予算特別委員会速記録第二号

   午後一時開議

○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領などに従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。
 この際、委員の皆様に申し上げます。
 質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行われるようご協力をお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、委員の質疑時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 田中たけし理事の発言を許します。

○田中(た)委員 ただいまより東京都議会自由民主党を代表し、総括質疑を行います。
 これから行う質疑は、いうまでもなく知事から提案された平成二十八年度予算案に関してであり、議会での質疑後、議決を経て予算執行されます。これは、知事に予算編成権、提案権、予算執行権が与えられ、議会に議決権が与えられているからであり、これら権限のよりどころは、知事と議会を構成する議員がともに直接都民から選挙で選ばれていることにあります。ともに都民に対する責任を負っている立場にあり、二元代表制の根拠であります。
 議会として都民に対する責任を果たすため、時には知事に対し厳しい指摘をすることもありますが、これは都民から負託を受けた者としての責務であり、都民福祉の向上に向けた決意、責任感のあらわれからであります。
 ぜひ、知事には我々の指摘をしっかりと受けとめていただきたいと思います。これから全力で質疑を行いますので、よろしくお願いいたします。
 舛添都政は、平成二十六年二月にスタートしたため、知事自身が予算編成から携わったのは平成二十七年度予算が初めてであります。そして、独自色を出した二十七年度予算の執行を受けての、この二十八年度予算案であります。
 長期ビジョンの一年目となる平成二十七年は、将来の東京を見据え、多くの新たな施策に着手してきましたが、その流れを停滞させることなく、オリンピック・パラリンピックの成功はもちろんのこと、世界で一番の都市東京の実現のため邁進しなくてはなりません。その意味からも二十八年度予算は大変重要であります。
 そこでまず、二十八年度予算について、知事はどういう考えで編成に当たったのか、二十七年度の取り組みも振り返りつつお伺いいたします。

○舛添知事 私は、一昨年の知事就任以来、この二年間、現場の声を聞き、都議会の皆様と議論を交わしながら、世界一の都市東京の実現に向け、全力で取り組んでまいりました。
 こうした中で、今後の都政の羅針盤となります長期ビジョンを策定いたしまして、今、田中理事おっしゃったように、二十七年度は私が一から手がけた初の予算を糧にしまして、二〇二〇年とその先の明るい未来に向かって、さまざまな分野において政策のいわば芽を育んできた一年でございました。
 ことしは、リオデジャネイロでオリンピック・パラリンピック競技大会が開催されまして、それが終わりますれば、東京は世界中のさらなる注目を集めることとなります。こういうときだからこそ、東京を世界に、そして未来に向かって大きく飛躍させるために、確固たる基盤を築くべきだと考えております。
 こうした観点から、二十八年度予算は、ようやく芽吹き始めました政策の芽をさらに大きく伸ばしていきまして、都民生活の質の向上とともに、東京、ひいては日本全体の将来への投資という視点を強く意識しながら、積極果敢な予算を編成した次第でございます。

○田中(た)委員 知事は予算原案発表時に、これまで二年間いろいろと仕事をしてきた、後半の二年間でこういう政策が実るように、しっかりと今回の予算でその道をつけたと述べられました。まさに政策の種を大きく育て、都政を成長させる予算でなくてはなりません。
 特に、答弁のとおり、二十八年度予算で重視した投資については、東京のみならず日本の将来を形づくる取り組みであり、重要な視点であります。
 そこで、二十八年度の予算編成において、東京と日本全体の将来への投資という点にどのような考え方で力点を置いたのか、知事にお伺いをいたします。

○舛添知事 私は、二〇二〇年という年を、その後の東京の加速度的な発展を引き起こす大変革点としまして、東京から日本の再生を確かなものとしていきたいと考えております。
 そのためには、従来の概念にあるようなハードの投資だけではなくて、ゆとりある成熟社会を実現させるための教育や環境、成長戦略など、ソフト事業も含めた幅広い意味での投資を今こそ行うべきだと考えております。
 こうした考えのもと、二十八年度予算では、将来にわたり東京で安心して住み暮らせるように、都市の高度防災化などはもとより、世界で活躍できる人材の育成など、東京発展の礎をつくり上げるための投資にも重点的に財源を投入しております。
 さらには、観光の一大産業化を初め、新たな富を生み出し、日本経済全体の成長を支える取り組みや豊かな環境を次の世代に引き継ぐ取り組みなども強化しております。
 この予算を原動力に、あらゆる分野で将来に向けた取り組みを強力に推し進め、東京と日本全体の発展に全力を尽くしてまいります。

○田中(た)委員 将来への確かな投資がなければ、この先の成長はないと私も認識をしております。東京も人口減少が見込まれる中、今後あるべき姿を描き、その実現のため、時期を逸することなく、大胆に実行しなくてはなりません。
 こうした投資の核になるものは長期ビジョンに掲げる事業であり、二十八年度予算で長期ビジョンの事業を一〇〇%予算化し、一兆二千五百四十八億円を計上しています。また、その総事業規模は二兆五千億円になるとも示しています。こうした予算の説明の仕方は、私自身、これまで見たことがありません。
 そこで、今回の長期ビジョンの事業が東京と日本全体の成長にどうつながるのか、二兆五千億円という総事業規模を示した意味も含め、具体的にお伺いをいたします。

○長谷川財務局長 長期ビジョンに掲げる事業は、他の自治体や民間企業などと連携して実施することによりまして、その総事業規模は二兆五千億円と、都が投入する予算の約二倍にも及んでおります。
 このように、都の施策が引き金となることで、他の自治体や民間企業の事業展開につながり、新たな需要や雇用が創出され、日本経済の好循環にも寄与いたします。
 さらに、例えば、外国人旅行者のさらなる増加に向けた受け入れ環境の整備や中小企業の成長産業への参入支援などは、東京と日本に新たな富をもたらすこととなり、また、骨格幹線道路の整備や東京港の機能強化は、東京と日本の国際競争力の強化につながるなど、長期ビジョンの実現は、東京のみならず日本全体の成長にもつながるものと考えております。

○田中(た)委員 今回の予算は、都内の区市町村はもちろん、他の自治体、民間、さらには国との連携を十分意識したものであり、特に国の成長戦略とも方向性が一致するもので、GDP六百兆円の実現を目指す国の取り組みにも寄与するものと認識をしております。
 今後も東京、そして日本全体の発展に向け、関係機関との連携を密にし、積極果敢に取り組んでいくべきと考えます。
 今後の都政は、東京大会の準備だけでなく、やるべき課題は山積しております。東京大会を成功させ、その後もさらなる発展をし続けるためにも、人材や財源を集中的に投入し、その取り組みを加速させていくことが重要であります。
 その意味では、知事が二十七年度にさまざまな基金を創設し、さらに二十八年度予算で我が党の要望を受け、新たに障害者スポーツ振興基金を設置することは、率直に評価したいと思っております。
 そこで、都の施策を加速させるため、今回の予算において、基金を戦略的にどう活用していくのか、その意図も含め具体的にお伺いをいたします。

○長谷川財務局長 二〇二〇年大会を成功に導き、その先に確かなレガシーを残すためには、限られた期間で積極的に施策を推進する必要があり、そのためには、こうした取り組みを財源の面から支える集中的、重点的な取り組みを図る基金について、新たな積み立てや適切な取り崩しといった戦略的に活用を進めることが不可欠でございます。
 具体的には、二十八年度予算におきまして、障害者スポーツ振興基金を創設し、二百億円の積み立てを行うほか、二十七年度の最終補正予算におきましては、都税の増収や不用額の精査などによる財源を活用いたしまして、喫緊の課題でございます高度防災都市づくりを集中的に行うために、防災街づくり基金に二千億円の積み増しを行っております。
 一方で、耐震化や豪雨対策等で五百二十三億円、無電柱化や暑熱対策等で百五億円など、基金を積極的に取り崩し、財源に充てることで、各局が連携して今行うべき施策の重点的な予算化を図っております。

○田中(た)委員 増収局面においても、税収をやみくもに使い切ることなく、将来への備えを講じ、なすべきときにその財源を活用し、積極果敢に政策を展開する、まさにこれこそが責任ある財政運営であります。
 また、基金を有効活用することで、各局が十分に連携し、政策目標の実現に向け施策を推進することも重要な視点であります。
 今後も、知事のリーダーシップのもと、都庁一丸となって諸課題の解決に邁進することを期待いたします。
 次いで、マイナス金利に関する質問を行います。
 日本銀行は、平成二十五年四月に異次元緩和といわれる大規模な金融緩和政策を、二十六年十月には追加の緩和政策を行い、これを受けて市場金利は歴史的な低水準で推移しております。
 さらに、日銀はことし一月に、二%の物価安定の目標をなるべく早期に実現するため、これまでの量的、質的緩和に加え、マイナス金利の導入を発表し、二月から実施しています。
 この政策発表以降、市場金利は日銀の狙いどおり一段と下がり、大手銀行では定期預金金利も期間や金額にかかわらず大きく引き下げられました。
 また、債券市場では、短期、中期国債はもとより、十年国債の利回りが二月九日には一時、史上初めてマイナス金利を記録しました。
 マイナス金利政策は、物価安定目標の実現に向け、投資や消費の拡大を目指すものでありますが、現時点で資産運用に関しては難しい状況となっております。
 そこで、日銀が導入したマイナス金利が、基金など都の公金管理に与える影響についてお伺いいたします。

○塚本会計管理局長 今回のマイナス金利政策により、預金や国債などの市場金利は過去最低水準まで大幅に低下しており、現在、金融機関等から情報の収集をしているところでございます。
 都の公金管理運用は、元本の安全性の確保を最重要視し、預金と債券などで行っておりますが、現在、都が行う日々の預金入札では、金融機関の提示金利が大幅に低下し、入札の辞退率も増加しております。
 また、債券についても、理事ご指摘のとおり、十年国債の金利までマイナスになるなど、運用が困難な状況であり、今後の運用利回りについては、市場金利低下の影響を大きく受けざるを得ないものとなっております。

○田中(た)委員 公金管理については、預金入札や運用収入への影響を受けざるを得ないとのことであります。
 日銀は、マイナス金利の導入に当たり、物価安定の目標達成のため、今後必要な場合はさらに金利を引き下げるとの考えを示しています。
 そこで、引き続き不透明な金融情勢が見込まれる中、都はどのように公金管理に取り組むのかお伺いいたします。

○塚本会計管理局長 平成二十五年に日銀が量的、質的金融緩和政策を導入して以降、継続的な低金利状態など経済、金融環境は大きく変化し、さらに現在、金融情勢は極めて不透明な状況となっております。
 今後もその時々の情勢を見きわめながら、運用先の分散や金融機関の経営状況の注視などによりリスク管理に努め、引き続き公金管理の原則でございます安全性、流動性の確保に万全を期してまいります。

○田中(た)委員 今までに経験したことのない金融環境でありますが、引き続き金融情勢を見据えて、都民の貴重な財産である公金の管理に努めていただきたいと思います。
 一方、資金調達の面である都債発行の観点からは、先日の一般質問におきまして我が党の神野議員が明らかにしたように、この低金利の市場環境において、都債は有利な条件で順調に発行できており、利払いの面で将来負担を抑制できるメリットがあるということであります。
 都債発行に関しては、この低金利の市場環境を十分に生かした、安定的かつ有利な資金調達となるよう求めておきます。
 また、日銀の金融政策が中小企業に与える影響についても注視する必要があると認識をしております。
 今回のマイナス金利により金融機関の収入が圧迫され、財政基盤の強くない地銀や信金、信組への影響が大きいと指摘する声もあり、中小企業への貸し出しに影響が出ないよう注視する必要があります。
 中国経済の変調、原油価格の下落など、世界経済の先行きも不透明になっており、景気回復、経済の好循環に向けた歩みをとめてはならず、こうした状況だからこそ、都は中小企業への金融支援をしっかりと行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 来年度の制度融資は、融資目標額を一兆七千五百億円に据えまして、中小企業の経営の下支えに加え、積極的な事業展開を後押しする観点から、充実した融資メニューを提供いたします。資金調達コストがかからないというメリットがある預託金を二千七百四十七億円計上いたしまして、地域の金融機関を中心に必要な預託を行ってまいります。
 また、小規模事業者を中心に利用者への負担軽減を図るため、信用保証料の補助を行います。
 これに加え、制度融資を補完する、地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度の融資限度額を一千万円から二千五百万円に大幅に引き上げるほか、都独自のABL制度も含め、重層的な取り組みにより中小企業の資金繰り支援に万全を期してまいります。

○田中(た)委員 中小企業にできるだけ低い金利で円滑に資金を供給できるよう、制度面や財政面から引き続きの努力をお願いしたいと思います。
 次に、入札契約制度について伺います。
 予算は、執行されて初めて目的が達成されるため、計画的事業実施につながる工事発注時期の平準化は極めて重要と考えます。
 昨年の第四回定例会の我が党代表質問において、都の工事の発注が特定の時期に集中している現状を取り上げ、平準化に向けた考え方を伺い、今後、庁内連携のもと、発注件数のピークを下げる数値目標を新たに設定するとの方針が示されました。
 多数の工事の調整や年度単位での仕事の進め方という高い壁を超えて、平準化に取り組むことによって、集中期には時間外労働や休日出勤が増加し、端境期には稼働率が低くなるといった受注者の厳しい労働環境が改善されるだけでなく、年度末の道路工事の集中による渋滞が緩和されるなど、都民にも目に見える効果が期待されます。
 そこで、工事発注時期の平準化に向け、具体的な数値目標と、その目標に向けどのように取り組むのかお伺いをいたします。

○長谷川財務局長 現在、都の工事発注件数は、十月から十二月の集中期と三月から五月の年度がわりのいわば端境期で約三倍の開きがございます。
 このように、時期により大きな開きのございます発注件数を可能な限り平準化するため、庁内検討を踏まえ、三年後の平成三十年度を目途に、集中期と端境期の発注件数の比率を現在のおおむね半分に縮め、一・五倍程度とすることを目標としてまいります。
 これによりまして、理事お話しのとおり、長期ビジョン等に掲げた事業を計画的かつ着実に実施しつつ、事業者側の技術者の育成、確保を含む受注環境の安定化を図ることで、都民生活を支える社会資本の持続的な整備につなげてまいります。
 この全体目標の達成に向けましては、各局においてそれぞれの目標値を設定し、設計業務を含めた発注の前倒しや十二カ月未満の工事への債務負担行為の適用など、これまでの制度改革の成果を積極的に活用してまいります。

○田中(た)委員 特に数値目標を設定してまで取り組むのは、発注者責任を全うしようとする都の姿勢のあらわれであり、評価するべきと考えます。多くの困難はありますが、都全体の成果を期待しております。
 次に、業務委託に関しお伺いいたします。
 最低価格自動落札方式は、経済性ではすぐれている一方、一部には安値でたたき合う案件も見られ、品質や担い手の確保、さらには障害者雇用などの政策目的の実現を支援していく観点からは限界があります。
 改正品確法の趣旨を踏まえると、品質やサービス向上の重要性は、公共工事だけでなく業務委託全般においても同じであり、これまでの総合評価方式拡大の取り組みについては評価しています。
 特に印刷業は、デジタル化が進む情報化社会の中で、東京の地場産業として今なお貢献しています。また、その成果物は都民と都政をつなぐ重要な役割を担っており、印刷物の品質確保への取り組みが望まれます。
 財務局では、印刷請負を対象として総合評価方式を唯一実施していますが、結果をどのように分析、評価し、今後の印刷請負における総合評価方式の拡大に生かしていくのかお伺いをいたします。

○長谷川財務局長 改正品確法の理念でございます品質の確保は、行政サービスを支える業務委託においても重要でございます。
 印刷請負におきまして、財務局ではこの二年間、契約情報などを掲載する東京都公報を対象に、総合評価方式を実施してまいりましたが、これにより履行能力の高い業者の選定につながり、具体的には、落札者からの提案によって作業工程が効率化され、発注者側でより入念に原稿作成や校正作業ができるようになるとともに、緊急時の掲載にも柔軟な対応が可能となるなど、東京都公報という印刷物に求められる正確性、確実性の面でも効果があったというふうに考えております。
 今後は、この試行で得ました成果や他への応用方法などを実務担当者向けの手引にまとめまして、印刷請負における品質確保に向け、総合評価方式の試行拡大を図ってまいります。

○田中(た)委員 また、印刷関連の仕事は、障害者の重要な雇用の場となっております。現在、都が障害者就労施設等へ優先的に発注するいわゆる優先調達の実績を見ると、印刷物の発注割合が最も高くなっており、障害者就労施設等にも受け入れやすい分野だと思われます。
 都は、二十八年度予算案においても障害者の生活支援を重点施策と位置づけており、障害者の生活の基盤となる就業の場の拡大と安定の下支えに通ずる優先調達に、より積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○長谷川財務局長 都は、平成二十五年度から障害者優先調達に計画的に取り組んでおりまして、そのうち印刷物が占める割合は、二十六年度におきまして約七三%に上ります。
 このことを踏まえまして、物品や役務サービスなど、障害者就労施設等への一層の受注機会の拡大を図ることといたしまして、二十八年度からは特に予定価格十万円以下の印刷請負について、障害者優先調達に努めることを全庁的な方針として定め、関係局で連携して取り組んでまいります。

○田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いをいたしたいと思います。
 業務委託を担う事業者の大半は中小事業者であり、低価格入札によるしわ寄せが経営の圧迫や従業員の賃金を含む就業環境の悪化につながることも懸念されています。
 印刷請負については、最低制限価格制度が導入されてはいますが、限定的であるため、受注者の就業環境を下支えする仕組みにはなっていません。これは、予定価格の積算や最低制限価格の取り扱いに関する運用方法などに課題があるからだと認識をしております。
 しかし、東京の地場産業であり、都政の重要な情報発信を担い、障害者などの就業の場にもなる印刷業の担い手を育成、確保していくためには、低価格入札を防ぐ手だてを講じることがぜひとも必要であります。
 品質確保や担い手の中長期的な育成、確保に向け、印刷請負における現行の最低制限価格制度を見直していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○長谷川財務局長 業務委託におきましても、低価格入札を防止して、品質確保や担い手の中長期的な育成、確保を図るためには、総合評価方式の拡大に加えまして、最低制限価格制度の導入も有効な手段でございます。
 一方、制度の導入に当たりましては、積算方法の詳細化や最低制限価格の設定及び運用方法について検討して、制度が有効に機能するようにしていかなければなりません。
 このために、まず、これまで最低制限価格制度を限定的に導入しております印刷請負について、より実効性のある制度へと見直しを進め、財務局の印刷物で試行してまいります。

○田中(た)委員 ぜひお願いいたします。
 これまでの答弁から、印刷業務全体を技術力での競い合い、障害者就労の支援、さらには担い手確保の三つの視点から捉えて品質確保を図るという、公共調達の一つのモデルケースとなる可能性が示されたと考えます。
 これらの視点を支える総合評価方式、優先調達制度、最低制限価格制度は、いずれも我が党が導入、拡大を促してきたものであり、これら入札制度により、印刷物の品質向上がさらに図られることを期待しております。
 次に、オリンピック・パラリンピック及びラグビーに関しお伺いいたします。
 イギリスで発行されているビジネス誌のフォーチュン誌二〇一一年五月発行号に、ロンドン大会や北京大会など、オリンピックには何兆円もの巨額の経費がかかることが掲載されていました。
 東京大会においても準備が本格化しつつある中、昨年末から経費についてさまざまな報道がなされております。
 近年の大会の中でも成功した大会といわれているロンドン大会は、東京と同様、過去にも開催されたことがあり、成熟都市での大会でありました。
 そこで、ロンドン大会において、招致段階から開催前の準備段階など、その経過に応じた取り組み状況についてお伺いいたします。また、成功した大会の成果としてロンドンにもたらしたものは何か、あわせてお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 ロンドン大会におきましても、その準備の過程で招致段階の想定を超えた大事業となることが判明いたしました。
 国を挙げて詳しく分析、検討しました結果、広域的な警備を初めとした追加負担や大会までにさらに生じる環境変化を見込んだ対応など、大会運営に直接かかる必要経費は、総額で約二兆一千億円と見積もられました。
 この難局に対応するため、国、市、組織委員会の三者は適切に役割分担を定めましたが、その際、特に大会が開催都市に与える影響が大きいこと、大会の成果がレガシーとしてロンドンや国全体に残ることから、国や市などの公的部門が大会準備を全面的に支えることといたしました。
 その結果、ロンドン大会は大成功に終わり、世界の都市総合力ランキングで大会後四年連続一位となったほか、ボランティアの活躍や文化プログラムの全国展開など、有形無形の大きなレガシーがロンドン初め英国全土にもたらされることになりました。

○田中(た)委員 ただいまの答弁は大変重要だと思います。東京大会での確たるところはまだ不明ですが、昨今の状況を鑑みれば、準備に万全を期すためにも、ロンドン大会での招致決定後の経緯はよく検証すべき事例だと認識をしております。
 特に重要な点は、開催都市であるロンドン市やイギリス政府など、公的部門が役割をしっかりと果たし、それが全てレガシーとなっていったことであります。このことがロンドン大会が成功したと評されるゆえんだと思います。
 そこで、我が党代表質問に対して知事から、東京大会においても、招致のときの想定をはるかに超える膨大な事業となりつつある中、新たな役割分担を決める旨の答弁がありました。
 東京大会を成功に導いていくため、開催都市である都として、何を重視してこの大きな課題を乗り越えていく考えなのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 二〇二〇年の東京大会は、成熟した大都市で開催される過去最大規模の大会となると思います。この壮大な事業をなし遂げるためには、オールジャパンでの対応が不可欠であります。
 その際重要なことは、大会のまず成功と、それから都民、国民にもたらされる有形無形の大きなレガシーのために、国際都市である都が中心となりまして、国をも巻き込み、公的部門としてなすべきことを果敢に実行し、大会準備を全面的に支えていくことであります。
 今後、史上最高の大会とするため、どのような事業がどの程度必要なのか、経費の精査も含めて方針を立て、大会の全体像を示してまいります。
 そして、その実現に向けまして、開催都市である東京都、国、組織委員会とが三位一体となり、責任を持ってしっかりと役割を果たしてまいります。
 私は先頭に立ちまして、いかなる困難があろうとも、何としても大会を成功させていく決意でございます。

○田中(た)委員 オリンピック・パラリンピックを成功させ、その成果を後々の世代にまで末永く残していくためにも、まずは現在取り組んでいる大会準備の足元を固めるべく、東京都、組織委員会、そして国がそれぞれ何を担うのか、役割をはっきりとさせる必要があります。
 二〇二〇年はゴールではなく、その後へ続く通過点であります。ぜひ知事には、東京は今ターニングポイントを迎えているという認識を持ち、開催都市の責任者として、何としても大会を成功させるのだという強い決意を持って責任を全うしていただくよう改めてお願いをいたします。
 さて、ことし夏のリオデジャネイロ大会は、オリンピック・パラリンピックの持つ力、すばらしさを実感できる絶好の機会であります。招致決定時の高揚感を再び日本国中に呼び戻し、その盛り上がりを二〇二〇年につなげていかなければなりません。
 また、リオ大会には世界中から多くの観戦客、観光客、メディアが集まります。この千載一遇の機会を捉え、次の開催都市東京への期待感を高め、そして世界に誇る文化、伝統、技術といった魅力を積極的に発信しなければなりません。
 リオのあるブラジルは、ことしで百八年目となる移民の歴史があり、百六十万人といわれる日系人社会が構築され、日本との関係が深い国であります。現地の方々もこのまたとない機会を心待ちにしているのではないでしょうか。
 こうしたリオ大会を通じてどのように東京の魅力を発信するのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 今おっしゃったように、全世界の注目が集まりますリオ大会は、次回開催都市東京の魅力を発信できる絶好の機会であります。
 私自身、リオデジャネイロに参りまして、東京を積極的にアピールしたいと思っております。同時に、現地の方々の期待にも応え、日本とブラジルのきずなを強めていきたいと思います。
 世界の歴史ある都市にはそれぞれ個性がありますが、東京には海と川、両方の水辺を中心に発達し、生活や文化が育まれてきた水の都という、ほかの都市にはない際立った魅力がございます。
 私が今、一生懸命、舟運というようなことをお話ししているのはそういう意味があるわけですけれども、リオ市内にジャパンハウスをつくりますが、この水の都としての魅力を中心に、東京の過去、現在、未来を体験できる展示などを通じまして、東京ブランドを世界に向けて発信してまいりたいと思っております。
 また、オリンピック・パラリンピックの各閉会式では、リオ市長から大会旗の引き継ぎを受けた後に、東京、日本の魅力をPRします八分間のパフォーマンスを展開いたします。日本を代表するクリエーターや演出家、東京の歴史、文化に精通している有識者の意見を取り入れながら、組織委員会と連携して、東京に対する期待感を高めるものにつくり上げてまいります。
 リオ大会を通じまして、東京のプレゼンスを向上させ、国内外の機運を盛り上げて、二〇二〇年大会を必ずや成功へと導いてまいりたいと思っております。

○田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 特に世界中から多くの人々が集まるこの大会での文化事業の展開は、東京の多彩な文化の魅力を世界に発信する絶好の機会となります。
 東京大会の大きなテーマでもある震災の復興支援という視点もその中にしっかりと位置づけ、日本の文化発信のハブ機能を担う東京が、多くの日系人が活躍するブラジルの地で、世界の人々に向け、東日本大震災の復興支援に対する感謝の気持ちをリオでの文化事業を通じて示していくことも重要であります。
 リオ大会における文化発信に向けた、また知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 リオ大会におきましては、東京の持つ芸術文化の魅力を、リオ市民だけではなく世界中から集まる人々にも感じていただけるような、東京を代表するような文化事業を展開したいと思っております。
 また、ご指摘いただいたとおり、世界各国からの大震災への支援に感謝の気持ちをあらわして、世界に向けて被災地の方々とともに、その復興が力強く進む姿を発信することも重要であります。復興という意味を持った東京大会であると思っております。
 そこで、リオにおきまして、TOHOKU&TOKYO in RIOという、江戸文化とともに東北の郷土の文化を紹介するイベントを開催しまして、和太鼓や踊りを披露したいと思っております。現地では、日本の伝統を受け継ぐ日本人会とも連携して実施をしてまいります。
 リオ大会後、国内各地で展開する東京キャラバンにつきましては、まず被災地からスタートさせたいと思います。
 二〇二〇年大会に向けまして、東京と地方、とりわけ被災地と連携して、東京を初め日本が有する芸術文化の魅力の発信に全力を挙げて取り組んでまいります。

○田中(た)委員 これまで代表質問等々で知事の都市外交について意見を述べてまいりましたけれども、このときこそ、ぜひ知事の語学力、そしてまた世界的な人脈をぜひ生かしていただいて、大きな成果を上げていただくようにご尽力賜りますようお願いをいたします。
 世界中に東京の文化と復興へ進む東北の姿をこの場でぜひ発信していただきたいと思います。
 また、東京大会への期待感を膨らませ、リオ大会後に展開していく文化プログラムに弾みをつけるためにも、リオを訪れる各国の人々に東京の文化を体感してもらい、強く印象を残す取り組みが求められます。
 オリンピック会場周辺や市街地で、東京ならではの文化発信をどのように展開していくのか、都の見解をお伺いいたします。

○多羅尾生活文化局長 東京の持つポテンシャルを生かした文化事業をリオ市の中心部にある文化施設で展開し、選手村等に近いジャパンハウスとも連携しながら、東京の文化の魅力を世界中の人々に効果的に発信してまいります。
 具体的には、ただいま知事のお答えしたTOHOKU&TOKYO in RIOとともに、東京キャラバンや、障害者を初めとした多様な人々とアーティストの交流プログラムであるTURNをリオにふさわしい形で実施してまいります。
 日本を代表するアーティストの参加のもと、さまざまなパフォーマンスやアート展示なども展開し、東京、日本の魅力をアピールしてまいります。

○田中(た)委員 東京のすばらしい文化を世界に発信し、その勢いを文化プログラムへつなげていくことで、東京大会が文化の面でも最高の祭典となるよう期待しております。
 リオ大会では、テレビ中継などを通じて、日本選手団の活躍や世界のトップアスリートのパフォーマンスを目の当たりにし、日本国中が大いに沸き上がると思われます。次の開催都市として、その感動をより多くの方々に知ってもらうとともに、その盛り上がりを一過性のもので終わらせず、二〇二〇年に継続させなければなりません。
 オリンピックイヤーである本年、都としてどのように都内、国内を盛り上げ、さらに二〇二〇年の成功につなげていくのか、具体的取り組みについてお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 多くの方々に、リオ大会を通じてオリンピック・パラリンピックのすばらしさを実感してもらい、その感動や盛り上がりを二〇二〇年につなげていくため、都としてさまざまな取り組みを進めてまいります。
 まず、リオ大会前には、まち中での体験イベントや二〇二〇年大会四年前イベントなどを開催するとともに、特にパラリンピック直前には、多くの都民が利用する都営線の駅構内を活用しまして、競技の迫力ある展示を行い、その魅力をPRいたします。
 次に、開催期間中は、大会の興奮と感動を楽しむことができるライブサイトを都内二カ所及び被災三県で開催いたします。
 大会終了後は、大会旗を活用したフラッグツアーを都内はもとより全国でも展開しますとともに、全国の自治体関係者を対象にしたシンポジウムを継続的に実施いたします。
 さらに、文化、教育プログラムやボランティアなどさまざまな取り組みを展開しますとともに、祝祭感を演出するためのシティー装飾の検討も進め、二〇二〇年大会に向けたオールジャパンでの盛り上げを加速してまいります。

○田中(た)委員 ぜひともリオでの取り組みを東京へとつなげていただくようによろしくお願いいたします。
 都は、東京大会に向けて六つの新たな恒久施設を整備することとしており、その施設名称は立候補ファイルに掲載された名称をそのまま用いてきました。
 この新規恒久施設は、大会後も活用していくものであり、その施設名称を親しみやすいものとすることで、長期にわたり人々の記憶に残るレガシーとすることが重要です。
 そこで、新規恒久施設の名称は、立候補ファイル時の名称にこだわらず、都民に親しみやすい施設名称としていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 新規恒久施設の正式名称につきましては、施設を都民の利用に供するときまでに条例等で決定いたします。
 また、多くの都民、国民に末永く親しまれる施設とするために、正式名称のほか、愛称を用いる方法もございます。例えば一九九八年の長野大会では、フィギュアスケートなどの会場は、条例上の正式名称を長野市真島総合スポーツアリーナ、愛称をホワイトリングとし、アイスホッケーの会場は、正式名称を長野市若里多目的スポーツアリーナ、愛称をビッグハットとしております。
 新規恒久施設の名称につきましては、こうした実例も参考にして、関係者のご意見を伺い、広く都民、国民に認知され、親しまれるための工夫を今後検討してまいります。

○田中(た)委員 東京大会を直接経験できる世代の方々だけではなく、次世代の方々にもレガシーとなる施設名称は大変重要だと思っております。新規恒久施設だけにとどまらず、既存施設や会場となる公園名称の変更も含め、レガシーとなることを期待しております。
 次に、ラグビーに関してお伺いいたします。
 ラグビーの発祥の地であるイギリスでは、紳士教育のためにラグビーが行われています。これは、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン、一人は皆のため、皆は一人のためという自己犠牲の精神や、試合終了後の合図であるノーサイドの後に、どちらのサイドもなく全員が互いにフェアプレーをたたえ合う精神から来るものであり、試合後に両チームの選手や審判、協会関係者などが互いの健闘をたたえ合うアフターマッチファンクションが行われるなどの習慣が紳士教育に生かされているものと考えます。
 また、一方、解体された国立競技場の入場観客数のベストテンを見ると、東京オリンピックの開会式や閉会式と並んで、関東大学ラグビー対抗戦の早明戦や、早慶戦ともいう慶早戦など、ラグビーが四試合も入っております。この実績からも国立競技場はラグビーの聖地といえ、秩父宮ラグビー場とともに、東京はまさにラグビーの聖地といえます。
 一八九九年に日本ラグビー発祥の地である慶應義塾で初めて日本人によるラグビーの試合が行われ、百二十年目の節目となる二〇一九年にラグビーワールドカップが行われます。
 このようにすばらしい価値を持ち、長く愛されてきたラグビーを、ラグビーの聖地である東京都はどのようにして普及させていくのかお伺いをいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 秩父宮ラグビー場や国立競技場では、長年、大学ラグビーの熱戦が繰り広げられまして、東京には多くのラグビーファンがいらっしゃいます。
 こうしたトップレベルのラグビーに間近で接することができる強みを生かしながら、ラグビーの魅力を都民に伝えてまいります。
 具体的には、大学ラグビーやトップリーグの試合会場におけるラグビー体験の実施、観戦のポイントやルールを紹介しましたパンフレットの配布などに取り組みます。
 また、都のイベントや地域スポーツクラブなどにおきまして、ラガーから都民に直接語ってもらう機会を設け、ファンの裾野拡大を進めます。
 さらに、デジタルサイネージなどを活用し、二〇一五年大会での日本代表の活躍を収録したPR映像を発信してまいります。
 こうした取り組みにより、スポーツマンシップにあふれたラグビーの魅力と価値を広く都民に普及してまいります。

○田中(た)委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、ホール、劇場の視点からお伺いをいたします。
 ことしはアリーナや競技場等の改修時期が集中し、大型コンサート会場が不足する二〇一六年問題が起こると報道されています。
 また、日本芸能実演家団体協議会によると、首都圏では青山劇場や、ゆうぽうとホールなどが老朽化や赤字を理由に次々と幕を閉じ、この十年で約二万五千席分が減少し、芸術文化の創造と鑑賞の場が急減する危機的な状況を迎えているとのことであります。
 芸術文化の面でも世界で一番の都市となるためには、質、量ともに十分なホールや劇場が整備されることが必要であります。
 この問題は、例えばバレエやクラシック、能や歌舞伎といった公演分野によって状況が異なり、ホールや劇場の改修状況によっても課題が異なるため、まずは現状を把握した上で将来像の検討を進めるなど、都として必要な対策に取り組むべきと考えますが、知事の見解をお伺いします。

○舛添知事 東京は、伝統文化から最先端の舞台芸術まで多彩な芸術文化に満ちた都市でありまして、こうした魅力を発信する場が失われることは、東京の文化の発展に支障を来しかねない極めて重要な課題だと認識しております。
 そのため、初めて今回、国公立、民間を含めまして、都内に約千五百程度あります全施設の状況を把握する調査を現在実施しております。あわせて、クラシックやバレエを初め十三分野の文化団体やホール設置者等から、直接事情をヒアリングしております。
 また、芸術文化やホールに関係する専門家や実務家による協議の場を今月中に設置いたしまして、既存施設の有効活用など、具体的な方策を検討いたします。
 これらの調査や議論等を踏まえまして、二〇一六年問題に向けた東京都の緊急の取り組みを来年度開始早々には公表したいと思っております。
 引き続き、将来の状況を展望して対策を検討し、必要な施策を民間と協力しながら積極的に進めていくとともに、国に対しても必要な要望を行ってまいりたいと思っております。

○田中(た)委員 文化に造詣の厚い知事の、またこの分野でのリーダーシップ発揮をお願いしたいと思います。
 次に、延遼館の復元事業について伺います。
 昨年の第一回定例会での我が党の主張を受け、浜離宮恩賜庭園に東京都独自の迎賓施設を整備し、海外からのお客様を和のおもてなしでお迎えすることとなり、現在、延遼館の復元事業が進められております。
 この延遼館は、近代日本最初の迎賓施設として近代化の歩みを象徴する建物であったと伺っております。復元後は、東京大会を控え有効に活用されることが期待されております。
 特別名勝、特別史跡の浜離宮恩賜庭園において、東京大会に向けて進めている延遼館の復元事業について、改めてその目的と取り組みについてお伺いいたします。

○佐野建設局長 延遼館の復元事業は、浜離宮恩賜庭園に近代日本最初の迎賓施設を復元することにより、歴史的、文化的価値を高め、次世代へと継承することを目的としております。
 復元に当たりましては、二〇二〇年東京大会時の迎賓利用のほか、大会後には浜離宮の歴史と和のおもてなしを体験する場やMICEのレセプション会場として利用することなどを関係局と検討しております。
 引き続き文化庁と協議を重ね、平成二十八年度は利活用の検討を深め、実施設計に着手し、遠方の客人をおもてなしするという延遼館の名前にふさわしい施設として、平成三十一年度末の完成を目指してまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも期待をしております。
 次に、港湾の視点からお伺いいたします。
 臨海エリアには、選手村や競技施設、関連施設が多く設置され、東京大会の中心となる地域である一方で、東日本の日常生活を支える港湾物流機能が集積している地域でもあり、我が党は、東京大会の確実な成功と港湾機能の調和を図っていくべきとこれまでも主張してまいりました。
 両者の調和のためにも、ピーク時にふ頭周辺で発生している交通混雑対策が不可欠であります。
 現在、都では交通混雑解消に向けて、車両待機場の整備など即効性のある取り組みとともに、中央防波堤外側新コンテナターミナルの整備など、東京港の抜本的な機能強化に取り組んでいます。
 円滑な物流の確保のためには、さらなる施策を展開していく必要があります。東京港では、陸送事業者が貨物を夕方に引き取り、翌朝荷主に配送する物流サイクルがあり、夕方付近の混雑の原因になっていると伺っております。
 そこで、こうした実情を踏まえた新たな取り組みも必要であると考えますが、所見を伺います。

○武市港湾局長 理事ご指摘のとおり、東京港では夕方にターミナル周辺が混雑する傾向が見られるため、比較的余裕がある午前中に貨物をターミナルから搬出し、半日程度一時保管する場所をターミナル外に設置することが混雑緩和に効果的であると考えられます。
 そこで、来年度、ターミナルの外に二十四時間利用可能な搬出貨物の一時保管場所、いわゆるストックヤードを設け、交通混雑の平準化や物流の円滑化を図る実証実験を実施いたします。
 物流全体も見据えたこうした施策を積み重ねていくことで、二〇二〇年東京大会と物流港湾の調和を図ってまいります。

○田中(た)委員 東京大会の成功と物流機能との調和を図り、東京大会にとどまらず、物流全体の機能強化につなげる一歩としていただきたいと思います。
 次に、防災対策についてお伺いをいたします。
 この三月十一日で東日本大震災から五年という節目を迎えます。あの震災が起きた日の十四時四十六分、本会議が終わった直後であり、私も議会棟におりましたが、今まで経験したことのない揺れが襲ってきたことを、ついきのうのように思い出されます。
 我が党は、震災直後、東日本大震災復旧・復興対策推進本部を設置し、平成二十三年五月から七月にかけて被災地である東北三県に視察団を送るとともに、各種団体からも震災の影響を伺うなどして、都に対して防災対策の強化に向けた提言を行いました。
 現在、マグニチュード七クラスの首都直下地震が三十年以内に発生する確率が七〇%程度と推定されております。これは、きょう、あす起きる確率も同じであるため、絶えず防災意識を持ち、そのときに備えなくてはならないと思っております。そして、東日本大震災から五年目という節目のときにも、互いに防災意識を確認し合うべきであると認識をしております。
 そこで、都はこれまでどのように防災対策に取り組み、今後はどう取り組むのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 多くのとうとい命が失われるなど、この国にさまざまな形で爪跡を残しました東日本大震災から五年が経過をいたします。
 震災から得ましたさまざまな教訓をしっかりと受けとめ、首都直下地震を初めとする大規模災害から都民の生命と財産を守ることが、知事としての私の重要な責務でございます。そのためには、自助、共助、公助に根差した取り組みを機能させていかなければなりません。
 こうした認識のもとに、知事就任以降、いつ起こるかわからない災害に備えまして、防災上重要な幹線道路の整備や木造住宅密集地域の改善など、防災力を備えた都市づくりを強力に進めてまいりました。
 また、住民参加型訓練を季節ごとに年四回実施することや、都内全世帯へ「東京防災」を配布し、学校においても活用を図るなど、自助、共助の意識を喚起する取り組みを積極的に展開しております。
 今後もこうした取り組みを進めますとともに、旧立川政府倉庫を購入、活用して、広域的な防災力を高めてまいります。
 また、今回積み増ししました防災街づくり基金等を活用して、景気の動向にかかわらず対策を着実に推進してまいります。
 あらゆる取り組みを実施して、世界一安全・安心な都市東京を築いてまいります。

○田中(た)委員 都民の生命、財産をしっかり守る、その知事の力強いリーダーシップ、また期待をしていきたいと思っております。
 さて、知事の施政方針において、木造住宅密集地域の不燃化を進めるため、生活道路の整備を計画的に進めていくとの考えが示されました。
 また、先日公表された防災都市づくり推進計画改定案では、防災生活道路の整備を契機に、延焼遮断帯の内側の市街地の改善を進めるとあります。
 防災生活道路の整備をしっかり進めていくには、これまで以上に区の積極的な取り組みが行われるよう、都として後押しすることが重要であると考えますが、所見をお伺いいたします。

○安井東京都技監 例えば品川区大井地区では、広域避難場所である大井競馬場につながる道路を安全に避難できる道路とするため、地元区が幅員を七メートルから十メートルに拡幅し、あわせて沿道建築物の不燃化を住民に働きかけてございます。
 こうした取り組みが他の地区にも広がるよう、都は今回改定の防災都市づくり推進計画におきまして、整備地域を抱える全ての区とともに、緊急車両の通行等に有効な生活道路の拡幅計画を策定し、地区計画に位置づけることにより、住民の理解と協力を得ながら整備を進めることといたしました。
 特に幹線道路とつながるなど重要な区間につきましては、都市計画事業の活用も視野に、区の積極的な取り組みを引き出してまいります。
 来年度からは、このような整備地域におけます道路の拡幅や沿道の建てかえに対しまして財政的に支援を行い、延焼遮断帯に囲まれた市街地の不燃化、耐震化を加速してまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 木密地域の早期改善のためには、市街地の不燃化とともに、特定整備路線の整備を急ぎ、延焼遮断帯の形成も加速するべきと考えます。
 木密地域内で、震災時に大きな被害が想定される整備地域の中で一番広い地域にある品川区では、特定整備路線の補助第二九号線が事業化されており、その戸越公園駅周辺区間において、商店街や町会が中心となり、商店街の活性化と災害に強い安全なまちの実現が両立できるよう、地元発意によるまちづくりに取り組んでいるところであります。
 こうした状況にあるにもかかわらず、一部の政党では特定整備路線が商店街を破壊すると吹聴し、地元がこぞって道路整備に反対しているかのように宣伝しております。
 そこでまず、特定整備路線である補助二九号線の戸越公園駅周辺における道路整備及び沿道のまちづくりの状況についてお伺いをいたします。

○安井東京都技監 補助第二九号線の戸越公園駅周辺区間につきましては、昨年度末に事業認可を取得し、用地取得を進めてございます。このうち約三分の二の区間で商店街の片側のみが道路の計画区域にあるため、店舗などの営業の継続やにぎわいの維持向上を図りながら整備を進めていく必要がございます。
 平成二十年には、地元の発意によりまして、全ての町会と商店会とで構成されるまちづくり協議会が設立されてございます。都は区とともにこれに参画し、まちの将来像や駅前広場の整備などの検討に協力してまいりました。
 これまで沿道の一部で再開発準備組合が立ち上がり、今年度にはさらに他の地区でも再開発に向けた勉強会が発足するなど、まちづくりが具体的に動き出してございます。
 引き続き、地元のまちづくりと連携しながら、平成三十二年度の完成を目指し、道路整備を全力で推進してまいります。

○田中(た)委員 ぜひ一部政党の宣伝に惑わされることなく、信念を持って取り組んでいただきたいと思います。
 地元では補助二九号線の整備を前向きに捉える一方で、東急大井町線戸越公園駅付近には補助二九号線などの踏切があり、ピーク時には一時間当たり四十分程度閉まっているため、不便な生活を強いられています。
 地元まちづくり協議会では、補助二九号線の整備とあわせ、鉄道立体化を前提に、鉄道の南北が一体となった防災性の高いまちづくりに十年ほど前から積極的に取り組んでおり、この間、石原知事にも要望を伝えるなど、道路整備とあわせた鉄道の立体化を強く望んでおります。こうした状況を踏まえると、鉄道の立体化は不可欠であると考えます。
 そこで、東急大井町線戸越公園駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○佐野建設局長 東急大井町線戸越公園駅付近には、昨年より事業が進められている補助第二九号線を含む六カ所の踏切があり、鉄道による地域分断の解消等が課題となっております。
 品川区は、昨年一月に将来の鉄道立体化を見据えた戸越公園駅周辺まちづくりビジョンを策定しており、地元では道路や駅前広場の空間を創出するためのまちづくりが動き出しております。
 こうした鉄道と交差する道路の事業化やまちづくりの進捗状況を踏まえ、都は、東急大井町線戸越公園駅付近を連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけることといたしました。
 今後、地元区や鉄道事業者と連携し、鉄道立体化の可能性について調査検討を進めてまいります。

○田中(た)委員 ぜひその実現に向けた取り組みをお願いしたいと思っております。
 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いをいたします。
 東京の防災対応力を高めていくためには、震災時においても緊急輸送道路としての機能が着実に発揮されるよう耐震化を進めていく必要があります。
 都は、先月公表した耐震改修促進計画の改定案で、東京大会までに震災時における道路機能を確保していくための新たな目標を示しました。
 今後、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるに当たって、課題をどのように捉えているのかお伺いをいたします。

○安井東京都技監 耐震化推進条例に基づく診断の結果、耐震性不足が判明した建築物につきましては、その後、補強設計を行ったものの約八割が耐震改修などに結びついてございます。一方で、補強設計までに至らない、当然のことながらその先の改修まで進んでいない耐震性不足の建築物がいまだ半数以上残ってございます。
 診断後、改修をしていない建物所有者にその理由を尋ねた意向調査では、費用負担の大きさと回答した者が最も多くなってございますが、しかしながら、その回答者の約三分の一は、助成を受けた場合の自己負担額そのものを把握していないとも答えてございます。
 耐震化を進めていくためには、こうした建物所有者に対しまして、改修等による自己負担額を具体的に示し、補強設計につながるよう促していくことが課題であると受けとめてございます。

○田中(た)委員 ただいまご答弁いただきましたように、耐震診断を終えた建物所有者を対象に、いかにして補強設計に取り組んでもらうかが課題とのことでありました。
 こうした課題も踏まえ、平成三十一年度までに震災時における道路機能の確保に必要な耐震化率九〇%かつ、特に耐震性が低い建築物の解消という目標を着実に達成していくため、都はどのような取り組みを行っていくのかお伺いをいたします。

○安井東京都技監 先ほどお答えいたしました意向調査の結果を踏まえまして、来年度からは、診断実施後の所有者に対して建築士を派遣し、補強方法や工事による影響などの比較検討を行う改修計画の策定を支援することといたします。
 あわせて、設計費に係る建物所有者の負担を軽減するため、設計費の助成上限額を約二倍に引き上げることといたします。
 また、特に耐震性が低い建築物は、補強箇所が多くなり改修費用が多くなることがございます。Is値〇・三未満の建築物、これは震災時に倒壊の危険性が非常に高い建築物でございますけれども、こうした建築物の改修に対する助成額をさらに引き上げ、その早期解消を図ってまいります。
 引き続き、所有者への意識啓発やアドバイザーの派遣などの取り組みも強化し、区市町村と一体となって、二〇二〇年東京大会までに震災時におけます緊急輸送道路の機能を確保してまいります。

○田中(た)委員 ぜひともその実現方、お願いしたいと思います。
 次に、震災復興の取り組みについて伺います。
 切迫する首都直下地震に備えるためには、地域に身近な区市町村が防災都市づくりによる対策に加え、被災直後から速やかな復興が可能となるよう平常時から準備をしていく、いわゆる事前復興の取り組みが重要と考えます。
 被災後の復興を円滑に進めるためには、行政職員の能力向上を図るとともに、住民も地域のまちづくりを事前に考えておくことが必要と考えます。東日本大震災でも、ふだんからまちづくり活動に熱心な地域では、復興が迅速に進んでいると伺っております。
 都は、事前復興の取り組みについて、これまで区市町村をどのように支援してきたのか、また、今後どのように強化していくのかお伺いいたします。

○安井東京都技監 大地震により被災した際には、市街地の再生計画をどれだけ迅速にまとめられるかが、その後の復興のスピードを左右いたします。
 都は平成十年度から、復興の最前線となる区市町村職員を対象に、復興手順を習熟するための訓練を実施しており、これまで都内全ての区市から約千三百人が参加してまいりました。
 来年度からは、これまでの取り組みをより実効性のあるものとするため、地域住民も参加して反復継続して事前復興の訓練を行えるようにいたします。
 具体的には、区市町村職員を対象に、地域レベルの復興まちづくり訓練の企画立案や、その運営方法を習得できるように支援いたします。
 これによりまして、再生計画の策定過程におけます住民との円滑な合意形成や、復興を先導できる区市町村の職員を育成いたしまして、日ごろからの反復訓練を通じて東京全体が速やかに復興できる体制を構築してまいります。

○田中(た)委員 災害に対する備えも必要でありますが、災害後の対応についての備えもぜひともお願いしたいと思います。
 次に、都立公園の防災機能強化についてお伺いをいたします。
 都立公園は、都民の憩いの場として親しまれている一方で、震災時の避難場所や救援活動の拠点としての位置づけを持ち、防災計画上も重要な役割を担っております。
 このため、都ではこれまでの約十年間で、全ての防災公園において、入り口、主要園路の拡幅や、臨時ヘリポート、防災トイレ等を整備して防災機能を高めてきましたが、長期ビジョンで示す安全・安心な都市の実現に向けて、施設のさらなる充実を図り、防災対応力を高めることが必要と考えます。
 そこで、今後の都立公園の防災機能についてどう取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○佐野建設局長 避難場所や救出救助活動の拠点となる防災公園では、発災時の停電や情報不足等の混乱下にも、その機能を確実に発揮することが重要でございます。
 このため、避難園路及び臨時ヘリポートとなる広場周辺の公園灯や管理所等の施設が地域防災計画上の電力復旧目標の七日間機能するよう、非常用発電、ソーラーパネル等により多重に電源を確保いたします。また、避難者等に情報を提供するデジタルサイネージも整備いたします。
 平成二十八年度は、葛西臨海公園を初め十四公園で設計を進め、城北中央公園と秋留台公園で工事に着手いたします。二〇二〇年大会開催までに二十六公園で、平成三十六年度までに六十一全ての防災公園で整備を完了いたします。
 引き続き、安全・安心な都市東京の実現に向け、都立公園の防災機能強化に全力で取り組んでまいります。

○田中(た)委員 ぜひともお願いをしたいと思います。
 次に、都営地下鉄に関してお伺いをいたします。
 都営地下鉄では、国の通達に基づく耐震対策は既に完了させ、引き続きトンネルや駅などの安全性をより一層高める耐震対策を行っていることは承知しております。
 また、東日本大震災の際、地震で都営地下鉄は一旦停止したものの、安全を確保した上で最寄り駅まで走行し、乗客を安全な場所に誘導することができたとも伺っております。
 しかし、想定される首都直下地震の際、施設などの安全が確保されたとしても、停電により、多くの列車がトンネル内に立ち往生し、混乱が生じる可能性もあります。
 そこで、こうした場合に備え、都営地下鉄ではどのような対策を講じているのか、お伺いをいたします。

○塩見交通局長 停電の際には、非常用発電機などにより非常用照明や放送装置などの重要設備に電気を供給いたします。
 万が一、列車がトンネル内で停車した場合は、あらかじめ定めた対応手順に基づき、車内放送により、まずお客様の動揺を抑制し、負傷者がいた場合はその救護を行い、その後、トンネル内の安全を確認した上で、非常はしごによりお客様に列車から降車していただき、最寄りの駅へ誘導いたします。
 こうした手順を確認するため、職場単位で随時行う避難訓練や、年一回局を挙げて行う異常時総合訓練において、都営交通モニターの方にお客様役になっていただき、実際に避難していただく訓練や、営業終了後に当局職員が実際にトンネル内を歩いて避難する訓練、さらに東京メトロとも夜間合同訓練を実施するなど、非常時における対応力の維持向上に万全を期しているところでございます。

○田中(た)委員 マニュアルがしっかり整備され、さまざまな訓練が行われているということでありますが、最寄り駅まで歩いて避難することは、高齢者や子供連れの方も含め、乗客全員が避難するにはかなりの時間を要すると思われます。震災時には、乗客をいかに安全かつ迅速に避難させるかが重要であります。
 交通局として、これまでの対策にとどまることなく、さらなる対策を講じるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○塩見交通局長 ご指摘のように、お客様が安全かつ一刻も早く迅速に避難できることは、今後取り組むべき重要な課題でありまして、停電時にも列車を次の駅まで走行させる新たな対策が必要であると考えております。
 そのため、現在、最新の大容量蓄電池を用いた電力を貯蔵する設備を変電所内に設置し、列車を走行させるための実証試験を行っているところでございます。
 この試験結果を分析し、今後、計画的に電力貯蔵設備の整備を進めることで、さらなるお客様の安全確保を図ってまいります。

○田中(た)委員 ぜひともその取り組みを進めていただき、さらなる安全・安心の実現を果たしていただきたいと思います。
 次に、水道事業の視点からお伺いをいたします。
 水道は、都民生活や都市活動を支えるインフラであります。昨年九月の関東・東北豪雨やことし一月の九州地方を襲った寒波で多くの断水が発生し、市民生活に大きな影響を及ぼしました。
 東京では、特に断水による都民生活や都市活動への影響は甚大であり、首都直下地震の被害想定でも、断水率は三五%で約二百五十万戸が断水するとされています。そのため、抜け出し防止機能を持つ耐震継ぎ手管への切りかえにより、断水被害を軽減させる必要があると考えます。
 そこで、国内外の多くの方々が訪れる東京大会を見据えた水道管路の耐震継ぎ手化の取り組みについてお伺いをいたします。

○醍醐水道局長 水道局におきましては、震災時の断水被害を軽減するため、従来から抜け出し防止機能を持つ耐震継ぎ手管への取りかえに積極的に取り組んでおります。
 しかし、二万七千キロメートルにも及ぶ水道管路のその全てを耐震継ぎ手化するには、やはり長期間を要しますことから、東日本大震災の教訓等を踏まえまして、首都機能を支える施設や多くの方が集まる施設など、重要施設への供給ルートを優先した耐震継ぎ手化を進めているところでございます。
 今後でございますが、二〇二〇年東京大会を見据えまして、国会や省庁などの首都中枢機関、そして重症、重篤患者の救命医療等を行う救急医療機関、避難所となる中学校、一日の乗客数が二十万人を超える主要な駅、そしてさらには、二〇二〇年東京大会会場となる施設などの重要施設におきまして、大会前年であります平成三十一年度までに耐震継ぎ手化を完了させてまいります。

○田中(た)委員 首都直下地震の被害想定では、水道の復旧に最大三十日を要するとされていることから、東京大会やその先を見据え、耐震継ぎ手化を効率的、効果的に進めていくため、都民などの理解と協力のもと、工事関係者とより連携を図り、事業を推進することが重要と考えます。
 そこで、今後、水道管路の耐震継ぎ手化を中長期的観点からどのように進めていくのか、具体的にお伺いをいたします。

○醍醐水道局長 ただいまご指摘のございましたとおり、耐震継ぎ手化を効率的、効果的に進めていくためには、都民などの理解や工事関係者との連携などが重要であるというふうに認識をしております。
 このため、今後十年間で約五千キロに及びます管路を耐震継ぎ手管に取りかえます、新たな水道管路の耐震継ぎ手化推進事業を来年度に策定いたしまして、都民を初め多様な関係機関に対し、事業の必要性や施策内容を幅広く発信していくとともに、工事関係者との協力連携のもと、効率的な事業推進を図ってまいります。
 こうした取り組みによりまして、現在の耐震継ぎ手率三七%でございますが、これを十年後には六一%に引き上げるとともに、復旧日数につきましては、東京都地域防災計画に基づく被害想定の三十日から十六日に半減をさせてまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも関係事業者とのしっかりとした連携のもと、それぞれの目標数値の実現に向けて取り組んでいただくよう改めてお願いしておきます。
 次に、下水道事業の視点からお伺いをいたします。
 近年、地球温暖化などの影響で局地的集中豪雨などの発生率は年々増加傾向にあり、区部でも過去三年間で千三百件以上もの浸水被害が発生しており、浸水からまちを守る取り組みはますます重要となってきております。
 下水道局では、時間五十ミリを超える降雨についても浸水被害を軽減するため、これまでの大規模地下街周辺に加え、市街地でも七十五ミリ対策に踏み出すこととしました。
 下水道局ではこれまで、七十五ミリ対策地区四地区について整備効果が早期に発揮できるよう工夫すると答弁していますが、この七十五ミリ対策地区について、具体的にどのように事業を進めていくのかお伺いをいたします。

○石原下水道局長 市街地の七十五ミリ対策地区では、平成三十一年度末までに整備効果を発揮することといたします。その工夫として、世田谷区弦巻地区では一カ所の作業基地から上下流両方向に下水道管を施工する際、先行して整備が完了する上流側で暫定的に雨水を貯留いたします。
 また、大田区上池台地区では増強幹線の整備に先行して、地盤が低く特に浸水被害が大きかった箇所につきまして、周辺の下水道施設の配置や能力を再評価し、ポンプ所につながる既設管に雨水を切りかえる工事を行うことで、ポンプによる排水方法に変更いたします。
 四地区のうち弦巻地区において既に工事を契約しており、残りの三地区でも平成二十八年度中の工事着手を目指します。
 なお、七十五ミリ対策地区以外でも、被害の状況などに応じ、下水道管の増強や雨水ますの増設など適切に対応し、浸水に強いまちづくりに貢献してまいります。

○田中(た)委員 毎年のようにゲリラ豪雨による被害が発生しております。ぜひ四地区以外の地域での対策も早期なる取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、防災教育の視点からお伺いをいたします。
 我が党は、首都直下地震等の被害を最小限に抑えるためには、自助、共助の力を高め、地域の防災力の向上を図り、各家庭で具体的な防災行動を促進する取り組みが重要であると一貫して主張してまいりました。そのためにも、都が作成した防災ブック「東京防災」を活用した普及啓発が重要であります。
 こうした中で、都教育委員会が、学校と家庭が一体となって取り組めるよう防災ノートを作成し、都内の学校に配布したことは大変意義のあるものと認識をしております。
 今後も学校において、この防災ノートをより一層活用すべきであると考えますが、都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。

○中井教育長 都教育委員会が行った調査では、防災ノートの学習に取り組んだ結果、子供が家族と家の中の危険な場所を確認した割合が二一ポイント、避難方法等を確認した割合が三二ポイントそれぞれふえるなど、具体的な防災行動につながったことが明らかになっております。
 こうした結果を踏まえ、今後、家庭での防災行動をより促進するため、本年七月から九月までを防災ノート活用促進月間に設定し、子供と保護者がともに防災施設を訪問する親子防災体験や、家族と一緒に防災にかかわる標語を考え、防災への意識を高めるための防災標語コンクールを実施いたします。
 今後とも、これらの取り組みを通して、防災ブックと防災ノートを一層活用し、学校と家庭が一体となった防災教育を推進してまいります。

○田中(た)委員 この防災ブック、防災ノートの取り組みは、子供に対する防災教育を通じて、それぞれの家庭の親御さんにも波及効果があるという視点からも、ぜひ防災ブック、防災ノートを積極的に今後も活用していただきたいと思います。
 これまで都教育委員会は、全ての都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を実施するなど、学校における防災教育の充実を図ってきました。今後はその成果を生かし、地域の防災活動に率先して貢献できる高校生を育成する必要があります。
 私の地元にある都立大崎高校では、町会などが実施する防災訓練に積極的に参加し、生徒がAEDの操作を説明するなど、地域の防災活動に貢献しており、地域からも高い評価を受けるとともに、大変感謝をされております。
 今後は、地域の防災活動のリーダーとなり得る人材を育成していくことが必要だと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

○中井教育長 生徒を発災時に主体的に行動できる人材として育成するためには、被災地が直面する課題を身近な問題として捉え、高い防災意識を身につけることができるよう指導することが重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、都立高校生が東日本大震災の被災地を訪問して、現地の方々との交流活動や、漁業、農業等の産業支援、仮設住宅での生活支援など、復興にかかわるさまざまなボランティア活動に取り組む合同防災キャンプを本年八月に実施いたします。
 また、参加した生徒全員が防災士の資格を取得できるよう、過去の自然災害やその後の対策など、より専門的な内容を学ぶことができる講座を実施いたします。
 こうした新たな取り組みを通して、地域防災の担い手となり、社会貢献できる高校生の育成を図ってまいります。

○田中(た)委員 災害はいつ起きるかわかりません。平日の昼間に発災すると、多くの大人たちは都心へ働きに出てしまっており、地元を守る上ではこのような都立高校の力も大いに期待されますので、ぜひとも引き続いての取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、環境エネルギーについて伺います。
 これまで、資源の少ない我が国は、原材料を海外から輸入し、先進技術を用いて開発した製品を海外へ輸出し高度経済成長をなし遂げましたが、その後の安定成長期以降、特に先進国は、環境エネルギー問題に積極的に取り組むべきと認識をしております。
 都は昨年、COP21に先立ち、新たな温室効果ガス削減目標を策定しましたが、今後は、これを着実に達成していくことが重要であります。
 都内には六十三万の中小規模事業所が存在し、これらの省エネ対策が重要であります。中でも、中小テナントビルは多くのエネルギーを使用していますが、資金やノウハウが十分ではなく、設備の更新が余り進んでいないため、いわゆるオーナー、テナント問題を解決し、ビルオーナーの省エネ改修意欲を引き出すことが求められております。
 このオーナー、テナント問題というのは、省エネ改修による電気料金の低減効果をテナントが享受するため、ビルオーナーにはメリットがなく、投資意欲が湧きにくい構造のことをいいます。
 この問題の解決策として、知事からは新たにグリーンリースの普及を図る旨の答弁がありました。オーナーとテナントが省エネに関して双方の責任と役割をルール化して実践し、ウイン・ウインの関係を構築する取り組みで、海外では効果を上げていると伺っております。
 そこで、都は、都内の中小テナントビルにおけるグリーンリースの普及に向け、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○遠藤環境局長 テナントビルの省エネの推進には、ビルオーナーとテナントとが事前に話し合い、電気料金等の削減メリットは両者で享受し合うこと等を約束し、協力して省エネに取り組むグリーンリースが有効でございます。
 しかしながら、グリーンリースは国内ではまだなじみが薄いため、都が積極的に取り組み内容やノウハウ等をビルオーナーとテナントに示していくことが必要でございます。
 そこで、グリーンリースの導入を条件に、中小ビルオーナーに対して、省エネ改修費用の一部を補助するモデル事業を来年度新たに実施いたします。
 さらに、関係団体等と連携協力しながら、事業の成果についてビルオーナー等に広く発信し、グリーンリースの普及定着を図ることにより、中小テナントビルの省エネ対策を推進してまいります。

○田中(た)委員 中小テナントビルのオーナーがグリーンリースを活用してオーナー、テナント問題を解決し、改修への投資につなげていく取り組みに大いに期待をしております。また、都によるグリーンリースの取り組みは、全国への波及も期待され、きめ細かく丁寧に取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、水素社会の実現について伺います。
 水素エネルギーは、利用の段階でCO2を排出せず、今後、製造段階でも排出しないCO2フリー水素が実用化されれば、低炭素社会の切り札となります。また、将来的には、交通手段や家庭だけではなく、まちづくりのあらゆる場面での利用が期待されております。
 一方で、多くの都民にとって水素の持つ意義や可能性は十分浸透しているとはいえません。水素社会の実現に向け、とりわけエネルギーの利用者である都民の理解を深めていくことが重要であります。
 先日、都が日本科学未来館で開催したイベントがニュースで取り上げられていましたが、水素を利活用する意義や安全性に関する正確な情報をさまざまな手段で都民に提供していく必要があります。
 今後、都は、都民への普及啓発にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○遠藤環境局長 水素社会の実現には、都民が水素について正しく理解する機会を積極的に提供していくことが重要でございます。
 間もなく開所する潮見水素ステーションの敷地内に、水素の特徴や安全性、エネルギーとしての将来性などをわかりやすく紹介する展示施設として、水素情報館東京スイソミルをこの夏にオープンいたします。
 この施設では、水素エネルギーに実際に接する機会を創出するため、燃料電池自動車の試乗や、水素をつくったり使ったりする実験等を通じまして、子供から高齢者まで水素について楽しく学ぶことができるようにしてまいります。
 また、水素社会の未来像などを伝える映像コンテンツを制作し、積極的な広報活動を展開することで、都民が水素社会を具体的にイメージし、身近に感じることができるようにしてまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも都民の理解を深める取り組みを行っていただきたいと思います。
 水素社会の未来を握っているのは子供たちであります。訪れた子供たちが興味を持って学べるような場の整備は大変評価していきたいと思います。多くの都民に水素をしっかりとPRし、理解促進に努めることを改めて要望いたします。
 一方、交通局では燃料電池バスの普及促進に向け、メーカーの車両開発のために行う実証実験に協力するなど、先導的な取り組みを進めております。
 今後、燃料電池バスの導入拡大を図るためには、一般の水素ステーションよりも充填能力が高い水素ステーションの整備が不可欠であります。
 また、燃料電池バスは大容量の電力供給能力を備えていることから、災害発生時に非常用電源として活用することも検討すべきと考えます。
 そこで、交通局の今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○塩見交通局長 交通局では、燃料電池バスを平成二十八年度に二両、平成三十三年度までに八十両を全国に先駆けて導入し、臨海部のバス路線を中心に運行してまいります。
 さらに、燃料電池バスの安定的な運行を確保するため、臨海部周辺の営業所内に、バスに充填するための水素ステーションの設置を検討し、平成三十一年度を目途に整備してまいります。
 また、震災時、災害時には、燃料電池バスを移動式の非常用外部電源として積極的に提供してまいります。
 こうした取り組みを通じて燃料電池バスの普及を牽引してまいります。

○田中(た)委員 交通局の積極的取り組みには大いに期待をしているところであります。
 また、先ほど都立公園の防災機能強化についてお伺いをいたしましたが、都立公園の駐車場にこの燃料電池バスを停車させ、公園内の防災施設に電力を供給する仕組みも有効だと考えますので、ぜひともご検討いただきたいと思います。
 さまざまな可能性が期待されている水素エネルギーですが、現時点では、何といっても燃料電池自動車と水素ステーションが水素社会の未来を切り開く先導役であります。
 先般、知事は、二〇三〇年までに燃料電池自動車を二十万台普及させるとともに、水素ステーションを百五十カ所整備する新たな目標を掲げました。長期ビジョンで示した二〇二五年の目標から五年間でほぼ倍増させる意欲的な目標であり、都民や事業者に都の決意を示すメッセージとなります。
 今後、水素社会の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、知事のご見解をお伺いいたします。

○舛添知事 昨年開催されましたCOP21におきましてパリ協定が採択され、世界の気候変動対策がいよいよ実行段階に入りました。環境と調和した持続的な成長に向けて大きな可能性を秘めたエネルギー、それが水素であります。
 都は今般、環境基本計画の策定の中で、これまで取り組んできました水素社会への動きをさらに前に進めていくために、新たに燃料電池自動車と水素ステーションについて、二〇三〇年までの意欲的な目標を掲げました。
 目標達成に向けまして四百億円の基金を有効活用し、初期需要の創出やインフラ整備を加速化させ、将来の自律的な普及拡大につなげてまいります。
 先般、林幹雄経済産業大臣と会談し、規制緩和について直接要望をいたしました。
 水素ステーションの整備促進に当たりまして、公道との保安距離に関する規制が大きな課題であります。
 都としても、みずから汗をかき、来年度、新たな緩和措置の提案に向けた調査検討を実施いたします。この成果も活用しながら、国に対してさらなる規制緩和を求めていきたいと思っております。
 こうした取り組みを総合的、一体的に進めまして、二〇二〇年大会を起爆剤にして水素社会への動きを加速化させていきたいと考えております。

○田中(た)委員 国に対する規制緩和に関しましては、前高島議長にもご尽力をいただきまして、議長会において呼びかけをし、また国に対する働きかけも行っていただきましたが、ぜひこの分野については、知事ともしっかりとした連携のもと取り組んでいきたいと思います。
 数値目標を達成するには、またさらにガソリンスタンドの経営者などとの連携も必要と考えます。それらの事業者の対応にもしっかり配慮した取り組みを行っていただきたいと思います。
 また、水素エネルギーは産業の裾野も広く、都内の中小企業が未来に向けて力を発揮する場面をつくることができるとも考えております。都の積極的な取り組みにより、国や事業者を力強く牽引していくことも期待をしております。
 次に、都市計画道路の整備についてお伺いをいたします。
 我が党の代表質問で、都は来年度より、新たな整備方針に基づき、骨格幹線道路や補助幹線道路など都市計画道路網の早期形成に努めていくとの答弁がありました。
 道路ネットワークという観点からは、近隣県との連携強化も重要な課題の一つであります。
 災害時における救援物資の輸送や救援、救護活動、また広域的な避難活動などに資する都県境の道路網の拡充も重要と考えますが、都の見解を伺います。

○安井東京都技監 都はこれまで、都内の都市計画道路の整備状況を踏まえまして、例えば埼玉県とつながる調布保谷線など都県境の道路整備を図ってまいりました。
 今回の整備方針案におきましても、隣接県市と調整の上、江戸川を横断して千葉県と連絡する路線を初め、埼玉県や神奈川県とつながる十五の都市計画道路を優先整備路線としてお示ししてございます。
 また、隣接する関係自治体と協議し、相模原、橋本方面に向かう南多摩尾根幹線の延伸など、新たに四つの都市計画道路につきましても提案してございます。
 こうした道路の整備により、広域的な交流、連携を図る都県境のネットワークを充実させてまいります。

○田中(た)委員 隣接する関係県市と連携し、都県境の道路網の拡充に向けて積極的な取り組みをお願いいたします。
 今回の整備方針により、都内の都市計画道路の約八割が完成します。長期的な都市づくりを考えている今だからこそ、残り二割のあり方について腰を据えて考える時期であると思います。
 今回の整備方針案では、残る都市計画道路について、社会経済情勢の変化などを見据えて、そのあり方を検討していくという方針が示されましたが、具体的にどのように取り組んでいくのかお伺いをいたします。

○安井東京都技監 今回の整備方針案では、都市計画で定められた幅員での整備は完了していないものの、既に一定の交通機能が確保されている、いわゆる概成道路などについて計画を見直していくこととしてございます。
 具体的には、都市計画道路が広域的に見てネットワークとして機能する、こういうことを前提といたしまして、交通の処理や歩行者空間の確保などの観点から、概成道路の計画幅員に基づく整備について検証いたします。
 また、道路と公園とが重複している箇所につきましては、例えば、歩行者空間を双方の都市施設で共有できるかなどについても検討いたしまして、必要に応じて都市計画の変更を行うことといたします。
 見直すべきものは見直し、整備するものは着実に整備する、こうした方針のもと、将来にわたる東京の持続的発展を支える都市計画道路ネットワークの早期形成を図ってまいります。

○田中(た)委員 整備すべき都市計画道路について着実に事業を推進していく一方、見直すべきものはきちんと見直していく方向性は、我が党の考え方と軌を一にするものと考えます。
 また、都市計画道路を着実に整備していくために、事業着手前でも機動的に用地を取得できる仕組みを導入するとありましたが、事業のスピードアップにもつながる制度であり、ぜひ進めてほしいと思います。
 いずれにしても、新たな整備方針に基づき、積極的に取り組んでいくことを要望いたします。
 次に、豊洲市場についてお伺いいたします。
 これまで多くの議論や取り組みを重ねてきた中、いよいよ本年十一月七日に築地から豊洲へ市場が移転します。開場まで残り三百日を切っており、都としても、限られた時間の中で市場業界と連携し、開場に向け万全を尽くしてほしいと思います。
 豊洲市場の十一月開場に対し、年末の繁忙期を控え、現在の築地においても市場機能の一部が残るとの話もささやかれています。築地市場は、全国の産地から荷を集め、都民の豊かな食生活を支えてきた市場であります。
 東京を初め全国の取引相手の方々が移転に当たり混乱することのないよう、都としても丁寧な周知を図るべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○岸本中央卸売市場長 十一月二日に築地市場が業務を終了した後、四日間で引っ越しを完了し、市場機能は十一月七日に開場いたします豊洲市場へ全て引き継がれることとなります。移転後は速やかに築地市場跡地での解体工事に着手をいたします。
 都といたしましては、市場業界と協力いたしまして、全国の産地や買い出し人などが豊洲市場をスムーズにご利用いただけるよう、豊洲市場への交通アクセスや市場内の動線等について市場関係者へ丁寧に周知を図ってまいります。

○田中(た)委員 長年築地市場を利用してきた方々が混乱することのないよう周知徹底に努めていただきたいと思います。
 築地から豊洲への移転は、まさに百年に一度の大事業であります。円滑に移転するためには、さまざまな創意工夫を凝らす必要があります。例えば、引っ越しについては開通前の環状二号線を活用するなど、前例にとらわれない対応も必要だと考えます。
 都と市場業界との協議はまさに佳境を迎えていると伺っております。豊洲市場の施設の完成を待つばかりとなった今、都はみずからの責任の重さを十分認識し、十一月七日の開場に向けた課題の解決に全力を尽くすべきと考えますが、決意をお伺いいたします。

○岸本中央卸売市場長 豊洲市場を確実に開場するためには、業界の行う造作工事の工程管理や、先ほど申し上げました市場関係者への周知徹底など、さまざまな課題を解決していかなければなりません。
 とりわけ、ご指摘の引っ越しにつきましては、短期間で極めて大規模の引っ越しとなりますことから、円滑な運搬や交通安全等の観点から、供用前の環状第二号線を活用するなどの取り組みを行い、万全を期してまいります。
 八十年の歴史と伝統に支えられた築地市場を時代の要請にふさわしい市場へと発展させることは都の責務であります。都と業界が一丸となって取り組み、本年十一月七日に確実に豊洲市場を開場いたします。

○田中(た)委員 築地から豊洲へスムーズに引っ越しが行われ、予定どおり十一月七日に混乱なく取引がスタートし、さらには都民の皆様から愛される市場になることを大いに期待しております。
 次に、小笠原の航空路開設についてお伺いをいたします。
 この航空路の開設は、本土から遠く離れた小笠原で村民の方々が安心して暮らすためにも極めて重要な課題であり、昨年第四回定例会でも我が党は代表質問で取り上げたところであります。
 世界自然遺産であり、国境離島でもある小笠原特有の課題があることは我が党も十分承知をしておりますが、こうした課題の解決のためには、都による調査に加え、村や国の関係省庁も含めた関係機関が一体となって検討していくことが重要であると考えます。
 そこで、二十八年度予算案ではどのような調査を行い、関係機関との検討をどのように進めていくのかお伺いをいたします。

○中西総務局長 平成二十八年度の小笠原航空路に関する調査費につきましては、今年度予算の約一・六倍に当たります一億一千万円に増額し、動植物の生態に与える影響や最新機材の開発動向、運航採算性等について鋭意調査を行ってまいります。
 検討体制については、これまでも小笠原村と実務的な検討や情報共有を行ってまいりましたが、今後さらに検討を進めるに当たっては、航空法や自然公園法等が定める規制を初め、解決すべき多くの課題があり、こうした課題の解決のためには、関係法令を所管いたします国の指導助言が不可欠であります。
 このため、村はもとより、国を交えた検討会議を早期に立ち上げ、一層緊密に関係機関との調整を行い、課題を深く掘り下げながら検討を進めてまいります。

○田中(た)委員 ぜひ、鋭意調査を進めるとともに、国を交えてしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 現在、村民の方々は、重篤な傷病の場合、自衛隊機で本土へ移送され、出産の際などは本土での長期滞在を余儀なくされており、精神的、経済的な負担も大きいのが現状であります。また、領土、領海の保全など、国益上重要な国境離島として国政でも高い関心が示されており、我が党の国会議員有志が結成した小笠原を応援する会においても、航空路の開設など、小笠原のさらなる振興について支援する動きが出てきております。
 こうした機運の高まりに鑑み、これまでの案に必ずしもとらわれることなく、幅広い観点から、ぜひ実現可能な航空路案をしっかりと検討していただきたいと思います。
 そこで、小笠原の航空路開設に関し、改めて知事のご決意をお伺いいたします。

○舛添知事 小笠原の航空路開設は、今、田中理事おっしゃったように、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展を図る上で極めて重要でありまして、長年にわたる小笠原村民の切なる願いであることは私も強く認識をしております。
 航空路開設に当たりましては、さまざまな課題がありますことから、小笠原村や国など関係機関との調整を一層緊密に、かつ丁寧に行うとともに、環境への影響や運航採算性、最新の技術開発動向などに係る調査を幅広い視点に立って実施してまいります。
 こうした調査の結果や国との調整等を踏まえ、自然環境と調和した実現可能な航空路案が取りまとめられるよう精力的に検討を進めてまいります。

○田中(た)委員 これまでの経緯を踏まえますと、小笠原の村民の方々の期待にぜひ応える取り組みを行っていただきたいと思います。
 小笠原村は二年後の平成三十年に本土復帰五十周年を迎えますが、村や小笠原を応援する会からこの時期までにぜひ航空路開設の方向性を見出してほしいとの声を伺っております。
 都は、こうした声を真摯に受けとめ、村や国と十分に協議を行い、一定の方向性が示されることを改めて要望いたします。
 次に、産業振興について伺います。
 日本の産業の発展は東京の行動にかかっているといっても過言ではなく、東京と各地がしっかりスクラムを組んでいくべきであります。
 さきの本会議では、都は四十六全ての道府県への訪問を済ませ、そこでの意見も踏まえ、新たな連携策に着手したことを明らかにいたしました。プロジェクトで描いた施策をただ進めるのではなく、各道府県から聞いた生の声を生かし、協力して事を進めていく姿勢が必要であります。
 そこで、都は来年度、各道府県から得た意見を踏まえ、具体的にどのように産業振興策を進めていくのか伺います。

○山本産業労働局長 ALL JAPAN&TOKYOプロジェクトには、全国の中小企業の活性化、各地と連携した観光振興や農林業振興など、幅広い施策を盛り込んでおります。
 全国の道府県庁や商工団体を訪問いたしまして、連携の具体化に向けて協議を行いましたところ、東京の大きなマーケットやビジネスチャンス、多様な人材、企業との連携、強い情報発信力などへの期待が高く、こちらから各地に出向いて交流機会を設ける取り組みなども求められたところでございます。
 来年度は、こうした意見も踏まえまして、ポータルサイトでさまざまなビジネス情報を全国の中小企業に提供するほか、東京のデザイナーとテキスタイル産地の交流機会の創出、産業交流展での全国ゾーンの拡大、東京と各地が連携した外国人旅行者誘致、各県に出向いて行う商談会など、東京と日本全体の発展に資する産業振興策を本格的に実施してまいります。

○田中(た)委員 二〇一九年、二〇年と、日本全体が団結すべきビッグイベントが続きます。産業分野での取り組みをさまざまな連携につなげ、オール日本の協力体制を築いていくことを期待しております。
 先日の代表質問で、我が党はGDP六百兆円の達成に向けた支援を議論しました。TPP協定が発効すれば、域内人口八億人、世界のGDPの四割を占める巨大な経済圏が誕生し、新たな国の加入や他のFTAなどへの波及も期待されております。TPPの効果や影響は産業により異なりますが、製品やサービスの高付加価値、ブランド化を進め、打って出る、あるいは迎え撃つ体制を整える視点が大切と考えます。
 まず、海外市場へ活躍の場を広げようとする中小企業が資金を円滑に調達できるよう支援することが必要であります。
 先日の代表質問で、都は金融機関とジェトロなどが連携した新たな支援に取り組むと答弁いたしました。積極的な融資に結びつく実効性の高い支援とすべきでありますが、具体的な支援の仕組みについてお伺いをいたします。

○山本産業労働局長 来年度開始する事業では、金融機関と連携するジェトロなどの機関の多様な支援を原則無償で提供いたします。
 ジェトロにおいては、専門家を中小企業に派遣し、企業のニーズを踏まえた支援方針を策定するとともに、現地情報の提供や販路開拓の支援などを行います。ジェトロはこうした支援内容や実現可能性に関する情報をレポートにし、金融機関と共有することで積極的な融資につなげてまいります。
 そのため、都としては制度融資に海外展開支援メニューを新設し、最優遇金利を適用するとともに、信用保証料の二分の一を補助するなど、中小企業の負担にも配慮しつつ、海外展開を金融面から強力に後押ししてまいります。

○田中(た)委員 TPPを見据えた海外展開の新たな支援として積極的な取り組みを求めておきます。
 中小企業支援に関連して、この四月に新銀行東京は、東京TYフィナンシャルグループと経営統合し、新たな一歩を踏み出します。追加出資の四百億円については、優先株式という形でしっかりと確保されております。
 都は、東京TYフィナンシャルグループの株主として経営を見守ることになりますが、我が党が主張してきたように、中小企業支援の強化という新銀行東京の設立理念の継承こそが重要であります。
 昨年九月に締結した包括連携協定を生かし、金融支援はもちろん、都内百二十四店舗のネットワークにより都の施策を中小企業にしっかりと行き渡らせ、そして、現場の声をフィードバックし、施策に生かしていただきたいと思います。
 都と東京TYフィナンシャルグループとの連携の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

○山本産業労働局長 東京TYフィナンシャルグループは、中小企業に対する金融支援として、この四月から中小企業振興公社の知財活用支援を受けた企業に対する融資を開始するほか、都独自の制度でございます地域の金融機関と連携した新保証つき融資の取り扱いを新たに始める予定でございます。
 また、来年度、都の各種支援策や展示会などを検索できるアプリを東京都が開発いたしまして、タブレット端末等を用いて行員が営業現場で活用するほか、都内全店舗に案内コーナーを設置し、東京都のさまざまな産業振興施策を広く紹介いたします。
 なお、このコーナーでパンフレットなどを置くラックは、多摩産材製にしたいと考えております。
 都としては、営業現場で得られた意見や要望を施策に反映させるなど、双方向の取り組みにより、中小企業への支援を一層強化してまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも新銀行東京、あるいは東京TYフィナンシャルグループとの連携を図っていただきたいと思います。そしてまた同時に、ぜひ多摩産材の普及も重ねてお願いをしたいと思います。
 グループ内には連携の専門部署も設けられたとのことであります。緊密な関係を築き、中小企業支援のさらなる強化につなげることを期待いたします。
 次に、農畜産物に関してでありますが、TPPを見据え、都内産農畜産物は、これまで以上に商品価値を高めていく、ブランド化の推進が必要となります。
 例えば、有名な京野菜は、絶滅の危機に瀕していたものをブランド化の取り組みにより見事に復活させたとのことであります。東京でも、温暖な八丈島でのフルーツレモンや西多摩の伝統的なノラボウナなどは、その魅力を最大限引き出すPRや販売により知名度も上がり、消費拡大につながります。
 都内産農畜産物の競争力を高めるため、販売促進などの観点からブランド化支援を強化すべきですが、所見をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 農畜産物のブランド化に向けた取り組みといたしまして、東京都はこれまで、新品種の開発や高品質で安定生産ができる栽培技術の指導、ブランド化に積極的な農業者グループの育成などに取り組んできております。
 来年度は、新たに中小企業診断士が農畜産物の生産量や生産コストなどを踏まえたブランド戦略づくりへのアドバイスを開始いたします。
 また、市場調査や販路開拓、ロゴやパッケージのデザイン等についても、各分野の専門家を派遣し、商品価値の向上に向けた取り組みを支援いたします。
 加えて、消費者へのアピールのためののぼり旗などのPRグッズの製作費やマルシェの出店経費の助成など、多面的な支援によりまして、都内産農畜産物のブランド化を強力に推進してまいります。

○田中(た)委員 ブランド化に成功し、海外への輸出が伸びている地方の農畜産物もあると伺っております。ぜひ、引き続き積極的な支援をお願いいたします。
 次に、林業に関してでありますが、TPPによる製材品への関税撤廃などを見据え、森林整備への支援はもちろんのこと、多摩産材の利用拡大を進めることが重要と考えます。
 私の地元にある東急池上線の戸越銀座駅では、現在、都の支援により多摩産材による駅舎の建築が進められています。完成予想図を見ると、ホームの壁や天井などに木材がふんだんに使われ、多摩産材の認知度向上が期待できます。
 さらには、民間の商業施設や都内で年間五万戸建設される木造住宅などでの利用を進めることも重要と考えますが、多摩産材の民間利用拡大に向けた取り組みについてお伺いいたします。

○山本産業労働局長 都では、多摩産材の民間利用の一層の拡大を図るため、来年度、新たに基金を造成し、多くの人に利用される、認知度向上も期待できる民間商業施設の案内カウンターや通路等の木質化を計画的に支援してまいります。
 また、住宅を建設しようと検討されている都民の方々に多摩産材の利用を直接働きかけるため、住宅展示場でのモデルハウスの整備を進めるとともに、住宅を設計する建築士を対象に、木造設計等に関する講習会の開催や、製材事業者等の情報発信を行ってまいります。
 こうした取り組みを進めることにより、東京の木、多摩産材の民間利用のさらなる拡大に努めてまいります。

○田中(た)委員 さまざまな形で都民の皆さんの目に触れ、木のよさを実感してもらえるよう、引き続き積極的にPRしていただきたいと思います。
 次に、雇用に関しお伺いをいたします。
 一億総活躍社会の実現には、誰もが安心して働ける雇用環境整備が重要であります。我が党は、昨年第四回定例会で非正規雇用対策を取り上げ、中小企業における人材確保の面からもパート社員等の正規雇用転換が有効であること、そして、退職金制度の整備に伴う負担軽減への支援など、きめ細かな対応が必要であると指摘いたしました。
 非正規対策を加速させ、中小企業の人材確保も図るため、トータルで目配りのきいた支援が必要でありますが、都の見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 企業現場で高まりつつある正社員転換による人材確保の動きを加速させるため、国の助成金に最高五十万円を上乗せする都独自の助成金の事業規模を、来年度、大幅に拡充いたします。
 加えて、安定した労働条件を確保する制度の導入を後押しするため、退職までを見据えた支援を新たに実施いたします。具体的には、企業が正社員転換した従業員を中小企業退職金共済制度へ加入させた場合、助成金を、さらに一人当たり十万円加算をいたします。
 今後とも、中小企業における人材確保と安定した雇用環境の実現に着実に取り組んでまいります。

○田中(た)委員 正社員として人を雇うことに、経営者の方は重い責任を感じております。制度の利用に向けた十分な周知をお願いしておきます。
 次に、安全・安心の視点からお伺いをいたします。
 世界に誇る東京の治安は、警察や行政の取り組みに加え、町会、自治会等の地道な防犯活動により支えられております。しかし、これらの団体も高齢化等の課題を抱えており、地域の安全を全て任せることはできません。
 都は、昨年六月に、安全安心まちづくり条例を改正し、地域における安全・安心の体制強化の規定を盛り込むとともに、七月には事業者が業務をしながら子供らの弱者を見守る、ながら見守り連携事業を開始いたしました。今後、さらに地域で活動する事業者の協力を得るなど、総力を結集した体制をつくることが重要であります。
 今回は、条例改正後初の予算編成であり、これを契機として、地域における安全・安心の体制強化に向けた取り組みを加速させる必要があると考えますが、ながら見守り連携事業を今後どのように展開していくのか、お伺いをいたします。

○廣田青少年・治安対策本部長 地域の力を強化するためには、町会、自治会等の団体のみならず、地域に密着した民間事業者に着目し、安全・安心に関する活動への参加を進めることは重要でございます。
 都は、昨年七月に日本郵便東京支社及び東京都信用金庫協会と、十二月にはセブンイレブン・ジャパンと包括協定を締結し、事業者が犯罪などから弱者を見守る取り組みを開始いたしました。また、地域の見守り要望箇所の走行など、より地域の実情を踏まえた取り組みとなるよう、年度末までに十区市町村が個別協定を締結いたします。
 来年度は、さまざまな事業者へと取り組み拡大を図るとともに、新たに、ながら見守りへの協力をあらわすステッカーの配布等を行うほか、ポータルサイトによる情報提供等により、区市町村に個別協定の締結を働きかけるなど、都内全域に事業を展開し、地域の安全・安心の体制を強化してまいります。

○田中(た)委員 今後も地域の見守りの目が充実し、安全・安心の都市の実現を期待いたします。
 次に、福祉施策についてお伺いをいたします。
 高齢化が進む中、都は、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいますが、中重度の要介護高齢者を支えるためには、特別養護老人ホームの整備も重要であります。
 都はこれまで、土地賃借料や整備費に対する独自の補助制度により制度を促進してきましたが、平成三十七年度末までに六万人分確保するという長期ビジョンの目標を確実に達成するためには、さらなる支援策を講じ、整備を一層加速する必要があります。
 我が党の代表質問に対し、来年度から、整備率が低い地域での整備費補助の加算を拡充するという答弁がありましたが、その具体的な内容についてお伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 都はこれまで、特別養護老人ホームの整備を促進するため、区市町村ごとの高齢者人口に対する整備率の中間値である一・二五%を基準として、これを下回る地域を対象に、ユニット型一床当たり五百万円である施設整備費の補助単価を、一・一倍から一・五倍の五段階で加算してまいりました。
 来年度からは、長期ビジョンで掲げた定員六万人分の目標達成に向けまして、加算を行う整備率の基準を二%に引き上げますとともに、各区市町村が属する老人福祉圏域の整備率も勘案することといたしました。
 その結果、加算対象となる地域は、現在の二十五の区市から四十五の区市に増加し、また、一・五倍の補助単価が適用される地域も、三つの区市から二十五の区市へと大幅に拡大する見込みでございます。

○田中(た)委員 加算対象地域が大幅にふえ、多くの地域で加算割合が拡大すること、これを評価したいと思います。
 国においても、一億総活躍社会の実現に向け、介護離職ゼロを目指し、特別養護老人ホーム等の介護サービスの基盤確保を進めるとしており、昨年十一月に打ち出した緊急対策の中には、都が提案要求し、我が党も強力に後押ししてきた特別養護老人ホームの建物所有要件の規制緩和や国有地の減額貸付等が盛り込まれました。
 こうした国の動きに、都もしっかりと応えていくべきと考えますが、規制緩和を踏まえた今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 特別養護老人ホームは、これまで運営事業者が建物を自己所有することが要件とされておりましたが、今般、国は、介護離職ゼロに向けた緊急対策の中で、都の提案を受けまして、特別養護老人ホームの建物所有要件に係る規制緩和を行う方針を打ち出しました。
 これを受け、都は来年度から、土地所有者等が賃貸目的で特別養護老人ホームを整備する場合についても、新たに施設整備費を補助することといたしました。
 現在、都市型軽費老人ホームや認知症高齢者グループホームでは、土地所有者等による整備が補助実績の約半数を占めていることから、特別養護老人ホームでも、より一層の整備促進につながるものと考えておりまして、今後、土地所有者等に対する説明会を開催するなど、新たな補助制度を広く周知してまいります。

○田中(た)委員 これを契機に、運営事業者はイニシャルコストを低減でき、土地所有者も資産を活用した社会貢献が可能になります。都もしっかりと整備を進めていただきたいと思います。
 次に、国有地の減額貸付についても伺います。
 これは、都有地の利用促進の実績を踏まえた都の提案も受けて実現したものでありますが、今後の都の取り組みについてお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都は現在、福祉インフラの整備を促進するため、未利用都有地を減額貸付する事業を実施しており、特別養護老人ホームにつきましては、これまでに十件、運営事業者を決定しております。こうした実績も踏まえ、都はこれまで、国に対し、国有地の貸付料の減額や利用可能な国有地の情報提供を繰り返し提案要求してまいりました。
 都の提案を受け、国の緊急対策には国有地の減額貸付が盛り込まれ、既に一月には、都内で第一号案件の貸付契約が締結されました。また現在、国から四十五件の活用可能な国有地のリストも情報提供されております。
 今後、国有地の活用も含め、さまざまな支援策を講じ、特別養護老人ホームの整備を加速させてまいります。

○田中(た)委員 今回の規制緩和は、現場の実態に根差した都の問題意識に国が応えることで実現した大きな成果であります。今後も都と国が連携し、実効性の高い施策を強力に推し進めていただくことを期待いたします。
 次に、障害者の就労支援についてお伺いいたします。
 都内民間企業の障害者実雇用率は上昇しているものの、法定雇用率を下回っております。障害者が企業に就職し、働き続けるためには、就職前に実践的な就労経験を積むなど、円滑に一般就労へ移行するための支援が重要と考えます。
 障害者雇用の機運を醸成するためにも、都は、みずから率先して就労経験の機会を提供すべきと考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都はこれまで、知的障害者や精神障害者の就労を支援するため、チャレンジ雇用として、障害者を都庁内の各職場に配置し、就労経験を積む機会を提供してまいりました。しかし、配属された職場によって経験可能な業務が限られることや、雇用期間についても、一年もしくは六カ月のみで、障害者の多様なニーズに十分対応していないという課題がございました。
 そのため、来年度からは、庁内各局からさまざまな業務を受注し、幅広い経験を積むことができるよう、新たに東京チャレンジオフィスを設置して、受け入れを一カ所に集約することといたしました。
 また、雇用期間についても、最長三年間まで更新可能とするほか、一カ月程度の短期実習制度も導入し、障害者のニーズにきめ細かく対応した就労経験の場を提供してまいります。

○田中(た)委員 ぜひとも各局が協力し、障害者がさまざまな経験のできる機会を提供していただきたいと思います。
 一方で、一般企業での就労が難しい障害者も多くいらっしゃいます。こうした方々は福祉施設で働いていらっしゃいますが、その工賃は月額約一万五千円と低い水準にとどまっております。
 都は、昨年の予算特別委員会で我が党の質問に対し、福祉施設の製品の販路拡大や工賃向上につなげるため、福祉・トライアルショップの開設準備を進めると答弁しましたが、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 福祉・トライアルショップを、福祉施設の製品の販路拡大や工賃向上につなげていくためには、さまざまな製品を取りそろえ、その魅力を広く発信していくことが重要でございます。
 そのため、昨年六月から七月にかけて、都内約七百カ所の施設を対象に、自主製品の内容やショップへの参加意向等について調査を実施いたしました。
 また、本年一月に、製品の魅力を広く都民にPRするための特設サイトを開設するとともに、二月からは、製品を直接手にしてもらうための販売イベント、ユニークプラスマーケット二〇一六を実施しており、明日からは都庁でも開催をいたします。
 今後、イベント等の結果も生かし、店舗の設置場所やデザイン、取り扱う製品の選定等を進め、来年度、都庁のほか、区部、多摩各一カ所で店舗を開設いたします。

○田中(た)委員 都のこれまでの取り組みに対しては評価をしていきたいと思いますし、さらなる店舗拡充に向けた、引き続いての取り組みをよろしくお願いをしていきたいと思います。
 次に、家庭的養護の推進に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 都内には、虐待等の理由により、親元で暮らすことのできない子供が約四千人います。これらの子供たちが、家庭的な環境のもとで健やかに生活できるようにするためには、養育家庭や少人数の生活単位で養育を行うファミリーホーム、グループホームの家庭的養護の推進が不可欠であります。
 都は、昨年四月に社会的養護施策推進計画を策定し、平成四十一年度までに社会的養護に占める家庭的養護の割合を、現在の三割から六割に引き上げる目標を定めました。
 また、昨年の第四回定例会で、我が党の質問に対し、家庭的養護の推進に向け、具体的施策を検討するとの答弁を得ました。
 そこでまず、家庭的養護のうち、養育家庭に対する新たな取り組みをお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 都は現在、養育家庭への委託を推進するため、定期的な家庭訪問や心理カウンセリング等を行う里親支援機関事業を、三つの民間団体に委託をして実施しております。
 来年度は、養育家庭の登録数をふやすため、児童福祉分野に関心のある層にターゲットを絞った広報活動等を行う里親開拓コーディネーターを各団体に配置いたします。さらに、養育家庭への支援の充実を図るため、経験の浅い養育家庭への実践的な研修を行う里親トレーナーや、健康管理に配慮が必要な乳幼児等を委託した家庭を訪問し、助言等を行う保健師等も配置することとしております。
 また、養育家庭に対しましては、負担軽減を図るため、委託前に児童と交流する際にかかる交通費等を新たに補助するほか、共働き家庭が認証保育所等を利用する際の保育料の補助も実施いたします。

○田中(た)委員 ぜひ養育家庭をしっかりと支援していただきたいと思います。
 子供が抱える課題に合わせて適切な養育環境を提供するためには、グループホームやファミリーホームも重要な役割を担っております。グループホーム等の設置は進んでいるものの、職員の確保、育成や、適切な広さの物件を探すことが難しいとも伺っております。
 都として、どのようにグループホームやファミリーホームの設置を進めていくのか、来年度の新たな取り組みについてお伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 都は現在、グループホームやファミリーホームに対し、開設準備経費や家賃の助成、補助職員の増配置経費など、独自の支援を行っております。
 来年度は、賃貸物件も活用してその設置をさらに促進するため、土地や建物の所有者が新設または改修する場合の施設整備費補助を創設いたしますとともに、自己所有物件のみが対象でありました法人型ファミリーホーム開設時の備品購入等への補助を賃貸物件にも拡大いたします。
 また、グループホーム等を増設する児童養護施設での職員の確保、育成を支援するため、グループホーム等を三カ所以上設置する場合、後方支援等を行う常勤職員を増配置できるよう運営費への補助を増額するとともに、箇所数に応じた加算を行うこととしております。

○田中(た)委員 家庭的養護の割合を六割にするという目標の達成に向け、これらの取り組みを推進するとともに、今後も子供たちの状況やニーズを踏まえた施策を展開することを強く要望いたします。
 次に、都立高校改革に関してお伺いをいたします。
 先月、都教育委員会は、都立高校改革の計画を策定し、夜間定時制では勤労青少年が減少し、在籍生徒数も年々低下しているため、一部を閉課程し、一方、多様化する生徒のニーズに応えるため、昼夜間定時制やチャレンジスクールの規模を拡大するとしています。現在は、雇用形態や勤務時間も多様化しており、働いている生徒にとって、本当に夜間定時制だけが学びの場なのでしょうか。
 夜間定時制は四十四校、昼夜間定時制とチャレンジスクールは合わせて十一校あり、定時制在籍生徒の実に過半数が昼夜間定時制またはチャレンジスクールで学び、そのうち、三五%程度はアルバイト等で働いているとのことであります。
 そこで、昼夜間定時制やチャレンジスクールが、働いている生徒も含め、多くの生徒に選ばれる理由は何かお伺いをいたします。

○中井教育長 昼夜間定時制高校もチャレンジスクールも、生徒が自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて、午前部、午後部、夜間部の時間帯を選べる定時制単独校であります。単位制であるため、生徒は自分の所属する時間帯以外の授業も履修することができ、柔軟な単位取得が可能でございます。
 また、全日制、定時制併置校の夜間定時制課程と異なり、施設等が一日を通じて定時制課程専用となっていることから、生徒は自分の事情に応じて、個別指導や自習、相談等のために登校することができます。
 こうしたことから、多様化する生徒や保護者のニーズに応える昼夜間定時制高校やチャレンジスクールを順次拡大してまいりましたが、入学者選抜の応募倍率は依然として高い状況でありますことから、チャレンジスクールの新設を含め、さらなる規模の拡大を行うこととしたものでございます。

○田中(た)委員 今回の改革は、まさに今日の生徒によりよく合った定時制に整備するためのものであるということを改めて確認をさせていただきました。
 ところで、定時制課程の生徒の中には、働いていると始業時刻に間に合わない場合もあるかと思います。また、定時制に通う生徒は、仲間や先生との人間関係をつくるのが苦手で、そのことで学校から足が遠のいてしまうこともあるとも伺っております。
 都教育委員会は、これらの生徒にどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○中井教育長 学ぶ意欲のある生徒の学習を支援していくことは重要なことでございます。このため、定時制課程の高校に在籍する生徒が、さらに安心して仕事と学業を両立できるよう放課後の補習等を行うほか、就業などの継続的に行われている校外活動を単位認定するなどの支援を充実してまいります。
 また、今年度、ほぼ全ての定時制課程の高校において、生徒同士や教員との人間関係や信頼関係を築く力を身につけられるプログラムを一回程度実施したところ、生徒同士等のつながりが生まれ、第一学年の一月までの中途退学者は、昨年度より三割以上減少しております。
 このため、来年度は、このプログラムについて、入学当初や夏季休業日終了直後等にも実施できるよう年三回にふやし、定時制課程で学ぶ生徒の学校生活を支え、社会的に自立できる力を育成できるよう、さらに支援を強化してまいります。

○田中(た)委員 都教育委員会は、定時制で学ぶ全ての生徒の学校生活を、ハード、ソフト両面からしっかりと支えているものと改めて理解をいたしました。今回策定した都立高校改革推進計画新実施計画を着実に実施し、都民の要請に合った高校改革をしっかりと引き続き進めていただきたいと思っております。
 さて、平成二十八年度の予算を審議するに当たり、ここまでさまざまな観点から、知事並びに執行機関の考えを伺ってまいりました。
 知事は、本会議の我が党の質問に対して、この予算を原動力に東京の未来を創造すべく、私みずから先頭に立って全力を尽くすとその決意を述べられました。予算執行に限らず、知事が先頭に立って汗をかいていくこと、議会とともに都政を担う二元代表制のトップとしてリーダーシップを発揮していくことが都政の前進に不可欠であります。
 二〇一九年、二〇二〇年が迫ってまいります。少子高齢化や災害対策など、待ったなしの課題も山積しております。我々は、平成二十八年度は都政にとって極めて重要な年度になると覚悟を固めております。
 そこで、最後に、知事の来年度の都政運営にかける決意をお伺いいたします。

○舛添知事 東京と日本にとって重要なこの時期に、都政運営を担う者として一年一年が勝負の年だと覚悟をいたしております。
 私みずからが都政の先頭に立ちまして、今後の東京を大きく飛躍させる基礎を築いてまいります。来年度は、これからの東京を形づくるための重要な年だと考えております。
 二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック、この二つの世界的な大会を何としても成功に導いてまいります。そして、その貴重なレガシーを持続的な経済成長とゆとりある暮らしが両立した成熟都市の実現へとつなげなければなりません。
 先般の国勢調査の速報値では、改めて日本の人口減少があらわになりました。私のように団塊の世代、いわゆるベビーブーマーの世代には、まさに隔世の感がいたします。こういう社会構造の大きな転換点に当たって、明るい未来をどういうふうにして築いていくのかと。これは非常に大切な課題でございます。一人一人の個性、多様性を大切にした政策、そして、人生に多様な選択肢が用意されるような政策の必要性はますます高まってくると思っております。抜本的な発想の転換や大胆な施策展開が一層求められております。
 東京を取り巻く環境の変化に的確に対処し、効果的に政策を打ち出していくためには、ともに都民を代表する都議会の皆様と、こうして真摯な議論を交わしていくことが不可欠であります。建設的な議論の積み重ねこそが政策を磨かれたものにしていくと考えております。
 私は、皆様とまさに車の両輪として山積する課題に取り組み、夢と希望にあふれる世界一の都市東京を実現していく決意でございます。

○田中(た)委員 ただいま大変力強い知事の決意をお伺いすることができました。私も冒頭申し上げましたとおり、二元代表制としてのこの立場を得るに当たっては、それぞれ知事も、我々議会も選挙を通じて、都民の負託を受けて、ここにそれぞれ立っているということでありまして、都民に対する責任をしっかりと、この議会を通じて果たしていく、そのような間柄であっていきたいと思っております。
 まだ若干、ちょっと時間がありますので、先ほど私は、知事、大変文化に造詣が深いというようなお話もさせていただきました。
 東京大会に関連して、先ほども文化についての質問をいたしましたけれども、過去の歴史を見ておりましても、まずは平和な時期に、そしてまた財政的にも安定している時期に、文化に対する造詣の深い、理解の深い為政者によって、その時々、これまで文化は栄えてきました。
 私は、知事のこれまでの発言、あるいは知事のさまざまな行動、活動を見ておりますと、大変文化に対する思いが強いものと受けとめております。
 今回のオリンピックの開催を通じて、そしてまた、さらにその先の文化ビジョンを推進していきながら、文化の推進といったものを図っていくべきと思っておりますが、特にその文化の視点での知事の、また改めて思いをお伺いしていきたいと思います。

○舛添知事 先般、パリのイダルゴ市長がお見えになりました。議会でもすばらしい演説をしていただきましたけれども、世界のランキングで、パリは三位、我々は四位であります。文化という点で、まだまだパリに学ぶところがたくさんあると思っております。特に美術館などにおいて、例えばルーブル美術館に入館する方と、上野もたくさんございますけど、この美術館の差が歴然としている。こういうところでどういうふうにして埋めるかなと。
 先般、私がパリに参りましたときに、プティ・パレという美術館で歌川国芳の展覧会をやっておりました。これは物すごい人気でありまして、同時期にフランスの版画も展示されてましたけれども、最高の紙は日本の和紙、ヨーロッパの人たちもそれを使った。
 そういう観点から見ると、先般、パリの市長にも申し上げましたけど、パリには海はありませんねと。向こうはセーヌ川があります。我々は川だけじゃなくて海もありますねと。そういうことで、やはり江戸の文化というのを我々は再生するという観点が必要で、ぜひそれをリオのパフォーマンスでも取り入れたいと思っております。
 そして、私たちは、水を交通、生活に使うとともに、やっぱり文化をそこで育てた。隅田川が一番いい例ですけれども、徳川吉宗というのは、これは防災対策とともに、あそこに桜を植えることによって人がたくさん来る。そうすると、これはみんなが踏み固めますから堤防ができる。この桜が今も続いておりまして、隅田川を川下りしながら、もうすぐ時期ですけれども、花見をする。そして、屋形船を浮かべて、夏はこの両国橋のところで花火を上げると。
 こういうことは、世界の誰が見てもすばらしいことでありますので、ぜひこれを我々もしっかりと受け継いでいきたいし、例えばライトアップということをやります。ライトアップ、これも文化の一つであって、これが東京が一番おくれている。パリ、ロンドンの美しさに比べてライトアップが足りません。これを、例えば隅田川の全部の橋を、色を変えてライトアップしようと。豊洲が開場しますけど、豊洲は特別な色で展示をしようと。それで夜、東京を見たときに、すばらしく光輝く。そして今、LEDを使いますから、そんなにエネルギー代もかかりません。
 そしてまた、私たちが水を誇りに思っているのは--江戸の時代のイギリスは、ロンドンは汚くてしようがないまちであった。それは水の管理がちゃんとできていなかった。そして我々は、リサイクル社会を江戸時代につくっていったと。
 汚い話ですけど、ふん尿の処理は世界最高であって、それが肥料になってリサイクルする。それから、隅田川上流から下流に下ってくるときに、船でいっぱいごみを運んでくるんですけど、下流まで行くときに全てなくなっている、みんながリサイクルする。そして、江戸のまちで一番大きかった店は古着屋であって、皆がリサイクルする。こういうリサイクル文化が、今、CO2の削減を含めて世界をリードする最先端の環境問題に対応できるというふうに思っておりますので、そういう広い意味での文化を、我々は東京から発信していく。これが人類を救う道にもなるというふうに思っております。
 それから、障害者についても、残念ながら、障害者を中心とするアール・ブリュット、こういう美術館がありません。これはぜひ皆さんのお力をおかりして--滋賀にはあるんです、しかし、東京にないとだめだと思っておりますので、こういう点においても充実をしてまいりたいと思っております。
 全力を挙げて、スポーツの大会でありますけれども、同時に、オリンピック憲章にも文化の大会であるといわれている。ロンドンも文化で成功した。ぜひロンドン、パリを抜いて世界一になるように頑張っていきたいと思っております。

○田中(た)委員 ありがとうございました。昭和三十九年のときの東京オリンピックは、まさに高度経済成長期の大会でありましたけれども、その経験を経て成熟した今日の国家のもとで行われるオリンピックは、私はまさに知事のお話のように、文化、あるいは環境といったものが大きなテーマになってくると思っておりますので、ぜひそういった視点からも、しっかり東京から魅力発信できる、そしてまた、その上での将来につながるオリンピック・パラリンピックの開催に向けて、ともに努力をしていきたいと思っております。
 ありがとうございました。(拍手)

○早坂委員長 田中たけし理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十一分休憩

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