○鈴木(あ)委員長 加藤雅之委員の発言を許します。
〔委員長退席、小磯副委員長着席〕
○加藤委員 初めに、女性の活躍推進について伺います。
先日、私はワークライフバランスフェスタ認定企業授与式に出席をいたしまして、今年度より新たに設けられました女性の活躍促進部門など、認定企業の取り組みを見てまいりました。どの部門も創意工夫をしたプランをつくり、社員が協力し合って取り組んでおりました。今、企業でも地域でも、女性の活躍が業績の向上や地域の活性化に貢献をしております。
我が党も、かねてより女性が生き生きと活躍し、輝いていける社会の実現を目指してきました。ちなみに、我が党の女性議員も全国に約九百名。党所属議員の約三割に達し、年々増加しておりまして、地域で生き生きと活躍をしております。
また、私の地元墨田区にある地域プラザでは、女性が館長となり、地域で活躍する女性とも連携して、企画、運営を行っています。
そこでは、若手演奏家に経験の場を与えるワンコインのランチコンサートや専門カウンセラーによる親子相談など、生活者の視点に立った多彩な事業を展開しております。稼働率が大変高くて、女性の力で地域が活性化することを身近で改めて実感をしております。
都は、女性の活躍推進に向けた社会全体の機運醸成を図るため、今年度から、東京都女性活躍推進会議の設置や知事賞贈呈など、さまざまな取り組みを着実に進めてきました。しかし、女性の活躍推進に向けた取り組みを進めている企業や団体は、いまだ一部でありまして、これを社会全体に広げていくためには、一層の事業展開とあわせ、戦略的なPRもまた必要です。
そのため、まず、社会全体での取り組みとして意識改革を進めるためにも、さまざまな広報媒体を十二分に活用した広報展開をすべきと考えますが、見解を伺います。
○小林生活文化局長 女性の活躍推進の機運醸成を効果的に図るためには、あらゆる機会を捉えて、都民に対し、多様な媒体を活用した継続的な情報発信を行う必要がございます。
そのため、まず、今週、都政広報番組である東京サイトで、女性が輝く社会をテーマに、知事賞を受賞した企業の先進的な取り組み等を紹介いたします。
また、今月下旬には、電車内のモニター、街頭ビジョン等での動画やフリーペーパーでの記事広告などを活用し、先月発表したロゴマークの紹介とともに、女性の活躍推進をPRしてまいります。
さらに、来年度公表する東京都女性活躍推進白書におきましては、その策定過程も含めまして、課題や取り組み事例について「広報東京都」、ホームページ等を効果的に活用し、タイムリーな広報を行ってまいります。
○加藤委員 今局長からお話ありました来年度策定する東京都女性活躍推進白書においては、さらに女性の活躍推進を社会全体に広げていくため、東京にある知恵と資源を結集し、働く場だけでなく地域などあらゆる場において、全ての女性が活躍できる実効性ある取り組みにつなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
○小林生活文化局長 東京都女性活躍推進白書は、女性の活躍を進めるために必要な方策や取り除くべき障壁を明示し、今後の取り組みの方向性を提言することにより、社会全体での取り組みを促進するため、策定するものでございます。
策定に当たりましては、まず、先進的な取り組みを行う企業や両立支援を行うNPOなど、今年度構築したネットワークを生かし、具体的な制度や組織風土などから現状分析と課題の抽出を行います。加えまして、企業で働く女性や地域で活動する女性からも、キャリア形成や仕事と育児の両立などの体験談や相談事例を収集いたします。
これらをもとに、今後の取り組みの方向性を都民、企業、団体に対して広く発信し、共有化することで、制度改善や女性活躍支援の強化につなげてまいります。
○加藤委員 大都市東京が白書を策定するに当たっては、世界のトップエリートから女性の貧困問題まで、グローバル社会における東京の役割について考える視点も必要です。
したがって、来年度も、今年度に引き続き開催予定の国際シンポジウムを好機と捉えるべきと考えます。
そこでは、世界の各都市でボトルネックをどう打破し、女性の活躍を推進しているか議論を交わし、その成果を幅広く社会に発信することが重要です。そして、その内容を白書に反映していくべきと考えますが、見解を伺います。
○小林生活文化局長 女性の活躍に向けて、国際社会の中で東京は何を学び貢献をしていけるか、果たすべき役割や課題解決の方向性を議論し、共有化する機会が必要であると考えております。
来年度の国際シンポジウムでは、日本や海外において活躍する女性や先進的な取り組みを展開する経営者などをゲストに迎え、女性が活躍の隘路をいかに打ち破るか、多角的な視点から議論を行う予定でございます。あわせまして、企業や働く女性たちとの交流を図る場も設定し、参加型の仕組みをつくることにより当事者意識を醸成してまいります。
さらに、成果を英語により情報発信するなど、女性が活躍する社会の実現に向けた東京の取り組みの方向性を国内外に強力に発信するとともに、白書にも確実に反映をしてまいります。
○加藤委員 いよいよ女性活躍推進に向けた土台ができ、白書を通じて今後展開していくべき施策の方向性が明らかになったと思います。公明党がいち早く必要性を訴えてきた、女性が生き生きと活躍する社会の実現に向けて、第一歩が踏み出されたと感じました。
昨年、舛添知事が就任され、大きく動き始めた女性活躍推進の取り組みを軌道に乗せるよう、今後とも強いリーダーシップを発揮して推進していくべきと考えますが、ここで知事の決意を伺います。
○舛添知事 今おっしゃってくださいましたように、知事就任以来、女性の活躍は、個人の自己実現はもとより、経済活性化の原動力でもあることから、私はこの課題に重点的に取り組んでまいりました。
みずから昨年秋に開催されました国際シンポジウムにも参加しましたし、企業の人事制度と組織風土の一体改革など、働き方の見直しについて、その場で大いに議論を交わしました。
また、先日、東京における女性活躍推進の拠点であります東京ウィメンズプラザで、職場の実情に応じた人事制度の導入によりまして、九〇%以上の女性の継続就業を実現させた企業などを表彰しましたが、課題解決の鍵は、経営トップの強い意志とリーダーシップにあることを実感いたしました。
来年度、都として初めて策定します女性活躍推進白書では、これらの成果をもとにしまして、就職、結婚、出産など女性のライフステージに焦点を当てるとともに、働く場を初め、地域社会など、あらゆる場における女性の活躍に向けた取り組みの方向性を明らかにしたいと考えております。
今後、この白書をもとに女性活躍の機運を広く東京全体で醸成し、より多くの都民や企業の行動変容を促すなど、都が先頭に立って女性の活躍を新たなステージに進めていきたいと考えております。
○加藤委員 舛添知事が就任し、今年度はいわば都の女性活躍推進元年となったといえるのではないでしょうか。これからも強いリーダーシップを発揮して、大いに推進をお願いをいたします。
次に、バス停上屋のことにつきまして取り上げます。
バス停上屋やベンチの設置を望む声は大変多くあります。雨の日や炎天下には、特に高齢者や障害者、赤ちゃんをおんぶしたお母さんらがバス待ちをしているのはとてもつらいものです。どの地域にも要望は多いと思います。
交通局は、経営計画で都バスの上屋を年二十基、ベンチは年五十基の整備計画を立てています。今年度末には上屋が千四百九十二カ所に達すると聞いておりますが、老朽化による更新などが必要なこともありまして、純増させることに苦労しているとも聞いております。
約三千八百カ所あるバス停全体から見ると、まだ四割程度であります。歩道幅員の不足や埋設物の関係など、物理的に設置が難しい箇所もあり、バス停全てに設置するというわけにはいきませんが、今後もできるだけお客様サービスの充実に向けて整備を拡大させる努力が必要です。
ところで、バス停上屋には広告つきのものがあり、都バスではおなじみです。このほか、民間バスの停留所でも見かけるようになりました。民間事業者にお聞きしましたところによりますと、これはPPPの一種であり、広告事業でバス停上屋の設置費と維持管理費を負担し、バス事業者の費用負担は不要とのことでした。都内には八十七カ所ぐらいあるようです。
都バスでも、平成十九年度から直営で広告つき上屋の事業を実施し、収益を得ながら運営していますが、どうも数がふえているようには思えません。この理由について伺います。
○新田交通局長 交通局では、デザイン性の高い広告つきバス停留所上屋を平成十九年度からの三カ年で百基設置することを目標として整備を進めてまいりました。これによりまして、上屋の壁面広告収入を上屋の整備費用や維持管理費に充てることができまして、上屋の設置が促進されますとともに、景観の向上にも寄与してまいりました。
広告つき上屋の設置に当たりましては、地下埋設物がないことや歩行者の妨げにならないよう広い歩道幅員が求められることに加えまして、その性格上、広告効果の高い場所である必要がございます。このため、設置場所の確定には、関係機関等との困難な調整を要しまして、計画から一年おくれの平成二十二年度にようやく目標を達成することができました。
これ以上広告つき上屋を設置する適地がない状況の中、現在では一般の上屋の整備促進に取り組んでおります。
○加藤委員 歩道の幅員が一定程度ないと広告つきの上屋が設置できないのは理解ができます。ただ、今では地元自治体などが車体の小さなコミュニティバスを地域の身近な道路にも走らせており、利用者からバス停上屋を望む声を多くいただいております。
こうしたことから、我が党は、比較的狭い歩道にも広告つき上屋が設置できるよう、他の自治体の例を参考に、歩道と平行に広告看板が設置できるよう都に緩和を求めてまいりました。
今ここにパネルを示させていただいておりますけれども、これがよく都バスで見る広告つき上屋であります。皆様にも資料を配っておりますが、これ、見ていただいたらわかるとおり、歩道と広告が垂直になっているわけです。したがいまして、歩行者交通量が多い歩道では、この広告板から、要するに広告板の端から三・五メートル歩道幅員がないといけないんです。この広告板と歩道幅員を合わせますと、三・五足す一・八ですから五・三メートル以上必要と、このようになるわけです。
ところが、もう一枚のやつを見ていただければ、これは福岡に視察に行って撮った写真なんですけれども、広告が歩道と平行になっているため、いわゆる歩道の幅員さえ基準が合えばいいと、こういうものがございました。
そこで、都市整備局としても、こうした緩和について検討をしていると聞いておりますが、その状況について伺います。
○安井都市整備局長 上屋つきバス停の維持管理費などに充てるために許可している広告につきましては、これまで道路交通の安全を確保する観点から、車道に沿って直接面する位置ではなく、車道と直交する上屋の側面のみに表示を認めておりました。このため、お話のとおり、歩道が狭い場合には、広告収入を得て上屋のついているバス停を設置することは困難でございました。
上屋つきバス停につきましては、バスの利用者からのニーズなども考慮いたしまして、さらに普及させていく必要があることから、広告の表示位置を工夫することにより、狭い歩道においても設置できるよう、これまで交通管理者や道路管理者と協議を進めてまいりました。
その結果、今パネルでお示しいただきましたけれども、他の大都市の事例も参考にいたしまして、歩道の幅員に制約がある場合に限り、安全性を担保した上で広告を車道と平行に表示することを認めることといたしました。
今後、広告許可の事務を委任しております区市やバス事業者に対しまして協議結果を周知いたしまして、来月から運用を開始いたします。
○加藤委員 狭い歩道においては、広告を車道と平行に表示することが認められ、四月から新たな規格が可能になるということで、これは大変ありがたいことです。今までより歩道幅員が狭くても設置が可能となれば、民間のバス事業者にとっても広告つき上屋の設置可能対象箇所がふえるわけです。
民間の調査によると、二十三区内の民間バス事業者の運行する路線だけでも、百五十から二百カ所ぐらい対象がふえると伺っております。利用者にとっては、まさに朗報で期待が高まります。
では、こうした緩和を受けて、都バスとしても広告つきバス停上屋の整備を拡大していくべきと考えます。また、今までの直営ではなく、民間バスのように一貫して民間事業者に設置を任せる手法も取り入れていけば、現経営計画に掲げた設置数よりも多く設置できるのではないかと考えます。広告効果の高いところは民間に任せ、そうでないところは自前で設置するなど、多角的な取り組みができるのではないかと考えます。現に、民間事業者も、広告収入の高い都心部の上屋から得た広告収入を郊外部の上屋整備に充て、地元の要請に応えているようです。
いずれにしましても、お客様サービスの向上に向けて、基準の緩和を受けての広告つきバス停上屋の整備拡大に向けて取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
○新田交通局長 交通局では、広告つきバス停留所上屋の事業化に際しまして、民間事業者とのタイアップについても当時検討いたしましたが、契約期間、所有権の帰属及び広告料収入の配分等の条件につきまして双方の主張の乖離が大きく、折り合いがつかなかったため、交通局がみずから実施することとしたものでございます。
今後、平行型の広告つき上屋の設置が可能となれば、広告価値の高い場所につきまして改めて歩道幅員等の調査を行いますとともに、バス事業本位のハンドリングが可能となることを前提に、整備手法も含めまして広告つき上屋の整備拡大について検討してまいります。
○加藤委員 ぜひ交通局としても、今回の緩和を受けて上屋の整備を加速していただきたいと要望します。
先日、知事は会見で、都内のシェアサイクルステーションが不足している問題の解決策の一つとして、ロンドンのボリスバイクの事例を引きながら、広告の活用で民間資金をうまく活用して整備していけば、また規制緩和をしていけば、経済の活性化にもなると、そういう趣旨の発言をされました。私も全くそう思います。
これは富山市にあるシェアサイクルステーションですけれども、(パネルを示す)この車体の広告のほかに、ここにありますとおり、ターミナルステーション、ここにも広告看板を設置しております。ここでは、自転車やステーションの設置費、維持管理費などの運営事業費の一部を広告収入で賄っています。
先ほど山崎委員からもシェアサイクルの拡大について質疑がありましたが、こうしたことも一つの手法だと思います。
もう一つ、このパネル、これはもう知事もよくご存じのフランス・パリ市のシャンゼリゼ大通りです。
フランスでは、世界で最も美しい通りというふうにいわれているそうですけれども、ここでは民間事業者が広告を活用して、驚いたんですけど、街灯や信号機、バス停上屋、市政情報パネル、フラッグポール、ベンチ、ごみ箱などの公共物を設置しております。
東京と違ってパリは屋外広告が乱立していませんので、日本も同じようには必ずしもいかないかもしれませんが、こうした民間資金をうまく活用した整備を行って、風格漂う都市景観を創出して世界一の都市にふさわしいまち並みを形成していくべきと考えます。
東京シャンゼリゼプロジェクトもその一つと思いますが、今後とも知事の斬新な提案や取り組みに期待をいたします。
次に、東京港や河川の水辺の活用について伺います。
東京港は物流のかなめとして機能し、今や日本一のコンテナポートとなりましたが、臨海部の水辺は、港の機能だけではなく、花と緑が楽しめる公園、大きく開けた景観、行き交う遊覧船や水上バスなど、都民の暮らしに潤いと安らぎを与える貴重な空間となっています。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会では、臨海部に多くの競技会場がつくられ、特に晴海の選手村は、大会後に六千戸もの住宅が供給され、多くの都民が住むまちとして生まれ変わる予定と聞いています。大会後のことを考えると、臨海部はこれまで以上に、人の住むまち、にぎわうまちとしての魅力をつくり出す必要があり、それも大会のレガシーの一つとなると考えます。
したがって、今後は、二〇二〇年東京大会のレガシーを未来に引き継ぐためにも、新たな未来型の都市として水辺の魅力をより一層高めていく必要があり、東京港の水辺をより積極的に活用していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
○舛添知事 二〇二〇年東京大会におきまして競技会場が集中しているウオーターフロントの充実は、レガシーの視点からも極めて重要であります。
世界有数の観光都市でありますサンフランシスコや香港では、ウオーターフロントの魅力を最大限に活用しております。
東京港におきましても、水面の先にダイナミックに広がる高層ビル群やスカイツリーなど大都市東京を俯瞰できる景観は、海外の都市にも引けをとらない貴重な観光資源の一つであります。
それを証明しましたのは、都議会の皆さんと我々が全力を挙げておもてなしをいたしましたイギリスのウイリアム王子のご来訪でありました。国に先駆けて我が東京を訪ねたいと。しかも、東京湾から東京全体を眺めたいと、直接のご要望でありました。まさにあの映像、東京湾におられる、そして浜離宮でくつろがれた王子様の映像というのは世界中に流れておりまして、今後ますます東京湾を見たいという海外の賓客はふえると思いますので、よろしくお願いいたします。
今後は、物流、生活、環境という三つの要素の調和を図りながら、東京のプレゼンスをさらに高めていくために、民間の知恵も活用し、東京港のウオーターフロントの魅力を高める取り組みを進めていく必要がございます。
今民間の知恵ということも申し上げましたけども、これは広告規制についても先ほどおっしゃったとおりでございます。
二〇二〇年、さらにはその先を見据え、オリンピック・パラリンピックのレガシーとしてウオーターフロントを整備し、世界一の都市にふさわしい魅力ある都市空間を創出していきたいと考えております。
○加藤委員 知事の強い決意を聞き、思いは同じだと感じました。オリンピック・パラリンピックのレガシーとして都民が誇りに思えるような水辺となるよう整備を進めていただきたいと存じます。
そこで、具体策として海上公園などを活用して海や自然に親しめる場を整備するなどの取り組みを行うべきと考えますが、見解を伺います。
○多羅尾港湾局長 多くの方々に水辺を楽しんでいただくためには、海と自然に親しめる憩いの場の拡充に向けた取り組みが重要でございます。
豊洲、晴海などでの水辺の周遊路を整備するとともに、海上公園には幅広い層が楽しめるボートやカヌーなどのマリンスポーツの拠点を整備するなど、水辺の環境を充実させてまいります。
オリンピック・パラリンピックのレガシーともなるこうした取り組みを通して、臨海部を着実に発展させてまいります。
○加藤委員 東京港の水辺を世界一の都市にふさわしいものとするため、着実に歩みを進めてほしいと思います。
次に、最近は隅田川沿いの東京スカイツリーや浅草など下町観光に人気が集まっており、外国人観光客も多く訪れるようになりました。
一方、両国には水上バスの船着き場や国技館、江戸東京博物館、旧安田庭園など多くの観光資源がありますが、残念ながら、今は一体感がなく、現在は十分に生かされているとはいえません。
都は長期ビジョンの中で、水辺空間における多彩なにぎわい創出の柱として隅田川が大きくクローズアップされており、両国エリアにおいてもリーディングプロジェクトが提案されています。
そこで、両国付近の隅田川において、にぎわいを高める取り組みをさらに強力に行っていくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
○横溝東京都技監 両国付近の隅田川において、都はこれまで、水辺のテラスに地元ボランティアが管理する花壇や相撲や花火が描かれた浮世絵などを飾るテラスギャラリーを整備し、散歩を楽しめる工夫を行うとともに、町内会による水辺祭りの開催を支援するなど、地域のにぎわいの創出に努めてまいりました。
こうした取り組みに加え、今後は川とまちの結びつきを強める施策を展開してまいります。具体的には、浅草やお台場などをつなぐ水上バスの船着き場を墨田区と連携して両国リバーセンターとして再整備し、舟運を活性化させるとともに、国技館や江戸博など周辺の観光拠点及び両国駅とのアクセス向上を図ることによって、地域のにぎわいづくりを誘導してまいります。
あわせて、水辺に彩りを与え、回遊性を向上させるテラスの連続化や夜間照明の設置などを進めてまいります。
こうしたさまざまな施策を積極的に展開し、隅田川と両国のまちのにぎわいを相乗的に高めてまいります。
○加藤委員 地元では、両国観光まちづくりグランドデザイン、これに基づきまして新たなまちづくりを検討しております。また、江戸東京博物館の近くの亀沢地域に、世界的に著名な葛飾北斎美術館、これが来年オープンをいたします。両国地域の観光資源がさらに充実しますので、都として川とまちの結びつき、これを一層高めてにぎわい創出をお願いしたいと思います。
次に、東京港の保安対策について伺います。
水辺のにぎわい創出も大切ですが、それはあくまで安全が確保されていることが前提です。
本年一月、フランスにおいてイスラム過激派による報道機関を標的としたテロが発生しました。また、いわゆるイスラム国による日本人人質事件を受け、政府は国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部を立ち上げ、対応を確認するなど、保安対策の重要性が高まっています。
既に東京港においては、二〇〇一年九月十一日に発生した米国同時多発テロ事件を契機としたSOLAS条約の改正に合わせ、国際ふ頭施設での制限区域の設定、フェンスや監視カメラの設置による侵入防止、ゲートでの出入り管理などの保安対策を行っていると聞いています。
しかし、東京港の周辺には、オリンピック・パラリンピックの競技会場が集中し、世界から多くの方々が訪れることとなるため、これまで以上に水際での保安強化が必要であります。
そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、さらに港湾の保安対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
○多羅尾港湾局長 東京港では、外国からの不審者や不審物の流入を水際で防ぐため、これまでも港湾の保安対策などを定めたSOLAS条約などに基づき、適切に対応してまいりました。
昨年七月からは、セキュリティーカードなどを使って電子的にゲートで出入り管理を行う手法を導入し、保安対策の強化を図ったところでございます。
今後は、オリンピック・パラリンピックの開催都市として、世界各国からのお客様を安全にお迎えするため、ご指摘を踏まえ、テロ等の防止講習会やテロ対策合同訓練のさらなる充実などにより、警視庁や東京海上保安部などの関係機関との情報交換や連携を密にし、保安対策のより一層の強化に取り組んでまいります。
○加藤委員 世界では、さまざまなテロが発生しております。二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を視野に入れながらも、ぜひ、日ごろから港湾の保安対策を適切に実施していただくことを要望いたします。
次に、東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅付近の立体化について伺います。
私は、委員会や本会議で事あるごとにこの問題を取り上げてまいりました。この区間は、都が平成十六年に策定した踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間の一つに位置づけられています。
鐘ヶ淵駅付近で鉄道と交差する補助一二〇号線は、昨年度時点でⅠ期区間は道路整備の用地買収が八割まで進捗しており、Ⅱ期区間は事業認可を取得いたしました。
地元区では、鐘ヶ淵地区まちづくり計画を平成二十四年度に公表するなどの取り組みを行っており、まちづくりの機運も高まってきています。こうした状況を踏まえ、鐘ヶ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みを進めるべきと考えます。
そのためには、まず、まちづくりのさまざまな課題の解決に向けて、都、区、東武鉄道の連携した取り組みが欠かせず、かつてはこうした関係者が集まり、道路・鉄道立体化検討会を実施してきたと聞いています。
そこで、再び地元区による検討の場を設け、それに都も積極的に協力し、鐘ヶ淵駅付近の鉄道立体化の取り組みをさらに前進させていくべきと考えますが、見解を伺います。
○安井都市整備局長 道路と鉄道の立体化は、交通渋滞や踏切事故の解消とともに、分断されてきた市街地の一体性を高めることから、地域のまちづくりとあわせて進めることが必要でございます。
鐘ヶ淵地区では、平成二十四年度にまちづくりの基本的な計画が定められておりまして、今後は立体交差化に向け、生活道路など駅周辺の整備計画についてさらに具体化していく必要がございます。
区におきまして、こうしたまちづくりの検討の場が設置された場合には、都としましても協力いたしまして、参考となる事例を提供するなど技術的支援を行ってまいります。
今後とも、道路と鉄道の立体化の実現に向けまして、区によるまちづくりの検討が促進されるよう積極的に働きかけてまいります。
○加藤委員 地元では、立体化に向けての検討委員会の立ち上げを求め、署名活動を行いながら合意形成に動いております。そうした取り組みに都も真摯に対応していただくよう強く求めます。
次に、店舗つき住宅の活用について伺います。
都営住宅に併設している店舗には、併存店舗と併用店舗がありまして、併存店舗は民間の権利者が都営住宅の一階などに区分所有する店舗で、居住者の日常の利便に資するために設置されています。
もう一つの併用店舗は、都が住宅つき店舗として賃貸しており、市街地再開発事業や住宅地区改良事業等により立ち退くこととなった従前居住者のうち、事業を営む者の生活再建のために設置されています。今回は、この併用店舗つき住宅について伺います。
私の地元にある都営白鬚東アパートには、この併用店舗が多くあり、住民から、居住者がいなくなったが店舗も居室もどちらもしばらく空き家になっているけれども、新たに募集しないんですか、あいたままだと活気も生まれませんと、このような要望をいただきました。
都営住宅は都民の貴重な財産であり、入居を希望する都民も大変多い状況です。居住者が退去した後の空き家は有効に活用されるべきです。
そこで、今後空き室となった併用店舗つき住宅を活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
○安井都市整備局長 併用店舗は、再開発等に伴う従前居住者の生活再建のために設置しておりまして、居住者の退去で当初の設置目的は終了いたします。
こうした住宅には、店舗と居室の各部分が一体となっているものと別棟となっているものの二種類ございまして、前者の一体となったタイプでは、店舗を居室に改修した後に一つの住宅として入居者を公募しております。
お話の白鬚東アパートにある併用店舗は、店舗が居室と別棟のタイプでございまして、一住戸として活用できず、店舗部分も小規模で独立した住宅としても改修できないために、店舗部分の用途を廃止せざるを得ません。
都営住宅の建設は、財源の一部に国費が充てられており、用途廃止には国の承認が必要となります。このため、こうした課題の解決に向けて、国と調整を重ねてきておりまして、お話のように、空き室となった併用店舗つき住宅の居室部分につきましては、できるだけ早く住宅として公募できるよう引き続き取り組んでまいります。
○加藤委員 居室部分は、今後公募に向けて取り組んでいくとのことですので、住民も喜んでいただけると思います。また、店舗と居室が分離されたものは、都内に約二百戸あるようですので、これが活用されれば都民にとってもありがたいことだと思います。
加えて、店舗部分についても、地域貢献の一つとして地元自治体に防災倉庫として貸し出すなど活用策はあると思います。今後も有効活用策を引き続き検討してもらいたいと存じます。
次に、外国人生徒への教育支援についてです。
先日、地元の小学校を視察したところ、外国につながる児童が半数以上を占めていて驚きました。約十五カ国ぐらいにわたっているんですけれども、本当に国際化の進展に伴う東京へのビジネス進出や国家戦略特区などの取り組み、加えて担い手としての外国人労働者の増加の動きを考えると、このような状況は地域差はあるものの今後もふえていくと思います。
そして、この子供たちも義務教育を終え、やがては高校受験を迎える年齢になります。外国人の生徒が高校を受験するに当たっては日本語の能力が求められますが、カナダの心理学者カミンズによれば、言語を習得するまでには、日常生活で必要とされる生活言語、これについては一、二年、学習で必要とされる学習言語、これについては五年から七年かかるといわれています。
とすると、外国人の生徒が中学生のときに来日した場合には、学習言語を未習得のまま高校を受験しなくてはならなくなります。
都も我が党の求めに応じ、在京外国人枠という特別枠をふやしていただいておりますが、まだまだ狭き門でございます。
とりわけ、都立高校の入試は、平成二十八年度に入学する生徒を対象として実施する入試から、学力検査が、三教科から国によって内容が大きく異なる社会と理科、これが加わりまして五教科で行われるなど、制度改革が行われると聞いております。
日本語に習熟していない外国人の生徒にとって、都立高校を受検する上で五教科の学力検査は高いハードルになると考えます。
現在、来日三年以内の外国人生徒はルビを振った問題で受検できますが、学習言語としての日本語を習得するまでの期間を考えると、ルビを振った問題で受検するための来日三年以内の外国籍の生徒という要件については、再考の余地があると考えます。
そこで、外国人の生徒が高校で教育を受ける機会を得るには、高校受検に臨むに当たって新たな配慮が必要と考えますが、見解を伺います。
○比留間教育長 都教育委員会は、都内に居住する外国人生徒が都立高校で学ぶことができるよう、入学試験において特別募集枠を設けております。この特別募集枠では、学ぶ意欲を重視することから学力検査は行わず、日本語、または英語の面接及び作文により選抜を行っております。
さらに、一般入試を受検する来日三年以内の外国人生徒に対しては、希望すれば学力検査問題に平仮名のルビを振る特別の措置を講じているところでございます。
平成二十八年二月に実施する入試から、学力検査を原則五教科にすることから、公平性を考慮しつつ、外国人生徒に必要な配慮について早期に検討してまいります。
○加藤委員 先ほど紹介した小学校は、国際色豊かな環境のため、日本人の児童にとってもいい刺激となり、早くから広い視野を身につけることができています。また、社会などで外国の児童にとっても、今まで日本について習ってきたことに対して違うという認識、これが生まれ、お互いにとっていい効果が出ていると聞きました。
やがて大人になる子供たちが違いを認め合い、協力する習慣が身につけば、将来にわたって母国との友好関係を深める役割を果たしてくれると思います。そのきっかけを潰さないためにも早期の検討をお願いいたします。
最後に、多文化共生施策の推進についてでありますが、都内には、現在約四十一万人の外国人が居住しています。都では市民レベルの国際交流の中核的組織である東京都国際交流委員会が、二十の区市では国際交流協会といった民間団体が、在住外国人向けに生活や防災に関する情報提供や普及啓発などに取り組んでいると聞いています。
私の地元でも、定年を迎えたボランティアメンバーで構成する団体が、介護資格を目指す日本人を夫に持つ外国人の妻に対して日本語を教える教室を開いて支援をしています。
先ほど述べたように、今後、オリンピック・パラリンピック大会に向けて、ますます多くの外国人が東京を訪れるとともに、居住することが予想されます。
そうした中で、言語や生活習慣が異なる日本人と外国人が地域の中でともに生活するには、お互いのコミュニケーションを円滑にして相互理解を深めることが大切です。また、地域社会を日本人と外国人がともに担える環境をつくることなどがかなめとなります。
したがって、都内各地で進めている現在の多文化共生の取り組み状況を取りまとめ、今後の都の施策に反映させるとともに、都や区市町村やさまざまな支援団体がより積極的な施策を展開できるよう都は取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
○小林生活文化局長 二〇二〇年大会に向けて、今後さらに増加が予想される外国人にとって、東京がより暮らしやすいまちとなるためには、人種、宗教、言語などが異なる人々が文化的差異を認め合い、良好な関係を築く多文化共生の考え方を広く浸透させていく必要があると認識をしております。
都はこれまでも、防災知識の普及や災害時の語学ボランティアの確保のほか、地域レベルの国際化を推進する東京都国際交流委員会を通じて、生活や防災等に関する情報提供を初め、日本語学習などの外国人支援を行うNPO等の民間団体との連携に取り組んでまいりました。
今後、外国人との相互理解の促進が図られるよう、都は来年度、国際交流委員会の活用も含め、区市町村やNPO等とのネットワークの強化など、多文化共生を進める上で基本となる方針を示してまいります。
○小磯副委員長 加藤雅之委員の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
午後六時十二分休憩
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.