○鈴木(隆)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
河野ゆうき委員の発言を許します。
○河野委員 よろしくお願いいたします。
まずは、国際都市について、伝統文化等について質問させていただきます。
私も異論なく東京に諸外国から多くの観光客の方たちがいらっしゃる、そして東京、または日本の魅力を世界に知ってもらうというのは大変重要なことであり、その観光客をふやすためには全力で努めるべきであると考えております。
これから我々は、かつて経験したことのない人の往来を体験することになるわけです。しかし、日本は日本らしさを、日本人は日本人らしさを失ってはいけないと私は考えております。私は、五十年後、百年後、この東京が、言葉は少し古いかもしれませんけど、メルティングポットになってもらいたいとは思っておりません。
私が考えている、これから東京が直面する危険性というのは、寛容というか、お人よし過ぎる日本人自身ではないかと憂えております。オープンにし過ぎることにより、もとが守れなくなってしまうという危険性であります。
新たな価値を創造するにしても、東京らしさ、日本らしさを保持し、基本の柱を変えないことが大切であると考えます。西田幾多郎がいっておりました。世界的になるということは、世界に化して自己を失うということではない。
しかしながら、残念なことに、伝統文化的な支柱を忘れてしまっている日本人が少なくないと考えております。日本の精神文化、伝統的価値観が薄れてきている。
感覚として、江戸から、もしくはそれ以前から続いているものを伝統文化と捉えているだけで、生活とは必ず密着していない、そのような現状があると考えております。
私は、これら伝統文化や精神文化を語る上で避けて通ることができないのが、神道を宗教とするかどうかは別としても、宗教的伝統、宗教的価値観であると考えます。
私の地元である板橋区では、徳丸北野神社、また赤塚諏訪神社には田遊びという、国の初の重要無形民俗文化財に指定されたお祭りがあります。田遊びは、旧正月にその年の五穀豊穣と子孫繁栄を祈願し、神に奉納する行事です。神事です。稲作の作業内容を唱える言葉と所作を田の神に奉納し、豊作を祈願する予祝の祭りです。先日の徳丸北野神社の田遊びは、今回で千二十回を数えました。
精神文化とは、祈ったり、拝んだり、ごく普通に我々日本人が行っている習慣で、物を食べるときに、自然にいただきますというようなことであると思います。
これら日本らしさや伝統文化を、これからますます多様化が求められてくるこの国際都市でどのように守っていくのか、都の見解をお聞かせください。
○小林生活文化局長 日本人の精神性を体現する伝統文化を受け継ぎ守っていくためには、日本人自身が自国の文化の価値を正確に理解することが重要でございます。
都はこれまでも、歌舞伎、邦楽など日本を代表する伝統芸能はもとより、神楽のように日本の風土が育み地域生活に密着した伝統文化の紹介にも取り組んでまいりました。
来年度からは、こうした取り組みを一層推進するため、地元に伝わる伝統芸能など地域に根差した活動に対する助成制度を新たに設置いたします。また、子供を対象に、伝統文化の真髄を実演家が直接指導する取り組みや、出演者による解説なども加えた日本舞踊や能楽の公演も新たに実施をしてまいります。
今後とも、伝統文化を守り、正しく伝えるための取り組みを積極的に展開してまいります。
○河野委員 次に、東京都交響楽団について質問いたします。
私は、かつてアメリカのボストンというまちに六年間住んでいたことがありました。ボストンには、かつて小澤征爾が長きにわたり音楽監督を務めた、名門ボストン・シンフォニーオーケストラ、ボストン交響楽団がありました。
ボストン交響楽団は、アメリカを代表するオーケストラの一つとして、世界中のクラシックファンを魅了するすばらしい演奏活動を展開しておりますが、この交響楽団の特徴の一つとして、ボストン・ポップスオーケストラというものがあります。
ボストン・ポップスオーケストラは、ボストン交響楽団が夏のオフシーズンの間、ポピュラーコンサートでの演奏を行うために編成を変えたもので、基本的なメンバーはボストン・シンフォニーと変わりません。
有名なタングルウッド音楽祭などの気軽な雰囲気の中での、常任指揮者であったジョン・ウィリアムズ作曲--映画音楽で有名なジョン・ウィリアムズを初めとするポピュラー音楽を演奏したりして人気を博しております。クラシック音楽に明るくない私も、ボストン・シンフォニーの演奏会には一度も行ったことはありませんが、ボストン・ポップスの演奏会には数度足を運んだことがあります。
私は、ボストン市民に愛されて親しまれているボストン・ポップスオーケストラのように都響も行うべきではないかと考えております。
東京都交響楽団は日本を代表するトップレベルのオーケストラであり、クオリティーの高い演奏活動を展開されておることはもちろんですが、一方で、日ごろ余りクラシックになじみのないような人たちでも聞いてみたいと思われるようなプログラムのコンサートを開催するなど、新たなファン層の開拓に工夫が必要だと考えます。
現在策定中の東京文化ビジョンにおいて、日本を代表する文教施設が集積する上野を東京の文化拠点の一つとして魅力向上を図っていく旨の記述がありますが、美術館、博物館、ホールだけでなくて、上野を拠点の一つとして活動する都響も、都民だけでなく世界中の人々を引きつける貴重なソフトの文化資産に十分なり得ます。
東京都交響楽団をこれまで以上に人々に楽しんでもらえる取り組みとして進めるべきと考えますが、見解を伺います。
○小林生活文化局長 お話のように、クラシック音楽に苦手意識のある人やなじみの少ない人などに、演奏会や選曲に創意工夫を図ることなどによりまして、オーケストラ音楽のよさを伝えることは重要であると考えております。
都響では、小中学生向けの音楽鑑賞教室や福祉施設での出張コンサート、公共施設等を活用した無料コンサートなど、幅広い層を対象として、音楽との触れ合いの場となる活動を年間を通じて開催をしております。
また、レクチャーやディナーつきなどの付加価値チケットを設定し、コンサートへ足を運んでもらうためのきっかけづくりも行っているところでございます。
今後はさらに、クラシック曲に加えまして、フルオーケストラ用に編曲した映画音楽等をプログラムに取り入れるなど、オーケストラの持つ魅力を体験できる演奏を積極的に展開し、新しいファンの獲得を目指してまいります。
○河野委員 次に、二番は後でやらせていただきます。三番の環境施策について質問いたします。
さらなる大気環境の改善に向けた取り組みについて伺います。
都は、かつて深刻な大気汚染に見舞われましたが、国に先んじてディーゼル車対策を実施するなど、二酸化窒素や浮遊粒子状物質による汚染は大きく改善いたしました。二〇二〇年の五輪パラリンピックに向け、より大気環境を改善するために、残された課題は、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五の問題であります。
報道によれば、隣国の中国では、先月の春節にPM二・五の汚染レベルが深刻になったといわれております。都民の中にも、越境汚染を心配する方も大勢いらっしゃいます。それについては、先日の本会議での我が党の神野議員の一般質問で、アジア諸都市との連携をされるとの答弁がありました。
一方、先月、国の専門委員会がまとめたPM二・五対策に関する中間の取りまとめ案によれば、関東地方では、国外からの越境汚染の影響は四割にとどまっている。また、都の調査でも、都内のPM二・五の濃度のうち、発生源がわかっているものの中では、約五割が都を含め関東地方であるとのことです。このことから、東京のPM二・五の環境基準を早期に達成するためには、都みずから排出削減対策を率先して進めていくとともに、近隣県市と連携していく必要があると考えます。
話は少しそれますけど、二月十七日の知事の定例会見において、知事は、夢みたいなことをいうなと怒られるかもしれないけど、まち中にF1サーキットがあるとおもしろいと述べられました。私は、それをやるのであれば、ロードレースを誘致するのであれば、昨年九月からやっておりますFE、フォーミュラEであると思います。ぜひ、このことはご一考いただきたいと思います。
そこでまず、PM二・五を含め、大気環境の改善を進める知事の決意をお伺いします。
○舛添知事 F1かFEかは別としまして、まず、都は、国に先駆けましてディーゼル車対策などに取り組んだ結果、大気汚染物質の多くは環境基準を達成するまでになりました。
オリンピック・パラリンピックで国内外から訪れる人々によりよい大気環境を提供するためにも、残る課題は、環境基準を達成していないPM二・五と光化学スモッグの原因となるオキシダントであります。
長期ビジョンでは、PM二・五の環境基準達成率一〇〇%と、光化学スモッグ注意報発令ゼロを目標に掲げました。
この目標達成に向けまして、燃料電池自動車や電気自動車などの次世代自動車の普及拡大を図るとともに、揮発性有機化合物のさらなる排出削減や未規制の燃焼機器への対策など、都独自の施策を多面的に進めてまいります。
また、大気汚染物質は広域的に生成され、都県境を越えて移動することから、近隣県市との連携も密にして、削減に全力で取り組みます。
さらに、北京市を初め、大気汚染という共通の課題に直面している都市と国際協力を進め、アジア全体の大気環境の改善にも寄与してまいります。
○河野委員 ぜひ、アジア全体を視野に入れつつ、都独自の取り組みを進めてほしいと思います。
聞くところによれば、PM二・五の発生原因は実にさまざまであり、また、生成過程も複雑とのことであります。このため、ディーゼル車対策のように、特定の対策を講じれば一気に改善が進むようなものではありません。既存の排ガス対策の充実強化や、現在規制がかかっていない設備への取り組みなど、一つ一つ積み重ねていく必要があるだろうと考えます。
また、対策を効果的なものにするためには、専門のノウハウを有する環境科学研究所などとの連携、調査研究、分析、新たな知見の収集も大切です。
そこで、PM二・五に関する今後の具体的な取り組みを伺います。
○長谷川環境局長 都は、大気汚染対策として、工場などの固定発生源や自動車などの移動発生源の排出ガス対策を推進し、PM二・五の濃度はこの十年間で約五五%減少いたしました。
来年度からは、こうした対策に加えまして、高効率で排出ガスが少ない機器を都独自の基準で認定する制度を拡充強化いたします。
具体的には、販売数の多い小型ボイラーなどの燃焼機器について、最近の技術動向を踏まえて基準を強化し、新たな機器を認定いたします。また、工事現場やイベントなどでよく使われます発電機等について、認定制度に新たに組み入れるための調査検討を行ってまいります。
あわせて、今後、窒素酸化物や硫黄酸化物がPM二・五に変化するメカニズムの調査研究等を環境科学研究所と連携して行うなど、さまざまな取り組みを通じて、大気環境のさらなる改善を目指してまいります。
○河野委員 生成原因をきめ細かに把握し、国に先んじて対策を講じ、また、認定制度により産業界の技術開発を誘導していくことは大変よいことだと思いますので、ぜひとも成果を出していただけることを期待いたします。
大気環境の改善に今後もしっかりと取り組み、世界に誇るクリーンな都市東京の実現に邁進していただきたいと思います。
次に、防災対策についてお伺いいたします。
震災時における消防活動について伺います。
ことしで発生から二十年が経過した阪神・淡路大震災では、死者、行方不明者は六千四百人を超え、火災による焼損床面積は八十三万平方メートル以上と未曽有の被害が発生し、特に火災対応においては、倒壊家屋による道路通行障害や消火栓の損傷などにより、消火活動は困難をきわめたと聞いております。
東京においても首都直下型地震の発生が切迫しており、関係機関相互に連携し、過去の教訓を踏まえた取り組みを推進すべきと考えます。
そこで、大震災により同時多発的に発生する市街地火災に対し、消火活動を的確に実施するためには、通行可能な道路や消火用水を確保するための東京消防庁の取り組みについて、まず伺いたいと思います。
○大江消防総監 震災時の市街地火災に対しまして、消火用水や消防車両等が通行可能な道路を確保することは極めて重要であると考えております。
このため、当庁では、耐震性防火水槽や地下水を活用した深井戸を整備するとともに、河川や池などから大量の消火用水を送水する車両や装備の充実に努めております。
また、ハイパーレスキュー隊には、道路上の障害物を除去できる重機等を配置しております。
さらに、より効果的な消防活動を展開するため、当庁の震災訓練を初めとした各種訓練において、建設局等と連携し、通行可能な道路の確保や大量の送水を受けた消火、救助などの訓練も推進しているところであります。
今後とも、関係機関との連携を強化し、震災消防活動に万全を期してまいります。
○河野委員 今、答弁いただいたように、震災への対応も含め、大都市である東京の安全を確保し防災性を向上させるためには、東京消防庁だけでなく関係局も連携して取り組んでいく必要があります。
そこで、道路や河川を管理する建設局は、東京消防庁と連携してどのような訓練に取り組んでいるのかお聞かせください。
○横溝東京都技監 建設局は、水害から都民を守る河川や、震災に際して救援、救護の生命線となる道路を管理しており、災害発生時には、東京消防庁と連携して円滑に活動する必要がございます。
このため、各建設事務所と消防方面本部などが合同で防災訓練を実施しており、例えば、消火用水の提供を想定し、建設局が保有する排水ポンプ車で河川の水をくみ上げ、東京消防庁がその水を利用して放水訓練を実施しております。また、倒壊した建物などが緊急車両の通行の妨げとなる場合を想定いたしまして、両者が連携して障害物を除去する道路啓開及び人命救助の訓練を行っております。
今年度はこれらを含めた七つの災害発生場面を想定し、合計で十五回の防災訓練を実施したところでございまして、今後とも、東京消防庁と連携し、防災力の向上を図り、都民の安全・安心を確保してまいります。
○河野委員 次に、多摩地域における消防団の資機材整備支援についてお伺いいたします。
多摩地域は、区部と異なり各市町村によって消防団の資機材整備が進められていますが、昨年度に続き、今年度も我が党の強い要望に応え、多摩・島しょ地域の消防団に対する資機材整備支援が予算計上され、都としても消防団の充実強化に取り組んでいます。
しかし一方で、現在、多摩地域の消防団にとって、平成二十八年五月に迫る消防無線のデジタル化への対応が大きな課題となっております。現在、多摩地域の消防団が活動する際には、消防事務を受託している東京消防庁との連携が必須であります。その際に必要な受令機について、平成二十八年五月までに更新する必要が生じております。
市町村も機材整備に取り組んでおりますけど、財政的な取り組みがおくれているところもあると聞いております。都として支援が必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○中西総務局長 現在アナログ方式で運用中の消防救急無線は、平成二十八年五月末が使用期限であり、デジタル方式に移行いたします。
東京消防庁は消防救急デジタル無線の運用を既に開始し、デジタル化に対応した受令機の仕様を昨年秋に決めたところでございます。
多摩地域の市町村にとっては、使用期限までに機材を一斉に更新する必要があり、一時的に大きな負担となります。
受令機は、使用している消防団にとっては活動に必須の装備であり、デジタル化移行までに更新できない場合、当該地域で防災力が低下することが懸念されます。このため、来年度、受令機を整備する市町村に対し、その費用の一部を補助し、デジタル化移行を支援することといたしました。
今後とも、こうした取り組みを通じて、地域防災力のかなめである多摩地域の消防団の機能の向上に努めてまいります。
○河野委員 ありがとうございました。
次に、都市基盤整備についてお伺いいたします。
昨年末、世界一の都市東京の実現を目指し、東京都長期ビジョンが策定されました。
この中には、世界をリードするグローバル都市の実現では、国際金融センターや都心の機能強化、また、高度に発達した利用者本位の都市インフラを備えた都市の実現では、三環状の整備の基幹道路ネットワークの形成や東京港の再構築、空港機能強化など、多岐にわたる整備を進めるとしております。
また、先日の中央環状線の開通式では、知事は二〇二〇のレガシーとして、世界一渋滞のない大都市にすると述べております。私も、これは大賛成であります。
しかしながら、昨日の高木理事の代表質問でもありました、周辺区の、もしくは多摩のまちづくり等に対しての視点が少し弱いのではないかと感じております。都民の生活の場所は、丸の内のオフィス街や羽田空港、もしくは競技施設周辺だけではありません。生活者に密着した地元のまちづくりや無電柱化、不燃化について、これにも大きな風呂敷を広げていただきたいと考えております。
それで、後ほど知事から答弁をいただきたいと思いますが、まず最初に、無電柱化についてお聞きいたします。
なぜ海外に比べて日本は無電柱化が進まないのでしょうか。無電柱化は、安全で快適な歩行空間の確保や、美しい都市景観を生み出し、震災時におけるライフラインの確保や電柱の倒壊による道路閉塞の防止など、防災上重要な役割を担っております。
海外の主要都市における無電柱化率は、ロンドン、パリ、香港では一〇〇%、ニューヨークでは八三%であるのに対して、東京二十三区では、国道、都道、区道を含めても七%であります。諸外国に比べて大きく立ちおくれております。
私は、これらの都市と歴史的背景を調べてみましたが、十九世紀末のロンドンでは街灯が整備されており、既に地中化されているガス灯との競争条件を同じくする観点から、電線の架空線は禁止がされました。
また、ニューヨークでは、かつては架空の電線が被覆をされておらず、感電事故が多発したため、事故防止の観点から地中化が進みました。
一方、日本では、戦前には地中による整備もなされたものの、戦後の復興において、低コストかつ早急に電力を安定供給するために架空線での整備をした結果、電柱が林立して、クモの巣のように張りめぐらされております。
要するに、戦災の復旧のため、応急処置的に架線、電柱が立てられて、今の現状になっていると考えております。余談になりますけど、都市計画がしっかりしていた満州国の奉天では、電柱がなかったそうです。
こうした電線病に冒された景観を許容しているのが我々日本人で、電柱や電線のある風景を、我々、幼少のころより見なれているからであると思います。
東京が世界で一番の都市を目指していくためにも、日本人の常識を抜本的に転換し、五輪パラリンピックの開催を契機に、区市町村道を含めて無電柱化をより一層進める必要があると考えます。
そこでまず、これまでの都道の無電柱化事業の取り組みについて実績を伺います。
○横溝東京都技監 都では、無電柱化を進めるため、昭和六十一年度から平成二十五年度まで、六期に分けて推進計画を策定し、整備を進めてまいりました。
その結果、平成二十五年度末の計画幅員で完成した都道の地中化率は三五%となっております。また、このうち二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会までに無電柱化の完了を目指しておりますセンター・コア・エリア内の地中化率は、現時点で八五%となっております。
○河野委員 昨年の十二月に、東京都無電柱化推進計画ということで、このような本をまとめられました。大変立派にできていると思います。
しかし私は、率直に感じているのが、東京都無電柱化推進計画じゃなくて東京都道無電柱化推進計画でしかないと私は感じております。僣越ながら思っております。
センター・コア・エリア内の都道の整備は進んできたとのことですけど、東京のまちを歩いていても、区市町村道では無電柱化が進んでいる実感は全くありません。
二十三区の無電柱化率は全体でいまだ七%となっており、都道の整備が進んでいても、道路の延長が圧倒的に長い区道の無電柱化はほとんど進んでおりません。
現在、無電柱化の技術は電線共同溝方式が主流となっており、コスト面では、整備が始まった二十年前からは多少のコスト縮減が図られたものの、いまだコストが高く、財政基盤の弱い区市町村が独自で財源を確保して進める事業としては困難であります。
そこで、区市町村道の無電柱化に対する財政支援について、都の取り組みを伺います。
○横溝東京都技監 区市町村道につきましては、センター・コア・エリア内や主要駅周辺などの道路を対象に、平成二十年度から無電柱化事業に対する財政支援を行っております。この制度では、国と都で事業費のおおむね四分の三を補助するというものでございます。
さらに、平成二十七年度からは、新たに緊急輸送道路や避難場所と緊急輸送道路を結ぶ道路など、防災に寄与する道路も補助対象に加え、財政支援を強化してまいります。
また、オリンピック・パラリンピック大会会場周辺などで、地元区市と合意した区間につきましては、平成二十六年度から補助率を四分の四に引き上げておりまして、大会開催までに無電柱化を完了させます。
○河野委員 私の地元である板橋区道の板橋宿不動通り商店街も、長い年月を経て、間もなく無電柱化が完成する予定です。区の財政的な問題のほか、電力供給のために必要な地上機器の設置等も、沿道の方々との合意形成をするのに時間を要して、事業には長い年月がかかりました。
今、パネルを用意しましたけど、板橋区の区道の総延長は六百八十三キロ、そのうち地中化が終わっているのはたった二・三キロで、整備率は〇・三三%です。これは板橋区の地図ですけど、この赤い線が区道の整備です。これは国道です。この青いのは都道、これは環七です。(「見えない」と呼ぶ者あり)はい。ぜひごらんになってください。赤が区道です。たった〇・三三%しか整備がされておりません。
また、この四百メートルの板橋宿の不動通り商店街を整備するのに、六億三千六百万円もの事業費と、丸八年、事業にかかってしまいました。
さらに、地上機器を歩道に設置するにしても、通行者等が通行できる幅員が必要であるため、歩道の狭い区市町村道では地上機器を設置する場所がないため、無電柱化が進まない現状であります。しかし、地上機器の小型化や地中への埋設は、技術的に難しいと聞いております。
しかしながら、必要なのがこの技術革新で、小型化を進めてもらわなければならない。そして、区の担当者によく聞くのが、この設置場所のための民有地を確保するなどの財政的な助成もしてもらいたいということを区の方からよく聞きます。
また、現在の電線共同溝方式では、電線を収容する地下の施設として道路管理者が設置するものとされており、この電線を保護するための管路を地中に埋設し、その中に電線を通す構造であり、管路がかなり強固で、材料、工事にかかるコストが割高になっているほか、管路は道路管理者が整備し、電線は電力会社や通信会社が行うということになっております。
これが板橋区内で行われた共同溝の整備です。(パネルを示す)電線の地中化ですから、電線だけというふうに思いがちですけど、これだけの数の、今ここにあるのは二十四本です。二十四本もの地下ケーブルを埋めなきゃいけないということで、丁寧に、このように共同溝がつくられております。
高い整備コスト、そして高規格な施設や材料の問題が施工の効率性を妨げており、合意形成の問題など多々あります。これが、狭隘な区市町村道で共同溝方式である必要があるのでしょうか。
現在の共同溝方式で東京から電柱をなくすには何百年もかかってしまいます。日本全体では、現在の進みぐあいでは、ある調査では、五千七百年かかるという調査もあります。このため、電線を直接埋設する方式など、より簡易な構造にすることで、コストの削減や工期期間の短縮を図ることが必要であると考えます。
そこで、共同溝方式以外の簡易な構造の一つである直接埋設方式の導入について、都の見解を伺います。
○横溝東京都技監 現在、都では電線共同溝のコンパクト化などを研究する一方、国においては、ケーブルを地中に直接埋設し、簡易な構造とする実証実験を進めております。
この直接埋設方式は、ケーブルの埋設後に新たに沿道への電力等の供給が生じた場合、道路の再掘削が必要となることや、路上工事の際に地中ケーブルを切断し、停電等を引き起こすおそれもあることから、十分な事故防止対策を行う必要がございます。
また、道路管理者と電線管理者との費用負担に関する新たなルールを定めることも必要でございます。
こうした課題はあるものの、直接埋設方式はコスト低減や工期短縮に大きな効果が期待できることから、都といたしましては、国の動向を注視してまいります。
○河野委員 区市町村道での無電柱化を促進していくためにも、従来の整備手法と比較してコストが軽減されることは極めて重要であり、我が党も、東京から電柱をなくすことを公約に掲げております。この東京から電柱をなくしますと、我が党の公約がありますけど、これは都道や国道に限っていることではないと私は思っております。
ぜひとも、この無電柱化の促進のためにも直接埋設方式をお考えいただきたいと思います。
最後に、東京から電柱をなくすため、無電柱化の取り組みについて、改めて所見をお聞きします。
○横溝東京都技監 無電柱化は、災害時の道路閉塞の防止など都市防災機能の強化や、良好な都市景観の創出、安全で快適な歩行空間の確保を図る上で重要でございます。
このため、新たに策定した無電柱化推進計画に基づき、都道ではセンター・コア・エリア内はもとより、周辺区部や多摩地域の無電柱化も推進してまいります。あわせて、区市町村道での事業促進に向け、財政支援を強化するとともに、直接埋設方式を初め、新たな技術などが確立された段階で導入してまいります。
今後とも、都内全域での無電柱化に向け、国や区市町村などとの連携を強化して事業を推進してまいります。
○河野委員 ありがとうございます。直接埋設方式を初め、新たな技術が確立された段階で導入していただくという決意をいただきました。ありがとうございます。
日本人はきちょうめんであり、先ほどのパネルのように、細かいところまで気を配っての配線ですけど、もっと簡単に考えれば、直接埋設というのは、私は実現可能であると考えております。ぜひとも、電線がないことが当たり前になるように意識改革をし、そして区市町村道まで加速していただきたいと考えております。
次に、木密、特定整備路線について伺います。
木密不燃化十年プロジェクトについてお伺いいたします。
特定整備路線である補助二六号線大山区間については、平成三十二年度までの整備を目指し、ことし二月に事業に着手いたしました。首都直下地震から都民の生命と財産を守り、地域の安全性を高める上で、特定整備路線の役割は重要であります。
この地域には、来街者が一日二万から三万を超えるにぎわいを見せているハッピーロード大山商店街が存在しておりますが、道路の計画線と一部重なっております。地元では、期待と不安が入りまじっております。
ざっと百棟余りの建物が、道路の買収の対象になっていると考えます。そのうち約半分が商店街の建物であります。商店街全体の三分の一が影響を受けるため、大山地域のにぎわいの維持、移転が必要な店舗等の再建及び商店街の振興組合自体の安定的な経営も、大変重要な課題であると思っております。
道路整備を進めるとともに、沿道で新たなにぎわい拠点の構築などを目指している地元のまちづくりの支援をしっかりとしていただきたいと思いますけど、東京都の見解をお伺いいたします。
○安井都市整備局長 補助二六号線大山区間は、地域の防災性を早期に向上させるために不可欠な特定整備路線でございます。また、計画線内に商店街が含まれることから、沿道のまちづくりと一体となった道路整備を進めていく必要がございます。
都はこれまで、地元板橋区と連携いたしまして、商店街を中心としたまちづくり勉強会に専門家を派遣するなど、地元の取り組みを支援してまいりました。
勉強会による成果は、区の大山まちづくり総合計画に反映されており、本年二月には、この計画に沿って再開発準備組合が発足するなど、商店街のにぎわいを創出するためのまちづくりが動き出しております。
引き続き、区と連携いたしまして、既存商店街の活性化にも配慮しながら、道路整備を推進してまいります。
○河野委員 次に、不燃化特区についてお伺いいたします。
今後、大谷口一丁目地域の老朽化、木造住宅の建てかえを一層促進するために、不燃化を着実に進めていくべきと考えますけど、都の取り組みをお伺いしたいのと、あわせて、最後に知事に質問いたします。
都市づくりのグランドデザインに着手すると表明されておりますが、世界をリードするグローバル都市として、東京全体の経済発展という視点はもとより、生活者に密着したまちづくりを、二十年、三十年先を見据えた長期的な視点を持ち、都市づくりのグランドデザインに着手していただきたいと思いますけど、知事の決意をお伺いいたします。
○安井都市整備局長 大谷口一丁目周辺地区を対象に、地元区は不燃化特区制度を活用いたしまして、昨年九月から戸別訪問や相談会を開始し、建てかえに向けた住民への働きかけを行っております。
これまで、助成対象となる老朽木造住宅のうち約七割を訪問したほか、相談会を四回実施し、建てかえに伴う資金面や相続など、住民が抱える課題を把握してまいりました。
都は今後、地域の実情を踏まえまして、建てかえ助成をより活用しやすくするとともに、弁護士など専門家派遣制度の活用を区に促し、区の取り組みを支援いたします。
引き続き、住民の意欲を確実に建てかえに結びつけ、木密地域の不燃化を一層推進してまいります。
○舛添知事 都市づくりには相当長期的な時間軸をもって取り組む必要がありますことから、二〇四〇年代を見据えまして、グランドデザインの検討に着手することといたしました。
木密地域の改善や、道路と鉄道との立体交差化など、現在進めている都市づくりを踏まえつつ、今後の技術革新など社会経済情勢の変化も視野に入れて、東京の目指すべき都市像を検討する必要があります。
身近な地域におきましても、駅などを中心にバリアフリー化を進めつつ、地域特性に応じて医療、福祉、商業など日常生活を支える機能を集積させて、誰もが暮らしやすいまちにつくりかえていくことも必要であります。
生活者の視点も重視して、地域の課題にも対応した二〇四〇年代の都市の姿を描き、その実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○鈴木(隆)副委員長 河野ゆうき委員の発言は終わりました。(拍手)
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