予算特別委員会速記録第四号

○秋田副委員長 清水ひで子理事の発言を許します。
   〔秋田副委員長退席、植木副委員長着席〕

○清水(ひ)委員 まず、オリンピック・パラリンピックについてお伺いいたします。
 先日、大山委員の代表総括質疑で、都と国、組織委員会の新たな役割分担に伴い、都が新たに負担することにつながるのではないかと知事に質問いたしました。
 これに対し知事は、テロの脅威の増大などを挙げて、都と国、組織委員会の役割を議論しなければならないと述べ、新たな負担につながることはないのかについて、明確な答弁がありませんでした。
 改めて知事に伺います。東京都の新たな負担につながることはないのですか。

○舛添知事 何度も申し上げておりますように、これは東京都と組織委員会と国、三者がしっかりと調整をしていく。そういう中で、今おっしゃったテロの脅威の増大とか東北の復興もございますので、資材や人件費の高騰、いろんな問題にも直面しております。
 そういう中で、どういうふうに経費を、これはなるべく節約をしますよ、しかし、必要な経費はどれだけあるかと、どういう事業であるかと、こういうことを精査して、先ほどいったように三者で調整をしていくわけですから、最初からこの経費がふえることないですかとか、減りますかとか、こういう問題の設定自体は、私と枠組みが違うと思います。

○清水(ひ)委員 それでは伺いますが、今月に入ってから、知事は組織委員会の森会長と会談し、費用負担のあり方について協議したのではありませんか。協議したのかしないのか、そのことについてお答えいただきたいと思います。

○舛添知事 今申し上げましたように、国と組織委員会と都と緊密に連絡をとって調整するということは皆さん方に申し上げているとおりでありますから、組織委員会の森会長、それから馳大臣、遠藤大臣、緊密に会っていますから、毎週しょっちゅういろんなところでお会いしていて、いろんな話をしています。そのことについて、私のカウンターパートがどういうふうにおっしゃるかというのは自由でありまして、さまざまな議論をしているということです。

○清水(ひ)委員 森会長と舛添知事が二日に会談していたことがわかりました。会談では、国や東京都の費用負担のあり方について協議が行われ、施設の仮設、常設の定義が曖昧な点についても意見が交換されたものと見られると、既に報道されているのです。
 さらに、昨日のテレビ報道で、森会長がインタビューに答え、お互いが負担することを少し考えましょうやということを、今、東京都知事と私で話している最中ですと述べています。
 知事、費用負担についてどういう協議をしているのですか。新たな負担につながることはないのか、都民の前で説明をすべきではないですか。

○舛添知事 何かこの、秘密の会議を一生懸命探ってきて発見したようにおっしゃっていますけど、皆さん知っているとおり、ご存じのとおり、特に自民党の議員の方は、川井議長の就任パーティーがございました。それはその日の二日の午後だったと。その席で、森さんがですよ、けさも知事と私はいろんな議論をしてまいりました、こういうことをおっしゃった。
 それから、今いった、仮設か恒設かというような話を今ちょっとおっしゃったと思いますけれども、ですから、その報道も、何か自分が密談したのをどこかから持ってきて--公の場でおっしゃっているわけですから、それでいろんな議論をしていますよということをおっしゃっている。いろんな議論をやっているということしかいいようがありません。
 そして、とにかく負担がふえないふえないということを今約束しろといっていますけれども、そんなこといったって人件費が上がったり資材が上がったり、新たな課題が起こったときに、この上限からふやしませんよということは、今度安くなったときに減らしていいでしょうが。そういうフレキシブルにやるということが、私は都民に対する責任だと思っております。

○清水(ひ)委員 そのインタビューで、お互いが負担することを少し考えましょうやということを話している最中だというふうに述べているわけです。森会長は今、知事と話し合っている最中ということをいっているわけですね、このインタビューで。
 オリンピック費用にかかわる全ての問題について、常にオープンにすべきこと、都民負担の増大を最大限抑えるべきことを重ねて申し上げておきます。
 次に移ります。横田基地の変貌についてです。
 私は去年も横田基地問題を取り上げました。横田基地と沖縄の普天間基地の二枚の写真をごらんいただいて、住宅密集地という点では変わらない状況だということを認識していただいたと思います。覚えていらっしゃいますか、思い出したでしょうか。
 さらに、横田基地の周辺三キロには、学校が三十以上、四十の保育園、二十近い老人施設、三つの病院など、九十以上の公共施設がひしめいている、何かあれば大変危険になる地域だということも示しました。都民の命と安全、騒音被害から都民を守るためにも、横田基地の整理、縮小、返還を強力に進めていくことが求められています。
 知事、横田基地の整理、縮小、返還に向けて、知事は具体的にどういう取り組みをしているのですか。米軍とどのような交渉を行い、米軍はどう回答しているのですか、お伺いいたします。

○舛添知事 まず安全保障ですけれども、私は、アジア太平洋地域の安全保障環境を見ますと、北朝鮮の動きを見てもわかりますように、それから中国の動きを見てもわかりますように、日米、この安全保障環境は非常に厳しさを増していると、そういう認識をしております。
 そういう中で、日米安全保障体制は我が国の安全とともに、この地域の平和と安全にとって不可欠なものだと考えております。横田基地など都内の米軍基地もその一翼を担うものだと思っております。
 米軍基地のあり方につきましては、日米地位協定に基づきまして、必要でなくなった場合は返還されなければならず、その必要性が絶えず検討されることになっております。
 東京都としましては、都民の生活環境を改善して、地域のまちづくりを推進するという観点から、基地の返還の可能性が検討されて、整理、縮小、返還が促進されるよう、これは国に要請をしてございます。
 また、アメリカとの交渉についてでありますけれども、米軍基地は、日米安全保障条約に基づきましてアメリカに提供されているものでありまして、その返還も日米両政府間で協議されるべきものでありまして、私が米軍と協議すべきものではございません。
 国からは、地方公共団体からの要望を勘案しつつ、随時、アメリカ側と協議しておりまして、今後も、日米安全保障体制の目的達成という観点を踏まえつつ、個々の施設、区域の実情を踏まえた適切な対応を図りたいと、そういう説明を国からは受けております。

○清水(ひ)委員 都としてはそれに向かって努力をしているということですけれども、米軍横田基地には、在日米軍司令部及び米第五空軍司令部が置かれ、米軍の兵たん基地の機能も有しています。二〇一二年には、航空自衛隊司令部なども常駐するようになり、米軍と自衛隊の共同統合運用調整所が置かれ、日米両国の共同基地になりました。輸送中継や軍事訓練が繰り返され、米軍機の飛行回数は年間一万二千回に及び、四年間で二千回にもなるパラシュート降下訓練、そして、低空飛行や夜間飛行が繰り返されています。
 さらに、昨年四月に改定された日米軍事協力の指針、ガイドラインによって、米軍と自衛隊による軍軍間の調整所が設けられたことにより、日米統合司令部の軍事的中核としての役割を強めています。
 ことし一月には、米軍のステルス戦闘機F22、F16が二十六機飛来しました。また、横田基地に隣接するIHI瑞穂工場が、米軍の最新鋭の戦闘機F35のエンジン整備拠点化するなどの軍事拠点化が進み、米空軍特殊部隊と米特殊作戦用のCV22オスプレイ十機が、来年から配備されようとしています。
 知事、こうした状況を放置していたら、横田基地は米軍と自衛隊によるアジア太平洋地域の拠点基地として、危険性がますます強まり、整理、縮小、返還どころか、恒久基地化することは明白だと思いますが、いかがですか。知事にお伺いいたします。

○安井東京都技監 横田基地は、西太平洋地域の米軍の空輸ハブ基地としての役割を担っており、輸送部隊が駐留してございます。
 国は、CV22オスプレイ配備は、こうした輸送拠点としての機能の範囲内で行うものとしてございまして、横田基地からは、人員や物資を空輸する能力を常に保持するため、人員降下訓練などを行っていると聞いてございます。
 また、国からは、本年一月のF22及びF16の飛来は、一時的な立ち寄りと説明を受けてございます。
 米軍との運用調整を含め、安全保障に関することは国の専管事項でございますが、国は、横田基地が米軍特殊作戦の基地になるといった指摘は当たらないとしてございます。

○清水(ひ)委員 オスプレイの配備は輸送拠点としての範囲だとのお答えですが、一体都は、空軍の特殊部隊の役割をどのように認識しているのですか。
 横田に配備される米空軍特殊部隊とオスプレイは、開戦前から敵地に先行投入され、空爆を誘導し、対ゲリラ作戦や破壊工作を行う陸海軍の特殊部隊をサポートして、敵地にまで侵入する部隊の一員です。
 また、ことし一月に横田に飛来したF22戦闘機は、一時立ち寄りだといわれていますけれども、韓国に飛び、韓国空軍と編隊飛行を行っています。輸送拠点の範囲だというのは全く事実と、今、違っているんじゃないですか。
 横田基地は明らかに出撃拠点に変貌したのです。都はこの事実を認めるべきですよ。いかがですか。

○安井東京都技監 先ほどお答えしましたが、安全保障は国の専管事項でございまして、米軍の運用調整は国の責任で行うべきものでございます。都は、地元住民への影響の観点から、基地周辺五市一町とも連携して、国に対して必要な働きかけを行っているものでございます。

○清水(ひ)委員 国の専管事項だといってそれ以上の対応をとらないということは--都民の命を守る、そういう責任があるんですよ、東京都には。
 横田基地のオスプレイが、対ゲリラ作戦や破壊工作を行う特殊部隊をサポートして、敵地にまで侵入する。横田基地を飛び立った米軍機が外国軍隊とともに示威行動する。これが単なる輸送だとどうしていえるんですか。認識を改めて対応することを求めておきます。
 次に、オスプレイの問題です。
 オスプレイの配置は、横田基地を出撃拠点に変貌させるだけではありません。墜落などの事故が多く欠陥機といわれるオスプレイの配備は、周辺住民の生活と安全を脅かします。
 知事にオスプレイについて伺います。
 ここ一、二年でも、オスプレイは、頻繁に重大事故を起こしています。知事はかつて、未亡人製造機といわれていたようだが、最近は大分安全になってきていると発言していました。その認識は今も変わりませんか、お伺いいたします。

○舛添知事 開発当初というのは、先ほど私のを引用なさったように、未亡人製造機なんていわれたぐらい大変事故が多うございましたけど、その後相当よく改善されていると思っております。

○清水(ひ)委員 今、知事もいわれましたように、国も日本政府もオスプレイは安全だと、そういうふうにいっているから、知事はそういっているんだと思います。
 その大きな根拠としてきたものに、今もお話がありましたようにオスプレイの事故率があります。日本政府は、沖縄の普天間基地にオスプレイを配備するに当たり、MV22オスプレイの十万飛行時間当たりのクラスA事故、すなわち人が死んだり二百万ドル以上の損害が出るような重大事故、この事故率は一・九三で、海兵隊平均の事故率二・四五を下回っているのだと安全性をアピールしてきました。また、オスプレイの運用がふえればふえるほど事故率は下がるだろうともいっていました。
 しかし、先日、沖縄の地方紙琉球新報が、独自取材で海兵隊が明らかにしたところによると、二〇一五年十二月現在で、MVの事故率は三・六九まで三倍に引き上がり、当時の海兵隊平均まで上回っているではありませんか。
 そこで伺います。都は、二〇一五年十二月時点でのMVオスプレイの事故率についてどのように把握をされているのでしょうか、お伺いいたします。

○安井東京都技監 MV22オスプレイのクラスAの事故率につきまして、国からは平成二十六年九月末時点で二・一二と聞いてございますが、平成二十七年十二月時点の数値は承知してございません。
 なお、先般、平成二十七年十二月時点で三・六九との報道について、今ご紹介がございましたが、国からは、そのような報道があったことについては承知しているが、どのような情報に基づくものか明らかでなく、また、米国も現時点でそのような数値は公表していないとの説明を受けてございます。

○清水(ひ)委員 国のいうことをそのまま受け取っているわけですね。米軍は平成二十六年、二〇一四年九月……
   〔発言する者多し〕

○植木副委員長 ご静粛に願います。

○清水(ひ)委員 今、技監がいわれました、今、国は把握しているのは、二十六年九月時点だといわれました。それは一年半も前の数字しか明らかにしていないのです。なぜなら、次の月、二〇一四年十月に、アラビア湾でクラスAの事故が起こり、これを入れれば事故率ははね上がるからです。
 資料の一をごらんいただきたいと思います。ここにパネルもあります。その後もクラスAの重大事故は続いて、昨年五月にはハワイでの着陸失敗の、着艦失敗の重大事故が起こりました。死傷事故が起こりました。十二月には、カリフォルニアの沖で重大事故が発生しました。短期間で三回ものクラスAの事故が発生しているのです。
 これについては、これは把握していないということをいわれましたが、事実でしょう、実際に。先ほどクラスAの事故率は、一昨年の九月以来、非公表だといっていますが、この三つの事故がクラスAだったことはアメリカが認定しています。米軍が認定し、公表しているところです。こうした事故が相次いだのですから、これは琉球新報がまとめたグラフですが、今のこの資料のグラフというのは、時間がたつほどパイロットが熟練して、この矢印のように事故率は減っていくと、減っていくんだというはずなのに、クラスAは事故率が逆にどんどん上昇しているんです。これだけ短期間に重大事故が続けば、事故率がはね上がるのは理の当然です。
 事故率について、都は、国も米軍も非公表だからわからないといいますが、少なくともクラスAの事故が最近も頻発し、減っていません。米軍や国は、オスプレイの運用がふえれば事故率は減るといってきましたが、それは通用しなくなっていると思いますが、いかがですか。

○安井東京都技監 国を通じて確認できたことでお答えせざるを得ないので、そのようなご答弁をしているわけでございます。
 事故が頻発しているということでございますけれども、MV22オスプレイの事故率は、国が安全性を確認した直前の平成二十四年四月の数値から平成二十六年九月まで、これは一・九三から二・一二でございますけれども、ほとんど変わっていないのではないかというふうに受けとめてございます。

○清水(ひ)委員 例えば、国が安全が確認されたといっても、現に事故率は非公表であっても、三つのクラスAの事故が相次いで起きたことについては米軍が公表しているのだから--この重大事実に技監は目をつぶるんですか。それはだって事実でしょう。公表している数字からその後に三回も起きているんです。これは事実ではないんですか。
 こんなに危険なオスプレイの横田基地配備について、都は国の専管事項だといって抗議もしないのですから、一体都に都民の安全を守る立場があるのか疑問に思うのは、私一人ではないと思います。
 次に、そもそもオスプレイは、ヘリコプターと飛行機の機能を両方持たせるがために、さまざまな構造上の無理をしている航空機です。オスプレイは、抱える構造的な欠陥ゆえに、安全性を確保するのは極めて難しいのです。昨年五月に発生したハワイでのオスプレイの墜落事故の調査報告は、そのことを投げかけています。
 米軍のプレスリリースに基づくと、事故の概要は以下のようになります。オスプレイが着陸するときに、プロペラの回転で巻き上がった砂がエンジンに吸い込まれ、その中で溶けて、エンジンのタービン翼が回らなくなった。そのため、オスプレイに二つ搭載されているうちの左側のエンジンが出力を喪失し、機体が墜落、炎上したということです。
 次の資料を見ていただきたいと思います。(パネルを示す)これは、二〇一二年に防衛省が出したMV22オスプレイオートローテーションについてという資料です。これまでの日本政府がしてきた説明との矛盾を感じざるを得ません。その証拠が次のことです。
 これまで日本政府は、そこに赤で囲っているように、三つのことをいっていました。オスプレイのエンジンは、ロールスロイス社製の高性能エンジンを二つ載せていて、めったに故障しない。次に、エンジンの一方が故障しても、もう一方のエンジンを使って不時着する。三つ目に、ほぼあり得ないことだが、両方のエンジンが故障した場合でも、ヘリコプターモードのときは、オートローテーションというプロペラを自動的に回転させることで、落下速度を緩める機能を発揮する。世界では、オスプレイはオートローテーション機能がないといわれているが、オスプレイは保持しているんだということをいって、事故率が高く危険ではないかという国民の不安を解消させようとしたわけです。
 ところが、今回の事故は、三つとも機能せずに墜落したのです。知事、いかがですか。

○安井東京都技監 国の説明では、MV22のハワイにおけます事故は、設計上想定されている時間以上に砂じんの中にとどまるといった極めて例外的な原因で発生したものであり、パイロットのパフォーマンスなどの人的要因が主な原因と聞いてございます。
 今回の事故は、低高度でのホバリング中に発生したものでございますが、前進速度がない状況で片方のエンジンが出力を失った場合、高度を保持することは困難でございまして、このような制約はオスプレイに限らず、全ての双発ヘリコプターに一般的に存在するとのことでございます。また、オートローテーションを機能させるだけの高度もなかったと聞いてございます。

○清水(ひ)委員 想定時間以上に砂じんの中にとどまった例外的な原因で発生といいますが、ハワイ事故の準備調査報告書というのがあります。これを入手して読みましたが、記事を組んだアメリカの権威ある航空専門誌、アビエーションウイーク誌は、砂を巻き込むことで発生した事故はほかに三件もあるといっています。しかも、設計上の想定時間以上に砂じんの中にとどまっていたといいますが、このアビエーションウイーク誌は、オスプレイに装着されているエンジンは砂じんにどれだけ対応するか検査すらされていない、砂じんに対するエンジンの余裕度をはかるのは難しいと書いてありました。ここまでなら安全でここまでは危険だという、そうした想定時間をそもそもつくることすら難しいというわけです。
 ここでお伺いいたしますが、一つのエンジンだけで飛行を続けたりオートローテーションする場合に一定の高度が必要になるとしたら、その高度というのは幾らなのですか。

○安井東京都技監 ご紹介がございました米国の雑誌のことについては、詳細は、事実関係を含めて承知してございません。
 ただいまの質問で、国からの説明によりますと、一基のエンジンのみで両翼のローターを回転させ、飛行を継続することや、オートローテーションが可能となる高度につきましては、そのときの気象条件等にも影響されるため、特定は困難だということでございます。

○清水(ひ)委員 大事なことを聞いています。今現在の都の認識で、都民の命が大きくかかわっているんです。そうすると、エンジン一基でも、安全でオートローテーションもあるといっていたものが、その機能が発揮できる高度は限られている上に、どの程度の高度が必要なのかもわからないというお粗末なものにすぎなかったわけです。こんな危険な航空機がありますか。国や米軍が説明してきた安全性の根拠が次々に崩れているのです。もはやオスプレイ配備の前提条件はなくなった、こういわなければなりません。
 次にお伺いいたします。
 三つ目の資料を見ていただきたいと思います。(パネルを示す)アメリカ空軍が作成したオスプレイの横田基地配備に関する計画と影響などを示した環境レビューにも重大な問題があります。これは、不十分だと批判されていた沖縄普天間オスプレイ配備の環境レビューと比べても、はるかに説明がなされていないものです。例えば、米軍が、事故の可能性が高く、土地利用に制限があるとしている危険区域クリアゾーンが、横田基地やその周辺地域でどこになるのかという問題です。米軍によると、このクリアゾーンには、公共施設はもちろん、住宅、お店、オフィスがあるのも不適切だとされているんです。
 そこでお伺いいたします。MV22の普天間飛行場配備について、環境レビューでは、クリアゾーンなど事故の可能性があるゾーンがこのように図示しているにもかかわらず、普天間の飛行場にはこういうふうに、ここは危険で、もう絶対施設があっちゃいけないと。CV22の横田基地配備の環境レビューにおいては図示されていないのはなぜですか。ご承知ですか。都はどのようにしてそのことをただしたのですか、お伺いいたします。

○安井東京都技監 先ほど高度さえわからないといったのではなくて、そのときの気象条件等に影響され、特定できないというふうにお答えしたわけです。
 ただいまの質問でございますけれども、クリアゾーンなどは米国の基地周辺における利用制限を定めた基準でございまして、国が米国に照会したところ、米国内において周辺の自治体に示しているガイドラインでございまして、米国外の基地には適用されないとの回答を得ております。
 横田基地の周辺におけます土地利用につきましては、航空法等の国内法の基準に適合するよう、国が適切に対応しているものと認識してございます。

○清水(ひ)委員 アメリカ本国だけに適用されるといいますが、それでは日本の国民は危険にさらされても仕方がないということではありませんか。米軍のそんないい分を認めるのですか。とんでもない話です。
 しかも、普天間基地については、MVオスプレイ配備のとき、クリアゾーンが明らかにされたのです。都は、横田基地についても明らかにするよう求めるのが当然ではないですか。
 また、国内法に適合するといいますが、これは民間空港の話ではなく、軍事空港の話なのです。
 我が党の曽根議員が先日の都市整備委員会で尋ねたときには、都は、軍用機と民間航空機は運用の形態が全く異なることから、事故率などを単純に比較することはできないと答えています。つまり、民間機と軍用機では使い方が全く違うから、事故率だって高くなって当然だというわけでしょう。
 オスプレイの横田基地への配備計画撤回とともに、横田基地のクリアゾーンの区域を明らかにするよう、米軍と日本政府に迫るよう厳しく求めておきます。
 事故率も高い、構造上の欠陥も抱えたまま、アメリカ本国や沖縄では示されている危険区域も示されない。このようなオスプレイの横田基地への配備は絶対に許されません。そして、横田基地の永久化にもつながりかねない変貌を認めないと、そういう地方自治体の長としての責務として、都民の命を守る責務として、その立場に立って、きっぱりとその立場で臨むことを強く要望するものです。

○安井東京都技監 先ほど東京都が住民の生命、財産を全く守っていないかのようなご発言がございましたけれども、東京都は周辺の市や町と一緒になりまして、事故等の原因究明及び航空機の整備点検を徹底して行うこと、航空機の運用に係る全ての者に対して徹底した指導や訓練を行うこと、再発防止に万全の措置を講ずること等をきっちり申し入れているところでございます。

○清水(ひ)委員 それだったら、きちんと情報提供ぐらいしなさいよ。七日にも八日にもオスプレイが来ているでしょう、横田に。それについて何の情報提供もこちらから聞かなければしない、そういう態度を改めていただきたいですよ。
 次に、多摩ニュータウンの再生問題についてお伺いいたします。
 多摩ニュータウンは、多摩市、八王子市、町田市、稲城市にまたがり、開発面積約三千ヘクタール、現在、四市で人口約二十二万四千人を超えています。
 入居開始以来四十年以上が経過した現在、当初から住み続けている世帯では高齢化が顕在化し、子世代は進学、就職、結婚を機に流出し、人口減少が顕在化、都市基盤について、居住地と道路の高低差、多いところでは四十メートルもの高低差がある階段が移動の障害となり、住宅や都市インフラが老朽化し、更新の時期を迎えています。住民の高齢化と住宅、住環境の老朽化という二重の高齢化への対応が急がれています。
 また、近隣センターの機能低下、身近な商業施設の衰退、コミュニティ機能の確保への対応策、さまざまな課題が山積し、多摩ニュータウンの再生については、該当する四市でも大きな課題となっています。
 そこでお伺いいたしますが、都は長期ビジョンで多摩ニュータウン再生の促進を位置づけていますが、どのように再生の促進をしていくのでしょうか。

○安井東京都技監 多摩ニュータウンの再生の促進についてでございますが、東京都長期ビジョンの中で明らかにしているとおりでございます。広域的自治体として、地元市を技術的に支援しながら、住宅の更新や道路の整備、地域包括ケアと連携したまちづくりなどに取り組んでいるところでございます。

○清水(ひ)委員 多摩ニュータウンの四市に共通する課題として、インフラ維持更新問題があります。開発の当初から計画的なまちづくりが進められ、歩行者と自動車分離の道路整備、歩道や中央分離帯が整備されている広い幹線道路、開発に先立って毎時六十ミリの降雨に耐えられる河川改修、将来的には百十ミリまで改修可能な用地の確保、下水道では雨水、汚水完全分離式、公園面積は格段に広く、緑とオープンスペースが開発区域全面積の三〇%以上も確保された、高規格で安全で緑豊かな都市が売りの一つとして掲げられました。
 そして、各市は道路、橋などについて、一定の期限が来たら都から引き取る約束でこの開発は進められてきました。しかし、当時は予想しなかったような維持費、改修費が発生してきている。これからもくるといいます。
 都としては、現在はニュータウンの各市に市町村土木補助で対応しているといいますが、老朽化対応、改修は補助対象になっていないといいます。
 市長会からは、修繕事業にも補助を拡充する要望もありますが、どのように受けとめ、どう答えるのですか、お伺いいたします。

○佐野建設局長 都は、市町村の都市基盤施設の整備促進のため、一定の採択基準を満たす市町村の道路事業に補助を行ってまいりました。
 これまでも、採択基準の道路幅員の要件を緩和するなど、補助対象の拡充を既に行ってきておりまして、橋梁については、平成二十八年度からかけかえに加え、老朽化対策を補助対象とすることとしております。
 なお、トンネル等の修繕に対する補助につきましては、市町村の修繕計画の策定状況や国の動向を注視してまいります。

○清水(ひ)委員 現在はこの支援が都の補助としては重要な役割を果たしています。しかし、全額で年間五十億円程度ということで、二十六市、五十億円程度では十分ではありません。補助対象拡大や、それから金額のさらなる拡大を求めておきます。
 知事は、二〇一四年五月に多摩ニュータウンを視察しました。その後、都議会定例会で、都営住宅の建てかえと民間住宅の建てかえ支援など大規模団地の再生を進めていくんだ、都や民間、地元市が一丸となって再生を実現するなどの表明をされました。
 知事はその際、二〇一三年に竣工した多摩市の諏訪二丁目団地を視察したと伺いました。二十年ほど継続したこの団地の建てかえは、いろいろ困難がありましたが、今日の建設費などの高騰前の状況で進められたために、従前入居者の負担というのは基本的にほとんど発生せずに完成されたようです。それは、国と都と市の公的支出を行う東京都都市居住再生促進事業として、また、今は支援が終了してしまいましたが、東京都マンション建てかえ円滑化モデル事業として進められ、支援が実施され、合意形成がほぼ一〇〇%近くにまでされる中で進められたと聞いております。
 そこで伺いますが、東京都都市居住再生促進事業は、今も防災性の向上や良質な住宅供給などを進めるために進められています。この事業を広く周知徹底するべきだと思いますが、いかがですか。

○安井東京都技監 お尋ねの都市居住再生促進事業は、マンションの建てかえに対する補助制度でございまして、都は管理組合や事業者向けにパンフレットを作成し、区市町村窓口やセミナー等の場を通じて配布しているほか、活用事例をホームページに掲載するなど、周知してございます。

○清水(ひ)委員 でも、二十六年度の実績は二地区で、二百四十六戸のマンションの助成だと伺いました。もっと進める必要があるのだと思います。
 多摩ニュータウン地域内で初めてこの制度を利用しました先ほどの諏訪団地の建てかえでは、総事業費二百三十億のうち、都の負担は約四億程度が補助金として充てられたと聞きます。
 老朽化を迎えている多くの多摩地域の分譲マンションの安全確保のための建てかえの推進について、都として抜本的な財政支援を求めるものですが、どうですか、伺います。

○安井東京都技監 分譲マンションの建てかえは、管理組合が区分所有者間の合意形成を図りながら、みずからの責任と努力により取り組むのが基本でございます。
 都は、都市計画などで定めた地域の将来像などを踏まえ、防災性や活力の向上、公開空地の確保など、市街地環境の改善につながるマンションの建てかえに対して、区市と連携して支援を行っております。

○清水(ひ)委員 インフラの整備の支援ですとか建てかえなどに対する支援は少しはあるんですけれども、このニュータウンというのは、東京都が基本方針を一九六四年に決定しました。次の年には都市計画、住宅建設が始まり、入居者がそれ以来四十年--整備費用は二兆数千億円、主に開発者負担だったそうです。税金から約五千八百億円、都負担は約二千五百億円、市負担二百四十億円で進められたと聞いております。
 私は、今、各市の市長なども公にはいっていないかもしれませんけれども、やはりこの多摩ニュータウンの再生については、東京都も技術的な支援だけじゃなくて、財政的な支援ももっとしてほしいと思っていらっしゃると思います。そのことを強く要望いたします。
 次に、多摩地域の皆さんから要望をいただいているのが、外国につながる子供たちの教育を受ける権利の保障です。
 入学試験で在京外国人枠を持つ都立高校は、今年度から二校ふえて五校になったのは重要ですけれども、全部区部で、多摩地域には一つもありません。多摩地域の生徒が区部の高校に通うのは、例えば八王子からなら、一番近い国際高校でも片道二時間近くかかってしまいます。
 多摩地域で外国につながる子供たちを支援しているNPO団体によれば、支援した生徒四十一人のうち外国人枠で受検をしたのは十五人、合格したのは六人でした。受検しなかった生徒の六割が、学校が遠いことを理由に挙げていたそうです。一般入試で都立高校に進学したのは二十八人ですが、そのうち全日制に行けたのはたった六人でした。
 来日三年以内の日本語力で一般入試で合格するのは大変厳しいのが実情です。多摩地域の都立高校にも在京外国人枠を設けてほしいというのは強い要望となっています。
 そこで伺いますが、日本語指導が必要な小学生及び中学生の数は、区部と市町村部でそれぞれ何人でしょうか。

○中井教育長 東京都教育委員会が実施した平成二十七年度日本語指導が必要な児童生徒の受け入れ状況等に関する調査では、都内公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒は、区部が小学生一千百五十三人、中学生六百九十五人、市町村部が小学生三百一人、中学生百十二人となってございます。

○清水(ひ)委員 多摩地域にも百人以上の日本語指導の必要な、外国につながる中学生がいるということですね。
 そこでお伺いいたします。
 多摩地域の都立高校にも入試の在京外国人枠を設けるべきだと思いますが、いかがですか。

○中井教育長 都教育委員会は、都内に居住する外国人生徒に高等学校教育を受ける機会を提供するため、国際高校、飛鳥高校、田柄高校に加え、平成二十八年度の募集に当たり、新たに竹台高校と南葛飾高校に在京外国人生徒対象の募集枠を設け、定員を三十六名ふやし、区部の五校で百十七名といたしました。その結果、本年四月入学の募集における五校の応募倍率は合計で二・〇七倍となり、昨年三校合計の二・六五倍から〇・五八ポイント減少しております。
 多摩地域における在京外国人枠の設置については、都内全域の公立中学校に在籍する外国人生徒の動向、在京外国人枠を設けている五校の入学選抜の応募状況、応募生徒の居住地の状況等を十分に見きわめながら、適正な募集枠設定の検討を進めていくこととしております。

○清水(ひ)委員 就学援助について伺います。
 都として、区市町村がクラブ活動費を就学援助の対象費目とできるよう支援することを求めるものですが、いかがですか。

○中井教育長 就学援助における受給者の認定は区市町村の権限と責任において行われるものでございます。
 したがいまして、各自治体で判断し、実施していくべきものと考えます。

○植木副委員長 清水ひで子理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

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