○鈴木(あ)委員長 田中健委員の発言を許します。
〔委員長退席、鈴木(隆)副委員長着席〕
○田中(健)委員 本年一月、文部科学省から平成二十五年度の公立学校教職員人事行政状況調査が発表をされました。その中で、教職員の精神疾患による病気休職は全国で五千人を超えたと報告をされています。東京都においても、ここ五年間を見ると、五百人平均で推移をしております。平成二十五年度は五百二十九人を超え、多くの教職員が心の病にかかっていることがわかります。
まず、この現状をどのように分析、または認識しているのか、そして、これまでどのように対応してきたのかを伺います。
○比留間教育長 精神疾患は、職場の人間関係や仕事の内容、介護や育児を初めとする生活上の問題など、さまざまな要因で発症すると考えられております。
都教育委員会は、教職員の精神疾患による休職者が、毎年度五百人規模で推移していることから、メンタルヘルス対策は重要であると認識をしております。
そのため、こうした休職につながる精神疾患を未然に防止する観点から、教職員全員のストレス検査、土日も含めたメンタル相談、初任者や新任副校長に対するカウンセリングなどを実施するとともに、休職者の円滑な職場復帰と再休職の予防を図るため、学校での職場復帰訓練に対してきめ細かい支援を行ってきております。
○田中(健)委員 教職員の病気休職は、一年目というのは八割が給与を支払われますが、二年目、三年目は共済組合による給付でカバーをしているとのことであります。しかし、三年を過ぎると分限免職になってしまう可能性があります。
平成二十五年度の状況を見ますと、休職者の約四割が復職をしておりますが、約四割が次年度も休職を継続し、残り二割が休職期限の上限の三年を迎える前に退職をしております。志高く職務に当たる先生をこれ以上失うことは許されません。
対策としては、予防の充実しかこの損失をなくすことはできないのではないかと考えます。復職対策もさることながら、予防対策のさらなる充実を求めるところです。
今回の調査では、教員の懲戒処分も全国で約九千五百人に上ったことも発表されました。このうち、わいせつ行為等による懲戒処分等を受けた者は二百五名で、調査開始以来初めて二百人を超えたと大きく報道をされました。都教育委員会においても十七人が懲戒処分を受けております。
わいせつ行為等で懲戒処分等を受けた直近三年の推移と、教員のわいせつ行為が行われている実態について伺います。
○比留間教育長 わいせつ行為及びセクシュアルハラスメントにより懲戒処分等を受けた者は、平成二十三年度が十一人、平成二十四年度が十六人、平成二十五年度が十七人でありました。
教員は、社会からの信頼を得るため、規範意識と倫理感を絶えず持ち続けることが求められており、わいせつ行為等は絶対にあってはならないことであります。
都教育委員会は、日ごろから教員としての自覚を促すとともに、服務規律の徹底を図っており、わいせつ行為等が行われた場合には、厳正に対処しております。
○田中(健)委員 文科省によれば、児童生徒や同僚教職員に不適切な内容を含んだ電子メールの送信など、文書、画像による性的な嫌がらせの増加が見られるとのことであります。
新聞報道によれば、この問題で十四の県市が生徒とのメールやLINEなどによる私的な連絡を禁止する動きまで出ています。もちろん、性的な嫌がらせを行う教員がごくごく一部であることは信じたいわけでありますが、しかし、生徒と教員の間のメールやLINEを利用した私的なやりとりは、実際には服務事故として表に出る数の比ではないと考えます。
都としては、このようなメールやLINE等の対応をどのように考えているのか、これまでの対策とあわせて伺います。
○比留間教育長 都教育委員会は、教員によるわいせつな内容を含む不適切なメール等の送信について、平成十八年から非違行為として明確に位置づけ、懲戒処分の対象としてまいりました。
また、年二回の服務通達の発出、服務事故防止研修の実施、処分事例の公表などにより、こうした事故の防止に向けて周知徹底を図っております。
教員と児童生徒の間のメール等につきましては、不登校の児童生徒からの相談やいじめの訴えなどの際に有効な場合もあることから、一律の禁止については課題もあり、先行する県や市の今後の状況を注視してまいります。
○田中(健)委員 東京都は、平成二十二年に、教員一万人当たりの不祥事の発生率について全国との比較分析を行っております。このときは全国に対して一・七倍、大変高い値でありました。そして、五年たったことしは、その率は一・四倍に減少したというふうに報道されましたが、それでも全国に比べて高い値に変わりはありません。さらなる対策が求められているところであります。
また、服務事故のことについてもお話がありましたが、根絶するということを目的とし、都教育委員会は平成十八年から、全ての公立学校において七月と十二月を服務事故防止月間とし、各学校での服務事故防止研修を実施してきました。
しかし、服務事故の発生は後を絶たない実態があり、教員の信頼回復は急務であります。教員に対する服務事故防止に向けた研修のさらなる徹底を求めるものであります。
学校の先生を取り巻く問題には多くの要因があり、簡単な解決策があるほど単純ではありませんが、確実に変えていけることの一つは、教職員の採用、また研修制度と考えます。
大変優秀な学生が毎年教職員になってはいますが、基本的に試験はペーパーテストが主なものであります。ネット社会への対応、地域への対応、いわゆるモンスターペアレンツといわれる親への対応、子供をめぐる環境が目まぐるしく変わる中、大学を出て社会に出たことのない先生ではその対応に限界があるのではないかと考えます。
根本的に採用、研修制度の改革が必要かと思いますが、都の考えを伺います。
○比留間教育長 都教育委員会は、人物を重視した選考とするため、個人面接に加え集団面接を行うとともに、社会人経験を有する多様な人材の採用を行っております。
また、新規採用教員の多くが悩みを持つ学級経営や保護者との信頼関係づくりなどについて、教員経験のない者に対し、採用前に実践的な講座を実施し、教員としての第一歩を円滑にスタートできるよう支援をしております。
採用後には、教員としての基礎的、基本的な知識、技能を系統的、段階的に身につけることができるよう、法定の一年間の研修を拡充し、都独自に三年間の研修として実施をしております。
こうした取り組みを通して、都が目指す教育を推進できる資質を持った教員を確保、育成してまいります。
○田中(健)委員 メンタルヘルス対策や、わいせつ等の不祥事の対応について伺ってきたのでありますが、他県よりもいち早く、また、今答弁がありましたさまざまな対策を行ってきているのはよくわかるのでありますが、傷ができればそれにばんそうこうを張っていくように、継ぎはぎの対策が積み上がってきている印象を受けます。
教師には当然、教職教養や専門教養の知識は不可欠でありますが、それ以上に、これからの変化の激しい社会に対応していく力やコミュニケーション能力など、必要とされる能力は多岐にわたります。それは単に社会人経験があればいいという問題でもありません。東京の児童生徒に世界で活躍できる人材をと、今、東京都は求めておりますが、それを求めるのであれば、教師に対しても、東京で先生になる人にはどんな能力が必要かを問うことが必要であります。
ドクターのインターンのような期間を設け、半年ないしは一年、さまざまな学校を回り、その人の特性や適性を見分ける制度の導入などは検討には値しないでしょうか。もちろん長い期間、そして予算も大きくかかることになりますが、現状を打破するためには、採用、育成段階で、これまで行ってきたものに加え、さらなる思い切った改善をし、信頼に足る人材を育てる手だてを尽くしてほしいと思います。
最後に、教育再生の成否は教師にかかっています。東京の教育を支え、未来の担い手を育成していくためには、その指導者である教員の力をより高めていくことが求められます。
教員の人材育成が重要と考えますが、知事の見解を伺います。
○舛添知事 子供たちの教育に携わる教員は、職責の重さを常に胸に刻みながら、みずからの資質、能力を高めていかなければなりません。
教員は、子供に対する深い愛情と教育者としての自覚と責任を持つことが必要であります。子供たちのよさや可能性を引き出すために、常に専門性を磨き、地域社会や保護者と円滑に連携しながら、豊かな人間性を身につけてもらいたいと思っております。
教員に求められますこうした資質、能力は、日々の教育活動だけでなく、社会貢献活動など、さまざまな経験を積むことで向上するものでございますので、教員として、ひいては人間としての幅を広げることにもつながってまいります。
このような資質、能力を備えた教員の育成は極めて重要でありまして、こうした教員があすの日本、そして東京を支える子供たちを育てるかなめになると確信しております。
○田中(健)委員 引き続き、東京国際金融センター構想について伺います。
知事は施政方針表明の中で、日本経済の成長戦略の必要性を強調し、その中でも金融の分野に着目をして、東京を再びロンドンやニューヨークに並ぶ金融の拠点とする東京国際金融センター構想に取り組んでいます。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催の機を捉え、東京を国際金融の拠点として復活させ、東京、さらには日本の経済を活性化させようという考え方は私も賛同するところであります。
そこで、昨年七月に都は、東京国際金融センター構想に向けた取り組みを発表しましたが、国際金融センターの実現には、民間による取り組みや、規制緩和など国による取り組みが求められるものが多い中、都としてできることは何なのか、また、都としての役割は何なのかをお聞きしたいと思います。
○川澄政策企画局長 東京国際金融センターの実現には、都、国、民間がそれぞれの立場で課題の解決に取り組むとともに、これらの各主体が協働して着実に取り組みを進めていくことが不可欠でございます。
そこで都は、国、民間との連携強化や課題解決に向けて、昨年九月に推進会議を開催し、さらに引き続いて、実務的なメンバーによる分科会を開催するなど、都、国、民間の協働による推進体制を構築いたしました。
また、来年度には、国際金融センター構想に取り組む東京の姿を内外に発信するため、国際金融会議の東京での開催に向け、国、民間と協力しながら具体的な準備に着手いたします。
今後とも、都はみずからの取り組みを進めるのみならず、東京国際金融センター実現に向けての推進役を務めてまいります。
○田中(健)委員 振り返れば、東京を国際金融センターに育てて日本の金融機能を強化しようという議論は何度となくあらわれては立ち消えになってきた歴史があります。一九八〇年代半ばの日本の金融自由化、一九九六年の第二次橋本内閣による日本版ビッグバン、また、二〇〇七年の安倍内閣のアジア・ゲートウェイ構想がそれであります。
これら今までの構想は、日本の金融機能を強化するために、ただ単に世界の金融系企業を集積させることを志向していたように思えます。まず、このような考え方を払拭しなくては、真の国際金融センターの実現は困難ではないかと思います。
規制緩和や税制改革ももちろん重要ではありますが、それらは主として国の所管であり、また、東京国際金融センター実現のインセンティブの一つにはなるかもしれませんが、最重要なツールとはいい切れません。
世界中から企業が集まるのは、東京にわざわざ来なければならない情報やビジネスチャンスがあるからではないでしょうか。また、東京に東京発のプロジェクトがあるからではないでしょうかと私は考えます。
東京国際金融センター実現に向けた知事の考えを伺います。
○舛添知事 日本経済を確固たる成長軌道に乗せるには、日本経済の機関車たる東京をロンドン、ニューヨークに並ぶ国際金融センターへと復活させなくてはなりません。
今、都市間競争が激化しておりますが、東京が内外の金融機関を初めとする企業に選ばれる都市になることが、東京国際金融センターの実現と我が国経済の持続的発展には欠かせません。
今、田中健委員がおっしゃったように、東京を選ばれるということは、東京にいろんなプロジェクトがあって、東京に来ればビジネスになると、そういうことがないといけません。そのために都は、薬づくり、創薬を初めとするライフサイエンス分野の競争力強化、それから、国家戦略特区を活用した国際的ビジネス拠点の整備など、これは東京都長期ビジョンにさまざまの施策を織り込みましたけれども、こういうものを着実に推進してビジネスチャンス創造に向けた取り組みを進めていきたいと思っています。
例えば、水素社会の実現ということも、そういう魅力あるまちの一つの柱になると確信しております。
○田中(健)委員 東京国際金融センターの構想の具体的な事業として、今回、官民連携の福祉インフラファンドの創設があります。都内で不足している子育て施設や高齢者向けの施設の整備を促すことを目的としています。
東京都の五十億の出資を呼び水に、民間からも資金を集めるとのことでありますが、思い起こされるのは新銀行東京であります。都が一千億を出資し、民間が百八十七億を出資してスタートさせましたが、運営わずか三年で一千億円近い累積赤字を生み、実質の破綻、その後、追加出資四百億円で事業再建中であり、都の大きな負の遺産となったのはいうまでもありません。
新銀行東京も都の信用力で預金を集め、それを中小企業に融資して利益を上げるというもくろみを持っていました。考え方は今回の官民ファンドと似ていることから、以下、質疑の中でさまざまな不安要素を払拭していきたいと思います。
まず、このファンドが民主導であるとするならば、都の出資金が毀損するリスクはあるのではないでしょうか。その場合、どのようなリスクが考えられるのか。また、その毀損リスクを抑えるための手段はどのように都としては考えているのかを伺います。
○塚本会計管理局長 官民連携ファンドは、都が一定のリスクをとって民間資金を呼び込むことにより、都の施策に資する分野の事業を民間資金を活用して推進するものでございます。
本ファンドのリスクとしては、完成後テナントが埋まらないことによる賃料収入の減少などを想定しております。
これに対し、都としては、本ファンドへの出資に際し、有限責任性を確保することは無論のこと、出資金毀損リスクを抑えるため、優先劣後構造の導入を検討してまいります。
これに加えまして、外部専門家の意見を聴取しつつ、リスク管理能力に秀でた民間出資者とともに、本ファンドの運営を監視してまいります。
リスク管理に経験の浅い官ではなく、リスク管理能力に秀でた民がファンドを主導することで、事業の安全性が高まると考えております。
○田中(健)委員 考えられるリスクは、完成後のテナントが埋まらないことによる賃料収入の減少リスクということでありますが、今、不動産の市況は大変に活況であるからいいのでありますが、そもそもこのテナントが撤退をすることもありますし、不動産自体を保有するということでありますから、そもそものこの不動産価格の下落による出資金の毀損と、そういったあらゆるリスクがあるかと思いますので、ぜひそういうリスクを想定して、その対応をこれからとる必要があります。
さらに、中身に戻りますと、新銀行東京はどこにどれだけ投資しているかがわからず、次々と累積赤字が積み上がり、気づいたときにはもう手おくれだったということでありました。つまり、チェック機能が働く仕組みではなく、責任の所在が不明確だったことが問題でありました。
今回のファンドにおいては、どこまで情報が開示されるのでしょうか。例えば、ファンドの出資により、どれだけの子育て支援施設や高齢者施設ができて、福祉関連施設の整備がされたのかは、報告がなければ、私たち議会はチェックも、また、評価もできません。
税金を用いる以上は、少なくとも上場企業の公開基準と同程度の情報は開示すべきと考えますが、いかがですか。
○塚本会計管理局長 官民連携ファンドは、行政が直接施設を整備するような従来手法と全く異なる新しい手法でございます。
そのメリットといたしましては、民間の資金を集め、行政だけではできない大規模な事業を遂行することや、民間のノウハウの利用が可能になることなどが挙げられます。
一方で、ファンド契約上、守秘義務が課せられていることから、情報開示について、有限責任組合員である都の意向を全て反映することは困難でございます。
ただし、今回のファンドが整備する施設が、地域が求める施設を含むものである以上、ファンドの投融資案件については、できる限り情報発信に努めてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 さらにいいますと、新銀行失敗の理由としては、高い預金利率やスコアリングモデルによる過度な融資、また、無担保融資と、つまり高い利益を無理に追い求めたことが原因といわれております。
今回のファンドも、東京の場合、大変地価が高いため、配当に回す利益を確保できる仕組みをつくれるかというのが危惧をされているところであります。
ちなみに国は、官主導のファンドも、五年から十年かけて全体の収益が年率一・五%以上あればまずまず成功、ファンドの目的が本来の政策目的に合っているかが大事と述べております。つまり、国が進める官民ファンドは政策目的であって、収益目的でないと明言をしています。
ファンドは一般的にリスクに見合ったリターンを追求するということによって、投資家の利益を最大限にするというのが根幹であります。そして、民間のプライベートエクイティファンドやベンチャーキャピタルの基準で考えるのであれば、今回もリターンは一〇%から二〇%に置かれます。
東京都のファンドも、政策目的であって収益目的でないという理解でよろしいんでしょうか。国は一・五%のリターンを考えているようでありますが、都はどのくらいのリターンを想定しているのですか。また、今回のファンドの場合、いわゆる不動産ファンドに分類されますから、金融機関もノンリコースローンで融資を行うため、期間が平均で五年ほどで大変短いものとも推定されます。全体のファンドの制度設計をどう考えているのかを伺います。
○塚本会計管理局長 今回のファンドは、政策目的と、リスクに見合ったリターンを求めるという収益目的との両立を図る点で国の官民ファンドとは異なるものでございます。
ただし、本ファンドは、投資対象の一部に収益性の低い福祉関連施設が含まれることから、ファンドのリターン水準については、標準的な不動産ファンドの近時の利回りでございます五%程度より低目となり、ファンド期間については長期に及ぶ可能性があると考えております。
なお、都としては、ファンドの期間にかかわらず、地域のニーズを踏まえた福祉関連施設が必要な期間運営されることを、運営事業者の公募の際に求めていくつもりでございます。
また、施設の整備状況を定量的に公表する手法についても検討してまいります。
○田中(健)委員 なぜ政策目的か収益目的かと聞いたのは、民間の高いリターンを追求すると、本来の目的から外れて何のためのファンドかわからなくなる懸念を持つからであります。極端にいえば、今回のファンド、百億円だとすると、九十七億円が不動産注入で、三億円が保育園の施設でも成り立つわけでありますし、収益を求めると、こういったことも考えることができます。
そうならないためには、まず、都として、このファンドが収益目的ではなく政策目的であるということを明確にして、先ほどファンドの制度設計については定量的な福祉施設のチェックもできるようなことも検討するという発言がありましたが、それが必要かと考えております。
ここまで、官民連携福祉貢献インフラファンドにかかわる問題を指摘しましたが、官民連携ファンドについては、先日報道もあったところでありますが、一番大事なのは、そのファンドが政策目的にかなっているかということであります。
今回のファンドでいえば、福祉施設整備が確実に行われているかが重要であります。政策目的を制度設計にしっかりと組み込み、ファンドをまず選定すること。また、その後も、投資先、整備効果のチェックができるように情報公開を行い、透明性と貢献度を確保する契約を結ぶこと。これらをはっきりと明確にしてもらって、都民への理解を求めることが必要と考えていますが、最後に知事の考えを伺いたいと思います。
○舛添知事 大変貴重な指摘、ありがとうございました。こういう形で、さまざまな問題点について一つ一つ議論を深めていくというのが都議会の大事な仕事であろうというふうに思っていますので、ご質問、感謝いたします。
官民連携ファンドにつきましては、官と民がそれぞれの目的を共有して連携するものでありまして、都としては、政策目的を明確にした上で、すぐれた民間企業とともに事業を進めていく必要があるというふうに考えております。
来年度創設する予定の官民連携福祉貢献インフラファンドにおきましては、ファンド運営事業者の公募に当たりまして、子育て支援施設等の福祉関連施設を含む建物、さらに、東京都版のいわゆるCCRCの都内での整備推進を示していきたいというふうに思っております。
また守秘義務の制約はありますけれども、ファンド運営事業者の公募に際しましては、整備された福祉関連施設の概要について、できる限り公表するように求めていきたいと思います。
ファンドの活用というのは政策目的を達成する効果的な手段でありまして、今後とも取り組みを進めたいと思います。
もう少しわかりやすくいいますと、東京において、地価が高うございますから、なかなか保育所が設置できない。老人のための老健や特養も措置できない。じゃ、どうするか。全てそれを都民の税金でやるというのはなかなか大変だと。しかし、役人が全て知恵を持っているわけじゃない。民間のディベロッパーの優秀な知恵が入って、そしてそこの資金も入って、そのことによって、十億円しか都民の税金を使わないけれども、百億の立派な福祉施設ができたら、これはみんな裨益しますね。
そして、行く行くは、都民一人一人の、例えば大変資産を持っている方、どう運用するか。株を買ってもいいし、預貯金でもいい。そういう中に、先ほどリターンが五%云々という話が出ましたけれども、例えば、ある高齢者が物すごい莫大な資産を持っていて、じゃ、どう使うかと。
自分が出したお金によって、自分の仲間が困っている、高齢者のための施設がたくさんできる。自分の孫たちの世代の保育所がたくさんできる。そうすると、同じ利率しか稼げないにしても、自分が出した金によって、利率も普通どおり、預貯金と同じぐらいもらえると。しかし、これだけすばらしい福祉の施設ができた、これはいいことじゃないかというふうに考えられると思いますよ。そういう立派な志を持った方はたくさんおられますから、我々にとってもそれで施設ができれば非常にいいので、一石二鳥にも三鳥にもなると。
したがって、今のような方法というのはJ-REIT的な方策を使えば、個人に対しても参加できると。こういうような形で、オール東京でこの土地の高い東京の福祉施設を整備したい、そういう目的でございますので、ご質問に感謝して、さらに説明を加えました。ありがとうございました。
○田中(健)委員 ありがとうございます。
J-REITの話がありましたけれども、今回のこの福祉施設においては、福祉ケアREITも昨年、ことしと二つ上場したばかりでありまして、この市場が大きくこれから発展してくるのだろうなと思います。
しかしながら、私たちは、あくまで都民の税金を預かって、その利用がどのようにして効果的に、また、役に立っているかというのを厳しくチェックしなければいけない立場にもあります。民間とは違う立場として、知事は今、明確に、その利用をはっきり政策目的とすると。また、厳しく、できる限り公表を求めていくということをおっしゃってもらいましたので、私たちも議会として今後も注視して、整備効果をチェックしていきたいと思っております。
少子高齢化時代のますますの進行により、国内市場の縮小が避けられない中、アジアを中心とした新興諸国の旺盛な需要を獲得することは我が国の企業の成長に不可欠になっているのはいうまでもありません。とりわけ、中小企業にとっては、取引先との関係の維持強化の観点からも、積極的な海外需要展開を図る重要性が高まっています。
ところが、海外のノウハウがないとか、海外事業を任せられる人がいないとか、また、自社単独の進出リスクが大きい、不安だといった理由などから、なかなか中小企業の海外展開をちゅうちょしている中小企業は多いと考えられます。
そのような状況の中、海外展開の促進事業は、これまでも都としては力を入れてきたところかと思いますが、現地拠点をタイ王国に設置して、現地での支援体制を強化するといった新しい試みが始まるとのことであります。
まず、このタイ王国に海外拠点を設置する理由から伺います。
○山本産業労働局長 タイは、自動車産業など製造業の集積が進み、東南アジア諸国の中でも、都内企業を初めとした日系企業が最も多く進出しております。さらに、周辺諸国への輸送網の整備が進んでおりまして、需要の旺盛なアジアの主要市場へのアクセスが容易な立地となっております。
また、中小企業振興公社やジェトロの調査では、都内中小企業が希望する販路開拓先、今後の有望市場といたしまして、タイと回答する企業が最も多く、これらの観点から、タイに拠点を設置することといたしました。
○田中(健)委員 実際、実務を行うのは中小企業公社の職員でありまして、公社の職員が派遣されることになるかと思います。タイ経験のない職員が行っても、即戦力として働くことは難しいと考えます。
これまで海外拠点を持たない公社の初めての事業でもありますが、過去の積み重ねがあるわけでもなく、一からのスタートとなる中、人材についてはどう考えているか、スタッフ構成など、現地の支援体制について伺います。
○山本産業労働局長 タイ拠点には、中小企業振興公社の職員に加えまして、現地のビジネス事情に詳しく、幅広いネットワークを持つ人材を配置いたしまして、企業のニーズに応じた効果的な支援を行ってまいります。
また、都立産業技術研究センターのタイ拠点との連携による経営と技術の両面からのサポート、ジェトロとの支援策の相互活用など、他の機関とのネットワークを活用した幅広い支援体制を整えてまいります。
○田中(健)委員 国内の中小企業支援において一番の肝は人であります。リーダー格の人や、また、それをまとめ上げるコーディネーターの人が地域にいるかどうかが大きく成功を左右するといわれます。海外勤務の豊富な人材の確保や、また、連携というのは最も大事なことと考え、取り組んでもらいたいと思います。
また、現地の支援という話になりましたが、公的な支援機関としては、先ほど答弁にもありましたジェトロや中小企業の基盤整備機構、JICA等があり、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫等の政府系金融機関もあります。
このような状況下、中小企業振興公社が現地拠点で果たすべき役割というのは、既存のものと同じでは意味がありません。
海外に展開しようとする東京都の中小企業にはどのような課題があり、その課題に対して、その拠点ではどのように対応していくのかを伺います。
○山本産業労働局長 中小企業が海外で取引を継続、拡大させていくためには、新たな取引先の開拓、国内とは異なる商慣習への対応、進出先の営業体制の整備など、現地の実情を踏まえた営業活動をいかに行うかが課題でございます。
このため、タイ拠点では、都内中小企業の実情に通じた公社ならではの強みを生かしつつ、他の機関とのネットワークをも活用いたしまして、現地企業との商談、契約上のトラブル解決、販売やメンテナンス拠点の体制づくりや設置に関する諸手続など、現地でのさまざまな取り組みを支援してまいります。
○田中(健)委員 東京都でありますから、あらゆる業種をサポートすることになるかと思いますので、ぜひ中小企業のニーズというものをしっかりと調査、把握をして、東京都ならではの支援というものを推し進めていってほしいと思います。
次に移ります。
受動喫煙防止対策について伺います。
知事は昨年の定例記者会見で、五輪パラリンピックはスポーツの祭典で、いろいろな目的がありますが、やはり全世界の人々の健康の増進ということも大きな目標の一つであると思います、喫煙の害というものは、もうこれは科学的にも証明されていて、全力を挙げてWHOもIOCも取り組んでいるということで、受動喫煙防止に向けた取り組みを進める姿勢を強調していました。
そんな中、都は昨年十月から東京都受動喫煙防止対策検討会を設置して、第四回目がちょうどこの二月に終わったところであり、今月結論が出される予定となっています。これまでの四回の議論の内容と今後の予定を伺います。
○梶原福祉保健局長 お話の検討会は、都の受動喫煙防止対策を専門的見地から検討するために設置したものでございまして、禁煙、分煙等についてさまざまな意見をお持ちの有識者十二名を委員とし、医師会や消費者団体、飲食、宿泊、たばこ関連の事業者など、十団体からの意見聴取を行ってまいりました。
各団体からは、店頭での禁煙、分煙表示を徹底してほしい、分煙対策を行うための経済的支援を行ってほしい、飲食店等の屋内全面禁煙を進めるための条例を制定してほしいなど、さまざまな意見が出されております。
こうした意見を踏まえながら、検討会では、屋内での全面禁煙の是非や、医学的見地からの受動喫煙の健康への影響、飲食店の従業員の安全衛生管理、受動喫煙防止のためのルールづくりなどについて議論を行っております。
今月の第五回検討会では、第四回検討会に出された座長からの私案を踏まえまして、取りまとめの議論をする予定でございます。
○田中(健)委員 都は二〇一一年に都の受動喫煙防止ガイドライン、この指針を改定し、公共の場では原則禁煙とし、飲食店などにも分煙実施を求めてきました。ただ、強制力はなく、ガイドラインの効果については疑問が呈されることもありました。
今回、二十七年度予算においての受動喫煙対策としては、条例案というものは示されることはありませんでしたが、飲食店等における受動喫煙防止事業が五千万、外国人旅行者の受け入れに向けた宿泊、飲食施設等の分煙化等モデルに十億円が計上されています。
オリンピックに向けての予算が積極的に組まれ、知事としての初の本格予算として、受動喫煙対策にも注目が集まるところでありますが、どのような思いを込めて受動喫煙対策予算を組んだのか、知事に伺います。
○舛添知事 先ほど局長から説明がありましたように、現在、受動喫煙防止対策を進めるため、有識者から成ります検討会の中でご議論いただいております。先ほどのようなさまざまな意見が出ました。
ヒアリングを行っている団体からの意見は、全面禁煙という方と分煙の徹底ということの二つに大きく分かれていますけれども、ただ、受動喫煙防止ということについては、これはもう誰も異論がないと思っております。
ですから、まず第一歩として、たばこを吸わない方が煙にさらされない、そういう仕組みをつくることが重要だということで今回の予算措置をお願いしているわけですけれども、こうした考えに立ちまして、来年度から、今の新虎通りですね、旧マッカーサー通りといわれた、そこへの喫煙ボックスの設置や、それから飲食店における対策の実施状況と効果などを調べる実態調査に取り組みたいというふうに思っております。
また、外国人旅行者が快適にホテルや飲食店を利用できるよう、分煙化のモデル事業にも取り組んでまいりたいと思います。
今後とも、さまざまな立場の方々の意見を踏まえつつ、受動喫煙防止、この対策を着実に一歩一歩進めてまいりたいと思っております。
○田中(健)委員 そもそもこの議論の発端は、知事が、昨年八月でありますが、二〇二〇年までに全ての飲食店、公共機関を禁煙にしたいという発言でもあります。条例化も視野に入れた発言もされていました。
一九九二年のバルセロナ五輪以降、夏季五輪の全ての開催都市で、受動喫煙を規制する罰則つきの法律や条例が整備をされておりまして、二〇二〇年大会に向けて、私は都がしっかりとした対応をしていくことが必要だと考えています。
受動喫煙防止対策において、知事が、トーンダウンすることなく、強いリーダーシップを持って取り組んでいくことに期待をし、また要望をさせていただきたいと思います。
私は、昨年の第一回定例会において、都の窓口業務の電子化の一端として、水道局の図面もインターネットによる閲覧方式の導入を検討すべきであると提案をし、それに対して水道局からは、平成二十五年度中にインターネットを介した水道管管理図面の閲覧を実施するといった答弁がありました。
そこで、改めて水道管管理図面の電子閲覧の導入状況について伺います。
○吉田水道局長 水道局では、業務の迅速化によるお客様サービスの向上を目指して、給水装置工事関係の電子化の取り組みを進め、平成二十六年一月から、給水装置工事の電子申請や水道管管理図の電子閲覧を順次実施してまいりました。
このうち、水道管管理図の電子閲覧につきましては、平成二十六年三月から、指定給水装置工事事業者を対象として運用を開始しております。
○田中(健)委員 実は、既に下水道局や東京ガス等の企業では、利用者を特定の事業者に制限することなく、インターネットによる閲覧サービスを実施しています。
私はこれに倣い、電子閲覧についても、登録の際にIDやパスワードを付与して、セキュリティー面を確保した上で、対象を特定の事業者ではなく、宅建業者等、よく利用する業者がたくさんありますので、多くの民間事業者に拡大すべきと訴えてまいりました。
しかし、水道局は、この指定給水装置工事事業者のみを対象として、これまで運用を続けてまいりました。
そこで、この事業者だけに特定してきた理由を伺います。
○吉田水道局長 水道管管理図は、法令に基づき、給水装置の工事を実施できる指定給水装置工事事業者が、その工事の実施に際して配管状況などを事前に確認するため、水道局が作成している図面でございます。
この水道管管理図には、お客様の財産でございます給水管の口径や、埋設位置などの情報が記されていることから、情報の管理の徹底が必要でございます。
このため、代表者名や所在地などを確認している指定給水装置工事事業者を対象に、ID及びパスワードを交付した上で、十分なセキュリティー対策を講じ、運用を開始したところでございます。
○田中(健)委員 今回、一般質問の中、本会議の中でこの事業者を拡大するといった、検討するといった答弁がありました。大変にこの中で前進をしたんだろうなと思っておりますが、しかし、この中の答弁で、包括外部監査、つまり外部から指摘されたからといったような発言もあり消極的な姿勢を感じました。ぜひ積極的に局内で話し合う自己変革を求め、終わりたいと思います。
以上です。(拍手)
○鈴木(隆)副委員長 田中健委員の発言は終わりました。
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