予算特別委員会速記録第三号

○秋田副委員長 松田やすまさ委員の発言を許します。
   〔秋田副委員長退席、委員長着席〕

○松田委員 初めに、子育て支援について伺います。
 子育ては、本来、親がするべきものであります。保育所に子供を預ける場合は、我が子を預かっていただいているという感謝の気持ちを持って預けなければなりません。安易に保育園増設を含めた子育ての外注化を進めるばかりではなく、親が真剣に子供に向き合い、そして、そのときに行政が支援をするべきものだと私は考えております。そういった前提で質問をさせていただきます。
 保育人材の確保についてお伺いをいたします。
 都は、昨年策定をした子供・子育て支援総合計画において保育サービスの全てを保育士さんで賄うとした場合、平成二十六年度から二十九年度の四年間で、必要な保育士は約二万八千人と試算をしておりますが、そのうちの一万八千七百人は離職者の補填であります。
 東京都では、離職防止に向けた取り組みを行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都は現在、保育人材の確保、定着を図るため、保育人材・保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談から就職後の定着までの支援のほか、人材育成や働きやすい職場環境づくりに関する事業者向け研修、保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者への支援、保育従事者向けの宿舎借り上げ支援などを実施しております。
 こうした取り組みに加えまして、来年度は、新たに離職防止を図るため、保育従事者への巡回相談等を行う区市町村への支援を開始いたします。
 巡回相談では、心理相談員や保育所での勤務経験豊富な専門員が施設の職員に対し、仕事上の悩みや保護者対応などに関する相談や助言を、きめ細かく行うこととしており、今後とも、保育人材の離職防止に向け、積極的に取り組んでまいります。

○松田委員 新たな離職防止策も講じていくということでありますので、ぜひとも効果を上げていただきたいと思います。
 離職理由でよくいわれるのがミスマッチであります。新人保育士さんなどは、仕事についてからの期待と現実とのギャップに悩んで職を離れてしまうことも多いと聞きます。実際、私も、公立保育園で、四月に新人で入ってきた先生が、秋ごろになると元気がなくなっていく様子を目にしたことがあります。
 保育所などには、保育補助者の方々がいらっしゃいますが、こうした現場をよく知る方々に資格を取得していただければ、その後は、安定的に、かつ即戦力となる保育士さんとして働いていただくことができます。事業者さんにとっても、現場の負担軽減を図りながら、人材の育成、確保ができます。
 そこで、現場で働いている方に対する保育士資格取得支援の取り組みを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都は現在、認可保育所や認証保育所、認定こども園などに勤務する無資格者の保育士資格の取得を進めるため、教材費や保育士試験の受験料、講座の受講料、代替職員雇い上げなどに係る経費の一部を補助しております。
 来年度は新たに、保育士の負担軽減に取り組む保育事業者に対して、年額二百九十五万三千円を上限に、保育補助者の雇用に要する費用の貸し付けを行う保育補助者雇上支援事業を開始いたします。この事業では、雇用された保育補助者が三年以内に保育士資格を取得した場合は、貸付金の返還を免除する仕組みとなっております。
 認証保育所に対しても、都独自に支援することとしており、今後とも、保育士確保がより一層進むよう施策の充実に取り組んでまいります。

○松田委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 認証保育所を運営する事業者さんたちに伺いますと、新規に資格を取得する保育士さんの就職の動向は、認可保育所を優先されることもあり、待機児童解消に向けて認可保育所が大増設をされている中、認証保育所の人材確保は非常に厳しくなっているとのことであります。今後、さらに一歩踏み出した人材確保策を講じることを強く要望しておきます。
 さて、都がキャリアアップ補助や、国が認可施設だけを対象にしている宿舎借り上げ支援について、独自に認証保育所も補助対象とされておりますが、これらの事業がより一層効果的に活用されるために、一つ提案をさせていただきたいと思います。それは、補助金の交付の時期であります。
 事業者さんが宿舎として借り上げた賃借料や、職員の方への給料、これを払うのは毎月のことであります。一方、認証保育所への補助は、都から区市町村、そして、区市町村から事業者さんというように、交付の時期が区市町村によってまちまちになって、年末になってしまうところもあると聞いております。
 事業者さんによっては、補助金が入るまでは保育士さんたちの支払いができずに、人材確保という観点からも不利になっているという声も伺っております。早期の補助金の交付については、認証保育所の事業者団体の皆さんから、我が党に対して要望をいただいているところでもございます。
 区市町村を通じて行われるキャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援などの補助金は、年度末に一括などではなく、毎月払いとはいかないまでも、せめて四半期、三カ月に一度ぐらいの交付にできないものか、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 事業者への補助金の交付時期などにつきましては、手続を行う区市町村が決定するものでございますが、お話のように、事業者からご意見やご要望をいただいております。
 今後、都は、区市町村への補助金の交付決定をできるだけ早期に行いますとともに、区市町村に対しては、ご指摘の趣旨を踏まえ、可能な限り年度の早い時期から複数回に分けて支払うなど、実情に見合った方法で交付するよう、課長会など、さまざまな機会を通じて働きかけてまいります。

○松田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 宿舎借り上げについては、もう一つお話をさせていただきたいと思います。
 この事業は、今年度から本格実施となりましたが、全ての区市町村で実施をされているわけではありません。実施している自治体と実施をしていない自治体の両方で保育所を運営する事業者さんからは、職員に不公平が生じてしまうため、できれば全ての区市町村で実施をしてほしいと要望が寄せられております。
 また、保育事業者が空き家を借り上げて職員に賃貸をするこの事業では、保育事業者が個人事業主だと保証会社の審査が通りにくく、賃貸契約が結べないことがあると聞いております。宿舎借り上げ事業は、不動産業界にとっては、空き家対策としてメリットがあります。不動産業界に、この事業を周知し、協力を得ることで事業が円滑に進むはずであります。
 宿舎借り上げ事業の効果をさらに高めるよう、区市町村や不動産業界への働きかけが必要だと考えますが、お尋ねをいたします。

○梶原福祉保健局長 宿舎借り上げ支援事業につきましては、今年度は十六区二市で実施しており、今後、この事業がさらに広がるよう、事業の成果を未実施の区市町村に紹介することなどにより、取り組みを促してまいります。
 また、賃貸住宅の事業者団体に対しましては、保育事業者の賃貸借契約等が円滑に行われるよう協力を要請し、あわせて詳細な事業内容を周知しておりまして、今後とも、積極的に働きかけてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。宿舎借り上げ事業は、人材確保策として重要な施策であります。事業者さんにとって少しでも使い勝手のよいものになるよう、都としても、区市町村や関係団体に強く働きかけるなど、努力をさらにしていただきたいと思います。
 次に、働き方改革について伺います。
 国は一億総活躍社会の実現を進める中、全ての方が能力を十分に発揮して活躍するためには、一人一人の事情に応じた働き方改革が大変大きな課題となっております。
 しかし、厳しい経営環境にある中小企業が、いきなり一歩を踏み出すことは容易ではなく、また、規模や業種もさまざまであることから、画一的に労働条件の見直しを求めることは現実的ではありません。
 都が来年度から取り組む働き方改革は、こうした中小企業のさまざまな実態を踏まえた実効性のある対応が必要と考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都が来年度創設いたします東京働き方改革宣言企業制度は、年間千社を目標とし、実効性を高めるために中小企業でも取り組みやすい制度といたします。
 具体的には、働き方改革を宣言する企業は、休暇や労働時間などのメニューの中から自社の実情に応じた取り組み項目を選択できる仕組みといたしまして、社内制度を整備した場合には最大六十万円を支給いたします。さらに、その制度を社員が利用した場合には最大四十万円、合計で最大百万円の助成金を段階的に支給することで、中小企業が働き方の改革に踏み出せるよう後押しをいたします。
 また、設備投資や業務の効率化を通じ生産性を高めていくため、専門家を宣言企業に派遣し、適切な助言を行い、ニーズに沿った中小企業支援施策につなげてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。ぜひ積極的な支援をこれからもよろしくお願いをいたします。
 次に、東京の伝統文化における情報発信についてお伺いをいたします。
 海外から東京を訪れる観光客にとっては、東京の伝統文化については、説明を受けながら見るだけではなくて、お茶やお花など、実際に雰囲気を体感したり、工芸品そのものを自分でつくったり、踊りの初歩を習ったりする体験型の観光に対する関心が非常に高まっていると聞いております。通り一遍ではなくて、東京の文化を本当の意味で理解してもらうためには、体験を重視した観光に関する情報の発信に、これまで以上に力を入れていくことが重要になると考えます。
 こうした観点から、外国人旅行者に向けた伝統文化情報の発信について、今後の都の具体的な取り組み内容を伺います。

○山本産業労働局長 都はこれまで、都の伝統的な工芸品や芸能等の情報につきまして、区市町村とも協力して収集し、その内容を観光案内のウエブサイトやパンフレットに加え、今年度開発したスマートフォンのアプリも活用して発信してまいりました。
 来年度は、観光案内のアプリを改良し、観光客による伝統工芸品の製作体験の様子や伝統舞踊を習っている様子などを映像で提供することで、外国人旅行者の伝統文化の体験に対する一層の関心を喚起してまいります。
 こうした取り組みにより、旅行者が伝統文化を体験し、東京の魅力を理解できる観光振興を着実に進めてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 もう一つ、都の観光支援という観点から、日本遺産についてお伺いをいたします。
 国は、下村前文科大臣の強いリーダーシップのもと、文化財を活用した地方再生、文化財版クールジャパンとして、さまざまな文化財をもとにした地域のストーリーを日本遺産として認定をして、戦略的に発信をし、海外から誘客や地域の活性化につなげる仕組みが創設をされ、初年度である今年度は十八件の日本遺産が認定をされました。
 オリンピック・パラリンピックに向けて、東京に来られる外国の方々がどんどん増加をされることが見込まれる中、東京には、歴史的な価値があり、貴重な文化財が多数存在しており、こうした外国の方々がセンター・コア・エリアだけでなく、日本遺産があるのであれば、少し足を伸ばしてみようと考えられることも想定をされます。
 来年度の認定に向けて、都内からは、日本一広い国府と国分寺と題して、府中市と国分寺市が平成二十七年度に続き再チャレンジをしたと聞いております。奈良時代、我が国に律令国家が誕生し、武蔵国には、情報、物流を支えた国道である東山道武蔵路が整備をされ、最初の行政府である国府と国家安寧を祈るための国分寺が建立をされました。その広さは日本一を誇りました。
 後の世の徳川家康公も、江戸に幕府を開くに当たって、奈良時代の天下泰平の世の発展、成長していくまちづくりに憧れたであろうことが想像をされます。それは、武蔵国府、国分寺が、江戸のまちの都市設計に似ているところにもあらわれております。世界に誇れる平和都市東京の原点が、奈良時代の律令国家の武蔵国にあるということを、もっと多くの人々に知っていただきたいと、地元としても、今回こそはと機運が盛り上がっております。
 一方、私の地元の板橋区におきましても、旧加賀藩の前田公の下屋敷がありまして、それがその後、明治に入りまして、日本初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹氏初め、多くの研究者を輩出した旧理化学研究所、また、その隣に、日本最古の火薬製造所である旧野口研究所の跡地、これを区が来年度取得をして、国の史跡への登録を目指しております。また、その暁には、お隣の北区の飛鳥山の近代工場群などとあわせて、日本遺産の登録を目指しているところであります。
 そこで改めて、都は、世界の多くの人々を都内各地に呼び込むため、日本遺産の認定に向けた区市町村の取り組みを支援すべきと考えますが、教育委員会の見解を伺います。

○中井教育長 都内には、歴史上、芸術上価値が高い文化財が数多く存在しております。
 日本遺産事業は、これらの文化財を活用し、地域のブランド化を図るものであり、都内各地の歴史的な特色や魅力を国内外へ効果的に発信できるものと考えております。
 お話の国分寺市及び府中市の申請が認定されると、国から財政的な支援を受け、情報発信や人材育成、公開、活用などの整備事業を行うことができ、文化財群の知名度が向上するとともに、地域の活性化により、多摩地域全体の振興にもつながります。
 都教育委員会は、日本遺産の認定に向け、区市町村に対し専門的、技術的な指導助言を行うなど、積極的な支援を行ってまいります。

○松田委員 ぜひバックアップをよろしくお願い申し上げます。
 次に、地域の底力再生事業について伺います。
 町会、自治会のさまざまな活動を支え、地域力の向上を図るために、我が党の提案で始まった地域の底力再生事業助成は、平成十九年の事業開始以来、町会、自治会のさまざまな活動に活用されており、今後も、重要な意味を持つ事業であります。
 都内には、約九千もの町会、自治会があることからすれば、まだまだ多くの町会、自治会に活用していただく必要があると思います。
 一方で、私の地元の町会、自治会の方からは、対象となる事業経費の範囲の厳しさ、また、申請における手続の煩雑さなどを指摘する声もあります。例えば、当該町会にお米屋さんが一軒しかない場合、町会役員のお米屋さんから買った場合は助成対象外になるなど、地域振興の面から何とかならないものかという要望をいただいております。
 そこで、少しでも多くの町会、自治会が、この助成制度をさらに活用することができるように、今後、どのような改善を行っていくのかお伺いをいたします。

○多羅尾生活文化局長 助成金の円滑な交付申請のため、来年度から、新規に助成を希望する町会、自治会への個別相談会を実施するとともに、区市町村においても、問い合わせや相談に応じていただくなど、よりきめ細かい対応を行ってまいります。
 また、助成の対象となる事業経費については、現場の声を踏まえ、物品購入の対象範囲を広げるなど、より弾力的に助成金を活用できるように見直しを行ってまいります。
 さらに、手続面でも、選択式の記載項目をふやすなど、様式の簡素化をさらに進めることで、容易に申請が可能となるよう改善を図ってまいります。

○松田委員 局長、ありがとうございます。
 現場の町会、自治会の方は、実際に書類作成をする方は高齢の方も多いですから、今後も、一層の手続の簡素化に努力をしていただけたらありがたいと思います。
 町会、自治会では、東京二〇二〇年大会の招致において、約八十五万人もの署名を集めて大会機運醸成に大きく貢献をしていただきました。
 以前から、我が党は、地域のイベントにおいて、オリンピアン、パラリンピアンを招いた講演会や、ロンドン大会で多くの非営利事業に活用されたインスパイアマークのようなマークを掲出したイベントの開催など、地域において、大会の機運醸成を行っていただくことが重要であり、こうした活動を助成対象事業に加えるべきであるとの要望をしてまいりました。
 そこで、この要望を踏まえて、今後、助成制度をどのように拡大するのか伺います。

○多羅尾生活文化局長 東京二〇二〇大会に向けて、都民のおもてなしの心を醸成するためには、地域におけるコミュニティの核となる町会、自治会の活動を一層活性化し、都内全域で地域から盛り上げていただくことが重要でございます。
 このため、助成の予算額を予算案では二千万円増額し、二億円にするとともに、新たにオリンピック・パラリンピックの機運醸成活動を助成対象事業に追加し、補助率を十分の十といたします。
 また、防災など、その他の活動においても、オリンピック・パラリンピックの機運醸成活動をあわせて実施する場合は、これまで二分の一であった補助率を十分の十に引き上げることとしております。

○松田委員 ありがとうございます。これからも、町会、自治会への支援をよろしくお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、認知症対策についてお伺いをいたします。
 都内の認知症の高齢者は、現在三十八万人を超えておられ、団塊の世代が後期高齢者となる平成三十七年には、約六十万人にまで達し、高齢者の五人に一人が認知症になると見込まれております。
 都における高齢者医療、研究の拠点として設立をされた健康長寿医療センターに対しても、その成果や知見を、臨床のみならず都の認知症対策に広く還元するよう、大きな期待が寄せられております。
 また、都内では、高齢者の単身世帯、高齢者のみの世帯が急増しておりますが、こうした世帯は社会的に孤立をしやすく、認知症となってもサービスにつながりにくいなど、在宅生活の継続が困難になることが懸念されます。
 そこで、都は、健康長寿医療センターの知見を生かし、こうした都市部ならではの課題に対応し得る支援の仕組みを構築すべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。

○梶原福祉保健局長 都は来年度から、東京都健康長寿医療センターの知見を生かし、認知症になっても高齢者が在宅生活を継続できるケアモデルの構築に取り組むこととしております。
 来年度はまず、高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯が多い地域において、高齢者の心身の状態や生活状況、介護保険を初めとするさまざまな支援の利用状況等を調査いたします。
 この調査の結果、認知症と判定された人を対象に、医療、介護サービスに加え、地域の多様な担い手による買い物、通院の付き添い等の生活支援、生活環境の調整等の居住支援、家族に対する相談、交流の場の提供などの支援を行い、その効果を検証することとしております。
 今後、認知症の人が地域で暮らし続けられる支援の仕組みを、都市型の認知症ケアモデルとして構築し、区市町村へ普及してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 なお、健康長寿医療センターがある板橋キャンパスでは、昨年九月からセンターの旧施設及び旧板橋ナーシングホームの解体工事が進んでおります。
 解体工事終了後の跡地については、引き続き検討中とのことでありますが、地元区の意見を十分に聞き、梶原局長がリーダーシップを発揮して有効に活用されることを強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、都営交通について質問をさせていただきます。
 都営三田線の沿線にある高島平地域では、昭和四十七年、現在のUR高島平団地が竣工するとともに急速に発展をしてまいりました。しかし、近年、テレビでもよく取り上げられているよう、この地域では、区の、また日本の平均を上回るスピードで生産年齢人口が減少し、急速な少子高齢化が進んでおります。
 そこで板橋区は、高島平地域の都市再生の方向性を示すために、昨年十月に、高島平地域グランドデザインを策定いたしました。
 現在、このグランドデザインを推進する検討組織を立ち上げるべく準備を始め、平成二十八年度には、高島平プロムナード基本構想を策定すると聞いております。その中心を走る都営三田線は、開通以来、高島平とともに歩んでまいりました。板橋区としても、交通局にも研究パートナーとしての役割を大きく期待しているとのことであります。
 そこで、交通局がグランドデザイン推進へ向けた協議に積極的に参加すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○塩見交通局長 都営三田線と高島平地域とは、当地に志村車両基地があることなど、極めて密接な関係にあり、相互に影響し合って発展してまいりました。
 この高島平地域につきまして、板橋区が昨年十月に、中長期のまちづくりの理念や将来像、進むべき方向性を示したグランドデザインを策定しており、構想エリア内には、西台駅から西高島平駅までの四駅が含まれてございます。
 交通局としては、沿線地域の発展に貢献していくためにも、グランドデザインの推進に向けた協議に積極的に参加してまいります。

○松田委員 ぜひ積極的に参加をしていただきたいというふうに思います。
 また、この地域の三田線の高架下については、現在、リニューアル中であります。交通局は、既に国の耐震基準に基づく橋脚の補強を完了しておりますが、さらに、施設の安全性を高めて早期の運行再開ができるよう、耐震補強を実施しているものであります。
 そこで、工事の施工に当たっては、十分、高架下の利用者に配慮をしながら進めてもらいたいと考えますが、見解を伺います。

○塩見交通局長 お話のとおり、現在、都営三田線の高架部につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえまして、安全性をより高めるために、橋脚のさらなる耐震補強を実施しており、既存の店舗等は所定の補償を行った上で順次移転していただいているところでございます。
 今後とも、関係者の理解を十分得ながら事業を進めてまいります。

○松田委員 ぜひ、まちづくりの観点、どういったまちにしていくかということと、また、今、入っていらっしゃる方、両方のバランスをとって進めていただきたいというふうに思います。
 次に、教育についてお伺いをさせていただきます。
 国は、平成二十五年六月に閣議決定をされた第二期教育振興基本計画において、教育行政の四つの基本的方向性の一つに、社会を生き抜く力の養成を打ち出しております。これからの子供たちには、基礎学力はもとより、勉学以外の部分においても、社会に出てからの生き抜く力を育む教育が重要であります。
 人と人とのかかわりの中で、子供たち一人一人が将来、地域、就職といった環境に飛び込んでいく際に必要な力の育成について、舛添知事の見解を伺います。

○舛添知事 学力はもとより、生き抜く力をどうして育むかというご質問でございますけれども、一人一人がやっぱり社会的、職業的に自立して、想定外の事実、未知の事象、こういうものが出てきても主体的に解決していくような力が必要となるというふうに思っております。
 当然のことながら、社会的自立の素地となりますのは、基礎学力、それから思考力、判断力、これはしっかりと身につけさせないといけないと思いますけれども、同時に人格の形成という観点から、高い道徳性と社会性なども育む必要があると思っています。
 そのため、教育の現場におきましては、習熟度別指導をより一層推進して、まず基礎、基本を確実に習得させて、さらに、アクティブラーニングという手法で能動的に解決策を見出していく力を育んでいきたいと思っています。
 それから礼儀を重んじる、さらに他者を思いやる心など、日本人としてのよき行動規範と自分自身のあり方を考えて生き方を選んで行動する力を育成していく必要があると思います。
 私が先般策定いたしました教育施策大綱では、こうしたこれからの子供に必要な力を育む教育を充実する方針を明らかにしております。
 この大綱に基づきまして、教育委員会と一体となって骨太な教育改革を進めていきながら、今ご指摘の生き抜く力をしっかりと育てていきたいと思っております。

○松田委員 ありがとうございます。
 私は、舛添知事は生き抜く力のある方だと思っております。ぜひ、東京の子供たち全てが生き抜く力を身につけるよう、どんな困難があっても生き抜けられるよう、知事とともにこれからも教育問題に取り組んでまいりたいと思います。
 今、お答えいただきました生き抜く力を子供たちに育むために、学校自体が社会に開かれ、地域に住む多様な価値観や経験を持った大人と子供たちが接したり議論することで、より厚みのある経験を積むことが重要と考えます。
 いじめや不登校など学校が抱える問題が複雑化、多様化している中で、学校や教員だけでは十分に解決することができないことがふえております。昨年の十二月に、国の中教審では、こうした課題の解決に向け、チーム学校について答申をし、専門性を持った人材の活用や地域の連携などについて具体的な方策を示しております。
 都はこれまでも、専門性を持った人材の活用として、スクールカウンセラーの全校配置などを行ってまいりましたが、国が考えるチーム学校の取り組みに関して、教育委員会は今後、どのように検討していくか、見解を伺います。

○中井教育長 中央教育審議会の答申では、多様な専門性を持った人材の学校運営への参画、学校マネジメントを組織的に行う体制づくり、地域との連携体制の整備などを、チーム学校の取り組みとしておりますが、これからの子供に必要な力を育てる教育の充実や教員の多忙解消に有効と考えます。
 都教育委員会はこれまで、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の順次拡充や部活動外部指導員の導入など、専門性を持った人材の活用を図ってまいりましたが、いじめ、不登校等の課題への対応や教育活動の充実を図るには、さらなる取り組みが必要でございます。
 今後、国の動向等を踏まえつつ、都の実情に応じたチームとしての学校のあり方の具体化に向けた検討を行ってまいります。

○松田委員 都教委は、今後、チーム学校について検討していくとのことでありますが、子供たちにとってよりよい学校教育の場を提供できるよう、都の実態に応じた検討を進めることを要望して都立高校改革の質問に移ります。
 私学振興により建学の精神を持った私学を応援していくことは大切であり、我が党も一貫してその振興に取り組んでまいりました。それと同時に、都立高校も常に改革を続けることによって、公私の相乗効果によって我が国の未来をつくる高校生を育成していかなければなりません。
 最初に、来年度から導入するICTパイロット校の取り組みについて伺います。
 現在、都立高校においては、全ての普通教室にLANを設置するとともに、教員が利用するパソコンと常設プロジェクターが配備をされ、ICT機器を活用して、生徒の興味、関心を高める授業が実施をされております。
 そこで、来年度ICTパイロット校を指定すると聞いておりますが、この事業の狙いについて伺います。

○中井教育長 ICTパイロット校事業の狙いは、タブレットパソコンを一人一台貸与し、生徒個々の能力や特性に応じた学習を進めたり、タブレットパソコンを家庭で活用して学習習慣の定着を図るなどして学力向上を目指すことにあります。
 平成二十八年度には、ICTパイロット校に指定した都立光丘高校に三百三十台、都立三鷹中等教育学校前期課程に五百六十台のタブレットパソコンを、生徒と教員にそれぞれ貸与するとともに、通信ネットワーク環境を整備して、授業や校外学習、家庭において活用できる基盤づくりを行ってまいります。
 さらに、問題解決に向けた主体的、協働的な学びと学力向上の関係についても検証し、タブレットパソコンの特徴を生かした教育を推進してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。ICTパイロット校には、教育効果をしっかりと出していただいて、ぜひ全都立高校への導入へ踏み込んでいただきたいと思います。
 次に、都立高校における基礎学力の定着に向けて、生徒の個に応じた取り組みについて伺います。
 全ての都立高校の生徒一人一人が基礎学力をしっかりと身につけ、将来の我が国を支える人材となるよう指導していくことが重要であります。
 そこで、全ての都立高校の生徒に授業の内容を十分に理解してもらい、学習意欲を高め、社会生活を送っていく上で必要最低限の基礎学力を確実に定着させることは必要であると考えますが、どのような取り組みを考えられているのか伺います。

○中井教育長 各都立高校では、これまでも生徒の高校入学時の学力を把握した上で、高校で身につけるべき学習の目標を生徒に明示し、その目標に向かって学校全体で組織的、計画的な指導を行ってきております。また、学習内容が十分理解できていない生徒には、放課後や長期休業中に補習等のきめ細かい指導も行っております。
 こうした学校の取り組みがある中でも、一部に、義務教育段階の基礎学力の定着が十分ではない生徒がいまだに見られるのも事実でございます。
 このため、都教育委員会は、各学校のこれまでの取り組みに加え、平成二十八年度から、放課後等に外部人材を活用し、生徒の個に応じた学び直し学習を支援するための校内寺子屋をモデル事業として十校で実施し、生徒が社会生活を送る上で必要な基礎学力の定着をさらに図ってまいります。

○松田委員 ありがとうございます。個に応じた学び直し学習を支援する校内寺子屋は大変よい取り組みであります。ぜひ拡充をしていくようお願いいたします。
 次に、一人一人の能力を最大限に伸ばすといった視点から、国際色豊かな学校の拡充について伺います。
 先ほど、野上委員から、国際高校バカロレアについての質疑がありましたが、昨年の第四回定例会、私の質疑に対して、新たな新国際高校の設置を検討するとの答弁がございました。先月策定をされた新実施計画にも、改革の目玉として盛り込まれております。
 こうした都民からの高いニーズに応えていくため、新国際高校をどのような学校として構想していくのか、都教育委員会の見解を伺います。

○中井教育長 都教育委員会は、新国際高校を、日本人としての自覚と誇りを備え、豊かな国際感覚やすぐれた外国語能力を身につけて国際社会で活躍する人材を育成する学校として、さらに、在京外国人等の教育ニーズにも応える国際色豊かな教育環境を持つ学校として整備していく必要があると考えております。
 このような考え方のもと、生徒像や教育目標を初めとする基本的な教育理念や教育課程の特色等について検討を行うため、外部有識者を含む検討組織を平成二十八年度の早期に立ち上げるとともに、学校のコンセプトにふさわしい設置場所についても検討を行ってまいります。

○松田委員 最後に、本人の希望に応じた就職につながる学校づくりの観点から伺います。
 近年、若い世代の非正規雇用の割合が高まる中で、板橋区にあります北豊島工業高校では、今年度の求人票は八百社を超え、希望者の一〇〇%の就職が実現をしております。その中には、希望した企業で週一回就業訓練を実施して、実質的な技術、技能を身につけて就職をしている生徒もいると聞いております。
 また、大田区の六郷工科高校では、全国に先駆けて、地元を中心とした連携先の企業で長期間の就業訓練を行うデュアルシステムを導入しております。
 これらのことを踏まえて、今回の都立高校改革推進計画新実施計画に示されたデュアルシステム科の拡充について、都教委の見解を伺います。

○中井教育長 六郷工科高校のデュアルシステム科では、この教育に賛同する企業の協力を得て、一年次に企業見学やインターンシップを、二年次と三年次の二年間には、計四カ月の長期就業訓練を行っており、これらの取り組みを通じ、企業での生きた技術、技能の習得や、生徒の卒業後の就業と企業の人材確保につなげてきております。
 この学科の卒業生は、半数以上が協力企業に就職しており、協力企業からは、即戦力となるものづくり人材や後継者の育成につながる取り組みとして高い評価を得ているところでございます。
 こうしたことから、都教育委員会は、平成三十年度を目途に、六郷工科高校に加え、葛西工業高校と多摩工業高校の二校にデュアルシステム科を設置することといたしました。
 これらにより、東京のものづくり産業を支える人材の育成をさらに強化、推進してまいります。

○松田委員 我が党の政策においても、東京が世界に誇るものづくりの技術やものづくり産業を継続、発展させるため、後継者の育成や円滑な事業継承を支援することを掲げております。ぜひ、都立工業高校でのデュアルシステム科の拡充によって、東京のものづくり産業を支える人材をさらに育成して、東京が持つ技術の伝承をお願いして次の質問に移ります。
 最後に、中小サービス業支援についてお伺いをいたします。
 私は、さきの第四回定例会で、東京の成長を確かなものとするためには、サービス業において生産性の向上や新事業の創出により競争力を高めることが必要と訴えました。最近伺ったところでは、美容室などの機器を製造していた企業が専用の車椅子や移動式のシャンプー台を新たに開発して、高齢者や要介護者への訪問サービスを提供しているということであります。この企業は、訪問サービスを契機に、今では病院や介護施設にも事業を拡大しております。
 今申し上げた事例のように、これからの成熟社会におきましては、ものづくり中小企業が自社の製品に新しいサービスを付与するなど、いかに高付加価値化するかが重要な鍵になると思います。
 今後は、新たな発想のもとに新サービスを生み出そうとする中小企業のこうした取り組みを積極的に後押しするため、支援策を強化すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 中小企業における新たなサービスの創出を促進するため、都は来年度から、すぐれた新事業のアイデアを持つ中小企業に対し、事業計画の策定から事業化に至るまで一貫したハンズオン支援を行ってまいります。
 具体的には、中小企業が事業計画を練り上げ策定するまでの間、専門家による継続的な支援を実施してまいります。また、確実な事業化に向け資金調達を支援するとともに、人員の確保やシステム開発、販路開拓等の経費の二分の一について二千万円を限度に助成いたします。
 こうした取り組みによりまして、新たなサービスのビジネスモデルを数多く生み出し、これを広く周知することで、東京のサービス業の競争力を強化してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 ぜひものづくりという観点、それから中小企業支援、両方から東京の産業を支え、さらに発展させていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)

○早坂委員長 松田やすまさ委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。
 なお、明日は、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時四十二分散会

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