予算特別委員会速記録第五号

○鈴木(あ)委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十七号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十六日に、議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 崎山知尚理事の発言を許します。

○崎山委員 東京都議会自由民主党を代表し、締めくくり総括質疑をさせていただきます。
 平成三十二年、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会開催まで五年となった今、我々は、この平成二十七年度予算を原動力として、成熟社会の模範となる大都市モデルを構築し、世界で一番の都市東京を実現していかなければなりません。
 かつて近代日本の命運を背負い、難局を乗り越えて江戸城を無血開城に導いた幕末三舟の一人、勝海舟はこう説いています。天下の大勢を達観し、事局の大体を明察して、万事その機先を制するのが政治の本体だと。東京の将来を見渡し、時代の趨勢を鋭く洞察し、果敢に先手を打っていく、まさにこれが政治の役割です。
 首都東京には、一千三百万人もの都民が暮らしています。我々は東京の未来を描き、東京を世界で一番の都市にするため、都民、そして知事とともに我がまちをみずからの責任で変えていかなければなりません。みずからの地域のことをみずから考え、みずからの手でよくしていく、これこそが地方自治の本来のあるべき姿であります。
 昨年末には、今後の都政の羅針盤である長期ビジョンができました。そして、次は、その第一歩となる平成二十七年度予算を、この結びの締めくくり総括質疑で十分に審議することにより、確かなものとすることが重要です。今、この場にいる皆さんとこのことを共有し、最初の質問に入ります。
 東京の経済の活性化という観点から伺います。
 我が国は、創業二百年を超える長寿企業が三千軒以上あり、世界第二位のドイツは約八百軒、中国は一桁の九軒、お隣の韓国は一軒もありません。日本は、断トツの老舗大国であります。ちなみに、世界最古は金剛組であります。創業、西暦五七八年でありますから、本当に古い老舗企業がある日本であります。
 長寿企業は、不断の経営革新や柔軟な適応力により、明治維新以降の戦争、災害、景気変動など、さまざまな困難を乗り越えてきました。まさに我が国の活力を生み出してきた大切な存在であり、事業の継続は、我が国の強みであると考えます。
 都内各地で事業を営んでいる小さな会社も、厳しい環境にありながら日々努力を積み重ね、事業を営み、地域経済を支え、雇用を生み出しています。これらの企業が事業を継続、発展させ、やがては長寿企業となっていけるよう、しっかりと支援していくことがまずは重要だと私は思います。
 加えて、少子高齢化が進展し、生産年齢人口や国内需要の縮小が懸念される中で、東京が持続的に成長していくためには、新しい産業やビジネスにつながる創業の芽を育て、経済の新たな担い手を生み出していくことも必要です。
 知事は、昨年末、十年間の長期ビジョンを発表し、現状で四・八%である開業率を米国、英国並みの一〇%台に引き上げることを目標として掲げました。相当意欲的で画期的な目標であると考えます。
 世界に名立たる自動車メーカーや電機メーカーも、かつてはベンチャー企業であり、卓越した技術力や製品により、グローバル市場で活躍する企業に成長してきました。米国では、ベンチャー企業による雇用創出は民間雇用の約一割を占めていると聞いています。新しい事業に挑戦するベンチャー企業が次々と誕生し、グローバル企業や歴史ある長寿企業と相互に誘発しながら成長発展を遂げていくことで、産業構造の転換やイノベーションの促進がもたらされ、雇用創出にもつながります。
 まず第一に事業継続の支援、そして、起業、創業の促進を戦略的に進めていく、この二つを車の両輪として推し進めて雇用を生み出し、経済の好循環をつくり出していくことが重要です。長期ビジョンの実現に向けてスタートを切るに当たり、東京の経済活性化に向けた知事の決意を、まず初めにお伺いをいたします。

○舛添知事 東京には、小さいながらも事業の継続と発展に向け、日々経営の革新に挑む数多くの中小企業が存在しております。長寿といわれる企業も創業時からたゆまぬ革新を重ね、今日に続く繁栄への道筋を切り開いてきたと考えております。
 こうした企業の努力をしっかりと支えるため、経営や技術への支援をさらに強化するとともに、これまで培ってきた知恵やわざを次の世代に着実につなげられるよう、事業の承継に向けた取り組みをきめ細かくサポートしてまいります。
 また、産業を活性化させる新たなプレーヤーの創出にも強力に取り組んでまいります。
 今ご指摘いただきましたように、長期ビジョンで掲げました開業率一〇%台という目標の達成に向けまして、意欲ある起業家に対する資金調達や事業展開へのサポートをさらに充実させるとともに、官民による創業支援施設の整備を幅広く促進しまして、都内各地で起業、創業を加速させていきたいと思っております。
 東京の産業を支える中小企業がこれからも元気に活動し、新しい世代によるイノベーションと相まって、経済の活性化、そして雇用の創出につながるよう、全力を傾けてまいりたいと考えております。

○崎山委員 東京の中小企業の元気を支え、経済の活性化、雇用の創出につなげるという力強いお言葉をいただきました。このことは東京だけでなく、地方にも活気をもたらすと確信をいたしております。そして、それは地域経済縮小の克服を目指す地方創生にもつながるはずです。
 地方創生というと、いたずらに東京対地方を演出したり、東京への一極集中の是正として地方への人の移動を目標として掲げたりもしていますが、我々としては、二〇二〇年東京五輪、今後、パラリンピック開催も含めて東京五輪と申し上げますが、この東京五輪を日本全体に活気を取り戻す絶好の機会と捉え、これを起爆剤に、日本を牽引する東京と日本全体の発展に引き続き力を尽くしていくことです。
 そのような中、国は地方創生の取り組みの一環として、地方公共団体に対して、まち、人、仕事創生のための総合戦略の策定を求めています。施政方針において、知事は、国の求めに応じ、総合戦略策定にも対応していくと発言されました。総合戦略に当たって、その基本的な考え方をお伺いいたします。

○舛添知事 東京は、いうまでもなく日本の首都でありまして、先駆的な取り組みを積極的に進めることで日本を牽引する役割を担っております。東京が機関車としての役割を果たすことは、日本経済の発展、ひいては地方の創生につながるわけであります。
 今、崎山理事からご指摘あったように、一方で、地方創生を東京対地方と、こういう単純な構図に置きかえて、地方活性化のためには東京から地方へ人や企業を移せばいいと、そういった意見がございますが、このような東京の活力をそぐことにつながる発想は、私は地方創生の実現とは逆行するものであると断言したいと思っております。
 地方創生のために東京がなすべきことは、オリンピック・パラリンピック大会を契機に、魅力ある国際都市として今まで以上に輝き、日本を牽引し続けることであります。その上で、東京と地方がともに発展していくようにお互いに連携して、切磋琢磨していく必要があると思います。
 地方の持つポテンシャルと東京に集まる富や知恵とが結びつき、相乗効果を発揮した結果、日本を牽引する新たな機関車が地方でも育つなど、真の地方創生が実現すると考えております。都はこうした主張を強力に展開しながら、総合戦略を策定してまいりたいと考えております。

○崎山委員 ぜひとも主張すべきは十分に主張した上で、策定に当たってもらいたいと思います。
 ところで、総合戦略は、人口減少社会を見据えて目標を設定し、その達成に向けた政策を盛り込むことを求めており、都の長期ビジョンとよく似た計画ともいえます。
 さらに、この総合戦略においては、安定した雇用の創出、結婚、出産、子育ての希望実現、時代に合った地域づくりという基本目標を設定しています。これらについて東京都長期ビジョンでも政策目標や施策がしっかりと掲げられており、我々と国とは同じ方向を向いているといっていいと思います。
 しかし、一方で、国の総合戦略が掲げている目標を見てみると、都の長期ビジョンとは方向性が違うものも見受けられます。例えば、国は、地方への新しい人の流れをつくるという目標も設定しています。これは、いわば東京圏から地方へと人を移動させる目標であり、国と我々とでは向いている方向が違います。同時に、先ほどの知事の、東京から地方へ人や企業を移しても問題解決にはならないという主張とも相入れないように見えます。
 そこで、東京都の考え方と国の目標をどのように整合させていくのか、策定スケジュールとあわせてお伺いをいたします。

○川澄政策企画局長 地方が総合戦略を策定する際は、国の総合戦略を基本に、地方の実情に応じて策定することとされております。しかし、東京のさらなる発展を通じた日本の活性化を目指す東京都としましては、東京圏から地方に人を移動させようという国の基本目標に沿うことは困難でございます。
 そのため、策定に当たりましては、都の長期ビジョンに据えた目標や政策を基本としながら、世界をリードする国際都市への成長や、東京と地方のウイン・ウインの関係づくりなどに資する政策を盛り込み、都と地方が共存共栄し、日本の発展に寄与することを目指してまいります。
 また、都の総合戦略は、国の動向を踏まえつつ、区市町村が策定する際の参考ともなるよう、十月ごろを目途に策定する予定でございます。

○崎山委員 東京はもちろんのこと、地方の発展にも寄与するようなものを、また、区市町村が策定する際の道しるべともなるように策定していっていただきたいと思います。
 弱肉強食、優勝劣敗、適者生存、都市間競争、あるいは消滅都市という構図でかまびすしく危機感をあおる議論がなされていますが、それぞれの都市らしくすみ分けして発展していく、このことが健全な都市政策であると私は考えます。
 次に、平成二十七年度税制改正の今後の対応についてお伺いいたします。
 国はこれまで、平成二十年度に法人事業税の暫定措置、そして平成二十六年度には法人住民税の一部国税化を導入するなど、地方分権に逆行する税制度の見直しを断行し、都から一兆円もの財源を奪ってきました。
 私の地元である荒川区の平成二十七年度の一般会計予算は九百十三億円であり、一兆円という額は、荒川区の予算の十年分を超える金額であります。この財源があれば、保育所の整備や雇用就労支援、防災対策など、さまざまな事業のさらなる推進が図られ、都民生活が一層豊かになるはずであります。
 知事は、本定例会冒頭、世界一の都市の姿は、誰もが幸せを実感できる都市であると述べられました。世界で一番の都市東京を実現し、都民一人一人に幸せをもたらすためには、政策を実現するための財源が不可欠であります。今後の都の政策展開に大きな影響を及ぼしかねない問題に対しては、明確な主張をしっかりと示していくことが重要であります。
 そこでまず、法人事業税の暫定措置や法人住民税の一部国税化について、平成二十七年度税制改正の内容と、これらの措置による都税への影響を伺います。
 また、昨年末に議論された法人実効税率の引き下げも地方財政への影響が懸念されるところであり、改正の内容と都税への影響をあわせてお伺いをいたします。

○塚田主税局長 法人事業税の暫定措置や法人住民税の一部国税化といった地方法人課税の不合理な偏在是正措置につきましては、消費税率一〇%への引き上げ延期に伴い、平成二十八年度以後の税制改正に具体的な結論が先送りされました。
 これらの措置による都税への影響は、平成二十七年度当初予算で、合わせて約三千億円の減収となる見込みであります。
 また、法人実効税率は二年間で三・二九%引き下げられますが、課税ベースの拡大等により代替財源が一定程度確保されており、都税収入は平年度ベースでおおむね中立となる見込みでございます。
 なお、政府は法人実効税率二〇%台を目指し、さらなる引き下げを行う方針でありますが、その代替財源は明らかになっておりません。

○崎山委員 平成二十七年度の予算では、自己改革による施策の見直し、再構築で四百十億円の財源を確保するとともに、平成二十六年度最終補正予算も含めて七つの基金を創設し、総額二千五百八十億円を積み立てました。
 一方、不合理な偏在是正措置で奪われている財源は約三千億円であります。こうしたことからも、この問題が都財政に対していかに大きな影響を及ぼしているかがわかると思います。
 現在導入されている偏在是正措置について、国は消費税率一〇%段階で法人住民税の一部国税化をさらに進めるとし、法人事業税の暫定措置については廃止するとしながらも、一方で他の偏在是正措置を検討するとしています。
 加えて国は、借金に頼らない行政サービスを実現すべく、二〇二〇年度までのプライマリーバランスの黒字化を目標に、この夏にも財政健全化計画を策定しようと動き出しており、この動向によっては、地方財政制度のあり方の見直しにつながる可能性も考えられます。
 こうした状況を見れば、都から財源を奪う動きは緩まることなく、ますます厳しくなることも予想されるわけであります。
 また、法人実効税率のさらなる引き下げに対する代替財源の確保については不透明な部分が多く、この問題に関しても都の財源への影響が懸念されているところであります。
 そこで、偏在是正措置や法人実効税率引き下げなどの国の動きについて、都は現状をどのように認識し、今後どのように対応していくのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 少子高齢化や人口減少という構造変化にさらされている日本が活路を切り開いていくためには、地方がそれぞれの特性や強みを生かして地域を活性化させ、日本全体の活力を底上げしていく必要がございます。
 あわせて、首都東京は、世界で繰り広げられております熾烈な都市間競争に打ち勝って、我が国の先頭に立って日本の経済成長を牽引していかなければなりません。
 地方法人課税の不合理な偏在是正措置により、東京の活力をそぐことは、日本経済再生という最重要課題の達成を危うくするものであり、日本全体を衰退させかねないと思っております。
 都市と地方がともに栄え、日本の発展につなげていくことが重要でありまして、そのためには、法人実効税率の引き下げに伴う代替財源の確実な確保はもとより、国と地方の役割分担に見合う税財源を確保し、地方税全体を充実強化していかなければなりません。
 国を挙げて地方創生に取り組もうとしている今こそ、改めて地方創生とは何かという根本に立ち返り、日本再興を支える地方財政制度の実現に向け、都議会の皆様と一丸となって、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○崎山委員 申し上げるまでもなく、地方自治の本旨は、自治体がみずからの権限と財源により、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現することであります。とはいえ、税財政の問題は非常に複雑であり、都民の皆さんに理解していただくことはなかなか難しいものであります。
 政策の実現にとって、世論は重要なファクターです。この問題を解決に導くためには、東京で暮らす都民に現状を丁寧に伝え、一人でも多くの方に都の主張を理解し、共鳴してもらうことが重要であります。
 平たくいうと、この偏在是正措置や法人実効税率の引き下げも、国の問題というのは、神社のおさい銭箱に奉納金を投げているようなもので、きちっと奉納として出しているわけじゃなくて、さい銭箱に入っているから誰のお金だかわからないというような状況にあります。そして、恐らく都民の大多数は、この国の措置に対して理解をしている人もほとんどいないということでありますので、ぜひ都は、これまで以上にこの問題をわかりやすく発信して、世論に訴えていくことを求めて、次の質問に移ります。
 入札不調対策について伺います。
 予算は、事業として執行されて初めてその目的が達成されるということはいうまでもありません。しかし、現在の入札状況を見ると、今年度の建築工事の不調発生率は二二%となっており、工事着工のおくれにより、計画的な事業執行にも悪影響が生じています。
 先日の財政委員会において、我が党の木村委員の質問に対し、財務局長から、緊急対策を直ちに検討する旨の答弁がありました。一兆円の投資的経費を絵に描いた餅としないためにも、この問題にしっかり手だてを講じていくべきと考えます。
 不調の最大の要因は、予定価格と実勢価格のギャップです。同時に、現場の担い手を確保、育成するという中長期的な課題にも大胆な対策を迅速に講じることが重要です。
 そこで、入札不調の解消に向けて、短期的、中長期的双方の視点を踏まえた緊急対策が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○中井財務局長 ただいま理事ご指摘のとおり、現下の入札の厳しい状況を踏まえますと、速やかに対策を講じることが必要であると認識をしております。
 このため、今後の予定価格の算出に当たっては、積算基準の一部を改正し、予定価格の五割前後を占める見積価格部分へ、高騰する市場価格を十分に反映させてまいります。
 また、施工の条件や内容をより設計図書に明示するほか、現場実態等と乖離している場合は、円滑な工事変更が行えるよう、基準類の詳細化とその適切な運用を図ってまいります。
 加えて、最低制限価格制度を積極的に活用することにより、現場の担い手の中長期的な育成、確保を図る環境づくりにも努めてまいります。
 具体的には、三年間の臨時的措置として、本年四月から適用工事をWTO対象基準額未満の大規模工事まで拡大してまいります。

○崎山委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 改正品確法では、適正な予定価格の設定が発注者の責務とされているとともに、基本理念として担い手の育成、確保が挙げられています。今回の対策は、不調の解消につながり、品確法の趣旨を実現するものと評価をいたします。
 さて、現場の担い手の問題は、何も工事だけのものではありません。先般、都が公表した第二次主要施設十か年維持更新計画の中では、建築物の長寿命化などが盛り込まれており、これを着実に進めるには、事業者のノウハウを生かした提案が不可欠であります。
 一方、これまで都の業務委託は、価格だけの競争入札で落札者が決まっており、いわゆる安かろう悪かろうが一部の案件で見られたことも否めない事実です。これでは品質確保に向けた担い手を育成できません。制度の弱点を補うためにも、価格と技術を総合的に評価する入札方法を充実すべきであります。
 そこで、品質の一層の確保に向けて、建物管理などの業務委託において、総合評価制度のさらなる改善が必要と考えますが、所見を伺います。

○中井財務局長 業務委託の品質確保のためには、総合評価制度の一層の改善が必要であると私どもも考えております。
 このため、業務委託の総合評価において、技術点の評価をより重視する観点から、価格点と技術点の得点配分を、原則一対一から一対二に見直し、技術点の配分をより高めてまいります。
 また、低価格入札を防止するため、価格点について、入札価格が低ければ低いほど上昇する制度を改め、一定の基準額以下の入札金額は一律同一点とする方式を一部の案件で試行してまいります。
 これらの取り組みによって、特に質の高い履行が求められる総合評価案件において、品質確保の観点から、技術面がより重視されるとともに、適切な価格での受注が促進されるものと考えております。

○崎山委員 今回の取り組みは、品確法の理念にも合致するものであります。この制度を十分活用して、ぜひとも定着を図っていただきたいと思います。
 次に、防災対策について伺います。
 最初に、防災プランの進行管理についてであります。
 昨年、都が公表した東京の防災プランでは、東京五輪開催年までの到達目標や、その達成に向けた取り組みと各施策の工程表が示されていますが、その内容は各局をまたぎ、多岐にわたります。
 世界一安心・安全な都市の実現に向けて掲げた目標を確実に達成していくためには、建築物等の耐震化や不燃化など、都が実施する取り組みをしっかり定点観測し、施策を着実に前に進めていくことはもちろん、その時々の進捗状況を踏まえた施策のブラッシュアップ等にも生かしていくことが必要です。
 こうした点も踏まえながら、プランに掲げる防災対策を着実に進めていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○中西総務局長 二〇二〇年に向けて世界一安全・安心な都市の実現を目指していくためには、自然災害の発生に備えた事前の取り組みをスピード感を持って進めていくとともに、取り組みの実効性を高めていくことが重要でございます。
 このため、建築物の耐震化や木密地域の改善を初め防災プランに掲載いたしました都が実施する取り組みについて、国や区市町村などの動向も踏まえながら、その進捗状況と目標に対する到達状況などを毎年度明らかにしてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、目標とする将来像の実現に向けた課題などを適宜把握しながら、プランで掲げた防災施策を全庁を挙げて着実に前進させてまいります。

○崎山委員 ただいま、到達目標を毎年度明らかにしていくというご答弁がありました。ぜひ実現をしていただきたいと思います。
 都としても、計画をつくって終わりにすることのないよう、地震や風水害等の自然災害への備えにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 公助の取り組みに加え、都民や企業などを対象に、自助、共助にも焦点を当てたところが、この防災プランの評価すべきところと考えます。
 さて、家具類やオフィス機器等の転倒、落下等防止措置の実施など、家庭や職場での安全対策、発災後の生活に備えた備蓄準備といった自助、共助の取り組みは、東京の災害対応力を向上させる上で欠かすことができません。ただ、公助の取り組みのように、その実施状況を全て把握することは難しいことも承知をいたしております。
 一方で、都民や企業の意識の変化を把握し明らかにしていくことは、自助、共助の意識醸成を図る上でも、また、行政として自助、共助の取り組みをさらに促していく上でも非常に重要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○中西総務局長 自然災害に対する東京の災害対応力を高めていくためには、行政の取り組みはもちろん、自助、共助の担い手である都民、企業の対応が欠かせないことから、その取り組みの内容や意識を把握することは重要でございます。
 プランでは二〇二〇年を目標に、建物の耐震診断など、都民や地域、企業が進めるべき取り組みの手順を示すとともに、家具類などの転倒等防止や家庭で継続的に行う備蓄のモデル構築など、自助、共助を促す都の対応も盛り込んだところでございます。
 こうした対策の進捗状況や都民、企業の防災意識の変化を把握するため、来年度から定期的に意識調査を実施し、公助の状況とあわせ公表してまいります。
 調査の結果を各種普及啓発を初め自助、共助を促す取り組みなどに反映させるなど、都民、企業等の災害対応力の向上に努めてまいります。

○崎山委員 次に、防災ブックの広報について伺います。
 さきの第四回定例会において、我が党の栗山欽行議員から、専門家や関係機関の知見を総動員して、防災ブックを作成していくべきことを主張いたしましたが、本定例会の施政方針において知事から、ことしの九月一日には防災ブックを配布する旨、表明がありました。
 せっかく質の高い本を作成して都民に配布しても、それが都民に伝わらなければ、利用されることなく捨てられてしまうおそれがあります。配布前にしっかりと都民に対して防災ブックの広報を行っていくことが重要と考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○中西総務局長 防災ブックについては、全ての都民の方々に活用していただくことを目標としており、配布の前からその狙いや内容について十分に周知を図ることが重要でございます。
 このため、防災ブックの配布開始予定日でございますことし九月一日の防災の日に向けて、夏ごろから都内各地のデジタルサイネージや電車内広告等とともに、さまざまなメディアも活用いたしまして、事前広報を展開してまいります。
 さらに、九月一日前後を目途にイベントを開催し、防災ブックの周知を図るとともに、配布の開始後も広報等を通じてその活用を促進してまいります。
 こうした取り組みによりまして、広く都民に防災ブックの意義を伝え、活用を促進することで、都民一人一人の防災力の向上を図ってまいります。

○崎山委員 公助によって自助、共助を促す。私は、これは防災の大切なキーワードだろうというふうに思っています。つまり、防災ブックの配布は公助。そして、いざというときの備え、自助、共助の取り組みを都民や事業所自身でしていただくことに配布の意義があると思います。しっかりと周知をお願いいたします。
 次に、発災時の情報発信について伺います。
 先ほどもご答弁がありましたが、都では、来年度以降、都立公園や外国人旅行者が多く訪れるエリア等において、デジタルサイネージを整備していくこととしています。委員の皆様のお手元にも配布をさせていただいております。
 デジタルサイネージ、これは和訳すると電子看板であります。駅周辺や商業施設などでネットワークに接続され、映像や情報を発信する広告メディアとして、今、急速に普及拡大をしています。
 一ページ目、これはごらんのとおりです。新宿駅前のスタジオアルタやヤマダ電機のサイネージです。それから、二ページ目、これはインタラクティブ系といいまして、双方向にやりとりができる、交信ができるようなデジタルサイネージであります。三番目は、災害情報であるとか、四ページ目は、これは駅、鉄道系のデジタルサイネージ。さらには五ページ目、これは日本にしかない文化でありますが、自動販売機であります。これもデジタルサイネージが、今設置されております。
 それで、こうしたデジタルサイネージは、平常時の活用を念頭に置きつつも、発災時にも、その周辺にいる方々への情報提供手段の一つとして活用できる有効なツールです。実際に、四年前の三・一一の震災時には、都内で約三百五十二万人の帰宅困難者が発生したとされ、東京駅周辺の丸の内地区の民間事業者が、みずから所有する複数のデジタルサイネージをNHKの緊急放送に切りかえ、数日間にわたり、地震関連の情報等をその場に居合わせた方々に提供した実績があります。
 首都直下地震発生時には、最大で帰宅困難者が約五百十七万人、避難者が約三百三十九万人発生するとされています。こうした中、電話による通話が規制されるなど、情報入手のための手段が限定されるおそれがあります。
 都としても、デジタルサイネージの活用も含め、さまざまな媒体を活用して災害情報を積極的に発信していく必要があると考えますが、所見を伺います。

○中西総務局長 大規模災害時には、情報不足による混乱や二次被害を防止するため、住民等への的確な情報提供が重要でございます。
 発災直後、都民にとって特に重要な情報は、避難に関する情報でございまして、地域防災計画では、区市町村が避難勧告等を発令し、防災行政無線や案内標識等を活用して、住民などの避難誘導を行うこととしております。
 デジタルサイネージにつきましては、災害時に活用できれば有効と考えますが、そのためには、運営主体が災害時においても情報発信できる体制を整え、表示の内容や情報発信のタイミング等について区市町村などと連携できるよう取り組む必要がございます。
 都といたしましては、現在、ホームページやツイッターなどを活用して災害情報を発信しておりますが、今後とも各局等と連携しながら、さまざまな手段を活用した災害情報の発信に取り組んでまいります。

○崎山委員 ぜひともお願いをしたいと思います。四年前の三・一一の夜、本当に情報が錯綜して、何が起こっているのかわからない、そんな状況でありました。デジタルサイネージは、その必要性も含めて、ぜひぜひそれぞれの各局でも連携をしながら検討していって、あらゆる活用可能な手段を利用して、災害時に有用な情報を都民に提供すべく取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都立公園の防災機能の強化について伺います。
 都立公園は都民の生活に潤いを与え、豊かな都市環境を形成するばかりでなく、東京都地域防災計画において、多くの公園が大規模救出救助活動拠点などとされており、防災上も非常に重要な役割を果たしています。東京五輪開催を踏まえると、東京の災害対応力の向上は喫緊の課題です。
 そこで、都は、都立公園の防災機能をどのように強化していくのかお伺いをいたします。

○横溝東京都技監 都立公園は都民の貴重なオープンスペースであり、発災時の避難や救出救助の活動拠点として重要でございます。
 都はこれまで、避難場所や自衛隊などのヘリコプター活動拠点となる広場などを整備してまいりました。これに加えまして、今後は、夜間でもより安全・安心な避難と救援部隊の迅速な公園内への誘導が可能となるよう、全ての防災公園に非常用発電設備を設置し、夜間照明を絶やさないことで公園を明かりの島となるように取り組んでまいります。
 さらに、デジタルサイネージや放送設備などを設置し、避難者が必要とする災害情報を受け取れるようにしてまいります。
 こうした取り組みを平成三十二年度までにオリンピック・パラリンピックの競技会場や大規模救出救助活動拠点となる公園などで実施し、平成三十六年度までに全ての防災公園で整備を完了し、都立公園の防災機能を強化してまいります。

○崎山委員 公園は、発災時には自衛隊等の救援部隊が展開する場であると同時に、近くにお住まいの多くの方が避難される場でもあります。その際、ただいま答弁のありましたデジタルサイネージなどは、必要な災害情報をリアルタイムにその場で提供することができる有効なツールと考えられます。その運用に当たっては、公園が設置されている区市町村はもとより、近隣の区市町村とも連携を図り、地元にとって有益な情報が提供されるようにお願いをしておきます。
 次に、豪雨対策について伺います。
 地球温暖化に伴う気候変動により、雨の降り方にも大きな変化が起こり、東京では近年、局地的に短時間で発生する集中豪雨がたびたび発生しています。
 平成二十五年七月には、世田谷区や目黒区を中心に約五百戸、また昨年六月には、渋谷区を中心に約三百戸が豪雨による浸水被害を受けており、依然として深刻な問題となっています。
 都は、昨年六月に豪雨対策基本方針を策定し、河川整備、下水道整備、流域対策による総合的な治水対策を強化推進していくこととしています。
 先日の予算特別委員会における我が党の代表質疑では、集中豪雨による浸水被害の防止のため、河川の調節池の整備や大規模地下街における下水道浸水対策の推進について指摘いたしましたが、雨水の流出そのものを減らしていく流域対策の強化も忘れてはいけません。
 都はどのように流域対策に取り組むのかお伺いいたします。

○安井都市整備局長 都は昨年六月、豪雨対策基本方針を改定し、境川など二流域を加えて、合わせて九つの流域で豪雨への対策を強化することといたしました。
 来年度からは、これらの流域でこれまで実施してきました個人住宅における雨水浸透ます設置費の補助などに加えまして、学校等の公共施設における雨水貯留浸透施設の整備について助成制度を創設いたします。
 具体的には、区市が既存の公共施設におきまして、貯留浸透施設を新たに整備する場合の工事費に対しまして補助を行うことといたします。
 また、公共施設を新たにつくる、あるいは更新する際に、都と流域自治体で定めた基準を上回る規模の貯留浸透施設を整備する場合にも、その上回る部分を対象とする工事費について補助対象といたします。
 引き続き、流域対策を積極的に進め、豪雨に強い都市の実現に向けて取り組んでまいります。

○崎山委員 どうぞ関係する補助対象者に周知もしっかりしていただいて、流域対策に取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 災害に強い安全な東京をつくるためには、昨今多発する集中豪雨対策は喫緊の課題です。区市と連携し、早急に、着実に、流域対策の推進に努めてほしいと思います。
 次に、経費節約の観点からも積極的に導入を検討しなければならない都市基盤施設の長寿命化についてお伺いをいたします。
 都市の安全性を高めるためには、都市基盤の整備を進めることも重要ですが、これからの時代は、既にある都市基盤施設の高齢化に対応し、長寿化を図っていくことも都市政策の重要なテーマです。
 都市基盤施設の長寿命化に向けた取り組みとして、既に都は、道路において橋梁の長寿命化工事が進められていますが、道路の構造物としてはトンネルも重要であるほか、河川における地下調節池も分水路も水害に対して効果の高い重要な構造物です。これらの施設も橋梁と同様に、今後ともその機能を十全に発揮させ、良好な状態で将来世代へ継承していくことが必要であります。
 そこで、道路のトンネルや河川の地下調節池、分水路における長寿命化に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○横溝東京都技監 道路のトンネルや河川の地下調節池、分水路は、都民生活や都市活動を支える重要なインフラ施設である一方、使用を継続しながらつくりかえることが困難なため、百年後も見据えて安全な状態に保つ必要がございます。
 このため、都は、供用中の百二十一の道路トンネル及び十七の河川施設全てについて、蓄積された健全度調査の結果をもとに、新たに予防保全計画を策定し、平成二十七年度から順次対策に着手いたします。
 具体的には、例えば市街地の道路トンネルでは、全国に例のない取り組みとして、交通機能を確保しながら、コンクリート躯体の鉄筋の増量や炭素繊維シートを用いた壁面補強などを実施してまいります。また、分水路などでは微弱な電流を流して、鉄筋の酸化による腐食を抑制する対策を行ってまいります。
 今後とも、都民の安全を確保するため、都市基盤施設の一層の長寿命化を推進してまいります。

○崎山委員 都市基盤施設の長寿命化に向けて計画的な対策を行うことで、安全性のさらなる向上はもとより、工事の平準化や全体事業費の縮減、環境負荷の低減にも資するなどの効果が期待されます。このように多くの効果が見込まれる長寿命化への取り組みを積極的に進めていってほしいと思います。
 さて、東日本大震災から早くも四年が経過をいたしました。被災地の一日も早い復興を祈らずにはおれません。災害が起きますと、避難所では、断水により水を求める方々が給水車に長蛇の列をなしていたことを覚えている方も多いと思います。
 首都直下地震の切迫性が指摘されている現在、大地震が東京を襲い、避難所への水の供給が途絶えれば、生活用水の不足に直結し、衛生上の問題が発生するなど、避難所の生活に重大な影響を及ぼすことになります。
 こうした事態を防ぐため、我が党は、多くの被災者や帰宅困難者が集まる避難所への管路の耐震化を進めていくべきと提言しており、水道局の積極的な対応も承知をいたしております。しかし、震災時に避難所となる建物に甚大な被害が生じれば、建物内の蛇口から水が出なくなるなど、避難者が水を得られないことも考えられます。
 そこで、避難所への管路の耐震化の取り組みについて伺うとともに、万一、避難所となる建物が被災しても、確実に応急給水できる仕組みが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○吉田水道局長 水道局では、配水管の耐震継ぎ手管への取りかえを鋭意進めており、避難所に供給するルートにつきましては、小中学校などの優先避難所約千九百カ所は平成三十四年度までに、その他約七百カ所は平成三十九年度の完了を目指しております。また、多くの被害が想定される配水管から水道メーターまでの給水管につきましては、平成二十八年度の完了に向け、耐震化を推進しております。
 ご指摘のとおり、避難所の敷地までの給水が確保されていても、仮に建物が甚大な被害を受ければ、避難者が水を使えなくなることから、今後は避難所敷地内における水道メーターまでの給水管の耐震化に合わせ、確実に応急給水ができる設備の設置に向け、施設管理者である区市町と調整してまいります。

○崎山委員 ぜひ区市町と調整の上、耐震化も進めていただきたいというふうに思います。
 避難所における確実な給水は、不便な避難生活を少しでも改善するために大変重要なことであり、避難所への管路の耐震化と並行して、迅速かつ確実な給水方法についても十分検討を進めていただきたいと思います。
 また、安全を考える上で、本年三月で発生から二十年となる地下鉄サリン事件があります。平成七年に、死者を含む多数の被害者を出した同時多発テロ事件でもあります。また、先週には、チュニジアで我が国邦人も含む多くの皆さんがテロの銃弾に倒れました。本当に痛ましい事件であります。心から哀悼の意とお見舞いを申し上げたいと思います。
 こうした事件を教訓として、都営地下鉄においても防犯カメラの設置や各種訓練の実施など、さまざまな対策を講じてきておりますが、先日の東京マラソン二〇一五では、国際情勢が厳しさを増す中で、これまで以上に警備体制が強化され、ランナーを初めとした都民の安全確保が図られました。
 こうした状況も踏まえ、一日に二百四十万人を超える利用者がいる都営地下鉄駅においても、テロ対策をさらに強化する必要があると考えますが、今後の具体的な取り組みについて伺います。

○新田交通局長 これまでも都営地下鉄におきましては、日常的に、カメラによる監視に加え、駅員やガードマンによる巡回を行っておりますほか、APEC開催時などには、ごみ箱の撤去やコインロッカーの閉鎖など、特別警戒を行っております。また、各職場では、警察や消防と連携いたしまして、NBCや爆発物に対処する訓練を常日ごろから実施し、テロ発生時における駅員の対応力の向上を図ってきております。
 今後は、さらに二〇二〇年大会開催を見据えまして、関係機関との連携を一層強化いたしますとともに、地下鉄サリン事件の教訓等も踏まえまして、総合指令所に監視カメラの映像等を集約するなど、テロに備えた局内体制の強化を図ってまいります。
 また、監視カメラによる不審者検知システムなど、鉄道テロ対策に資する新技術の開発動向にも注視しながら、テロ対策の強化に取り組んでまいります。

○崎山委員 また、都は、一月に発表した安全安心TOKYO戦略で、社会問題である危険ドラッグの撲滅や通学路における安全対策などについて、地域力の強化に重点を置いて、総力を挙げて取り組む方針を示されました。
 これまでの枠組みにとらわれず、地域で活動する企業の協力を得て、子供見守りネットワークを構築するなど、新たな取り組みの方向性は評価しますが、その成否は、いかに幅広い関係者の理解と協力を得るかにかかっています。
 そのためには、戦略で掲げた都の基本姿勢を都民にわかりやすく示して、議会で議論することが必要であります。戦略の実効性を確保するためにも、東京都安全・安心まちづくり条例を改正すべきと思いますが、その見解をお伺いいたします。

○河合青少年・治安対策本部長 都ではこれまで、ご指摘の東京都安全・安心まちづくり条例に基づき、東京の治安回復を目的に、六十二区市町村の都内全域で、地域や警視庁等と連携して取り組んでまいりました。
 しかし、この条例は制定から十年以上が経過し、治安情勢が変化する中で、危険ドラッグなどの喫緊の課題や地域における安全・安心の向上に資する取り組みへの対応が十分ではございません。
 そこで、ご指摘のとおり、戦略の実効性を高めるため、第二回都議会定例会での条例改正に向けて準備を進め、誰もが安全・安心を実感できる東京の実現に取り組んでまいります。

○崎山委員 ぜひよろしくお願いいたします。安全対策に手抜かりがないように、全庁を挙げて取り組んでいただきたいことを強く要望し、次の質問に移ります。
 次に、子供を犯罪被害から守るための対策について伺います。
 去る二月二十日に、川崎市の男子中学生がナイフで殺傷されるという事件が発生し、容疑者として複数の少年が逮捕されました。報道によると、不登校の被害生徒に教員が繰り返し家庭訪問や電話連絡したにもかかわらず会うことができず、結果として、状況を確認できなかったことや暴力等の事実について知っていた友人も、誰ひとり大人に相談していなかったことなどが被害を防止できなかった要因につながっていると推測されます。
 中学生のとうとい命が失われたことは深い悲しみであり、こうした事件を絶対に起こさないためには、本人や友人など誰かが何らかの方法で大人に助けを求めることができるようにする対策を社会全体で講じていくことが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○比留間教育長 子供の間で行われるいじめや暴力は、その行為が大人に見えにくい実態や、被害を受けている子供ばかりでなく、状況を把握している周囲の子供も大人にはなかなか伝えようとしない実態がございます。
 今回のような事件は、子供の命にかかわる極めて重大な問題であるため、都教育委員会は通知を出し、子供が危険な状況にある場合には、本人はもとより、周囲の子供もちゅうちょなく大人に訴えること、関係者が連携して直ちに安全を確保することなど、緊急事態への取り組みの徹底を求めたところです。
 通知に示した取り組みをより実効性あるものにするため、今後、健全育成に関する有識者会議の検討を通して、学校と家庭、地域、警察、福祉等の関係機関とが一体となって、子供を犯罪の被害から守り通すための具体的な対策を早急に講じてまいります。

○崎山委員 子供が大人を信頼し、つらいことや心配事を相談すれば、必ず自分を守ってくれるという安心感を持てるような取り組みをお願いいたします。
 今回の事件の被害生徒は、ある時期から不登校になっており、支援が届かなかったようです。不登校の子供の状況の把握や支援のあり方も課題であります。
 さらに、小中学校のときに不登校であった子供は、その後、高校の中途退学につながりやすいともいわれています。不登校や中途退学は、学校だけでは解決しがたい問題であり、今回の事件も教訓に、対策を強化すべきです。
 不登校や中途退学に対し、学校のみならず関係機関が連携して、子供の置かれた状況に応じた対応や子供の将来を見据えた支援をしていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○比留間教育長 不登校や中途退学の児童生徒は、学校を初め社会から孤立してしまった場合には、十分な支援を受けられず進路の選択も困難になるケースが多くございます。
 こうした児童生徒に対応するため、来年度、スクールソーシャルワーカーの配置について、区市町村の要望に確実に応えられるよう拡充を図るとともに、新たに都立学校にも配置をし、福祉と連携して家庭に働きかける支援を強化いたします。
 また、中途退学者に対し、専門家による訪問指導等により就労や再就学につなげる取り組みを新たに都立高校で試行するほか、ハローワークと連携した支援を強化いたします。
 こうした取り組みを含め、さまざまな主体がかかわり、社会全体で支援できるよう、これまでの枠組みにとらわれない総合的な不登校、中途退学対策を来年度、取りまとめてまいります。

○崎山委員 ぜひ、支援が必要な子供たちの実態に応じて、さまざまな関係者がかかわり、一人一人に手を差し伸べるような抜本的な対策を講じていただきたいと思います。
 次に、東京の将来を支える人材の育成について伺います。
 東京五輪開催に向け、国際都市東京における、さまざまな国の方々との交流は、ますますふえてくると思います。そうしたときに、子供たちは胸を張って、我が国の歴史や脈々と受け継がれてきた伝統文化を語ってほしいと思います。
 世界で一番の都市東京を実現していくためには、世界で一番の教育を推し進め、真の日本人らしい精神を有し、ふるさと東京を誇りに思う人材育成こそ最優先の教育課題だと思います。
 そこで、日本人としての自覚や誇りをさらに高めるために、教育委員会は具体的にどのような取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。

○比留間教育長 現在、児童生徒は、各教科や道徳、学校行事、部活動など、さまざまな場面で我が国の古典や歴史、人としてのあり方、生き方や規範意識等、日本人が大切にしてきた価値や我が国の伝統文化について学習をしております。
 また、都教育委員会は、各学校の取り組みを一層充実するため、先人の生き方に学ぶ都独自の道徳教材や日本史教科書「江戸から東京へ」の作成、配布、部活動への伝統文化に関する外部人材の導入などを行ってまいりました。
 今後は、児童生徒が都立高校に配置されているJETプログラムによる外国人指導者と交流することにより、世界の多様な文化や価値観を理解するとともに、日本人としての認識を深め、我が国の伝統や文化のよさを発信できるようにしてまいります。
 二〇二〇年に向け、こうした取り組みをさらに推進し、児童生徒の日本人としての自覚や誇りを一層高めてまいります。

○崎山委員 ぜひお願いをしたいと思います。私の大好きな方で、昭和を代表する文芸批評家の小林秀雄さんという方がいらっしゃいまして、小林秀雄さんが伝統についてこう語っています。大好きな言葉であります。伝統とは、わざわざ見つけ出しそれを信じ受け継いでいくと。伝統とは、わざわざ見つけ出しそれを信じ受け継いでいく。
 これを機会に、東京の子供たちが、私たち日本の東京の伝統をしっかり身につけていただくように取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 私たち自民党も、この質問の原稿、かたくなに縦書きで読ませていただいているということもご案内をさせていただきたいというふうに、わざわざ縦書きにさせていただいて質問させていただいているということも、ご理解をいただきたいと思います。
 日本人としての自覚や誇りを持ち、異なる文化を持つ人々と積極的にコミュニケーションしていくために、語学力を身につけていくことが不可欠であります。しかし、中学校や高校で六年間、英語を学んでも、自信を持って会話ができるようにならない現実があります。
 そこで、使える英語力を向上させていくため、学校における英語教育を一層充実することが重要であると考えますが、教育委員会の見解をお伺いいたします。

○比留間教育長 二〇二〇年に向けて、生徒の英語力、特に聞く、話す力を伸ばすため、これまでの英語教育を、国際都市東京にふさわしい方向に大きく転換をさせてまいります。
 このため、都教育委員会は、三カ月間海外研修に派遣した教員による授業の実施や、都立高校における外国人指導者の配置拡大により、学びの場を国際化してまいります。また、語学の学習集団の人数を少なくすることにより、生徒一人一人が外国人指導者と主体的かつ活発に英会話を行い、生きた英語力を身につけられる学習環境を整備してまいります。
 さらに、児童生徒が英語しか使えない環境で、外国人と直接交流し、生きた英語を体験的に学ぶ英語村について、平成三十年度の開設を目指し、有識者会議を設置して鋭意検討してまいります。

○崎山委員 国際社会で真の日本人としてコミュニケーションを図ることができるよう、英語教育を一層充実していくことを重ねてお願いしたいと思います。
 世界一の都市東京を担う若者に期待することは、自国や世界に目を向け、多様な文化を理解するとともに、コミュニケーション能力を発揮し、みずからが社会の一員であることを認識しながら、国際社会に貢献していくことであります。日本人としての自覚と誇り、そして、使える英語力を武器として、日本人として胸を張ってみずからの意見や考え方を述べ、積極的に交流できる人材が多く育ってほしいと願っています。
 そこで、子供の国際貢献意欲を高めていくために、教育委員会は具体的にどのような取り組みをしていくのか、お伺いをいたします。

○比留間教育長 二〇二〇年に向けて、今後、全ての学校でオリンピック・パラリンピック教育を展開し、児童生徒の大会運営ボランティアへの参加や、世界の国の人々との交流など、さまざまな取り組みを推進してまいります。こうした機会や活動を通じて、児童生徒に、世界の舞台で活躍し国際社会に貢献していこうという意識や態度を育成してまいります。
 また、国際貢献の意識を児童生徒、さらには教員に醸成するため、JICAと連携した都立高校生や教員の体験研修を実施するほか、青年海外協力隊経験者の教員採用特別選考や、現職教員の協力隊への派遣拡大を行ってまいります。
 さらに、都立高校十校を東京グローバル10として指定し、国内外の大学や海外の高校との交流などの取り組みを支援することで、世界に目を向け、国際貢献への強い意欲と主体的行動力を持つ生徒を育成してまいります。

○崎山委員 私たち日本人の徳目に、和をもってたっとしとなすという言葉があります。日本人として、和をもってたっとしとなす、これはいい言葉だと思いますが、しかし、海外の人とおつき合いをする中で、それだけでは私はいけないんだろうと思っています。和をもってたっとしとなし、そして、和して同ぜずということも大事なんだろうというふうに思っておりますので、どうぞ、東京の子供たちにしっかりそこら辺も意識して教えていただきたいというふうに思っております。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 子ども・子育て支援新制度における私立幼稚園支援について伺います。
 新制度は私立幼稚園にとって大きな制度変更となりますが、制度の具体的な内容がなかなか示されず、そればかりか、ようやく示された公定価格の仮単価では、多くの園で現行収入を下回り、園運営への支障が懸念されていました。
 この間、我が党は都議会意見書をまとめ、国に対して強く働きかけ、都も繰り返し緊急要望を行いましたが、国は見直し方針を示さず、新制度への移行を考えている各園は、園児募集に大変なご苦労があったと聞いています。
 特に、新制度への移行が原則とされる認定こども園にとっては、公定価格の改善が死活問題であり、我が党は都に対して必要な対応を求め、その結果、認定こども園に対する特別補助が来年度予算案に盛り込まれました。
 先月ようやく示された来年度の公定価格は改善が図られたようですが、都内の全ての認定こども園の減収が回避されたとは思えません。
 そこで、認定こども園に対する今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。

○小林生活文化局長 国が二月に示した公定価格には、三歳児に係る職員配置の改善や、幼保連携型認定こども園の園長人件費に係る経過措置など、都の要望を反映した改善が図られております。
 しかしながら、都内の認定こども園につきましては、現行の収入を下回る園の数は減ったものの、依然として減収が避けられない園が見込まれ、とりわけ大規模な園において大幅な減収となる傾向がございます。
 そのため、都は、来年度創設する認定こども園新制度移行支援特別補助によりまして、減収となる認定こども園に対し、移行による減収の影響を緩和する措置を講じてまいります。

○崎山委員 公定価格の改善だけではなお現行収入を下回る園があるとのことであり、都としての支援をしっかりと行っていただけるようお願いをいたします。
 いよいよ来週、新制度が施行されますが、大きな変更を伴うため、新制度に移行する園にとっては戸惑いもあると思います。
 そこで、これまで東京の幼児教育に重要な役割を果たしてきた私立幼稚園に対し、新制度施行後、都はどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○小林生活文化局長 新制度は、私立幼稚園にとって大きな制度変更であり、保育料一つとってみましても、これまで各園で一律であったものが、園児の居住地や保護者の所得に応じて異なるようになるなど、各園において複雑な事務が新たに必要となります。
 また、私立幼稚園の通園区域を考慮いたしますと、区市町村をまたがる広域的視点での調整が必要な場合もあり、さらに、施設整備への支援など、引き続き私学助成による支援を継続するものもございます。
 そのため、都といたしましては、実施主体となる区市町村と十分に連携し、私立幼稚園団体の意見も聞きながら、各園で混乱が生じないよう、きめ細かく対応してまいります。
 時代や地域社会の要請に応え、東京の幼児教育を支えてきた私立幼稚園が、新制度施行後も将来を担う子供たちに引き続き質の高い幼児教育を提供できるよう、都としては、新制度に移行するか否かにかかわらず、しっかりと支援してまいります。

○崎山委員 ありがとうございます。新制度の移行の有無にかかわらず、しっかりと支援をしていくというご答弁をいただきました。
 東京の幼児教育の中核を担ってきた私立幼稚園の役割は、新制度への移行のいかんにかかわらず、今後ますますその重要性が増していくものと考えます。ただいま答弁していただいたように、引き続き私立幼稚園に対する支援をしっかり行っていただきますよう改めてお願い申し上げまして、次の質問に移ります。
 次に、待機児童解消の取り組みについてお伺いをいたします。
 我が党は、さきの本会議や予算特別委員会の質疑で、保育サービスの拡充に向けた都の取り組みや保育人材の確保策などについて伺ってきました。
 待機児童を解消するためには、地域の実情に応じた多様な保育サービスを拡充していくとともに、あわせて、保育の質の向上を図ることも重要です。
 さきに質問した子ども・子育て支援新制度で、保育サービスにも大きな影響が出てきます。保育サービスの充実を図るため、都独自に実施している民間社会福祉施設サービス推進費補助についても、国の制度改正に合わせて見直しが必要であると考えます。
 このため、我が党は、サービス推進費補助の見直しが保育サービスのさらなる充実を図るものとなるよう、昨年十二月に緊急提言を行いました。都は、我が党の提案を踏まえ、保育所のサービス推進費補助を再構築し、新たな補助を実施することとしていますが、どのような観点で再構築を行ったのか、お伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 保育サービスをさらに充実するためには、保育人材の確保、定着を図りますとともに、サービスの質を一層向上させる必要がございます。
 こうした観点から、現在のサービス推進費補助を再構築し、保育士等のキャリアパスの仕組みの導入に取り組む事業者を支援する保育士等キャリアアップ補助と、障害児やアレルギー児、外国人児童など、特に配慮が必要な児童に対する保育の充実を図る保育サービス推進事業を創設いたします。
 この新たな事業では、社会福祉法人を初め、株式会社やNPO法人を含む全ての事業主体を対象に、認可保育所、認証保育所、小規模保育事業などの多様な保育サービスを幅広く支援いたします。
 今後とも、保育サービスのさらなる整備と質の向上に向け、区市町村や事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。

○崎山委員 待機児童解消に向けては、区市町村や事業者の取り組みが欠かせません。ぜひとも一層の支援をしていただきたいと思います。
 加えて、私、地元、荒川区なんですが、今年度、待機児童が大幅に減ったということがあって、それでもう新年度は大丈夫かなというふうに思っていましたら、やはりこれが地域でも都内でも評判になったんでしょうか、新たに転居する方もふえて、またまたまた待機児童が出てしまうというような状況も生じております。
 ですからこれは、ある区市町村だけでやるものではなくて、東京都全体で底上げを図って、待機児童を解消していかなければいけないんだろうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、認知症対策についてお伺いいたします。
 我が国では、平成三十七年には高齢者の五人に一人が認知症になるといわれています。私の周りにも認知症の人がいます。私の身内にはいらっしゃいませんけれども、知り合いに認知症の方がいらっしゃいます。介護する家族の精神的、身体的な負担は相当なものとなっています。
 認知症、特にアルツハイマー型については根治薬がなく、予防法もまだ確立されていません。私も本を買ったりインターネット等で調べてみましたが、やはり根治薬はないということであります。
 それで、認知機能低下の予防策としては、適度な運動、バランスのとれた食生活、社会参加などの日常生活における取り組みが効果的だというふうに今いわれております。そのため重要となるのは、認知症の早期発見と、私は早期対応だろうというふうに思っております。
 現在の薬は治療を目的とするものではなく、進行を抑える、進行を抑制するものであります。そのため、早期に受診して、早期の薬物対応により、家族の負担も軽減できると考えられます。
 都がこれまで、認知症疾患医療センターの設置を初め、さまざまな認知症対策を進めてきたことは高く評価するところでありますが、急増が見込まれる認知症の人を地域で支えていくためには、さらなる対策の強化が必要です。とりわけ早期発見、早期対応に力を入れることと思います。
 そこで、認知症の早期発見、早期対応を推進するため、都が来年度、どのような施策を行っていくのか、お伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 都におきましては、来年度、地域の関係機関との連携を推進する役割を担う認知症疾患医療センターを、二次保健医療圏ごとの十二カ所から、区市町村ごとの五十三カ所に拡大をし、身近な地域で認知症の方を支える体制を強化いたします。
 また、センターと連携し、相談支援を行います認知症支援コーディネーターを、高齢者人口に応じて区市町村ごとに二名まで配置できるようにし、規模も現在の二十七区市から四十区市町村に拡大をいたしますほか、センターに配置いたしました認知症アウトリーチチームが、コーディネーター等からの依頼に応え、認知症の疑いのある高齢者等の自宅を訪問し、医療につなげる取り組みも拡充いたします。
 さらに、普及啓発用DVDを区市町村などに配布し、都民の認知症への理解、早期受診を促進するなど、認知症の早期発見、早期対応に向けた取り組みを一層強化してまいります。

○崎山委員 認知症の早期発見、早期対応を進めるためには、地域で認知症の人の支援に携わる関係者の認知症の対応力を向上させることも重要です。
 高齢者の身近にいるかかりつけ医には、認知症の疑いに早期に気づき、必要に応じて認知症疾患医療センター等につなぐ役割が期待されます。
 認知症の疑いのある高齢者の中には、みずから受診をしようとしない方も大勢いるようです。また、ひとり暮らしの方も多いことから、こうした方を把握し、訪問支援を行う人材も必要となってきます。
 今後、認知症対策をさらに進めていくためには、こうした地域の関係者の人材育成を図るとともに、顔の見える関係づくりを進め、ネットワークが構築されていることが必要と考えます。
 そこで、都は今後、認知症の人の支援に携わる関係者の対応力を向上させるために、具体的にどのような取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。

○梶原福祉保健局長 都におきましては、地域の医療従事者の認知症対応力を向上させるため、認知症疾患医療センターで引き続き関係者を対象に、多職種連携をテーマとした事例研修を行いますほか、来年度、新たに、かかりつけ医向けの研修を開始し、病院勤務者向け研修の回数もふやすなどの充実を図ってまいります。
 また、都内の医療従事者等の研修拠点として来年度設置する認知症支援推進センターでは、認知症ケアに従事する医療専門職を対象に、認知症サポート医や認知症支援コーディネーター等のスキルアップ研修を開始いたします。
 これらの取り組みに加えまして、介護事業所職員を対象とした認知症ケアに関する研修も引き続き実施するほか、区市町村ごとに設置いたします認知症疾患医療センターと地域の関係機関との連携を進め、認知症の方を支える医療介護専門職全体の資質向上とネットワークづくりを進めてまいります。

○崎山委員 認知症の方を地域で支えていくためにも、早期発見、早期対応の取り組みを一層進めていただくことを要望いたします。
 参考までに、知事、歴代の厚生大臣だった方がこういう話をして、私もなるほどなと思いました。認知症の予防には、さっきもいったように、バランスある食事、適度な運動、そして目的を持った社会参加、それは何かというふうにその方が講演会でおっしゃって、何だと答えたかというと、選挙だというふうにおっしゃいまして、わかりやすく都民の皆さんにもPRをしていただきたいというふうに思っております。
 次に、東京の経済、産業についてお伺いをいたします。
 東京は、日本人が培ってきた伝統や多彩な文化、安全で清潔な生活環境、機能的で品格のある都市空間など、多様な魅力にあふれる洗練された都市です。現在の東京は、江戸期に成熟した日本人の感性や高い文化、教育水準が財産として受け継がれ、これが原動力となって形成されてきました。
 都が先日発表した東京のブランディング戦略(素案)では、東京のブランドコンセプトを、伝統と革新が交差しながら、常に新しいスタイルを生み出すことで、多様な楽しさを約束するまちと表現しています。伝統と革新が交差しながら、常に新しいスタイルを生み出すことで、多様な楽しさを約束するまち、いいコピーですね。いいコピーです。
 東京五輪開催年に向け、このような変わらぬ伝統と革新性が織りなすまちの魅力や、日本人の精神性や美意識が表現された東京のブランドを確立することが何より重要です。
 東京の英知を結集してブランドイメージを確立する、そして、それを世界に向けて強力に、戦略的に発信していくべきです。
 同時に、都民一人一人がそれを共有し、東京というまちに誇りと自信を持って、外国から皆さんをお迎えする機運の醸成にもぜひ協力していただきたい、一緒に参加していただきたいと思います。東京ブランドの確立に向けた今後の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

○山本産業労働局長 東京ブランドの確立に向けまして、まず、第一線級のクリエーティブディレクターを起用いたしまして、東京ブランドのイメージをわかりやすく表現したロゴ、キャッチコピーを作成するとともに、官民一体となってこれを活用し、ブランドを発信していく推進体制を構築いたします。
 その上で、都民や民間事業者が東京の魅力に気づき、これを共有するためのブランドブックの作成や、参加型ウエブサイトの開設など、東京への愛着を深め、旅行者の受け入れ機運を醸成する取り組みを進めてまいります。
 同時に、国際的な放送網のテレビCMや世界的に知名度の高い旅行サイト等のメディアを活用し、文化の独自性や多様性、常に進化し続ける都市の活力など、東京のブランドイメージを全世界に向けて強力に発信してまいります。

○崎山委員 ぜひ、都民の皆さんが共感できる、すばらしいロゴ、キャッチコピーをつくっていただき、それを活用して、東京ブランドの浸透、イメージアップを強力に推し進めていただきたいと思います。
 さて、本定例会には、二百億円のおもてなし・観光基金の設置条例が検討されています。これまでの我が党の質疑を通じ、区市町村や宿泊施設、飲食店、観光施設などに対する外国人旅行者の受け入れ環境整備のための新たな支援策が明らかになりました。
 東京五輪開催時に、世界各国から集まる旅行者の皆さんに最高のおもてなしを提供する。そのためには、初めて東京を訪れた人でも必要な情報が簡単に手に入り、大会会場や観光地までの移動がスムーズにできるよう、デジタルサイネージなどの先端技術も活用して、多言語対応などの準備に計画的に取り組む必要があります。
 都が先頭に立って、二〇二〇年に向けた絵姿をしっかり描き、受け入れ環境の整備を進めるべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。

○山本産業労働局長 外国人旅行者の移動、滞在を支える環境を計画的かつ集中的に整えるために、都は、昨年十二月に受け入れ環境整備方針を策定いたしました。
 この方針に基づきまして、新たに創設する基金を活用し、区市町村や民間事業者の取り組みを支援することはもとより、都はみずから、外国人旅行者が多く訪れるエリアを中心といたしまして、観光案内機能の充実を図ってまいります。
 具体的には、新宿南口の新たな観光情報センターを初め、広域的な観光案内を行う拠点を整備いたします。また、まち中では、無料Wi-Fiサービスを約七百カ所で提供するとともに、タッチパネルによる情報検索機能を備えたデジタルサイネージを約百基設置いたします。加えて、観光ボランティアを約三千人育成いたしまして、多言語による観光案内を実施していくなど、旅行者が徒歩二、三分で観光情報を得られる環境を実現いたします。

○崎山委員 ぜひ、外国人がまち歩きしやすい環境をつくっていただきたいと思います。外国人旅行者に快適な環境を提供することは、リピーターをふやすための重要な取り組みであるというふうに思います。
 さて、観光庁の調べでは、外国人旅行者数が過去最高となったこともあり、昨年の旅行消費の総額は前年と比べて約一・四倍、過去最高の二兆円超になったとのことです。
 私は、今後、外国人旅行者の興味が、いわゆる観光名所だけではなく、実際の人々の生活に触れられる場へと移ってくるのだというふうに思います。私たちの日常の暮らしが、恐らく、外国人観光者にとっては非日常の光景に見えるんだろうというふうに思っております。
 その意味で、都内の至るところにある商店街は、外国人旅行者を受け入れる東京の観光資源として大きなポテンシャルを持っています。
 商店街の方も、最近では、例えば商店主が簡単な英会話ができるようにする取り組みや、外国人を接客する際に必要な会話文を掲載した指さしシートの作成などの取り組みを始めているところもあります。私も実際、近所のおすし屋さんからお聞きいたしました。
 商店街支援については、これまでも我が党の要望に応え、環境対応の取り組みや買い物弱者支援など、時々のニーズを踏まえた支援を講じていただいています。東京五輪開催を控え、今後ますます外国人旅行者の増加が見込まれることから、我が党は来年度予算の復活要望において、商店街における多言語対応等への支援の強化を求めたところですが、来年度の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

○山本産業労働局長 外国人旅行者が、商店街で住民の日々の生活に触れながら気軽に買い物をすることができる環境を整備することは、商店街の振興と地域の活性化を図る観点から重要であると考えております。
 このため、来年度、商店街におけるデジタルサイネージや多言語案内板の設置、商店主に対する語学研修の実施やホームページ等の多言語化、さらには購入した商品の免税手続カウンターの整備などについて、区市町村と連携して新たな支援を行い、その経費の二分の一を都が助成いたします。
 こうした取り組みによりまして、商店街における外国人旅行者の受け入れ体制の充実を図ってまいります。

○崎山委員 どうぞ、申請の手続も含めて、簡素な形で申請ができるような受け付けを窓口でしていただければというふうに思っております。
 東京五輪開催はまた、日本、そして東京の豊かなものづくりのわざを世界に発信していく大きなチャンスです。東京では、雑貨やファッションから日用品、伝統工芸品に至るまで、実にさまざまなものづくりが営まれています。日本人には当たり前の品々も、外国の方からは質が高く感性豊かな商品として評価され、大ブレークする可能性さえ秘めています。
 クールジャパン、そして、メード・イン東京のブランド力を武器に、東京だからこそ生み出せる独自の商品を内外に向けて強力に発信し、売り込んでいくべきと考えますが、東京都の取り組みをお伺いいたします。

○山本産業労働局長 東京ならではの特色ある製品を掘り起こし、その魅力を効果的に発信して国内外の市場への浸透を図るため、都は来年度より、こうした製品の販売やPRに取り組む都内中小企業を支援してまいります。
 具体的には、東京の歴史や文化、伝統に裏打ちされた製品や、東京の中小企業が持つ独自の技法、デザインを取り入れた、こだわりの製品などを対象といたしまして、国内外のアンテナショップでの販売やイベントの開催によるPRなどに係る経費の一部を助成いたします。
 また、これらが高い効果を上げるよう、マーケティングなどの専門家によるアドバイスも行ってまいります。これによりまして、メード・イン東京のブランドイメージを向上し、国内外での販路の拡大を強力に後押ししてまいります。

○崎山委員 東京五輪開催に向け、こうしたさまざまな取り組みを進めることは、世界一の観光都市東京を実現していく意味でも、東京の産業の活性化を図る点でも大変重要です。東京、そして日本の魅力発信に向けて精力的な取り組みを求めて、次の質問に移ります。
 次に、物流対策について伺います。
 先般、東京の総合的な交通政策のあり方検討会の報告書が公表されました。ここでは人の移動について検討されてきましたが、物の動きについても適切な対応が必要です。
 東京は、人口が集中する大消費地であるとともに、東京港や羽田空港など、物流の重要な拠点を擁する首都圏の中枢です。物の動きは、東京都内だけで完結するものではなく、首都圏全域にわたるダイナミックなものだという視点も重要です。
 代表質疑では、都市づくりのグランドデザインについて伺いましたが、東京の都市像を描く上で、活発に行われる経済産業活動や都民生活を支える物流についてもしっかり考え、今後の方向性を示していく必要があります。
 そこでまず、都は、これまでの物流問題をどのように受けとめ、どう取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○安井都市整備局長 都は、平成十八年に総合物流ビジョンを策定いたしまして、高速道路から一般道路への貨物車の迂回や路上荷さばきに伴う渋滞などに対処するための基本的な考え方を体系的に取りまとめております。
 このビジョンに基づく具体策といたしまして、三環状道路の整備の推進や主要幹線道路の橋梁の補強等による物流ボトルネックの解消などによりまして、輸送時間の短縮を図ってまいりました。
 また、都心部の共同配送の取り組みへの支援や、荷さばき作業が可能な駐車場の普及促進などによりまして、車両の削減、輸送の効率化など地域の環境改善に取り組んでまいりました。

○崎山委員 現在の総合物流ビジョンが検討されていたころから、おおよそ十年が経過をいたしましたが、この間、さまざまなことが変わってきたのではないかと思います。
 例えば、身近なところでは、インターネット通販が急激に普及してきました。翌日配送や時間指定、中には当日配送といったサービスも出てきております。
 首都高中央環状線は先日の品川線の開通をもって完成し、圏央道は東名から関越までつながるなど、道路整備も着々と進み、渋滞の減少による交通の円滑化などの効果も出ています。
 これらの動きに合わせ、臨海部や圏央道沿線を中心に大型の物流施設の立地が見られます。このように物流を取り巻く状況は大きく変わってきたといえます。
 さまざまな変化とそれに伴う物流の動きを踏まえ、都としても的確に対応していくべきと考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○安井都市整備局長 都は、昨年度から、国や首都圏の自治体と共同で物流の最新の状況に関する調査を実施しております。その結果、お話のとおり、少量で多頻度の配送に伴う小型車両の増加、臨海部におけます広域物流施設の老朽化など、物流需要の変化やこれを支えるインフラのあり方などについての対応が必要となっております。
 今後の課題といたしましては、例えば、より効率的な集配システムの構築や、商品加工、修理などを加えた物流施設の高機能化、多摩地域におけます新たな拠点整備などがあると受けとめております。
 このため、来年度から、物流ルートとしての高速道路の一層の活用、地域特性を生かした施設立地のあり方、都心部などにおけます集配送の円滑化等の観点から、交通管理者などとも連携いたしまして、新たな物流政策の検討に着手いたします。

○崎山委員 ぜひよろしくお願いいたします。時流に合ったものをおつくりをいただきたいと思います。
 物流は経済活動そのものでありまして、経済の動脈です。世界で一番の都市東京の実現のため、さらには日本全体の発展のため、大きな視点に立った検討を進めてもらいたいと思います。
 次に、東京港の経営について伺います。
 東京港は、東日本の生活と産業を支える重要な役割を果たしており、アベノミクスによる日本の成長戦略の実現には欠かすことのできない極めて重要な物流インフラです。
 日本の貿易構造は、一九六〇年代の重厚長大型の産業製品の輸出から、一九八〇年代には、電子、電気機器、輸送機器など加工組み立て型製品へと変遷し、近年では日用品の輸入が増加するなど、産業構造の進展に合わせ変化を遂げてきました。
 しかし、最近の国際コンテナ戦略港湾政策では、単に貨物量の多寡で国際競争力を図ろうとする貨物量至上主義や、欧米からの国際基幹航路数の維持拡大を至上命題としており、時代の変化を踏まえているのかと疑いたくなります。
 知事は、これまでたびたび、現場の実態を熟知する都が引き続き東京港の経営に責任を持つと明言してきましたが、貿易構造の変化を踏まえ、今後どのように港湾経営に取り組むのか、知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 海洋国家であります日本では、海上輸送は産業や国民生活にとって必要不可欠なものであります。そして、これを支えるインフラである港湾は極めて重要な役割を果たしております。
 生産拠点のアジアへのシフトなど産業構造が変化するとともに、日本社会の成熟化が進展する中、東京港では、現在、輸入貨物が大きく伸長し、輸入港としての性格がますます強まってきております。
 東京港では、シンガポール港のようなトランシップ港とは異なりまして、背後に大消費地を抱える輸入港としての立場をしっかりと認識することが必要であります。
 そのため、先ほどおっしゃいましたように単なる貨物量の多寡ではなく、物流への付加価値を高めていくなど、港湾関係者とも連携して、利用者ニーズに的確に対応する質の高い港湾経営を行っていきたいと考えております。
 今後とも、東京港が成熟社会の中で、東日本の生活と産業を支え、日本の成長戦略を牽引していけるよう、現場を熟知する都が引き続き東京港の経営を担い、真の機能強化策を展開していきたいと考えております。

○崎山委員 ありがとうございました。きっぱりと明言をしていただきまして、ありがとうございました。
 こうした取り組みを進め、東京港の機能強化を図っていくことが、真の国際競争力強化につながっていくものと思います。
 そのため、都は、日本を取り巻く状況を適切に把握した上で、東京港の重要性、その使命をしっかりと認識し、今後も責任を持って東京港の経営に取り組んでいただきたい。
 そこで、都は、東日本の生活と産業を支える港としての使命を果たしていくため、今後具体的にどのような施策を行っていくのか伺います。

○多羅尾港湾局長 近年、高度成長期の大量生産、大量輸送から、消費者ニーズの多様化を背景に、コンビニへの商品の補給に見られるような小口で多頻度な輸送が求められるなど、物流構造も変化しつつあります。
 こうした状況の中、東京港においても、物流構造の変化への対応を図る荷主、船会社、陸上運送事業者等を支援する港湾経営を行っていく必要がございます。
 そのため、増加する輸入貨物を迅速に引き渡せるよう、従前より広い面積を持ち、高性能の荷役機械を備えた新ターミナルの整備を進めるとともに、輸出と輸入の差により発生する空のコンテナの滞留を防ぐ取り組みを進めるなど、利用者が求めるサービスの実現を図っていきます。
 こうした取り組みを積み重ねていくことで、東京港の機能強化に努めてまいります。

○崎山委員 国際戦略港湾政策では、貨物量の増加や国際基幹航路数の維持拡大を目標とするなど、港の性格も異なるアジア主要港と同じ方向性を示しているにすぎず、近視眼的といわざるを得ません。
 都は、そうした観点から、東京港が今後も引き続き我が国を代表するメーンポートとしての役割を果たし、日本の成長戦略に貢献していけるよう、時期を逸することなく、地に足のついた着実な取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 次に、環境、エネルギー政策について伺います。
 今世紀は環境の世紀と呼ばれています。人類社会は今、地球温暖化、資源の枯渇、自然破壊などの環境問題に直面しています。
 東京は、資源やエネルギーを大量に消費する大都市であり、さまざまな環境問題に対し、世界の大都市をリードする取り組みが求められています。
 我が党は、後世に誇れるクリーンで美しい東京の創造を公約に掲げ、環境問題への取り組みの重要性を訴えてきました。東京五輪開催を五年後に控えた今こそ、五輪後も見据えた都の環境政策をさらに強力に展開すべき絶好の機会であると考えます。
 そこで、都は、今後どのように環境、エネルギー政策を展開していくのか、知事の基本認識をお伺いいたします。

○舛添知事 都民が健康で快適に暮らせる質の高い環境を創出し、東京を、日本の成長を牽引しながら持続的に発展する都市としていくことが都の環境政策の基本でございます。
 このためには、経済活動の旺盛な大都市として、気候変動などの地球規模の問題にも対応したエネルギーや資源の利用、都民の良好な生活環境を支える大気質等の確保、緑の保全や生物多様性などの課題に正面から取り組んでいく必要がございます。
 昨年末に策定いたしました東京都長期ビジョンでは、そうした観点に立ちまして、スマートエネルギー都市の創造と、水と緑に囲まれ、環境と調和した都市の実現、これを政策指針としまして、二〇二〇年とその先に向けた水素社会の実現を初めとする先進的な施策を体系的に掲げました。
 今後、長期ビジョンに示しました環境、エネルギー政策を積極的に展開し、オリンピック・パラリンピック競技大会と、さらにその後を見据え、都民、事業者、区市町村等と手を携えまして、世界一の環境先進都市東京の実現に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいります。

○崎山委員 世界一の環境先進都市の実現に向けた決意を伺いました。我が党の熱意も同じです。ともに邁進していきたいと思います。
 次に、気候変動、エネルギー施策について伺います。
 東京の持続的発展を可能とするためには、低炭素でエネルギー利用効率の高い都市づくりを推進し、環境と調和した、災害にも強い都市を構築することが必要です。
 その際、次世代エネルギーである水素の普及を東京から先導することも、我が国のエネルギー安全保障の観点から極めて重要です。
 都は、こうした観点から、スマートエネルギー都市の創造を目指していますが、東京五輪に向けて、今後、さまざまな再開発が予定されているこの機を捉え、低炭素で防災力の高い都市の実現に向けた民間の取り組みを都が積極的にリードしていくべきと考えます。
 都が、我が国のすぐれた環境技術を活用しながら、世界の大都市の模範となる先進的な取り組みをまちづくりの中に具体化させていくことが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。

○長谷川環境局長 都はこれまで、大規模建築物の計画段階から一貫した省エネ対策に取り組み、大きな成果を上げておりますが、最近の日本橋などの再開発では、さまざまな工夫により街区レベルでのエネルギー利用を高度化する動きも出てきております。
 今後、都は、こうした先進事例も踏まえ、省エネ技術や再生可能エネルギーなどを最大限活用したゼロエネルギービルも視野に入れて、建築物環境計画書制度の再構築に取り組むなど、建築物の環境性能の向上を一層推し進めてまいります。
 さらに、再開発等の計画の早い段階から、エネルギーの面的利用の検討を促すとともに、新たな支援策により、街区等での電気や熱の融通のインフラ整備を誘導するなどして、コージェネレーションの面的利用や地域冷暖房の活用、ITを活用した需給の効率的な制御などを推進し、地域レベルでのエネルギーの最適化を誘導してまいります。
 来年度新たに、省エネルギー、気候変動対策と次世代エネルギーや分散型エネルギーの導入などを一元的に推進する部組織を設置し、CO2フリー水素など、将来に向けて重要な技術の活用も視野に入れながら、低炭素、防災性、快適性を兼ね備えた都市づくりに向け、エネルギーの需給両面から一層積極的に取り組んでまいります。

○崎山委員 都は、平成二十年に策定した環境基本計画に基づき、緑の創出と保全、より良質な大気環境の創出等の施策を展開するとともに、東日本大震災後の省エネ、節電対策等の喫緊の課題にも果敢に取り組み、着実に成果を上げてきました。
 一方、本計画の策定から七年が経過しており、地球規模での気候変動への対応、水素社会の実現に向けた取り組みなどの新たな課題に対しても、東京五輪開催後も見据え、着実に対応していくことが求められています。
 今後、都は、多岐にわたる環境政策に、体系的、総合的に取り組んでいくため、その羅針盤となる環境基本計画の改定に着手すべきと考えますが、見解を伺います。

○長谷川環境局長 東日本大震災後の日本のエネルギー構造の変化や世界的な資源の確保の問題、あるいは生物多様性に関する関心の高まりなど、東京の環境を取り巻く状況は大きく変化しております。
 昨年末に発表いたしました長期ビジョンでは、こうした点も踏まえて、今後の中長期の政策目標や政策展開をお示しし、水素エネルギーの利活用などの取り組みを開始しております。
 今後、長期ビジョンを踏まえまして、環境政策をさらに進化、発展させますとともに、オリンピック・パラリンピック後を見据えた世界一の環境先進都市東京の将来像と、これを目指した施策の方向性を都民に明らかにするため、来年度当初から、環境審議会において、専門家を交えた検討、議論を開始いたし、年度末を目途に新たな環境基本計画を策定してまいります。

○崎山委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、皇居のお堀を取り巻く環境改善についてお伺いをいたします。
 昭和十一年に東京市から発行された東京市土木読本--これは、高木理事にお借りをいたしまして、読ませていただきました。東京都の議会図書館にあったものでありますけれども、その東京市土木読本によれば、宮城は大内山の尊崇の表徴であり云々とあって、堀池の清浄保持は一般国民思想にも影響するので、これが浄化は急務の問題であると記載されています。先人の筆致は情緒的で、本当に含蓄あるなというふうに感じました。
 今、その皇居を取り囲む内堀の水質が悪化し、夏場の臭気や景観などの面で大きな問題となっています。
 皇居周辺の景観や自然環境を日本の顔としてふさわしいものにしていくためには、国と東京都が協力して、内堀の水質改善をできる限り早期に進めていくことが求められます。
 かねてより我が党はたびたび取り上げてきましたが、平成二十六年第二回定例会での質問に対して、内堀から隅田川へ雨天時下水の放流先を切りかえる合流式下水道の改善対策を平成二十七年度までに完了させるとの答弁がありました。
 そこで、内堀の水質改善に向けた合流式下水道の改善対策について、その取り組み状況をお伺いいたします。

○松田下水道局長 内堀への合流式下水道のはけ口は四カ所ございますけれども、そのうち清水濠へのはけ口については、既に雨水のみの放流とする分流化を完了しております。
 残る三カ所のはけ口の対策についても、閉鎖性水域である内堀から流れのある隅田川へ放流先を切りかえる対策を進めておりまして、貯留効果をあわせ持った、内径八メートル、延長二・五キロメートルの第二溜池幹線の整備がおおむね完了いたしました。
 この第二溜池幹線に接続する下水道枝線などの整備は、現在、国会議事堂付近にトンネル工事の立て坑を設けまして、そこを基地として鋭意進めており、下水道による対策を平成二十七年度末までに完了させてまいります。

○崎山委員 ぜひ、栄養のある雨水を内堀に一滴も入れないという思いで取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 内堀の抜本的対策が予定どおり完了するとのことで、大いに期待したいと思います。
 また、外堀も江戸城の名残を残すと同時に、都民の憩いの場でもある貴重な水辺空間であることから、内堀とともに水質改善の取り組みを進めていくことが必要であります。
 内堀に比べ、外堀の取り組みはおくれているように見受けられますが、下水道局は、外堀について、降雨初期の特に汚れた下水を一時的に貯留し、雨がやんだ後に、水再生センターへ送水して処理するための施設を整備していく方針と聞いています。
 そこで、内堀の水質改善に向けた下水道の対策が完了に近づいている現在、下水道局は、外堀の水質改善のための対策についても積極的に進めていくことが必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。

○松田下水道局長 外堀の対策といたしましては、降雨初期の特に汚れた下水を一時的に貯留する貯留管を大小二カ所整備する必要がございます。近隣の再開発に合わせて、今年度、小規模な貯留管については完成をさせました。
 引き続き、延長二キロメートルの大規模な貯留管を外堀通りの地下に新設をいたしまして、外堀の北側地域からの下水を貯留する予定でございます。
 先月、立て坑設置の工事契約を締結いたしまして、来年度より工事を本格的に進めてまいります。
 さらに、外堀の南側地域につきましては、下水を集める導水管を整備いたしまして、さっき申し上げました外堀通りに新設する貯留管に接続していく予定でございます。現在、立て坑用地を確保する協議を関係機関と進めておりまして、早期の着工を目指します。今後、一部完成した施設を区分いたしまして貯留するなど、早期の効果発現について検討してまいります。
 これらの対策によりまして、内堀と外堀の水質を大幅に改善し、首都東京にふさわしい水辺空間の形成に貢献してまいります。

○崎山委員 内堀に引き続き、外堀でも本格的な対策に乗り出すとのことです。東京の水辺空間をよりよい環境にするため、着実に整備を進めてほしいと思います。
 次に、臨海地域における水と緑のマスタープランの策定についてお伺いいたします。
 東京五輪開催時に選手村や競技会場などが集積する臨海地域は、世界から注目を集める重要な地域です。この臨海地域の随所に広がる海辺や運河、そして緑地は、この地域の魅力を高めていく上で大変貴重な資源です。
 大会開催を控え、国内外から訪れる多くの人々を魅了できるよう、海上公園はもとより、護岸沿いの遊歩道や民間開発により生み出された緑地など、さまざまな空間を拡充させ、有機的につなげていくことが非常に有効です。これを実現するためには、都を初めとする行政や民間が同じ目標に向かって行動できる指針のようなものが必要と考えます。
 さらに、民間の方々が行動しやすいよう、その活力を最大限に活用し、かつ行政と円滑に連携していくための方策が必要だと思いますが、見解をお伺いいたします。

○多羅尾港湾局長 理事ご指摘のとおり、今後この臨海地域の水辺や緑地の充実を図っていくためには、都だけで事業を進めるのではなく、民間の活力を最大限に生かしていく必要がございます。
 このため、行政と民間共有の目標となるマスタープランを策定し、水辺をより身近に感じられる緑豊かな空間を整備するなど、施策展開の基本的な方針と具体的な施策を明示してまいります。
 あわせて、規制緩和により、海上公園の水辺沿いにしょうしゃなカフェレストランの設置を可能とするなど、民間活力の活用方針を盛り込み、より魅力的な水と緑の空間づくりを図ってまいります。

○崎山委員 ぜひ早急にマスタープランの策定を進めていただきたいと思います。
 民間のカフェとか、いろんな意味で公共施設という位置づけだけではなくて、民間も進出をしながら憩える場所になるように取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 そして、臨海地域に広がる水辺や緑地を、これまで以上に都民に身近なものにするために、地域の魅力を存分に発揮する取り組みを行ってもらいたいと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 大会準備の出発点となる大会開催基本計画もIOC、IPCに提出し、いよいよ来年度は大会準備が本格化していきます。
 計画では、競技、会場マネジメントなど、五十二項目にもわたる準備事項が定められています。
 また、昨年十二月のIOC総会で決議されたアジェンダ二〇二〇では、持続可能性や長期的レガシーの視点を重視した改革案が打ち出されており、今後の大会運営全般の準備においても、こうした観点を重視しながら取り組んでいく必要があります。
 そこで、大会準備がまさに多岐にわたり展開されていく来年度、アジェンダ二〇二〇が示した改革の方向性も見据えながら、都は、新規恒久施設の整備にとどまらず、ソフト、ハード両面にわたる大会準備を組織委員会と連携しながら、今後どのように進めていくのか所見をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
大会開催基本計画は、開催準備に必要な多岐にわたる分野につきまして、今後取り組むべき枠組みを示したものでございます。
 都は、計画策定の段階から、組織委員会と緊密に連携を行い、一体となって取りまとめを行ってまいりました。
 今後も、輸送やセキュリティー対策など、大会が都市活動に影響を及ぼす分野におきまして、アジェンダ二〇二〇の改革にも資するよう、都は、組織委員会などと適切に役割分担を図りながら、着実に準備を行ってまいります。
 また、新規恒久施設の整備を着実に進めますとともに、組織委員会が整備予定の仮設施設におきましても、既存施設の活用や大会後の有効活用などを視野に置きながら、組織委員会とともに調整を継続してまいります。
 大会の成果が一過性のものに終わらぬよう、将来の都市の姿を見据え、全力を挙げて準備に取り組んでまいります。

○崎山委員 例えば、今述べられた中でも、規模の大きな仮設施設には、江東区有明北地区に建設予定の体操競技場があります。
 同施設は、組織委員会の森会長も、さきのプロジェクトレビュー後の会見において、施設は新たに建設するが、大会後の有効活用を検討すると表明しています。
 仮設施設とはいえ、せっかく建設した建物を大会後すぐ壊してしまうのは、経済的にも、環境面からも大変もったいないのではないでしょうか。
 体操競技場については、都はどのように考えているのか、所見をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
体操競技場は組織委員会が建設する仮設施設であり、招致の時点では、大会後取り壊す計画でありましたが、アジェンダ二〇二〇を踏まえまして、先般、組織委員会の森会長からも、体操競技場については計画どおり建設するが、有効活用策について検討を行うとの表明がございました。
 体操競技場は大規模な施設となり、仮設とはいえ、恒設施設と同等の耐震性などを有していることから、大会後も十分使用可能でございます。
 また、ホール状の大きな空間を生かした展示会、イベントや障害者スポーツを含むスポーツ関連事業など、さまざまな活用策が考えられます。
 今後、施設が広く都民のために有効活用されますよう、都といたしましても、周辺のまちづくりの進捗状況を勘案しながら、技術的、制度的側面から、組織委員会とともに検討してまいります。

○崎山委員 大会開催後もぜひ有効に活用できるように、組織委員会とも協力しながら検討していただきたいと思います。
 私も、おととし秋にロンドンに視察に行ってまいりました。ロンドンとアテネの視察に行ってまいりまして、そのときに、本当にあちこちでいわれた言葉は、ホワイトエレファントをつくるなということでありまして、初めはよくわからない英語でしたけれども、要するに無用の長物はつくるなということを戒めとして大会に臨んでいただきたいということであります。
 ぜひぜひ施設の利用については、もちろん仮設も恒久施設もそうでありますが、しっかりと今後、後の利用も含めて検討していただきたいと思います。
 都は、大会運営を担う組織委員会を初め、国や他の自治体などとも連携して、大会準備に万全を期す必要があります。
 その上であえて申し上げるなら、東京五輪の成功は、あくまでも通過点にすぎないのであります。大会後の東京が、住んでいてよかったと誰もが実感できる都市になることが重要であります。
 大会終了後、東京五輪のレガシーを継承していくのは、都市の役割であります。引き続き、組織委員会と連携しながら、その役割を積極的に果たしていくことを要望いたします。
 さて、私たち政治家の役割は、今の東京を都民にとって最高のまちにすることは当然でありますが、将来の東京を都民の誰もが暮らしやすい、そして、憧れのまちとするための道筋をお示しし、実現することだろうというふうに考えます。
 冒頭、勝海舟の言葉を申し上げましたが、いつの時代も、政治の果たす役割は不変です。私たち都議会自民党は、東京五輪成功はもちろんのこと、それ以降の日本、東京の将来像を描き、世界で一番の都市を実現し、次世代に引き継ぐことを公約としています。
 私も、この目標に向かって、都議会自民党の皆様方と一丸となって、死力を尽くし、全力で取り組んでまいることをお誓いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○鈴木(あ)委員長 崎山知尚理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩