○鈴木(あ)委員長 山崎一輝委員の発言を許します。
〔委員長退席、鈴木(隆)副委員長着席〕
○山崎委員 初めに、自転車を含めた総合的な交通政策の推進について伺います。
自転車は、環境負荷の少ない交通手段として広く都民に利用されており、その役割は一層重要になっています。一方で、交通事故の全体に占める自転車関連の事故の割合は、減少はしているものの、依然として高く、自転車の安全利用に向けたソフト、ハードの両方の施策が必要と考えます。
まず、ソフト面の施策については、平成二十五年に施行された東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例、昨年策定された東京都自転車安全利用推進計画に基づき、新たに事業者向けのセミナーや研修用DVDの提供など、自転車利用者のみならず、事業者、家庭、学校等の社会全体での安全利用に向けた取り組みが熱心に進められているわけであります。
また、本年六月には、道路交通法の改正に伴い、悪質な自転車利用者に対する安全講習制度が全国で導入されることから、自転車利用者のルール、マナーの向上が図られるものと期待をしております。
さらに、ハード面の施策として、自転車走行空間の整備を進めることが重要であります。都が、自転車交通量が多く事故の危険性がある区間などを優先的に整備していることは承知しておりますが、まだ整備されたそれぞれの区間は連続化をしておりません。二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、走行空間の整備に当たっては、連続性を確保していくことも大変重要であります。
そこで、二〇二〇年に向けた、自転車が走行しやすい空間の整備の取り組みについて、まず伺います。
○横溝東京都技監 都は、自転車走行空間を都道で二百三十二キロメートル、臨港道路などにおいても三十二キロメートル整備することで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会開催までに合計で二百六十四キロメートルを確保いたします。
また、国や区市などと連携して、大会会場が集中する臨海部や主要な観光地の周辺など七地区において、自転車が走行しやすい空間を連続させた約二百キロメートルの自転車推奨ルートを本年四月に国内で初めて設定し、大会開催までに整備を完了させます。
これらの取り組みにより、現在の三倍以上となる四百キロメートルを超える規模を整備し、外国からの来訪者も含め、誰もが自転車で安全、快適に回遊できる環境を整えてまいります。
○山崎委員 平成二十七年四月には、国や区市とも連携をして、約二百キロの自転車推奨ルートが設定されるとのことですが、平成二十七年度は、都内に自転車走行空間を充実していく上で重要な年度となります。
そこで、平成二十七年度における、自転車が走行しやすい空間の整備の取り組みについて伺います。
○横溝東京都技監 平成二十七年度は、船堀街道や浅草通りなどの都道において、自転車レーンなど約十五キロメートルを整備いたします。また、パリで実施されておりますような自転車推奨ルートについて、国や区市などと構成する検討会で、実施スケジュールや整備手法等の具体的な協議を進め、平成二十七年度から事業を開始いたします。加えて、区市道での整備を促進させるため、国庫補助とあわせて、事業費の全額を補助する制度を新たに創設するなど、技術面、財政面を含めた支援を強化してまいります。
その上で、今後は、走行空間のネットワークをより一層充実させるため、自転車推奨ルートの都内全域への展開に向けた取り組みを進めてまいります。
引き続き、自転車が走行しやすい空間の整備を積極的に推進し、誰もが安全で安心して利用できる道路空間を創出してまいります。
○山崎委員 自転車の活用を総合的に推進するには、先ほどのルール、マナーの向上や走行空間の整備とともに、また自転車シェアリングの普及施策があります。
自転車シェアリングは、江東区が既に三年前から事業を実施しておりますが、昨年には千代田区、港区が事業を開始し、取り組みが少しずつ広がっています。
自転車シェアリングの普及により利便性が向上するのは結構ですが、冒頭でも触れたとおり、安全性がまず担保されなければなりません。自転車シェアリングにおいて事故などが発生した場合に備え、自転車損害賠償保険などの対応が適切になされていると聞いておりますが、確認のため現状を伺います。
○長谷川環境局長 自転車シェアリングを実施しております江東区、千代田区、港区の三区におきましては、公募によりそれぞれの運営事業者を選定しておりますが、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例も踏まえ、いずれの区でも公募要件において自転車損害賠償保険への加入などにより、事故等へ適切に対応することを規定しております。
実際に、各区の運営事業者は、いずれも自転車損害賠償保険へ加入しており、また利用者の会員登録の際に、自転車利用の基本的なルールを示した自転車安全利用五則を周知するなど、利用者が安心して自転車シェアリングを利用できるように対応がなされております。
○山崎委員 さて今般、中央区が本年十月の事業開始を表明し、これにより、地域的に隣接し、オリンピックも開催される臨海部、都心部の四区で、自転車シェアリングの利用が前進することになりました。
都は今後、利便性の一層の向上のため、区境を越えた広域的利用の実現に向けて連携を強化し、今月三日に、四区の区長と知事の出席のもと、基本協定が締結されたところであります。広域的自治体として大きなリーダーシップをとっていることに高く評価をいたします。
広域利用の実現に向けては課題もあると思いますが、今後、各区の意向や取り組み状況も十分に踏まえ、着実に課題解決を図っていくべきと考えますが、所見を伺います。
○長谷川環境局長 都はこれまで、各区の自転車シェアリングの事業化に当たって、ステーション用地の確保のための調整や事業採算性向上のための財政支援など、多角的に支援を行ってまいりました。
今後は、来年度に予定される中央区の事業化が着実に実現できるよう、引き続き支援を行いますとともに、区境を越えた広域利用の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
広域利用の実現に向けましては、現在、各区が独自に設定している料金体系のあり方や、利便性の高い主要駅などに自転車が集中した場合の対応などが、主な課題として想定されております。
都は、このたびの基本協定を踏まえ、四区と設置しております都区連絡会の中で課題を具体的に整理して、来年度から各区とともに課題解決に取り組み、平成二十八年度を目途に広域利用を実現できるよう、積極的に調整を進めてまいります。
○山崎委員 自転車シェアをさらに発展させていくためには、広域利用の実現だけでなく、ステーション、いわゆるポートの拡充など、利便性向上に向けたさらなる取り組みも必要であります。
江東区では、港湾局が所管する海上公園などの公共施設に数多くのステーションを設置することができたことで、ほかの区より先行して事業を開始できておりますが、このことは、自転車シェアリングの普及だけでなく、臨海副都心の交通インフラ強化といった効果や、また観光や健康増進の向上として大きな期待ができます。
その意味で、臨海副都心における自転車シェアリングの活用については、事業主体である江東区だけでなく、臨海副都心を初めとする臨海部の開発を推進している港湾局が、もう一歩踏み込んだ事業支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
○多羅尾港湾局長 臨海副都心を中心とした自転車の活用は、観光や日常の移動手段として大変有効であり、これまでも江東区の自転車シェアリング事業を積極的に支援してまいりました。
今後は、関係各局と連携し、臨海副都心を中心に、臨港道路等で自転車走行区間の整備を進めていくとともに、自転車シェアリングの利用を促進するため、域内の海上バス乗り場付近に新たにステーションを確保していきます。
また、自転車利用者が自転車とともに海上バスを気軽に利用できるよう、自転車の海上バスへの乗降を円滑にするため、船着き場へのアプローチを整備し、自転車の広域利用を進めてまいります。
これらの取り組みを通じて、陸と海の自転車走行区間の連続性を確保し、臨海副都心における公共交通を補完する交通手段ともなる自転車の利用拡大を図ってまいります。
○山崎委員 自転車シェアは、今後、先行する各区のノウハウを活用しながら、ほかの地域における事業化をさらに促進していくことも必要となります。また、認知度がまだ十分でない面もあり、利用促進に向けては積極的な情報発信も不可欠です。
今後、さまざまな地域での事業化を促進しながら、情報発信によって認知度を高め、利用ニーズをさらに掘り起こし、自転車シェアリングの一層の普及拡大を図る必要があると考えます。所見を伺います。
○長谷川環境局長 自転車シェアリングの一層の普及拡大に向けて、都は来年度、幅広く都内自治体に向けて、自転車シェアリングの取り組み状況やノウハウに関する情報提供を行い、事業化に向けた検討を促してまいります。
さらに、事業化検討時にポイントとなるステーションの設置ポテンシャルに関する調査を実施するとともに、本年度から開始しております初期負担への補助の活用などにより、自転車シェアリングの新規事業化を支援してまいります。
また、自転車シェアリングの認知度向上に向けて、ビジネスや観光を初めとしたさまざまな場面における活用方法のPRを行うなど、さまざまな利用主体に向けて情報発信を行ってまいります。
こうした取り組みを通じて、自転車シェアリングのさらなる普及拡大に着実に取り組んでまいります。
○山崎委員 将来的には多様な事業者が参入をし、その市場が拡大していくことが望まれます。今後、自転車シェアリングのさらなる発展に向け、都が自治体や事業者との連携を深め、取り組みをより一層強化していくことを求めておきます。
今まで各局よりさまざまな答弁がありました。一方、自転車を利用する立場から見ると、借りて乗って安心して走れるという一連の動きは、おのおのの施策が相互に連携して初めて確保されるものであります。知事の思いが強い自転車先進都市としてその利用拡大を図るためには、利用者の視点から、自転車政策を総合的に展開することが重要です。
昨年の第一回定例会において、知事からは、自転車利用環境の整備などを含め、総合的な交通政策を取りまとめるとの答弁がありました。
そこで、知事にお聞きをいたします。自転車を含めた総合的な交通政策の推進について、知事の所見を伺います。
○舛添知事 東京の最大の問題の一つは交通体系であると考えております。東京では、世界に類を見ない高密度で安全な交通ネットワークが形成されておりますが、地下鉄やバスなどと異なる交通機関が有機的に連携するという発想に乏しいというのが、私の問題意識であります。
お話のございました自転車につきましては、健康促進にも環境対策にもなる交通手段であるものの、残念ながら有効には活用されていないと思っております。
東京が成熟都市としてさらなる発展を目指すためには、身近な交通手段である自転車を一層活用し、環境に優しい交通体系を構築することが重要であります。
本年一月の学識経験者を含めました検討会からの提言を踏まえまして、自転車走行空間のネットワーク化やシェアサイクルの活用、ルール、マナーの向上など、東京の実情に合わせた利用環境の整備に向けて積極的に取り組むことといたしました。
今後とも、国や区市など多様な関係者とともに、鉄道やバスなど交通機関相互の連携を含む総合的な交通政策を展開し、世界一便利で快適な都市東京を実現してまいりたいと思っております。
○山崎委員 ただいま知事から、総合的な自転車政策の展開をするとのご答弁がありましたが、都庁には自転車の関係部署が多数にわたります。関係各局が今まで以上にしっかりと連携をして、多様な関係者の協力を得ながら、総合的に自転車施策を推進することを要望して、次の質問に移ります。
次に、臨海副都心について伺います。
臨海副都心で、二〇二〇年、オリンピック・パラリンピック大会において多数の競技が予定をされるなど、この大会を史上最高のものに導くための大変重要なエリアであり、また同時に、臨海副都心は、東京を世界で一番の都市に牽引をする上で大変重要なエリアでもあります。このため、我が党では、IRを視野に入れたMICE、国際観光拠点として開発を進めることを主張し、今後の開発の方向性と取り組みを将来ビジョンとして取りまとめ、開発を強力に推進すべきであると提言をしてきました。
今後、大会の開催に向け、ハード、ソフトの両面での準備が本格的に進んでいきますが、今後の開発においては、大会レガシーをどのように生かしていくのかが重要であります。
このことから、将来ビジョンを取りまとめるには、現在の開発方針にとらわれることなく、大会レガシーを生かした新たな発想でまちづくりの方向性を検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
○多羅尾港湾局長 臨海副都心は、東京の競争力強化と日本の経済成長を牽引する国際戦略拠点に発展可能な重要な地域でございます。今後、長期的な視点のもと、大会のレガシーも生かした切れ目のない開発を進める必要がございます。
このため、まずは東京大会を史上最高のものとするべく、処分予定のものを含めた全ての都有地を活用し、大会関連の土地需要に積極的に対応していくとともに、新客船ふ頭の整備などによるアクセス強化や外国人観光客の受け入れ環境の充実強化に努めてまいります。
さらに、この地域が大会後も継続して魅力ある東京の戦略拠点となるよう、大会がもたらす効果や民間の視点なども踏まえつつ、大会後を見据えた臨海副都心の開発の方向性を明らかにし、将来ビジョンを取りまとめてまいります。
○山崎委員 今後のまちづくりの方向性として、大会を成功に導き、そのレガシーを生かした切れ目のない開発を進めていくには、我が党が日ごろから提言をしている、二〇二〇年大会を成功させ、次の時代においても輝き続ける東京をつくっていくという主張に沿ったものであり、着実に実行をしていかなければなりません。
そこで伺いますが、この方向性のもと、まずは大会の土地需要に対し、処分予定のものを含めた全ての都有地を活用するとのことでありますが、具体的にはどのような対応なのか、見解を伺います。
○多羅尾港湾局長 大会開催に当たっては、仮設競技場のほか、文化イベントの開催やスポンサーパビリオンを中心としたにぎわい施設など、さまざまな用途で土地需要が発生することが見込まれております。
このため、まずは東京大会を成功させるため、処分予定のものを含めた全ての都有地を最大限に活用してまいります。
なお、現在公募中の未処分地についても、本年夏までに応募がない場合には、公募を中止し、大会関連用地として活用してまいります。
○山崎委員 二〇二〇年大会を史上最高のものにするため、臨海部最大の都有地を最大限に活用していくということは評価できることでありますが、開発に必要な都市基盤整備に要した起債の償還財源は、土地処分代金が中心であります。大会の開催環境整備に向け、大会の土地需要を優先し、本年夏に公募を中止するとのことでありますが、会計運営上は支障がないのか、見解を伺います。
○多羅尾港湾局長 臨海地域開発事業会計については、平成二十五年度末時点では、今後の企業債償還額として、元金及び利息を合わせ約二千四百三十二億円ございます。また、今後の幹線道路等の都市基盤整備費用として、最大千二百二十四億円が見込まれ、合わせると、将来約三千六百五十六億円の資金需要が発生いたします。
この財源は、内部留保資金の約千九百億円と、未処分地の処分による収入により確保していくことになりますが、まずは大会の土地需要を優先していくため、当面の対応策として、本年度の起債償還額千四百五十五億円のうち九百七十五億円を今年度借りかえ、今後の会計運営上必要な資金を確保し、財務面の健全性を強化してまいります。
○山崎委員 ただいまの答弁によれば、大会に向けて公募を中止しても、企業債の借りかえによる資金確保によって、大会開催に向けた外国人受け入れ環境の充実強化などの事業展開には、当面支障がないということがわかりました。しかしながら、企業債を借りかえても、将来の起債償還財源を確保するためには、大会後を見据え、着実に土地処分を促進していかなければなりません。
今後の土地処分に向けて、大会のレガシーを生かした魅力あるまちづくりの方向性を示し、民間企業の進出意欲を高めていくことが重要であると考えますが、見解を伺います。
○多羅尾港湾局長 今後の開発に当たっては、大会レガシーを生かした青海地区北側を核とした世界トップレベルのMICE、国際観光拠点の形成に向け、シンボルプロムナード等の公共空間を含めた一体的な活用について検討していきます。また、日本が持つ技術力を生かし、再生可能エネルギー等の積極的な活用についても検討を進めてまいります。
これらの取り組みを通じて、臨海副都心の開発ポテンシャルを向上させ、民間事業者の進出意欲を高めることにより、大会後の切れ目のない開発を確実に推進してまいります。
○山崎委員 ただいまの局長の答弁の中で、世界トップレベルのMICE、国際観光拠点を形成していくとのことでありますが、世界トップレベルを目指すには、やはりIRを入れた総合的な開発にしなければなりません。IRは、別にカジノだけではなく、総合リゾート開発であって、観光産業、雇用の促進、そして一大まちづくりの大きなプロジェクトであります。
今後の開発の方向性の検討に当たっては、世界で一番の都市を目指す、この目標を目指すのであれば、IRということをしっかりと認識をして取り組むことを強く要望しておきます。
また、限られた財源の中で必要な施策を積極的に展開をし、大会を成功に導くとともに、大会後、臨海副都心を持続的に発展させていくためには、健全な財政運営も重要であります。このことから、臨海地域開発事業会計が土地処分により成り立っているという基本的スキームを踏まえ、常に社会経済状況を見据えながら、鋭敏な経営感覚のもとに土地処分を進めていきながら、健全な財政を維持するよう、求めておきたいと思います。
次に、都心と臨海副都心を結ぶ公共交通について伺います。
都は昨年八月、都心と臨海副都心とを結ぶBRTの整備を表明し、この三月三日にそのルートなどについて中間の整理を公表いたしました。この中では、環状二号線を中心に複数のパターンでルートを設定しているようですが、どのような考えからこのルートを設定したのか、まず伺います。
○安井都市整備局長 先般公表いたしました中間整理におきまして、BRTのルートは、都心と臨海副都心間の環状二号線を中心とする約六キロの区間を基本としております。このルート上では、豊洲新市場や臨海副都心などへのアクセスの向上や、大規模マンション等の立地により朝夕を中心に集中する需要に適切に対応することが期待されております。
こうした状況に柔軟に対応するため、停留所の数を少なくして速達性を高めるとともに、将来の臨海部の土地利用の変化も見据えまして、需要が集中する晴海などにシャトル便を加えた計画といたしました。
○山崎委員 お話のように、BRTの利点として、ルートを柔軟に設定できるということを挙げられると思います。
江東区内の豊洲や有明、臨海副都心には、今後、新市場を初め、豊洲シビックセンター、さらにはIRを視野に入れたMICEなどの国際観光拠点と、オリンピック後にも開発が見込まれるエリアが多く存在をしております。中でも豊洲は、有楽町線や「ゆりかもめ」、路線バスなど、こうしたエリアを結ぶ中核的な拠点となっております。
三月末には、BRTの今年度の最後の協議会が開催されると聞いております。今後の臨海副都心地域の発展のためには、豊洲駅へ向かうルートを盛り込むことが重要だと思いますが、都の所見を伺います。
○安井都市整備局長 豊洲駅には現在、地下鉄有楽町線、「ゆりかもめ」のほか、八系統のバスが乗り入れており、駅周辺が重要な交通結節点となっております。また、この地域には大規模マンションや業務施設などの開発が今後も見込まれることから、土地利用の動向に応じて公共交通のネットワークの充実を図っていくことが重要でございます。
新たにBRTを導入するに当たりましては、路線バスなどの既存交通との整合を図るとともに、停留所の場所の確保や採算性などの検討も必要でございます。
お話の豊洲方面へのルートにつきましては、区とともに地域の将来像を見据えまして、適切に対応してまいります。
○山崎委員 今後の地域の発展や住民の利便性を考慮し、ぜひ実現をしていただきたいと思いますし、また、今後、BRT整備に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
○安井都市整備局長 さきに公表いたしました中間整理を踏まえまして、引き続き学識経験者を交えた協議会で、主に停留所について議論を行ってまいる予定でございます。
具体的には、設置する位置の検討に加えまして、待合スペース、シェアサイクル施設の併設など、これからの交通機関としてふさわしい整備のあり方についても協議を行い、来月には基本計画として取りまとめます。
その後、公募により運行事業者を決定いたしまして、関係機関との協議を進めるとともに、国と連携してBRTの運行の実現に必要な支援策を検討し、二〇一九年度の運行開始を目指してまいります。
○山崎委員 BRTと既存のバス路線との連携や役割の分担などをしっかり行うことをお願いして、次の質問に移ります。
次に、消費生活条例の改正について伺います。
近年、高齢者や若者を狙った悪質事業者による消費者被害が非常に目立っております。例えば、海外留学を希望する学生が、留学あっせん事業者からうその説明を受けて契約をし、トラブルに巻き込まれてしまったという事例を聞きます。その内容は、入学手続を依頼し、お金を振り込んだにもかかわらず手続がとられておらず、結局、現地で入学ができなかったという事例や、また、滞在先の宿舎はシャワーつきの個室と聞いていたのに、実際はシャワーのない汚い部屋だったなど、事前の説明と海外留学先の状況が大きく異なっているというものであります。苦情をいって解約をしようとすると、高額な解約料を請求される例もあるようです。
こうした事業者は到底許しがたいが、旅行業法や特定商取引法などの規制の対象外であり、いわゆる法のすき間であるため、事業者の取り締まりができないということであります。このようなことは絶対にあってはならないことであります。
都は、さきの本会議において、こうした悪質な取引による被害を防止するため、今回の条例改正により禁止命令の対象を拡大し、取り締まりの強化を図るとの答弁がありました。法のすき間に当たる消費者被害については、本来、国が対応するべきと思いますが、見解をまず伺います。
○小林生活文化局長 悪質な取引行為を規制する特定商取引法は、対象が訪問販売等、消費者トラブルの多い取引に限定されており、留学あっせんのような消費者みずからが店舗に出向いて契約する取引は対象となっておりません。
こうした特定商取引法の対象とならないすき間を狙った手口による被害に対応するため、平成二十四年に消費者安全法が改正され、いわゆるすき間事案について改善命令が可能となりました。しかし、消費者安全法による改善命令の権限は国のみが有しており、都は繰り返し権限移譲を働きかけておりますが、実現に至ってはおりません。また、国はこれまで注意喚起等にとどまり、改善命令を行っておらず、今後も対応が期待できない状況にございます。
このため、被害拡大を迅速に防止するためには、国の対応を待つのではなく、都がこのようなすき間事案に対応していかなければならないと考えております。
○山崎委員 都はこれまでも、法のすき間にある消費者被害に対応してきたと思いますが、どのように取り組んできたのか、また、今回の改正は、いかなる事案に対応しようとしているのか、あわせて伺います。
○小林生活文化局長 これまで都は、法の対象とならないすき間事案について、条例で対応してまいりました。
具体的には、平成十九年の条例改正で、当時都内で被害が多発していたすき間事案に対応するため、業務の停止を命ずる強力な権限である禁止命令を、全国に先駆けて導入したところでございます。これにより、消費者の依頼により自宅に出向き、水道修理や廃品回収などの業務を故意に費用を告げず作業し、後から高額な料金を請求する事業者を処分いたしました。
その後、消費者安全法が改正されましたが、先ほど答弁したとおり、国による改善命令が実施されない中で、新たな手口によるすき間事案の被害が発生をしております。
そのため、今回、さらに条例を改正し、近年都内で多くの被害相談が寄せられている留学あっせんや原野商法等の悪質な取引を、新たに禁止命令の対象とすることとしたものでございます。
○山崎委員 これまでの局長の答弁によると、すき間事案における悪質事業者の取り締まり権限について、国の消費者安全法では、業務の改善を図る改善命令にとどまりますが、都の条例では禁止命令を設けています。都は、国よりも重い処分を事業者に対して行うことになりますが、このような強力な権限を条例で規定することが可能なのか、伺います。
○小林生活文化局長 消費者安全法は、すき間事案に対応するがゆえに対象範囲が広く、取引を具体的に特定できないことから、事業者はみずからの業種、業態が法の規制対象か判断できないため、禁止命令のような強い権限を設定することはできない状況にあります。
一方、条例に規定する禁止命令は、都内に被害が多発しているすき間事案に当たる取引に規制対象を限定していることから、事業者は条例で規制されていることをあらかじめ認識できるため、東京都消費生活対策審議会からも、こうした東京特有のすき間事案を禁止命令という厳しい処分で規制することが法的に可能であり、積極的に導入すべきとの強い意見が出されました。
また、こうした規定を追加することは、悪質事業者自体の処分にとどまらず、悪質な行為に対する抑制効果も期待できると考えております。
○山崎委員 国が対応できないことについて、これまでも都が積極的に取り組み、今回、さらに条例で対応が可能な権限を駆使して、悪質事業者に厳格に対応していこうという姿勢がよくわかりました。
しかし、国よりも厳しい権限を条例によって与えられても、それを実行していくには、都として強い意志と決意が必要です。都民が安心して暮らせる都市東京であり続けるため、今後の消費生活行政の取り組みについて、知事の決意を伺います。
○舛添知事 東京は、都民だけでなく、全国から多くの人々が集まります一大消費地であります。一方で、悪質事業者による新たな手口が先鋭的にあらわれるため、被害防止の強化が不可欠でございます。
今回の消費生活条例の改正は、高齢者の生活の不安につけ込み、その財産を狙うものや、先ほど言及されましたように、留学を志す夢あふれる若者の飛躍の機会を奪いかねない、極めて悪質な取引を取り締まるものであります。
こうした悪質事業者には厳正な処分をもって臨む必要がありまして、条例で国よりも強い権限を行使できることから、国が動かないのであれば、消費生活相談などの現場を持つ都がみずから具体的な行動を起こしてまいります。
こうした考え方に基づき、大都市東京特有の事情により発生しますすき間事案を条例の規制対象に加えるとともに、事業者に対する立入調査権限を拡大することで取り締まりの強化を図ります。
今後、消費者被害の防止に向けて、区市町村からの迅速な情報収集や警視庁との連携強化を進め、都が持つ機能を最大限発揮して、安全・安心な都市東京の実現に向け、消費生活行政をリードしてまいります。
○山崎委員 今回の条例改正による取り締まり強化は、消費者の安全・安心、そして悪質事業者の排除につながる、大きな都の、また知事の決断だと思います。しっかり取り組むことを求めて、次の質問に移ります。
次に、オリンピック・パラリンピックにおける道路管理について伺います。
二〇二〇年大会の成功に向けては、万全の開催準備をしていくことが必要となりますが、準備の一つとして、競技施設等の整備に加えて、選手が大会本番で競技しやすい環境を整えていくことも同時に求められます。とりわけ、道路では、真夏の屋外において、世界各国のアスリートによる人気種目でもあるマラソンなどの熱戦が繰り広げられることになります。
そこで、マラソンコースを含む道路において、道路の熱さを抑える舗装などの整備を進めていくことが重要であると考えますが、都の見解を伺います。
○横溝東京都技監 暑い中でもアスリートが力を最大限発揮していくためには、道路の路面温度の上昇等を抑え、走りやすい道路環境を整えることが重要でございます。
このため、都では、二〇二〇年大会開催に向け、マラソンコース等の候補となっている都道の舗装表面に太陽光を反射する塗料を塗ることで、最大八度、路面温度を抑制できる遮熱性舗装を実施してまいります。コースには国道、区道も含まれるため、国や区と横断的な検討会を組織し、実施時期の調整等について連携を図ってまいります。あわせて、遮熱性舗装等の整備に対する補助制度を新たに創設し、区市を支援してまいります。
このことに加え、街路樹の樹形を大きく仕立てるよう計画的に剪定し、夏の強い日差しを遮る木陰をより多くつくり出し、アスリートにも観客にもしのぎやすい環境をつくってまいります。
引き続き、関係各局と連携し、大会開催時の夏の暑さ対策に取り組んでまいります。
○山崎委員 ぜひ国や区などと連携を強化して取り組んでいってもらいたいと思います。
そこで、道路においてバリアフリー化や標識の改善、ICTの活用などによるわかりやすい案内など、ユニバーサルデザインを進めていく必要があると考えますが、今後の都の取り組みについて伺います。
○横溝東京都技監 二〇二〇年大会に向け、誰もが安心して円滑に移動できる道路環境を確保することは重要でございます。
このため、バリアフリー化については、これまでの主要駅や福祉施設周辺はもとより、新たに競技場や多くの外国人が訪れる観光地周辺等を整備対象路線として加え、段差や勾配の改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置などを加速させてまいります。
また、道路標識についても、都内全域で英語併記化を推進することはもとより、観光地などにおいて、標識の表示内容にピクトグラムや都道の路線番号を追加するとともに、歩行空間に無料Wi-Fiやデジタルサイネージ等を順次整備し、外国人旅行者など誰もがまち歩きをしやすい環境を整えてまいります。
今後とも、二〇二〇年大会の成功に向け、選手や観光客などにとって快適な道路空間を創出してまいります。
○山崎委員 次に、環状二号線について伺います。
日本の国際競争力を強化するには、首都東京のインフラの充実なくしてはあり得ません。五年後に迫る二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会に向けても、道路の整備は不可欠であります。
中でも環状第二号線は、選手等の移動に極めて重要な道路であり、そこで、環状第二号線の未開通区間である新橋から豊洲までの整備状況について伺います。
○横溝東京都技監 環状第二号線のうち、新橋から豊洲までの区間については、現在、築地市場内を除き、全線で工事を進めております。
これまでに新橋から汐留までのトンネル本体が完成し、残る築地までのトンネル工事の進捗に合わせて、舗装や電気設備等の工事を実施してまいります。
また、築地から豊洲までの四つの橋梁については、隅田川にかかる築地大橋など三つの橋梁の架設が完成し、現在、舗装等の仕上げ工事を実施しております。
残る勝どき陸橋については、桁の架設を行っており、今後、仕上げ工事を実施してまいります。
○山崎委員 最後に、環状第二号線の築地市場内の整備の状況について、また、事業中の環状第二号線の開通に向けて、都の見解を伺います。
○横溝東京都技監 築地市場内の環状二号線については、来年度のトンネル工事等の発注に向け、現在、設計や積算等の準備を進めており、新市場への移転が完了し、築地市場内にある施設の解体後、工事に着手をいたします。また、市場内の施設を迂回する仮道路については、既に隣接する築地川沿いで整備を進めており、新市場開場後、速やかに暫定開通させ、臨海部へのアクセスを確保いたします。
また、環状二号線は、都心部と臨海部のネットワークを形成し、交通の円滑化や防災性の向上に資するとともに、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催時には、選手村と競技会場などを結ぶ大動脈となります。また、本路線は、臨海部へのアクセス機能を向上させるとともに、新たな公共交通を導入するための礎ともなります。
整備に当たっては、自転車走行空間の確保や無電柱化を図り、安全で快適な都市空間を創出することで、人や物の流れ、さらには周辺地域のまちづくりを活性化させてまいります。
今後とも、大会開催に向け、二〇二〇年早期に環状第二号線を確実に開通させるため、全力で取り組んでまいります。
○鈴木(隆)副委員長 山崎一輝委員の発言は終わりました。(拍手)
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