午後六時四十五分開議
○小磯副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
中山信行委員の発言を許します。
○中山委員 初めに、病児、病後児保育について伺います。
幼い我が子が病気になれば、親であれば、誰もがそばに寄り添い、看病してあげたいと感じるものです。しかし、責任ある立場にいて仕事を休めないとか、核家族で頼れる人がいないといった場合に、看護師や保育士などの専門家が子供を見てくれるのであれば、これほど心強い味方はありません。病児保育を利用できたおかげで仕事に支障を来さずに子供の体調不良を乗り越えることができたご家族の喜びは、決して小さなものではありません。都議会公明党は、そうした幸せを都内に広めるため、この問題に取り組んできました。
こちらの図をごらんください。同居家族が多い地域では、病児保育施設を整備する必要性が薄いとの見方もありますけれども、一方で、人口密集地域でありながら、病児保育が少ない、あるいは全くない地域もあるなど、偏りが見られます。
病児保育の実施には医師の関与が必要であり、その拡大は簡単ではありません。それでも少しずつふえてきた背景には、東京都が独自で補助の上乗せを果たしてきた効果が大きいと考えられます。
このたび、我が党の要望に応え取り組んできた都の努力が実り、国としても同様の加算を実施することが決まりました。国の決断は喜ばしいものでありますが、病児保育の施設事業はこれからが正念場であります。
私は、国の補助があっても都の独自補助は上乗せで継続するべきと考えます。これまで都の独自補助が果たしてきた効果とあわせて、この点の見解を伺います。
○梶原福祉保健局長 都はこれまで、区市町村における病児保育の取り組みを促進するため、保育所や医療機関等の専用スペースで実施する際の施設整備や病児保育の人材やノウハウを活用した地域の保育所への情報提供や巡回支援等の取り組みを独自に支援してまいりました。
その結果、都内の病児保育施設は、本年一月一日現在六十三カ所となっており、平成二十一年度の三十カ所から三十三カ所ふえてございます。
来年度からは、国の病児保育事業におきまして、保育を利用する病児の少ない日に地域の保育所等への情報提供や巡回相談を行うなど、地域全体の保育の質の向上につながる機能を評価した加算が創設されます。
都といたしましては、今後、新たな国制度も活用しながら、区市町村における病児保育の取り組みを積極的に支援してまいります。
○中山委員 国の補助も活用してとのご答弁でありました。独自補助の継続をぜひ具体化していただいて、さらなる拡大にご努力をお願いしたいと思います。
病児保育を担う小児科医の不足も深刻な課題です。地域によっては小児科医院の誘致から手がけていく必要があり、病児保育の実施まではとても見通せない事情もあります。
そこで、隣接し合う区市町村が同じ病児保育施設を共同利用することができれば、施設のない区市町村に暮らす都民も助かりますし、利用してもらう側の施設にとっても、日々の受け入れ児童数の自然な形での安定化につながります。
広域利用の推進に向けた二十七年度の取り組みを伺います。
○梶原福祉保健局長 限られた医療資源の中で病児保育のニーズに対応するためには、行政区域を越えて病児保育施設を利用できる広域利用の取り組みも有効でございます。
このため、今年度から、施設を複数の区市町村で利用する場合の賃借料補助を実施しておりまして、この補助を活用して、八王子市と町田市との間で取り組みが開始されました。
また、来年度からは、広域利用を前提として施設整備を行う区市町村に対し、整備費や改修費の負担分を全額補助することとしております。
今後とも、東京都医師会の協力も得ながら、地域の医療機関の取り組みも促すとともに、自治体間の広域利用など、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
○中山委員 福祉保健局のさらなる頑張りにご期待申し上げます。
こちらの図表をごらんください。平成二十五年度の救急搬送に占める都立、公社の病院が受け入れた搬送数を東京消防庁にご提出いただき、まとめたものであります。大江消防総監、ご協力ありがとうございました。
特筆すべきは、救急搬送全体に占める都立、公社の病院の割合が七・九%であるのに対し、小児科が受け入れ先となった十四歳以下の搬送では二四・八%、実に四分の一にも達している点であります。小児医療分野における都立、公社の病院が果たしている役割の大きさを如実に物語っております。
その意味で、都の病院経営本部が我が党などの要望に応え、来年度から都立と公社の相違を問わず、新たに病児、病後児保育事業を実施すると表明した意義はまことに大きいものがあります。その上で、どうせなら都立、公社の病院の特色を遺憾なく発揮した病児保育であっていただきたいと願うものであります。その概要をお伺いいたします。
○醍醐病院経営本部長 都立、公社病院におきましては、ただいまお話しのありました小児救急や専門性の高い小児医療を広域的に提供しておりまして、その特色を生かし、病児、病後児保育を実施してまいります。
具体的には、病気の急性期にあると診断された子供や、回復期であっても急変のおそれがある子供についても受け入れるとともに、子供が急変し、治療が必要になったときには、速やかに実施病院のERや救急外来において、小児科医による治療につなげる体制を整備してまいります。
さらに、地元区市だけでなく、近隣の自治体からも広域的に子供を受け入れ、病児、病後児保育のサービスが不足している区市を積極的に支援してまいります。
○中山委員 すばらしい取り組み姿勢だと思います。実際の運用開始に際しましては、病院スタッフの高度な機能性にしっかりと順応でき、しかも、みずからは丁寧で心優しい保育を実践できる質の高い保育士の確保などの準備が必要であります。
また、本事業の開始は、近隣の区市町村にとりましても大きな朗報であり、それぞれの事業計画にも影響を与えます。
そこで、あくまで早期の運用開始であることを前提に、今後の取り組みをお伺いします。
○醍醐病院経営本部長 病児、病後児保育の実施に当たりましては、地元区市の需要の把握や運営にかかわる取り決めの検討に加えまして、地区医師会との協議など、さまざまな課題を調整する必要がございます。
また、保育のための専用スペースや感染症の子供を受け入れるための隔離室など、施設を整備する必要もございます。
このため、今後は区市のニーズと各病院における施設整備の状況を踏まえ、早期に実施可能な病院を選定し、来年度中にも都立、公社病院におきまして、病児、病後児保育が実施できるよう取り組んでまいります。
その際には、病児、病後児保育の質を高めるために、保育士には医療の知識を、また看護師には保育の知識を習得させまして、病児、病後児保育特有の専門性を確保するよう努めてまいります。
○中山委員 都民のために始めてくださるせっかくの取り組みであり、今後は新たな課題も生じてくるでありましょうけれども、全てを前向きに受けとめ、一緒に前進していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、東京の魅力を世界に発信する絶好のチャンスであります。中でも、アニメは世界中の多くの若者を魅了し、熱烈な日本ファンを生み出し続けています。しかも、アニメ関連産業の八〇%が東京に集積しており、いわゆる人、物、金を東京に引き寄せる大きな引力を発揮しています。
その意味で、クールジャパン関連産業は、既に今も重要な成長産業でありますが、さらなる飛躍を期すためには、すぐれた作品を国内外に向け、丁寧にビジネスマッチングしていく必要があります。来年度の都の取り組みを伺います。
○山本産業労働局長 日本人の豊かな感性や繊細さが生み出す日本のアニメは、作品への海外の評価も高く、いわゆるクールジャパン関連産業として、今後の成長が期待される分野でございます。
アニメ産業につきましては、都はこれまで、民間と連携した東京アニメアワードフェスティバルの開催など、作品発表や交流の場の提供を通じまして、若手の創作意欲を喚起し、才能豊かなクリエーターの輩出を支援してまいりました。
来年度からは新たに、アニメアワードで選抜された将来有望な人材がビジネスに積極的に踏み出せるよう、展示会出展やビジネスマッチングへの参加を支援いたします。
今後も産業の特性に応じた支援を推進し、アニメなど東京発のクールジャパン関連産業を育成してまいります。
○中山委員 ぜひよろしくお願いいたします。
一方、東京ビッグサイトでは、集客力の高いアニメ関係を初めとしたクールジャパン関連のイベントが毎年数多く開催されております。それらのイベントが五輪大会の時期に東京で開けなくなってしまうことは、まことにもったいない限りであります。私自身、関係団体からそうしたご要望を伺い、その旨を都の関係者にお伝えし、昨年の第三回定例会の一般質問の席上でも強く要望したところでございます。
そうした動きを受け、都の外郭団体である株式会社東京ビッグサイトは、価値あるイベントの利用が制約を受けてしまう事態の打開を図るため、仮設展示場の整備を決断されたと聞いております。工事はビッグサイトとして行われるものだそうであり、都税の新たな投入を行わない大変すばらしい英断だと思っております。
そこで、仮設展示場の整備がアニメ関係を含めた各種の展示会などの開催にもたらす効果についてお伺いいたします。
加えまして、私がかねてから主張し、昨年六月に改正していただいた省エネ・再エネ東京仕様に準じ、仮設展示場につきましても、省エネ対策、環境負荷の低減に取り組むべきだと考えますが、あわせて見解を求めます。
○山本産業労働局長 年間を通じて、アニメ関係を含めたさまざまな展示会やイベントが開催をされております東京ビッグサイトでは、今後見込まれる会場の利用制限の影響を極力抑えるため、一万六千平方メートル程度の展示面積を有する仮設展示場の整備を進めております。
これによりまして、既存展示場全体の二割に相当する展示機能を補完することができ、中小規模の展示会やイベントの開催に加え、既存の展示会の拡大開催等にも活用することが可能となります。
また、仮設展示場の整備に当たりましては、自然風を活用できる空調設備機器やLED照明、節水型衛生機器の採用など、省エネ・再エネ東京仕様を踏まえた対策を検討し、可能な限り環境に配慮した施設となるよう取り組んでまいります。
○中山委員 仮設展示場とはいえ、大変多くの外国人観光客も訪れると思います。そのときに最新の技術で省エネを図っていただくということは、東京の先進性を大きくPRすることになると思いますので、よろしくお願いいたします。
誰もが安心して生活を送ることのできる東京の魅力を世界に発信するためにも、都内の中小企業の技術、製品開発力を活用して、福祉の増進に貢献することは重要であります。
例えば、聴覚障害者とのコミュニケーションに向けた手話通訳アプリが注目され、開発が急がれております。私は、障害者の方々ばかりではなく、さまざまな人々が何かにつけて不便を感じている事柄を都内中小企業の技術力で解決して、その成果、社会貢献を国内外に広くアピールすべきと考えます。
都は、東京が抱えるさまざまな都市課題の解決に向け、先進分野の製品開発に取り組む中小企業の技術開発を、ここが大事なんですけれども、長期にわたり積極的に支援していくべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
○舛添知事 少子高齢社会の進展など、東京が直面するさまざまな課題の解決に中小企業の高い技術力を生かしていくことは、極めて有効な手だてであります。
私は、昨年の東京都ベンチャー技術大賞におきまして、難聴者に聞き取りやすい音声を発する小型スピーカーを開発した企業を表彰しましたけれども、技術の力で社会に貢献しようと、こういう中小企業の志と熱意に感銘を受けた次第であります。
今後、医療や福祉、環境、防災などの分野におきまして、大学や研究機関等が有する知見と中小企業のすぐれた技術を結びつけ、次の時代を担う先進的な製品の試作から実用化まで、四年間にわたり一貫して支援するプロジェクトを数多く立ち上げてまいります。技術進歩が非常に早いですから、四年間面倒を見るというのは、長期的という言葉をおっしゃいましたけど、その意図に沿うと思っております。
こういう施策を展開しまして、誰もが幸せを実感できる社会の実現を支える東京発の革新的な製品として結実させ、二〇二〇年大会に向けて、広く内外にアピールしていきたいと思っております。
○中山委員 知事、ありがとうございました。世界の人々から喜ばれる技術、商品の開発に向けて一層のご支援をお願いいたします。
雇用情勢が改善し、昨年の完全失業率は三・六%と十七年ぶりの低さを記録しました。一方で、製造業や建設業など、ものづくり産業の人材はいまだ不足しております。
ものづくり産業は、正社員の割合も高く、正規雇用促進の観点からも、若者のものづくりへの誘導が必要であります。この四月には、私の地元足立区に、新しく城東職業能力開発センターの施設が開設します。この機を捉え、より多くの若者がものづくりの分野に進めるよう、昨今の若者の精神風土にマッチした取り組みを強化していただきたいと考えますが、見解をお伺いいたします。
○山本産業労働局長 来月開設をいたします城東職業能力開発センターでは、若者の将来に向けての展望や意向を引き出し、ものづくり分野への就業につなげていくため、二つの職業訓練の科目を設置いたします。
まず、ジョブセレクト科は、機械加工や電気工事、塗装など、ものづくり系のさまざまな仕事を体験する科目で、その後、希望に応じて本格的な訓練を引き続き受講できる仕組みを新たに取り入れます。
また、わかもの人財養成科は、多様な業務に対応しなければならない中小製造業の現場の実情を踏まえまして、ものづくりの企画段階から設計、加工、販売まで一連の流れを学ぶ新たな科目でございます。
いずれの科目もカウンセリングを充実させまして、若者一人一人の適性に合った就業に結びつけてまいります。
○中山委員 大変工夫された新しい取り組みであると期待しております。
昨今は、けんせつ小町、ドボジョといった言葉もあるそうでございますが、足立区には若い女性が生き生きと働き、ベテランの職人さんから日本の伝統的な建築技術を継承している会社もあります。ぜひ、知事、お時間のあるときにご激励をよろしくお願いいたします。
次に、障害者の雇用について伺います。
都は、二〇二四年度末までに障害者の雇用を四万人増加させるとしていますが、現状、都内の民間企業の実雇用率は一・七七%と法定雇用率の二・〇%に達しておりません。
全国では、あくまでも企業数の少ない県ではありますけれども、十四件ほど既に法定雇用率を上回っている県も出ています。企業数、就業人数の多い東京でその壁を破るためには、昨年の第一回定例会で私も質問させていただきましたとおり、福祉と職場内環境に精通したキーパーソンが大切であります。
都は早速、平成二十六年度から障害者を職場で受け入れるために必要な知識やノウハウを企業の人事担当者などに向けて講座として開始しており、大変好評と伺っております。
今後は、さらに講座規模を拡充すべきと考えますが、都の来年度の取り組みをお伺いいたします。
○山本産業労働局長 今年度から中小企業の人事担当者向けに開催をしております障害者雇用実務講座は、障害の特性や法制度など、障害者雇用の基礎を学ぶ知識・ノウハウ習得コースと、障害者の適性に合った仕事の選定や体制づくりなどの具体案を策定する実践演習コースの二つを実施しております。
知識・ノウハウ習得コースについては、今年度、定員を大きく上回る応募がございまして、参加者からは、採用の際に確認すべき事項がわかってよかった、雇用に向けて足がかりとなる情報が聞けたなどの声が寄せられました。
こうしたことから、来年度は実施規模を年二回、計二十名から、年三回、計六十名に拡大をしてまいります。
○中山委員 前向きなご答弁、大変ありがとうございました。
続きまして、地域包括ケアシステムの充実についてお尋ねします。
都議会公明党は、高齢社会対策プロジェクトチームとして、昨年十一月十八日、加速する高齢社会を安心して暮らすための提言と題し、約八十ページにわたる提言書を都に提出いたしました。
舛添知事も既にお目通しのことと存じますが、恐らくは全国の自治体がかなり苦労を重ねるでありましょう地域包括ケアシステムの構築におきまして、都民の健康寿命の増進と介護保険費用の抑制を同時に果たし行くため、私どもも知事と一緒に頑張りたいと思っております。よろしくお願いいたします。
その上で、国のキャリア段位制度を活用した都の独自補助について伺います。
本事業は、国の処遇改善のさらなる上乗せとして、段位取得者が勤務する都内事業所に対し補助するもので、平成二十七年度を初年度に三年間の実施と伺っております。
しかし、例えば平成二十七年度では段位取得者が出ないで、二十八年度になってから出た場合の補助期間は、残りの二年間になってしまうのか。また、年度途中で段位取得者が出た場合に、それまでに先行的に取り組んだ年度内の努力は補助の対象とならないのかなどの疑問、要望が出ております。
キャリアパスの構築に取り組む事業所の意欲を喚起するため、柔軟な対応を求めるものでありますが、補助期間に関する都の見解をお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 この事業は、国の介護キャリア段位制度を活用し、キャリアパスの導入に取り組む介護事業者を支援するものでございまして、その事業所で職員が初めて段位を取得した年度から三年間補助を行うこととしております。
そのため、初めての段位取得が平成二十八年度になった場合には、補助期間は平成二十八年度から平成三十年度までの三年間となります。
また、年度途中に段位が取得された場合には、当該年度において段位取得までに要した代替派遣職員の確保や認定の申請手数料等の経費についても補助の対象とすることとしております。
○中山委員 舛添知事の意向をよく踏まえられたすばらしい制度設計だと高く評価いたします。
ちなみに、このキャリア段位制度は、民主党政権下で発想されましたものの、事業仕分けで廃止寸前まで追い込まれておりましたものを、今回の自公政権で正式に発足させたものであります。
国に問い合わせましたところ、余りぱっとした返事が厚労省からは来ませんでした。なぜかと思いましたら、内閣府の事業だったんですね。ことしの四月から正式に移管するそうでありますが、知事肝いりのキャリアパス事業に向けて、この埋もれていた事業を見出して結びつけた都の職員の優秀さは褒めてあげたいというふうに思っておるところでございます。
しかし、都内の介護事業所は約一万件であります。都は、段位取得者が発生する当面の事業所を六百八十と見込んでおりますが、現時点での段位取得者は都内でまだ十三名という現状にあります。
本制度を実効性あるものとするために、段位取得者の輩出などに向けた事業所側の努力を効果的に応援していく必要がありますが、都の取り組みをお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 平成二十七年度における対象事業所数は、平成二十五年度にアセッサーが在籍する二百十六の事業所と、今年度、アセッサー講習会を申し込んでいる四百六十七人の合計から推計したものでございます。
今後、多くの事業者で介護キャリア段位制度を活用したキャリアパスの導入促進の取り組みが進むよう、全ての事業者を対象とした説明会を開催するほか、ホームページやリーフレットなどを活用して事業の周知を図るなど、さまざまな機会を活用して働きかけを行い、全ての事業者に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
また、国に対しては、キャリア段位制度を推進し、介護職員のキャリアパスを早急に整備するよう、引き続き提案要求してまいります。
○中山委員 さて、福祉保健局におきましては、福祉先進都市実現基金を新たに設置するとのことであります。基金の具体的な運用の開始は二十八年度からでありましょうが、いかにここ数年間の取り組みを充実化させたとしても、この三年間の取り組みだけで都内の全ての事業者が条件を満たすとはなかなか考えにくい。
介護職員のキャリアパスの構築は、地域包括ケアシステムの成否を左右するものであります。ぜひそうした人材育成に資する事業にも本基金を充当すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 昨年末に策定をいたしました東京都長期ビジョンでは、福祉先進都市の実現を重要な柱の一つに掲げ、高齢者が安心して暮らせる社会を実現していくこととしております。
この中では、地域包括ケアシステムの構築や介護基盤の整備を進めることとしておりまして、そのサービスを担う介護人材の確保は大変重要でございます。
福祉先進都市実現基金は、こうした長期ビジョンに掲げた施策に集中的、重点的に活用することとしておりまして、ご指摘も踏まえながら、具体的な充当事業について今後検討してまいります。
○中山委員 いろいろ制約がある中で、精いっぱいのご答弁ありがとうございました。着実な進展を願っております。
次いで、都施設の省エネ対策についてお伺いいたします。
まず、省エネ建築を実証するモデル事業として建設し、昨年五月に開所した足立都税事務所では、どれほどのエネルギーが削減できているのか、また、個々の省エネ設備の中でエネルギー削減効果の大きいものと、その寄与の割合についてお伺いいたします。
○中井財務局長 昨年五月に開所いたしました足立都税事務所には、LED照明を積極的に採用したほか、中間期の春や秋などに空調設備の代替機能を果たします自然換気システム、さらには高効率機器、各種制御システム、地中熱利用ヒートポンプなどを導入してエネルギー消費量の削減を図っております。
このような省エネ設備等の導入や建物の断熱性能の向上などにより、エネルギー消費量は、同規模程度の都内事務所ビルの平均値と比較した場合、年間で約六割の削減になると見込んでおります。
この削減量に対する個々の省エネ設備の寄与の割合について見ますと、LED照明と自然換気システムが大きく、それぞれ一割程度となっております。
○中山委員 約半分近くに削減できているということ、LED、自然換気が大きいということのご答弁でございました。自然換気というのは、外の空気を自動的に調整するということでございまして、採光という言葉が光でありますけれども、採風ということだそうでございます。
首都大学東京が削減効果を検証しているそうですが、その先生方も大変高くこのモデル事業を評価していると伺っております。
省エネ、再エネに関する技術は日々進展しております。都有建築物の一層の省エネ化と再エネ利用の拡大を図るためには、こうした新たな技術を常に積極的に採用していくことが重要であります。
例えば、足立都税事務所のようなモデル事業を数年置きに実施することも新技術の検証には有効な方法であり、いわゆるPDCAサイクルによって定期的にチェックし、効果的な技術は、逐次、施設整備に反映していくべきであります。
そこで、新たな技術の今後の導入の仕方について、財務局の見解をお伺いいたします。
○中井財務局長 都有建築物の省エネ化と再生可能エネルギーの利用を一層推進していくためには、委員ご指摘のとおり、日進月歩で進展している技術を積極的に採用していくことが重要でございます。
そのため、来年度から、例えば高効率な環境負荷低減のための技術など、民間の新技術を積極的に取り入れる建築技術革新支援事業を実施してまいります。
具体的には、新技術などを広く公募し、その内容を審査の上、有用なものを施設整備などへ活用してまいります。さらに、その効果を検証した上で仕様の標準化を図り、都有施設への普及を図ってまいります。
○中山委員 ご答弁ありがとうございました。
本日は触れませんけれども、環境建築フォーラムというものを私どもの提案で環境局に実施していただいております。三回目の開催となることしは、過去のオフィスビル、マンションに続いて戸建て住宅がテーマで、民間の英知を結集した省エネを競い合っております。舛添知事、今までこのフォーラムに都知事は参加したことがないそうでございますので、ぜひ次回はご出席していただいて、ご挨拶をよろしくお願いいたします。
続きまして、住宅政策について質問します。
まず、都営住宅の防災対応であります。
都営住宅や公社住宅を問わず、東京都は住宅供給公社を通じ、大規模水害発生時の避難先として、幾つか自治体と協定を締結しています。そうした際、備蓄倉庫が中高層階にあれば、居住者はもちろん、避難民も助かります。
実は私、都の方にもお手伝いいただいて、自治会長さんと一緒に、都営住宅の共用通路の手すりに滑車を設置して、備蓄品を平地から引き上げる実験をしたことがあります。
これがそのときの写真であります。私も一緒に写っている写真で申しわけございませんけれども、こちらがペットボトルに水を詰めて備蓄品のかわりとしたもので、これを仮設設置した滑車で引き上げる実験を行いました。
実験の結果としては、臨時の設置であるため滑車器具が不安定であり、落下の危険があって実用的ではないとの判断に至りました。
東日本大震災の経験を踏まえれば、首都直下地震などの大規模地震の発生時には、都内のエレベーターは長期間使えなくなってしまうことが予想されます。
高齢者が多く居住する都営住宅では、緊急時の水や食料、簡易トイレ、救急用具などが、自治会等が自主的に備蓄している倉庫にあっても、平地にありますから、エレベーターが動かない状況では、高層階までお年寄りだけで運搬することは極めて困難であります。
そこで私は、滑車実験の経験も踏まえまして、二年前の予算特別委員会において、備蓄スペースを団地敷地内だけでなく、高層階などの建物内に確保していくことを求めました。
その後の都の対応はどう進んでいるかお伺いいたします。
○安井都市整備局長 都営住宅におけます自治会などの防災用物資は、現在、集会所など、住宅とは独立した別棟に備蓄されてございます。このため、地震発生時にエレベーターが停止した場合には、別棟から物資を運び出し、高層階まで運び上げることが困難となるため、住棟内に備蓄スペースを設置できるかどうかについて検討を行ってまいりました。
その結果、居住者の利便性を考慮しつつ、適切な配置規模を確保することが可能となったことから、来年度より設計する都営住宅につきましては、四階以上の階に、三層に一カ所の割合で、廊下の一部を活用した防災用物資の備蓄スペースを設置してまいります。
○中山委員 ありがとうございました。大変すばらしいことだと思います。
災害発生時には、誰もがお世話になるのが町会、自治会であります。都営住宅の自治会におきましても、良心的な居住者の方が長年役員などを引き受けるなどして、ご苦労を重ねられています。
最近、特に悩みの種なのは、照明器具などの共用部分の電気料金の値上がりが激しい点であります。毎月金額を変えて徴収するわけにいきませんので、平準化するために自治会総会を開いて料金の改定を行うんですけれども、値上げ案を出すたびに自分が悪者のようにいわれてしまう。その上、毎月、各居室を徴収して回るのも自治会の役員さん方であります。
本来は、共益費の徴収を自治会ではなく住宅供給公社に行っていただきたい、そうした提案もさせていただいておりますので、きっとご準備をしていただいていると思っております。今大事なことは、せめて電気料金を安く抑えるための工夫にご協力を願いたいという点であります。
折しも、都は、私どもの提案などを受けていただいて、省エネ、再エネ基準の見直しを行いました。都営住宅は、一応その基準の対象外とされてはおりますけれども、都営住宅につきましても、LEDなどの省エネ照明器具をできる限り早期の建てかえから適用するべきと考えます。
加えまして、問題は既存住棟への適用です。仮に計画修繕などのタイミングに限って照明器具の交換を行おうとすると、十年後とか二十年後まで持たなければならない。団地の役員さんも、俺は死んでしまうというふうにいっておられました。
できる限り多くの自治会で、仮に一部分であっても、省エネ照明への取りかえによる消費電力量の削減の効果を早期に実感できますよう工夫を凝らしていただきたい。この点もあわせて、誠意あるご答弁をお願いします。
○安井都市整備局長 LED照明器具につきましては、省電力、長寿命などの長所がございます。以前、蛍光灯に比べて設置コストが高いなどの課題もありましたが、近年はさまざまな照明器具が開発されるなど、改善が図られてまいりました。
このため、来年度から設計する都営住宅につきましては、共用廊下や階段、自転車置き場、街路灯などにLED照明の器具を設置することといたします。
また、既存の都営住宅への設置につきましては、対象となる住棟数が多いことから、今後の財政負担等を勘案しながら検討してまいります。
○中山委員 既存への適用を発言していただきまして、ありがとうございました。よろしくお願いしたいと思います。
その上で、今後は、昭和四十年代に建設された約十万戸もの都営住宅が次々と更新時期を迎えます。その進捗を早めるための一つの提案をさせていただきます。
平成二十五年度から現政権が打ち出している、国の地域居住機能再生推進事業という新しい補助制度の活用を提案します。この補助制度は、大規模団地の建てかえを行う際に、人々が居住する上で必要な子育てや介護、医療などのさまざまな施設整備もできるもので、従来の社会資本整備総合交付金とは別枠での活用が可能であります。
他県では既に、本事業に基づく団地再生も始まっております。都も今後は積極的に活用すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○安井都市整備局長 都営住宅の建てかえにおきましては、地方公共団体にとって自由度が高く、創意工夫を生かせることから、社会資本整備総合交付金を活用しております。
今後につきましては、お話の地域居住機能再生推進事業に係る補助金についても、対象となる団地の要件緩和などの動向を踏まえつつ、財源として活用することを検討いたしまして、都営住宅の建てかえを着実に推進してまいります。
○中山委員 ぜひ建てかえの前倒しと、地域の方々も喜んでいただける活用をよろしくお願い申し上げます。
最後に、英語以外の外国語学習の拡大についてお伺いをいたします。
私は、昨年の第三回定例会の一般質問で、英語に偏重しない外国語教育の重要性を主張しました。その際、教育長からは前向きなご答弁を頂戴しておりましたが、本定例会では、知事みずから施政方針演説の中で力強く拡大の方針を表明していただいて、感激した次第であります。
当然、実際のカリキュラムの改編には周到な準備が必要であり、全都立高校の三割にとどまっている現状の打開は容易ではありません。まずは、授業の実施は困難であっても、別の機会を利用して、英語以外の外国語の学習から得られる利点を多くの都立高校生に実感してもらうことが大切であります。
その際、できればその指導者には、ネーティブの発音を教えることができることに加え、自国の文化の紹介を通じて、生徒の関心を高められる資質を備えた人物を選定することが望ましいと考えます。
幸い、首都である東京都内には、さまざまな国の大使館機能が集中しております。日本は、五輪大会の成功に向けては当然のこと、末永く海外諸国と交流を重ね、平和を守りながら、互恵的に経済の発展を期していく必要性を抱えております。
より多くの都立高校生が英語以外の外国語を学べるように、指導者の確保や生徒が多様な外国語を学べる機会の拡大に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
○比留間教育長 二〇二〇年に向けて、世界各国から訪日する外国人がふえ、交流する機会が増加することから、英語以外の外国語の学習は、今後重要となります。
外国語の習得では、外国人から生きた言語を学ぶことが効果的なため、大学や大使館等との連携により、実績ある外国人指導者を確保し、その情報を学校に提供してまいります。
また、英語以外の外国語講座を設置する学校を六十校に拡大をいたしますとともに、異文化理解を促進する外国語部活動を実施する学校を二十校にふやし、そのために必要な外国人指導者を派遣してまいります。
さらに、こうした学校での取り組みに加え、都立高校生を対象にフランス語やドイツ語、中国語など七カ国の言語や文化を学ぶ講習会を新たに実施するなど、多様な外国語を学ぶ機会の充実を図ってまいります。
○中山委員 大使館等にもご協力いただくということで、首都東京にふさわしい、いろいろな国々のよさというものを実感してもらえる都立高校生を育てていただきたいと心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
○小磯副委員長 中山信行委員の発言は終わりました。
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