予算特別委員会速記録第三号

○秋田副委員長 北久保眞道委員の発言を許します。
   〔秋田副委員長退席、委員長着席〕

○北久保委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 初めに、新たな多摩振興について伺います。
 これまでも都は、切れ目のない多摩振興策を打ち出すとともに、地域が抱える行政課題の解決に全力で取り組んでいる市町村を支援するため、市町村総合交付金の充実を図ってきました。
 これらはいずれも、我が都議会自由民主党の政策提言や要望を踏まえたものであり、高く評価するものであります。
 また、我が党の取り組みにより、本年四月から中央道の料金体系の見直しが実現するほか、都市農業の振興や消防団の育成支援、雪害対策などにおいても大きな成果を上げてきました。
 こうした中、さきの第三回定例会での多摩振興に関する私の質問に対し、都は、長期的視点に立った多摩振興の方向性について検討していくとの答弁でした。
 さらに、こうした経緯も踏まえ、今回の我が党の代表質問に答えて、多摩地域の未来像を描き、新たな振興策を取りまとめる旨を明らかにしました。
 今後の人口減少、少子高齢化の進行や、さまざまな分野での技術革新などを見据え、こうした長期の視点に立った振興策を検討していくことは意義のあることであり、大いに期待するものです。
 この新たな多摩の振興策の検討を進めるに当たっては、行政の思いだけではなく、幅広く関係者の声を聞き、地域の実情や課題を的確に把握していくことで、実効ある振興策にしていくべきと考えますが、都の所見を伺います。

○中西総務局長 多摩地域の未来像を描き、その実現に向け、真に効果的な振興策を打ち出していくためには、多摩地域の現状等について多角的に調査分析を行うとともに、幅広く関係者の意見を聞いていくことが重要でございます。
 このため、検討に当たりましては、今年度から着手しております民間シンクタンクによる調査分析の結果等を踏まえつつ、市町村はもちろん、まちづくりや都市農業等の分野に精通する学識経験者や、多摩地域で事業を展開する民間事業者などからも多様な視座に立った意見を丁寧に聞いてまいります。
 多摩地域の実情や進むべき方向性などについて、幅広い知見を得ながら全庁を挙げて鋭意検討を進め、きめ細かで実効ある振興策を取りまとめてまいります。

○北久保委員 先ほども申し上げたように、我が党は、三多摩・島しょ部会を中心に、これまでも執行機関と力を合わせて、多摩の振興に全力で取り組んできました。
 私の地元を例にとっても、都道府中所沢線や新青梅街道の拡幅を初めとした幹線道路ネットワークの整備や、西武新宿線東村山駅付近の連続立体交差事業、さらには、村山上貯水池の堤体強化などの事業が着実に進展してきました。
 今後も、我が党は、地域の重要課題に正面から向き合い、多摩の振興、発展に向けて最大限に力を尽くしていく決意であります。
 知事は、今定例会での我が党の代表質問に答えて、夢と希望に満ちた多摩の実現に全力で取り組む旨を明らかにしました。ぜひこれからも、我が党と緊密な連携をとりながら、多摩の振興を着実に進めていただきたいと考えますが、改めて知事の所見を伺います。

○舛添知事 私はこれまで、多摩地域の発展は、東京を世界一の都市に押し上げるために必要不可欠であると、そういう認識のもとに多摩の振興に取り組んでまいりました。ハード、ソフト両方の面が必要だというふうに思っています。
 まず、ハードですけれども、今後、お話しいただきました幹線道路ネットワークの整備、それから、連続立体交差事業を初めとしますさまざまな事業を着実に推し進めて、多摩地域をさらなる発展へと導いていく必要があると思っています。
 それから、ソフトの面になりますけれども、これから人口減少、少子高齢化の進行などが進んでまいります。そういう将来の社会情勢を見据えた上で、長期的な視点に立った多摩地域の未来像を描く。先ほどちょっと多摩芸術家村というようなことも申し上げましたけれども、そういう実現に向けた方策を示していくことが不可欠であります。
 新たな振興策の策定に当たりましては、有識者や市町村など、関係者から広範に意見を聴取するとともに、多摩の振興に尽力されている、きょうも何人かの委員の先生方が質問にお立ちになりましたけれども、そういう都議会の皆様方とともに手を携えながら検討を進め、平成二十九年をめどに取りまとめをしたいというふうに思っております。

○北久保委員 次に、都市計画道路について伺います。
 今回示された新たな整備方針の案で、優先整備路線に選定された路線の整備により、東京の都市計画道路全体の完成率が八割となり、交通の円滑化などが図られるとのことです。
 多摩地域においては、南北方向の骨格となる、昨年全線で開通した調布保谷線や、現在事業が進められている府中所沢線など、都市計画道路が着実に整備されてきています。
 しかしながら、骨格幹線道路の完成率は、区部が七一%であるのに対し、多摩は六四%と、区部に対して整備がおくれています。
 多摩地域は、四百万人を超える都民の生活の場であるとともに、多様な産業の集積等により、東京の発展を支えています。今後、多摩地域の活力を高めていくためにも、骨格幹線道路網を拡充する必要があります。
 そこで、今回の整備方針案において、多摩地域の骨格幹線道路のどのような路線を優先整備路線に選定しているのか、また、それらが完成した場合、どのような効果があるのかお伺いいたします。

○安井東京都技監 今回の整備方針案におきましては、いわゆる多摩南北道路の五路線のうち、未着手区間のございます立川東大和線や、東西方向の地域間連携を図る上で重要な新五日市街道などを優先整備路線に選定してございます。
 これらの路線の整備によりまして、多摩地域の主要な交通機能を担う、骨格幹線道路網の約九割が完成いたします。
 その結果、交通の円滑化による利便性の向上はもとより、物流、産業を支える道路ネットワークが充実することで、人や物の流れがさらに活発になり、多摩地域の活性化が図られるところでございます。

○北久保委員 多摩南北道路や東西道路など、骨格幹線道路をしっかりと整備し、多摩地域の発展に向けて引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 さて、平成二十六年の第三回定例会の一般質問において、私は、多摩地域と埼玉県とのかけ橋となる東村山所沢線の早期整備についても述べてきました。
 北多摩地区は、埼玉と生活圏をともにしているにもかかわらず、都県境の道路は、行政間で整備状況が異なっていることから、住民相互の行き来や生活拠点である駅へのアクセスなどに不便が生じています。
 また、狭隘な道路が入り組んでいることから、緊急車両の通行や消防活動が困難となるなど、防災上の課題もあります。
 そこで、今回の整備方針案において、北多摩地区と埼玉県を結ぶ道路ネットワークの形成についてどのように取り組んでいくのか伺います。

○安井東京都技監 都県境を越えた道路ネットワークの強化は、近隣県との交流、連携を図るためにも重要でございまして、また、災害時におけます広域的な救援、救護活動や円滑な物資輸送にも不可欠でございます。
 今回の整備方針案におきまして、北多摩地域と埼玉県とを結ぶ優先整備路線といたしまして、お話の東村山と飯能、所沢方面を結ぶ東村山所沢線のほか、所沢と清瀬とを結ぶ新東京所沢線など、これは西東京市や外環大泉インターチェンジにもつながる重要な路線でございます。
 今月末に整備方針を策定いたしまして、北多摩地域の活力の向上に向け、関係自治体と連携をしながら、埼玉県境の道路ネットワークの形成を図ってまいります。

○北久保委員 次に、狭山丘陵における都立公園の整備について伺います。
 私の地元の狭山丘陵は、自然環境に恵まれた自然の宝庫であり、武蔵野の里山の風景や自然が今も色濃く残っています。春の新緑や秋の紅葉の美しさは格別です。多くの日本人にとってのふるさとともなっているように感じます。
 狭山丘陵には、まだまだたくさんの魅力が詰まっていると私は考えます。
 このような貴重な自然環境を守るため、東京都では、早くから都立自然公園や近隣緑地保全区域などを指定し、開発の抑制に取り組むとともに、西の野山北・六道山公園から東の八国山緑地まで、都市計画公園や緑地を多く計画し、優先整備区域を定める事業を進めてきています。
 そこで、狭山丘陵における都立公園の整備状況と今後の取り組みについて伺います。

○佐野建設局長 狭山丘陵は、縄文時代の遺跡や鎌倉時代の古戦場などの歴史的資源と雑木林を主体とした里山景観が残る次世代へ継承すべき都民の貴重な財産でございます。
 狭山丘陵には、都市計画決定されている狭山公園等七つの公園があり、都立公園として事業化すべき区域、約四百五十ヘクタールのうち、これまでに六二%に相当する二百八十一ヘクタールを開園しております。
 平成二十八年度は、野山北・六道山公園におきまして、樹林の中の空中散歩が楽しめる一周六十メートルの展望デッキを全面改修するほか、用地取得を進めてまいります。
 今後は、優先整備区域である観音寺森緑地など、狭山丘陵の公園整備を着実に進め、未来に継承すべき自然環境を保全してまいります。

○北久保委員 次に、水道水源林について伺います。
 さきの本会議における我が党の代表質問では、小河内貯水池を将来にわたり良好な状況に保っていくために、その上流域の荒廃した民有林に早急に対策を講じていくべきと提案させていただきました。
 私も昨年の夏、実際に現地を訪れた際、その周辺でも民有林の荒廃が進んでいる状況を見て、しっかりと管理していくことが重要だと感じました。
 我が党の幹事長からの質問に対し、水道局長からは、貯水池への影響の大きい民有林を選定し、計画的に購入を進め、責任を持って整備保全をしていくと前向きな答弁があり、心強く思っております。
 しかし、貯水池上流域の民有林といっても広大であるため、効果的かつ効率的に購入を進めることが必要ではないでしょうか。
 そこで、水源地の荒廃した民有林の購入に向けた具体的取り組みについて伺います。

○醍醐水道局長 多摩川上流域の民有林は、区部の三分の一に相当する約二万二千ヘクタールに及びまして、水道水源林とほぼ同規模の広大な面積を有しております。
 また、その場所や地形、管理状態などもさまざまでございまして、中には小河内貯水池への影響が懸念され、早急に整備保全が必要な場所が存在いたします。
 そこで、貯水池上流域の民有林を対象とした荒廃状況等の調査を平成二十八年度から行い、直接土砂の流出が懸念されるエリアや、貯水池に流入する主要河川に面した急傾斜地など、優先度を踏まえた購入計画を作成していきます。
 この計画に基づきまして、地権者に購入への積極的な働きかけを実施することで、優先度の高いエリアを効果的、効率的に購入してまいります。

○北久保委員 小河内貯水池への影響を最小限にとどめるため、その緊急度に応じて積極的に購入を進めていくことは極めて有効であり、ぜひ着実に実行していただきたい。
 また、同じくさきの代表質問では、水源林の保全には、企業、大学など多様な主体と連携した手法も取り入れていくとの答弁もありました。
 さまざまな方とともに水源林を守り、育てることは、都民生活に欠かせない水道水の源である水源地を保全する大切さを実感していただくよい機会になります。
 そこで、多様な主体とどのように連携して水源林を保全していくのか伺います。

○醍醐水道局長 水道局ではこれまで、局独自に水道水源林の整備保全に取り組んでまいりましたが、都民の環境意識が高まる中、水源地保全の大切さや、その取り組みに広く理解が得られるよう、多様な主体とも連携した森づくりへ進化させていく必要があるというふうに考えております。
 このため、今後は、荒廃した民有林を含めた水源地全体を視野に入れまして、地元自治体や森林組合等との連携のもと、保全の趣旨に賛同いただける個人や企業、大学など、さまざまな主体が参画できる仕組みを構築してまいります。
 また、都民や企業による森林保全活動や大学の調査研究フィールドとしての活用など、具体的な連携の内容等につきましても、さまざまな視点から検討した上で、こうした水源林の新たな保全のあり方につきまして、来年度に改定する水道水源林管理計画に反映してまいります。

○北久保委員 水道局では、水源林以外にも、村山、山口貯水池に隣接する広大な森林を貯水池の完成以降、長年にわたり管理しています。
 この森林には、ヤマツツジなどの在来種が自生しており、散策やサイクリングで訪れる方々に親しまれています。
 貯水池周辺の地元の方々からは、こうしたヤマツツジなどを含めた貴重な自然を今後も残してほしいという声をよく耳にいたします。
 今後とも、貯水池周辺の森林が多くの都民から憩いの場として愛されていくため、現在の植生を守り続けることは大変重要であると考えます。
 そこで、今後、村山、山口貯水池に隣接した森林の維持管理をどのように行っていくのかお伺いいたします。

○醍醐水道局長 村山、山口貯水池は、小河内貯水池とともに、東京都の貴重な水源を貯留する施設でありまして、隣接する森林につきましても、水源林と同様、周辺の土砂流出を防止するなど、重要な機能を担っております。
 このため、大正十三年の貯水池築造以降、九十年以上にわたりまして約七百ヘクタールに及ぶ森林を所有し、樹木の手入れ等、保全に努めてまいりました。
 特に、この森林には、約五十キロメートルにわたる散策用の道路などがあることから、通行の安全確保を最優先し、倒木や枯れ木の整理伐採を重点的に実施してきました。
 今後は、これらの管理に加えまして、都民の憩いの場でもあることを踏まえ、ただいま委員からお話のありましたヤマツツジ等の在来種にとって良好な生育環境とするため、太陽光の確保に配慮した植栽管理を実施するとともに、必要に応じて補植を行うなど、一層都民に親しまれるよう適切に維持管理をしてまいります。

○北久保委員 ありがとうございます。
 次に、林業の担い手の確保について伺います。
 昨年、私は、西多摩地区の森林や製材所など、川上である林業の現場を視察してまいりました。
 実際に多摩の森林を見ますと、大都市東京の中で豊かな森林が育まれ、林業が行われていることを改めて実感いたしました。
 この多摩の森林を守り、林業を振興していくためには、川上において、その作業の担い手となる林業技術者の確保が不可欠です。
 昨年スタートした森づくりの作業にボランティアとして参加するとうきょう林業サポート隊では、現在二百名を超える登録があり、若い人からシニアまで幅広く活動していると聞いています。
 若者の自然志向の中で、林業に興味を持つ人もふえており、うまく林業への就業に結びつけていただきたいと思います。
 一方、林業における作業は、植栽、保育、伐採搬出と広範囲にわたるため、新しく林業に入ってきた人が一人前の技術者になるためには時間がかかります。
 特に、多摩地域の林業現場は、急傾斜地が多く、木材の伐倒作業等では、事故につながることもあり、厳しい作業環境の中で、早期に離職する人も多いと聞いております。林業技術者の定着を図るために、安全面などにも配慮した取り組みが必要です。
 そこで、都は、今後の林業の担い手をどのように確保していくのか伺います。

○山本産業労働局長 都では、担い手の確保に向けまして、これまで林業労働力確保支援センターと連携し、就業希望者に対して、森林作業の内容や求人情報の提供を行うとともに、就労支援として林業事業体の住宅借り上げに対する助成等を行っております。
 また、新規就業者の定着を図るため、作業の安全性向上や労働者の負担軽減に必要な林業機械の導入に対する支援を行うほか、新たに労働環境改善に向けた労働関連法規等の講習会や伐採作業における危険防止等の労働安全衛生に関する研修を実施いたします。
 これらの取り組みによりまして、林業技術者の労働環境を整備し、担い手の確保と新規就業者の定着を図ってまいります。

○北久保委員 一方、多摩産材の利用拡大を図っていくためには、木を育て伐採し、搬出を行う川上から、実際に木材を消費する川下までの流れをつないだ対策が必要です。
 都では、川上対策としては、ただいまの担い手対策のほか、杉林の伐採、更新などを行っております。
 また、川下対策としては、多くの都民が目にする公共施設や民間施設、あるいは民間住宅での多摩産材の利用にも取り組んでいくと聞いております。
 特に、川下対策として、今後、利用を拡大していくためには、多摩産材を活用した魅力ある製品の開発や、そうした製品に対する情報発信を強化し、販売に結びつけていく必要があると考えます。
 そこで、多摩産材を使った製品開発や販路拡大についてどのように取り組むのか伺います。

○山本産業労働局長 都では、平成二十六年度に多摩産材情報センターを開設いたしまして、工事の受注業者等が木材を円滑に調達できるように、製材品や納期などの情報発信を行っております。
 先月には、ALL JAPAN&TOKYOプロジェクトの一環といたしまして、都内での木材利用を促進するため、長野県、岐阜県と連携し、多摩産材を含む地域材の製品展示会を開催したところ、大きなPR効果がございました。
 これを踏まえまして、今後は、新たに情報センターの主催により、多摩産材に特化した商談会を開催し、家具メーカーなどの木材加工業者、流通業者、建築士、工務店など、多様な業者間のマッチングを促進することで、新製品の開発や販路開拓等につなげてまいります。
 こうした取り組みを通じて、より一層の多摩産材の利用拡大を図ってまいります。

○北久保委員 次に、都内産花きの利用拡大について伺います。
 東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催を契機に、全国各地でスポーツに対する機運が盛り上がっています。
 臨海部では、さまざまなスポーツイベントが開催されていますが、最近では、フラワーフェスタや入賞者をたたえるビクトリーブーケのデザインコンテストなど、スポーツと花をコラボレーションした取り組みが行われるようになりました。
 このようなイベントは、花に接する機会が少ない方々にも広く花を知ってもらえる大きなチャンスであると考えます。
 東京大会が開催される夏場には、花の生産が難しく、流通量も少なくなりますが、この時期に駅や開催施設の周辺を都内産の花きで華やかに彩り、国内外からの多くの旅行客をもてなす取り組みができれば、都内花き産業全般の活性化にもつながると考えます。
 こうした中、都では来年度から、新たに花と緑の夏プロジェクトを開催すると聞いております。
 東京大会に向け、都内産の花や植木の利用拡大に向けた取り組みを一層進めるべきと考えますが、所見を伺います。

○山本産業労働局長 都ではこれまで、都内で生産される花や植木、切り葉類などの二〇二〇年大会での活用を目指して、夏場の大会開催に対応した、暑さに強い花壇苗の品種選定と、その管理技術や、どこにでも設置できるコンテナ式の緑化技術の開発等を進めてまいりました。
 来年度は、これまでの研究成果を臨海部等で実証していくとともに、新たに島しょ特産の切り葉類が夏でも長もちする鮮度保持技術の研究にも取り組んでまいります。
 加えて、二〇二〇年大会とその先を見据え、夏のイベント等で都内産花きによる展示やPRを行うなど、生産者や関係団体などと連携をして、花や植木、切り葉類の一層の利用拡大に努めてまいります。

○北久保委員 次に、観光振興について伺います。
 都では、昨年十月より、東京ブランドのロゴを発表して、国内外で東京の観光地としての魅力のPRに取り組んでいます。私たちの身近な場では、ロゴの&TOKYOを目にする機会はふえております。海外でも東京の宣伝活動の効果は広がり始めているのではないかと感じます。
 東京は、スカイツリーなど観光スポットを初め、伝統的な神社仏閣やショッピングを楽しめる銀座や渋谷など、多様な魅力にあふれており、私の地元でも四季を感じることのできる狭山丘陵が広がっております。
 こうした東京の魅力をさまざまなメディアなどを用いて幅広くPRすることは大切ですが、その一方で、実際の海外の都市に出向いて、直接に東京の魅力をきちんと説明することが重要になるものと感じます。
 特に、将来に向けて東京の観光客の来訪の大幅な伸びが期待される都市をしっかりと選んでPRの効果を高めていく努力は必要です。
 また、これまで東京への観光ツアーを数多く手がけてきた世界の旅行事業者などが集まる博覧会のようなものがあれば、そうした場に出向いて東京ブランドのロゴなどもうまく活用しながらPR活動をしっかりと続けていくべきと考えます。
 こうした観点から、都として、新年度には、海外に出かけて実施するPR活動をどのように進めていく考えであるのか伺います。

○山本産業労働局長 都はこれまで、欧米やアジアの十八の国や地域で観光セミナーや商談会の開催、旅行博への出展等を行ってまいりました。
 そうした取り組みの中で、今年度は十月に公表した東京ブランドのロゴ、&TOKYOや映像を用いるなど、海外でのPRの充実を進めております。
 来年度は、今後の旅行者の増加が期待できるインドを新たな対象として、現地の旅行事業者向けの商談会やセミナーを開催し、影響力のある旅行博への出展の充実も図ってまいります。それらの実施に当たりましては、引き続き東京ブランドを効果的に活用してまいります。
 こうした取り組みにより、東京の観光地としての魅力を海外で着実にPRし、旅行者の誘致に結びつけてまいります。

○北久保委員 次に、東京では、ラグビーワールドカップや二〇二〇年の大会などにより、将来に向けて観光客の数は着実にふえていくことが予想されています。
 こうした観光客が都内のさまざまなエリアを訪れるよう、地域ごとで観光資源をうまく活用し、場合によっては、自治体の区域を超えて協力する仕組みをつくり、観光客の誘致に取り組むことが大切と考えます。
 例えば、私の地元には、豊かな自然に恵まれた狭山丘陵が広がり、歴史的に見て価値の高い建築物や文化財などが数多く存在しています。
 こうした観光スポットは、新宿から電車で三十分程度で訪れることができ、多くの観光客を誘致できる高いポテンシャルもあります。
 観光の対象となるエリアが大きく広がると、おのおのの市区町村だけでは十分な対応を進めることが難しいだけに、広域的な観光振興を都としてもしっかりと後押しすることが重要になると考えます。
 こうした状況を踏まえ、都としても、さまざまな地域が自治体エリアを超え、旅行者の誘致を進める取り組みを新年度にどうサポートしていくか伺います。

○山本産業労働局長 都はこれまで、地域資源発掘型実証プログラム事業によりまして、地域の魅力的な観光資源を活用し、自治体の区域を超えて共同で企画したアイデアを民間事業者のノウハウと結びつけ、実現を図る取り組みを行ってまいりました。
 来年度は、お話のように、観光資源としての開発を広いエリアで行うことが効果的であるため、さまざまな地域が連携し、区市町村をまたいで観光振興に取り組む場合の支援の規模を現在の三事業から五事業に拡充いたします。
 こうした取り組みにより、東京の各地域の観光振興の取り組みを的確に下支えしてまいります。

○北久保委員 次に、都立高校生の実践的な英語力の育成について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、世界各国から多くの外国人を迎えることになります。そのときには東京がグローバル社会の舞台そのものとなり、子供たちにとっても世界を直接感じるとともに、東京や日本の魅力を積極的に発信する絶好の機会となります。
 世界から集まる外国人に対して、子供たちみずからが日本文化の発信者となるためには、日本の伝統文化について学ぶとともに、意思の疎通を図るための語学力が求められます。
 大会開催時において、さまざまな場面に貢献することとなる高校生の英語力を高めるためには、学校における英語教育を一層充実させていくことが重要であると考えます。
 そこで、現在、そして将来の高校生が日本を訪れる外国人に対して、観光案内や文化紹介を行うボランティアができるよう、より実践的な英語力を育成すべきと考えますが、都教育委員会の所見を伺います。

○中井教育長 二〇二〇年に向け、訪日外国人と交流する機会が一層ふえる中、国際都市東京において、子供たちに、日本や東京の文化、歴史等への理解を深め、英語で発信できる力を育成していくことが重要であることは、委員ご指摘のとおりでございます。
 そのため、都教育委員会は、東京の地域や生活、伝統文化、歴史等を題材として、子供たちの発信力を高める独自の英語教材、Welcome to Tokyoを作成しているところでございます。今月末には、都内公立学校の小学五年生以上の児童生徒に配布することとしております。
 今後、この教材の活用を通して、身近な話題について英語で説明できるようにするなど、子供たちの実践的な英語力を育成してまいります。

○北久保委員 高校生が身近なことを学び、実践的な英語力を身につけるとともに、今から英語を話す経験を積んで自信をつけることにより、ボランティアなどの役割を果たすことができると考えます。
 観光案内や文化紹介を行うためには、生徒が積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を身につけるべきであると考えますが、都教育委員会の所見を伺います。

○中井教育長 都立高校生が外国人に対して臆することなく積極的に英語によるコミュニケーションをとることができるようになるためには、使える英語力、特に聞く、話す力をさらに伸ばしていくことが必要でございます。
 このため、都教育委員会は、今年度から全都立高校にJET青年を配置し、授業だけでなく、部活動や学校行事等のさまざまな場面で生徒が外国人と直接英語でやりとりしたり、異なる文化について学んだりする機会を充実させてまいりました。
 今後は、東京グローバル10や、新たに四十校指定する英語教育推進校にオンライン英会話や発音の学習ソフトを導入し、外国人と直接会話する経験をふやしたり自然な発音を身につける練習を積ませてまいります。
 こうした取り組みにより、生徒が自信を持って英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育成してまいります。

○北久保委員 次に、自転車の活用について伺います。
 自転車は、環境に優しい交通手段であるとともに、健康増進や観光振興にも寄与するなど多くのメリットがあり、最近では、自転車シェアリングという新たな利用方法が広がりつつあります。
 江東、千代田、港、中央の四区では、先月から自転車シェアリングの広域実験が始まっています。区域を超えた相互利用による利便性向上や自転車の円滑な貸し出し、返却体制の検証を目的として実施されているとのことで、まだ始まったばかりであるが、広域実験の現状について伺います。

○遠藤環境局長 四区全体の自転車シェアリングの利用回数は、広域実験を開始した二月を開始前の一月と比較すると、二一%の伸びを示しており、そのうち区境を越えた利用回数は全体の一三%に上っております。
 東京駅や新橋、豊洲などの主要駅周辺の地域では、朝及び夕方の時間帯に通勤で利用された自転車が集中し、混雑するサイクルステーションも発生しております。
 引き続き、各区や運営事業者とも連携しながら、自転車の効率的な再配置により、円滑な貸し出し、返却ができるよう試行を繰り返し、本格実施に向けて検証を進めてまいります。

○北久保委員 冬場は寒さのため、自転車シェアリングの利用が少ないという話も聞きますが、今回の広域実験が自転車シェアリングの認知度向上にも寄与し、順調に利用が伸びているのではないかと思われます。
 今後、都は、四区以外の普及促進も図っていくとのことですが、多摩地域はサイクリングロードが充実しているなど自転車の利用環境として恵まれており、観光振興の手段の一つとして自転車シェアリングに期待しています。
 今後、さらなる普及促進に向けた都の取り組みについて伺います。

○遠藤環境局長 今回の広域実験の実施に当たりましては、円滑な運営体制検証の参考とするため、事前に利用者アンケートを実施いたしました。
 アンケートの実施前では、四区で実施されている自転車シェアリングは、通勤での利用が多いのではないかと推計しておりましたが、アンケートの結果を見ますと、通勤利用と同じ程度に観光利用に対するニーズもあることが判明いたしました。
 一方、委員ご指摘のとおり、多摩地域には多くの観光資源があり、これらをめぐるために自転車シェアリングを活用することも観光の振興にとって有効な手段の一つと考えております。
 今後、各自治体からの要望も踏まえまして、事業化に向けて支援を行い、自転車シェアリングのさらなる普及促進を図ってまいります。

○北久保委員 自転車シェアリングの現状と今後の進め方がわかりました。私の地元三市でも自転車シェアリングの関心は高く、ぜひいろいろと都のサポートをお願いしたいと思っております。
 自転車シェアリングのさらなる普及促進には、安全利用に向けたルール、マナーの啓発など課題もありますが、今回の広域実験を通じてしっかりと運営体制を確立し、引き続き着実に普及促進に取り組むことをお願いたします。
 それと、先ほど、高校生の英語の件ですけれども、一つだけコメントさせていただきたいんですけれども、外国人との交流や英語の体験学習などを通して、使える英語力の向上と国際理解の深化を図ることは、我が党の政策提言にも掲げており、子供たちが日本文化の発信者としての役割を担うことは有効な手だてだと思います。
 都立高校生が、このために資質や能力を身につけ、社会に貢献する人材となることを期待し、質問を終わらせていただきます。(拍手)

○早坂委員長 北久保眞道委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時七分休憩

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