予算特別委員会速記録第三号

○鈴木(隆)副委員長 次に、島崎義司委員の発言を許します。
   〔鈴木(隆)副委員長退席、委員長着席〕

○島崎委員 まず、都市外交について伺います。
 舛添知事の就任以来の積極的な都市外交に注目が集まる一方で、一部新聞、週刊誌などの影響からか、多額の費用をかけて都市外交を行う意義などについて否定的な意見があるのも事実であります。
 私は、世界有数の大都市である東京都が都市外交を行う意義とは、世界各国の都市や国民と相互理解を図り、より友好的で実務的な関係を構築し、それが結果的に都民に利益をもたらすものとなるべきと考えております。
 昨年四月、私も、都議会自民党の行政調査団に参加し、東京都下水道サービス株式会社などが下水道整備プロジェクトの契約を目指すマレーシアを訪れ、同プロジェクトの取り組み状況を調査するなどしてきましたが、その後、十月、下水道整備プロジェクトの契約が合意されたとの報告を聞きました。
 ほかにも、ODAを活用したミャンマー・ヤンゴンでの無収水対策事業の契約など、これらは、都がこれまで積み重ねてきた都市外交の成果ともいえるものと評価をしているところであります。
 知事は、東京都の都市外交がもたらす意義や、都民利益についてどう捉えているのか、都民に明らかにすべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○舛添知事 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会をまず成功に導かなければなりません。これを契機として、さらに東京を世界一の都市へと発展させるためには、都市外交の果たす役割は極めて重要でございます。
 例えば、昨年訪問しましたロンドンでは、オリンピックを成功に導いた方々との議論や、関連施設の視察を通じまして、レガシーの観点から施設整備を進める必要性について、多くのことを学びました。
 競技会場整備計画の見直しは、昨年の第二回定例会で説明し、取り組んでまいりましたが、都市外交を通じまして、その方向性を確認できたと思っております。
 そしてまた、IOCは昨年十二月のモナコの臨時総会においても、我々の方針と同じ方向でいくということを表明したこともまた事実でありまして、こういうことは、多角的な都市外交を展開しなければ実現できなかったと考えております。
 また、ベルリンでは、地域内エネルギー循環システムや水素エネルギーの開発状況などの説明を受けまして、都が進めるエネルギー政策の参考とすることができました。
 都市外交の成果の全てが短期的にあらわれるものではございませんけれども、今後とも、都民にしっかりと利益を還元していくという観点から、さまざまな分野で実務的かつ戦略的な都市外交を展開していきたいと考えております。

○島崎委員 今後とも、都民の理解を得ながら、都民の利益に資する実務的な都市外交を進めていただきたいと思います。
 次に、観光振興について伺います。
 さきに我が党の村上幹事長が行った本会議の代表質問において、都は、観光都市東京の実現と、東京ブランドの発信に向けて、ブランドイメージの確立と、受け入れ環境の整備を進めていくとの決意を表明されました。江戸の伝統やユニークな文化、最先端の技術など、東京の魅力を世界に訴えていくため、都の戦略的な取り組みを大いに期待しております。
 そのような中で、国際観光都市への飛躍を目指す上で忘れていただきたくないのは、水と緑にあふれた多摩地域であります。
 多摩地域には、世界一登山者が多く、ミシュランガイド三つ星観光地でもある高尾山などの山々、丘陵や渓流の豊かな自然、創建千九百年を超える大國魂神社などの神社仏閣、水生物園、動物園を併設した井の頭恩賜公園、ジブリ美術館や多摩動物園などの多種多様な行楽施設、約三百六十年前、飲料水を江戸に供給するため築造され、一部区間は都水道局の現役水道施設で国の史跡指定を受ける貴重な土木遺産でもある玉川上水など、魅力的な観光資源が数多く存在し、商業環境も充実しております。
 国内、国外を問わず、東京を訪れた旅行者が、多摩地域にも足を延ばしてもらえるよう、これら多摩地域の観光資源を積極的にアピールしていくことが重要と考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 国内外からの旅行者に多摩地域への回遊を促すため、地域の豊かな自然やその土地ならではの文化を積極的に発信することは効果的でございます。
 都は、今年度新たに作成したガイドブックで、多摩地域の観光スポットを、偉人ゆかりの地や癒やしスポットめぐりなどといったテーマ別に紹介をいたしまして、これを都内各地の観光協会等で広く配布するなどして、多摩地域への誘客に努めております。
 さらに、東京の観光公式サイトにおきまして、深大寺や井の頭公園等の観光スポットの見どころやそれらをめぐるモデルコースを多言語で紹介するなど、外国人に向けた魅力発信にも取り組んでおります。
 今後は、観光公式サイトに多摩地域の新たなコースを追加するなど、国内外に向けまして、さらなる情報発信に努めてまいります。

○島崎委員 積極的な多摩の魅力発信を期待しております。
 さて、情報発信に加えて、外国人旅行者に多摩地域に訪れてもらうために必要なのが受け入れ環境の整備であります。
 外国人旅行者が安心して多摩地域の観光を楽しみ、それぞれの地域の魅力に触れてもらえるよう、多言語対応や観光案内サービスの充実など、旅行者の快適な移動や滞在を支える環境整備のための取り組みを各地域で進めることが重要であります。
 都として、地域それぞれの特色に応じた取り組みが進むよう、市町村に対して必要な支援を行うことで、多摩地域の観光案内機能の向上を図るべきと考えますが、来年度の具体的な取り組みを伺います。

○山本産業労働局長 高尾山や深大寺などでは、案内標識や観光マップの多言語化など、外国人旅行者受け入れのための取り組みが地域で進められておりまして、外国人旅行者にも人気のスポットとなっております。
 都は来年度、こうした地域の観光資源を生かし、旅行者の受け入れ環境整備を進める区市町村の取り組みを後押しするため、新たな補助制度を創設いたします。
 具体的には、地元の観光情報を多言語で提供する案内所やデジタルサイネージの整備、観光スポットでの案内標識の設置など、各自治体が策定する計画に基づきみずから行う事業や、観光協会、民間事業者等と連携した取り組みに対して支援を行ってまいります。
 各市町村の計画的な取り組みを後押しすることで、多摩地域の観光案内機能の向上につなげてまいります。

○島崎委員 多摩地域でも、外国人旅行者の受け入れ環境整備をしっかりと進めていただきたいと思います。
 次に、観光を促すことにもつながるアクセス対策、回遊性の促進について伺います。
 国内外から訪れる旅行者に多摩地域の魅力や見どころを堪能してもらうためには、地域間の回遊性を促進することが重要であります。
 多摩地域では、多くの観光スポットが点在していますが、駅から徒歩で十分以上かかる施設や、バス便の施設なども多く、相互の回遊は難しいのが現状であります。
 一方で、近年は、駅前など特定の場所で自転車を借りたり、返却したりできるコミュニティサイクルの取り組みが進んでおり、私の地元でも、JRが武蔵境駅や東小金井駅の高架下にポートを設置し、Suicaを会員証として使うSuicleがあります。
 こうしたコミュニティサイクルも、より広域で観光スポットの回遊に活用できるのではないかと考えますが、見解を伺います。

○山本産業労働局長 都は、昨年度、地域のアイデアと民間事業者の持つノウハウとを結びつける地域資源発掘型実証プログラム事業におきまして、コミュニティサイクルを活用したプロジェクトを実施いたしました。
 具体的には、お話の既設のポートと調布駅前に設置した仮設のポートを活用いたしまして、ジブリ美術館など、十二カ所のポイントを広域的に回遊するスタンプラリーの実施などを通じまして、自転車を活用した観光スポットの回遊ニーズを検証いたしました。
 この結果を受けまして、今年度は、地域みずからの新たなサイクルイベントが実施されております。
 今後も、こうした地域の創意工夫を生かし、旅行者の回遊性を高める取り組みを支援してまいります。

○島崎委員 多摩地域は、東西方面については、鉄道等のアクセスが充実しておりますが、特に北多摩地域においては、南北方面のアクセスが弱点と考えております。
 点在している多摩地域の観光スポットや、鉄道路線間の駅を南北に結ぶアクセスとして、近年の多摩地域南北道路の充実を契機に、今後、BRTなども含め、研究、検討していただくことを要望し、この質問は終わります。
 次に、都市農業特区について伺います。
 我が党は、さきの代表質問で、今通常国会での都市農業振興基本法制定の機を捉えて、農地制度や税制度など、さまざまな仕組みの見直しにつなげていくべきであると提案をいたしました。
 知事からは、基本法の制定を見据えつつ、国家戦略特区を活用し、具体的な制度改善に取り組み、都市農業のモデルを構築していくとの答弁がありました。
 都は、都市農業特区で生産緑地の流動化、生産緑地の面積要件の緩和、相続税の負担軽減の三点を提案しておりますが、中でも、生産緑地の流動化については、都市農業者の方はもとより、特区の指定を受ける自治体や、JA、農協などの生産者団体等の関心も高いようであります。
 そこで、まず初めに、生産緑地の流動化、すなわち都市農地の貸借の促進を特区提案する狙いについて伺います。

○山本産業労働局長 市街化区域内の農地におきましては、現行の農地制度や税制度上、期限を設定した貸借が難しいことに加えまして、生産緑地を貸し付けた場合、相続税の納税猶予制度が適用されないなど、実質的に貸借は困難となっております。
 このため、農業者の高齢化や担い手の確保の問題から、営農の継続が困難となり、農地が減少する一方で、経営規模の拡大を志向する認定農業者等の意欲ある担い手は、農地を借り受けることが難しい状況がございます。
 今回、都が提案いたします都市農業特区におきましては、生産緑地の貸借の仕組みを構築することによりまして、高齢化が進む中で新たな担い手を確保し、都市農地の保全を図るとともに、認定農業者等が農地をスムーズに借り受け、経営規模の拡大等が可能となるよう支援していくことをその狙いとしております。

○島崎委員 先日、我が党は、都内の全てのJA、農協、農業委員会の代表者の皆さんに対する都市農業特区の説明会を開催いたしました。
 その中で、今回の特区制度について、農地分割、細分化につながらないか、永久農地の復活にならないかという心配の声も出ておりましたが、これに対し、農地の細分化についてはそうならないよう、例えば農地を一括相続する後継者が生産緑地を貸し付ける場合に限り、相続税の納税猶予制度が適用される制度となるよう提案をあわせて行い、農地の細分化を防止していく。また、生産緑地は、現行制度のまま、貸借の仕組みだけを導入するものであり、永久農地とはしないとの答えに一定の理解をいただけたように見えました。
 一方、後継者である子供はいないが、親戚のおいに引き継ぐまでの一定期間、農地の貸し付けを行えるようにしてほしい、市民農園や学校の学童農園の開設などのために、農地の貸借の仕組みは都市農業では今後ますます重要となる、簡単な貸借制度が必要だ、都市農業の全国モデルになるような制度にしてほしいという都市農業特区制度に期待を寄せる意見も多く出されておりました。
 生産緑地の貸借の仕組みを構築することは、高齢化が進む中で新たな担い手を確保し、都市農地を保全するという効果と、意欲のある農業者の経営規模の拡大を支援するという効果もあり、都市農業の振興には極めて有効な対策になると考えております。
 今回の都の都市農業特区の提案は、生産緑地を含む農地制度や税制度の改善など多岐にわたっており、国においても、国家戦略特区を所管する内閣府、生産緑地制度を所管する国土交通省、農地制度を所管する農林水産省、税制度を所管する財務省など、実に多くの省庁が関係しております。
 都市農業特区を実現するためには、いかにして税制を含む関係法令の改正につなげていくかが鍵となります。
 そこで、今後の都の取り組みについて伺います。

○山本産業労働局長 都市農業特区の実現には、お話のように生産緑地を含む農地制度や税制度など、多岐にわたる関連法令の改正が必要となります。
 そのためには、都市農業、農地を都市に有用な存在として明確に位置づけ、その振興に必要な法制上、財政上、税制上、金融上の措置を講じることを国の責務として定める都市農業振興基本法の成立が不可欠でございます。
 このため、今通常国会での基本法の早期成立を国に要請をしていくとともに、基本法の制定後は、税制を含む関係法令の検討が本格化する時期を捉えまして、都の関係局が連携をして、国に対する要望を強化してまいります。
 国への要望に当たりましては、特区の指定を受ける区市町を初め、農業協同組合など生産者団体等との連携を十分に図りながら、全力を挙げて取り組んでまいります。

○島崎委員 知事は常々、世界有数の大都市でありながら、多様な農産物が生産され、新鮮で高品質な食材を提供できることが東京の大きな魅力であると発言をされております。
 こうした魅力を支える都市農業をさらに振興していくためにも、都市農業特区制度実現は有効な手段だと思います。
 今後、国との具体的な協議に入っていくわけですが、農業者の十分な理解を得て進めていく必要がありますので、関係者への説明を丁寧に行っていただくよう要望しておきます。
 次に、都市計画道路について伺います。
 都市計画道路は、自動車交通の円滑化、都民の暮らしと安全の確保、災害時の救急活動や延焼遮断など、多様な機能を持つ重要な都市基盤であります。
 昨年十二月に公表された長期ビジョンにもあるように、都市の魅力の向上、快適な都市生活、機能的な都市活動が確保された都市へと発展していくためには、都市計画道路の整備が極めて重要であります。
 そこで、これまでどのように都市計画道路のネットワーク形成に取り組んできたのか、また、都市計画道路の未着手延長がどのくらいあるのか伺います。

○安井都市整備局長 都は、おおむね十年ごとに優先的に整備すべき路線を選定し、計画的、効率的な都市計画道路の整備に取り組んでまいりました。
 これまで、平成二十七年度までを計画期間とする整備方針をもとに、区部においては環状方向、多摩では南北方向の道路などを優先整備路線に選定し、整備を進めております。
 その結果、平成二十五年三月現在で、都内の都市計画道路約三千二百キロメートルのうち、約六割が完成しております。いまだ着手していない路線の延長は約九百六十キロメートルとなってございます。

○島崎委員 引き続き、着実に整備を進めていく必要があります。
 我が党の今定例会における代表質問で、都は、現計画が平成二十七年度末で終了することから、次期整備方針の策定に向けて、来年度の早期に中間のまとめを公表すると答弁されておりました。
 そこで、中間のまとめ公表後、整備方針策定に向けて、どのように取り組んでいくのか伺います。

○安井都市整備局長 今後、公表予定の中間のまとめにおきましては、交通結節点へのアクセス強化など、未着手となっている都市計画道路の必要性を検証する視点、また、渋滞の効果的な解消や高度防災都市の実現など、優先整備路線を選定する考え方を示す予定でございます。
 その後、引き続き実施するパブリックコメントの結果などを踏まえまして、個々の路線の具体的な検討を進め、平成二十七年度末までに新たな整備方針を策定してまいります。

○島崎委員 その優先整備路線の選定についてでありますが、私の地元、武蔵野市においては、駅前を中心に歩行者や自転車が多いにもかかわらず歩道などが狭く、安全性が確保されていない概成と呼ばれる都市計画道路が多く存在しております。
 特に女子大通りという都市計画道路においては、地元から、安全性確保の観点からも、早期に整備もしくは改善を求める要望が届いております。
 そこで、この路線については、今後どのように進めていくのか伺います。

○安井都市整備局長 武蔵野都市計画道路三・四・一一号女子大通り線は、吉祥寺駅北部に位置する東西方向の都市計画道路でございまして、区部と多摩地域とを連携する上で重要な路線でございます。
 本路線は、平成十八年に策定した多摩地域における都市計画道路の整備方針におきまして、優先的に整備する路線にはまだ位置づけられてございません。
 今後、先ほどお答えしました中間まとめを公表した後に個々の路線の具体的な検討を進めるなど、新たな整備方針を策定する中で、この路線につきましても適切に対応してまいります。

○島崎委員 よろしくお願いします。
 次に、鉄道駅のホームドアの整備促進について伺います。
 二〇二〇年、平成三十二年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催期間中、国内外より多くの方々が東京を訪れます。
 大会を成功に導いていくには、会場周辺駅の安全・安心を何よりも優先して確保されなければなりません。
 そのためにも、会場周辺駅におけるホームドア整備の取り組みを加速させていく必要があると考えますが、都の所見を伺います。

○安井都市整備局長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催に向け、国内外から多くの観客が訪れる競技会場の周辺の駅におきまして、利用者の安全性を確保するホームドアの整備を促進していく必要がございます。
 地下鉄につきましては、既存の補助制度を活用いたしまして、銀座線の外苑前駅などで整備に取り組むこととしております。
 これに加えまして、JR東日本及び私鉄につきましても、新たに競技会場周辺の駅を対象にホームドアの設置費用に対する補助を行うことといたしました。来年度は、JRの千駄ケ谷駅及び信濃町駅の二駅に補助する予定でございます。
 引き続き、国や鉄道事業者と連携を図りながら、会場周辺の他の駅におけるホームドア整備の促進に向けて取り組んでまいります。

○島崎委員 都内各駅へのホームドア整備を着実に推進していただきたいと思います。
 都においては、JR、私鉄の一日当たりの乗降者数が十万人以上の駅を優先し、補助制度を実施しておりますが、平成二十七年一月末時点での都内のJR、私鉄のホームドアの整備率は約二割と低い状況にあります。
 多摩地域においても、JR中央線が東京の東西方面の大動脈として、都民の日常生活を支えております。
 JR中央線は、東京オリンピック・パラリンピックの会場となる武蔵野の森総合スポーツ施設へのアクセス駅となる武蔵境駅を初め、吉祥寺駅や三鷹駅、立川駅など、一日当たりの乗降者数が十万人以上の駅を多数有する路線ですが、いずれの駅にもホームドアは整備されておらず、その利用者の安全性を確保していくことは極めて重要であります。JR中央線へのホームドア整備も強力に推進していただきたいと考えます。
 そこで、JR中央線を初めとする鉄道駅の今後のホームドア整備の取り組みについて、都の所見を伺います。

○安井都市整備局長 JR東日本及び私鉄のうち、乗降客数が十万人以上ある全七十八駅を対象にいたしまして、ホームドアの設置費用に対する補助を実施しており、二〇二三年度までにおおむね整備を完成させることを目指しております。
 お話の中央線につきましては、扉の位置が異なる列車が混在するため、従来型のホームドアの設置は困難と聞いてございます。
 このため、JR東日本では、こうした課題にも対応できる昇降式ホーム柵を八高線拝島駅の上りホームに試行的に導入することとしてございます。
 引き続き、新技術の実用化の動向なども見据えながら、国、地元区市及び鉄道事業者と連携いたしまして、ホームドア整備を促進してまいります。

○島崎委員 JR中央線のホームドア整備に当たっては、技術的な課題があることはわかりましたが、多摩地域を東西に結ぶ路線として、多くの方々が利用しております。
 最後に、利用者の安全性の確保の視点に立ち、JR中央線のホームドア整備を一日も早く実現していただくことを強く要望して、この質問は終わります。
 次に、消費者行政の観点から、子供の安全対策について伺います。
 東京消防庁のデータでは、平成二十五年に日常生活の事故で九千三百六人もの乳幼児が救急搬送され、過去五年間で最も多くなっております。
 例えば、電気ケトルのコードにひっかかり熱湯で大やけどを負ったり、スーパーボールを誤飲して窒息し、急性呼吸不全になった事例など、商品が原因となって起こる子供の事故が後を絶ちません。
 商品の安全対策は全国的な問題であり、本来は国が対応すべき問題だと思いますが、これまで都は、商品に起因する子供の事故を防止するため、東京都商品等安全対策協議会において、国に先駆けてさまざまな商品の安全対策に取り組み、成果を上げてきたと聞いております。
 そこで、まず、実効性ある安全対策につなげていくために、協議会がどのような仕組みにより運営されているのか、また、これまでの取り組み状況と成果についても伺います。

○小林生活文化局長 商品の安全対策を実効あるものにしていくためには、東京都商品等安全対策協議会の機能が極めて重要となります。
 そのため、協議会では、まず、東京消防庁や国立成育医療研究センターとの緊密な連携によりまして、迅速な事故情報の収集を行うとともに、学識経験者や消費者団体に加え、メーカーの方にも委員になっていただき、事業者団体も交えた検討体制をとっております。
 さらに、例えば事故の再現実験を行うなど、技術的な検討を行い、具体的な商品改善につながる提案も行っているところでございます。
 こうした協議会による提言に基づきまして、都が国や事業者団体に働きかけたことで、使い捨てライターの法規制化や、子供服とブラインドのひもについては、国におけるJIS規格化の検討につながるという成果に結びつきました。
 今年度、具体的な改善提案を行っただっこひもにつきましても、来年度早々に安全基準が強化される予定でございます。

○島崎委員 法規制などの具体的な安全対策につなげていくためには、迅速な事故情報の収集や事業者団体を交えた検討が大変重要であることがわかりました。
 一方で、そうした対策の効果を検証していくことも忘れてはなりません。仮に効果が不十分であれば、対策の見直しを行う必要があり、効果検証の取り組みが不可欠と考えますが、見解を伺います。
 また、最近は、首輪形の浮き輪を使って入浴していた乳幼児が溺れて呼吸停止になるなど、新しい商品による事故も目立ってきております。
 新商品の安全性についてもしっかりと把握していく必要があると考えますが、あわせて見解を伺います。

○小林生活文化局長 安全対策の効果につきましては、使い捨てライターのチャイルドレジスタンス機能の法規制化により、五歳以下の子供のライターによる火遊びが原因となる火災件数が、東京消防庁管内で四分の一になったことを今年度の協議会において明らかにいたしました。
 こうしたことから、商品等に起因する事故の再発防止には、実現した安全対策の効果を定期的に検証していくことの重要性を改めて認識したところでございます。
 今後は、協議会においてJIS規格化が予定されている子供服のひもの安全基準など、過去の提言で実現した対策の効果検証についても取り組み、安全対策を着実に推進してまいります。
 さらに、商品に起因する子供の事故につきまして、新商品はもちろんのこと、これまで見過ごされてきた事故にもアンテナを張り、これまで毎年一つのテーマを検討してきた協議会での検討機会をふやすことで、迅速な事故防止に取り組んでまいります。

○島崎委員 効果を検証していくことは非常に重要であると思います。この取り組みを継続して、さらなる事故防止につなげてほしいと思います。
 さて、我が党は、これまで事業者と連携して、子供の事故防止の観点で開発された商品をもっと消費者に普及させるべきだと提言してきました。
 都内の中小企業の中には、実際に、ドアの開閉時に指挟みを防止する装置や、刃先が丸く握りやすいはさみなど、安全に配慮して開発された商品も多数あると聞いております。
 そうした企業を都として積極的に後押ししていくことが、安全な商品の普及にも役立つと考えますが、見解を伺います。
 また、そうした安全に配慮した商品情報がきちんと保護者に伝わるようにしていくことも極めて重要と考えますが、あわせて見解を伺います。

○小林生活文化局長 今年度、都は、子供に安全な商品の普及に取り組むキッズデザイン協議会と連携して、消費者が安全に配慮した商品を直接手にとって実感できる見本市、セーフティグッズフェアを開催いたしました。
 来年度は、このキッズデザイン協議会が主催する安全・安心な商品を表彰するキッズデザイン賞に都内の中小企業が応募するために必要な審査料を助成することで、さらなる商品開発を促進してまいります。
 加えて、保護者等に対し、受賞商品をセーフティグッズフェアや都のホームページ等でPRし、安全に配慮した商品の普及を進めてまいります。

○島崎委員 東京発の安全な商品の普及は、子供の事故防止につながるだけではなく、都内中小企業の応援にもつながります。都の取り組みをしっかりと周知して、より多くの安全な商品の開発と普及につなげることを要望しておきます。
 次に、私立幼稚園における特別支援教育について伺います。
 障害を持つ子供、特に障害に気づかれにくい発達障害については、幼児期における早期発見、早期支援が重要であるといわれており、それは、就学後の支援に適切につなげていく上でも大切なことだと考えます。
 しかし、実際にこうした幼児を受け入れる幼稚園では、障害の程度等を踏まえたカリキュラムの工夫や、子供の発達に不安な思いを抱える保護者への精神的な援助など、各園においてきめ細やかな対応が求められていると聞いております。
 私立幼稚園が、必要な教育環境を維持し、今後とも障害のある幼児を受け入れていくためには、私学助成による支援が重要だと考えます。
 そこでまず、障害のある幼児の受け入れに対する私立幼稚園への支援策について伺います。

○小林生活文化局長 特別な支援を必要とする子供に対しましては、早期からの一貫性のある支援が必要であり、将来にわたる生きる力の基礎を培う体験を積み重ねていく場である幼稚園の役割は、極めて重要であると認識をしております。
 このため、都は、私立特別支援学校等経常費補助によりまして、障害があり、特別な配慮を必要とする幼児が二人以上在籍する学校法人立の私立幼稚園に対しまして、国庫補助と合わせて、幼児一人当たり七十八万四千円を補助しております。
 さらに、国庫補助の対象となっていない個人立等の幼稚園で幼児を受け入れている場合や、学校法人立幼稚園で幼児が一人のみ在籍する場合につきましても、都は、独自に幼児一人当たり三十九万二千円を補助しているところでございます。

○島崎委員 都は、国の補助制度の対象となっている幼稚園だけではなく、個人立等の幼稚園を含め幅広く支援を行っているとのことであり、高く評価したいと思います。
 一方で、平成二十二年十一月に出された東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画において、特別支援学校や特別支援学級に在籍する児童生徒が平成三十二年度に向けて増加するという推計が示されております。
 私立幼稚園においても、現場の先生からは、ここ数年、障害のある幼児の受け入れがふえてきており、今後も受け入れに対するニーズは高まっていくだろうと伺っております。
 こうした状況を踏まえ、今後、都はどのように対応していくのか、ご見解を伺います。

○小林生活文化局長 私立幼稚園は、地域や保護者のニーズに応え、障害のある幼児の受け入れに努めており、今後も、受け入れ幼児数は増加をしていくものと認識をしております。
 都は、対象となる幼児数の増加を勘案し、必要な支援が十分に行き渡るよう、特別支援教育に対する補助について、毎年度予算額の確保に努めてまいりました。
 来年度予算案につきましても、対象となる幼児として二千人を見込み、今年度予算に比べ約二億六千万円増となる約十三億五千万円を計上しております。
 今後とも、私立幼稚園の運営を支える経常費補助等とあわせ、特別支援教育に対する補助を充実し、各園における受け入れを支援してまいります。

○島崎委員 発達障害を初め、特別な配慮を必要とする幼児がふえている中で、必要な補助が行き渡るよう、十分な予算を確保し、各園を支援することが何より重要だと考えております。
 都においては、来年度においても対象人数のさらなる増加を見込み、予算計上していることがわかり、安心しました。
 一方、子供たちの心身の障害の状況はさまざまであり、個別支援計画に基づく、きめ細やかな対応が求められている幼稚園からは、補助単価の増額を求める声もあります。
 幼稚園への支援は、小学校へのつなぎという観点からも重要であります。今後、より多くの幼稚園で受け入れが図られるよう、こうした現場の意見も踏まえて、国への働きかけも含めて、支援のさらなる充実を図っていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 昨年の決算特別委員会や文教委員会でも私が質問した公立中学校における社会科教員による不適切な教材使用や、偏向教育的授業へのその後の対応などについて伺います。
 この事案は、その教員の指導を受けている当該中学校の生徒が事のてんまつを書面で我が党国会議員に寄せ、当該中学校所在の地元選出である私にも問い合わせがあり、決算特別委員会等で質疑したものであります。
 同質疑で、この事案の概要として、日本海と、ごく一部の国が主張するそれ以外の名称を併記した教材をこの教員が個人で購入し、二年生全学級の確認テストで使用したこと、校長が確認し、教育委員会に届け出ることとされている教材について、この教員は校長の許可を得ることなく使用したこと、当該教員は事案発覚後、第二学年全生徒に対し、不適切な教材を用いたことを謝罪し、日本海が国際的に確立した唯一の呼称であると訂正するとともに、授業で事実と反する箇所を明らかにし、修正したプリントを配布したこと、都教育委員会は、この事態を受け、都内全区市町村の教育長と全都立学校長に対し、補助教材の適正な取り扱いについて通知したことなどを確認いたしました。
 ただ同時に、その生徒からの書面では、この不適切授業のほかにも、同教員については、学年で平和学習という名前で、空襲や核兵器についてよく演説のようなことをしている、また、校外学習のときに、「第五福竜丸」の見学を絶対条件として、行く前、行った後には、核兵器はだめだから原発はだめ、戦争になるから集団的自衛権はだめと何回もいっては、感想や考えをプリントに書くようにいわれるなどとの訴えもつづられていたため、私は、都教育委員会に調査を求め、後日の文教委員会で、都教育委員会より、二年生の総合的な学習の時間に都立第五福竜丸展示館を見学する校外学習の事前事後指導で、原発や集団的自衛権について、ある一つの考え方だけを強調しているようにとられても仕方のない表現で指導したことが確認された、現在、当該教員の改善の状況を把握するため、武蔵野市教育委員会及び学校の管理職による継続的な授業観察を行っているなどの答弁がありました。
 そこで、当該教員に対するその後の管理職による継続的な授業観察の経過状況について伺います。

○比留間教育長 武蔵野市教育委員会は、当該教員による不適切な教材の使用が発覚して以来、十月中旬から現在まで継続して市教育委員会及び学校管理職による当該教員の授業観察を実施するとともに、生徒からの個別の聞き取り調査を行っております。
 この間、当該教員は、学習指導要領に基づき適正に指導を行っていると報告を受けております。

○島崎委員 ことし二月、名古屋市立の小学校五年生の社会科授業中、過激派組織ISILに殺害された日本人男性と見られる未編集の遺体画像を二十代女性担任教諭が児童らに見せていた事件や、一昨日は、横浜市の市立中学校に勤務する四十代の男性教諭が理科の授業中にパソコン操作を誤って、インターネットを通じて自宅で閲覧したわいせつな画像を生徒に見せてしまった事件の報道などもありました。
 今後、都内全ての公立小中高校で使用する補助教材の管理監督や授業の適切性をこれまで以上にしっかりと確保していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○比留間教育長 学校教育においては、児童生徒が客観的かつ公正な資料に基づき、事実を正確に理解できるようにするとともに、多面的、多角的に考察し、公正に判断する能力を育成することが重要であります。補助教材は、教科書を補完する資料として、こうした目的を達成するものでなければなりません。
 都教育委員会は、昨年十月、武蔵野市の問題を受け、学校における補助教材の適正な取り扱いについて通知を出し、国も同様の問題が発生したことにより、この三月四日、都と同趣旨の通知を発出いたしました。
 都教育委員会は、今後とも、都及び国の通知を踏まえ、学校における補助教材の選定及び使用について、校長の責任と権限において適切に行われるよう、区市町村教育委員会と連携し、指導の徹底を図ってまいります。

○島崎委員 正確に指導する教育、公正中正な教育が守られるよう、都教育委員会の的確な取り組みを期待して、私からの質問を終わります。(拍手)

○鈴木(あ)委員長 島崎義司委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。
 なお、三月十六日は、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時四十六分散会