしまして、外国人が安心して医療を受けられる環境が実現していると、このように書かれているわけでございます。
 観光客のインバウンドの増大はとても経済的にはすばらしいことでございますし、国際都市東京としてPRする絶好の機会でございますけれども、ただ、この医療提供体制という点では若干難しい問題があるというふうに認識しております。知事も、それはよくご存じだというふうに認識しております。
 いつ、どこで、どのような患者が受診してくるのか、予想が困難であるということ。そして、これまで外国人観光客を診療してこなかった医療機関の方々も診なければならないような状況が生まれてくること。そして、医療費の支払いをめぐる問題等々でございます。
 国は、こうした中で、国際的に高い評価を得ている日本の医療サービスを外国人が安心して受けられる体制を整備するために、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、通称JMIPを創設いたしまして普及促進をしています。
 都立病院におきましても、東京二〇二〇大会までの認証取得を目指していると聞いておりますけれども、まず都立病院におきまして、東京二〇二〇大会はもとより、その前年に開催されるラグビーワールドカップ二〇一九に向けまして、JMIP認証の取得を着実に進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○真田病院経営本部長 JMIPは、診察や看護、検査などにおける対応が適切であるかに加え、異文化への対応など外国人患者受け入れ体制の状況について、第三者機関が対応マニュアル等の書面調査や現場への訪問調査を行い、評価するものでございます。
 まず、平成二十八年度は、大使館等が近隣にあり、国の医療通訳拠点病院にも認定されている広尾病院で、認証取得に向けた具体的な取り組みに着手いたします。
 次に、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向け、会場に近接する多摩総合医療センター、高度救命救急センターを有する墨東病院、感染症医療を重点医療とする駒込病院等で早期取得に取り組みます。
 そして、東京二〇二〇大会の前年度までに、全都立病院でのJMIP認証の取得をいたします。

○斉藤(や)委員 来年度はまず、広尾病院が認証取得を目指すということです。そして、ラグビーワールドカップ二〇一九の開会式や開幕戦が開催される多摩の味スタ、味の素スタジアムの近くの多摩総合医療センター、これも早期取得を要望しておきたいと思います。
 次に、東京の民間医療機関の話でございますが、東京には病院が約六百五十、そして、民間病院がそのうち約九割を占めておりまして、民間の診療所は一万二千を超えているという現実がございます。
 外国人患者を受け入れる体制を充実させる意味では、民間の皆様のご協力というものもまた必要だということになるわけです。今まで外国人は、都心に集中している場合はホテルのホテルマン等の連絡がございますけれども、民泊とか、地域にこれから分散していきますと、地域での受け入れ体制というものがまた重要になってくるわけでございます。
 そこで、その体制充実に向けて、民間医療機関を支援すべきと考えますけれども、今後の都の取り組みについて見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は現在、医療機関に対し、外国人患者が休日、夜間等に来院した場合に利用できる電話での通訳サービスを、英語、中国語、ハングル、タイ語、スペイン語の五カ国語で行っております。
 来年度は、さまざまな国や地域の文化、宗教、習慣の違いなどを理解した上で、外国人患者に適切に対応できるよう、病院や診療所に従事する職員を対象とした研修を実施いたします。
 また、国が創設した外国人患者受け入れ医療機関認証制度、JMIPでございますが、これの認証取得に取り組む医療機関に対する独自の補助も開始し、外国人患者の受け入れ体制の充実を図る医療機関を支援してまいります。

○斉藤(や)委員 独自補助も実施するということでございますが、東京を訪れた外国人旅行者が安心・安全に過ごしていただけますよう、民間医療機関への支援につきまして、これからしっかりと行っていただきたいと思います。
 一方、都内のさまざまな医療機関で外国人を受け入れる体制を整備したといたしましても、けがや病気で困っている外国人ご本人が実際にその体制が整った医療機関にアクセスするためには、それがわかっていなければなりません。その外国人の方々が的確な情報を入手できないと意味がないわけでございます。
 そこで、都におきましては、外国人患者がより利用しやすい医療情報提供サービスの充実を図っていくべきと考えます。都の見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、医療機関案内サービス「ひまわり」のホームページを通じまして、外国語で受診できる医療機関や診療科の情報を英語で提供いたしますとともに、英語、中国語、ハングル、タイ語、スペイン語の五カ国語で外国人の方からの電話の相談に対応しております。
 また、現在、都内全ての病院と宿泊施設や外国人旅行者を対象に、病気やけがをした際にどのような情報が必要か、どのような方法で情報を入手しているかなどについてアンケート調査を行っており、海外主要都市が外国人旅行者に対し医療情報をどのように提供しているかについても、事例を調査しております。
 今後、調査結果も踏まえながら、外国人への医療情報提供サービスの充実を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 大変大事な調査をされているということでございましたが、この調査の分析、検討をしっかり行っていただきまして、外国人旅行者に対して、病院だけでなく、診療所も含めた情報をよりわかりやすく、利用しやすく提供していただきたいと思うわけでございます。
 次に、東京消防庁でございますが、外国人傷病者に対応をどのようにしているかということをお伺いしたいと思います。
 東京に来られる外国人の増加に伴いまして、当然外国人の救急搬送もふえております。
 外国人観光客の救急搬送では、言葉が通じないために、現場にたどり着いてもそこに滞在する時間が長くなる傾向がある、そして軽症者が比較的多い、一般の全搬送平均よりも一〇%多い約六二%が軽症というふうに伺っております。
 今後、民泊等が本格的に始動しますと、外国人旅行者による地域の分散が広がっていきますと、頼りになる方がそばにいないわけですから、一一九番通報が多くなると予想されます。
 そういったときに、一つの対応策といたしましては、東京消防庁救急相談センターによる外国人旅行者への対応体制を整えた上でではございますけれども、いわゆるシャープ七一一九を外国人の方にも周知していくべきじゃないのかなと、このように私は思うわけですが、東京消防庁の見解を伺いたいと思います。

○高橋消防総監 現在、東京消防庁救急相談センターでは、相談に迅速に対応する必要があることから、相談者の国籍や旅行者であるかどうかの確認をしておりませんが、本年の外国人と思われる方からの相談は、二月末現在で七十二件でございました。
 一方、外国人旅行者の救急搬送件数は、平成二十七年中の速報値で二千百七十四件であり、平成二十六年と比べて約六百件増加しております。
 今後、二〇二〇年東京大会を控え、さらに外国人旅行者の増加が見込まれることから、外国人にも安心して相談していただけるよう、救急相談センターの外国語対応と周知について検討を進めてまいります。

○斉藤(や)委員 これはひとえに福祉保健あるいは消防庁、病院経営ということだけじゃなくて、観光部局もぜひとも協力をいただきまして、観光者にシャープ七一一九を知っていただくような方法、例えば人気のブロガーにつぶやいていただくというのも一つだと思いますけれども、多角的な発信が今後重要になってくると思います。
 次の質問でございますが、訪問看護の推進についてでございます。
 訪問看護は、医療と介護をつなぐ大事な地域包括ケアシステムの中心的役割を担っておられます。
 昨年の第一回定例会一般質問で、私は訪問看護ステーションにおける人材の確保、育成等を支援する教育ステーション事業について質問させていただきまして、事業の拡大を図っていくとの答弁をいただいております。
 その後の状況について、まず取り組み状況を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 教育ステーション事業は、規模が大きく人材育成のノウハウを有する訪問看護ステーションが、地域の小規模なステーションを支援する事業でございまして、今年度はその規模を五カ所から九カ所に拡大して実施しております。
 この事業では、指導力のある訪問看護師に新任看護師等が同行する実地研修などを行っており、今年度は、訪問看護師と地域の医療機関の看護師が、それぞれお互いの職場で、それぞれの業務を体験する研修をモデル的に実施いたしました。
 研修生からは、相手の現場の実情を理解し、互いの役割が明確になった、入院から在宅までのケアについて連携が促進されたなどの声が寄せられておりまして、来年度は、相互研修の規模を拡大し本格実施して、教育ステーション事業における人材育成の取り組みをさらに進めてまいります。

○斉藤(や)委員 小規模な事業所が多い訪問看護ステーションでありますので、地域で育成支援を行うこのような取り組みは大変重要でございます。今後も着実に取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、今後増大するニーズに応えていくためには、訪問看護の担い手となる看護職の安定的な確保が必要でございます。現場では、人材の確保や育成に大変苦慮されているというお話を伺ってまいりました。
 訪問看護は大変やりがいがある。これは経験のない方もひとしくそう思っていらっしゃる仕事なんですけれども、やはり初めて挑戦するときには大変臆するということも聞いておりまして、就労に対する不安も大きいものがございます。
 地域の中で自分の持っているスキルを生かしたいという志を持っている方々の参入を促す取り組みということが必要だと思うんですけれども、そこで、新任の訪問看護師を雇用して育成を行う訪問看護ステーションを支援することで、訪問看護師の安定的な確保を図る必要があります。見解を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 訪問看護師の一層の確保を図るためには、看護師に訪問看護の業務内容や重要性、その魅力を理解していただくとともに、訪問看護の経験のない看護師の育成も行うことができるよう、訪問看護ステーションにおける教育体制を強化することが必要でございます。
 そのため、都は来年度から、東京都看護協会と連携して講演会を開催するなど、訪問看護への一層の理解促進を図りますとともに、訪問看護未経験の看護師を新たに雇用し、育成に取り組む訪問看護ステーションに対し、育成期間中の給与費等を補助する独自の取り組みを開始いたします。
 補助に当たりましては、多様な働き方などのニーズに対応できるよう、短時間勤務や週三日勤務する場合なども対象とすることとしておりまして、こうした取り組みを通じて訪問看護師の確保を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 大事な独自の支援制度がスタートするわけでございますが、訪問看護ステーションの管理者研修会とか全体指導の場でしっかりと、使っていただけるようにPRしていくことも重要でありますので、そのことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、障害者施策でございます。
 障害者福祉施設の自主製品の販路拡大について質問したいと思います。
 一般就労の難しい障害のある方々が働く福祉施設は、都内に七百カ所以上あると伺っております。
 この施設ですけれども、現在、こういった方々がつくられたものを、今ちょうど東京都の都民広場の下でもその会場がございますけれども--すぐれた、クオリティーの高いものを集めまして都民に広く知っていただく試みということで、そういったものの発信の場をプロジェクトをつくってやっているということを、一番最初は錦糸町の丸井でこれが行われたわけですけれども、私、その現場も伺ってまいりました。
 今、ちょうどホワイトデーを目指す三月のこの時期に、都民広場ですばらしい、クオリティーの高いグッズが展示されております。ぜひ皆様、そこでお買い求めいただきまして、お返しにも使っていただきたいようなすばらしい内容でございます。
 こういった事業は、我が党の提案を受けまして、都民に広くPRすることによって販路を拡大して、そして、福祉施設の工賃向上に資するようにしていくことが大事であるということでできたものというふうに認識しております。
 ユニークプラスマーケット二〇一六というふうに名づけられたこのイベントが今開催中でございますけれども、私の地元の目黒区でも、福祉施設のしいの実社や中町作業所というところの製品も販売いただいているところでございます。
 来年度は、常設会場という形で、各店舗を都内三カ所ぐらい、福祉・トライアルショップという形で展開される、その準備という位置づけだと思います。来年度の店舗開設に向けまして、福祉・トライアルショップが自主製品の魅力発信の拠点となるよう、あるいはオリンピック・パラリンピックの大会に向けまして、海外から来られる旅行者の方々にも見て買っていただけるよう、商品の品ぞろえ、さらにPRや工夫が必要だと思いますけれども、都の取り組みを伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 今、委員お話しのように、都は来年度の福祉・トライアルショップの開設に向け、本年二月から錦糸町、立川で製品の販売イベントを開催しておりまして、お話のように、昨日から都庁でも行っております。私も昨日、妻と息子のホワイトデー用の作品を買わせていただきました。
 イベントの来場者からは、本当にユニークなものばかりで応援したくなった、自主製品に対するイメージが変わったとの声や、色違いやサイズ違いのものがほしいという製品に対する要望等も寄せられております。
 今回のイベントでは一万点以上の製品を用意いたしましたが、今後、イベントでの販売結果や来場者から寄せられた意見等も踏まえ、バリエーションをふやすなど品ぞろえを充実いたしますとともに、より多くの製品を特設サイトを通じて紹介するなど、福祉・トライアルショップが多くの都民の方に製品の魅力をアピールできる場となりますよう、開設準備を進めてまいります。

○斉藤(や)委員 ぜひ皆様、お手にとって見ていただきたいと思います。
 次に、障害者の雇用促進策について伺いたいと思います。
 知事は、せんだっての知事施政方針表明の中で、一人一人の活躍が東京発展の原動力とされた上で、障害のある方々も活躍できる社会実現へ、障害者の雇用促進に向けての積極的な取り組みを打ち出されております。
 先ほども質疑がございましたけれども、法定雇用率二%に対しまして、都内はまだ一・八一%という現実がございます。
 どうもそれを分析いたしますと、熱心な企業とそうでない企業の差がある。熱心な企業は参加をして情報をとりに行っていますが、なかなかご苦労されている企業は情報に接していないという現実がございます。
 そこで、東京における障害者雇用を推進していくためには、待ちの姿勢ではなくて、積極的に働きかけていく、いわばアウトリーチ型の支援が必要かと考えます。
 そのために、都は、豊富な情報やネットワークを持つ国などとも連携をしながら支援の強化を図るべきだと考えますけれども、来年度の具体的な取り組みについて、伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 障害者雇用についての理解を広め、雇用するに当たって必要な情報を提供するためには、企業への直接的な働きかけが効果的であり、来年度は新たに、東京労働局と連携して、雇用率未達成企業のうち、大企業と比較して、より一層支援の必要な中小企業に向けた個別訪問事業を開始いたします。
 具体的には、障害者雇用促進のために、都と東京労働局などが参加する企業支援連絡会を設置いたしまして、障害者就労支援機関とも連携して、専門の支援員が都内三百社程度の中小企業を計画的に訪問いたします。
 これにより、障害者雇用への理解促進を図るとともに、訪問先では、相談への対応に加え、都や国が設けているさまざまな支援メニューを紹介することなどにより、中小企業が障害者雇用に一歩踏み出せるよう後押ししてまいります。

○斉藤(や)委員 一歩踏み出していくということは、とても大事なワードだと思います。
 障害者を支援していくためには、福祉的な視点ももちろん重要ですけれども、障害者の方自身の社会に貢献したいというその思いを支援していく必要もあると思います。
 そのためには、働くというのが非常に大きな意味を持つわけでございますけれども、現実にはなかなか不安定な有期雇用の実態がありましたり、あるいは賃金水準も最低賃金レベルといった場合も多い。これはもうさまざまな委員が質疑をされております。
 知事は、その中にありまして、国に先んじて安定的雇用を促進するための独自の制度を創設されたということでございますが、実際に思い切った奨励金を支給することは、社会に対して大事な発信になると思います。障害者を雇用することで、少しでも障害のある方の安定した生活に貢献したいと思っている経営者の方々はたくさんおられますので、そういった経営者の皆さんの思いに応えるものになると、私は高く評価したいと思います。
 安定的な雇用、処遇の改善という観点から、ぜひ効果の高い奨励金の仕組みとすべきと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 障害者雇用の推進に当たりましては、これまで企業の理解促進や障害者に対する就業支援などを行ってまいりました。
 これに加え、安定的な雇用形態や賃金など、雇用の質に着目した支援も重要であることから、来年度は良好な条件で障害者の安定的な雇用を促進する奨励金を創設いたします。
 奨励金は、正規雇用や無期雇用での新規採用や社内転換を行う企業を対象とし、新規雇用については雇い入れ時の賃金が最低賃金を五%以上上回る場合など、社内転換につきましては、賃金が五%以上昇給する場合などに、一人当たり最大百二十万円を支給いたします。
 企業に対するこうした積極的な支援を通じ、障害者が生き生きと働くことができるよう、雇用の質を高めてまいります。

○斉藤(や)委員 これは新規に雇い入れる場合だけでなく、社内で転換をしていくときにも賃金が五%以上昇給することを条件とするということもございました。しっかりと応援をしていただきたいと思います。
 次に、障害者に配慮した施設の対応について伺いたいと思いますが、障害者施策の最後の質問でございます。
 二〇二〇大会に向けて、アクセシビリティーガイドラインなども、ソフト面でもこれから報告を受けるところでございますが、多様な障害に対応した施設の整備というものがこれから重要になってくると思います。
 点字ブロックというものがございますけれども、点字ブロックは、視覚障害者にとってはとても大事なものである反面、車椅子で移動している方々、ベビーカーの方々にとってバリアになるという難点もございます。
 屋内で点字ブロックがなかなか見られないのも、そういった特性があるからだと思いますが、何をいいたいかというと、恒常的な整備だけでなく、柔軟な対応というものも障害のある方に対する施設の整備では必要ではないかと思っております。
 そういった中で、先日、オリ・パラ準備局が障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルというものを発表されたわけですけれども、知事もこれは会見で取り上げられておりました。
 今後、障害者スポーツができる場として、特別支援学校の体育施設が今注目されておりますけれども、在籍する児童生徒の障害とは異なる障害のある方の利用も想定されるため、こういった利用団体や競技者の状況に応じた柔軟かつ適切な屋内での対応というものが必要だと思うんですけれども、都教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○中井教育長 委員ご指摘のとおり、来年度からの障害者スポーツ拠点事業の実施においては、拠点となる特別支援学校における児童生徒だけでなく、さまざまな障害のある方の利用が想定されます。
 このため、オリンピック・パラリンピック準備局と施設を利用する障害者スポーツ団体による事前の打ち合わせにおいて要望のあった施設上の配慮等について、都教育委員会として必要な整備を検討してまいります。
 また、実際の利用に際しては、障害者のスポーツ施設利用促進マニュアルを参考に、個々の状況に応じた適切な対応を行ってまいります。

○斉藤(や)委員 これからいろんなアイデアがいろんなところから提案されると思いますので、柔軟に対応していただきたいと思います。
 次に、産業振興施策について質問します。
 東京の製品などの販路拡大という観点でございますが、東京では現在、伝統工芸品として四十品目を指定して、商品開発や販路開拓等のさまざまな支援を行い、伝統工芸の振興を行っているところでございます。
 この作品をちょっとごらんいただきたいんですけれども、これは、目黒区在住の江戸表具師の方、櫻井潔さんの作品でございますけれども、江戸表具というのは、これは東京都認定伝統工芸士でございます。
 その方は本来、美術品などの表装などを行っておりますけれども、職業訓練学校等で指導もされているんですが、後継者が育つのに何年もかかるわけですね。その間、なかなか美術品だけではそういった人を育て切ることはできない、また、弟子にとることもできないということで悩んだ結果、自分の持っている伝統工芸士の技術を--これは絵手拭いでございます。手拭いにその表装の技術をつけますと、このような形の作品になるという、プロデュースをみずからされている例なんです。
 こういった伝統工芸の承継といっても、人づくりに大変時間もかかるわけでございまして、物が売れて初めてその方々の暮らしも成り立ち、それが継承されていく、時間というものも非常に重要だということで、これはタペストリーという感じになると思うんですけれども、こういったコラボレーションなどに挑戦している作品でございました。
 大体、床の間が今の住まいになくなってきておりますので、おうちに大きな掛け軸をかけるという文化がなくなっておりますが、例えば今の住まいのライフスタイルに合うような形の提案という挑戦だと思います。
 こういった伝統工芸を持っている方には、職業連鎖というものがあることがわかりました。伝統工芸が盛んになっていきますと、さまざまな部品、今は清水焼のそういった部品を使っていたり、あるいは西陣の織物を使っていたり、さまざまな地域の大事な名産品をまた使っているわけでございますので、こういったことを東京がしっかり応援していくことは、こういう観点からも重要だろうと思うわけでございます。
 一方で、都内には江戸風鈴やつり忍、足袋仕立てなど、伝統工芸品の四十品目に指定されていない方々のものもございます。すばらしい品々が数多く存在していることを知りました。さらに、日用品や雑貨、工業品など、東京ならではの特色のある製品に、東京はあふれているわけでございます。
 こうした日本人独特の感性によってつくられた作品は、外国人の方からはクールジャパンとして受け入れられて、大きな人気を博する可能性があると思うわけです。
 このため、都は、二〇二〇東京大会を控えまして東京が注目を集めているこのときこそ、東京産の品々が海外の方々にも広く購入してもらえるように取り組んでいくべきだと考えます。
 その際には、単に売り場を用意するだけではなくて、より消費者に興味を持ってもらえるような効果的なPRも必要だと、販売戦略を含めた総合的なサポートを行っていくことが必要だと思います。
 そこで、東京の魅力ある製品の販路拡大について、都の取り組みを伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 都は、東京の歴史や文化に裏打ちされた製品や、都内中小企業の独自の技法、デザインを取り入れた製品等の販路開拓への支援を今年度から開始いたしました。
 具体的には、アンテナショップやイベントなどでの販売やPRなどの取り組みに対し経費を助成するとともに、専門家がブランディングやマーケティングなどの販売戦略への助言等を行い、販路拡大につなげております。
 今後は、都としても、これらの製品等のPRを強化するため、専用のウエブサイトを活用し、その魅力を広く国内外に発信してまいります。
 こうした取り組みを着実に進め、東京の魅力ある製品の販路開拓を後押ししてまいります。

○斉藤(や)委員 東京には、この江戸表具の櫻井潔さんのように、祖父以前の代から受け継がれた伝統のものづくりを必死にされている方々、その世界のほかにも、さまざまな分野で、名前も知られていないような小さな会社や工房が実は世界に通用するというような、すばらしい製品や技術を持っているという事実が数多くございます。その一つ一つは本当に少ない人数で担われておりまして、ともすると行政の支援の網からこぼれ落ちてしまいがちでございます。
 光の当たらない人に光を当てることが政治の第一の使命であると、我が党はそう考えておりますけれども、知事は先日の長橋幹事長の代表質問に呼応する形で、ご自身もまた、そういう観点を、一人一人を大事にするということで私も生かしていきたい、このようにご答弁もあったわけでございます。
 これはまさに産業振興においても当てはまるものではないかと思うわけであります。東京の産業を支えているのは、大多数の光の当たらない小零細の事業者であります。
 こうした方々にしっかりと光を当て、必要な支援を行っていくことが極めて重要であると考えますが、知事の認識と決意をお伺いしたいと思います。

○舛添知事 今の斉藤委員のご質問にお答えする前に、その前の質問の伝統工芸品ですけれども、実は私も、これだけすばらしいものが東京にある、恐らく京都より数は多いんじゃないかというふうに思っておりますので、諸外国の方がお見えになったり、また私が参ったときに、東京のお土産ですよと差し上げるのにすばらしいものがあると思いますので、今一つ一つ自分で試しながら、いいものがあれば使おうと思っておりますので、ぜひ都議会の皆さん方にも同じことをやっていただければと思って、みんなで伝統工芸を守っていきたい、育てていきたいと思っています。
 そういう中で、今おっしゃいましたように、小規模事業者は後継者がいないとか、もう大変ご苦労なさっていると思いますので、しかし、この小規模事業者がたくさんいて、すばらしい技術を持っているというのが東京の特徴であって、東京の魅力にもつながっていると思います。しかし、彼らを助けないといけない。
 そこで、経営相談をやる。それから、技術支援。それから、今申し上げましたように販路の拡大。私は、今、試してみようと思ったのは、江戸のやすりがあるんですね。これが後継者がいないということなので、今、買い求めようと思っているんですけど、例えばこういう販路の拡大。今度、バンコクに中小企業の海外販路拡大の拠点を設けますから、そういうところにも持っていければと思っています。
 各種の助成制度における優遇、それから小規模事業者に対して経営基盤の強化が必要でございますので、手厚い支援を、もう今も行っていますけど、さらに取り組んでいきたいと思っています。
 それから、何が困っているのか、それから何をどうしたいのかという、いろんな細かいご要望があると思いますので、そういうご用聞きの拠点を設けておりますので、そこでさらなる施策の充実に取り組みたいと思っています。
 やはり、どんなに小規模であろうと、真面目に誠実に仕事をやっている、そういう方々全てが成功のチャンスをつかんで、そしてさらに発展していけるような東京にしたい。
 そういう意味で、今後とも、小規模事業者に皆さん方とともにしっかりと光を当てていきたいと思っております。

○斉藤(や)委員 温かいお言葉は確かに現場の方々だけに伝わっていきますし、また、伝えていく責任を私たち議会は得たと思います。
 次に、順番を変えます。既存マンションストックの活用について質問します。
 平成二十五年度の住宅の統計調査によりますと、住宅ストックは約七百四十万戸となっておりまして、これは、世帯数を大きく上回る状況になっておりまして、人口減少ということも考えますと、そろそろ、このストックの適正な供給のあり方を考え直すときに来ているのではないかと思うわけでございます。
 重なる部分は省きますけれども、その中でも、高度成長期に大量、多量に供給されてきたマンションの問題でございます。その老朽化が進んでいるんですが、なかなかストック再生というのは難しい。なぜかといいますと、費用負担の問題ですとか都市計画など、合意形成が非常に難しいのがマンションの特徴でございます。
 折しも、都は先月、良質なマンションストックの形成促進計画の案を公表しているわけですけれども、大事な内容がたくさん入っております。条例も考えるということも書いてありましたが、マンション施策に率先して取り組むその姿勢を打ち出しているわけですが、この老朽化したマンションの再生に当たっては、建てかえるだけでなく、改修による既存ストックを有効に活用していくことも重要だというふうに考えます。都の取り組みについて伺います。

○安井東京都技監 マンションの再生手法の一つとして、改修により長寿命化や住宅性能の向上を図ることも大変重要でございまして、都はこれまでも、管理組合の求めに応じまして、建築士などを派遣するアドバイザー制度を設けるなど、支援を行ってまいりました。
 引き続き、関係団体と連携いたしまして、アドバイザーの育成、充実に、これは増員も含めてございますけれども、努めるとともに、セミナーやガイドブックなどを通じまして、改修を含めた再生手法について普及啓発を図ってまいります。
 今後は、住宅ストックの質の向上を図る観点から、建てかえに係る補助事業を、共用部分のバリアフリー化などの改修工事にも活用できるよう、支援のあり方等について検討してまいります。

○斉藤(や)委員 今、技監から大変重要な答弁をいただきました。建てかえは困難です。改修に使えるようにその制度を活用していくという視点でございますので、これは民間の方々にも広くアナウンスをして、マンションの再生に尽力していきたい、私もそのように思っております。
 最後でございますが、生物多様性についてお伺いしたいと思います。
 私はこれを、平成二十一年の初めての議会のときに取り上げまして、ちょうど生物多様性の条約締約国会議が開かれるに当たって、東京のプレゼンスを世界の都市に示すには、まさしく生態系に配慮した、生物多様性に配慮した都市であるということを宣言することが、この都市間競争に打ち勝つために重要であるという、そういう観点から取り上げてきたわけでございます。
 東京都の生物多様性地域戦略は、その後、緑施策の新展開という形で産声を上げました。全てではありません。このような形で東京都が取り組みを開始しているわけですが、これが実際に、経済の現場でどのように受けとめられるかということが大事なわけでございます。
 例えば、再開発する事業者がまた厄介なものをつくられたというのでは、この生物多様性に対する共感は広がらないわけでございます。
 そこで、生物多様性を評価する物差し、指標というものが必要だということをあわせて訴えてきたわけでございます。
 これに対しまして、民間は先行して付加価値を高めるためにやっているんですが、東京都みずからが、この生態系評価をする手法を考え出しているということがございます。
 まずこの、現時点での都独自の生態系評価手法の進捗状況を伺うことが一つございます。
 それとあわせて、これは時間の関係もございます。先にお話をさせていただきます。実は地元では、地域の取り組みも必要だということで、区内に菅刈公園という公園がございます。武蔵野の面影を残すまとまった森がある里山のようなものがある菅刈公園、もしかしたら知事も東大時代にその地域を歩かれていたかもしれません。
 当時はJRか何か違った、公園ではなかったかもしれませんが、この公園を里山として捉えて、江戸のみどり復活事業を活用して、地域住民、NPO法人菅刈ネット21、そして、菅刈住区住民会議という団体、地域の自治会など町会の皆さんが入っている団体です、PTAとか、それと民間の事業者とか、それに目黒区が協働して江戸のみどり復活事業を活用して、その助成を受けて、菅刈の平成の森プロジェクトというものを進めてきたわけでございます。
 こうした取り組みは子供たちもたくさん参加して、自分のふるさとだという思いで、そういったプロジェクトに参加している姿がございました。
 この江戸のみどり復活事業は、ことしが最終年、来年度どうなるのかということで大変やきもきしたわけでございますが、これはぜひとも継続させていただきたいし、これをぜひ二〇二〇まで多くの地域にやっぱりわかっていただくように、啓発もしていきたいと思うわけでございます。
 とても本年度で終了するなどは、もう我慢ができなかったわけでございますけれども、都は今後も、地域主体で生物多様性を回復する取り組みを継続して支援すべきだと思います。あわせてご質問させていただきます。

○遠藤環境局長 二点続けてご質問いただきましたので、お答えさせていただきます。
 生態系に配慮した再開発を誘導するためには、その配慮すべきポイントや対策の水準を明確化し、整備した緑地の生態系価値を見える化することが有効でございます。
 このため、都は、策定中の生態系評価手法を事業者に利用していただき、評価の妥当性等について、現地からの検証をお願いしております。
 これまで五つの再開発計画をもとに手法の検証を行ったところ、評価の視点や水準はおおむね妥当との意見がある一方で、事業者から外来植物の除去など緑地整備後の維持管理や、緑地を活用した生物多様性の啓発イベントの開催といった努力についても評価対象とすべきとの意見がございました。
 今後、こうした意見を参考にしながら本手法を完成させ、業界団体等への周知を図るとともに、都の緑化指導に活用するなどして、再開発時における生態系に配慮した緑地整備を誘導してまいります。
 次に、都の江戸のみどり復活事業についてでございますが、都は、この事業を通じまして、地域のニーズに応じてさまざまな工夫を凝らしながら、在来種の植栽に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 これを受けまして、委員からお話もありました目黒区の菅刈公園では、住民が主体的に協働しながら、まさにその土地で採取した在来の種子や枝を利用して、コナラ、クヌギの苗木を育てて植樹する取り組みが、歴史のある森を守る先進的で大変貴重な事例として高く評価されているところでございます。
 また、練馬区においても、屋敷林の再生等で地域独自の取り組みを行ってきております。
 これらの事例のように、より効果的に在来種植栽を推進するためには、地元の意見を踏まえ、地域に根差した植栽計画とすることが有効でございます。
 江戸のみどり復活事業は今年度で終了いたしますが、来年度からは新たに区市町村補助制度を活用して、地域特性を生かした在来種植栽に取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。

○斉藤(や)委員 私は、都市間競争に勝つためには、生物多様性に配慮した都市像というのはとてもインパクトがありますし、ニューヨークにも、これは非常に大事なメッセージになると思いますので、どうか世界一の都市東京を目指して、頑張りたいと思います。
 きょうは本当にありがとうございました。(拍手)

○上野副委員長 斉藤やすひろ委員の発言は終わりました。

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