予算特別委員会速記録第四号

○小磯副委員長 新井ともはる委員の発言を許します。
   〔小磯副委員長退席、鈴木(隆)副委員長着席〕

○新井委員 まず初めに、労働者の雇用環境の改善についてお伺いします。
 パートや派遣など、いわゆる非正規社員で働く割合は年々増加しておりまして、最近の労働者調査によりますと、三七・九%と全労働者の四割近くが非正規社員だといわれています。
 連合が昨年六月に非正規社員二万五千人に生活者アンケートを行いました。そのアンケート調査を見ますと、一時金がない、賃金が安いが約四割、仕事の経験を積んだとしても賃金がふえないが約三割となっております。多くの非正規社員が、処遇に不満を抱えております。
 一方、正社員であっても、必ずしも雇用環境が十分とはいえません。職場によっては、過重労働が慢性化したり、出産や育児や介護などによって離職を余儀なくされているケースも珍しくはございません。
 現在、春闘が進められておりますが、賃金上昇だけでなく、長時間労働の削減、ワークライフバランスの実現など雇用環境の改善は、企業の規模を問わず、また正規社員、非正規社員問わず、全ての労働者が必要なものです。
 その実現に向けまして、労使の話し合いだけでなく、行政としても積極的に後押しをする必要性があると思っています。
 そこで、労働者の雇用環境の改善に向けました知事の見解をお伺いします。

○舛添知事 常々、私、申し上げておりますけれども、恒産なくして恒心なしと、そういう言葉がありますが、やはり仕事について生活基盤が安定すればこそ、明るい気持ちで生活できると考えております。
 働く意欲のある人が健康な生活を送りながら、能力や個性を十分発揮して働き続けられる社会をつくり、豊かさを実感できるようにすることが極めて大事だと思っております。
 こうした考えのもと、長期ビジョンにおきまして非正規雇用対策を私は重要な課題と位置づけまして、正社員として働くことを希望しながら、不本意にも非正規雇用となっている方々に対しまして、年間五千人、三年間で一万五千人の正規雇用化を実現するための取り組みを進めてまいります。
 また、従業員が安心して働き続けられるように、ワークライフバランスの実現に向けた支援などを通じまして、長時間労働の改善を初め雇用環境の整備に力を入れてまいります。
 先月、厚生労働大臣との間で雇用対策協定を締結いたしました。今後、国との連携も緊密にしながら、こうした取り組みを進めまして、働きやすい都市東京、これを実現してまいりたいと思っております。

○新井委員 ありがとうございます。企業の大小、また、正規、非正規社員を問わず、全ての働く方々の処遇改善が進むよう、知事のリーダーシップによって都が積極的に支援を進めていただきたいと思います。
 次に、非正規雇用対策についてお伺いをします。
 知事は、一人でも多くの人が正規社員となれるよう非正規雇用対策を強力に推進していくと述べており、今回の予算案でも、社内で正社員に転換した場合の支援をするということにしています。正社員化は、企業を支える人材が中長期に育成することができることなど、従業員のみならず企業にとってもメリットがあります。企業は正社員化によって、安定した雇用を実現すべきです。
 しかし、企業の中には、参考となる事例が少ないため正社員化に踏み出せないケースもあると聞きます。正社員化を行っている企業の情報を広く伝えることによって、正社員化を加速する必要性があると思っています。
 そこで、正規雇用化の事例をほかの企業に広めていくための取り組みについてお伺いします。

○山本産業労働局長 都が来年度取り組みます年間五千人の非正規雇用対策には、社内での正規雇用への転換を促すための助成金を創設いたしまして、千五百人の正社員化を目指すなど、さまざまな事業を盛り込んでおります。
 こうした対策を効果的に進めていくため、正社員化に積極的な企業における取り組み事例を収集して取りまとめまして冊子として配布をするほか、ウエブサイトも活用いたしまして情報を発信してまいります。

○新井委員 正社員化に積極的に取り組む企業の事例をほかの企業に伝えることによって、正規雇用化に向けた動きを促進していただきたいと思います。
 次に、中小企業の人材確保についてお伺いをします。
 民間が行った調査結果によりますと、約四割の企業で正社員が不足しており、特に建設、情報サービスといった業種では、六割近くの人手不足の状況にあるということです。こうした企業からは、人材不足が深刻化しておりエンジニアが確保できない、人材不足で仕事を断っている、下請業者が見つかりにくいなど、専門知識やスキルを要する従業員の不足を訴える声が多く上がっていることです。
 企業にとって必要な人材を確保するとともに、職場定着を進め、スキルを高めていくことは、経営の維持強化に直結する重要なことです。
 そこで、中小企業の人材確保と職場定着を支援する取り組みについて見解をお伺いします。

○山本産業労働局長 中小企業の人材確保と職場定着を後押しするため、都はウエブサイトや広報冊子を効果的に用いまして企業の魅力を若者へ広く発信するとともに、工業高校生等を対象とした現場体験への支援を行ってまいります。
 さらに、地域人づくり事業におきまして、ソフトウエアや建設業などの団体と連携し、従業員に対する専門資格の取得支援や経営者に対する人事コンサルティング等により、従業員の職場定着など、魅力ある職場づくりを進めてまいります。

○新井委員 企業にとって人材は最大の資源であり、競争力の源です。中小企業の人材面の支援に、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、水素エネルギーについてお伺いします。
 近年の地球温暖化のエネルギーをめぐる問題が深刻化する中、利用の段階で一切CO2を排出しない水素は、低炭素な次世代エネルギーとして注目をされています。国内資源が乏しく、エネルギーの大部分を海外の化石燃料に依存している我が国にとって、多様な資源から製造できる水素の普及は、エネルギーの安全保障の確保の面からも有望であり、また、再エネ余剰電力でつくった水素をためて必要なときに燃料電池を稼働すれば、水素による電力貯蔵も可能となります。
 昨年十二月に燃料電池車の一般販売が始まり、都庁でも二月末に燃料電池車が導入されました。いよいよ水素社会への幕あけです。幕あけを確実なものとしていくために、水素ステーションの整備が不可欠となります。とりわけ用地確保の困難な都内では、ガソリンスタンドやCNGスタンドなど既存のインフラの活用も有効です。
 しかし、ガソリンスタンドの整備が一億円といわれるものに比べ、水素ステーションは五億円のコストがかかるといわれております。事業者にとって大変負担となり、また、燃料電池車の普及初期には経営も安定しません。
 都の戦略会議のまとめでは、オリンピック・パラリンピックの開催される二〇二〇年までに水素ステーション三十五カ所を整備するという目標を設定していますが、どのように取り組みを進めていくのか、都の見解をお伺いします。

○長谷川環境局長 都内の水素ステーションは、来月までには五カ所整備される予定でございますが、水素の本格的な普及には水素ステーションの整備を促進させていく必要がございます。
 整備促進に当たりましては、高コストな整備費や燃料電池車の普及初期段階での運営面のリスクが課題でありますので、都は整備費については、国の補助とあわせて、ガソリンスタンドの設置と同程度まで事業者の負担を軽減するとともに、運営費につきましても、土地賃借料を支援するなど、都独自の補助制度を創設いたします。
 さらに、二〇二〇年までの継続的な支援が可能となるよう、基金の創設を二十七年度予算案に盛り込んでおります。
 こうした取り組みに加え、ガソリンスタンドやCNGスタンドなど、既存のインフラの活用なども促しながら、水素ステーションの整備促進を図ってまいります。

○新井委員 普及の初期段階では都の後押しが必要です。都もしっかりと関与して進めていただきたいと思います。
 先日、都議会民主党の調査会として、練馬の水素ステーションを視察してまいりました。水素ステーションには、水素の圧力を高める圧縮機、圧縮した水素をためる蓄圧器、圧力を高めると水素の温度が上昇するため、冷ますための冷却機など、機器が設置され、どの機器も大きく、ある程度の大きな敷地が必要となります。これにさらに拍車をかけるのが、公道と充填機との保安距離を八メートル確保しなければならないという規制があるということです。
 事業者のコスト負担を少しでも軽減するためにも、安全性にも考慮しながら、国に規制緩和を強く求めることが必要であります。都の見解をお伺いします。

○長谷川環境局長 水素ステーションの整備促進には、財政支援などとともに、安全性の確保を前提として規制の緩和を進めることが重要でございます。
 都はこれまで、九都県市とも連携しながら、国に規制緩和を要望し、市街地の水素貯蔵量の上限の緩和など、一部実現したものもございますが、公道との保安距離などについては、いまだ緩和が実現しておりません。
 水素ステーションの円滑な整備の促進に向けて、安全性にも配慮しながら、引き続きあらゆる機会を捉え、国に対し規制緩和を強く求めてまいります。

○新井委員 規制緩和が進めば、事業者のコスト削減や整備の施工期間が短縮され、水素ステーションの整備の促進に結びつきますので、ぜひ国へ強く求めていただきたいと思います。
 また、水素ステーションの整備に当たっては、ガソリンスタンドなどのほかの化石燃料に比べて危険であるという認識を持つ方もいらっしゃいます。水素エネルギーの普及に向けては、水素について都民の理解を深めることが重要です。
 とりわけ都民の方に水素の特性や安全対策を正確に情報提供し、認知度の向上を図ることが必要であり、都として率先して取り組むべきだと考えます。今後、どのようにして都民の理解を深めていくのか、都の見解をお伺いします。

○長谷川環境局長 水素の利活用は、環境負荷の低減やエネルギー供給源の多様化、産業への広い波及、非常時対応などの観点で重要な意義を有しております。
 また、水素を安全に扱う技術は確立されており、必要な対策を確実に行えば、都市ガスやガソリンなどと同様に安全な利用が可能となっております。
 水素エネルギーの普及には、お話のとおり、こうした意義や安全性などに関して、都民に正確かつ丁寧に情報提供し、理解を深めていくことが重要でございます。
 先日、都民向けのシンポジウムを開催いたしましたけれども、さらに、専用ポータルサイトを開設するなど、国や他の自治体とも連携し、民間事業者とも協力しながら、水素の利活用への理解促進に努めてまいります。

○新井委員 水素社会の実現には都民の理解が不可欠です。官民一体となった普及啓発に努めていただきたいと思います。
 また、二〇二〇年大会には、会場への輸送手段や選手村などにおいて水素エネルギーの活用を図り、国内外から訪れた方々に、日本の高い技術力を世界に発信するとともに、近未来の水素社会を実現できるよう、水素の普及に取り組んでいただくことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 道路維持管理についてお伺いをします。
 道路は、人々の生活や経済発展を支える最も身近な都市インフラです。日々安全な走行を確保するために、一年を通じて、道路、特に路面を良好に保つよう取り組む必要性がございます。
 そこで、道路の路面を良好な状態に維持するための取り組みについて、今のような冬場の対応も含めましてお伺いをします。

○横溝東京都技監 道路を常に良好な状態に保つため、都では、都道全線において日常的に巡回を行うとともに、台風や地震などの際には、その都度、点検を行っており、路面の異常を発見した場合には、破損箇所の応急復旧や必要に応じて緊急的な交通どめを行うなど、安全を確保しております。
 また、冬季は路面が凍結しやすいことから、降雪時などに歩行者の転倒や車のスリップなどを防止するため、危険性の高い歩道橋や坂道、利用者の多い駅周辺などで重点的に凍結防止剤の散布を行い、安全の確保を図っております。
 さらに、路面のひび割れや、わだち掘れの発生状況などを調べる路面性状調査などを定期的に行い、劣化状態に応じ、路面の補修工事を実施しております。

○新井委員 都道の日常的な点検に加えて、台風のときの点検や冬場の対応などを行い、道路の安全を確保しているとのことです。一方、道路の表面の一般的な点検調査だけでは防ぎ切れない部分もあると考えています。
 その一つとして、道路の陥没の発生があると思いますが、先日、道路下の空洞が原因で歩行者が落ちたという、韓国で起こった事故の映像をニュースで見ましたが、こうした事故を防ぐための取り組みも必要だと考えております。
 そこで、道路陥没を防ぐための都の取り組みについてお伺いをします。

○横溝東京都技監 道路陥没は、埋設物の破損や埋め戻し土の沈下などにより路面下に空洞が生じることが主な要因でありまして、直接目視により発見することは困難でございます。
 このため、都では、過去の陥没事例のデータをもとに、大型の埋設物がある路線等を対象といたしまして、車両に搭載した地中レーダーにより路面下の空洞調査を毎年計画的に実施してございます。このレーダーによる一次調査で発見した異常箇所につきましては、スコープカメラを用いた二次調査を行い、空洞の規模等を詳細に把握するとともに、必要に応じて砂の充填を緊急的に行うなど、陥没の未然防止に努めております。
 今後とも、こうした地道な対策の積み重ねによりまして、誰もが安心して利用できる道路の保全に取り組んでまいります。

○新井委員 表面だけではわからない路面下をレーダーで調査し、空洞を事前に発見し、速やかに対応しているということです。こうした職員の日々の点検や陥没といった不慮の事態への対応のための調査など、地道な取り組みによって、私たちは日々安全に都道を通行できると感じました。引き続き日々の道路維持についてしっかりとやっていただくことを要望しまして、次の質問に移ります。
 東京の歯科保健医療の取り組みについてお伺いをします。
 口腔の健康を保つことは、健康寿命を延ばす豊かな生活を送る上で、とても大切なことです。都は、平成二十三年に、歯科保健目標、いい歯東京を策定し、ライフステージごとに健康づくりのテーマを定め、さまざまな施策を行っているということですが、特に高齢期におけます取り組みについてお伺いをいたします。
 高齢化の進展に伴い、在宅で療養する高齢者の割合も増加してきております。その中には、自分の歯であるにもかかわらず、食べたり飲んだりすることが難しい摂食・嚥下障害にある方も少なくございません。
 摂食・嚥下障害は、加齢や病気などのさまざまな原因によって生じ、口から食べる楽しみを奪い、生活の質を損なうばかりでなく、低栄養や肺炎、窒息の原因ともなります。高齢者が症状に応じて適切に摂食・嚥下リハビリテーションを受けることが大切だと考えます。
 摂食・嚥下障害に対応できる人材の育成について、都の所見をお伺いします。

○梶原福祉保健局長 高齢者の摂食・嚥下障害に適切に対応するためには、医師や歯科医師が患者の状態を的確に診断、評価し、それに基づき、歯科衛生士、看護師、言語聴覚士等が、チームでリハビリテーションを行う必要がございます。
 このため、都は平成二十三年度から、心身障害者口腔保健センターにおきまして、医師や歯科医師、地域でリハビリテーションを担う医療従事者に対し、基礎から実地まで体系的な研修を実施しております。
 具体的には、医師、歯科医師を対象とした摂食・嚥下障害の診断、評価方法などの講義と実習、歯科衛生士や看護師等を対象とした飲み込みの訓練などリハビリテーションに関する講義と実習のほか、全職種合同での事例検討や施設における実地研修を行っておりまして、これまでに百七十三人が研修を修了しております。

○新井委員 都内で摂食・嚥下機能障害に対応できる医療従事者の育成が進んでいることがわかりました。摂食・嚥下機能障害による肺炎や窒息を未然に防ぐには、患者さんの周りにいます家族やケアマネジャー、訪問介護などが、頻繁なむせや繰り返す発熱など、摂食・嚥下機能障害の症状に早目に気づき、専門家に相談することや、相談を受けた医療職がほかの職種と連携して患者さんを支えるといった仕組みも必要です。
 いい歯東京の指標にも、在宅療養患者の摂食・嚥下障害に関して、医師、歯科医師等と連携している訪問看護ステーションの割合の増加を目標として掲げているところでございます。
 地域で摂食・嚥下リハビリテーションに係る多職種連携が必要であると考えますが、都の所見をお伺いします。

○梶原福祉保健局長 都におきましては、在宅療養者の摂食・嚥下リハビリテーションを支えるため、多職種連携を進めておりまして、地域の医師、歯科医師、看護師などの人材育成や連携に関する取り組み事例などを取りまとめました東京都摂食・嚥下機能支援推進マニュアルを作成するほか、心身障害者口腔保健センターや都保健所におきまして、関係者を対象とした連絡会を開催し、先駆的な連携事例の紹介なども行ってまいりました。
 また、地区の医師会や歯科医師会等から成る協議会の設置、事例検討会や住民向けの講演会の開催など、都が作成したマニュアルを活用してさまざまな取り組みを行う区市町村を包括補助により支援しております。
 今後とも、地域で適切な摂食・嚥下リハビリテーションを受けられますよう、多職種の関係者間の連携を推進してまいります。

○新井委員 摂食・嚥下障害に関する医療の歴史は新しく、摂食・嚥下機能の検査、診断、訓練を行える施設、専門家は少ないと思います。また、家族や、摂食・嚥下障害の本人までもが障害ということに気づきにくいともいわれております。さらに、人材の育成と多職種連携に励んでいただくことを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、理数教育の推進についてお伺いをします。
 科学技術をめぐる世界的な競争を担う人材を育成し、我が国が科学技術で世界をリードすべきだと思います。そのためには、理数教育を推進し、科学技術を担う人材を育成することが重要だと考えています。
 国では、将来の科学技術関係の人材を育成するために、先駆的な理数教育を実施する高校をスーパーサイエンスハイスクールとして指定して、大学や研究機関と連携し、トップクラスの研究者や技術者の交流をしています。
 これまで都立高校でも五校を指定され、最先端の理数教育に取り組んでいると聞いております。来年度からは、都立高校においても、そのスーパーサイエンスハイスクールに匹敵するような理数イノベーションの高校を指定すると聞きます。
 そこで、都立高校において新たに指定します理数イノベーション校の趣旨と内容についてお伺いをいたします。

○比留間教育長 理数イノベーション校は、スーパーサイエンスハイスクールとともに、都立高校の科学技術系人材育成の拠点として、大学や研究機関と連携し、将来の我が国を支える人材を育成してまいります。
 具体的には、首都東京の強みを生かし、最先端の研究施設での実験、講義を通して、生徒の知的探究心を育んでまいります。また、先端科学に関する研究を行う科目、理科課題研究を設置するなど、全国的にも先進的な取り組みを推進していきます。さらに、生徒の研究に対して大学教授などが、テーマの設定、仮説の検証、発表の仕方などについて定期的に指導をし、科学的思考力、判断力、表現力を育成してまいります。
 こうした取り組みの成果を科学の祭典や国際科学オリンピックなどの場で積極的に発信をし、東京都の理数教育を牽引してまいります。

○新井委員 来年度から実施予定の理数イノベーション校の取り組みによって、東京から科学技術で、世界の中で次世代を担う才能豊かな子供たちを育成していただきたいと思います。未来のノーベル賞を受賞するような、そういった生徒をぜひ育成していただきたいと思います。
 次に、公立小中学校におきますICT教育の環境整備についてお伺いをします。
 都教育委員会は、これまで都立高校のICT環境の充実を図ってまいりました。特に、ここ数年で配備しました都立高校におきます壁かけプロジェクターやICT教材を供します学習コンテンツ活用システムなど、とても活用されて評価しております。私も、高校に見に行きましたが、大変これは活用されていまして、本当によかったなと思っています。
 一方、来年度からは、公立の小中学校を支援しますモデル事業を新たに実施すると聞いております。
 そこで、ICT教育環境整備支援事業のモデル校がICT機器の機能を生かし、個別学習、一斉学習、共同学習を円滑に進められるよう、都教育委員会はどのように推進していくのか、お伺いいたします。

○比留間教育長 都教育委員会は、来年度、都内六地区の公立小中学校十八校をモデル校として指定し、タブレットパソコンや電子黒板、ネットワーク機器等を貸し出す出前ICT環境整備事業を実施いたします。
 モデル校には、屋外での撮影や記録、児童生徒間での情報の共有など、最新の機能を備えたICT機器や無線のネットワーク環境をより効果的に活用した授業づくりが早期に可能となるよう支援員を派遣いたします。特に、導入当初の時期には、学校の求めに応じて支援員の派遣回数をふやすなど、支援の充実に努めてまいります。

○新井委員 ICT環境の整備状況は、自治体によってさまざまだと思います。ICT教育環境整備支援事業で機器の貸し出しが行われるモデル事業の期間は十一カ月ほどと聞いておりますが、その貸出期間の終了した後でも、継続してICT機器を小中学校の現場に整備していくためにはどのようにしていくのか、お伺いをいたします。

○比留間教育長 都内公立小中学校のICT教育環境整備については、先進的に取り組んでいる区市町村がある一方、教育用パソコンの配備が進んでいない自治体もございます。
 この支援事業は、今後、新たに環境整備を進めていく区市町村を対象としており、モデル校における十一カ月間の試行を踏まえて、区市町村がICT機器やネットワーク環境の整備を進められるよう、支援することを目的としております。
 さらに、都教育委員会は、タブレットパソコン等の機能を最大限活用するために不可欠な教室のネットワーク環境整備への補助事業を来年度から開始いたします。
 こうした取り組みにより、補助制度の活用やモデル事業の成果などを通じて、都内全ての区市町村が、さらに環境整備を進められるよう支援してまいります。

○新井委員 このモデル事業は、環境整備が進んでいない区市町村が応募する可能性もございます。十一カ月間という短期の貸し出しで、効果的なICT環境整備を進めるためには、どの学校でも取り組みやすいような環境のあり方について検証し、その内容を関係者が共有していただきたいと思います。
 また、モデル校における公開授業の実施や指導実施例の公表を促し、モデル事業の成果を全都に広げていただくよう都による支援、助言を期待して、次の質問に移りたいと思います。
 最後に、サイバーセキュリティーについて質問いたします。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催を踏まえて、長期ビジョンにおいて、都は、サイバー攻撃への備えとして、今後、都庁版CSIRTを設置することを表明いたしました。
 二〇一二年のロンドン・オリンピックでは、二週間の大会開催期間中に、五輪特設サイトに攻撃が二億二千百万回に及んだと聞いております。二〇二〇年を見据えた対応を図ることはとても重要だと認識をしております。
 そこでまず、CSIRTの設置の表明に至った経緯についてお伺いします。

○中西総務局長 行政事務のITへの依存が高まる中、オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、情報システムに対するサイバー攻撃への迅速な対応が必要と認識しております。
 そこで、知事部局を対象といたします現行の情報セキュリティー委員会を、来年度、副知事をトップに公営企業を含めたサイバーセキュリティー委員会へと改組することといたしました。
 その委員会のもとに、セキュリティー事故等への調査、対応等を行うCSIRTを設置し、サイバー攻撃に対する事前の備えや発生後の対策を強化するなど、全庁横断的に取り組むことを長期ビジョンに明記したところでございます。

○新井委員 先ほど遠藤議員からも、サイバーテロについて質問がございました。サイバーテロによって、特に電力系のインフラが攻撃されると思っています。そういった電力系のインフラが攻撃された場合においても、東京都におけます、例えば交通機関、上水下水道のインフラ機関、しっかり対応できるように、しっかりと検討をしていただきたいと思います。
 遠藤議員からは大局的な質問がございましたが、私は技術的な観点で質問をしていきたいなと思っています。
 サイバー攻撃というものは、日進月歩で変化する技術革新と相まって、年々その攻撃を増しております。そのため、技術的な最新の動向を的確に反映するとともに、日ごろから訓練を行うことが大変重要でございます。
 例えば、官公庁や出版社、大学など、さまざまなホームページが改ざんされる被害等が引き続き発生しておりまして、複数のセキュリティーベンダーから改ざんに関します注意喚起がされております。また、特定の組織や個人を狙った標的型メール攻撃が増加しておりまして、その手口も年々巧妙化しております。
 こうした外部からの攻撃に的確に対応することが重要と考えますが、都はどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

○中西総務局長 都では、外部からの攻撃に対し、行政サービスの継続的な提供を確保していく観点から、インターネットと接続している入り口での防御策として、不正なアクセスを遮断するとともに、サーバーと端末に最新のウイルス対策ソフトを導入してウイルスの検知を行っております。
 また、近年増加しております標的型メール攻撃については、送信元を詐称する成り済ましメールを機械的に判別するなど、技術的対策に取り組んでおります。
 加えまして、標的型メール攻撃に対する対応訓練については、最新の攻撃事例を訓練に取り入れるなどの取り組みを積み重ね、職員がより実践的な対処方法を身につけられるように充実強化を図っております。
 こうした取り組みにより、サイバー攻撃から都庁の情報資産を守り、都民サービスと都政の安定運営を確保してまいります。

○新井委員 体制の構築に加えて、技術動向を踏まえた標的型メール訓練による人的な対応も取り組んでいくことを理解いたしました。
 一方で、サイバーセキュリティーの確保に当たりましては、やはり情報システムそのものの技術的なセキュリティーが不可欠であります。
 情報システムの世界には、日々新たなソフトウエアの欠如や、それを悪用した攻撃手法が出現するなど、常に危険にさらされるといっても過言ではございません。特に、昨年は、広く世界で使われていますソフトウエアに重大な欠如が複数発見され、メディアでも大きく取り上げられるなど、情報システムの安全性が特に注目されました。
 もっとも、こうしたセキュリティーホールの対応については、ベンダーしか知らない、わからないといったことが多いのではないかと心配をしております。全てをベンダー頼みにせず、都の職員が要所要所しっかりと把握し、適切に管理することができることが必要だと思っています。
 こうした状況に的確に対応するためには、先ほど答弁であったCSIRTの設置など、組織的な対応に加え、確実に情報システムのセキュリティー水準を維持していくための継続的な活動が必要と考えますが、認識をお伺いします。

○中西総務局長 サイバーセキュリティーの確保に当たりましては、組織的な対応とともに、定期的なチェックなどを通じたセキュリティー水準の維持が重要と認識しております。
 これまでも都は、eラーニングによる研修のほか、情報セキュリティ・個人情報安全管理強化月間を設定し、各職場におきまして自己点検を実施するなど、全庁的な情報セキュリティー対策に取り組んでおります。
 また、情報システムの技術的な安全対策の一環として、外部委託などを通じた第三者の活用を含む情報セキュリティー監査を取り入れるなど、継続的な情報システムのセキュリティー水準の確保を図っております。
 今後とも、こうした継続的な取り組みを通じたPDCAサイクルを展開することにより、セキュリティー水準の確保に努めてまいります。

○新井委員 セキュリティーホールについて、全て都の職員で把握するのは、これは技術的にも大変難しいと思っています。しかし、全てベンダーに任せてしまうのは、これは大変危険だと思っています。技術的な安全対策として、システムを構築したベンダー以外の第三者を活用しながら、セキュリティーについて、脆弱性を定期的にチェックをしていただきたいと思いますし、ベンダーに対して的確な指導をしていかなくちゃなりませんから、都職員も技術的なスキルの向上を常に目指していただきたいと思っています。
 オリンピック・パラリンピックというビッグイベントを成功させるためにも、しっかりとしたセキュリティー対策を取り組んでいくことを要望しまして、質問を終わりにいたします。(拍手)

○鈴木(隆)副委員長 新井ともはる委員の発言は終わりました。