予算特別委員会速記録第三号

○秋田副委員長 野上純子委員の発言を許します。
   〔秋田副委員長退席、上野副委員長着席〕

○野上委員 日本の抱えている課題の中に、少子高齢化、グローバル経済のおくれ、格差社会があります。
 東京がさらに発展していくためには、これからの時代を担う若者たちが、夢や希望を持って努力し、培った能力を生かして生き生きと活躍する社会づくりが大事です。
 現代はグローバル社会。インターネットはリアルタイムで世界中の人と人を結び、人々は国境を越えて移動いたします。
 その結果、経済や文化だけでなく、あらゆる人間の活動分野は、グローバル化を意識しなければなりません。
 私たちが目指す東京の姿は、世界から集まる多くの人たちと日本人の誇りを持つ若者たちがお互いを尊重しながら、ともに活躍し、切磋琢磨していく都市であるべきだと考えております。
 一方で、世界中の人たちと競い合うためには、語学力を初めとする高い能力が必要です。こうした力を備えた人材を育成していかなければ、日本人がグローバル社会で活躍することもできないばかりか、世界の中での日本、そして東京の地位を落としてしまいます。
 一つの例として金融を挙げると、東京はかつて、ニューヨーク、ロンドンと並ぶ金融の三大拠点の一つといわれておりましたが、シンガポールや香港の急進により、今はその地位を落としております。その要因はさまざま考えられると思いますが、やはりここでも、産業を支える人材の育成が不足していたのではないかなと思います。
 都は、東京を国際金融の拠点として復活させようと、国、民間とともに東京国際金融センター構想を進めていますが、人材育成に関する取り組みについてお伺いいたします。

○川澄政策企画局長 東京が世界の金融センターとなるためには、語学力や最先端の専門知識を備え、国内外の金融ビジネスの場で活用できる人材を集積させていくことが重要でございます。
 そのため、東京国際金融センター構想では、民間金融機関などの意見を踏まえ、ビジネス環境の整備等のほか、国際金融センターで活躍できる人材の育成を主要な課題と捉え、取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、英語教育の推進等のほか、首都大学東京ビジネススクールに修士プログラムを開設し、グローバルに活躍する高度金融専門人材の養成にも取り組んでおります。
 国や民間と連携してこうした取り組みを進めることで、世界のプロフェッショナルに伍していく人材を育て、東京国際金融センターを実現してまいります。

○野上委員 今、金融を例として伺いましたけれども、グローバル化の進展のもと、東京が世界の中で競っていくためにも、グローバル人材の育成の推進が重要であると思っております。
 日本が今後伸びていくかどうか、一つの鍵は人口増加です。国は、合計特殊出生率一・八を目指していますが、現実には厳しい状況です。私は、日本が衰退し滅亡する国にならないためには、人材育成しかない、教育しかないと確信をしております。
 これまで、教育分野において、いじめ、不登校、中途退学、ひきこもり、子供の貧困などを取り上げて、課題解決のための質疑を繰り返してきました。
 しかし、きょうはグローバル教育、グローバル人材について語りたいと思っております。
 急速にグローバル化が進展する社会にあって、我が国がプレゼンスをさらに高めるとともに、世界をリードしていく上では、グローバル人材の育成が必要です。
 そのためには、情報や考えなどを積極的に発信し、知事のように世界中の人々とコミュニケーションできる能力が必要です。知事は数カ国語を身につけていらっしゃいますが、語学を習得するのは並大抵の努力ではなかったかと思います。
 このような能力を身につけたグローバル人材を育成するに当たっては、外国語教育の果たす役割は極めて重要であると考えますが、知事の見解を伺います。

○舛添知事 今、野上委員おっしゃいましたように、次の時代を担う若者には、実際の生活の場、それから仕事の場で、外国人とも苦手意識を持たないで積極的にコミュニケーションできる語学力を身につけて、グローバルな社会をたくましく生きてほしいというふうに思っております。
 私の経験から申し上げますと、しゃべればいいというので、とにかく会話練習ばかりやる方が多いんですけれども、やっぱり基本的に、しゃべるのも大事なんですけど、読む、それから耳で聞く、それから書く。要するに、書いたものをしゃべればしゃべったことになるわけですから、やっぱりオールラウンドにきちっと基礎を固めることが重要で、特に学校での教育、これは英語の基礎的内容をしっかり授業で身につけることが基本であって、多少間違いがあっても、しゃべるときにちょっといい間違えても通じればいいので、そういうことも考えていただきたいと思っています。
 そこで、東京都におきましては、在京の外国人、それから専門性の高い外部人材を活用しますとともに、先ほど来、議論あります英語村を開設する、それからICT、これはもう、今すばらしい機器がありますから、これを効果的に活用して、英語を使う場面や体験をふやしていきたいというふうに思っております。
 こうした取り組みによりまして、小学校から高校までのそれぞれの段階で英語教育を実施して、使える英語力を身につけた、そういう国際都市東京を支える人材をしっかりと育てていきたいと考えております。

○野上委員 社会のグローバル化に伴って大学も大きく変わろうとしております。高大連携もその一つです。
 例えば、大学入試では英語でコミュニケーションできるために必要な、読む、書く、聞く、話すの四つの技能をはかるテストが、平成三十二年度から導入することが検討されております。スピーキングの実力をはかるのは時間やコストがかかり、入試には難しいので取り入れられなかった経緯があります。しかし、いよいよ変わります。
 このような社会状況の変化を踏まえ、高校においても英語でコミュニケーションできる力を育成するべきであると考えますが、都教育委員会の所見を伺います。

○中井教育長 英語でコミュニケーションできる力を育成していくためには、読む、書くの力に加え、聞く、話す力をさらに伸ばす取り組みが重要でございます。
 このため、都教育委員会は、これまでJET青年を全都立高校に配置するとともに、ALTの時数拡大により、生徒が外国人と英語を使ってコミュニケーションする機会をふやしてまいりました。
 今後は、これらの取り組みに加え、英語教育を推進する都立高校を四十校指定し、生徒がオンラインにより外国人と会話したり、総合的な英語力を測定する外部検定試験の受験を促進するなどの支援を行ってまいります。
 こうした取り組みにより、生徒のコミュニケーション能力の一層の向上を図ってまいります。

○野上委員 そうした能力を身につけた生徒が、大学でさらに研さんをしていくことが重要です。
 また、大学も国内にとどまるのではなく、海外の大学で学ぶことができるように、都教育委員会は、平成二十七年四月に、都立国際高校に公立高校で初の国際バカロレアコースを設置いたしました。このことは高く評価したいと思っております。
 国もつくったんですけど、国の方は、一部の教科は日本語で行う日本版の国際バカロレアを導入したわけです。都立国際高校の国際バカロレアコースは、ほとんどの授業を英語で行う国際バカロレア機構の原則どおりの方式にのっとるものでありまして、いわゆる即戦力として海外に飛び出していく人材を育成する観点から、とてもすばらしい取り組みだと思っております。
 しかし、特に英語以外の教科について、例えば数学や物理、化学などの授業を英語で行うことは今までにない取り組みでありまして、この国際バカロレアコースを円滑に実施していくためには、生きた英語を学べる、一人はネーティブの講師を活用するということと、教科指導力と十分な英語運用能力を兼ね備える教員の確保が重要と考えます。
 今回もそういった教師を集めるのに相当尽力されたと聞いておりますが、都立高校の教員の中には、海外の大学に留学した経験がある人も在職しております。公募などをうまく活用しながら、人材を適切に異動、配置していくことで、これからも安定的な運営を進めていくようにお願いをいたします。
 都立国際高校の国際バカロレアコースの第一期生は、本年四月の第二学年進級とともに、いよいよ国際バカロレアのディプロマプログラムによる授業を開始することになります。
 これらの生徒たちは、まさにグローバル社会での活躍が期待されますが、今度、都教委がこういった生徒たちをどういうふうに育てていくのか、改めて都教育委員会の所見をお伺いいたします。

○中井教育長 都教育委員会は、都立国際高校に昨年設置した国際バカロレアコースにおいて、世界的に評価された内容と手法による教育を主として英語で行い、多くの海外大学への進学資格の取得を可能とするディプロマプログラムを導入いたしました。
 本年四月からは、第二学年の生徒に対し、探究型、双方向型、批評型を特色とするこのプログラムによる学習を開始し、卒業までの二年間で力をつけさせ、海外の大学でさらに学ぶことで、国際社会のさまざまな場面で自信を持って外国人とも対等に渡り合い、リーダーとして活躍し得る人材の輩出を目指してまいります。

○野上委員 国際バカロレア認定校が二千九百九十二校、世界中にあるわけです。海外の大学受験合格率も高くなると予測されます。
 二〇一〇年にノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏は、日本の若者が海外留学する勇気を失えば、日本の研究水準が下降するばかりか、技術主導の日本製造業にとっても大きなリスクになるというふうに述べております。
 都教委の目指すグローバル人材育成の取り組みの中にしっかりと位置づけられ、この国際バカロレアの取り組みは、引き続き応援していきたいと思っております。
 グローバル社会で必要とされる、使える英語力を子供たちに育成するためには、高等学校における取り組みだけではなく、発達段階の早い時期から英語教育を推進することが重要です。
 韓国では一九九七年に小学校に英語教育を取り入れました。中国では二〇〇一年に開始、三年生から週二回英語教育を行っております。
 日本は中国からおくれること十年、二〇一一年に小学校五、六年生で週一回の外国語活動がスタートしました。これは英語になれ親しむことを目標にしております。
 しかし、日本はアジアの国の中で下から二番目という英語力の実態があります。そこで、世界に伍していくには、英語教育を本格的にしなければならないということで、いよいよ二〇二〇年に小学校に教科としての英語が導入されます。
 小学校三、四年生は週一回の外国語活動、小学校五、六年生は週二回の教科としての英語となります。あと残すところ四年しかありません。諸準備をしっかりしなければなりません。課題があります。
 一つの課題は、小学校教諭の免許は取得していても、教科英語としての免許を持っていない先生が多いということです。免許を持っていないと教えることはできません。
 また、英語の免許を持っていても、しばらく英語から遠ざかっていると、英語の発音等に不安を抱えている教員が少なからずいるということです。小学校教員の英語の能力や指導力を高めるための研修が必要となります。
 今後、小学校の英語教育を充実させていくべきだと考えますが、これらのことを踏まえた、都教育委員会による小学校教員の指導力向上の取り組みについてお伺いいたします。

○中井教育長 委員ご指摘のとおり、今後の小学校における英語の教科化に対応するためには、教員の英語教育に対するさらなる指導力の向上が不可欠でございます。
 そのため、都教育委員会は、平成二十八年度に小学校教員の英検の資格取得等を目的とした英語力向上研修を拡充するとともに、二十六の地域に四十人の教員を英語教育推進リーダーとして配置してまいります。
 また、英語教育推進リーダーには、三カ月程度の海外研修を行うとともに、日常的に実施できるオンラインによる英会話研修を行い、指導力と英語力を身につけさせてまいります。
 こうした取り組みを通して育成した英語教育推進リーダーを各地域における小学校の英語教育の核として位置づけ、模範授業の公開や巡回による指導を通じて、小学校教員全体の指導力の向上を図ってまいります。

○野上委員 小学校英語教育の充実には、その牽引役である英語教育推進リーダーを設置するということですね。英語教育推進リーダーの英語力を向上させるためには、今の答弁にありましたように、オンライン英会話研修を積極的に活用すべきと考えます。
 そこで、オンライン研修の具体的な内容についてお聞きいたします。

○中井教育長 平成二十八年度から新たに導入するオンライン英会話研修は、教員がインターネット上で外国人講師と直接英語で会話することにより、個々の能力に応じて英語力を高める研修プログラムでございます。
 この研修プログラムにおいて、英語教育推進リーダーは、外国人講師との会話などのやりとりを年間を通して継続し、聞く、話すの英語力やコミュニケーション能力を向上させてまいります。
 都教育委員会は、こうした研修を通じて、英語を用いて自信を持って子供を指導したり、ALTと円滑に意思疎通を図り、子供が生き生きと学習する授業を展開できる英語教育推進リーダーを育成してまいります。

○野上委員 それでは、もう一つの課題である免許状の取得です。都教育委員会は、小学校の教員に対する英語の免許状取得支援を始める必要があります。
 免許状を取得することは、英語の指導経験がない小学校教員にとって、英語の指導力を身につけるための有効な手段でもあります。
 そこで、英語の免許状取得支援の具体的な内容についてお伺いいたします。

○中井教育長 都教育委員会は、都内公立小学校で実践的な英語を指導できる教員を育成するため、平成二十八年度に新たに英語の教員免許状の取得を支援する取り組みを実施いたします。
 具体的には、小学校の教員が大学の通信教育で必要な単位を取り、中学校の英語の免許状を取得した場合に、大学での履修費用の全額を都教育委員会が補助いたします。
 補助対象の教員は百二十名を予定しており、免許状を取得した後、各小学校において校内研修の講師を行うなど、英語指導の中心的役割を担ってまいります。

○野上委員 今のご答弁のように、教員の研修や免許状の取得のための都としての財政的な支援があるということですね。
 英語が教科化になると、聞く、話すの世界から、小学校でも読む、書くが導入されます。今まで中学校で習っていた内容も、小学校に多分おりてくると思います。小学生が初めて英語の学習に取り組みます。大きな改革になります。英語好きの子供たちを育てて中学校に送り出してほしいとの現場の声もあります。
 子供たちが使える英語を身につけるためには、学校における環境整備とあわせて、体験などを通して実際に英語を活用できる環境が大切です。
 私の地元葛飾区では、国際社会で活躍できる人材の育成を目的として、平成二十七年度から、かつしかグローバル人材育成事業として、区内の小学校、中学生を対象とする体験型の英語教育を開始しております。
 具体的には、小学校六年生を対象に移動教室で日光江戸村に行きます。そこにALTが何人か待ち構えております。子供たちが英語で積極的にALTに話す活動を実践すると。また、中学校一、二年生を対象に一泊二日のイングリッシュキャンプも実施したりしております。
 東京都が英語村を開設するに当たっては、各学校や区市町村教育委員会とともに連携して、都内の子供たちの多くが学校行事として英語村を利用できるような取り組みを進めることが重要であると考えますが、東京都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○中井教育長 委員ご指摘のとおり、英語村は各学校などとの連携が大変重要でございます。
 このため、都教育委員会は、都内の学校の多くの児童生徒が、英語村のプログラムに参加できるよう、学校行事における参加を最優先する実施方針を策定いたしました。
 具体的には、小学校、中学校、高等学校のそれぞれの校種に対して、英語村において学校の英語教育を踏まえた活動プログラムが提供されるようにするとともに、英語村での体験が一人一人の児童生徒にとって大きな効果をもたらすよう、事前、事後の学習など、学校教育と連携する仕組みを構築してまいります。
 こうした英語村の事業により、国際都市東京を支えるグローバル人材の育成を全力で推進してまいります。

○野上委員 学校における英語の学習だけではなく、学んだ英語を使う場を設けるなどして、小、中、高、大と一貫した英語教育の充実強化により、東京都から世界で活躍するグローバル人材が輩出されることを期待し、次の質問に移ります。
 次に、多文化共生社会の推進についてお伺いいたします。
 先日、我が党の教育政策推進プロジェクトチームで、荒川区にある、外国人の子供たちに日本語や学習を教え、日本の学校に送り出しているNPOを視察いたしました。
 そのNPOは、限られた財源で、できる限り多くの子供たちを助けるため、退職された教師を中心に、基本的にはボランティアで大変な努力をしていました。しかし、こうした団体の存在を知らないで支援を受けられない外国人も多いのも事実です。
 特に、外国人の子供が教育を受けられない場合、いずれは生活保護の対象になったり、極端な例では、犯罪に手を染めることもあります。最悪の状況を未然に防ぎ、東京で活躍できるようにするには、団体が行っている支援の情報が外国人に届くことが大事です。
 先日公表された多文化共生推進指針では、ポータルサイトにおいて一元的に情報を提供していくとされております。このような取り組みは必要ですが、情報を並べるだけでは必要とした情報が得にくく、やがてはアクセスしなくなるケースも出てきます。
 都は、これからポータルサイトを構築していく際、都内に住んでいる外国人に生活する上で必要な情報を提供し、また、簡単に取得できるようにするべきと考えます。見解を伺います。

○多羅尾生活文化局長 これまで、在住外国人が必要とする、教育、医療、防災等の生活情報や、相談、交流事業の情報などは、行政に加えて外国人支援団体などがそれぞれに提供してまいりました。
 都は、在住外国人がこれらの情報を取得しやすくするため、新たに東京都国際交流委員会のホームページにポータルサイトを作成し、情報を一元的に提供してまいります。
 このサイトでは、生活情報はもとより、観光や芸術文化など、生活をより豊かにするための情報もあわせて提供いたします。
 さらに、例えば都内に二百以上ある日本語教室の情報について、語学レベルや教室の所在する地域別などでの検索を可能とするなど、外国人が必要とする情報を容易に取得できるシステムも新たに構築してまいります。

○野上委員 ポータルサイトは立ち上げた後も、今のご答弁のように、工夫を重ね、より使いやすくなるようにしていただきたいと思います。
 最初の質疑にあったように、都は、グローバル都市として持続的な発展を目指し、東京都国際金融センター構想の実現や、国家戦略特区を活用し外資系企業の誘致等を進めています。こうした企業に勤める外国人や、その家族も、仕事の都合で突然東京に住むことになる場合も多いと考えられます。
 指針では、東京への企業進出や、そこに勤める人たちの生活をサポートするため冊子を作成するとしておりますが、この冊子には、東京ならではの魅力を掲載し、多くの人に活用されるようにしていくべきと思いますが、見解を伺います。

○多羅尾生活文化局長 東京に進出する外資系企業のビジネスパーソンや、その家族など、初めて東京で生活する人たちからは、東京の暮らし方がわかりにくく不安があるとの指摘が多いという状況でございます。
 そこで、このような人を対象とした、生活ルールや行政サービスなど、東京で暮らすために有用な情報を盛り込んだ東京スターターズガイドを新たに作成いたします。
 この中では、東京の魅力である、治安のよさ、発達した交通網などの安全で便利な生活環境や、伝統文化、自然などの観光情報についてもあわせて掲載いたします。
 今後、ビジネスコンシェルジュ東京等と連携し、東京進出を考えている企業等に広く配布し、多くの外国人に活用されるようにしてまいります。

○野上委員 ポータルサイトと東京スターターズガイド、これが多文化共生社会構築の今後のかなめになると思いますので、しっかりと実現していただきたいと思います。
 また、多文化共生社会を実現していくためには、東京都だけでなく、実際に現場で努力している区市町村や国際交流協会、NPOなどの支援団体との連携も不可欠です。
 このオール東京の体制を構築するためには、都と区市町村、都と支援団体という連携だけではなく、都を中心とした各団体間の連携も強化していく必要があります。
 このような連携を強化するために、実際に支援を行っている現場の実態を踏まえて展開していくべきと考えますが、見解を伺います。

○多羅尾生活文化局長 外国人支援団体は、活動分野ごとに独自の経験やノウハウを生かした支援を行っておりますが、団体間の情報共有が十分でなかった面がございます。
 一方、在住外国人は日常生活をしていく上で、日本語学習、生活相談、地域交流など、多様なニーズを持っていることから、複数の団体に支援を求めざるを得ないという現場の実態がございます。
 そこで、都と東京都国際交流委員会が主導し、情報共有化等を図るための行政と支援団体から成る連携会議を新たに設置し、外国人のニーズに合わせた支援が、支援団体間の横の協力も強化して効果的に行われるよう取り組みを進めてまいります。

○野上委員 区市町村や国際交流協会、NPOなどが現場で努力していることを、東京都が広域自治体としてしっかり支援していただきたいことを要望して、次に移ります。
 次は、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化について質問いたします。
 私は、京成高砂駅踏切対策の必要性について、過去六回にわたり質問してきました。きょうで七回目です。この京成電鉄京成本線は、千葉から東京都心へ直結する通勤通学の路線であるだけではなく、羽田空港と成田空港を結ぶ空港アクセス路線でもあります。
 平成二十二年に京成金町線は高架化したんですけれども、成田新高速鉄道が開業したこともあり、踏切は朝夕のラッシュ時にほとんど閉まっております。五十五分ぐらい閉まっております。
 私の地元葛飾区の隣接の江戸川区では、鉄道立体化を見据えたまちづくりの検討に取り組むなど、鉄道の立体化が早急に実現することを強く望んでおります。
 そこで、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○佐野建設局長 京成本線京成高砂駅から江戸川駅間は、都市計画道路と三カ所で交差し、二カ所があかずの踏切であるなど、鉄道立体化による踏切解消が必要な区間であると認識しております。
 都は、平成二十年に事業候補区間に位置づけ、事業範囲や構造形式などの検討を進めてまいりました。
 本区間の鉄道立体化には、京成高砂駅付近にある車両基地の取り扱いが課題となっており、現在、車両基地を移転し、機能を確保する案を検討しております。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、本区間の鉄道立体化の課題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

○野上委員 この車両基地については、もう長年、地元区と鉄道会社で移転のための調整をしてきたようですが、一向になかなか方向性が見えてまいりません。地元区にも一層の奮起を期待するとともに、都も積極的に関与し、この課題を解決していただきたいことを要望しておきます。
 次に、中川の耐震対策について質問いたします。
 やはり地元なんですけど、私の地元である葛飾区の大半は、地盤の高さが東京湾の海面よりも低いゼロメートル地帯となっておりまして、津波や高潮などによる水害が心配される地域であります。
 葛飾区から江戸川区へと流れる中川では、現在、東日本大震災後に策定された整備計画に基づき着々と耐震工事が進められております。さらに、この耐震工事にあわせて護岸前面にテラスが整備され、川沿いを人々が散策できるようになりました。以前、予特で、中川七曲がりといわれている質疑をさせていただいた部分でございます。
 眺望のよい場所にはビュースポットも設置され、地元でも大変に喜ばれております。地元を代表して、改めてこれまでの都の取り組みに感謝を申し上げます。
 このような耐震対策に加えて、万が一という場合に備え、低地帯に高台の避難地を確保することも必要であります。
 昨年十二月、葛飾区では国土交通省と連携し、リニア等の大規模事業の建設残土を利用して、避難場所である新小岩公園を六メートル高台化する計画を公表しました。(パネルを示す)これです、ここの公園、六メートル高台。これは土地も、全部国土交通省が運んでくれるので、東京都も葛飾区もお金を出すこともない、こういう新小岩公園、六メートルの高台化でございます。
 この公園に隣接する中川左岸堤はこちらです。これは都が管理しておりますが(「見えない」と呼ぶ者あり)あ、見えない。並行して流れる荒川の左岸堤、こちらも兼ねておりまして、国のスーパー堤防の整備対象区域となっております。
 都は、新小岩公園付近において、以前より緩傾斜型堤防の整備を予定しているところであります。ちょっと知事、見ていただくとわかるんですけれども、こちらが中川緩傾斜型堤防断面、こちらが新小岩高台断面、ここ、ちょっと分かれていますよね。これはどう考えても、当然ここを埋めるべきだと思いませんか。埋めるべきですよね。埋めるべきだと思うんです。
 もしここを一体化して埋めますと、普通の、平時には、都民が憩いの場として、ここを一体として使えると。いざとなった災害時には、多くの方たちがこちらに避難してくるわけでございます。避難広場になるわけです。
 そういうふうに活用できるわけでございますので、中川の耐震対策、平成二十八年度の予定と、新小岩公園付近の堤防整備について、今後の考え方を、前向きな答弁をお願いいたします。

○佐野建設局長 東部低地帯において、地震による水害から都民の生命と財産を守るためには、河川施設の耐震対策が極めて重要でございます。
 平成二十八年度の中川の耐震対策については、本奥戸橋上下流左岸など五区間で約〇・七キロメートルの堤防補強を実施いたします。また、地震時の津波等が中川上流へ遡上するのを防ぐ役割を持つ上平井水門についても、大型門扉の取りかえに着手いたします。
 新小岩公園付近の緩傾斜型堤防につきましては、ご指摘の趣旨を踏まえ、今後、隣接する新小岩公園高台化の事業主体である国や区と連携、調整を図りながら盛り土形状等を検討してまいります。
 引き続き、地震、津波に対する都民の安全・安心の確保に向け、必要な対策を着実に進めてまいります。

○野上委員 葛飾区の隣にあります江戸川区も、大半が海面より低いゼロメートル地帯です。
 東京都は、平成二十四年に策定した整備計画において高台化を図っていく方針を示しています。高台化が実現すれば、大震災時はもとより大規模水害が発生した際にも、都民が安心して避難することができるようになります。いつ起こるかわからない災害に備えるために、我が党の上野和彦副委員長が、平成二十五年三定の一般質問を初めとし、たびたび指摘しているとおり、早期に高台化を図る必要があります。
 二月下旬には、篠崎公園に接して計画されている上篠崎一丁目北部土地区画整理事業が認可されました。これにより、篠崎公園地区の高規格堤防整備事業、いわゆるスーパー堤防事業と、篠崎公園の高台化が大きく前進していくことが期待されます。
 そこで、葛飾区立新小岩公園と同様に、大規模事業の建設残土を高台化に役立てる国の防災高台整備事業の活用などにより、篠崎公園全体の高台化を早急に進めていく必要があると考えますが、今後の取り組みについて、都の見解をお伺いいたします。

○佐野建設局長 篠崎公園は、東京都地域防災計画におきまして、避難場所や大規模救出救助活動拠点等に指定されている防災上重要な公園でございます。
 平成二十四年に策定した篠崎公園の整備計画では、水害時の避難動線を確保するため、広場を高台化することとしております。そのため、現在、江戸川の高規格堤防整備事業とあわせて行う公園の高台化について、国や地元区と協議を進めております。
 平成二十八年度は、高台化の施工方法を検証するため、柴又街道沿いの未開園地で試験的な盛り土を行います。また、事業化に当たりましては、建設発生土を利用する国の防災高台整備事業の活用も検討してまいります。
 今後とも、篠崎公園の防災機能の強化に向け、高台化に積極的に取り組んでまいります。

○野上委員 葛飾、江戸川の水害対策として、よろしくお願いをいたします。
 続いて、燃えないまちづくりについてお伺いいたします。
 来年度は、燃えないまちづくりに必要な事業費として、約七十六億円が当初計画に計上されております。
 葛飾区には、立石、四つ木、堀切地域という木造住宅密集地域、いわゆる木密地域があります。戦災を免れ、基盤整備が十分でないまま形成された住宅と工場等が混在する市街地です。
 老朽木造建築物が密集しているのはもちろんのこと、公園が少なく、道路はいざというときに緊急車両がとても入っていけないような状況です。
 この地域は、私も車で行き、狭くて前にも後ろにも進めなくなり、抜け出せなくなり、困ったことがありました。
 本地域には、四つ木、東四つ木、東立石、堀切地区の四地区が不燃化特区に指定されており、今回改定する防災都市づくり推進計画において、重点整備地域に位置づけられております。今後とも、着実に本地域の不燃化を進めていくことが必要であると考えますが、所見を伺います。

○安井東京都技監 葛飾区は、木密地域の事業を非常に頑張っていただいておりまして、お話の四地区の不燃化特区では、十七の路線の生活道路や公園の整備などを重点的に進めてございます。
 各地区では、特区による特別な支援メニューも活用しながら、都市再生機構などに用地折衝を委託するなど、執行体制を強化いたしまして、事業のスピードアップを図っているところでございます。
 これまでに、二キロ以上にわたり、狭隘道路が幅員六メートルに拡幅されるとともに、四つ木つばさ公園、東四つ木公園なども整備されてございます。
 また、堀切地区につきましては、区が来年度から防災街区整備地区計画を導入いたしまして、防災上必要な道路や公園の整備を本格化すると聞いてございます。
 都は、この取り組みに対しまして、他地区と同様に、来年度から事業用地の測量や取得に要する費用を財政的に支援するなど、不燃化特区の指定をてこにいたしまして、掘切地区の住環境の改善につきましても、強力に後押ししてまいります。

○上野副委員長 野上純子委員の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

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