○鈴木(隆)副委員長 山内晃委員の発言を許します。
〔鈴木(隆)副委員長退席、委員長着席〕
○山内委員 まずは、防災対策について何点か伺ってまいります。
知事は施政方針において、都民生活を向上させる基盤が安全、そして安心であり、都知事として、首都、そして都民の安全・安心を最優先に政策を実行していくと表明をされました。この東京を、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを開催するにふさわしい都市に生まれ変わらせるためには、まさに都民の安全・安心の実現こそが大前提であります。
しかし、今後三十年以内に七〇%の確率でマグニチュード七クラスの地震が発生するといわれている中で、私の地元品川区でも、東京の最大の弱点ともいえる木密地域が存在をし、早急な改善が期待をされております。
二〇二〇年の東京大会開催も見据え、切迫する首都直下型地震に対して、いわゆるこういった木密地域の改善を初めとする防災対策を強力に推し進め、可能な限りの備えを講じていくことが必要であると考えますけれども、まずは知事の所見を伺います。
○舛添知事 首都直下地震等への備えを万全なものとし、世界一安全・安心な都市を実現することは、知事として最優先に取り組むべき課題でございます。
これまでも、地域防災計画に基づきまして、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化や無電柱化、木密地域における不燃化特区の推進や耐震強化岸壁の整備など、さまざまな防災対策に取り組んでまいりました。今後も、二〇二〇年の東京大会開催を見据えて、こうした取り組みをさらにスピードアップしていく必要がございます。
このため、昨年末に東京の防災プランを策定し、二〇二〇年に向けた自助、共助、公助が取り組むべき防災の指針を策定いたしました。
今後は、これを絵に描いた餅に終わらせることのないよう、全庁を挙げて防災対策を推進し、首都直下地震等に対して、可能な限りの備えを講じてまいりたいと考えております。
○山内委員 災害対策に強い、安全で、そして強固な東京の実現に向け、今後も知事が先導して取り組んでいただくようお願いを申し上げます。
次に、災害時の活動拠点、避難施設として、防災上重要な役割を担う公共施設の整備についてを伺います。
先般の東日本大震災では、被災地の学校や庁舎など公共建築物が、避難所、被害情報の収集や被害対策指示など、拠点として利用されたと伺っております。また、警察、消防など庁舎は、災害時に緊急活動の拠点として重要な役割を果たしてきたと伺っております。
このような公共建築物は、発災後に防災拠点など重要な機能を果たすことが期待されていることから、あらかじめ耐震化等の防災対策を十分に講じておく必要があると考えます。
東京においても、近年、首都直下型地震発生の切迫性が指摘される中で、公共建築物の耐震化をしっかりと推進していくことが重要であると考えますけれども、そこで、都有建築物の耐震化の状況及びそれを踏まえた今後の取り組みについてを伺います。
○中井財務局長 都は、平成十九年度に耐震化整備プログラムを策定いたしまして、防災上重要な都有建築物の耐震化を計画的に進めてきております。
その結果、平成二十六年度末の耐震化率は、おおむね九八%になる見込みであります。
来年度におきましても、耐震化率向上のため、各局に対し必要な経費を計上するとともに、技術支援を引き続き積極的に行ってまいります。
○山内委員 ただいまの答弁で、現在の耐震化の取り組みについては確認ができました。
この耐震化とあわせて、都民のみならず、東京を訪れる人々の安全と安心を守るためにも、例えば災害発生時に都有施設がいっとき避難場所として機能することを想定するなどして、きめ細やかな防災対策を講ずることが必要であります。
先日の我が党の代表質問の中で、新たな主要施設十か年維持更新計画について、長寿命化の推進や環境負荷の低減に向けて取り組んでいく旨の答弁がありました。
三月二日に新たな計画が発表された今後の都有施設の防災対策の内容についてを伺います。
○中井財務局長 今回策定いたしました第二次主要施設十か年維持更新計画におきましては、東日本大震災の経験や教訓を踏まえ、都有施設の防災対策の一層の強化を推進していくこととしております。
主な内容といたしましては、帰宅困難者対策として、震災後の主食、飲料水、救急セットなどを備蓄する倉庫の設置や、天井の下地材を補強する天井落下対策などでございまして、施設の用途や規模などに応じまして必要な整備をしっかりと進めてまいります。
○山内委員 ただいまの答弁で、帰宅困難者対策への備蓄品に関しては、例えばちょっとしたけがなどに対応できる救急セットを備蓄してもらえるとの答弁がありまして、この取り組みは大変にありがたいことであります。今後も必要に応じた備蓄品の整備を進めていただきながら、この都有施設の防災対策に努めていただきたいと思います。
次に、特定整備路線についてを伺います。
都は、平成二十四年に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、木造住宅密集地において震災時の燃え広がりを防ぐなど、防災性の向上に資する都市計画道路を特定整備路線に選定し、事業を進めておられます。
私の地元品川区でも、補助二九号線など三路線が特定整備路線の整備を早急に進めていく必要があります。
そこで、今回は補助二九号線の取り組みの状況についてを伺います。
○横溝東京都技監 特定整備路線補助第二九号線は、震災時に延焼を遮断するとともに、本路線沿道の避難場所である戸越公園一帯への避難経路や緊急車両の通行路となることから、早期に整備する必要がございます。
このため、二月六日までに、山手通りから環状七号線までの全区間約三・四キロメートルについて事業認可を取得いたしました。
本路線では、今月十二日までに六回に分けて用地説明会を開催し、既に一部の区間で補償金算定のための建物調査や土地価格の評価を行い、関係権利者との用地折衝に入っております。
折衝に当たっては、相談窓口を二カ所開設し、生活再建のサポートを行いながら、お一人お一人の事情に応じた丁寧な対応に努めており、今後とも、関係権利者の生活再建に十分配慮しながら、本路線の整備を進めてまいります。
○山内委員 道路整備を進める上で、権利者の皆さんの生活再建に向けた支援は重要であり、住みなれたまちに住み続けたい、そういった方もいらっしゃいます。
特に、私の地元の戸越公園駅付近では、商店街の片側のみが道路の計画線にかかり、残地での再建が難しいエリアであることなどから、商店街存続のため、戸越公園駅周辺まちづくり協議会が中心となり、道路整備を踏まえたまちづくりを検討しておられます。
また、本年一月には、品川区が戸越公園駅周辺まちづくりビジョンを公表するなど、まちづくりに対する機運が高まっております。
この地区における地元のまちづくりを、どのようにこれから東京都は支援をしていくのか、これを伺います。
○安井都市整備局長 戸越公園駅付近の補助二九号線は、約三分の二の区間におきまして、お話がございましたとおり、商店街の片側のみを計画区域内に含むことから、事業実施に当たりましては、沿道の土地利用に十分配慮して進めていく必要がございます。
これまで都は、地元のまちづくり協議会へ参画し、道路の計画線にかかる店舗の共同化などに対しまして技術的支援を行ってまいりました。
本年一月、地元区は、協議会の検討結果を踏まえたまちづくりビジョンを策定しており、道路整備を契機として、安全でにぎわいと潤いのあるまちの実現に取り組むこととしております。
今後とも、計画線にかかる区域などを対象といたしまして、にぎわいの創出など、まちづくりの取り組みを促すこととし、商店街の活性化にも配慮しつつ道路整備を推進する観点から、引き続き、区と連携して地元のまちづくりを支援してまいります。
○山内委員 補助二九号線の整備に当たっては、関係権利者の方々のサポートや商店街の存続に向けた取り組みへの支援が不可欠であり、ご答弁のとおり、しっかりとした取り組みをお願いしておきます。
戸越公園駅周辺について、道路完成後の商店街を活性化し、地域コミュニティを豊かなものにしていくためには、歩行者空間を魅力的にすることが私は有効だと考えます。
大手町、丸の内、そして有楽町地区では、公開空地と道路が一体となった歩行者空間を活用し、イベントを実施してにぎわいを生んでおります。地域の状況は違うんですけれども、戸越公園駅周辺においても、例えば沿道のまちづくりによって公開空地を生み出すなど、まちづくり協議会や地元区、そして近隣の皆さんと協力をし、知恵を出し合いながら、歩行者空間、これの拡大に努めていただきたいと思います。
また、この地域には鉄道踏切があり、こういった点も踏まえたまちづくりをしていかなくてはならないと考えます。関係権利者の方々だけではなく、近隣の地域の皆さんにも、道路の整備、この状況とともに、沿道のまちづくりの取り組み状況などを広く周知していただき、そしてまちづくりのムーブメントを盛り上げていただきたい、この意見を申し上げまして、この質問を終わります。
続きまして、低地河川における耐震対策の推進について伺います。
隅田川、荒川、江戸川に囲まれ、地盤の高さが海面よりも低い、いわゆる海抜ゼロメートル地帯が広範囲を占める東部低地帯では、約三百万の人々が河川の堤防や水門に守られて生活をしております。首都直下型地震の切迫性が高まる中で、この地域の人たちの命と暮らしを守るためには、河川の堤防や水門等の耐震性の向上を図ることが重要であります。
都においては、平成二十四年十二月に策定をした整備計画に基づき、現在、隅田川や大島川水門などで事業が進められております。
この計画に示された河川施設の耐震対策のうち、特に緊急性の高い、高潮堤防や水門等の取り組み状況についてを伺います。
○横溝東京都技監 東部低地帯では、東日本大震災を踏まえ、最大級の地震が発生した際にも堤防や水門などの機能が確保されるよう、耐震対策を早期に完了させることが重要でございます。
このため、都は、この地域を高潮などから直接守る堤防約四十キロメートルと水門など二十二施設の対策を優先して進め、平成三十一年度までの七年間で完了させます。
二十七年度は、隅田川などの堤防約八キロメートルとゲート数が七つある大規模な今井水門など三施設の工事に新たに着手いたします。これにより、三カ年で計画のおおむね五割を事業化することとなります。
これら耐震対策の実施に際しては、川沿いの遊歩道の整備や堤防の緑化、水門の修景を行うなど景観にも配慮しながら、地域の魅力を高める施策を展開してまいります。
今後とも、スピード感を持って耐震対策を進めてまいります。
○山内委員 次に、東京港の海岸保全施設の運用についてを伺います。
東京港の沿岸部は、江戸時代から、埋め立てによりまして低地帯が多く、これまで幾度となく水害による大被害に見舞われてきたため、防潮堤等の施設設備が鋭意進められていると聞いております。
知事は、昨年の四月、早々に防災をメーンテーマとして区部の各施設を見て回られ、私の地元品川区にある天王洲水門等の海岸保全施設も視察をされました。私もこれに同行しまして、東京港の津波、そして高潮対策が、最新の知見に基づき着実に進められていることを見ることができまして、品川区の沿岸部は、こうした整備のおかげで水害から守られているということを実感いたしました。
水門の開閉は、遠隔制御により、高潮対策センターで集中的に操作できることは承知をしております。ハード整備による対策が完璧でも、こうした操作をするのは人であり、運用面がしっかりしていないと、いざというときに期待どおりの効果を発揮できないのではないかと考えます。
そこで、非常時に備えた水門操作などの運用はどうなっているのか、こういったところを伺います。
○多羅尾港湾局長 海岸保全施設の運用では、地震、津波、台風等に対応するため、三百六十五日二十四時間の即応体制が必要でございます。そのため、高潮対策センター等に近接した災害対策要員用の住宅に現在三十五名の職員が居住し、夜間、休日でも直ちに参集し、対応できる体制を整えております。
具体的には、台風のように予想可能な場合は事前に参集し、情報収集等を行いつつ、状況に応じて、水門、陸閘の閉鎖を行っております。また、地震に対しては、震度四以上の地震が発生した時点で即座に参集し、必要に応じて水門等の閉鎖や防潮堤の損傷などを確認することとしております。過去三年間では、参集三十五回、うち水門閉鎖二十二回となっております。
引き続き、いかなる場合にも即応できる体制を整え、水害から都民の生命、財産、首都機能を守ってまいります。
○山内委員 台風だけではなく、いつ起こるかわからない地震にも昼夜を問わず備えていること、また、水門閉鎖に至らない場合でも、あらかじめ参集をし、そして非常体制をとっていることなど、災害から都市や都民の安全を守るため、日々、現場の職員がこうした目に見えない努力を行っていることが、今、確認ができました。
ところで、こうした運用をしっかり機能させていくには、日ごろの訓練等が大切であります。
また、住民の立場からすると、非常時の情報不足は要らぬ不安を招くことから、そうした事態を避けるためにも、適時適切な情報提供は行政の重要な役割であると考えます。
そこで、非常時に備えた訓練や情報伝達について、どのような取り組みをしているのかを伺います。
○多羅尾港湾局長 現在、水門を閉鎖する習熟訓練を月二回実施するとともに、さまざまな状況を想定した防災訓練を年四回行っております。
例えば今年度は、水門の一斉操作に加え、護岸に異常が発生した事態を想定し、できるだけ早期に応急復旧するための訓練を実施いたしました。
また、非常時には、適切な情報提供等により住民の不安を払拭することが大切であることから、情報伝達の責務を担う関係区と実務レベルの協議会を立ち上げることといたしました。
今後は、区と連携した訓練等をも実施し、役割分担を確認しつつ、都区及び区相互間の連携協力体制の構築を図り、非常時の防災体制を一層強化してまいります。
○山内委員 非常時に十分に備えていることがわかりました。住民への情報伝達を担う関係区と連携協力体制を深めていくことを、今後もしっかりとやっていっていただきたいと思います。
安全・安心な都市を実現するためには、施設の高度化を図るだけではなくて、三百六十五日二十四時間の運用体制を整え、たゆまぬ努力が必要であり、何か一つが欠けても十分な津波、高潮対策にはならないと思います。
今後とも、施設、そして設備に加え、運用体制、訓練、そして関係区との連携など、そういったところ全ての面においてレベルアップを図っていただき、どのような事態が発生した場合でも、都民の生命や首都機能をしっかりと守ることができる、さらなる安全・安心の都市の実現を強く要望いたしまして、この質問を終わります。
次に、障害者の就労支援についてを伺います。
障害者が企業に就労し、安定して職場に定着をすることによりまして、自立と社会参加を実現することは本当に重要であります。
東京都は、就労支援に向けてさまざまな施策を行っております。その中で、都教育委員会は、障害の程度に応じた職業教育の充実を図ることによって、特別支援学校からの企業就労者は増加しており、平成二十五年度は卒業生の三八・四%が企業就労を果たしております。
平成二十五年四月に障害者の法定雇用率が引き上げられ、障害者の雇用義務が従業員五十六人以上の企業から五十人以上の企業へと拡大をされました。これによりまして、各地域で雇用される障害者の増加の期待ができます。
そこで、特別支援学校の生徒の企業への就労と職場定着を一層図るとともに、そのために必要となる各地域の企業が障害者雇用への理解を深められるよう、都教育委員会として取り組むべきと考えますけれども、この見解を伺います。
○比留間教育長 都教育委員会は、卒業後の社会的自立に向け、一人でも多くの特別支援学校の生徒が企業に就職できるよう、関係局と連携した企業向けセミナーを開催するとともに、企業で障害者雇用を担当していた者を就労支援員として採用し、生徒の就職につながる実習先の開拓に取り組んでおります。
特別支援学校では、実習先での評価を参考に、生徒一人一人の能力、適性を確かめた上で、生徒が力を発揮し、その力を活用できる企業への就職を実現することにより、安定した職場定着に努めております。
今後、地域の企業に対して、特別支援学校の授業公開や雇用実績のある企業と連携した説明会を実施することにより、障害のある生徒の雇用に関する理解を促進し、企業への就職の拡大と職場定着を図ってまいります。
○山内委員 特別支援学校の生徒の企業就労と職場定着に向けた取り組みは確実に成果を上げており、大きく評価ができるものでありますけれども、一方で、企業に就労している障害者のうち、特別支援学校の卒業生は一部でありまして、障害者全体の職場定着に向けた取り組みがさらに必要だと考えますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、職場定着についてを伺います。
障害者が働き続ける中ではいろいろな課題が発生し、職場になじめないなどの理由で、残念ながらやめてしまう例もあると聞いております。
東京都が今年度、障害者を雇用している中小企業を対象に行った調査では、直近の一年間で離職した障害者がいると回答をされた企業が約二割に上ったということであります。
したがって、一旦離職をしたとしても、やっぱり地域で孤立をすることなく、再び就職できるようなしっかりとした仕組みづくりや、そういったフォローアップをしていくことが私は重要ではないかと思っております。
そういったところからやはり孤立をしないということにつながってくると思いますので、そういった観点からこの質問をさせていただきたいんですが、職場定着への支援や、離職した場合の再就職支援、こういったところをどうやって考えていくのか、また、そういった取り組みをしているのか、見解を伺います。
○梶原福祉保健局長 都におきましては、障害者の就労を進めるため、身近な地域で生活と就労の支援を一体的に行う区市町村障害者就労支援センターの設置を促進してまいりました。
センターでは、障害者が安心して働き続けられるよう、職場を定期的に訪問し、本人や企業に対して必要な助言を行うほか、障害者が離職した際には、本人が望む仕事と業務内容のミスマッチなど、離職の原因や経緯を分析し、課題を整理した上で、再就職に向けた支援を行っております。
都は、こうしたセンターの支援力をさらに向上させるため、来年度から新たに、センターの職員などに対して、障害者と企業とのマッチングのスキルを高める研修を実施することとしておりまして、今後とも区市町村と連携しながら、障害者の就労を支援してまいります。
○山内委員 企業で働くことを希望する障害者への支援とともに、企業での就労が難しい障害者が働く福祉施設における工賃向上、本当にそういった意味で、こういったものが大変重要であると考えます。
都内には七百もの福祉施設がありまして、それぞれの施設では、材料にこだわって丁寧に焼き上げたおいしいパンとかお菓子、こういったものをつくったりとか、利用者一人一人の感性を生かしてデザインされた手づくりの雑貨、そういった心のこもった魅力的な製品をいろいろと作製しているんですけれども、そのつくったものをしっかりと周知していただけるような、そういった販路や受注の拡大に苦労しているといったことが今、現状ではないかと思っております。
このような状況を踏まえて、東京都では新たに、障害者がつくった製品を販売する福祉・トライアルショップの開設を計画していると伺っております。
意欲的な取り組みとして本当にこれは高く評価できると思うんですけれども、この福祉・トライアルショップの展開の目的と、そして内容を伺います。
○梶原福祉保健局長 都は、障害者がつくる製品を都民に知っていただくとともに、その販路を拡大し、工賃の向上につなげるため、福祉・トライアルショップを、平成二十八年度を目途に、都庁を初め都内三カ所に設置をいたします。
設置に当たりましては、多くの都民が製品の魅力を感じることができるよう、店舗のデザインやレイアウト、取り扱う製品の選定等に工夫を凝らしていきたいと考えております。
このため、来年度は、福祉施設でつくられている特色ある製品等についての実態調査を行いますとともに、専門家の助言もいただきながら、販売方法やPR手法等の検討を行うなど、設置に向けた準備を着実に進めてまいります。
○山内委員 福祉施設で働く障害者の方にとって、自分がつくった製品がショップに展示をされ、多くの人に知ってもらって、そして買ってもらえるということは大変励みになると思います。また、それが工賃向上につながれば、ますますやりがいを持ってしっかりと働いていただけると思います。
開設に当たっては、ここが非常に重要だと思うんですけれども、今、局長の方からは都庁内という話がありましたけれども、立ち寄る人が多い、そして人通りの多いところ、例えば駅とか、人がぱっと見て、ここにあるんだなというものがわかるような、そういったところに、いわゆる目抜き通りですね、そういったところにこのショップをつくっていただきたいと思います。また、PRにもしっかりと力を入れていただき、このトライアルショップが大きな注目を集めて、そして障害者への理解促進、ひいては心のバリアフリーにつながるよう、本当に準備を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
次に、高齢者を地域で支え、そして守る取り組みについて伺います。
まずは、地域で大変ご活躍をいただいております民生委員について伺います。
超高齢社会の進展、そして、単身世帯の増加や地域における人間関係が希薄化する中で、社会から孤立をし、支援が必要な人が年々増加しております。
こうした中、民生委員は、地域において強い使命感を持って懸命に活動をしていただいております。行政や住民の期待は高く、その職務の範囲の幅が非常に広いため、やりがいよりも負担感の方が上回り、地域によってはなり手が不足し、候補者の確保に非常に苦労していると聞いております。
行政においては、実態調査への協力や広報誌等の配布などを安易に依頼をしないように、引き続き、対応をしっかりとしていただきたいと思います。地域住民からは活動内容を誤解されたり、活動内容を知らないために相談ができずに、適切な支援につながらない場合もあると伺います。
そこで、民生委員が地域においてその力を十分に発揮し、活動内容を正しく理解してもらえるような環境をしっかりと整えていくべきだと考えますけれども、その見解を伺います。
○梶原福祉保健局長 民生委員は、高齢者や障害者、ひとり親家庭など、地域で援助を必要とする人を把握し、日常的な見守りや相談支援、関係機関への橋渡しなどを行っておりまして、地域福祉の推進のために重要な役割を担っております。
都は、民生委員の方々と定期的に意見交換を設けまして、その活動を通じて得た問題や改善策等の情報を共有するとともに、疑問や悩みにも答えながら連携協力関係を深めております。
また、認知症や児童虐待などに関する相談対応能力の向上を目的とした研修を定期的に実施いたしますとともに、民生委員について広く都民に理解していただけるよう、広報紙やホームページを通じて活動を紹介しております。
こうした取り組みを通じまして、今後とも、地域福祉の中核を担う民生委員の方々の活動を支援してまいります。
○山内委員 民生委員さんのなり手が本当にいなくなれば、地域のマイナスにつながってしまいますので、そこは引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。
そういった中、高齢者の孤立死について伺います。
高齢者の孤立死が相次いでおります。東京都の監察医務院のデータによると、東京二十三区における六十五歳以上のひとり暮らし高齢者の自宅での死亡者数は、平成十九年から七年連続で二千人を超えているというのが現状です。
昨今、きずなの大切さが叫ばれる一方で、人知れず息を引き取り、長期にわたって気づかれない孤立死が後を絶たないということは本当に残念でなりません。ひとり暮らし高齢者はますます増加していくと予想される中、孤立死を防ぐ対策をさらに講じていかなくてはならないと考えます。
先ほど伺った民生委員は、高齢者の見守り活動に日ごろから大変お力添えをいただいておりますけれども、民生委員の頑張りだけでは、高齢者を地域で支えることはできません。町会、自治会などの住民の力、また、新聞販売店、郵便事業者などのさまざまな民間事業者の力を最大限に活用して、地域全体で高齢者を見守る仕組みを一刻も早く、しっかりと構築をすべきではないかと考えます。
地域の誰もが見守りにかかわる意識を持つことが重要であり、何かおかしいなと感じる人がいたら、その地域の民生委員や地域包括支援センターに相談をするなど、ごく自然に緩やかな見守りが行われるよう、行政は、住民や民間事業者に働きかけていく必要があるかと考えます。
そこで、都は、さらに高齢者が住みなれた地域で、一人でも安心して暮らし続けることができるよう、見守り、そして支え合う地域づくりを推進すべきと考えますけれども、その所見を伺います。
○梶原福祉保健局長 都は現在、区市町村が行います民生委員や自治会、ライフライン事業者等を活用した見守り活動や、都が作成したガイドブックを活用して高齢者等を日常的に見守り、異変に気づいた場合に地域の専門機関につなぐサポーターの養成などを包括補助により支援をしております。
来年度からは、介護保険制度の改正により、区市町村には、地域住民による支え合い活動を推進する生活支援コーディネーターの配置が求められております。
このため、都は、コーディネーターの活動理念や、住民主体の見守りや安否確認等の生活支援サービスの提供体制を構築する具体的な手法等を盛り込んだ研修を、来年度から開始することとしております。
今後とも、区市町村と連携し、さまざまな地域資源を活用した高齢者の見守り体制の一層の充実を図ってまいります。
○山内委員 サポーターの養成、こういったところもしっかりやっていただきながら、生活支援コーディネーターの養成、こういったところもやっていただけるということでありますので、しっかりとそこはお願いできればなと思います。
昨今なんですけれども、ひとり暮らし高齢者の不安を払拭するためのさまざまな、いわゆる装置みたいなものが開発をされているということで、先日、新聞で紹介をされました見守りドアというものなんですけれども、市販されている小さな置き時計にセンサーをつないで、それをドアの外側に取りつけますと、ドアの開閉でセンサーが感知をされるといった本当に簡単なものなんですけれども、こういったものを推進していくという、いわゆる物に頼るというものも、これからは見守りには必要なのかなと思います。
もちろん、見守りに対するマンパワー、これは当然のこと必要ですけれども、そういった違う角度から見守りというものをやっていくようなこともありなのかなと思っておりまして、こういったことを東京都の方も考えていただければなということを私の最後の意見といたしまして、私の質問を終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)
○鈴木(あ)委員長 山内晃委員の発言は終わりました。
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