予算特別委員会速記録第三号

○早坂委員長 畔上三和子委員の発言を許します。
   〔委員長退席、植木副委員長着席〕

○畔上委員 昨日の我が党の大山議員の代表総括質疑に続きまして、私は、新国立競技場整備への都財政負担問題と、そのための独立行政法人日本スポーツ振興センター法、JSC法の改定案について質問します。
 そもそも国立施設でありながら、都が整備費を負担することは地方財政法で許されないものです。にもかかわらず、負担を合法化する。そのためにJSC法の改定案が国会に上程されました。
 我が党は、新たな都負担に反対するとともに、負担を法律で縛る法制化についても厳しく批判をしてまいりました。二月十九日に閣議決定をされましたJSC法改定案は、我が党が危惧したとおり、重大な内容を含むものです。
 そもそも代表質問でも指摘しましたように、法案は都道府県に負担を求める規定となっていますが、負担の対象となる日本スポーツ振興センターが管理運営する競技施設は東京にしかありません。スポーツ庁にも確認しましたが、ほかの道府県で新たな施設を整備する、そういう計画はなく、事実上、東京都のみに負担を義務化するものであります。
 それに加えて、JSC法案には三つの重大な内容が含まれております。パネルをごらんください。資料をごらんください。
 第一に、都の負担の対象を新国立競技場の新築整備に限定していません。
 そして第二に、財政負担の割合について、合意の四分の一ではなく、三分の一以内とされています。
 第三に、協議が成立しない場合は大臣が裁定するという規定が入っています。
 この法案を見て、私はすぐに、合意内容と違うことが法律に書かれている、おかしいと思いました。
 この法改定は、都民の大切な税金の投入が合意--私たちはこの合意もよしとしていませんけれども、その合意を超えて拡大することもできる、そういう内容になっているのではないかと危惧を覚えたわけです。
 こうした問題について我が党は、本会議の代表質問でただしましたが、知事は正面から答えられませんでした。
 そこで、改めて伺いたいと思います。
 知事は日本スポーツ振興センター法改定案について、我が党の代表質問に、国との合意の内容が履行されるものとご答弁されました。
 それならば、なぜ、改定案は、都に四分の一の負担ではなく、三分の一以内の負担を求めたのですか。また、なぜ協議が成立しないときは文科大臣が裁定する、そういう規定まで設けたんでしょうか。お答えください。

○舛添知事 正面からきちんとお答えいたします。
 新国立競技場の整備に係る財政負担につきましては、対象経費に係る都の分担割合、これも三百九十五億円、ご承知のとおりですけど、これはもう既に国と都で合意して、関係閣僚会議において決定をしております。したがって、この内容が履行されるわけであります。
 なお、法律ですから、JSC法案の内容につきましては、国が責任を持って国権の最高機関の国会の場において説明し、国会の場において審議されるものであります。

○畔上委員 知事、それは余りにも無責任じゃないでしょうか。だって、国で審議するとか、国会の場において審議されるといわれましたけれども、東京都の負担の問題なんです。それにもかかわらず、国会の場において審議されるなどというのは、相手任せの姿勢は許せないのではないでしょうか。
 大臣裁定の問題について再度伺いたいと思います。
 合意内容を履行するための法案だと今おっしゃいましたが、もしそうであるならば、なぜわざわざ文科大臣の裁定という規定が設けられているんですか。既に今回の負担は合意している、今、知事もおっしゃいました。そうだったら大臣裁定を規定する必要などないじゃありませんか。なぜですか。

○舛添知事 何度も申し上げておりますけれども、先ほど東京都、東京都、東京都と個別的なことをいっていますけど、国の法律において東京都なんて書いていないですよ。いつ、これからどういう状況が起こるかわからないから、今資料をいただきましたけれども、これを見ればちゃんと書いてあるじゃないですか。
 地域の発展に特に資するものとして云々と書いてあって、これ、東京なんて言葉は全然書いていないですよ。ですから、当該都道府県が負担すると。当該都道府県というのは、今からどういう都道府県が起こるかわからない。
 それならいいますけど、憲法をよく読んでくださいよ。一つの地方自治体のみ適用されるような法律は、特別法をつくるときは、そのときのところの住民投票がなければ成立しないんですよ。(発言する者あり)だから一般法じゃないですか。特別法じゃないじゃないですか。
 そういう憲法の基本もしっかりわかってもらわないといけないということと、共産党の議員の皆様が入った国会の場できちんと審議をされるわけで、私は国権の最高機関に対して、これあれしろ、その法案どうしろと、そういう僣越なことは申し上げません。

○畔上委員 信じられませんよ。JSCが管理運営しているスポーツ施設は東京しかないんです。だから、法文にはもちろんそう書いてあります。都道府県と書いてあります。しかし、これは一般論でいっているんじゃないんです。この法律は、東京にこの新国立競技場の負担を義務化するために制定したんじゃないですか。知事もそういう法律がなきゃ負担できないと、そうおっしゃっていたじゃないですか。
 当事者として、私は本当に、この法案を見たとき、やっぱり大臣の裁定がある、これはおかしいんじゃないかと。都民の税金なわけですから、当事者として合意の内容を本当に法案と一致しているのかと。このことを十分吟味して意見をいって、本当に都民の不利益にならないようにきちんとチェックをすると。私はこれが本来都知事の仕事だと思うんですよ。
 大臣の裁定まで設けているのは、今回の合意以外のことが想定されているんじゃありませんか。合意以外の今後の整備費の負担の想定がされているんじゃありませんか。その点についてはどうでしょうか。

○舛添知事 皆さん方のところにもこの資料、今、委員からいただいたのあると思いますけど、ちょっと見てくださいよ。第一条、第八条の十の一番最後の3というところ、前項の規定による協議が成立しないときは、当事者の申請に基づき、文部科学大臣が裁定する、この場合において、文部科学大臣は、当事者の意見を聞かなければならないと書いてありますし、こういう法律の条文は、先ほど申し上げましたように、国会の場で、国権の最高機関で、我々の選良である国会議員がきちんと議論して決めるべきものでございます。

○畔上委員 私は法律論を聞いているわけじゃないんです。法律の、合意の内容の法制化なら、やっぱり大臣裁定が入っているというのはおかしいじゃないですか。もちろん自治体の意見を聞いて、そして最後は--でも、大臣が裁定するんですよ。都にさらなる負担がかかる可能性がある。こういう重大問題だといわざるを得ません。
 さらに、法案の条文では、負担の対象は新国立競技場に限定されておらず、特定業務に係る施設とされています。特定業務とは、国際的な規模のスポーツ競技会の我が国への招致またはその開催が円滑になされるようにするために行うスポーツ施設の整備です。
 つまり、JSCが管理運営する競技施設で、オリンピック・パラリンピックだけでなく国際的な競技が行われる、例えばサッカーワールドカップとか、こうした施設で地域の発展に資するものと判断された施設が都道府県負担の対象となっています。
 しかも条文は、負担の対象は新規整備や改築に限定せず、施設の整備に要する費用としております。そうなりますと、五輪後、新国立競技場は六万八千席の座席を八万席へ改修する、そういう計画になっておりますね。この計画に、その改修なども負担の対象に含まれていくのではないでしょうか。

○舛添知事 甚だ失礼ですけど、今おっしゃっていることは矛盾がありますよ。だって、この法律は新国立競技場の負担をさせるためにつくったものじゃないですかとおっしゃったじゃないですか。
 今おっしゃったのは、新国立競技場じゃなくて、ほかの特定業務にかかわるんだってできるというのは、まさに一般法じゃないですか。

○畔上委員 新国立競技場の改修ですよ。六万八千から八万、これについていっているんです。これについて、改修も負担の対象に含まれるのではないか、どうか。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 昨年八月二十八日の関係閣僚会議で決定いたしました新国立競技場の整備計画には、観客席につきまして、大会後には八万席にも対応し得る性能とすることが記載されておりますが、今般、国と都で合意しました関係閣僚会議で決定された内容には、お尋ねの改修経費は含まれておらず、都が負担を求められることは想定してございません。

○畔上委員 今回の合意は、五輪に向けた建設費千五百八十億円の四分の一と周辺整備の一部です。この条文で、その後の改修への負担はない、対象外だといえるんでしょうか。
 それとも、今回の建てかえ以外の今後の負担はないと、求めませんよといった合意文書でもあるんでしょうか。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 この負担問題につきましては、本会議、また特別委員会等でさんざん議論させていただいた経緯がございますが、もう一度丁寧にご説明させていただきますが、新国立競技場につきましては、国と都で検討会を設けまして、その財政負担について議論してまいりました。
 それで、都としては、この新国立競技場はいろいろと大会後のレガシーですとか、周辺環境の整備、また防災機能の向上というメリットはございますけれども、何よりも、やはり二〇二〇年大会のメーンスタジアムであると。このスタジアムがなければ二〇二〇年大会の成功はあり得ないということで、東京都は開催都市の責任として一定の財政負担を都知事が国と合意されたものでございます。
 この合意内容につきましては、馳文科大臣と、遠藤オリ・パラ大臣と、あと都知事が合意いたしまして、その際に必要な法的措置を講じると国が約束したものでございます。その上で、総理大臣が出席いたしました関係閣僚会議で決定された事項でございますので、これ以上重い合意はないと考えております。
 したがいまして、この合意以上の負担というものは、私どもとしては想定してございません。

○畔上委員 私は、スポーツ庁の法務の担当者から、国会の議員控室で直接確認をいたしました。五輪後の八万席への改修の費用は除外されているとはいえないと。つまり、負担の対象外とはなっていないというふうに国はいっているんです。
 つまり、今回の合意を超えた新国立競技場の改修まで都財政負担の対象となる。しかも、新国立競技場整備は、さすがに国と都の合意があり、四分の一負担になるかもしれませんが、合意以外の改修等については、三分の一以内の負担が適用される可能性が生じるんじゃありませんか。
 その場合、東京都が三分の一負担に合意しなかったら、先ほど知事もおっしゃっていたけれども、もちろんその自治体の長、意見を聞きますけれども、最終的には大臣の裁定が押しつけられることが想定されるじゃありませんか。いろいろいわれましたけれども、条文を照らしてみれば、負担はないといい切れないわけですよ。
 JSCの所有する施設は新国立だけでもありません。秩父宮ラグビー場や代々木第一、第二体育館もあります。その改築や改修だって、今後状況によっては都道府県の負担対象にもこの法律ではなり得る。しかし、たとえ東京都が話し合いして拒否した場合でも、これは大臣裁定で拒否できなくなる、そういう法文じゃないですか。
 そんな将来にわたり都財政と都民に不利益をもたらしかねないこの内容の法律を、やっぱり認めるわけにはいかないんじゃないでしょうか。
 知事、あなたは、国が責任を持って説明し、国会の場において審議するものだと、そういうふうにおっしゃってきました。今も説明されました。都は、国から事前に法改定の案について示され、そして説明を受け、協議したのではありませんか。どうなんでしょうか。

○舛添知事 先ほどから局長を含めてきちんと説明していますように、そういう説明は受けておりません。当たり前のことなんで、二大臣と話をして、最高のトップが決めて、関係閣僚会議で内閣総理大臣まで出席して、きちっと決めたことで、そのときに必要な法律の整備をやるということが決まったんですから、都議会が国法をつくるわけじゃないですよ。国会でやるわけですよ。
 だから、あなたが認めるわけにいかないといっても、あなた国会議員じゃないじゃないですか。だから、国会の場でこれのやりとりならいいんですよ。国会の場で、政府が出した法案に対して反対なら反対で審議をすればいいんであって、私はそこまで僣越に、国会議員に対してこの法案の何条を変えろと、そういうことをいいませんよ。
 それから、都合がいいときは法律論を持ってきて、そうじゃないときは個別をいうというのは、これは基本的に法律の考え方というのは間違っていますよ。それから……(発言する者あり)ちょっと待ってください。
 それから、国会の控室かどこかでスポーツ庁に会ったというけど、それで国がそういったとどうしていえるんですか。関係閣僚会議で私がどれだけ長い時間、二閣僚と議論をし、積み上げていって議論をして、これは東京の利益になる、東京大会でメーンスタジアムがなければ開会式はできないんだから、これをやることによってきちんと大成功させる、日銀の予想でやっても三十兆円の経済効果がある、そしてレガシーとしても残る。
 そういうことを全て考えて決定した極めて重い政治的決断であって、国会の控室で、どこかの小役人にといったら悪いですけれども、わかりませんけど、ちょっと今、失言なんで、これ、取り消します。どこかの国会の職員に、失礼、政府の職員に会ったことがあたかも国の決定であるかのようなことをおっしゃるのは、私は納得できないと思います。

○畔上委員 都民の税金がかかるのかどうかという大問題なわけですよ。都の負担の問題なんですよ。だから私はいっているんです。
 それで、今、知事は、事前に法改正案の説明や協議は受けたことないとおっしゃったけれども、昨年の十二月四日の定例会見では、法律についてはどういう内容になるのかということを今から詰めていって、我々の要望も申し上げていきますとおっしゃっていますよね。
 それはなぜそういうふうにおっしゃったかというと、やっぱり都民にかかわる税金だから、これ、本当にどうするのかという問題、都の負担の問題なわけですよ。新たに負担がかかる、そういう問題なんです。だから……(発言する者あり)法文を読めば、それは出ているんですよ。
 つまり、こんな内容の法案を理解し、了承しているとしたら、私は責任重大だと思うんです。そもそも知事がおっしゃっている新国立競技場の四分の一の負担で、周辺整備も含め、四百四十八億円の都の負担なわけです。そして、明治公園の都有地も無償で貸す。そのこと自体、都民の批判を受けていますが、その上、JSC法の改定案によって、今後のさまざまな整備に対しても、三分の一までの負担を引き受けるなどということは絶対にあってはならないと思います。
 私は、最近も、あるアスリートの方にお会いしたときに、そもそもどうして前の国立競技場を解体してしまったのか、競技力を向上させ、記録を狙うなら、そのお金をアスリートの支援や育成に使うべきだ、競技場は前の国立競技場を改修すれば、それで競技にとっての何の不足もなかったのにと、そういわれました。
 また、都民の方たちは、オリンピックの費用が増大する、そういって一体どれだけの税金を使うのかと、こういう不安や批判の声を上げているわけです。私は、都の新たな負担に道を開くような、そういう法案をやっぱり撤回させるべきだと、そのことを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、選手村の計画について伺いたいと思います。
 オリンピックムーブメンツアジェンダ21では、宿舎の建設は、健康的な住環境に適していることや、社会の貧困層を忘れないことなどを目標にしています。選手村とその後の後利用計画にもアジェンダ21の理念が生かされるべきだと思いますが、知事、いかがでしょうか。

○舛添知事 今おっしゃいましたように、オリンピックムーブメンツアジェンダ21というのは、開催都市の社会、経済状況なども踏まえまして、大会の開催を通じて、それぞれの都市が持続可能な未来を創造していくための方向性を示したものでございます。
 東京におきましては、この二〇二〇年大会を起爆剤としまして、成熟都市東京というのをさらに発展させて、ゆとりのある真に豊かな都民生活を実現していく必要があると考えております。
 今、委員がご指摘の選手村は、大会後は水と緑に包まれまして、都市と自然が調和した魅力的な空間にすると。そして、そこで外国人も高齢者も子育て家族、多様な人々が快適に暮らして交流するまちに生まれ変わらせたいと思っています。
 その中に、例えば生活の中に水素エネルギーを組み込むことによって、環境先進都市というようなこともしっかりとつくっていきたいと思っております。
 二〇二〇年のその先を見据えて価値あるレガシーを残すために、民間の知恵も結集しまして、今引用してくださいましたこのアジェンダ21の掲げる持続可能性の理念というのを体現したまちにしていきたいと考えております。

○畔上委員 私は、このオリンピックムーブメンツアジェンダ21の精神がロンドンの選手村後利用、レガシーに生かされているなと、いろいろ本を読んで思いました。
 ロンドンの選手村後利用は、貧困層への住宅提供や医療、教育施設の整備など、市民生活向上に資するものと高く評価されていますけれども、ロンドンの選手村についてどのように評価されているでしょうか。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 ロンドンの東部にあります選手村を含むオリンピックパークが建設された地域はかつての工業地帯でありまして、土壌汚染などの環境問題が深刻化し、高い失業率や犯罪などの都市問題が顕在化しておりました。
 二〇一二年ロンドン大会を契機に、この地域の再開発計画が促進され、選手村の宿泊棟として一時使用された約二千八百戸を初め、多くの住宅が供給されますとともに、医療、教育、商業施設などが整備され、地域の生活環境が改善されたと承知しております。
 一方、二〇二〇年東京大会の選手村予定地である中央区晴海は、都心にほど近く、水辺の景観にすぐれているなど、大きなポテンシャルを秘めており、大会後は持続可能な成熟都市のモデルとして整備を進めてまいります。

○畔上委員 ご答弁にありましたように、ロンドンの選手村は、地域の改善、再生と位置づけ、住環境の整備を進めてきました。住宅も所得の低い人でも入居できるようにと、半分の千四百戸はアフォーダブル住宅、安価で手ごろな住宅として、そのうち七百戸は公営住宅としました。そして、学校や病院、近くには大規模な公園も整備したということです。このロンドンの選手村の教訓は大きいと思います。
 ところが、都の昨年末に発表されました二〇二〇年に向けた東京都の取組―大会後のレガシーを見据えて―を見ますと、そこでは選手村を誰もが憧れ、住んでみたいというスローガンになっているんですけれども、今のままでは誰もが住めるとはいえないまちになってしまいかねないと危惧しているところであります。
 選手村の後利用計画の住宅は、どのような住宅となるんでしょうか。

○安井東京都技監 ただいまご質問の中でロンドンの例がございましたので、それをちょっと触れさせていただきますけれども、オリンピックパークが整備されたのはロンドンでございますけど、これはストラトフォード周辺、当時、産業革命を担っていた企業が都市化の段階で郊外に移転した。当時は郊外でした。
 移転されまして、人口増加に伴って移転したんですが、そこは、においだとか、それから汚染だとか、ブラウンフィールドになっていて、結果的にそこに移民の方々が大分住み込んで、失業率も高い。そこに貧困層も集まって、そこを改善しなきゃいけないということがオリンピックの地域開発の目的だとはっきりロンドン・プランに書いてございますし、その研究された方からも私、直接お聞きしてございます。
 それに対しまして、今回の東京は、それとはやっぱり状況が、その地域の成り立ちも、それから都市の形成過程も、今置かれている晴海の状況も違います。そこはやはり、東京は今回のオリンピックは、そういう貧困地域の地域再生ではなくて、オリンピックでさらに成熟した東京の姿を世界に見せていこうと。そういったところで晴海が都心に近いと選手村に選ばれたわけでございまして、そこは現在の晴海地区の状況だとか、東京の地域が抱えている地域構造の課題であるとか、住宅政策を取り巻く状況が大変違うということで、レガシープランでもそのようなことを書いているわけでございます。
 具体的に申しますと、オリンピック・パラリンピックの大会後の選手村につきましては、海に開かれた都心に近接した立地特性を生かしまして、多様な人々が交流し、都市生活を楽しむことのできる環境にも配慮した成熟したまちにつくりかえてまいります。
 具体的には、単身者や子育てファミリーに加えまして、シェアハウスや高齢者向け住宅など、多様なニーズに対応した幅広い住戸バリエーションを設けるとともに、にぎわいを生み出す広場や緑地を整備するなど、快適な居住空間を創出してまいります。
 これらの住宅につきましては、民間事業者である特定建築者がその資金やノウハウを活用して整備し、大会終了後、分譲または賃貸することとしてございます。

○畔上委員 今、幅広いバリエーションというお話がありましたけれども、貧困と格差が非常に東京の中でも深刻になっている、こういう中で貧困層の住宅もあるんでしょうか。

○安井東京都技監 真に住宅の確保に困窮している方々に対しましては、昨日もお答えしましたが、都営住宅を中心としまして、これまでも既存ストックの有効活用を図りまして、セーフティーネットを形成しているところでございます。
 優先入居だとか、居住支援協議会を通じた民間住宅の提供だとか、こういったものをやってございまして、先ほど申し上げましたような晴海の現在の立地状況であるとか、東京が抱えている地域構造の問題とかを掲げて、どうしても晴海地区に都営住宅を建てるような必然性はございません。他の地域で十分確保してございます。

○畔上委員 他の地域で十分確保できていないから私は申し上げているんだし、それから、選手村というのはやっぱり都民が、本当にいいところをつくってくれたなと、そういうふうにみんなが感じられるような選手村の跡地利用にしなきゃいけないんだと思うんですよ。
 ある民間住宅にお住まいの母子家庭の方は毎月八万円の家賃を払い続けることができない。今、都営住宅に入居を申し込んでいますけれども、その方が申し込んだ都営住宅は千五十七倍ですよ。母子家庭と、そして障害児を抱えているということで、これ、優先枠に入りますけれども、それでも二百十一倍の応募倍率です。本当にそういう、今、住まいが何とか欲しいという貧困層がたくさんいるわけですよ。
 厚生労働省だって、貯蓄や年金だけでは暮らせない、そういうひとり暮らしの高齢者がふえていると、つい最近も指摘しているじゃありませんか。本当にそういう人たちの住まいもしっかりと確保していく、私はそういうことが当然の東京都としての責務だし、またレガシーとして、きちんとそういった人たちも住めるようなまちにするのが本来のレガシーなんじゃないでしょうか。
 この選手村を造成する晴海の用地を確保するために、東京都は来年度、一般会計予算で臨海都市基盤会計から土地を買い上げようとしています。その土地の面積が十三・四ヘクタール、価格が百三十二億円です。
 そこでお尋ねをいたしますが、この土地の値段は、開発前の更地の状態を前提にして算出した数字ですか。それとも、開発後の状態を前提にして算出した数字なんでしょうか。開発後の状態を前提にしたとしたら、どこまで開発が進んだ状態を前提にして出した数字なのか伺います。

○安井東京都技監 今回お示しした予算案は、市街地再開発事業により整備される選手村の用地の所管がえに関する費用でございます。不動産鑑定士が実施した土地価格調査に基づき、必要額を計上しているところでございます。
 この調査では、大会後に整備する住宅棟も含めまして、計画されている建築物や道路などの基盤施設の整備を全て完了させることを前提に算出しております。

○畔上委員 開発計画が全部できたときの数字だということですね。つまり、二十二棟のマンションと二つの超高層、このタワーマンションができたことを想定して算定しているということです。
 しかし、今回の土地価格は、都心の中央区晴海の十三・四ヘクタールが百三十二億円、一平米当たり約十万円です。坪単価でいえば三十三万円ですから、えっと驚くような価格です。私は公示地価を調べてみましたけれども、平米単価十万円というと、二十三区にはもちろんなく、新宿から電車で一時間ぐらい行った山の麓とか、そういうところでした。
 選手村の所管がえに伴う予算の一平米当たり十万円は、どうしてこういう数字になったんでしょうか。ご説明ください。

○安井東京都技監 今回の土地価格調査では、国土交通省の不動産鑑定評価基準で示された評価手法と手順に基づき実施してございます。
 市街地再開発事業により整備される選手村の用地につきましては、晴海地区地区計画などで容積率や建築物の高さなどの土地利用が都市計画として定められてございまして、調査に当たってはこれを前提としてございます。
 その上で、選手村としての仕様に対応した建物を整備すること、その後、整備期間の途中に選手村としての一時使用がございますこと、大会後、分譲または賃貸により資金を回収するまでの間、長期間を要すること、こういった通常の住宅開発とは異なった条件があることを考慮し、評価されてございます。

○畔上委員 要は、通常なら地価算定の一番基礎となるのは、でき上がった建築費などの諸経費を差し引いた収益です。しかし、今回の場合は、五輪の選手村特有の事情を差し引く必要がありますと。
 それは、一旦選手村としてつくった後、建物を改修しなければならない、また、分譲や賃貸で費用を回収するのにそれなりの時間がかかりますよと、そういうわけですが、それだけの事情で本当にここまで低く、安くなるんでしょうか。
 私、今回選手村用地である晴海の近辺で、どのぐらいの値段で土地が売買されているのか調べてみました。皆さんに資料をお配りさせていただいています。パネルをごらんください。
 そうしますと、ちょうどこの選手村の反対側の土地がタワーマンション用の用地として売り出されています。選手村から一キロちょっとのところですけれども、半分は太平洋セメントが二〇一〇年に三井不動産レジデンシャルに売ったものです。ほぼ一万平米の土地を八十億、平米単価八十万円です。今回の八倍。
 それだけではありません。あと半分の土地を売ったのは東京都です。これは二〇一二年なのですが、八千八百平米の土地を約九十億三千五百万円で売っていますから、平米単価当たりは百三万円と、百万円超えで、選手村の十倍の値段です。
 それから、晴海とは少し離れた有明の北地域、この〔4〕の地域ですけれども、この十一ヘクタールの土地は東京都とURの土地でありましたけれども、住友不動産に四百十六億円で売り出しました。平米単価が四十万円近くです。
 このとき、当初、都はもっと高値で売り出そうとしたんですけれども、リーマンショックの後だったということで、買い手がつかないで三分の二に値段を引き下げて、住友不動産、大変お得なお買い物をしたと評判になったものです。それでも、選手村用地の四倍の単価です。
 つい最近、都みずからが晴海地区の土地を平米単価百万円で売っているのに、選手村になると、その十分の一以下の平米単価十万円と、都心からずっと離れた、そういう値段なわけです。
 しかも、この選手村の土地はそのまま使えるわけではありません。来年度だけで盛り土工事や下水道工事、水道設備など、インフラ整備に四十億円以上の税金が投入されることとなっております。それでようやく使える土地になって、百三十二億ということです。
 これ、幾ら、選手村特有の事情があるということをおっしゃいましたけれども、明らかに低過ぎるのではないでしょうか。いかがですか。

○安井東京都技監 いろいろ事例をお示しいただきましたが、それはごくごく一般的な土地取引の状況でございまして、それと比較することで地価を算定したのではないと先ほどご答弁したとおりでございます。
 もう一度申し上げますと、選手村としては、仕様に対応した建物を整備しなくてはいけないこと、また、整備期間の途中に選手村として一時使用、またパラリンピックもございます。大会後、分譲または賃貸により資金を回収するまでに長期間有すること、こういった通常の住宅開発と異なった条件があることで算定したわけでございます。

○畔上委員 私は安過ぎないかと伺ったわけなんです。私も、もちろんこの鑑定の委託仕様書を隅々まで読ませていただきました。そして、民間の力をかりることを別に否定しているわけじゃないんです。ただ、条件がついているというご説明がありましたけれども、それはわかりますけれども、それにしたって余りにも価格が低過ぎるんじゃないかということをいっているわけです。
 所管がえと敷地の譲渡が違うかのように今お話しされましたけど、ほかのとは違うんだというお話されましたけれども、やはりこれは誰が見ても低過ぎるんじゃないかというふうに思うわけです。
 しかも今回、これを敷地譲渡をするわけですけれども、それに対しては、鑑定のやり方は大体同じような鑑定のやり方になるわけですね。なぜなら、どちらも選手村やマンション開発が完了したことが前提として、同じ東京都がやるからです。それはそうです。同じやり方でこれから一年間の間に決めるわけですから、ディベロッパーに売り渡す、そういう都がつける予定価格も、選手村の用地に今回つけた価格と大きく変わらないということであります。
 そして、特定建築者の応募者を今後募るわけですけれども、そうするといっても、既に選手村については事業協力者という形で、代表会社である三井不動産レジデンシャルを初め、三菱地所、住友不動産、野村不動産、東京建物、東急不動産など、まさに日本の名立たるディベロッパーの十三社の連合ができているわけです。
 これに対抗する応募者が出てくるでしょうかね。事業協力者の募集のときには、やっぱりこれに対抗するグループは一つも出てこなかったわけですね。予定価格が決まった後に特定建築者を公募しても、やはり事業協力者募集のときのように、日本有数の大ディベロッパー連合に対抗できるような事業者があらわれなければ、結局、予定価格に張りついた価格になる。そういう可能性が極めて高くなるわけです。
 結局いろいろいっても、およそ通常では考えられないような安い価格で都民の貴重な、本当に貴重なこの都有地をディベロッパーに譲渡する。ディベロッパー優遇と、そういうふうにいわれても私は仕方がないということを指摘しておきたいと思います。
 障害者のスポーツ振興について伺います。
 知事は、パラリンピックの成功なくして東京大会の成功はなしとおっしゃいました。大事な視点だと思います。同時に、私はパラリンピックを契機にした障害者スポーツの振興なくしてレガシーなしというふうにいいたいと思います。
 文科省の調査では、週一回以上スポーツ・レクリエーションを行った障害者の方は一八・二%と、スポーツの機会が圧倒的に少ないのが現状なわけです。
 知事は、スポーツ施設、指導員など、障害者のスポーツ環境についてどのように認識されていらっしゃるでしょうか、伺います。

○舛添知事 スポーツを行うための環境整備は、障害のある人が地域で生き生きと暮らす共生社会の実現のために不可欠であると思っております。そのため、二〇二〇年の東京パラリンピックに向け、さらに取り組みを進めてまいりたいと思っております。
 このうちスポーツ施設など、場の確保につきましては、来年度は都立の特別支援学校を活用しますとともに、区市町村立スポーツ施設のバリアフリー化支援の拡充など、これまで以上に取り組みを強化します。
 それから、ご指摘の支える人材の方の育成ですけども、障害者スポーツ指導員の計画的な養成、さらに指導員のスキルアップ、地域ごとの連携強化など、着実に前に進めてまいります。
 それから、ことしの夏のリオ大会に向けまして、都はパラリンピック競技体験イベントの開催などによりまして、障害のある人にスポーツの魅力を知っていただいて、スポーツにチャレンジしてみようという人をふやしてまいります。
 いろんな競技をやってもらいましたが、本当にたくさん、雨の中でもお見えになりまして、ぜひそういう中から東京パラリンピックに出る選手が発掘できればと思っています。
 こうした障害者スポーツの振興に向けまして、来年度、都は二百億円の基金を創設いたします。これにより、裾野からトップアスリートまで、障害者スポーツ全体の底上げを図ってまいります。

○畔上委員 充実させていく上で大事な視点は、パラリンピアンの育成とともに、障害者の方々が身近な地域でスポーツができるようにする、とりわけアクセスや費用の問題でスポーツが身近になりにくい障害者も、子供のころから高齢期まで誰もが通える、そういう範囲のスポーツを享受できるような環境整備、先ほど知事もおっしゃったように、スポーツの裾野を広げる、そういう施策がやはり重要だというふうに思います。
 そうした点では、今年度から区市町村が実施する、障害者のスポーツ教室を実施している自治体に対して補助制度を設けたことは重要だというふうに思っています。ぜひ各自治体のスポーツ教室の開催状況なども把握し、促進のためのイニシアチブを発揮していただきたいと思います。
 障害者スポーツ振興の上で、一万二千人もの生徒が学ぶ特別支援学校での障害者スポーツのより一層の充実強化が求められているというふうに思っております。
 都教委は、モデル校の推進ということで来年度進めるというお話がありますけれども、私は、モデル校だけでなく、やはり特別支援学校の全ての子供たちの体育、スポーツ教育にしっかりと努めていただきたいというふうに思っております。
 特別支援学校は、現在、複数の障害種が併置される学校がふえていますが、体育館一つしかないとか、そのために廊下で体操せざるを得ないなども問題も起こっています。
 例えば、江東特別支援学校のプール。江東区の特別支援学校は、小学部から高等部までの生徒がいますが、来年度、小中学部は移転、独立して、今度は高等部のみになりますが、プールは十メーター、十五メーターと大変狭く、深さも八十二センチと本当に狭くて、クロールをしたら手が底についちゃうと、本当にそういう状況なんです。とても高校生が泳ぐ環境とはいえません。ぜひこうしたプールの改善なども含めて積極的に取り組んでいただきたい。
 そのことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)

○植木副委員長 畔上三和子委員の発言は終わりました。

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