予算特別委員会速記録第三号

○小磯副委員長 栗山よしじ委員の発言を許します。
   〔小磯副委員長退席、鈴木(隆)副委員長着席〕

○栗山委員 初めに、長期ビジョンについて伺います。
 昨年末、世界一の都市東京の実現を目指す東京都長期ビジョンが公表されました。
 行政の長期計画というものは、数年経過したらその方向性が百八十度変わってしまうようなものであってはならず、むしろ計画期間中は手を加えなくてもよいような、骨太の政策に貫かれたものであるべきだと考えます。
 その観点からいえば、舛添都政のもとで初となる長期ビジョンは、我が党の政策提言もふんだんに取り入れられており、今後十年間の都政運営の指針たるにふさわしいものであると評価しております。
 四百六十ページにも及ぶその厚さの中には、数値化された政策目標など、意欲的な内容が数多く盛り込まれていますが、まず長期ビジョンに込めた知事の思いをお伺いいたします。

○舛添知事 昨年末に策定しました東京都長期ビジョンは、世界一の都市東京を目指す都政の大方針でございます。
 五年後のオリンピック・パラリンピックを控えまして、世界中の人々の注目が東京に集まっております。しかし、二〇二〇年は一つの通過点であります。この大会を跳躍台にして、東京はさらなる発展を遂げていかなければなりません。
 そのため、私は二〇二〇年のみならず、今から十年後の東京の姿も見据えた長期ビジョンを策定いたしました。
 成熟の中で成長を続ける都市像を描くために、施策をバランスよく展開しながら、一方で、水素社会の実現や進化する都市の姿など、将来への夢と希望も盛り込んであります。
 また、長期ビジョンは、私の最終目標であります、東京で生まれ、生活し、老後を過ごすことができてよかったと誰もが実感できる東京の創造に向けた今後十年間の具体的な工程表でもあります。
 このビジョンを羅針盤といたしまして、人々が自由に活動し、最高の幸せを感じる都市東京の実現に向けまして、不退転の決意で取り組んでいきたいと思っております。

○栗山委員 長期ビジョンに込めた知事の思いが伝わりました。長期ビジョンが策定された今、これからはその実行あるのみです。
 先ほどの知事の答弁を聞いた各局には、知事の思いや我が党の政策を真正面から受けとめて、今後の政策を展開していってほしいと思います。
 ところで、都は長期ビジョンだけでなく、各局においてもさまざまな計画を策定しています。
 長期ビジョンを都政運営の幹とするならば、各局の計画はその幹と密接不可分の枝であります。そして、正当な計画論からいえば、都政運営の幹である長期ビジョンを踏まえ、各局において枝となる計画を新たにつくり込んでいくべきだと考えます。
 しかし、長期ビジョン策定前から各局の計画は存在していたこともあり、現実問題として難しいことや、法律に基づき策定されている計画については、直ちに見直すことが困難なことも承知しております。
 しかし、都政運営のかなめである長期ビジョンが策定されたのを機に、少なくとも各局が独自に策定した計画については、速やかに見直していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○川澄政策企画局長 都政を取り巻く諸課題を解決するため、各局において、所管している政策分野に関するさまざまな計画を策定し、政策を展開してきております。
 また、社会経済情勢の変化や都民ニーズの多様化などに的確に対応するため、随時、所管する計画の見直しも行ってきております。
 今般、世界一の都市東京の実現を目指す都政の大方針である長期ビジョンが策定されたことから、見直す必要が生じる各局の計画も出てくるものと考えており、各局の課題別長期計画の調整に関する役割を担う当局におきましても適切に対応してまいります。

○栗山委員 幹である長期ビジョンに掲げられた政策展開や政策目標を踏まえ、各局の計画ができる限り早い段階で、東京を世界で一番の都市にするためにバージョンアップして見直されることを期待して、次の質問に移ります。
 次に、長期ビジョンを実現するための財政基盤の構築についてお伺いいたします。
 平成二十七年度予算は、都税収入が七年ぶりに五兆円を超えたことを背景に、近年にない積極予算となりました。
 一般会計の財政規模、一般歳出、投資的経費など、いずれも何年ぶりのという言葉が並ぶ、記録ずくめの予算です。
 これは、都政がそれだけ今、多くの課題に直面しているということの証左であり、オリンピック・パラリンピックの開催準備や少子高齢化対策など、今後ますます行政需要が増大していきます。こうしたことを考えれば、決して現在の税収動向に安座することなく、施策の最大限の効率化を図り、無駄のない筋肉質な都政の構築に努めることが必要です。
 そこで、都における施策の効率性を高める取り組みとして、事業評価について伺います。
 東京都における事業評価の目的は何なのか、こうした取り組みを行うに至った背景なども含めてお伺いいたします。

○中井財務局長 都は、かつての財政再建時代に、巨額の財源不足に対処するため、都議会の皆様のご協力をいただきながら、無駄を排し、最少のコストで目的を最大限に達成できるよう、徹底した施策の見直しに取り組みましたが、事業評価はこうした見直し努力を財政再建達成後も継続して組織的に実施していくために、制度として再構築したものであり、現在では、現場の視点に基づく自主的、自発的なマネジメントサイクルとして都庁全体に定着しております。
 具体的には、予算編成の一環として、各局と連携しながら、事業の成果や決算状況などを厳しく検証した上で、各事業について見直し、再構築などの方向づけを行い、その結果を翌年度の予算等に的確に反映させるという形で、一年サイクルで毎年行われております。

○栗山委員 財政再建期における取り組みの成果を再構築し、予算編成への活用など、成果につながる取り組みへと昇華させてきたことがわかりました。
 実際、今年度の事業評価など自己改革の取り組みを通じて二百三十九事業を見直し、昨年度と比べ約一・六倍となる四百十億円の財源確保につなげるとともに、新規事業は昨年度の約一・八倍となる三百三十件を立ち上げており、施策の新陳代謝が進んだということがうかがえます。
 ただ、いわゆるPDCAサイクルの考え方に基づき、何らかの事業評価、行政評価制度を取り入れている自治体の中には、外部有識者などの知見を活用し、評価の客観性や専門性を高めることに腐心している自治体も少なくありません。
 こうした中、都では事業評価を予算編成の一環として、内部努力という形で評価を実施しております。
 そこで、内容も多岐にわたり、膨大な事務事業に対する評価の客観性や専門性を適切に担保するために、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○中井財務局長 都における事業評価は、まず事業を所管する各局がみずから評価を行い、その上で、財務局が全庁的な視点なども踏まえて最終的な評価を行っております。
 評価に当たっては、決算状況の分析や事業実施に伴う成果の検証を徹底し、必要性や有用性のほか、将来の影響などにも十分に留意をしているところでございます。
 また、専門的な知見が求められる、例えば施設整備や情報システムなどの評価については、庁内の専門部局と連携して行うなど、多面的な検証を加えることで、評価の専門性や客観性を担保する工夫を行っております。
 このように、事業評価は、みずからの取り組みにより施策の新陳代謝を促進し、組織を柔軟で効率的な体質に改善するための都庁を挙げた取り組みであり、今後も力を緩めることなく不断に取り組んでまいります。

○栗山委員 都の事業評価の主眼は、実際に事業を実施する職員みずからが、絶えず時代に合ったものへと見直しを行っていく中で、施策をブラッシュアップし、その質を高めていくことであり、地道な実績の積み重ねが成果につながっているということは理解しました。
 しかし、一点申し上げさせていただくとすると、積極的な予算を編成するという方針のもと、今回新たに削減額の二倍までを要求可能とする見直しインセンティブを導入し、多くの新規事業を立ち上げるということができた背景には、堅調な税収動向があったということも事実であります。
 今後、無計画に財政規模の拡大を続けていけば、税収の追い風がやんだとき、財源の捻出が図れなくなり、まさに崖から転がり落ちるようにして都の財政は再び悪化の一途をたどることにもなりかねません。
 こうした事態を招くことのないよう、巨大な都庁組織を、時代の変化を敏感に察知し、新しい時代を先取りできる体質に改善する不断の努力こそ、都政に対する都民の理解を得る上で重要でございます。
 五年後に控えたオリンピック・パラリンピックや少子高齢化対策など、都政に求められるものが大きくなっていく今だからこそ、さらに知恵を絞り、こうした努力を積み重ねていくことを求めます。
 次に、行政改革について伺います。
 財政基盤の構築とともに、都民のニーズに応え、さまざまな施策を機動的に展開していく上で、行政改革に取り組んでいくことは重要であります。
 地方自治法によれば、地方公共団体の責務として、その事務を処理するに当たっては最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないこと、そして、常にその組織及び運営の合理化に努めなければならないことが定められています。
 都は、こうした責務を果たす観点から、切れ目なく行政改革に取り組むことが不可欠であると認識しております。
 そこでまず、都のこれまでの行政改革の取り組みについてお伺いいたします。

○中西総務局長 都は、未曽有の財政危機に直面した平成十一年以降、職員定数の大幅な削減や監理団体数の半減とともに、指定管理者制度を初めとした多様な経営手法の導入など、さまざまな改革に徹底して取り組み、スリムで効率的な行政改革を推進してまいりました。
 これらの取り組みとあわせ、財政再建を達成した平成十八年度以降も、事業評価制度等を通じて費用対効果や事業内容の改善に取り組むとともに、包括外部監査制度を積極的に活用するなど、全庁を挙げた自己改革を進め、毎年度着実に具体的な成果を上げているところでございます。

○栗山委員 これまでの行政改革の取り組みにより、着実に成果を上げていることは理解しました。
 今後、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会、そして、さらにその先の施策展開を見据え、世界で一番の都市東京を実現するためには、施策の新陳代謝を図るなどの改革をしっかりと進めつつ、長期ビジョンを着実に実行していく必要があります。
 そこで、長期ビジョンに掲げる施策の着実な推進に向けた行政改革の取り組みについて都の認識を伺います。

○中西総務局長 都は、長期ビジョンを着実に実行していくため、個々の事務事業について、マネジメントサイクルを通じた改革、改善を繰り返し、具体的な成果を上げるとともに、都庁の経営資源を最大限に活用し、執行力を強化するなど、不断の行政改革に取り組むことをビジョンに明記したところでございます。
 これに加えまして、先般、効率的、効果的な執行体制を目指した都庁組織・人事改革ポリシーを策定し、質的な改革を推し進める観点から、執行体制の機能強化、人事施策の実効性向上、職員意識の変革促進という三つの改革目標を掲げて取り組みを強化しております。
 こうした取り組みを通じて不断の行政改革を進め、直面する諸課題に即応し、新たな政策課題にも的確に対応するなど、都政の対応力を高めてまいります。

○栗山委員 不断の行政改革を進め、諸課題に即応するとした都の姿勢は理解しました。
 長期ビジョンを掲げた都が、中長期的な観点からさまざまな施策を展開していくためには、その実現に見合う必要な財源をしっかりと確保するなど、強固な財政基盤を構築していくことが重要と認識しています。
 また、過去に都庁改革アクションプランなどに基づき、不断のマネジメント改革により成果を上げてきたように、今後とも行政改革にも切れ目なく取り組み、長期ビジョンを支える都の執行体制を強化していくことも重要であります。
 こうした視点を十分に踏まえ、都民本位の都政を展開していくことを強く要望しておきます。
 次に、子供の安全対策について伺います。
 子供が被害に遭う、痛ましくも悲しい事件や事故が連日のように新聞紙上をにぎわし、大変心を痛めております。
 このような状況を踏まえ、都も今年度から、公立小学校の通学路に設置される防犯カメラに対する補助事業を開始しましたが、この事業は、学校、家庭、地域の連携による通学路の見守り体制の充実強化に極めて有効であり、引き続き区市町村とがっちりスクラムを組んで、これを積極的に活用していくべきだと考えます。
 そこで伺いますが、この事業の規模や実施期間について、都はどのように考えているのか答弁を求めます。

○河合青少年・治安対策本部長 通学路における児童の安全・安心の確保は、子供の安全対策を進める上で喫緊の課題であると認識しております。
 このため、都は、本年一月に公表した安全安心TOKYO戦略におきまして、通学路等における安全対策の強化を打ち出すともに、今後の都市戦略である東京都長期ビジョンにおきましても、ご指摘の通学路防犯設備整備事業を主要な取り組みの一つに位置づけ、積極的にこれを推進していくこととしております。
 今後、今年度を含めた五年間で、希望する全ての公立小学校の通学路に、一校当たり五台程度の防犯カメラを設置できるよう、事業の執行を委任する教育庁と緊密に連携して、鋭意取り組んでまいります。

○栗山委員 五年間で全校への設置を目指すとのことであります。予算措置を含め、計画的に、段階的に進めていこうという都の姿勢は理解できますが、一方で、私の地元の目黒区のように、事業を利用する区市町村によっては、地域の実情に応じ、防犯カメラを二年とか三年とかの前倒しで準備しようとするところも少なくないと聞いております。
 児童の安全・安心の確保は、待ったなしです。事業の実効性を高め、子供の安全対策に万全を尽くしていくためには、このような地域の前向きな要望にもしっかり対応していくことが重要であると思いますが、いかがでしょうか。

○河合青少年・治安対策本部長 地域の安全・安心をめぐる状況はさまざまでありまして、通学路における防犯カメラの設置につきましては、もとより区市町村の適時適切な選択により進められるべきものであります。
 このため、今回ご審議をいただくこの事業の予算案の策定に当たりましては、あらかじめ防犯カメラの整備に関する方針や計画など、これをご利用いただく区市町村の意向や意見を把握した上、前倒しで設置するなどのさまざまな要望にも応えられますよう、予算を大幅に増額しております。
 今後とも、事業の円滑な実施に向け、区市町村の意向を踏まえたきめ細かな対応を徹底してまいります。

○栗山委員 前向きな答弁ありがとうございます。子供たちの安全・安心のため、区市町村と連携し、さらに安全対策を進めていただきたいと思います。
 次に、商店街振興についてお伺いいたします。
 商店街は、町会、自治会と並び地域コミュニティの核です。普段は、高齢者の日々の買い物のサポートや通学の際の子供たちの安全に目を配り、イベントなどでは地域と交流し、地域の多くの方と顔見知りとなっております。また、災害時などには物資の提供など、さまざまな場面で地域とのきずなを強めております。
 しかし、スーパーなど大型店舗の進出やネット販売などにより、数多くの商店が閉店し、商店街への加入店舗数も減少していると思われます。
 そこで、都内の商店街数及び加盟店舗数の変動についてお伺いいたします。

○山本産業労働局長 都が三年に一度行っております商店街実態調査によりますと、都内商店街の数は平成十六年には二千七百八十五、平成二十五年には二千六百二十五となっております。この間の九年で、約五%に当たる百六十の商店街が減少しております。
 また、一商店街当たりの平均正会員数は、平成十六年は五十一・四、平成二十五年は四十六・七でございまして、この間の九年で約一割減少しております。

○栗山委員 数多くの商店街や加盟店舗が減少していることがわかりました。
 東京都としては、商店街の活性化のため、法人化することによってイベント事業の補助の回数をふやすなどインセンティブを与えていますが、その具体的な内容を伺います。
 また、実際どのぐらいの商店街が法人化するのか、あわせてお伺いいたします。

○山本産業労働局長 商店街の法人化は、税制での優遇や金融機関からの融資などの面でメリットがございまして、事業の運営責任や役割も明確になるなど、商店街の組織力を高める上で重要でございます。
 そのため、都は今年度から、新たに法人化した商店街を、補助事業におきまして優遇する制度を導入いたしました。具体的には、イベント事業は法人化後の三年間、補助対象回数を通常の二回から三回にふやすとともに、施設整備等の活性化事業につきましては、法人化後の二年間で一事業に限り補助率を三分の一から二分の一に引き上げました。
 現在、三つの商店街が来年度当初の法人化に向けまして準備を進めているところでございます。

○栗山委員 前段で話したように、商店街は地域コミュニティの核です。しかし、売り上げの減少や後継者不足などにより商店が減少し、商店街の役員のやり手がなく、商店街の活力の減退、さらには商店街の解散につながっているのではないかと思います。
 駅の改札を出て、右と左の商店街が違ったり、連続している店舗があるのに道一本を隔てて商店街が違ったりしていますが、お客様にとっては違いのわからないことが多々あります。各商店街がそれぞれイベントなどを行い、非効率的な部分もあります。
 東京都は、商店街の法人化により活性化を図っていますが、近隣商店街との連携や合併を促進することによってスケールメリットやマンパワーがアップし、近隣のお客様へのサービス向上、商店街の組織体制の強化につながると思いますが、いかがでしょうか。

○山本産業労働局長 複数の商店街が連携して活動し、あるいは合併をして規模を拡大することは、商店街の知名度や集客力の向上につながり、さらには法人化へのきっかけになるなどの効果が期待できます。
 このため、都は、イベント事業を複数の商店街が共同で実施する場合、それぞれの商店街が単独で実施するイベントとは別に補助の対象とすることにより、連携の取り組みを促しております。
 また、連携や合併に向けた取り組みを進める商店街に対し、要望に応じまして専門家を派遣するなど、円滑な取り組みの実施を支援してまいります。

○栗山委員 合併には、現場において諸課題がたくさんあると思いますが、ぜひともさまざまな角度から商店街振興を行っていただきたいと思います。
 次に、保育施策についてお伺いします。
 都内の待機児童数は、二年連続で増加しており、待機児童解消の実現が急がれます。昨年末策定された長期ビジョンでは、平成二十九年度末までの待機児童ゼロを目指し、保育サービスを四万人分ふやすとしています。
 大都市特有の保育ニーズに対応するため、都が独自に創設した認証保育所は、待機児童の九割を占めるゼロ歳から二歳までの低年齢児を定員の半分以上とするなど、待機児対策として極めて有効であり、今や東京の保育施策に不可欠な存在です。
 そこでまず、認証保育所の拡充に向けたこれまでの取り組みをお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 大都市特有のニーズに応える認証保育所は、平成十三年の制度創設以来、広く都民の支持を得て設置が進んでおりまして、本年三月一日現在、七百二十七カ所、定員は二万四千人を超えております。
 これまで都は、新たに開設する際の改修経費等のほか、保育を担う人材の確保、定着を図るための処遇改善経費を補助してまいりました。
 今年度からは、さらに開設準備経費補助の補助率を引き上げ、定員を拡充するための改修経費も補助対象としております。
 また、保育従事者向けの宿舎借り上げへの支援も開始したところでございます。

○栗山委員 整備に係る支援を充実したとのことであり、都として認証保育所制度を今後もしっかりと都の重要な施策として継続していくことだと思います。
 しかし、認証保育所は、この四月から開始する子ども・子育て支援新制度に残念ながら位置づけられていないがために、事業者の中には不安の声もあるとお伺いしております。
 認証保育所は、賃貸物件の活用が基本であることから、迅速な整備が可能というメリットがある一方で、事業者は賃借料を負担し続けなければなりません。特に都心部において賃借料は大きな負担となるため、私は賃借料についても支援をすべきではないかと常々訴えてまいりました。
 整備の充実に加えて、一層の安定的な運営と保育の質の向上が図られるよう、さらなる支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○梶原福祉保健局長 来年度から子ども・子育て支援新制度が開始されることに伴いまして、保育の質の向上を図るため、認可保育所等に対する運営費の充実が図られることとなりました。
 これを踏まえまして、認証保育所の運営費補助についても補助単価を増額いたしますとともに、賃借料や減価償却費の加算を新たに設けるなどの充実を図り、今年度と比較して十億円増の四十一億円を来年度予算に計上しております。
 また、来年度は、保育士等のキャリアアップを図る取り組みや、障害児やアレルギー児などに対する保育を一層推進するための取り組みへの支援を新たに講じることとしております。引き続き、認証保育所を強力に支援してまいります。

○栗山委員 多様なニーズに対応し、東京の保育にはなくてはならない認証保育所に対しては、ぜひ手厚い支援を引き続き実施していただきたいと思います。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会について伺います。
 二〇二〇年大会は、日本中が注目するスポーツイベントです。チケットも売れ、観客席はどの会場も多くの人であふれることを期待します。また、会場に行けない都民、国民がテレビの前などで観戦し、アスリートたちの姿に感動し、元気をもらうことでしょう。日本人の多くの方は、オリンピック・パラリンピックに関心を寄せております。
 日本人が感動し、元気をもらうためにも、重要になるのは競技時間の設定です。多くの人が見やすい時間に競技を行うことが、日本人の心のレガシーにつながります。
 そこで、大会時の競技時間はどのように設定されるのかお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 大会時の競技時間は、アスリートファーストの理念のもと、選手がベストコンディションで競技に臨めるように設定することが重要でございます。
 競技時間の設定に当たりましては、各競技や種目の特性、競技会場の立地、チケットの販売など関連する要素を整理するとともに、各競技を統括する国際競技団体の意向、国際テレビ放送にかかわるメディアの意見なども勘案して検討していくことになります。
 今後、組織委員会が中心となりまして、IOCや国際競技団体と連携しながら調整をしてまいります。

○栗山委員 今の答弁で、実際の競技時間は、メディアを初めさまざまな要素を考慮しながら検討されることがわかりました。
 では、そういった調整を踏まえた実際の競技時間は、いつ、どのように決まっていくのかお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 IOCが現在想定しております二〇二〇年大会の準備スケジュールによりますと、大会期間中の日程の詳細は、二〇一六年リオデジャネイロ大会の状況等を分析しながら、大会の二年前になります二〇一八年中に決めることとされております。

○栗山委員 競技時間の設定には、国際テレビ放送にかかわるメディアの意見なども勘案するということですが、国際放送メディアの意見を取り入れると、ともすれば、海外の方が見やすい時間に設定されることもあり得ますが、国内の盛り上がりを考えると、日本人が見やすいよう設定すべきだと思います。
 特に、決勝戦は最高の盛り上がりを見せるとともに、アスリートが世界の頂点をかけて競い合い、世界中の若者に夢や希望を与えられる最高の舞台です。
 例えば、日本で人気のある競技や決勝戦などは、日本国民が観戦しやすい時間にすることが必要と考えますが、都の所見をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 二〇二〇年大会を成功に導くためには、日本全国、まさにオールジャパンの盛り上がりが重要でございます。競技会場での観戦はもとより、パブリックビューイングやテレビなどのさまざまなメディアを通じまして、多くの人が感動を共有できるようにしていく必要がございます。
 一方で、オリンピック・パラリンピック大会は世界中が注目する大会であり、日本だけではなく、広く世界に向けて東京大会の感動を発信していくことも重要な課題でございます。
 これらを踏まえまして、都としても、こうした感動をより多くの人々に伝えることができるよう、適切な競技時間の設定につきまして組織委員会に働きかけてまいります。

○栗山委員 競技時間については、今後、組織委員会がさまざまな関係者と検討するということは理解しました。
 オリンピック・パラリンピックは、アスリートたちが世界の頂点をかけて競い合う世界最大のスポーツの祭典であり、半世紀ぶりに東京で開催されます。過去のオリンピック大会のテレビ放送では、時差の関係から夜中や早朝などの放送が多く、残念ながら観戦を諦めた方も多かったかと思います。
 二〇二〇年大会のテレビ放送に当たっては、海外の視聴者への配慮はもちろんですが、多くの都民、国民、とりわけ子供たちがテレビ観戦しやすい時間に設定することこそが日本国内の盛り上がりを決定づける鍵であり、国民が生で観戦し、選手たちとともに一喜一憂し、感動したことが長く記憶に残り、ソフトレガシーとなります。ぜひともその実現に向け、努力していただきたい旨を、都にもお願いしておきます。
 次に、地域スポーツ振興についてお伺いいたします。
 都は、二〇二〇年大会の成功に向けて、多数のオリンピック選手を東京から輩出していくための取り組みを進めることとしていますが、他方で、大会を盛り上げるためには、より多くの都民のスポーツへの関心を高めていく必要があります。
 スポーツ人口をふやし、スポーツ実施率を世界トップレベルの七〇%に向上させていくためには、都民が積極的にスポーツをしようというムーブメントを起こしていくべきです。特に、オリンピック種目を都民に広めていくことにより、二〇二〇年大会の盛り上がりだけでなく、大会後の都民の健康増進にも大きく寄与すると考えます。
 都民がオリンピック種目に日ごろから親しむためには、区市町村や体育協会、地域の競技団体の取り組みが重要であり、都はその取り組みを支援していくべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 多くの都民がオリンピック種目に親しみを持ち、みずから楽しむことは、二〇二〇年大会が草の根から盛り上がることにもつながりますとともに、大会後の地域におけるスポーツの裾野の拡大に寄与いたします。
 都は、これまで、各地区の体育協会や競技団体と連携し、オリンピック種目を対象としたスポーツ教室などを通じて、ジュニアスポーツの普及振興等を図るジュニア育成地域推進事業を実施してきております。
 来年度からはこれに加えまして、新たにソフト事業の補助制度を創設し、区市町村が主体的に行うスポーツ教室などに対しても支援を行い、オリンピック・パラリンピックの機運醸成につなげてまいります。
 こうした事業を通じまして、より多くの都民がオリンピック種目を身近な地域で楽しめるよう、取り組みを促進してまいります。

○栗山委員 多くの都民が、オリンピック競技に触れられるような環境づくりをお願いいたします。
 最後に、学力調査についてお伺いします。
 我が党は、若者が夢と希望を持てる教育都市東京をつくること、知力、体力、人間力を備え、世界と渡り合える若者を育てることを掲げ、さまざまな施策の充実を求めてきました。
 学力の向上のための取り組みは、まず実態を把握することから始まります。そのため、学年ごとに到達度を定めて独自の学力調査を実施している区市町村もあり、私の地元である目黒区では小学校二年生から中学校三年生まで実施しております。
 都は、国に先駆けて平成十五年度から独自の学力調査を実施していますが、小学校五年生と中学校二年生を対象としている理由を伺います。あわせて、区市町村によっては、小学校五年生、中学校二年生以外でも独自の学力調査を実施していることについての見解を伺います。

○比留間教育長 小中学校においては、それぞれの学校段階において学ぶべきことが定められております。その内容は、基礎から発展まで多岐にわたっておりますが、特に基礎的な学習内容については、全ての児童生徒に確実に習得させる必要があります。
 都の学力調査は、学習の定着状況を把握し、結果から明らかになった児童生徒一人一人の課題を、学校が卒業までに解決する時間を確保するため、小学校五年生と中学校二年生を対象に実施しているものでございます。
 また、区市町村は、地域の実態に合わせて、対象学年をさまざまに設定して学力調査を実施するなど、子供たちの学力の状況をよりきめ細かく把握し、一人一人の課題を解決するため、それぞれ独自に工夫し取り組みを進めております。

○栗山委員 学力は、学年が進むとともに着実に身につけていくものであり、積み残しがあればその後の学習に支障が出ます。
 そこで、今説明があった都が実施している独自の学力調査について、調査の目的と、現時点での子供たちの学力の状況についてお伺いいたします。

○比留間教育長 東京都の学力調査の目的は、都全体の児童生徒の学力の実態を把握するとともに、その向上に向けさまざまな取り組みを推進することにあります。
 具体的には、採点結果とともに学習の留意点などを児童生徒一人一人に返すことにより、今後の学習に向けて具体的な目標を持てるようにしております。また、各学校が調査結果を活用し、課題を明らかにした上で授業改善を進めるほか、子供たちの学力の状況を保護者と共有し、家庭と一体となって取り組むよう促しております。
 また、学力調査の結果の状況については、算数や数学などの積み上げ型の教科においては、習熟の進んでいる層からおくれがちな層まで幅広く分布しており、特に基礎的な知識や技能が十分身についていない児童生徒は、学習全体に対する意欲も低下しがちでございます。

○栗山委員 都独自の学力調査において具体的な目標値を設定することは、東京都の全ての児童生徒の学力を確実に向上させる取り組みになるはずです。
 今後の学力調査においては、一人一人の児童生徒が目標値を達成できているのかという視点から分析を行うとともに、目標値のクリアを目指した一層の指導を進めていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

○鈴木(隆)副委員長 栗山よしじ委員の発言は終わりました。