予算特別委員会速記録第四号

○早坂委員長 木村基成委員の発言を許します。
   〔委員長退席、秋田副委員長着席〕

○木村委員 初めに申し上げます。明日、三月十日は、東京大空襲が行われた日であります。死者推定十万人、後にも先にも、これほどの民間人の犠牲者を出した空襲はありません。
 本予算特別委員会が開催されている三月は、東京大空襲のほかに、大阪、神戸、名古屋への大空襲、硫黄島全滅などがあった月です。私たちが暮らすこの東京、そして日本は、とうとい命の犠牲が礎となり、今日があるのです。
 先日の我が党の古賀俊昭議員の一般質問で、憲法認識や平和安全法制に関する質疑がありました。事実に基づき、まことに正しい指摘だったと思います。
 国民の命と暮らしを一貫して守り抜いてきた自民党に所属する議員として、歴史的な出来事が多くあった三月に開催される本委員会ですから、人を欺かず、好き勝手に話をつくらず、不安をあおらず、そして、過去にも、現在にも、未来にも、まことをささげる姿勢で臨みたいと思います。
 初めに、障害者雇用について伺います。
 東京は、世界で初めて二回目のパラリンピックを開催する都市になるわけですが、ノーマライゼーションの考え方を社会に定着させること、そして、障害者が活躍できるようにしなければならないと思います。
 実は、私の事務所の隣に高次脳機能障害者の方の会があります。日ごろからよくお話を伺うのですが、働く機会は得た、だけど、持っている能力だとか興味とは違っていたりして物足りなさを感じるとか、将来が見えないとか、深刻なのは、生きがいを感じられず悩んでいるという話であります。
 私は、障害のある方が、その障害の特性に応じた仕事について、やりがい、生きがいを感じながら働き続けられる東京にしたいと思うのです。
 我が党の本会議代表質問の中に、障害者雇用に関するものがありました。知事の答弁は、障害者雇用の質の向上について熱意を持って語っていたと記憶しております。
 東京都知事が、障害者雇用に積極的かつ熱心に取り組む姿は、多くの障害者や関係者の励みになると思います。
 そこで、知事から改めて、障害者雇用に対する見解を聞かせていただけないでしょうか。

○舛添知事 障害の有無にかかわらず、誰もが職場で、希望とやりがいを持って活躍できる成熟した社会をつくり上げていくこと、それが私の願いでございます。障害があっても、自分で稼ぐ力を身につけることが、本人の誇り、矜持にもつながると思っております。
 都内民間企業の障害者実雇用率を調べてみますと、この十年間で、一・四〇%から一・八一%まで向上はしたんです。しかし、依然として法定雇用率、これが民間企業だと二・〇%なんですけど、この水準を下回っておりまして、国と連携して引き続き障害者雇用の拡大に努めてまいります。
 これに加えまして、障害を持っていても経済的に自立し、将来展望が描けるということが必要でありますので、それはやっぱり、安定的な雇用が必要ですし、処遇の向上、それから今おっしゃったように、自分がやりたかった仕事じゃなかったよなということがないように、雇用の質ということも大切だと思います。
 そこで、来年度予算におきましては、まだどの自治体も、国も行っていないのですけれども、この問題に正面から取り組むということで、正規や無期雇用で雇い入れや転換と賃金の改善などを行う事業主に対する都独自の奨励金を創設する。障害を持っていても、いや、自分は正規で雇われているんだと。ちゃんと、これ、ずっと生涯働けるんだ、これがあるかどうかで随分違うと思うんです。
 そういう意味で、障害者が誇りを持って働くことができる社会、これを皆さんとともにつくっていきたいと思っております。

○木村委員 知事が答弁された雇用の推進は大変重要なことで、障害者雇用は、雇用の質が問われる時代だと思います。
 これには、企業の理解が重要な要素の一つだと思います。今、知事が答弁した安定雇用のための都独自の奨励金も大切だし、障害者一人一人の状況に応じてカスタマイズするような、企業内での定着に対する支援も極めて重要だと思います。
 そこで、都は来年度、障害者を受け入れる企業に対して、具体的にどのような支援を行っていくのか伺います。

○山本産業労働局長 障害者を正規雇用や無期雇用といった安定的な条件で雇い入れ、または社内転換した企業を対象といたしまして創設する新たな奨励金では、一人当たり最大百二十万円を支給いたします。
 また、採用後の職場定着に企業が主体的に取り組めるよう、障害者の職場の同僚等を、障害特性や支援に関する知識を備えた職場内ジョブコーチとして養成する講座を年十二回、合計三百人規模で開催いたします。
 さらに、職場内ジョブコーチが障害者を六カ月間、計画的に支援した場合に、企業に対して最大二十四万円の奨励金を支給することで、この制度の普及に努めてまいります。

○木村委員 職場内にジョブコーチがいるというのがすばらしいと思います。ぜひ、この制度の普及をよろしくお願いいたします。
 昨今、労働力が不足する業界が大変多くなってまいりました。そんな折、全員参加型社会への機運が高まっていることは、いい流れだと思います。
 しかし、人手をどう探すかというのは大変大きな課題であると思います。
 女性や高齢者だと、身近な地域で働くことを希望することが多いので、地域の特性に応じた支援が必要だと思います。
 今年度、都は、東京都人づくり・人材確保支援事業を実施して、事業費全額補助をしています。
 私の地元は小金井なのですが、私の家内の行動を見ていると、この地域の人の流れというか、つき合いの範囲というか、行動圏のようなものが見えてきます。小金井を中心に、国分寺、武蔵野、三鷹の方々と、商工会だとか、法人会だとかで一緒に活動しています。
 地域を超えて、地元の商工会が中心となった活動というのがあることがよくわかります。
 私は、商工会のネットワークを活用できないのかな、そう思います。地元企業で働きたい人と、人材確保に苦しむ企業とのマッチングです。
 そこで、都は、地域の実情を踏まえた雇用就業施策の充実、補助対象の拡充などをやってはいかがかと考えるのですが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都はこれまで、潜在的な労働力を掘り起こし、地元への就職につなげるために、区市町村が地域の実情に応じて行う人材の確保や育成の取り組みに対して支援をしてまいりました。
 この事業をより効果的なものとするために、来年度は新たに、中小企業に精通し広域的なネットワークを有する商工会などを支援対象に加え、行政区域を超えた、企業と求職者とのマッチングなどに対しても所要経費を支援いたします。
 広域的な支援に当たりましては、自治体、地元企業、就職支援機関等による協議会の設置を要件とし、円滑で効果的な事業実施を確保してまいります。

○木村委員 次に、事業承継についてです。
 チョークで有名な羽衣文具が廃業した話はとても残念でした。事業承継は、社会問題だと思います。
 私は、会社員だったころ、企業を買収する業務を行った経験があります。実際に相手方に、会計士を初めとするチームで行って、決算書だけでは読み取れないことを明らかにする力が試されるのですが、一度会社を手放すと決意したオーナー経営者や幹部が、その決断とは裏腹に、情報を開示したがらないとか、簿記の勘定科目でいう店主勘定のような会計処理があったり、銀行借り入れに対するオーナー経営者の個人保証をどうやって処理するかとか、難航したことを思い出します。やはり事業承継には専門家が必要だと思います。
 都は来年度から、こうした専門家と金融機関とが協力して、債務など財務上の課題を抱える企業の事業承継を進める取り組みを開始するとしていますが、その具体的な内容を伺います。

○山本産業労働局長 来年度から開始する金融機関と連携をした事業承継支援は、専門家による経営支援と金融機関による資金供給を一体的に行うことで、技術力を持ちながらも財務上の課題がある中小企業の事業承継を進めていくものでございます。
 都は、事業承継計画の策定や実行を支援する機関と、事業承継支援に積極的な金融機関を選定し、融資原資や経営支援費用を拠出いたします。
 支援機関は、弁護士等の専門家を活用して、企業の財務状況や事業の将来性等を分析、評価した上で、金融機関、企業とともに事業承継計画を策定し、新規融資などの金融支援につなげていきます。そしてその後も、経営状況のモニタリングや課題に応じた助言など、きめ細かな支援を行ってまいります。
 こうした専門家と金融機関が協力した金融面での新たな取り組みにより、中小企業の事業承継を一層促進してまいります。

○木村委員 次に、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みについて伺います。
 全国的に再生可能エネルギーの導入は進んだ一方で、固定価格買い取り制度の見直しが検討されています。
 東京はエネルギーの大消費地ですが、エネルギーの地産地消を促進することは重要だと思います。
 我が党の代表質問で地産地消の再エネ導入拡大に取り組むと答弁がありましたが、具体的な内容を伺います。

○遠藤環境局長 都は来年度、総額二十四億円を出捐して基金を設け、地産地消型の再生可能エネルギーの導入に取り組む事業者への支援を開始いたします。
 具体的には、太陽光や風力等で発電した電気を自家消費する事業者や、太陽熱などの熱利用を図る事業者に対し、国と合わせ設備導入費の二分の一を補助いたします。
 とりわけ設備導入に対する初期投資が困難な中小規模事業者に対しては、補助率を三分の二に上乗せするなど、より手厚い支援を実施いたします。
 こうした取り組みを通じて、地産地消型の再エネ電気や熱の導入拡大を進めてまいります。

○木村委員 エネルギーの地産地消は災害時こそ力を発揮すると思います。三・一一の経験から、外部からのエネルギー供給がない状態でも、役所、病院や事業所が活動を継続できる防災対応力が必要だと思います。
 こうした支援をPRして、再生可能エネルギーの普及を図っていただきたいと思います。
 次に、水素社会の実現に向けた取り組みについて伺います。
 利用段階では二酸化炭素を出さない水素ですが、生産段階でも二酸化炭素を出さないCO2フリー水素の研究が進めば、低炭素化が見えてくると思います。
 水素は、燃料電池自動車、燃料電池バス、家庭用燃料電池から始まり、来年にはオフィスや店舗で使う業務用の燃料電池が市場に出ると聞きました。活用手段がふえるのはとてもよいことだと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックでは、選手村を水素タウンのモデルにするという計画がありますが、水素を活用したまちづくりの具体的なイメージを持つことが重要だと思います。
 そこで、今後、水素を活用したまちづくりへの取り組みを伺います。

○遠藤環境局長 まちづくりの中で、電力やガスに加え、水素をエネルギーの一つとしてバランスよく活用することは、地域の環境負荷低減に大きく貢献いたします。
 しかしながら、水素エネルギーでつくった電気や熱を、複数のオフィスビルなどで照明や空調に利用するためには、水素をどのように地域に供給するか、また、既存の電力や熱源とどのように組み合わせることがより効果的かなどを検討し、エネルギーマネジメントの仕組みを構築していく必要がございます。
 このため、来年度は、関連する法規制等の問題点を整理するとともに、CO2フリー水素を初めとした今後の技術革新の動向や、事業採算性などの課題について調査をしてまいります。

○木村委員 水素は解決すべき課題が多いことは事実だと思います。ぜひ課題を解決して取り組みを進めていただきたいと思います。
 次に、緑施策について伺います。
 私は、平成二十六年第三回定例会の一般質問で、世界で一番の都市東京を目指すには、生物多様性の保全や回復に視点を置いた持続可能な都市モデルを内外に示すべきと主張しました。
 モデル構築の一つとして、東京に、もともと生育している植物、在来植物を活用した都市緑化があると思います。
 今までの都内の街路樹を見て、なるほど、これが東京の木かとはなかなか思えないと思うのです。都外の産地から植木を持ってきて、何が東京らしさだと私は思っております。
 在来種緑化の普及ということで、江戸のみどり復活事業があります。これはよい事業だと思います。
 この事業では、市区町村の緑地整備を支援してきましたが、成果と今後の支援策について伺います。

○遠藤環境局長 都はこれまで、江戸のみどり復活事業を通じまして、江東区、練馬区など七カ所において在来植物による緑化を支援してまいりました。
 それぞれの取り組みを見ますと、在来植物を活用し、生き物のネットワーク拡大を目指す公園整備や、長年放置された屋敷林を再生し、昔の農家のたたずまいを再現する取り組みなど、他の市区町村の参考となる先進的な植栽事例が生み出されてきております。
 このため、来年度から、区市町村との連携による地域環境力活性化事業の補助メニューに在来種植栽の整備事業を新たに加え、市区町村の生物多様性の保全、回復に向けた取り組みを支援してまいります。

○木村委員 環境局に限らず、都の役割は、質の高い都市緑化へと誘導することだと思います。キーワードは、らしさではないでしょうか。東京らしさであります。
 今後も、市区町村を財政面でも支援していただき、らしさをつくっていただきたいと思います。
 在来植物の緑化には、民間業者の役割も重要です。
 事業所の新築時など、植栽も行われることが多いと思います。そういう機会に、在来植物の導入へと誘導できれば、効果が上がるのではないかと考えます。しかも、在来種は都内産ということになれば、植木の地産地消で植木業界の活性化も期待したいところです。
 しかし、都市緑化で外来植物が使われてきた理由というのがあると思います。数の問題、それから維持管理が大変ということも懸念されています。
 そこでお伺いしますが、環境局らしい切り口だと思うのですが、江戸のみどり復活事業の中で、企業や団体と検討会をつくって在来種植栽についての技術的なノウハウを収集したそうですが、その進捗を教えてください。

○遠藤環境局長 在来種植栽は、生き物の生息空間の拡大に寄与することから、生物多様性の回復に向けた有効な方策でございます。
 このため、都は、企業の植栽管理者や植木生産団体等と連携し、植栽の効率的な管理手法や材料となる在来種の確保など、その普及に向けた課題解決策を検討しております。
 これまでの検討から、在来種植栽と通常の植栽を比較した結果、管理の手間やコストに大きな差はないことが明らかとなりました。また、多摩の在来種を都心部に移植する際に、その定着率を高めるための知見を得ることもできました。
 本年一月には事業者向けフォーラムを開催し、こうした成果の一部を公表したところですが、今後、在来種植栽の設計管理のポイントをまとめた事例集を作成し、事業者等にその活用を広く働きかけてまいります。

○木村委員 今答弁にあった在来種植栽フォーラムでございますが、業界を中心に三百人以上が参加したと伺いました。ディベロッパー、建設関係、造園設計会社が随分出席していたみたいで、私は本当にいい構成の方々が出てくれたなと思っております。
 在来種緑化を進めるには、こうした事業者への働きかけ、あるいは何らかの促進策が必要だと思います。
 都は、在来種緑化の普及に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

○遠藤環境局長 生き物のネットワークを築くためには、民間事業者が植栽の現場において、実際に在来種植栽を進めることが重要でございます。
 このため、来年度から、こうした民間事業者の取り組みを促進するため、新規植栽の整備や既存植栽のレベルアップに取り組む事業者を登録し、在来種植栽の効果や工夫点を広く共有、発信する江戸のみどり推進プロジェクトを新たに開始いたします。
 このプロジェクトでは、在来種植栽に積極的に取り組む事業者が、生物多様性の回復など環境に配慮する企業であることを広く都民にアピールできる仕組みを構築してまいります。
 本プロジェクトを通じて、在来種植栽の普及を図り、緑のネットワーク形成を一層促進してまいります。

○木村委員 続いて、消費者の被害防止について伺います。
 お金、健康、孤独。高齢者は、この三つの不安を抱えているといわれております。その不安をあおって、悪質な業者がお金をだまし取ろうとするわけです。
 高齢者は、家族がいても日中は一人で家にいることが多かったり、だまされても誰にも相談しないことが多いので、地域の見守りネットワークは大切だと思います。
 ところが、消費者被害防止の見守りは、市区町村で大きな差があります。
 そこで伺いますが、まず市区町村の実情を教えてください。
 さらに、それを踏まえた見守りネットワークを構築する対策も必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○多羅尾生活文化局長 昨年、都が実施した調査によりますと、市区町村の見守りネットワークは福祉部門を中心に構築されているため、安否確認等が中心であり、消費者被害防止にまで対応している市区町村は五割程度にとどまっております。また、消費生活部門と福祉部門との間で、被害が発見された場合の情報提供のルールや定期的な意見交換の場がないなど、多くの課題があることがわかりました。
 そこで、都は、市区町村がこれらの課題を解決し、消費者被害防止に向けた取り組みを進めていけるよう、ネットワークの現状や課題をみずから把握する自己評価チェックシートを来年度新たに作成し、提供いたします。
 また、その評価結果を集計し、市区町村にフィードバックするとともに、参考となる取り組み事例の提供や必要に応じた助言を行うなど、きめ細かな支援を行ってまいります。

○木村委員 さて、民生児童委員、あるいは介護事業者とか、見守り活動を担う方々に高齢者の消費者被害に気づいてもらい、消費生活センターに連絡してもらうことが重要だと思います。
 見守りを担う人材の育成と、こうした方々が相談しやすい場所が必要だと思いますが、こうした取り組みをどう進めていくのか伺います。

○多羅尾生活文化局長 民生児童委員や介護事業者などの見守りに携わる人が消費者被害を発見するためには、悪質事業者の手口等に関する知識を身につけることが重要でございます。
 そのため、来年度は、こうした見守りに携わる人を対象とする出前講座を二百五十回から三百回に拡大し、育成強化を図ってまいります。
 また、見守りに携わる人が高齢者の消費者被害について相談しやすいよう、見守りネットワークの中心である地域包括支援センター等に消費者被害防止に対応する相談窓口を設置するための経費などを、来年度から新たに市区町村に対し支援いたします。
 これらにより、見守りにおいて発見された被害情報が、消費生活センターに確実につながる仕組みを構築してまいります。

○木村委員 見守りネットワークは本当に大切だと思います。
 私の身近な人で、もう六十を過ぎているんですけれども、実際に、未亡人でこういう被害に遭って、ずっといえなくて、お金を払う直前にやっと勇気を出していったんですけれども、そのとき私と私の父親でそこへ行って、その方に話を聞いたら、もう未亡人、泣き出しまして、よっぽど不安だったんだと思いますね。だから、こういうのをぜひ充実していただきたいと思います。
 次に、多摩地域の消費生活センターなんですが、規模が小さいので、複雑多様化する消費者被害への対応がもっとできるように相談員に対する支援がほしいと思うのですが、いかがでしょうか。

○多羅尾生活文化局長 東京都消費生活総合センターは、センターオブセンターズとして、市区町村の相談員に対する助言や研修等、市区町村の消費生活センターに対し、さまざまな支援を実施しております。
 それに加えて、今年度は多摩支援として、五つのブロックごとに実施している市町村の連絡会を活用し、新たな取り組みを開始いたしました。
 具体的には、北多摩南部地域等の二つの連絡会に対し、弁護士などの専門家や都の相談員を派遣し、実際の困難事案について解決手法の検討を行いました。参加者からは、相談業務に実践的であり、役立つ有意義なものであったと好評をいただいております。
 来年度も引き続きこの支援策の拡大に取り組み、市町村の相談業務のレベルアップを図ってまいります。

○木村委員 これまで答弁をいただいた内容は、区市町村を後押しするよい取り組みなので、積極的な支援をお願いいたします。
 少し観点を変えて、被害の救済という立場から質問したいと思います。
 平成二十五年に民事裁判手続が改正され、集団的消費者被害回復訴訟制度が創設されました。都議会は、平成二十三年に制度創設の意見書を国に提出し、働きかけていたものが実現したものであります。
 新しい訴訟制度が本年十月からスタートするということですので、都としても制度が活用されるような方策がほしいところですが、所見を伺います。

○多羅尾生活文化局長 お話の集団的消費者被害回復訴訟制度は、国が認定する特定適格消費者団体が同種の被害に遭った多数の消費者にかわって訴訟を行う画期的な制度であり、消費者被害の迅速な回復を図るために、積極的に活用されるべきものと認識しております。
 この団体は、消費者の権利を守る活動を継続的に実施しているなどの要件に基づき認定されるものであり、早ければ平成二十九年度には本制度による訴訟が提起される可能性がございます。
 特定適格消費者団体が訴訟を円滑に行うためには、訴訟費用の確保や都内で多発している被害情報の収集などに課題があることから、都としても、具体的な支援の方策を早急に検討してまいります。

○木村委員 消費者被害回復の新しい制度がしっかりと機能するよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、都市計画道路について伺います。
 まちの魅力は人によってさまざまな感じ方があると思いますが、そこには必ず道、道路があります。
 そこで、まずは、都は都市計画道路網の形成に向けてどのように取り組んできたのか、また、これからどう取り組むのか伺います。

○安井東京都技監 都はこれまで、十年ごとに策定してきました事業化計画に基づき、骨格幹線道路を初めとした道路ネットワークの形成に努めてまいりました。
 この結果、例えば調布保谷線の整備によりまして、交差する東西方向の道路とのネットワークが形成され、拠点間の移動時間が短縮するとともに、交通が分散され、並行する道路の渋滞が緩和されてございます。
 今回公表した整備方針案におきましても、こうした広域的な道路ネットワークの形成を考慮しながら、地域間の連携強化や防災拠点へのアクセス向上に資する路線などを優先整備路線として示してございます。
 今後とも、地元区市町と連携いたしまして、将来にわたる東京の持続的な発展を支える都市計画道路ネットワークの早期形成を目指してまいります。

○木村委員 今回、小金井三・四・一号線、小金井三・四・一一号線が、整備方針案によって優先整備路線に位置づけられております。
 昨年末の発表以来、私は地元の方々からさまざまな意見を伺ってまいりました。本当にいろいろな意見がありました。
 私は当選以来、小金井市内の都道については、さまざまな角度から取り組み、小金井らしい道路の実現を目指してきました。そこに住んでいなければわからないことがたくさんあります。初当選からの二年半、道路について悩みに悩み、勉強し、たくさんの意見を聞いて考え抜いてきたのです。
 人もまちも、つながりが必要だと思います。道路整備を厄介者として捉えないで、より魅力ある小金井らしさを実現する機会と捉えることはできないのでしょうか。
 とはいえ、今回の道路は、市民が大切にする、はけと呼ばれる国分寺崖線を横断します。私自身、はけや周辺環境は大好きであり、この光景は残したいと思っています。
 東京都では、国分寺崖線について、これをなるべく保全していこうという取り組みがありますが、緑地保全地域に指定されているのは、いずれも計画線から外れている北側の二カ所のみです。そのほかの箇所は宅地化が進み、コンクリートで擁壁化された箇所が多いのが現状で、とても残念に思っております。
 その中でも、はけの原形をとどめていたり、武蔵野特有の黒い森も残っていたりする箇所があります。このような緑地保全指定以外の土地が仮に民有地だった場合、将来にわたって今の状態を維持することができるのでしょうか。
 私は、自然環境への最大の配慮が必要であると考えています。
 そこで、この二路線の必要性や効果、また、今後、道路整備に関してどのように取り組んでいくのか伺います。

○安井東京都技監 小金井三・四・一号線は、東側で三鷹市内の連雀通りと接続し、区部と多摩地域とを東西に結ぶ道路でございます。本路線の整備によりまして、地域間の連携強化や生活道路への通過交通の排除による安全性向上などが図られます。
 また、小金井三・四・一一号線は、府中市内の都市計画道路と一体となりまして、五日市街道と甲州街道とを南北に結ぶ道路でございます。本路線の整備により、並行する小金井街道の渋滞緩和、広域避難場所である武蔵野公園へのアクセス向上などが図られます。
 両路線とも、市の区域を越えまして広域的な道路ネットワークを形成する重要な路線であることから、優先整備路線の案としてお示ししているところでございます。
 整備方針決定後、事業化を検討する際には、今お話がございました国分寺崖線や、また武蔵野公園など、現地の地形、自然環境などを踏まえ、整備形態等について適切に対応してまいります。

○木村委員 二つの路線が、小金井市だけでなく、隣接する市や、もっと広域的なネットワークの重要路線だということです。
 だとすれば、大局的な判断が必要になると思います。計画自体の見直しなどを求めた場合、関連する自治体や影響する範囲が広過ぎて、現実的な打開策は見つかりにくいと思います。望むことが通るか、通らないかというやり方は、どこまで行っても一対ゼロの結果しかありません。どこかで折り合いを見つけることができれば、一対ゼロにはならないと思うのです。
 私からは、小金井らしさ、これをぜひお願いしたいと思います。しっかりと環境に配慮していただく。丁寧に住民への説明をしていただく。そして、多くの方々に評価される事業をお願いいたします。
 最後に、一言、意見を述べさせてください。
 日本は火山列島ですから、必ず災害があります。その前提でまちづくりを行うべきであります。
 私は、建設会社に勤務していたころ、大阪支店勤務で阪神・淡路大震災を経験しています。地震が発生したあの瞬間、もうだめかなと、そう思いました。
 被災地の道路状況は今でも覚えています。瓦れきですっかり道路が見えなくなっていました。狭い道路は、背丈以上に瓦れきが積み重なっていたのです。
 また、火災によって家族を亡くした社員もいました。
 減災、救助、復興には十分な幅員の道路が必要だということは、私は身をもって経験しています。
 三・一一でもそうでしたが、家族、親戚、友人、知人を亡くした人の悲しみは筆舌に尽くしがたかった。こうならないようにするのが政治家や行政の役目だと思います。
 都には、より多くの人が幸せに暮らせる都市をつくっていただきたいと申し上げて、質問を終わります。(拍手)

○秋田副委員長 木村基成委員の発言は終わりました。

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