予算特別委員会速記録第五号

   午後五時五十五分開議

○鈴木(隆)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 小山くにひこ委員の発言を許します。

○小山委員 都議会民主党を代表いたしまして、締めくくり総括質疑を行わせていただきます。
 初めに、財政運営についてお伺いをいたします。
 平成二十七年度予算は、知事発案の編成段階によりますインセンティブの付与によって、既存事業の二百三十九事業を見直し、前年度比約一・六倍の四百十億円の財源を確保されました。その上で、過去最高の新規事業三百三十件を立ち上げ、都政の諸課題に積極果敢に取り組む予算とされたことを、予算編成における改革、改善の第一歩と評価をいたしております。
 過日可決をいたしました平成二十六年度最終補正予算では、不用額の結果、マイナス二千二百五十九億円が補正をされました。
 予算の執行状況において、とかく執行率という数字に目が行きがちでありますが、不用額にも、いわばよい不用額と悪い不用額があると考えます。最少の経費で最大の効果を上げられるよう取り組んだ結果としての不用額と、その年に実施すべき事業が実施できなかった、あるいは執行の実績が達しなかった不用額であります。
 もちろん、年度末の工事に代表される予算の使い切り、年度末の駆け込み執行は厳に慎まなければなりません。予算は、編成段階と執行段階のいずれにおいても、最少の経費で最大の効果を上げるという視点が重要であり、特に執行段階につきましては、経済性や効率性を踏まえた取り組みが欠かせません。
 そこで、平成二十七年度予算の執行に当たり、どのような方針で臨むのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 平成二十七年度予算は、都民が今まさに必要としている施策を最大限に盛り込むことで、長期ビジョンに息吹を吹き込み、東京を世界一の都市へと飛躍させる原動力となるものでございます。
 この予算に掲げました施策を、時期を逸することなく着実に実施することで、誰もが幸せを実感できる都市の実現を図ってまいります。
 同時に、予算の執行過程におきましても、施策の効率性、実効性をさらに高めていくことが必要であると考えております。そのため、事業評価などを通じまして、歳入歳出全般にわたる徹底した見直しを不断に行ってまいります。
 あわせまして、日々刻々と変化する社会状況や都民ニーズも踏まえまして、政策の実行段階におきましても多面的な視点から一層の創意工夫を凝らすなど、一つ一つの事業の効果が最大限に発揮できますように取り組んでまいりたいと思っております。

○小山委員 平成二十六年度当初に示されました予算執行方針で、各局においてはさらに精査を行った上で年間執行計画を策定し、事業実施に当たっては、経費の削減等を図る自律的な改革を進めることとされております。
 二十七年度においても、一つ一つの事業について、知事がおっしゃられましたように、効果が最大限に発揮されるように取り組むとともに、経済性、効率性ということを常に念頭に置いた取り組みをお願いしたいと思っております。
 このように、効果的かつ効率的な執行を最大限に図る努力に加えまして、地方自治体の本旨である都民福祉の向上を実現していくためには、将来にわたって財政の健全性を担保する見通しを持たなければならないと思います。
 財政の健全性は、単年度の収支はもちろんのこと、長期間にわたる歳入歳出の変動にも十分耐え得る財政のあり方も含めて、中長期の財政計画を立てることが重要です。本来であれば、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックという世界的イベントの開催を挟んだ期間を見通した財政白書を作成すべきであると考えます。
 大会開催後の二〇二五年には、七十五歳以上の高齢者が百九十万人に達すると予測される中、社会保障費の増大が見込まれる一方、生産年齢人口は緩やかに減少をしてまいります。また、高度経済成長期などを中心に整備された社会資本の更新需要も集中をいたします。
 このような財政需要とあわせ、次々に生じる多岐にわたる課題に機動的で柔軟な対応を行うためにも、負担の平準化や安定的な財源の確保が必要だと考えますが、改めて都の見解をお伺いいたします。

○中井財務局長 都政を取り巻く多くの課題に対し、切れ目なく政策を展開していくためには、基金や都債を効果的に活用していくことが重要であります。
 このため、平成二十七年度予算においては、財源として活用可能な基金を九千八百八十億円確保するとともに、平成二十六年度最終補正予算とあわせて、新たに七つの基金を創設し、将来の財政需要に対する着実な備えを確保しております。
 また、投資的経費が大きく伸びる中にあっても、都債の発行を前年度とほぼ同水準とし、起債依存度は六・五%と低い水準を維持しております。
 今後とも自己改革の取り組みを徹底し、財政の健全性を堅持するとともに、基金や都債を適切に活用することで、多岐にわたる課題に着実に対応してまいります。

○小山委員 次に、東京オリンピック・パラリンピックについて伺います。
 過日、私は、世界的に評価をされておりますウルトラテクノロジスト集団、チームラボを訪問いたしまして、代表の猪子寿之さんとお話をさせていただきました。
 猪子さんやチームラボをご存じの方は多いと思いますが、国内においては、ことしのNHKの大河ドラマの花燃ゆのオープニング映像ですとか、あるいは東京スカイツリーの壁画で隅田川デジタル絵巻などですね。国外ではパリ・ルーブル宮殿のフランス国立装飾美術館で日仏交流百五十周年事業におけます花と屍、そしてシンガポール・ビエンナーレでの秩序がなくともピースは成り立つなどのデジタルアートでありますけれども、これが国内外を問わず高く評価をされております。
 この猪子さんが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックについて大変興味深い、そして数多くの提案をされております。その核をなしますのが、参加し体感するオリンピック・パラリンピックでございます。これまでの鑑賞型のオリンピック・パラリンピックから、参加型、体感型のオリンピック・パラリンピックへと変える提案を具体的にされております。
 お手元にお配りをいたしました資料の一枚目の上段でございますが、渋谷駅前のスクランブル交差点で棒高跳びをする選手をホログラムで映し出しまして、三階の高さを飛び越えるすごさを体感していただこうという図であります。ほかにも、陸上選手の世界最速のスピードを体感するといったような選手のパフォーマンスを、東京の各所にホログラムの3D映像で映し出すことによって、多くの都民や国内外の方にリアルタイムで競技を見て感じてもらおうという構想であります。
 また、下段でございますが、聖火リレーで、聖火ランナーが走ると沿道の観客が持つスマートフォンが反応いたしまして、デジタルの聖火がスマートフォンの中に点灯をいたします。この聖火を人から人へ、被災地を含めた日本中、世界中へと届けることができるということであります。
 これらの提案は、既に現在のテクノロジーで行うことができるということでありました。また、今後五年の技術革新で、この参加と体感というのが、さらにより高度なものになるということも語っておられました。
 国においても、こうした世界に先駆けた新たな映像技術を東京大会までに実証開発をして、競技会場やまちの中で、新しいスタイルの観戦や参加のあり方を実現をするべく取り組んでいらっしゃるということであります。
 ぜひ都としても、こうしたテクノロジーを駆使した、新たな参加し体感する東京オリンピック・パラリンピックとしていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 大変興味深い提案、ありがとうございました。
 先般もお話ししましたように、元ロンドン大会の組織委員会のCEOでありますポール・ダイトン卿とお会いしたときに、ダイトン卿が、国民をうまく参加させ、自分たちの大会だと感じてもらうことが大会の成功に極めて重要だと語っております。
 この精神は、二〇二〇年大会の開催基本計画の中でも掲げられておりますので、より多くの都民、国民が、今おっしゃったように、参加し体験するオリンピックと、そういうような取り組みを多岐にわたり行っていきたいというふうに思っております。
 例えば、パブリックビューイングというのは競技場以外で大きなスクリーンで見られる、こういうことも最先端の機器を使ってやりたいというふうに思っておりますので、組織委員会とともに、これから今おっしゃったように五年もたてば、もっとすごい技術が出てくると思いますので、最高水準のテクノロジーの活用を初めとして、さまざまな取り組みによりまして、オール東京、オールジャパンで盛り上げていきたいと考えております。

○小山委員 ありがとうございます。
 続いて、二〇二〇年大会の新規恒久施設の後利用についてお伺いいたします。
 私は昨年十一月、ロンドン大会の各競技会場施設に赴きまして、大会後の利用状況や運営体制について調査を行ってまいりました。
 ロンドン大会は、後利用の収益性を踏まえた上で、将来的な見通しが立った会場のみを恒久施設として整備をされ、後利用の運営主体と責任をしっかり明らかにした、設計前の早い段階から後利用の運営主体が施設整備にかかわることが極めて重要だということをおっしゃられておりました。
 そこでまず、都が新規の恒久施設として葛西臨海公園に隣接する都有地を活用して整備されますカヌーのスラローム競技会場についてお伺いをしたいと思います。
 資料の二枚目をごらんいただければと思います。
 この資料にありますように、ロンドンのカヌースラローム会場であります〔1〕のリーバレー・ホワイトウオーターセンターは、〔2〕の自転車競技のベロパークであるとか、あるいは〔3〕のホッケーやテニスセンターなどの施設を、リーバレー・リージョナルパークオーソリティーという組織が一体的に運営をされております。
 この組織の責任者でありますチーフエグゼクティブのショーン・ドーソン氏からお話を伺ったところ、これは施設単体ではなくて、一体的に運営することによって収益の確保を図って、さらにスラローム競技会場については、オリンピックコースとレガシーコースの二つのコースを整備したということによって、後利用を多目的に利用することができるようになるなど、施設整備に当たっての将来的な見通しと、それから事前の関係者による十分な協議が大変重要であると指摘をされました。
 現在、リーバレー・ホワイトウオーターセンターは、カヌースラロームの英国のナショナルトレーニングセンターとして利用もされておりますし、二〇一四年ワールドカップや二〇一五年ワールドチャンピオンシップも開かれております。また、救命講習に使われたり、ライン下りやラフティング、トライアスロンなどと、多目的に活用をされております。
 そこで、東京大会のカヌースラローム会場については、大会後にカヌースラロームのナショナルトレーニングセンターとして使用することを初めとして、さまざまな後利用を考え、隣接する葛西臨海公園と連携した一体的な運営を行うことを検討すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 カヌースラローム会場は、その特性から、競技施設としての活用はもとより、都民が水辺に親しめるレジャー、レクリエーション施設としていくなど、さまざまな活用を図ることが可能でございます。
 また、隣接いたします葛西臨海公園は、都会にいながら自然を満喫できる都内有数のレジャースポットでありまして、年間三百万人以上の方が訪れております。公園内にあります水族園や観覧車、バーベキュー広場、ホテルやレストランなど、さまざまなにぎわい施設と一体となった活用を図ることで、地域の魅力の一層の向上が期待できます。
 カヌースラローム会場が、大会後も多くの人が集い訪れるにぎわいの拠点となるよう、民間企業や競技団体、地元自治体などの意見も参考にしながら、今後検討を深めてまいります。

○小山委員 このリーバレー・ホワイトウオーターセンターは、ロンドン大会開催前に一般開放されました唯一の会場でございます。ぜひ日本のカヌースラローム競技力向上のためにも、都として早い時期からの利用が可能となるよう関係者と協議を行っていただき、この葛西臨海公園脇に隣接する都有地を活用された整備を図っていただきたいというふうに思います。
 続いて、持続可能な恒久施設の整備についてお伺いをさせていただきます。
 ロンドン市は、二〇一二年のロンドン大会を、ロンドンという都市の課題解決を大胆に図る契機として捉えまして、ロンドン・プランに掲げましたソーシャルインクルージョンの理念のもと、都市再生とロンドン東部地域の再開発をなし遂げました。また、大会史上初めて明確にレガシーを位置づけ、地球的規模の命題ともいえます持続可能性、サステーナビリティーを追求したオリンピック・パラリンピックでもありました。
 資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。
 上段がロンドン大会のボート会場となりましたイートン・ドーニーでございます。イートン・ドーニーは、英国の名門校でありますイートン校所有のボート競技のための人工池でありまして、オリンピック開催に合わせて既存施設を改修して、会場とされました。
 この施設の責任者でありますマネージングディレクターのアイバー・ロイド氏は、ロンドン大会の開催決定を見据えて、二〇〇五年にビジネス界より起用されまして、大会開催とその後の施設利用を成功させております。
 都は、ボート会場として、資料三枚目下段にございます東京臨海部に海の森水上競技場を整備する予定としており、中央の運河が競技会場予定地でございます。左が海の森公園と不燃ごみ処理センターなどの北側の中央防波堤内側埋立地で、右側がゲートブリッジと埋め立てを行っております南側の中央防波堤外側埋立処分場でございます。
 さきのアイバー・ロイド氏は、この都の案につきまして、海の森水上競技場は非常にチャレンジングな会場だというふうに評された一方で、コスト面や後利用の面で相当な課題があるのではないでしょうかということを指摘いただきました。
 そこで、この海の森水上競技場については、海の森公園周辺との一体的な利用を行うとともに、競技場の北側及び南側の土地の利用も視野に入れた整備を検討するなど、持続可能な施設としていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 海の森水上競技場は、広大かつ静穏な、いわゆる穏やかな水面を自由に活用でき、隣接する海の森公園とも連携した水と緑のネットワークの拠点として、水上スポーツに限らず、アウトドアスポーツや野外イベントなど幅広い活用が期待できます。
 また、競技場の北側には、植樹が進む海の森公園のほか、子供たちが校外学習でも利用いたしますさまざまな環境関連施設が立地しております。
 一方、競技場の南側には、一部に緑地も計画されているほか、新たな観光資源であります東京ゲートブリッジには多くの人々が訪れております。
 海の森水上競技場の整備に当たりましては、大会開催に向けて万全を期すとともに、こうした周辺環境とも十分な連携を図り、大会後、広く都民、国民に親しまれる持続可能な施設として、末永く有効活用されるよう着実に整備を進めてまいります。

○小山委員 ぜひ、知事をトップとしますレガシー委員会や外部有識者から成りますアドバイザリー会議において十分検討、協議していただきまして、各新規恒久施設整備に当たっては、負の遺産とならないよう、大会後の先を見据えた周辺を含めた面的な一体的整備を強く求めておきたいと思います。
 次に、文化レガシーについて伺います。
 今回、都は、東京文化ビジョン素案におきまして、二〇二〇年東京大会に向けて、都市を劇場とした先進的でほかに類を見ない文化プログラムを展開、国内外に発信していくとされました。また、世界規模の総合芸術祭として東京芸術祭を開催することを掲げております。
 先ほど、参加し体感するオリンピック・パラリンピックで申し上げました最先端のテクノロジーを駆使したアートは、東京、日本ならではの芸術文化といえると考えます。
 資料の四枚目、五枚目をごらんいただければと思います。
 私も先日足を運びましたが、現在、お台場の日本科学未来館において、チームラボによります踊るアート展と学ぶ未来の遊園地というアート作品の企画展が開催をされております。この最新技術のデジタルアートに多くの親子連れが訪れておりまして、来場者は過去最多を記録いたしまして、当初、三月一日までの予定であった開催日程も、五月十日まで延長されるなど、好評を博しております。
 この企画展では、資料四枚目にありますように、世界から高く評価されております最先端のテクノロジーによるアート作品を体感することができます。また、資料五枚目にありますように、子供たちがみずからつくった作品をデジタルアートとして立体的に動かしたり触れることによって、さまざまな形に変化させるなど、目を輝かせながら想像力を膨らませておりました。まさに、東京や日本が誇る最先端のテクノロジーが、芸術文化の新たな領域と可能性を広げていると実感をいたしました。
 このように、最先端技術は、これからの芸術文化の創造に大きな影響を与えるものと考えます。
 そこで、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、こうした先端技術を文化につなげ、東京ならではのレガシーとしていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 再度、楽しい提案をいただきまして、ありがとうございます。
 芸術文化の表現手法というのは、常に新しい試みが取り入れられるということで進化を遂げてきた歴史があると思っております。
 今ご紹介ありましたようなデジタル技術やインターネットが革新的に進展している中で、こういうものと芸術文化を結合させると、これによって新しい芸術表現が日々生み出されていると思っております。
 また、今写真にありましたように、子供さんにとっても新たな芸術の鑑賞、体験の機会をつくることにもつながるというふうに思っております。
 そして、東京独自の文化としてポップカルチャー、こういうものが世界から評価されておりますし、そういう領域でも先端技術を活用した表現手法の導入が盛んに行われております。
 これまで、映像アートとか現代美術の領域で、都は、内外のアーティストによるこういう意欲的な活動の支援を行ってきております。二〇二〇年の大会に向けましても、意欲的なアーティスト、民間団体と連携しながら、都市型の芸術祭というのはどうあるべきかと、こういう観点から先端技術と芸術の融合というようなことで、新たな芸術文化の創造の拠点となるような取り組みに果敢に挑戦していきたいと思っております。

○小山委員 さて、文化という面で申し上げれば、日本は木の文化であります。特に伝統技術に裏打ちをされました木材利用は、日本の誇るべき文化であります。
 これまで開催をされましたオリンピック・パラリンピック大会においても、さまざまな競技施設が木材を利用して建設をされております。二〇二〇年東京大会においても、日本の伝統技術、工芸、そして新技術を生かし、競技施設や関連施設に多摩産材を使って、木による上質な空間を提供することで木材の利用促進を図るとともに、多摩産材のブランド確立を大いに企図すべきと考えます。
 そこで、ロンドン大会では国際認証材が活用されたことも踏まえ、二〇二〇年東京大会での多摩産材の活用を視野に入れて、多摩産材の森林認証、木材認証の取得支援を行うことが有効と考えますが、見解をお伺いいたします。

○山本産業労働局長 二〇二〇年東京大会の関連施設におきまして多摩産材の活用を図ることは、多摩産材のPRや利用拡大に極めて効果的でございます。
 過去のロンドン大会等における関連施設の整備では、合法かつ持続可能性が証明された森林と、その森林から産出される木材の加工施設を国際機関が認証いたしまして、その木材を使用することが定められておりました。
 都は、こうした経緯を踏まえまして、森林循環促進事業で伐採する多摩地域の森林につきまして、国際的な森林認証を取得していくことに加えまして、多摩産材を加工する製材事業者等に対して、木材認証の取得を支援してまいります。

○小山委員 ここで、東京大会における食のおもてなしについて一言申し上げておきたいと思います。
 都は、国内外から多く人が集まる二〇二〇年東京大会に向けて、ユネスコ無形文化遺産に登録をされました和食文化の振興を支援して、選手や観客に食を提供する大会組織委員会の取り組みをぜひ後押しをする必要があると考えます。
 ロンドン大会では、開催三年前に、選手や観客をもてなすロンドン・フードビジョンを策定しました。今後、東京大会で日本の食文化をアピールし、選手や観客への食のおもてなしを行う計画、東京フードビジョンの策定に向けて取り組んでいただくことを求めておきたいと思います。
 次に、高齢化社会と健康づくりの推進について伺います。
 二〇二〇年東京大会が行われます五年後の平成三十二年には、都民の四人に一人が六十五歳以上、そして、二〇二五年問題といわれておりますように、七十五歳以上の高齢者が百九十万人を超えます。高齢化が進む中にあって、生涯にわたって健康で元気に暮らすことができる社会を構築することが極めて重要だと考えます。
 都内においても、多くの高齢者が社会福祉団体による介護予防のための体操や、地域スポーツクラブでの高齢者スポーツ大会などを通じて運動に親しんでおられます。また、シルバー人材センターにおいては、さまざまな技能に応じた就労を行うなど、生きがいのある日常生活を営んでおられます。
 都民が要介護状態にならずに健康で生き生きと暮らすことができ、元気な高齢者がふえるような施策の充実が欠かせないと思います。
 そこで、健康で元気な高齢者をふやすための施策充実に向けて、知事の見解をお伺いさせていただきます。

○舛添知事 年齢を重ねましても、いつまでも健康を保つためには、まず一人一人が、日ごろから食事、運動、休養など生活習慣に気をつけるということが非常に大事だと思っています。
 健康づくりは、若いうちから取り組むことが肝心でありまして、育ち盛りの子供さんについていうと、やっぱりバランスのとれた食事、それから発育のための十分な運動、それから今度、働き盛りの世代なら、仕事のストレスをためないで、お酒は適度に心がけると、それから高齢者になりましたら、適度な運動、それから社会活動、地域活動、こういうことに参加するというのも非常に大事だと思っています。
 現在、都民の平均寿命を見てみますと、いわゆる健康寿命との差は、男性で約十年、女性で約十四年となっております。ここが実は問題なので、できるだけ健康を保って老後も生き生きと過ごせるということが理想の姿であって、健康寿命と、男性で十年、女性で十四年というのは、その間は、やっぱり非常に心身で苦しむ面が出てくるんだろうと思います。
 そうならないために、地域や学校、企業、区市町村などと連携しながら、あらゆるライフステージに応じた健康づくりと、それを支援する社会環境の整備、こういうものに積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

○小山委員 今、知事から平均寿命と健康寿命についての言及がございました。まさしくこの元気な高齢者をふやすためには、生涯スポーツの推進というのも、私ども欠かせないと考えております。
 適度な運動が健康づくりに重要というのは、先ほどの知事の答弁にございましたとおり、私の地元府中市でも、高齢者の皆さんが、輪投げやグラウンドゴルフなどを健康づくりの一環として楽しんでおられます。また、昨年は、府中の還暦野球のチームが東京都の代表として全国大会にも出場をしました。(発言する者あり)ありがとうございます。
 高齢者の皆さんが楽しくスポーツに取り組める環境をふやしていくことが、より多くの方が介護や医療を必要とせず、健康で元気でいられることにつながると考えます。
 そこで提案をいたしますが、都立公園の運動施設なんですが、平日昼間における高齢者のスポーツへの利用拡大を図るべきと考えまして、一例を挙げますと、実は都立府中の森公園の小野球場は中学生までの野球やソフトボールの利用に限られておりまして、平成二十六年度の使用率が、九時台からは七・五%、十一時からは二九%、そして十三時からは一四%となっておりまして、十五時以降の八一%と比べますと非常に大きな差がございます。平日の昼間の使用がほとんどされておりませんので、ぜひ、この平日の昼間の時間帯を有効活用すべきと考えております。
 そこで、都立公園の運動施設において、高齢者が生涯スポーツに取り組みやすい環境とし、高齢者の健康増進につながるようにすべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○横溝東京都技監 高齢者に元気に活動していただくためには、公園の運動施設や大きな広場を活用するとともに、健康器具を設置し、みずから健康づくりを行っていただくことも重要であると考えてございます。
 このため、都立公園ではテニスコートやゲートボール場などを整備し、高齢者がさまざまなスポーツを楽しめるようにしてまいりました。また、高齢者が活動しやすい平日の昼間に陸上競技場や少年野球向けの小野球場などを活用して、還暦野球の練習やグラウンドゴルフなど別のスポーツも楽しめるよう取り組んでおります。
 今後はこれらに加え、ターゲットバードゴルフを初め、多くの種目を楽しむことができる公園の数をふやすとともに、ウオーキング教室などのスポーツイベントを行い、高齢者を含め、誰もが気軽にスポーツに親しめる環境づくりを進めてまいります。

○小山委員 ありがとうございます。
 続いて、買い物弱者支援対策について伺います。
 高齢者を初め、障害者や親が認知症で外に出にくい人、お産直後で買い物に出られない人など、買い物をすることが難しい都民が多数存在しております。そのような現状に対し、都は平成二十四年度から、買物弱者支援モデル事業を始めました。
 私の地元府中市においても、晴見町商店街振興組合が昨年十月から、丸ごと宅配便として商品購入を自宅へ配達するサービスをモデル事業としております。平成二十七年度は新規事業として予算化をされておりますが、商店街の振興と買い物弱者への支援に加えて、地域の見守りも兼ねる有効な事業と考えております。
 そこで、商店街振興と高齢者を初めとする買い物弱者支援としての本施策をより一層充実強化すべきと考えます。これまでの買物弱者支援モデル事業の成果と課題を伺うとともに、また、今後どのように事業を推進していくのか、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は、平成二十四年度から買物弱者支援モデル事業を開始いたしまして、これまで高齢者等に対する宅配や送迎サービス、商店の空白地域における店舗の開設などの取り組みが商店街で実施されているところでございます。
 こうしたモデル事業を通じまして、商店街が買い物弱者へのサポートを着実に行っていくためには、地域の団体とより効果的に連携して実施する必要があることが明らかとなっております。
 そこで、都は、来年度からモデル事業を本格実施に移しまして、本事業を通じまして、商店街とNPOなどによる連携の取り組みを一層促進することで、商店街振興と高齢者を初めとした買い物弱者対策の充実を図ってまいります。

○小山委員 次に、格差是正と教育についてお伺いをいたします。
 都議会民主党は、今定例会においても、格差が固定化されないよう、生活保護世帯や生活困窮者世帯に対し、貧困の連鎖に陥らないように、それぞれの支援充実を求めてまいりました。
 要求資料の136号にもございますように、平成十一年度の都内の被保護世帯数は九万五千世帯、被保護人員が十二万六千人、そして保護率は一〇・七パーミルでございました。それが平成二十五年度には、被保護世帯数が二十二万五千世帯で、被保護人員二十九万三千人、保護率も二二・一パーミルと、この十五年間で倍増し、毎年ふえ続けております。
 生活困窮世帯や生活保護世帯の増加は、都市の課題として顕著であります。生活困窮世帯や生活保護世帯の増加という貧困問題に対し、都として、市区町村と連携をしながら有効な対策を講じていくべきと考えます。
 そこで、このような貧困の連鎖を断ち切ることが極めて重要だと考えておりますけれども、知事の見解をお伺いさせていただきます。

○舛添知事 子供の貧困の原因、これは親の貧困でありまして、私は、こうした貧困の連鎖は断ち切らなければならないと思っております。
 そのために、長期ビジョンでは、若者や女性、高齢者など全ての人が活躍できる社会の実現を目標に掲げておりまして、その中で低所得者、離職者等の生活の安定に向けた総合的な支援を政策目標の一つに位置づけてございます。
 本年四月からは、生活困窮者に対する生活支援や就労支援を目的とする生活困窮者自立支援法も施行されます。今後とも区市と連携しながら、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、都内全域で生活困窮者に対する総合的な支援体制の整備を進め、居住や就労支援、子供の進学支援など、さまざまな施策を一層推進してまいります。機会の均等、これは必ず守っていかないといけないと思っております。

○小山委員 ただいま知事よりご答弁いただきましたように、まさしく子供の貧困の原因は、親の貧困にあります。貧しい中にあっても、ただいま知事、機会の平等ということをおっしゃっていただきましたけれども、子供たちが教育を受け、学習する機会を得ることが極めて重要であります。貧困の連鎖を断ち切るには、子供の教育、学習支援が欠かせません。ぜひこの問題に都として全力を尽くしていただきたいと思います。
 その子供たちの教育現場において切実な問題は、副校長を初め教員の多忙であります。都議会民主党はこれまで、教育現場の多忙を解消し、教員が子供と向き合える時間を確保するべきと訴えてまいりました。とりわけ業務の集中します副校長の負担を軽減すべきだと申し上げてまいりました。都においても、校務改善として取り組んでおりますが、抜本的な負担軽減にはつながっていないと考えております。
 平成二十七年度、地元府中市では、都内で初めて市単独で市内全小中学校三十三校に、副校長を初め教員の事務負担軽減を目的として、臨時の事務職員を配置することとしました。事務職員の配置によって、教育現場の多忙を解消し、学校経営を機能させ、子供と向き合うことや教材研究などに充てる時間を生み出すことができるようになります。
 そこで、小中学校の副校長の多忙を根本的に解決するために取り組むこのような自治体に対して、都としても支援を強めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○比留間教育長 学校の中で、副校長には、教職員の指導のほか、各種の調査や地域との調整などさまざまな業務が集中しており、職務遂行の支援が必要な状況にあります。
 これまで都教育委員会は、副校長を補佐する主幹教諭の配置数の拡大、授業持ち時数の軽減、アドバイザー役ともなる教育管理職OBの配置を行ってきたほか、副校長を補佐する経営支援部設置校の拡大を進め、来年度五百四十二校になる予定でございます。
 また、学校における事務分担を見直し、事務職員を副校長の補佐として活用する事務の共同実施の取り組みを進めております。
 一方、区市町村教育委員会におきましても、事務補助員の配置や校務を効率的に処理するソフトウエアの導入などの取り組みを実施しております。都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携し、こうした取り組みを進め、副校長の負担軽減をさらに図ってまいります。

○小山委員 次に、多摩地区の交通改善についてお伺いをいたします。
 多摩地域の南北交通はもちろんのこと、多摩地域から羽田空港へのアクセスには大きな課題があります。特に鉄道利用におきまして、多摩地域から羽田空港を利用する際には、池袋や新宿、渋谷などの都心駅へと乗り継ぎまして、さらに乗りかえて、平均をしますと大体一時間半はかかります。多摩地域からの羽田空港へのアクセスは、多摩四百万都民はもちろんのこと、国内外からの観光客、ビジネスの往来にも非常な不便を来しているということであり、早急に改善すべき重要事項であると考えております。
 そこで、都として、多摩地域から羽田空港へのアクセスの向上についてどのように認識をしているのか、お伺いいたします。

○安井都市整備局長 羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、都内の各地域と空港とを結ぶ交通アクセスの充実が必要でございます。
 今後の鉄道ネットワークにつきましては、外部の専門家の意見も聞きながら、多摩地域も含めて検討を進めており、その中でも、空港アクセスの向上についても重要な課題として受けとめてございます。

○小山委員 都は先日、国の交通政策審議会の次期答申に向けました都における今後の鉄道ネットワークのあり方について、中間まとめを発表いたしました。
 現行答申でA1路線となった路線が事業化されたことからも、二〇三〇年までを期間とする次期答申に、都としてどのような路線を入れ込めるのかは大変重要な問題であります。都は、中間まとめにおいて、現行答申外の路線では唯一、羽田空港アクセス線を示しました。これらの路線が実現をすれば、交通ネットワークが一層充実をし、池袋、新宿、渋谷などの主要駅からの羽田への所要時間が大きく短縮される有望な路線だというふうに考えております。
 私は、これに加えまして、整備期間、費用対効果のいずれにもすぐれた案を提案させていただきたいと思います。
 これは、さきの本会議におきまして、私ども会派の酒井議員からも提案がありましたけれども、JR東日本の既設路線であります南武線を使った多摩地域から羽田空港へのダイレクトアクセスでございます。
 資料の六枚目の地図をごらんをいただければと思います。この太い線で、立川から羽田までつなぐということでございます。南武線の現在三十三・八キロ、そして南武支線の三・六キロ、そして東海道貨物支線の四・七キロ、そして残り、ここは後ほど申し上げますが、新線の建設四・一キロをということで、羽田まで結ぶ案でございます。
 資料七枚目にございますように、現在の立川から浜川崎まで一時間弱かかっているところを、立川から羽田国内線ターミナルまで、これが実現をすれば四十九分と大幅に短縮をし、乗りかえなしでアクセスすることが可能となります。
 もちろん、これを実現するためには、八丁畷から尻手間の約一キロメートルほどの区間を単線から複線にすること、そしてもう一つは、国が推進をしております川崎側、そして羽田空港間の橋を鉄道、道路併用橋とするなど、乗り越えるべき課題もございます。
 しかし、南武線を活用した多摩地域から羽田空港へのダイレクトアクセスは非常に整備効果が高いと考えておりますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○安井都市整備局長 お話のご提案につきましては、川崎市内の一部区間が単線であり、複線化の検討が必要であること、また、現在貨物線が運行されている区間につきましては、貨物ダイヤとの調整が必要であることなどの課題が想定されます。また、空港への接続につきまして、技術的に可能かどうか見きわめる必要もあると思います。
 このため、まずは沿線自治体や鉄道事業者間で、こうした課題について共有を図ることが必要でございまして、都としては関係者の動向を注視してまいります。

○小山委員 これは沿線住民ばかりでなくて、立川から西、北側の多摩都民や、羽田アクセスが格段に向上することは申し添えておきたいと思います。
 また、羽田アクセスに絞ってお話をさせていただきましたが、現在南武線を利用しております都民にとっても、大変混雑をしていますこの路線のダイヤがよくなり、通勤通学の利便性が高まるというだけでなく、東京の鉄道ネットワークという観点から見ても、都心を経由せずに羽田にアクセスできるルートを確立する本案は、非常に有効だと考えております。ぜひ、ここにいらっしゃる多くの皆様のご理解を賜りたいとお願いを申し上げます。
 知事は……(発言する者あり)ありがとうございます。知事は、多摩地域の発展は、東京を世界一の都市に押し上げるためにも必要不可欠と述べていらっしゃいます。
 私は、この多摩の発展には、幹線道路を初めとした道路網に加えて、鉄道による交通網の充実が不可欠だと考えます。
 昨年、ヨーロッパ最大の建設事業といわれておりますクロスレールについて、現地視察調査を行ってまいりました。知事もよくご存じだと思いますが、このクロスレールは、オリンピック・パラリンピックを契機に、ロンドンが直面する課題克服事業の一つとして、ロンドンの東西を結ぶ鉄道計画として実行に移されました。
 シティーやカナリーワーフ、ユーロスターの駅からヒースロー空港まで、乗りかえなしのアクセスが可能となり、時速百六十キロメートルの高速運転によって所要時間も大幅に短縮をされるため、今、まさに全線開通が待たれているところでございます。
 私は、多摩地域におけます鉄軌道による交通ネットワークの利便性、速達性の向上も含めた、都市のグランドデザインをぜひ示していただきたいと考えておりますが、知事のご見解をお伺いいたします。

○舛添知事 今、小山委員ご指摘のように、私は、多摩地域の発展というのは、世界一の都市東京の実現のために必要不可欠と、これはもうかねてから主張しておりますし、申し上げてきております。
 ただ、区部と多摩地域、これは人口規模、それから産業構造、土地利用、社会的条件、さまざま違ったことがありますので、その地域の特性に合った政策をやる必要があると思っています。
 今後、鉄道ネットワークをどうするかということについて、昨年五月から検討を進めておりまして、来年度、都の考えを取りまとめていきたいというふうに思っております。先般、中間取りまとめを発表させていただきました。
 私は、やっぱり鉄道ネットワーク、バス、車、その他の交通機関、これは有機的に連携して、そして一つの大きな意味を持つというふうに思っておりますので、多摩地域の将来像をどうするか、そういう大きな都市づくりのグランドデザインの中で、交通体系もまた、皆さん方と協議をしながら固めていきたいと、そのように思っております。

○小山委員 ぜひ先ほどご提案申し上げました南武線の羽田アクセスを含めまして、多摩地域の鉄軌道によります交通ネットワーク改善を都市のグランドデザインで示していただきますよう、強く求めておきたいと思います。
 明治五年、一八七二年六月に、品川-横浜間の日本初、世界で四十番目の鉄道が仮開業いたしました。着工は明治三年、一八七〇年三月でありました。わずか二年三カ月の工期でありました。その鉄道の橋として、先ほどお見せをいたしました資料六枚目の地図にあります六郷川橋梁、これは最も難しい工事として、その当時懸案であったわけであります。
 明治の人々は、この橋を何と一年余りで、それも木造で完成をされております。さらに、開業後わずか五年にして複線の鉄橋を完成させました。まさに明治の人々の気骨と情熱、その実行力に、私たち現代も学ばなければならないんだと思っております。
 ぜひ舛添知事のリーダーシップのもと、全庁一丸となりまして、これまで申し上げてまいりました幾つかの都政の諸課題解決に、まさに全力で取り組んでいただくことを求めまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○鈴木(隆)委員長 小山くにひこ委員の発言は終わりました。