予算特別委員会速記録第四号

○上野副委員長 西沢けいた委員の発言を許します。
   〔上野副委員長退席、秋田副委員長着席〕

○西沢委員 私から、まず最初に、住宅政策についてお伺いいたします。
 中古住宅を売却されたり、もしくは購入されたりした方であればわかると、ご経験ある方はいるかもしれませんが、この中古住宅の価値は、築二十年から二十五年がたつと価値がゼロになるというようにいわれます。キッチンとかユニットバスとか最新のトイレにリフォームするとか、もしくは和室から洋室に変えるとか、それから、最近は洋室から和室、琉球畳という真四角の畳が、大変おしゃれなものがあったりして、何百万円も使ってリフォームをされる方もいらっしゃいます。
 ところが、売却をするときになると、査定がゼロ円ですよといわれて、びっくりするという話がございます。
 建物というのは、築年数がたっても、人が住んでいる方が長もちするというようにいわれます。定期的に、住んでいる方が清掃もしますし、空気の入れかえもあります。そして、リフォームをするなどして定期的にメンテナンスするからです。
 ただし、こうしたメンテナンスをしたとしても、いざ売却しようとなると、業者さんが査定すると、築二十年、二十五年たっているから価値はありませんと、こういうふうにいわれます。これはなぜなのかというと、その一つが固定資産税。固定資産税を見てもそういう制度になっているんです、こういうふうにいわれるわけです。
 そこで、まず主税局長にお伺いをいたしますが、固定資産税を算出するに当たって、内装工事などのリフォームを行った場合、評価額がどうなるのか。そして、築十年の木造住宅と内装工事とかリフォームを行った築二十五年の木造住宅、これを比較すると、一般論として、固定資産税評価額はどっちが低いのかお伺いいたします。

○小林主税局長 固定資産税の評価は、国が定めました固定資産評価基準によりまして、家屋の建築費を基礎に、物価の変動と新築時からの経過年数による減価を考慮して評価額を求めることとされております。
 内装工事などのリフォームにつきましては、その内容が改築に該当する場合は、評価を見直すこととなるため評価額が増加をいたしますが、例えば壁紙の張りかえや浴室の修繕などの通常の維持管理の範囲であれば、評価の見直しは行わないこととされております。
 お尋ねの、築十年の木造住宅とリフォームを行った築二十五年の木造住宅との固定資産評価額の比較でございますが、このリフォームが通常の維持管理の範囲であるとすれば、一般的には築二十五年の木造住宅の方が評価額は低くなります。

○西沢委員 今答弁がございましたが、維持管理の範囲内であれば、築二十五年の方が低い、安いというようなことになるわけであります。
 最近、この改築に当たるもの、某テレビ番組とかで、ビフォーアフターじゃないですけれども、たくみが改築する、これはほとんど柱一本残して変えるとか、そうしたものになると当然変わるというようなご答弁ですが、内装のリフォーム、その程度であれば、基本的には変わらないと。逆にいえば、築十年でもほとんど人が住まない、十年中、七年とか八年とか九年空き家状態が続けば、その劣化というのは非常に激しいわけです。
 逆に二十五年の方が住みやすいというようなこともいえるわけであります。ただし、固定資産税という観点からいえばそうはなっていないと。建物の適切な評価というものが、現状はなされていないのではないかと私は思います。
 東京都の住宅政策審議会でも、平成二十一年には既にこの制度はおかしいんじゃないかという意見も出ています。そもそも、イギリスなどのように、住宅は資産であるという、こうした考え方が日本では薄く、建物は築年数がたつとともに下がっていくというようなものが前提になっております。
 建物がどれくらいもつのかという話ですが、住宅の寿命をはかる目安として耐用年数というものがあります。木造住宅は二十二年、鉄骨は三十四年、鉄筋コンクリートは四十七年。国税庁が定めているもので、それの年数に応じて税金の減価償却をするということで、耐用年数というものがありますが、鉄筋コンクリートでつくられたもので、跡地が表参道ヒルズになった同潤会アパート、これはおおむね築八十年くらいたっていました。東京タワーは鉄骨ですけれども、これは築五十八年ですね。エッフェル塔、これは知事もご存じだと思いますけれども、百二十七年たっているわけであります。木造ですが、世界遺産の法隆寺は何と千三百年。これは火災により焼失していたりする部分があるので一概に比較できませんが、最近は木造住宅、古民家カフェというものがはやっています。
 築六十年とか七十年、百年を超えるものがありますけれども、こうしたものをメンテナンス、補修をして、塗装を塗り直したり、そうするとよみがえる。劣化を防ぐ対策の日ごろのメンテナンスを行えば長く使えるということがわかります。
 本来、住宅というのは、ライフスタイルの変化に合わせて、間取りを変更したり、雨漏りがあったら修繕をしたりと、手を加えていくものであります。そのことによって、年月をかけて手を加えていって快適になる、手を加えれば加えるほど快適になっていくというようなものでもあります。
 もう一つの例として、横浜で建物のくい打ちの事件がありましたけれども、これは築年数八年がたった物件でそうしたものがわかったわけでありますが、築十年たったものを買った方がいいと、こういう意見なんかもあります。それはなぜかというと、それだけきちんと建っていたという実績になるわけですね。
 東日本大震災が起きて、東京でも震度五強ありました。だけれども、ひび一つなく建っていました。築年数がたっているということは、それだけ実績、そして手抜き工事もありませんでした。もしくは、そうしたことがあってもきちんと補修して使えていますというようなことになるわけであります。
 改めて、固定資産税の基準というものは築年数などの基準によって定められているわけですが、私はこの基準に疑問を投げかけたいと思います。冒頭、答弁いただいたように、固定資産税はリフォームというものを評価しないわけであります。
 どういう仕組みか。固定資産税の評価基準というものは、一年目に〇・八というふうな数字で掛けることが決まっています。多くの住宅の場合は、二十五年たつと〇・二というものになります。つまり、一千万円の価値があっても、一年目、つまり買った瞬間に八〇%、八掛けになると。買った瞬間、中古で価値が減りますよといわれるゆえんはここにあるわけです。
 その一方で、解体費用なんかもありますから、〇・二の評価に築二十五年たつとなります、どんな住宅でも。そうすると、価値がほとんどないですよと、こういうふうにいわれるゆえんはここにあるわけであります。
 リフォームというのは国も進めています。都も補助を条件によっては行います。ところが、資産として考えると価値は上がらない、だったら修繕しない方がいいじゃないかというようなことにもなってしまうわけであります。
 どんなに中をぴかぴかにして修繕をしたとしても、価値がゼロという形で固定資産を評価する、自治体の評価が低ければ銀行が融資をしないです。そうすると買い手があらわれない。売却ができない。そうすると、結果として放置されて空き家になってしまう。こうした負のスパイラルになってしまうわけであります。
 今、金融機関の中では、本店が中野区にある西武信用金庫さんは、一級建築士を中に入れて、銀行が独自に、この建物は修繕しています、メンテナンスしていますと。もしくは将来にわたってこういった修繕計画をつくっていますと。こうした判断をすれば、二十五年たっていても、さらに二十年の融資をするというような制度を、既に民間の金融機関では始めているわけであります。
 そもそも、築年数に応じて自動的に資産価値が下がるという現状の固定資産評価基準の考え方は限界に来ているというように考えます。
 私は、評価基準の見直しを行い、住宅をリフォームした場合は適切に評価額に反映させることも検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○小林主税局長 先ほどご答弁申し上げましたが、国が定めました現在の固定資産評価基準によりまして、リフォームを行った住宅につきましては、改築の場合を除き、新築時からの経過年数に応じて評価が下がる仕組みとされております。
 一方、住宅の長寿命化が求められる中で、建築技術の進歩などによりまして、住宅の価値の向上につながるさまざまなリフォームが行われてきているという状況もございます。
 こうしたことから、国におきまして、リフォームを行った住宅の評価のあり方について、建築や法律分野などの専門家に加えまして、都も含めた自治体職員を交えた調査検討が行われておりますが、この中で、どのようなリフォームを対象範囲とするかを初め、改築に当たる場合は建築確認が行えるわけでございますが、リフォームを行った住宅をどう把握するか、さらには評価の向上が税負担の増加につながってしまうのではないかなどの課題に対応していく必要がございます。
 現場を抱える都といたしましては、こうした場での議論に積極的に参加をしながら、国における検討の動向を見きわめてまいります。

○西沢委員 答弁のとおり、建築技術やリフォームの手法というものは、この制度そのものの法律が定められたときとは比べものにならないほど進化をしているわけであります。
 都が担当するのは、二十三区の都税事務所でございますけれども、固定資産税を評価する現場として、国の議論を見きわめるということですが、ぜひ議論をリードする思いを持っていただきたいというように思います。
 今、国の話になりましたけれども、これ今、資産税の話、税金の話を進めてきましたが、住宅政策として国土交通省も、平成二十六年三月には、中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針というものを出しています。これによって価格査定マニュアルというものをつくって、建物もやっぱり適正な評価というものをしようじゃないかと、こうした動きが実はございます。
 しかし、そのために、この取り組みでございますが、住宅診断を行うということが必要ということが表示されているわけですが、この住宅診断は、インスペクション、住宅をきちんと診断することで、築年数によらず適切な評価をしようという動きでございまして、これは大変重要なものでございます。ところが、まだまだ実効性や認知度が足りず、普及しているとはいえません。
 冒頭、質疑をしたように、国税庁の手法というもの、税金の手法というものがいまだに変わっていない中で、国土交通省が住宅政策としてやろうとしている新しい手法と古い手法が混在する今の状況にあって、なかなかこうした新しい取り組みが、スキームが簡単に浸透するというわけにはいかないようでございます。時間がかかるわけであります。
 私は自動車で、車検、自動車検査登録制度がありますが、住宅でも、住検と呼ぶかどうかは別にして、住宅検査制度というものがあってもいいのではないかと思います。
 軽自動車は耐用年数が四年で、普通自動車は六年ですけれども、車検を通った自動車というのは、十年たっても十五年たっても流通していますね。自動車の場合は、整備不良というものがすぐに人命にかかわるものですから、こうした制度が当たり前になっているわけですが、市場の流通という面から考えれば、この車検が、公的機関がお墨つきを与えているということで、中古車市場が活性化しているというように私は思います。
 住宅市場を活性化させるということは、空き家対策にもつながります。都は、ひとり親家庭支援として、母子生活支援施設から退所後の支援としての空き家の活用、社会的養護を終えた若者が自立支援するために空き家を活用するということになっていますが、住宅検査を実施して、都がお墨つきを与えて、その物件を都が率先して空き家対策として活用するという方法が考えられるのではないかと思います。
 なかなか浸透しない今の評価の新制度でも、都が率先して行うことで空き家が活用されれば、資産として活用された実績となり、民間が検査制度をしようという呼び水が起こり、需要喚起につながります。建物を適正に評価する手法そのものが広がるということになります。
 私は、都が率先して住宅の価値を適切に評価して、市場に流通させる。例えば、今申し上げたような、都庁版の住宅検査制度とでもいうようなものを導入してはどうかと考えます。
 都が踏み出すことで既存住宅の活性化につながると考えますが、見解をお伺いいたします。

○安井東京都技監 既存住宅の流通活性化に向けまして、都はこれまでも、ガイドブックを作成し、住宅検査や住宅履歴の整備を推奨するなど、都民や事業者への普及啓発などに取り組んでまいりました。
 市場におきましては、近年、住宅検査や瑕疵保険への加入など多様なサービスを一体的に提供する取り組みなどが見られます。
 都としては、こうした民間による住宅検査等の取り組みが進むことが、流通活性化を図る上で重要と考えてございます。

○西沢委員 既存住宅の流通という面、ぜひさらに進めて活性化を図っていただきたいと思います。
 今定例会で、空き家対策に関する質疑の中で、知事は、中古車市場は非常にうまくいっている、あのような感じでできないかと考えているといったことをおっしゃいました。
 今や、ネットオークションで自動車を買う時代となっています。空き家対策も含め、既存住宅の有効活用についての知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 先ほど西沢委員から車検の話が出ましたけど、車検とか定期点検、これが中古車市場の形成に非常に寄与しているというふうに思っています。ですから、例えば、こういう住宅の検査みたいなものを民間がやってくれて普及するというようなことがあれば、買う人は安心して中古住宅を買うことができるようになりますし、流通がもっと活性化するというふうに思います。
 そういう知恵を絞りながら、やっぱり私は、新築中心の住宅市場から、百年、二百年もつような質の高い住宅を長く使う市場へ転換させることが必要じゃないかと。そういう活用を進めたいというふうに思っております。
 今ご指摘の空き家の問題も実はここにかかわっておりまして、非常にもったいないですから、地域の貴重な資源と捉えて、子育て世帯向けの住宅の確保とか、福祉人材のための、借り上げて職員住宅にするとか、さまざまな、それから地域のコミュニティの中心になるホールのようなものにするとか、利用の仕方はたくさんあると思いますので、そういう積極的な取り組みをやる区市町村を支援していきたいというふうに思っております。
 これはもう長い戦後からの住宅政策全体の見直しの時期が来ているということの警鐘が、空き家の問題だろうというふうに思っておりますので、既存の住宅の有効活用を図りながら、どうすれば快適で暮らしやすい東京にすることができるかと、こういう大きな視点からこの問題に取り組みたいと思っております。

○西沢委員 今、知事に答弁いただいたように、不動産、建築に関する制度というのは、古い制度も長くありますし、非常に複雑で、国の制度が大きくかかわって難しいところもあろうと思いますが、この住宅検査が、市場の流通にも、住宅を長く使うという文化定着になるという認識は一緒だというように思います。
 不動産価格が非常に東京は高いですから、東京が動く意義というものは非常に大きい。ぜひ進めていただきたいということを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、防災対策についてお伺いをいたします。
 災害時の物資の調達における民間の活用についてお伺いいたしますが、震災直後というよりは、少し時間がたった自助、公助、共助というところの、共助の部分に絞った質問になります。
 都は物資供給について、セブン&アイ・ホールディングスなどと協定を結んでいるようですが、来年度予算では民間の活用というところに特に目出しはされておらず、取り組みというのが見えづらくなっておりますが、そこで、具体的に民間活力をどのように生かしているのかお伺いいたします。

○中西総務局長 現在、救出救助、ライフラインの復旧、物資の調達、帰宅困難者の支援など、多くの分野におきまして、民間企業あるいは関係企業で構成される団体と、災害時の支援などについて協定を締結してございます。
 例えば物資では、調達や配送などについて、お話のセブン&アイ・ホールディングスや、消費財流通業界の企業を主体として構成されます日本TCGFなどと、また、都の備蓄倉庫における荷役などについては、東京都トラック協会と協定を締結するなど、被災者の多様なニーズに対応するための体制を強化してまいりました。
 こうした官民の連携体制が災害時に確実に機能するよう、協定先の企業等との協議や訓練を通じ、必要な情報の共有化や要請手順の習熟などを図っているところであり、今後とも、こうした取り組みを継続してまいります。

○西沢委員 災害となれば、こうした民間の活力は欠かせないと思います。それから、各地から義援物資が送られてくることも想定できます。東日本大震災のときには、被災地に物を送ろうというような動きがたくさんありました。
 ところが、なかなかさばき切れないという課題もあったというように記憶しております。そんな中、平成二十四年に出た国の中央防災会議による報告によりますと、原則、義援物資について抑制を図るということになっております。私としてはこの報告に疑問を持っております。
 以前から申し上げていることでもございますが、知事は都市外交を推進しています。都市外交をすると、特に世界中から、友好都市、姉妹都市から、東京に何かあったとき助けようと、こうした動きをぜひ起こしてもらうような、そんな都市外交を進めていただきたいと、総務委員会でも質疑をしてまいりました。
 そして、例えば世界中から、日本各地からそうした義援物資を送っていただけるような、そうした声というものを、私は積極的に受け入れるべきだというように考えるわけです。
 義援物資の受け入れを積極的に行うべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○中西総務局長 義援物資の受け入れに関しましては、東日本大震災の後、国の幾つかの省庁から報告などが行われております。それらによりますと、想定しないものや小口、混載の物質への対応、物資の滞留による集積拠点の機能の低下などが課題として挙げられております。
 都におきましても、義援物資を募集し、被災地に輸送した際に同様の状況に直面しており、被災地のニーズに沿った物資をスムーズに輸送することの困難さを痛感したところでございます。
 国の中央防災会議における報告は、こうした状況も踏まえ、原則として抑制を図るべきものとしたものと考えております。
 都といたしましては、この中央防災会議の報告を踏まえつつ、発災後の時々における避難者等のニーズの変化や受け入れ体制の状況などを見ながら、適切に対応してまいります。

○西沢委員 義援物資の受け入れには多くの課題があり、その一つが、被災地と支援者とのマッチングということが挙げられたわけであります。
 確かにそういう面があるのは事実で、私の知り合いで、東日本大震災のときにトラックいっぱいに水を積んで、それ行けといって行ったら、逆にもう倉庫もいっぱいだし、さばける人もいないし、持って帰ってくれといわれたことがあって、持って帰るわけにもいかないということで強引に置いてきたよなんていう話をして、何が支援だったのかと、逆に迷惑をかけてしまうケース、こうしたことがあったという話も聞きます。これは、たくさんこういうケースはあったんだと思います。
 このマッチングといいますか、特に何が必要で、どこに必要で、それを誰がさばくのかというようなことというのは、本当に課題の一つだというように思います。
 そこで、通販の大手でアマゾン、アマゾンジャパンですね、日本でいうところの。通販で本とか使ったことのある方もいると思いますが、このアマゾンの欲しいものリストというようなものが、必要な物資を登録して、それを見た方が被災者のかわりに購入するという、こうした取り組みが実は始まっております。
 アマゾンの制度の一つで、欲しいものリストにその欲しいものを登録しておくと、例えばバーベキューをやろうというときに、バーベキューの欲しいものリストをやると、参加者がそれを見て、自分がこれを買う、誰かがこれを買うと。見た人が、何が必要なのかというものを見て、それを買ったらそれが欲しいものリストから消えていくと、こうしたものがあります。
 これを被災地で使おうと、復興で使おうという取り組みが始まっているわけでありますから、まさに民間ならではの発想だと思います。
 マッチングの解消ということで、アマゾンのスキームというのは活用できると思うんですけれども、実は昨年七月にこのアマゾンジャパンと、それからヤマト急便と徳島県が協定を締結しました。徳島県では、いざとなったときの避難所ごとにアカウントが既につくられていて、その避難所で何が必要なのかというものを登録すれば、それが各地から、必要なものであれば、まさに海外からでも、スマホを持って、徳島県のこの避難所でこれが必要だということを見て、紙が必要ならそれっと送ることができるというようなもので、徳島県が進めているわけであります。
 この義援物資のマッチングでございますけれども、一つのヒントになる、答えになるのではないかと思います。
 課題はあると思いますけれども、同様の仕組みを都でも導入すべく、検討すべきではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。

○中西総務局長 仮に東京で同様の仕組みを導入した場合、最大で二百万人を超えると想定されます避難生活者が必要としている物資を把握し、確実に届けるためには、多くの課題が考えられます。
 例えば、輸送を担う運送会社のトラックや人員の不足、また、避難所での要望の取りまとめや避難者への受け渡しを行う人員の不足などが想定されます。特に、人命の救出救助が優先される発災直後は、これらの課題の解決は困難であると考えられます。
 お話の仕組みは、被災地と支援者をつなぎ、避難生活の質を向上させる観点からは有意義なものであると考えられますが、都への導入については、物資調達のあり方を不断に検証していく中で慎重に検討してまいります。

○西沢委員 慎重に検討するということでありますが、もちろん人口八十万人に満たない徳島県と首都東京を一概には比較はできませんが、救援物資を受け取るという一つの参考になると思います。ぜひ、参考にして進めていただきたいと思います。
 こうした民間の活力は、今思いもつかないことが、いざとなったときに動くということがよくあります。
 楽天が、ドローンを使って配送する仕組みの事業化を検討しているそうです。二〇二〇年に実現を目指すということですが、将来的には避難所に、今、本当に必要なものが何なのかを、例えばスマートフォンなどを使って日本各地から、海外から、それを押せばドローンが物資を届けると、こうした時代がやってくるかもしれません。こうした思いもつかない発想は今後出てきます。
 民間の活力を生かすということは都の防災力を高めるわけですが、最後に、知事に防災についての考えをお伺いいたします。

○舛添知事 西沢委員から、いろんな民間の知恵を生かすアイデアをいただきました。
 それを聞いていて思い出したのは、例えば結婚するカップル、これは新しい家庭を築くのでいろんなものが要りますね。そうすると、リストドマリアージュというのをフランスなんかはつくって、それで、これ欲しいんだと、そうすると、みんな親類とかお友達が、じゃあ私がこれを買ってあげると。
 こういうのを全体的に人命救助を含めて、災害のときに使えればということだと思うんですけど、問題は結婚するときとこういう緊急事態と、状況が非常に違うということをどう考えるかということであるので、自助、共助、公助、それから民間とが頑張ってもらう中で、行政が何をするかというのは、きちんとやっぱり整理をする必要があるんだろうというふうに思っております。上手に我々がコーディネートできれば、例えば、あるNPOからこちらのNPOへの連携でというようなことができるというふうに思います。
 それから今、ドローンの話が出てきましたけれども、流通の側面で革命的な変化が起こっていることは確かなので、こういうことも、どういうふうにやっていけばいいのかと。七十二時間以内というのは、人命救助というのに集中しないといけない。その人命救助の中にも、物資が足りなくて、食料が足りなくて亡くなるという方もおられるわけですから、そういうことを含めて、いろんなアイデアを入れながら、民間の力を活用するというのは非常に重要だと思いますので、一昨年は東京商工会議所とこういう話をしました。昨年はセブン&アイ・ホールディングスとこういう協定を結びましたので、ぜひ民間企業とのこういう連携の輪を広げていきたいというふうに思いますし、新しい知恵を出す必要があると思いますので、さまざまなアイデアを生かしながら、世界一安全・安心な都市東京を目指して頑張りたいと思っております。

○西沢委員 知事から力強い答弁をいただきました。ありがとうございます。ぜひ、民間の活力、非常にキーポイントになると思いますので、進めていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 インキュベーション施設による創業支援についてお伺いをいたします。
 このインキュベーション施設、私の地元中野区なんですが、中野区にもございまして、最近お伺いをしてまいりました。
 そうした中で、中野はアニメなどのコンテンツ産業が大変盛んなわけですけれども、この中で、起業家さんが中野応援キャラクターというものをつくられたんですけれども、これは無料で二次配布もオーケーですよとなっているんですが、話を聞くと、ほとんど反響がないと。話の奥深く聞くと、地域との接点がないというような話をお伺いしました。地域応援キャラクターをつくっている起業家さんがその地域と接点がないというのはもったいないなというように思いました。
 中野区の経済団体は若手が非常に盛んで、交流が深いです。商工会、法人会とかそれぞれの青年部、それから青年会議所や商店街連合会、こうした方々が一緒になってランニングフェスタというものを復活させたり、地域の盆踊りを若手だけでやったり、こうした元気のある経済団体の人たちとコラボすることによって、爆発的な相乗効果を得られるのではないかというように思います。
 この中野のインキュベーション施設に限らず、他の地域においても同じことがいえるのではないかと思います。地域のつながりですね。
 そこで、各地にあるインキュベーション施設と地域との連携をより充実させるような取り組みが必要ではないかと考えるわけであります。
 例えば、都から地域経済団体を初めとした方々と創業者にメリットになる意見交換の場をつくるなど、さらなる工夫をしていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 地域において創業をバックアップする機関といたしまして、商工会などの経済団体や金融機関がございます。都のインキュベーション施設では、インキュベーションマネジャーがこうした機関とネットワークをつくりながら、入居者の事業の成長、拡大につなげるための支援を行っております。
 具体的には、地元のネットワークに参画することによる販路開拓支援や、地元企業との交流会、地域金融機関による資金調達に関する相談会など、効果的な支援を実施しておりまして、こうした取り組みを着実に行ってまいります。

○西沢委員 中野区のインキュベーションマネジャーさん、お話をしてきましたが、大変顔も広く、地域団体や金融機関とも随分やりとりをしているようでありました。ぜひ、いま一歩進めていただきたいと思います。
 特に、今回視察を一緒にした方、経済団体の方ですが、このインキュベーションマネジャーと既に連絡先を交換して、地域の勉強会の講師になってほしいという形で話も進んでおります。地域との連携というものを工夫すると、さらに相乗効果が向上できるというように私は思います。
 インキュベーション施設は、都や公社が直接やるだけではなくて、民間のインキュベーション施設を都が認定をして、場合によっては補助事業も行うと。インキュベーション施設と当該地域とのかかわりが重要だという話をしてきたわけですけれども、この認定事業というのは、全都的な地域のバランスをとっているわけではありません。地域ごとに手挙げ方式なのですから、これはやむを得ないんですが、私は、このインキュベーション施設それぞれの連携というものが重要なのではないかと思います。
 販路や連携先の開拓など、インキュベーション施設入居者への支援を充実していくためには、施設同士、そして支援の核となるインキュベーションマネジャー同士の交流を促進させていくということが重要だと考えます。
 都では今年度、民間インキュベーション施設を認定して、施設間の交流を図る事業を開始していますが、今年度の状況がどうなのかというのをお聞きするのと、効果を上げているのであれば、来年度はこれを拡大していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 都では今年度から、優良な創業支援の場を提供するため、認定制度を設けまして、民間のものづくりインキュベーション施設などの事業を認定するとともに、認定事業者等の交流会において、創業の事例発表や特徴ある支援を行う施設の見学等を行いました。
 来年度は、引き続き区市町村や民間の創業支援施設運営者に本事業を広く周知してまいりますとともに、積極的な取り組みを行う施設運営者に働きかけ、認定事業者の拡大と交流の促進につなげてまいります。

○西沢委員 来年度、都は、創業を促進するための新たな拠点として、相談から事業化までワンストップで行う創業支援拠点を整備するということですが、今定例会でも幾つか議論されましたが、詳細はまだこれからだということであります。
 私は、この拠点が地域や民間の創業支援、そして都内各地にあるインキュベーション施設との連携を促す中心地にするような拠点にもなってほしいと思います。
 この拠点を中心に、地域や民間の創業支援機関、そして都内各地にあるインキュベーション施設との連携、これを促して、都内の創業環境を向上させるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 都が新たに設置する創業支援拠点におきましては、利用者のニーズに対応した支援を行うため、民間の創業支援機関や各地域のインキュベーション施設との連携を図り、イベントや交流会を数多く開催するとともに、都内各地のインキュベーション施設を紹介するなど、さまざまな取り組みを展開してまいります。

○西沢委員 当然、単純な相談窓口ではだめです。コンテンツ産業だったら、中野、杉並、練馬、革製品とかは台東区とか、それぞれのインキュベーションの特性というものがありますから、地域との交流で蓄積したノウハウなどについても情報提供できる拠点になっていただきたいと要望しておきたいと思います。
 続いて、行政改革についてお伺いいたします。
 予算編成の過程で、不要な事業を削減して新たな事業を生み出すインセンティブ制度は、行政改革という面から見ても、知事の実績として評価されるべきだと私は思います。その一方で、都庁組織そのものの改革については、知事にとってこれからなのかなというような印象です。
 知事は、著書「厚生労働省戦記」の中で、厚生労働省に批判的な方をあえてチームに加えて、厚生労働省改革を進めたとしております。「現代ビジネス」の中では、都庁でも縦割りの弊害があるとおっしゃった上で、必要な行財政改革は断行しなければならないとしています。
 都庁内において行政改革が進んでいないのではという新聞社の問いについては、組織の改革は現状把握がまず最初で、前半はそれに努めたと知事は述べています。後半戦はこれからになるわけですが、私は都の組織は、特に外部の目を入れる姿勢というものが欠けているのではないかと思います。
 情報漏えい事件などの再発防止委員会の人選、これも局内の人選です。それから監理団体の目標を定めたり、それから検証をする、こうした委員会も内部です。そして、事業費削減に有効な事業評価も、外部の目は入っておりません。外部の目が入る制度となる審議会についてですが、審議会などの附属機関のメンバーも局が指名する方法がほとんどで、私は、より外部の目を入れるような組織に変えていかなければならないのではないかと考えます。
 行政改革といっても、単純に歳出カットや職員削減のことを指すものではなく、庁内組織をよりモチベーションの高いものにするような組織改革も重要です。
 先日行われた東京マラソンは、日本を代表するイベントに成長しましたが、当初五人で準備をスタートしたという話が紙面に出ましたが、大変な苦労があったんだと思います。組織のトップの意向と、それを具現化する職員の方々との信頼関係や意思疎通があってこそ、より効果の高い仕事ができる。
 多くの事業を抱える都においては、担当する職員全てと密にコミュニケーションをとるということができないと思います。だからこそ、トップが理念や指針を示すということが重要であると考えます。
 長期ビジョンは、東京都の将来像が書かれたものです。行政改革についても、知事が目指す方向を示すべきと考えます。現状を把握し、任期後半戦に入る今、行政改革に対する知事の政治家としての見解をお伺いいたします。

○舛添知事 行政改革なんですけど、これは結果を出すことは一番大事だと、まず思っております。十六万五千人、それから、今ご審議いただいているように十四兆円という予算規模、これだけの巨大な組織でありますから、二年、一生懸命やってきましたけど、どこまで完璧に把握しているのかということは常に自問自答しないといけないというふうに思いますが、そういう中で、できるところから不断の改革に取り組んできているつもりでございます。
 今おっしゃっていただいた事業評価の取り組み、これは二十八年度予算編成でも三百二十五件の見直しをやり、見直しをやったところはインセンティブを与える、もう、こういうことをやりました。
 それから、人材の有効活用ということで、私はただ減らせばいいんじゃなくて、例えばテロ対策で必要な警察官の数をふやさないといけなければ、そういうところは確実に措置をする必要があると思いますけれども、例えば係制なんていうのは要らないんじゃないかということで、これはもう廃止をしました。それから、やはり成績、ちゃんと仕事した者は報いるよということで、ボーナス査定の格差を拡大して三割増しまでしたと。それから、昇給も四段階から七段階に細かくやって、昇給のないという職員まで含んだと、こういうことを今やっているわけであります。
 そういう中で、外部の目というときに、これはテーマごとだろうというふうに思っております。ですから、今、さまざまな有識者会議、例えば今、観光を頑張ってやろうと。それから舟運をしっかりやろうと。こういうときに--それからグランドデザインもやっています。それは外部の若い方、いろんな、もちろん都に対して批判的な方も含めてやっていますので、そういうところから出てきた政策の芽をどうやっていくのかと。
 ただ、審議会の話が出ましたけれども、これは知事が好きな人とか勝手に選んではだめな面もありまして、やはり審議する内容についての行政のエキスパートとか学者のエキスパートは絶対置かないといけないという人もいますので、そういうところは、目配り、気配りをしながらやっていきたいというふうに思っておりますので、いよいよ後半戦に入りましたので、行政改革の成果も上げたいと思っております。

○秋田副委員長 西沢けいた委員の発言は終わりました。(拍手)

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