予算特別委員会速記録第五号

○鈴木(あ)委員長 西崎光子委員の発言を許します。

○西崎委員 まず初めに、防災対策について伺います。
 先日、国連防災世界会議が仙台市で開かれ、最終日に採択された国際的な取り組み指針には、障害のある人が防災の取り組みに参加することや女性のリーダーシップの大切さが初めて盛り込まれました。
 東日本大震災では、女性、高齢者等の視点を踏まえた対応が必ずしも十分でなかったことから、国においては、防災計画の見直しや災害対策基本法の改正が行われました。
 都においても、東日本大震災の教訓を踏まえて行われた東京都地域防災計画修正に際して、女性の視点を踏まえて見直しを行ったことは評価しております。
 今後、都は区市町村とも連携しながら、災害時のさまざまな場面において、女性や障害者に対する配慮がなされるよう取り組みを進めていくべきと考えますが、知事の見解をお聞かせください。

○舛添知事 首都直下地震発生の切迫性が指摘されております今日、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会開催も見据えて、都は世界一安全・安心な都市の実現に向けて取り組んでございます。
 大地震等の際に、女性や障害者を初め、高齢者、乳幼児など災害時に特に配慮が必要な方々の安全と安心を確保することは、知事として果たすべき当然の責務でございます。
 昨年末に東京の防災プランを策定しまして、二〇二〇年に向けて都民や企業の皆様方と一緒に取り組む防災の指針を示しましたけれども、その中でも、こうした方々にも配慮した備蓄や避難所運営の推進を掲げてございます。
 今後とも、女性や障害者を初め、全ての都民の安全と安心を確保していくために、区市町村などとも連携しつつ、具体的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○西崎委員 高齢者や障害者を初め、妊産婦や乳幼児など支援を必要とする方々が安心して避難できる福祉避難所の役割はとても重要です。
 高齢者や障害者などの災害弱者に対応するため、福祉施設や特別支援学校における避難所整備が求められていますが、現在、都内にはこうした福祉避難所が幾つあるのか。ふえているのか現状をお聞かせください。

○梶原福祉保健局長 区市町村が指定いたしました福祉避難所は、平成二十六年四月一日現在千二百六十五カ所、前年に比べまして二百二十一カ所増加しております。

○西崎委員 福祉避難所の数は不足していると聞いています。世田谷区では、高齢者、障害者の通所施設や民間のバリアフリー施設等の避難所指定も検討されています。これから高齢者人口が増加するとともに、福祉避難所の整備も数多く求められます。今後、区市町村が福祉施設などと連携を進められるよう、都からの支援を要望します。
 次に、社会的養護について伺います。
 厚生労働省の二〇一三年の調査によりますと、親と離れて全国の児童養護施設で暮らす子供の五九・五%が父母から虐待を受けた経験があるとのことです。調査は五年ごとですが、虐待経験のある子供の割合は、前回調査から約六ポイントふえています。こうした子供の中には、学習習慣がついておらず、学年相当の習熟度に達していない場合があると聞きます。
 さきの調査結果においても、学業の状況について特に問題なしとなっている割合は約五割でした。
 そこで、児童養護施設で生活をしている子供たちの学習支援について、都の取り組みを伺います。

○梶原福祉保健局長 児童養護施設に入所している児童は、虐待を受けるなど、それまでの養育環境の影響により、学習習慣や基礎的な学力が身についていない場合も少なくございません。
 このため、施設では自習室の設置など学習環境を整えるほか、学校を初めとして、民間団体や大学生等のボランティアとも連携しながら、子供の状況に合わせた学習支援を行っております。
 都は、子供たちの学力を補い、進学を支援するため、平成二十一年度から中学生に対する塾代等の学習支援を行っており、来年度は、さらに小学生と高校生にも対象を拡大いたします。

○西崎委員 学習支援は、児童養護施設を退所後の進路にもかかわります。施設からの自立支援は重要な課題であり、都議会生活者ネットワークは、これまでも何度も取り上げてきました。大学進学のためのサポートや就職、生活に関するアフターケアなど、退所後の生活を視野に入れた支援は欠かせないものです。
 先ほどの国の調査では、施設を出て自分で生活することに自信があると答えた子供は、約三割です。
 そこで、児童養護施設を退所後の自立支援について都の取り組みを伺います。

○梶原福祉保健局長 都は、児童養護施設を退所した児童が社会で自立し安定した生活を送ることができるよう、退所後も継続して相談支援を行う自立支援コーディネーターを専任で配置する取り組みを行っておりまして、現在、五十二の施設で実施しております。
 また、施設を退所した児童が気軽に集まり交流ができるふらっとホームを都内二カ所で実施し、生活や就労上の悩みや相談にも応えております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、社会的養護のもとで育つ子供たちの自立を支援してまいります。

○西崎委員 今後も取り組みを進めていくことを要望しておきます。
 次に、事業型NPOへの支援について伺います。
 中小企業庁は昨年六月、NPOなど新たな事業・雇用の担い手に関する研究会を設置、開催し、九月に中間論点整理案を出しました。この中では、事業型NPO法人が地域住民にとって必要不可欠な需要を創出する担い手として地域経済を支えており、一定の雇用を生み出していることから、中小企業政策の中に位置づけることを検討するよう議論がされています。
 二〇一四年スタートした女性・若者・シニア創業サポート事業は、NPOも含めて事業立ち上げのための資金を融資するものです。この事業のNPOの事例と二〇一五年度の取り組みについて伺います。

○山本産業労働局長 地域での創業は多様な形態で行われますことから、本事業ではNPO法人も対象としておりまして、これまでに障害児に対する放課後等のデイサービス事業などの創業が実現をしております。
 来年度は、融資原資を大幅に拡充するとともに、経営サポートを充実させることで本事業のさらなる利用促進を図り、地域に根差した創業を後押ししてまいります。

○西崎委員 NPO支援では、事業所の提供も重要です。NPOを含めたソーシャルビジネスのために、ソーシャルインキュベーションオフィス・SUMIDAが開設して三年が経過しました。
 この事業の効果をどのように捉えているのでしようか。また、ほかの場所についても検討する必要があると考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は、ソーシャルインキュベーションオフィス・SUMIDAにおきまして、創業支援の専門家を活用し、資金調達や事業展開へのアドバイス等の支援を行っております。
 平成二十三年七月の開設以来、二十一のNPO法人等が利用しておりまして、例えば、女子学生の感性を生かしたアイデアで地域に埋もれた観光資源の活性化に取り組むNPOが、幾つかの自治体からまちおこし事業を受託するなど、入居者の中からは社会的起業家が着実に育ち始めております。
 こうした取り組みに加えまして、来年度からは、ソーシャルビジネスを含め、さまざまなニーズに応じた創業支援施設の整備を促進するため、区市町村等に対し、経費を助成する事業を開始いたします。

○西崎委員 現在、国会では、中小企業信用保険法改正案が議論されており、これが成立すれば、事業型NPO法人も制度融資を使えるようになります。ソーシャルビジネスを展開するNPOは地域で必要性を増しており、都としても積極的に支援するよう要望いたします。
 最後に、食の安全について伺います。
 ノンアルコールビールの特保許可をめぐって、内閣府の消費者委員会が不適切としたにもかかわらず、消費者庁が許可を出し、議論を呼んでいます。
 いわゆる健康食品は、健康志向の高まりで広く普及していますが、健康食品から医薬品成分が検出されたり、科学的な根拠のない不適切な表示が見受けられるなど、多くの問題があります。
 ことし四月から、機能性表示食品の制度が始まります。この制度は、事業者の責任で、食品に身体の機能の維持や改善に役立つ表示ができるものです。新たな表示の健康食品が多く販売されることが予想され、都民が信頼できる情報を選び取ることが一層求められていくものと思います。
 そこで、今後、健康食品の安全性を確保するため、また、都民が正しく健康食品を利用するため、どのように取り組んでいくのか伺います。

○梶原福祉保健局長 健康食品による健康被害を防ぐためには、製品の安全性の確保と正しい利用方法の周知が重要でございます。
 そのため、都では、市販品を購入した上で、表示や成分が適切であるかを調査、確認しており、法令に違反する場合などには、表示の改善や製品の回収等の指導を行っております。
 また、事業者に対しましては、定期的に講習会を開催し、関係法令の内容や違反事例などを周知いたしますとともに、都民に対しましては、健康食品の正しい利用方法を、リーフレットやホームページを通じて広く情報提供しております。
 お話のありました来月から実施される新たな機能性表示制度につきましても、事業者への制度の周知や都民への普及啓発を行うなど、適切に対応してまいります。

○西崎委員 昨日発表された、都の健康食品試買調査ですか、法令違反の疑いのある表示が多く見つかっています。不適切表示や問題のある成分含有は、将来の健康被害事故につながるおそれがあり、しっかり監視や調査をしていく必要がありますので、そのことを申し述べて質問を終わります。(拍手)

○鈴木(あ)委員長 西崎光子委員の発言は終わりました。