予算特別委員会速記録第三号

○植木副委員長 中山ひろゆき委員の発言を許します。
   〔植木副委員長退席、秋田副委員長着席〕

○中山(ひ)委員 まず、地元台東区の上野公園について何点か伺いたいというふうに思います。
 上野恩賜公園について、平成二十七年七月に、上野「文化の杜」新構想が公表されました。新構想は、平成二十五年十二月二十四日に、青柳正規文化庁長官--この方は上野のちょうど国立西洋美術館の元館長でいらっしゃいます--及び宮田亮平東京藝術大学長、この方は次期文化庁長官であり、組織委員会のロゴ選定委員長でありますが、発起人代表として、上野公園周辺の団体や関係機関で構成された上野「文化の杜」新構想会議が、上野恩賜公園において年間三千万人の集客を可能にするために必要なハード、ソフト両面にわたる整備方策を取りまとめたものでございます。
 上野恩賜公園の潜在力に着目して、文化庁があえて乗り出し新構想を提言したことは、多としたいというふうに思います。
 この新構想は、上野地区を世界の文化交流拠点とすることを目指すものであり、共通した目的を持つ上野恩賜公園の再生整備は、新構想の現実に大きく寄与するものと考えます。
 そこで、東京都は新構想の公表を踏まえ、今後の上野恩賜公園の再生整備にどのように取り組んでいくのか、まず伺いたいと思います。

○佐野建設局長 上野恩賜公園は、豊かな緑と歴史遺産や文化施設が一体となった魅力あふれる公園でございます。
 平成二十一年度に地元区や文化施設等とともに策定いたしました上野恩賜公園再生基本計画は、昨年公表された上野「文化の杜」新構想と軌を一にし、上野恩賜公園の潜在力を生かして、文化、観光の拠点とすることを目指しております。都は、この再生基本計画に基づき園内を六エリアに区分し、整備を進めております。
 平成二十八年度は、不忍池エリアにおきまして、池の景観を快適に楽しめるよう、上野広小路からの入り口や園路を改修いたします。また、文化施設と調和した風格ある公園のメーンエントランスとなるよう、JR上野駅公園口周辺エリアの整備内容について検討してまいります。
 今後とも、関係機関との連携をさらに深め、上野恩賜公園の再生整備を推進してまいります。

○秋田副委員長 中山委員、挙手をしてください。

○中山(ひ)委員 済みません。大変手厳しいようなそんな新構想になっているわけでありますが、先ほど述べたとおり、青柳文化庁長官、元国立西洋美術館の館長であり、宮田東京藝術大学長、お二人とも、上野公園をよく知っているお二人であります。そういう意味では、都と文化庁が相互理解を深めることは意義深いことだというふうに思います。ぜひ、文化庁にも要望すべきところは要望することを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、上野恩賜公園にある国立西洋美術館の世界文化遺産登録推進について伺います。
 現在、世界各地にあるル・コルビュジエの建築作品のうち、七カ国十七資産を、国境を越えたシリアルノミネーションとして、フランスが中心となって共同で世界遺産登録を目指しております。十七資産の一つである日本の国立西洋美術館は、ル・コルビュジエの代表建築作品の一つとして、平成十九年度に国の重要文化財に指定されております。
 私の地元台東区においても、行政はもとより、これまで議会、あるいは町会、あるいは商店街、観光団体が協力して、これまでPRに努めてまいりました。先般、舛添知事のもとへ、服部区長、そして議長も訪問されたようでございまして、知事も協力を惜しまないと姿勢を示していただいたようでございます。
 今回の登録は三回目の挑戦です。推薦国にインドが加わって七カ国となり、ル・コルビュジエの建築が全世界に与えた影響力を皆さんにわかってもらおうと、地元では今回は何としても世界遺産登録へという機運が盛り上がっています。
 そこで改めて、今回の経過と今後のスケジュールについて伺いたいと思います。

○中井教育長 都教育委員会は、国から世界文化遺産の登録推薦について協力依頼を受け、平成二十七年一月に国が提出した国立西洋美術館に関する推薦書の作成などに技術協力等を行ってまいりました。また、平成二十七年八月、国及び台東区とともに、ユネスコに設置されている世界遺産委員会の諮問機関、ICOMOSによる現地調査への対応も行ってまいりました。
 今後、世界遺産委員会は、平成二十八年五月にICOMOSから提出される評価を踏まえ、七月に登録の可否を決定する予定でございます。

○中山(ひ)委員 答弁ありましたとおり、人事を尽くして天命を待つということでありますが、世界遺産登録が実現すれば、実際、海外からのお客さんだとか、あるいは多くの方が上野公園を訪れることは期待されるところであります。その際にも来訪者を手厚く迎えられるよう、関係機関とも連携をしていただきたく要望いたします。
 次の質問は、上野恩賜公園の魅力の一つの不忍池について伺いたいと思います。
 この文化の森、上野恩賜公園再整備により、この不忍池の周辺も着々と整備が進んでおります。不忍池は、江戸時代、弁天堂を中心とした一つの池でありました。今では、蓮池、ボート池、動物園の中の鵜の池とそれぞれの特徴的な三つの池が分かれています。その景観や桜、ハスを見られる、楽しめる池畔の散策路などは、地元はもとより、国内外から訪れる観光客に親しまれております。
 特にデッキから見るハスは、本当に囲まれているような感じでございまして、前を見ると弁天堂が浮いて見えると、それが特徴の一つでございます。
 ただ一方で、このごろ臭いだとか、汚いだとか、そういう声も耳にするわけでございまして、実際、不忍池では富栄養化に伴うアオコが発生しているのを私も実際見ました。
 そこで、不忍池の水質改善についてどのような見解をお持ちか伺います。

○佐野建設局長 上野恩賜公園の不忍池は、江戸時代よりハスの名所として知られ、現在でも、春の花見、夏のハス見など、四季を通じて多くの方々が訪れる都心の貴重な水辺でございます。
 これまで、池の景観やハスを楽しむため、散策路や池に浮かぶデッキの整備を行うとともに、池の水質を改善するため、浄化施設の設置や、JR上野駅地下からの湧水の導入などの対策を行ってまいりました。
 こうした取り組みを進める中、昨年度、例年以上の高温が続きまして、アオコが大量に発生したことから、さらなる対策として、富栄養化を未然に防ぐため、枯れたハスの除去の範囲を拡大いたしました。また、今年度は、ボート池において汚泥の除去も実施いたしました。
 今後も、水質の定期的なモニタリング調査を行い、効果的な改善策を検討してまいります。

○中山(ひ)委員 さらに水質改善に取り組んでいただくよう要望するとともに、宮田学長なんかは、あそこの不忍池の上に蛍を飛ばしたらいいんじゃないかということをおっしゃっているわけですが、文化人の一人でもある舛添知事の感想も聞きたいところでありますけれども、時間がありませんので、次に進みたいというふうに思います。
 次に、リオ五輪パラリンピック期間中のライブサイトについて伺いたいと思います。
 予算上では、上野恩賜公園と国営昭和記念公園、被災三県に設置の予定と聞いております。ライブサイトでは、大型スクリーンで競技を生中継したり、飲食スペースのほかステージを設け、オリンピックやパラリンピックに出場した選手を招いたイベントを行い、会場ではパラリンピックの競技体験を楽しめるそうでございますが、二〇二〇年大会機運醸成に大きな影響力を持つことから、率直にいって、楽しみでもあるイベントであります。
 特に上野恩賜公園は、上野動物園から文化施設、文教施設と子供からお年寄りまで訪れる公園でもあります。ぜひ、こうした幅広い方々がライブサイトにお立ち寄りいただき、オリンピック・パラリンピックの魅力を実感できるよう、暑い最中でも快適に楽しめるイベントにしてほしいと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 リオ大会期間中、上野を初め各地に設置いたしますライブサイトに多くの方々が参加し、オリンピック・パラリンピックの興奮と感動を楽しんでいただけますよう、現在、関係機関と調整し準備を進めております。
 具体的には、大画面による迫力ある競技の生中継を中心に、ステージイベントやパラリンピック競技体験、最新技術を活用した体験型コンテンツなど、魅力的なプログラムを提供してまいります。また、暑さ対策につきましては、より快適にライブサイトを楽しめますよう、ドライ型ミストや断熱性の高いテントなど、効果的な方策を検討し対応してまいります。
 こうした取り組みを各地のライブサイトで展開することによりまして、多くの観光客や子供たちなどがオリンピック・パラリンピックの魅力に触れ、二〇二〇年大会に向けてさらに機運が盛り上がるよう、全力を挙げてまいります。

○中山(ひ)委員 ライブサイト計画は本当に盛り上がる企画になると思いますが、最も危惧するところは、やはり天気ということになってくると思います。その辺をしっかり万全にクリアしていただきたいと、ひとつ要望しておきたいと思います。
 次に、心と情報のバリアフリーについて伺います。
 知事は、あらゆる機会を通じて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会は、パラリンピックの成功なくして成功したとはいえないと強調されております。
 また、障害者差別解消法も本年四月から施行され、我が党の今村議員も第四回定例会で対応要領に基づき施策の充実を求めたところであります。
 都もこれまで、ハード、ソフト面からバリアフリー施策を進めております。しかし、ハード面からいいますと、一朝一夕にできるわけではありませんし、全ての人にとって完璧なことはあり得ません。
 そこで重要なのは、心のバリアフリーであります。来年度予算にも心と情報のバリアフリーとありますが、この取り組みが非常に重要であるだろうというふうに思います。まち中で困っている人に声をかけられる、積極的な手助けをするという配慮は、本人が意識していればすぐにでもできることでもあります。
 障害者差別解消法では合理的配慮が規定されていますが、法施行を機に、行政や事業者はもちろん、都民全体に対して心のバリアフリーを普及させるための取り組みをより一層推進するべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 誰もが、年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、相互に尊重し思いやることができる社会を実現するためには、お話のように、心のバリアフリーの推進が必要でございます。
 そのため、都は、年度内に学校や地域におけるユニバーサルデザイン教育や学習会、社員研修などに、区市町村や事業者が取り組む際のポイントや効果的な事例を盛り込んだガイドラインや、さまざまな障害の特性や障害者に配慮すべき事項等をまとめた障害者差別解消法ハンドブックを作成することとしております。
 また、来年度は、学生と障害者が参加するシンポジウムや小中学生のポスターコンクールを実施いたしますほか、障害への理解促進に向けたさまざまな広報媒体による普及啓発などを行い、心のバリアフリーに向けた取り組みをより一層推進してまいります。

○中山(ひ)委員 先日、ちょうど大江戸線蔵前駅から乗りましたところ、職員が視覚障害者の方をサポートする光景を一部始終拝見したわけですが、車両に乗るためのサポート、そして、下車する駅への電話、下車する駅では駅員が待っていて、お客様着きましたよというサポートをする姿は本当に完璧なものでありました。
 さらに、業務ということだけではなくて、蔵前駅で、ちょうどたわいもない会話をしてコミュニケーションをとっていた姿勢にも感動を覚えたわけでありまして、そういった都の職員の意識をさらに進めていただき、都民の意識につながるように施策の充実に努めていただきたいと要望したいと思います。
 次に、ヘルプマークについてであります。
 これも先日、私は医療ケア児を育てるお母さん方と懇談をしたんですけれども、懇談中、胃瘻の医療機器をつけているため、医療ケア児が乗っているベビーカーだというふうなことがわかるんですけれども、医療機器をつけないと普通のベビーカーにしか見えないんですね。実際、駅のホームからエレベーターに乗ると、一斉に乗り込んできて、いつも恐ろしい思いをしているといっておりました。もちろん常にヘルプマークをつけているそうであります。
 そこで、心のバリアフリーを推進するために都のヘルプマークは有効な手段であり、広く都民に普及を図るべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 都は、平成二十四年十月から、都営大江戸線において、優先席へのヘルプマークの表示と駅窓口での配布を開始いたしました。現在、その取り組みは全ての都営交通、「ゆりかもめ」、多摩モノレール、都内の民間バス事業者十八社に拡大をしております。
 また、特設サイトや作成・活用ガイドライン等を通じて広く都民や企業に対してヘルプマークの普及を図り、これまでにマークを約八万五千個配布いたしました。さらに、国に対してマークの普及を提案要求するとともに、他の自治体にも活用を働きかけるなど、広域的な普及にも取り組んでおります。
 今後とも、障害者週間等の機会やさまざまな広報媒体を活用し、ヘルプマークの一層の普及を図ってまいります。

○中山(ひ)委員 あらゆる公共施設で普及PRしておりますが、さらなる推進を要望したいと思います。
 次に、来年度予算案で取り組んでいることとしているボランティア文化の定着について伺いたいと思います。
 これは、東京二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの競技大会の開催を契機に、ボランティア活動の機運醸成や活動支援を行うなど社会貢献の活性化により、共生社会の実現を目指したものであります。
 現在、高齢者も障害のある人も外出しやすい時代になったわけでありますが、それでもまだ全ての建物や施設がバリアフリーなわけではありません。今求められているのは、高齢者や障害者に、お手伝いしましょうかと歩み寄れる人材確保であります。
 そこで、ボランティア文化の定着のためにどのように施策を進めるべきと考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○多羅尾生活文化局長 ボランティア文化を定着させるには、より多くの都民に気軽に参加していただけるようにすることが大切でございます。
 来年度は、ボランティア活動に取り組む著名人の発信力を活用したイメージアップ広報を電車の中などで展開いたしまして、活動を身近なものと感じていただく取り組みを行ってまいります。
 また、ボランティア活動に関して継続的、先進的な取り組みを行っている団体などを表彰するとともに、これを広く周知し、活動への関心を高めてまいります。
 あわせて、昨年九月に設置した東京都ボランティア活動推進協議会に参加する企業や団体などが、みずから活動への参加を呼びかけていくことで裾野を拡大し、東京全体で障害者や高齢者を含む幅広い都民が互いに支え合う社会を目指してまいります。

○中山(ひ)委員 ボランティア文化の定着施策を通じて、ヘルプマークやさまざまなマークの普及など、一役を担っていただくともに、心のバリアフリーの充実にこれからも取り組んでいただきたく要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次は、成長産業の育成と強化について質問いたします。
 政府は、医療機器産業は成長戦略の一つにも位置づけられており、法制面で医薬品医療機器法を初めとして、法整備が進んでいる状況でもあります。また、平成二十二年度から四年間続いた課題解決型医療機器等開発事業が、平成二十六年度からは医工連携事業化推進事業と名称を変えて、国としても資金面から医療機器の開発を推進する体制を整えております。
 その背景には、医療機器市場が大変大きいということでありまして、現在は二・六兆円以上あるといわれております。二〇二五年までには四兆円市場になるのではないかとまでいわれているわけであります。
 そこで、中小企業の医療機器産業分野への参入を促進するべきと考えますが、知事の見解を伺いたいと思います。

○舛添知事 今、中山委員おっしゃいました医療機器でありますけれども、大変大きな成長が期待できるというふうに思っております。
 さまざまな医療機器には、中小企業が開発したすばらしいものがたくさんあります。私も人工関節に、股関節かえましたけど、あれ、完全な球体をつくる能力がないと負担がかかるんです。その完璧な球をつくる技術というのは、日本の中小企業が持っています。
 ですから、例えばこういう技術を医療機器に開発するというときに、基盤がしっかりしている中小企業、基盤を持っている企業を活用したいというふうに思っていますので、都も今年度から中小企業の医療機器産業への参入に向けた支援を開始いたしております。
 具体的には、まず、すぐれた技術、さっきの人工関節のような、この企業と医療系の大学、病院、それから今度、機器の製造、販売を行う事業者、このマッチングというか、そういうものを集積して、それで現場のニーズと技術力をどう結びつけるかと、こういう事業を展開しているわけであります。
 こうした取り組みを着実に進めることによりまして、これから東京発の医療機械、こういう開発を促進して、中小企業の新たな成長産業にしたいというふうに思っておりますし、また、先般申し上げましたように、海外への展開ということも考えたいと思っております。

○中山(ひ)委員 知事、ありがとうございます。ぜひ中小企業という枠組みで、医療機器産業への参入支援にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 私は、その意義は三つあると思います。その一つは、先ほど、市場規模が大きいということ。もう一つは、景気に左右されないということですね。三つ目は、今、知事がおっしゃったようなことで、大手の参入している分野では太刀打ちはできませんけれども、多品種で小ロットのものが多いため、中小企業でも参入できる分野があるということだと思います。
 また、医療機器開発と聞くと、最先端の機器等がないと参入が難しいという印象がありますけれども、医療機器業界の集まる文京区本郷かいわいの社長様にお聞きしますと、現場で培った高度な技術があれば、医療現場のニーズに即した製品を生み出すことができるとのことです。
 そこで、まず、今、医療機器等のニーズと中小企業の技術を結びつけるとの答弁がありましたが、医療機器のニーズは医師ごとに異なっており、中小企業のシーズは多種多様であると聞いております。それぞれどのように掘り起こしていくのか伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 大学や病院、医療機器メーカー等のニーズにつきましては、これらの機関にネットワークや人脈を持つ民間事業者のコーディネーターがヒアリング等を通じまして掘り起こしを行っております。
 また、ものづくり中小企業の技術シーズにつきましては、中小企業振興公社のコーディネーターが企業訪問を行うとともに、区市町村との情報交換や医工連携に関するセミナー等を通じまして収集をしているところでございます。

○中山(ひ)委員 今、ニーズとシーズをそれぞれ掘り起こしていくという答弁があったわけですが、この一月、第一回文京区・大田区ものづくり技術交流展示商談会・交流会イン文京区を開催したそうでありまして、これは文京区と大田区が昨年二月に交わした医療関連産業連携に関する覚書を受けて、両区が相互の地域特徴を生かして連携して行う初めての事業であるということであります。
 本郷地区を中心に医療機器メーカーが集積する文京区からの展示があり、また、日本でも有数のものづくりのまちとして機械づくりを得意とした高度集積技術を誇る大田区から二十六社が出展したそうであります。
 こうした展示商談会の活発な開催は、医療機器業界とさまざまな分野のものづくり中小企業とのマッチングのきっかけとする機会であり、都においても、積極的に取り組みを進めていくべきだと考えます。
 そこで、都は来年度、日本橋医工連携の支援拠点を整備しマッチングを進めていくと聞いておりますが、具体的にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 都は、医療現場のニーズと中小企業の技術シーズのマッチングを加速させるため、来年度、日本橋に整備する拠点におきまして、開発分野ごとの研究会や交流会を開催し、病院や大学等と中小企業の交流を促進いたします。
 また、コーディネーターが収集したニーズ、シーズをデータベースに蓄積し、マッチングに活用してまいります。

○中山(ひ)委員 答弁のように、マッチングを進めることによって参入チャンスも大きく広がるということだと思います。しかしながら、医療機器開発の多くは開発に長い期間や多額の経費を要することから、新たに参入した中小企業の医療機器開発を進めるためには、マッチングにとどまらず、さらなる後押しも必要であります。
 中小企業の医工連携の取り組みや事例や、その効果などを検証しますと、製品構想段階からでき上がって市場に投入するまでには、それぞれのステージに対応できる製品開発への支援が必要であると考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は来年度から、マッチングした企業による医療機器の共同開発を支援するため、技術開発や知的財産に関する相談窓口を設置いたします。
 また、共同開発による製品開発段階に応じて、試作品製作から技術開発、医療機器承認に必要な審査等に係る経費の三分の二につきまして、五千万円を限度に助成を行ってまいります。

○中山(ひ)委員 質問の中で、中小企業の医療機器産業への参入支援を充実していくということが明らかになってきたわけですが、先ほど舛添知事がおっしゃったように、ASEAN諸国への日本の医療機器技術のポテンシャルを今後アピールしていただき、輸出も視野に入れた施策を進めていただきたいと要望したいというふうに思います。
 次に、東京ブランディング戦略及びMICE誘致について伺っていきたいと思います。
 昨年三月に提示されました東京のブランディング戦略では、過去五年間に東京訪問を検討した海外在住の外国人を対象に調査を行いまして、ライフスタイルや価値観を分析したところ、多少値段が高くてもよいものを買うとか、あるいは、毎日体を動かすようにしているとか、環境のために自分のできることから取り組みたいなどの傾向が見られたとされております。
 しかし、アジアの旅行者と欧米からの旅行者では東京に対する期待感というものは全く異なってくると考えられます。
 そこで、統一したイメージをつくる必要があるとは考えます。ブランドの浸透策はアジアと欧米豪では異なる戦略を立てるべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 東京を魅力的な旅行地として強く印象づけていくためには、東京のブランドイメージをそれぞれの国や地域に応じて発信していくことが必要でございます。そうしたことを踏まえ、都は、世界の十二都市に配置した東京観光レップによるPRとともに、世界各地の旅行博への出展等を行っているところでございます。
 こうした取り組みに加え、来年度は各地のメディアも活用したPRを行ってまいります。
 これにより、東京ブランドの発信に取り組んでまいります。

○中山(ひ)委員 世界十二都市できめ細かいPRを行っていることが明らかになったわけですが、MICE誘致にはプロモーションの充実も重要であります。
 長期ビジョンでは、国際競争を勝ち抜くプロモーションの強化とあり、マーケティング調査や国際的なネットワークの活用、開催決定に影響力のあるキーパーソンへの働きかけ、学術研究機関の集積等の東京の強みを生かした誘致活動など、MICEの誘致、開催に向けた効果的なプロモーションの展開とあります。
 そこで、現在、MICE誘致に向けてどのような取り組みを進め、成果を出しているのか伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 東京へのMICE誘致を推進するため、国際的な連携組織に加盟をいたしまして、誘致に役立つ情報収集を行うとともに、海外専門誌への広告掲載等のプロモーション活動を実施しております。
 こうした取り組みにより、MICE開催都市としての地位を向上させてまいります。

○中山(ひ)委員 MICE誘致のためのプロモーション施策では、国際的な連携組織に加盟しつつ、地位の向上に努めていることが明らかになったわけですが、一方で、都はこのブランディング戦略も着々と進めているわけなんですが、MICE誘致に向けたプロモーションもこのブランディング戦略を踏まえて実施すべきだというふうに考えますが、ご見解を伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 東京のブランディング戦略は、観光客のほか、MICEなどさまざまな目的の旅行者全てを対象としております。こうした考え方から、MICE誘致のためのPR冊子などでは、東京の旅行地としてのブランドコンセプトを発信しているところでございます。
 これによりMICE誘致を適切に進めてまいります。

○中山(ひ)委員 今、ご答弁では、指摘されなくてもちゃんとやっているよというような答弁であったというふうに思いますが、素朴な見方でありますのでご了承いただきたいというふうに思います。
 ただし、そこで私が考えるのには、東京都は幾つもの都市で構成されており、その集合体が東京ということになります。先ほども和泉議員の方から質問がありましたけれども、東京のブランディング戦略を進める上で、東京の中の地域のブランディング化を進めていくためには、地域の伝統文化を引き継いでいる各地域の観光連盟や観光協会を育てることが重要だというふうに思いますが、見解を伺いたいと思います。

○山本産業労働局長 これまで都は、各地域の観光関連の団体に対し旅行者の誘致に役立つ情報を事例集などにより提供してまいりました。
 来年度は、そうした団体に対する研修会の実施や、大学と協力をして活動の活性化を図る取り組みを開始してまいります。また、これにより計画をされた事業などに対し助成を行ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、各地域の観光振興を支援してまいります。

○中山(ひ)委員 ここが大変重要でありまして、都はこれまで、地域の観光連盟や、あるいは観光協会に深くは関与しておりませんでした、どちらかというとですね。でしたけれども、来年度においては一歩前進ということで、それはそれで多としたいというふうに思います。
 ただ、この予算委員会の中でも舛添知事がご答弁でいわれたように、この江戸の文化の再生というものを担っているのは地域の観光連盟であり、観光協会なんですね。実際、地元の台東区においても、四つの観光連盟と観光協会があるわけなんです。
 歴史に基づいたいろんなイベントを行っていて、まず地域の皆さんが地域の歴史を知ってもらわないと、やはりホスピタリティーというか、来た方に、いわゆる地域の歴史を説明できないということでありまして、そういう意味では、もっともっとこれは東京が地域の観光連盟だとか、あるいは観光協会だとか、ぜひもっと関与してほしいわけであります。そういう意味では、どちらかというと、商店街的な施策は補助金がおりるわけなんですけれども、観光連盟、観光協会に至っては東京都から補助金を出すということが仕組み上もなかなか難しいということもあります。
 そういう面では、ぜひ知恵を使っていただいて、地域のこういった観光関連の団体に関与していただきたいというふうに、ひとつ要望したいというふうに思います。
 次に、MICE事業の効果検証についてであります。
 私の地元台東区でも、経済波及効果の高いMICE開催を歓迎しており、さまざまな協力も行っております。今後、MICE事業のレベルを向上させていくためには、この内容を評価し、結果をフィードバックすることが重要であります。
 観光産業振興プランでは、統計情報や経済波及効果の測定ツールの充実により、MICEに関する実態把握を進めるとともに、KPIを活用して施策の効果や市場動向を分析し、施策の見直しや新たな展開を図っていく仕組みを構築するとありますが、MICE事業の分析を行いフィードバックするべきと考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は、MICEの誘致に当たりまして、事業の成果を把握するための指標であるKPIを用い、事業内容の向上に役立てております。これまでもMICE誘致のPRについて、KPIの結果を踏まえまして、例えば、情報発信の方法をフリーペーパーからウエブサイトに変更するなどの対応を行っております。
 こうした取り組みによりまして、MICE誘致の効果を高めてまいります。

○中山(ひ)委員 このMICEの仕事というのは、うちの地元でも来ているわけなんですけれども、率直にいって、もうかるらしいです。というのは、いい方は悪いですけれども、これは公金を直接出しているわけではなくて、いわゆる観光財団から地域の飲食店や何かに紹介してやっているわけでございまして、経済効果が高いんですけれども、どのようなニーズがあるのか、あるいはどのようなことが喜ばれるのか、また、どういう方が来ているのか、こういうことをぜひフィードバックしてほしいといわれております。
 そういう意味では、どう評価されているかを、今後とも調査の中でぜひ、地元の事業者に返していただきたいというふうに思います。要望です。
 来年度予算では、新たに展示会イベント誘致開催支援事業も開始されるなど、MICE施策が総合的に実施する環境が構築されることは多としたいというふうに思います。
 一方で、シンガポールやソウルは国を挙げて誘致活動を進めており、東京の地位はまだまだ高くないと観光産業振興プランでもうたわれているわけであります。
 そこで、経済効果が高いことから、さらにMICE誘致の強化を進めるべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。

○舛添知事 今、我々もデータを集めていまして、どのまちで国際会議をやりたいかというと、いろんなデータがありまして、それで東京のプラスの面は何か、マイナスの面は何か、これを今、分析しているところであります。
 率直にいって、東京の魅力を高めるしかないかなと。例えば国際会議を三日やったら、必ず半日とか一日はエクスカーションという遠足というか、その周りへ行くので、遊びに行く時間がとってある。そうすると、会議そのものの質の高さもそうなんですけど、どういうところに遊びに行けるか、配偶者を連れてくる場合もありますし、家族を連れてくる場合もあるので、そういうときにやっぱり観光地としての魅力も高めないといけないというふうに思っておりますので、これも先ほどありました多摩や島しょ地域も含めて、東京の魅力を開発していきたいというふうに思っております。
 ぜひ、そういう総合的な取り組みで世界中の人々が今来たいという状況をつくりたい。幸い、二千万人を観光客の数で超えるというような状況になりつつありますし、二〇二〇年大会がありますので、絶好の機会が訪れていると思います。ですから、各地域の方々と協力しながら、ぜひそういう取り組みを進めたいと思います。
 そのために、例えば京都と比べたときに、東京の祭りは京都に知名度でまさっていない。祇園祭とか葵祭。浅草の祭りもありますけど、例えば東京の祭りを京都を抜くぐらいに持ってくるのも一つかなというふうに考えていますので、これにみんなで努力をしたいと思います。

○中山(ひ)委員 今回、MICE関連の事業が倍増したことは多としたいと思います。ただ、知事、今回の所信表明で、このMICEの文字が入っていなかったんですね。大きくあればMICEということになってくるんですけれども、MICE施策は、今ご答弁あったとおり、要するに、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、そしてラグビーのワールドカップ、もう一つはMICEというような三つの位置づけの中で、観光産業の発展をしていただきたいというふうに思っております。
 二〇二〇年以降は東京は大丈夫なのかというふうにいわれるんですけれども、その答えはまさにMICEだというふうに思っております。舛添知事はよくそのことをご理解いただいているということは承知しておりますけれども、さらなるこのMICEの推進にご尽力をいただきますよう要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○秋田副委員長 中山ひろゆき委員の発言は終わりました。

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