予算特別委員会速記録第二号

   午後三時十分開議

○小磯副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 長橋桂一理事の発言を許します。

○長橋委員 初めに、東日本大震災より四年が経過をいたしました。時の経過とともに、日常を取り戻すことができている人も多い反面、まだまだ困難な状況の中、復興への長い道のりを覚悟しながら、必死に頑張っている人もおります。
 公明党は、引き続き被災地、被災者支援に全力で取り組んでいくことをお誓い申し上げて、都議会公明党を代表して質問をさせていただきます。
 まずは、知事に都政運営について伺いたいと思います。
 知事は施政方針で、世界一の都市の姿とは、生活習慣、文化、価値観など、人間の多様性が尊重され、誰もが幸せを実感できる都市、誰もがそこに住み続けたいと心から実感できる都市であるといわれました。
 現在、世界の都市部に住んでいる人口は全体の五四%、半数以上であるわけであります。二十一世紀は都市の世紀といわれ、経済のグローバル化により、人材や企業、資金、情報が国境を越えて動くようになりました。それを集められる大都市が強くなり、今や国家間競争よりも都市間競争が焦点になっているといわれております。
 さらに都市間競争は、総合力を競う時代から、独自の文化や技術を際立たせ、知的人材や産業の集積を競う時代に入っているといわれております。文化などは順位をはかりにくく、どう独自性を発揮していくか、一方で都市の弱点をどう改善していくかが重要であります。
 都市は、独自の文化や創造性がなければ衰退してしまうことになります。そこでの最大の資源は文化や人材であるといわれております。文化は多様性が命であり、人材は寛容性が高いところに集まるものであります。そのために、東京が築いてきた歴史の上に、寛容性と多様性、多様な文化を育んでいくところに、私は人材が集まると感じております。
 そこでまず、都市のあり方について知事に伺います。

○舛添知事 現代は、経済分野を初め、あらゆるものが国境を越えて目まぐるしく移動するグローバル時代、ボーダーレス時代でございます。東京も激しい都市間競争の真っただ中にあります。
 森記念財団による世界の都市総合力ランキングでは、東京はいつも申し上げますように世界第四位の都市であります。
 一方、先日発表されました都市生活の快適さや安らぎなどの要素に焦点を当てた新たなランキングにおいては、一位にランクされるということでありました。これは、東京ならではのおもてなしや治安のよさが高く評価されるためだと思います。
 その背景には、洋の東西を問わず、文化や思想を柔軟に受け入れてみずからのものとし、近代化も通じて磨き上げてきた日本人の歴史や伝統があると思います。
 独自の強み、魅力を伸ばしていくことが、ほかの都市と競争する上で強力な武器となり、都市の発展に欠かせない人材を世界中から集めることにつながってまいります。
 さらに今後、東京はオリンピック・パラリンピックの開催都市として、海外から多くのお客様をお迎えすることになります。ボランティアによるおもてなしや多言語対応に取り組んでいくことが、ご質問にございました寛容性と多様な文化を一段と育むことにつながり、東京の強み、魅力をさらに伸ばしていくと思います。
 こうしたことも通じまして、激しい都市間競争を勝ち抜いて、東京を世界一の都市へと押し上げてまいりたいと思っております。

○長橋委員 少子高齢化の先頭を走る日本であります。東京五輪大会をチャンスに、成熟社会の都市モデルを示していかなければなりません。
 今、知事もおっしゃった森記念財団、その市川宏雄教授は、日本がもっているのは東京が頑張っているから、東京の高齢化が進み、人口が減ってくる二〇三〇年までの約十五年で、どこまで東京の力を引き上げられるかが日本の将来を左右すると、このようにいわれているわけでございます。
 一方で、長期ビジョンでも述べられているとおり、二〇二〇年は東京が低迷の時代へと向かうという見方もあります。東京の人口が減少局面を迎え、現在、高齢者が四人に一人の超高齢社会から、二十年後には三人に一人のかつて経験したことのない、極度の高齢社会を迎えることになります。
 割合だけではありません。高齢者の数も二十年間で六十四万人もふえるという事実は、東京にとって、そして日本にとっても必ず変革を迫られることになります。
 さらには、二〇二〇年大会の反動により公共事業が減少し、景気後退局面を迎えることになるという悲観的な予測さえあります。
 都は、特別養護老人ホームなどの整備を進めておりますが、地価が高く、土地が不足している都内では、まだまだ難しい課題が山積をしております。
 また、人口が減少し、都市インフラが老朽化する中で、まちの構造も東京ですらコンパクト化する必要があるのではないか。
 さらには、広範囲にわたる木造密集市街地の存在など、災害の危険性が極めて高く、緊急に防災対策を急がなければなりません。
 都はこうした困難に対処しなければ、東京の将来はないと、このようにも考えるわけでございます。
 そして、東京の将来が日本の将来を左右することになるわけでありますから、東京都知事としての責任は重く、我々議会も同じであろうかと思います。
 そこで、危機感を持って都政運営のかじ取りをしていかなければならないと思いますが、知事の決意を伺います。

○舛添知事 東京は、今おっしゃったように少子高齢化や人口減少を初め、大きな地殻変動に直面してございます。こうした課題の存在は、東京の今後に大きく関係すると認識しております。
 そこで、私は、この課題への対応それ自体を未来の夢と希望につなげていきたいと思っております。
 例えば、高齢社会の到来や人口減少を見据えて、まちのバリアフリー化や都市のコンパクト化にも取り組みまして、年をとっても安心して、自分の経験と能力を生かしながら、生き生きと暮らせるまちを築いていきたいと思っております。
 また、二〇二〇年には、オリンピック・パラリンピックを迎えることになります。このタイミングを最大限に生かしまして、インフラの老朽化や防災対策にも取り組みつつ、まさに東京発展のラストチャンスという気構えで、その先の成長につながる土台をつくっていきたいと思っております。
 二〇二〇年の先に、東京をゴーストタウンとして残してはなりません。東京の前に立ち塞がる困難を直視しまして、一つ一つそれを乗り越えていくことで、長期ビジョンで描きました都市の姿を具体化させ、都民が明るい将来を実感できるよう取り組んでいく所存でございます。

○長橋委員 まさに東京五輪を目前にして、東京発展のラストチャンスと、そういう気構えで取り組んでいくということであります。議会も同じ思いで取り組んでいきたいと思っております。
 次に、オリンピック・パラリンピックレガシーについて質問をしたいと思います。
 先日、大会開催基本計画が公表されました。大会ビジョンは、スポーツは世界と未来を変える力があるとして、全員が自己ベスト、多様性と調和、そして未来への継承との三つのコンセプトが示されました。
 特に七章の基本計画のうち、アクション&レガシーを設け、スポーツ・健康、街づくり・持続可能性など五本の柱を立てて、専門委員会を設置し、来年夏、リオデジャネイロ五輪までに取りまとめるとしております。
 計画提出段階から大会後を見据えていることが、今回の基本計画の、私は特徴であろうかと思います。
 IOCは、大規模な会場計画や重い財政負担が開催都市の負の遺産となった、そうした教訓から、大会後のレガシーを重要視しているとのことでございます。
 既に始まっている意義や歴史、文化を学ぶオリンピック・パラリンピック推進校の取り組みに私は期待をしております。今年度、小学校、中学校、高校、さらには特別支援学校、そして幼稚園も含めて三百校からスタートいたしまして、将来は二千校までふやすとのことであります。未来への継承に向けた具体的な取り組みであり、評価したいと思います。
 現在、都は、舛添知事を委員長にレガシー委員会を設置いたしまして、検討を重ねていると聞いております。検討には民間有識者などとの意見交換会も開催をしている。その内容は、どちらかというとハードに関することが中心であるのではなかろうかと思っておりますが、そこで現在、舛添知事が委員長になっているレガシー委員会の検討状況について、まずは伺いたいと思います。

○川澄政策企画局長 昨年十一月、知事をトップとするレガシー委員会を立ち上げ、これまで十二回開催してまいりました。
 委員会では、大会後の選手村のまちの姿、アドバイザリー会議からの報告による新規恒久施設の後利用など、オリンピック・パラリンピックレガシーについて検討を進めているところでございます。
 また、水素実証や選手村とその周辺のレガシー及び次世代交通につきましては、民間等有識者からのヒアリングなども行っているところでございます。

○長橋委員 今のレガシー委員会、聞いておりますと、主に大会後の施設の後利用、そうしたことが検討されているのかなと、このように感ずるわけでございます。
 レガシーへのアプローチの五本の中に復興が入っております。復興は、過去の日本での大会に、皆様ご存じのとおり共通をしているわけであります。
 いわゆる幻の昭和十五年のオリンピック大会では、大正十二年にあった関東大震災からの復興を世界にアピールする、そうした意味合いで手を挙げて招致に成功したわけでございます。しかしながら、日中戦争が起こったことから辞退をしたわけであります。
 そして、昭和三十九年の大会は、終戦から十九年、敗戦国として焼け野原から奇跡の復興をした日本を世界にアピールする絶好の機会となったわけであります。
 今度の大会も、東日本大震災からの復興が重要なテーマであるわけであります。大震災の津波の映像が世界中に流されました。東京は本当にオリンピックを開催できるのか、原発事故の影響でオリンピックまでに復興ができるかなどと思っている人も大勢いると思います。
 昭和三十九年の大会のレガシーでいいますと、私は高速道路や新幹線などハードの復興が思い浮かび、今でもその恩恵にあずかっているわけでございます。
 今度の大会も、もちろんハードのレガシーも必要でありますが、大事なのは、次世代に何を残すのか、震災からの復興を通して、人々の心にどのような精神的なレガシーを残すかだと私は思います。
 そこで、東京は何をもって世界にアピールするのか、知事の見解を伺います。

○舛添知事 オリンピック・パラリンピックは、大会がもたらす感動を通して、人々の心を明るくし、困難に打ちかとうとする勇気を与えてくれます。私自身も陸上競技の選手でありましたので、一九六四年大会での日本人選手の活躍を見て、勇気を与えられ、発奮した一人でございます。
 昨日で東日本大震災から四年がたちました。こうしたオリンピック・パラリンピックの力によりまして、二〇二〇年東京大会を通じて、被災された方々に勇気を与え、その復興を後押ししてまいります。
 被災地の復興なくして日本の明るい未来はない。開催準備に全力を挙げ、史上最高のオリンピック・パラリンピックを実現し、大会を通じて被災地の復興に向けた姿を世界に発信するとともに、世界中から受けました支援に対する返礼の場としていきたいと思っております。
 そして、さまざまな困難を乗り越え、力強く前に向かう日本人の不屈の精神を、次の世代にレガシーとして引き継いでまいりたいと思っております。

○長橋委員 昨日、三・一一、四年前の映像がテレビを通して流されました。まさに未曽有の大災害から必ず復興をなし遂げる、それをまさに世界にアピールする、これが東京の使命だろうと。知事と同じ思いでございます。
 続いて、財政基盤の確保について伺います。
 先日、我が党の代表質問に対し知事は、安定的で強固な財政基盤が必要不可欠、そのために不断の自己改革に努めつつ、基金や都債を効果的に活用していくと答弁がありました。
 一方で、現在都は、国のたび重なる税制度の不合理な変更で、年間約三千億円もの財源を奪われております。こうした状況において基金を創設することができるのは、ややもすると、都はそれだけ財政的に余裕があるのではないかという疑念を招きかねないと感じております。
 こうした誤った認識を払拭するためにも、今回の予算の大きなポイントである新たな基金の創設について確認をしたいと思います。
 そこで、なぜこの時期に近年にない規模の基金を創設したのか、基金創設の意義も含めて知事に伺います。

○舛添知事 東京を世界一の都市とするためには、少子高齢化社会への対応など、山積する課題の解決に向けてさまざまな施策を実施していかなければなりません。しかしながら、施策の実現を支える都税収入は、景気の変動などの減収リスクを常に抱えております。
 そのため、今回、東京の未来に思いをはせて、私が打ち出しました長期ビジョンとあわせて、税収が堅調なこの時期に、重要課題の解決に必要な財源を基金としてあらかじめ確保することといたしました。これによりまして、景気変動に左右されることのない着実な事業実施が担保されることになります。
 都の不安定な財政構造を考えますと、基金創設の一事をもって財政的に余裕があるとするのは短絡的な議論でございまして、決して東京に余裕があるわけではありません。
 今回創設した基金を最大限活用して、都民福祉のさらなる向上と東京の持続的発展に積極的に取り組んでまいります。

○長橋委員 先ほどもこの基金については議論がありました。まさに中長期を見据えた財源措置が、東京富裕論の惹起という誤った方向の議論にならないよう、基金の意義をぜひ強調していただきたいと思います。
 あわせて、不安定な財政構造を持つ都が強固な財政基盤を堅持していくためには、徹底した施策の見直しにより、都政改革を進めていかなければならないと考えます。貴重な都民からの税金を無駄なく有効活用していくには、それぞれの施策を根本まで掘り下げてしっかりと吟味し、事業の効率性、実効性を高めるよう、不断の見直しを図っていかなければなりません。
 今回、新たに削減額の二倍まで予算要求できるというインセンティブを導入し、さらなる施策の新陳代謝を促しております。こうした取り組みにより、平成二十七年度予算では、事業評価の取り組みを通じて、約四百十億円の財源を確保し、その財源も活用して三百三十件の新規事業を立ち上げるなど、自己改革の成果を私は上げたと思っております。
 そこで、今回の予算編成における施策の見直し、再構築について、具体的な事例も踏まえて、その考え方について説明をお願いしたいと思います。

○中井財務局長 今回の予算編成に当たりましては、事業全般をゼロベースの視点から検証し、時代の変化に即した施策となるよう、必要な見直し、再構築を全庁挙げて行ってまいりました。
 具体的には、保育人材の確保、定着に向けたキャリアアップ制度や非正規雇用施策の再構築のほか、東京港の船舶廃油回収事業について、技術進歩に伴う廃油の減少などを踏まえ、事業を終了することといたしました。
 また、江東区の扇橋閘門における小水力発電の導入に際し、管理施設の維持管理費の縮減や再生可能エネルギーの普及に向けた都の率先行動などにも配慮し、施策の実効性を高めたところでございます。
 これらは、今回の自己改革の取り組みの一端であり、こうした取り組みを根気よく積み重ねることによって、今後も都政全般の効率性、実効性を高めてまいります。

○長橋委員 こうした取り組みを一過性のものとすることはいけないと思います。ぜひ効果を十分上げていただきたいと思います。
 続いて、公会計制度について質問をしたいと思います。
 総務省が、全国自治体に今後三年間で固定資産台帳を整理し、統一的な基準により財務書類を作成するよう要請をしてまいりました。
 ただし、本来の複式簿記の原則である日々会計処理をすることが望ましいとしながらも、従来の官庁会計による決算をした上で、一括して複式簿記・発生主義の会計処理に変更することも容認する方針を打ち出したわけであります。
 本来、財政の見える化は、都民にとってよりわかりやすい制度でなければならないわけでありますが、今回の統一的な基準は専門家でさえも難解な会計処理を行っているとしております。
 この点、東京都方式は企業会計に近い考え方をとっており、わかりやすい制度になっていると思います。東京都方式を先行して採用した自治体や、これから採用しようとする自治体からは、国の統一的な基準のみに集約されることを懸念する声が上がっています。
 そこで今回、総務省からの要請に対し、先駆的な東京都方式を採用、またはこれから採用を検討する自治体はどう対応すればいいのか、伺いたいと思います。

○塚本会計管理局長 総務省が統一的な基準を示しました今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書の中で、各地方公共団体がそれぞれの創意と工夫により、住民等への説明責任や行政経営に資する財務書類を作成することを妨げるものではないと明記しております。
 そのため、先行自治体がこれまでと同様の財務書類を作成していくことに何ら問題はございません。また、これから本格的な公会計制度改革を進める自治体にとりましても、より有効な方式による財務諸表を作成することが可能でございます。
 これを踏まえ、都はこれまでと同様、企業会計や国際公会計基準に近く、わかりやすい都方式の財務諸表を作成してまいります。

○長橋委員 せっかく先駆けて取り組んできた東京都方式であります。今の答弁で、この東京都方式を採用してこれから取り組んでいこう、そういう自治体がはしごを外されるんじゃないかと懸念をしたわけでありますが、安心をしたところであります。
 会計はグローバルスタンダードであることを考えますと、国際化を視野に、世界的に広く通用するこの東京都方式を日本中の自治体に普及すべきであります。
 都は、引き続き都方式の有効性をしっかりと訴求し、一層の普及推進に努めていくよう、改めて要望しておきます。
 そこで最後に、現在の都方式による新公会計制度の普及状況と今後の普及に向けた取り組みについて、都の見解をお伺いします。

○塚本会計管理局長 平成二十六年に新たに福島県郡山市、東京都荒川区、福生市が、都と同様の公会計制度導入を決定いたしました。また今般、新たに八王子市が導入を決定し、導入自治体は全国で十二団体となりました。
 今回の要請は、全ての自治体が複式簿記による本格的な公会計制度導入に向き合うこととなる、これまでにない好機でございます。
 統一的な基準においても日々仕訳が推奨されておりますが、都方式の最大の特徴である日々仕訳は、事業別など多様な財務諸表を迅速かつ正確に作成することができ、行政運営の効率化に非常に有効でございます。
 そこで都は、今後とも新公会計制度普及促進連絡会議などを通じまして、日々仕訳や国際基準に近い財務諸表による新公会計制度の推進に全力で努めてまいります。

○長橋委員 ぜひ、この東京都方式を全国に広げるよう、リーダーシップをとっていただきたいと思います。
 次に、工事の入札契約に関して質問をしたいと思います。
 東日本大震災の復興需要に加えて、オリンピック・パラリンピックに向け、都においても工事が増加をしているわけであります。そうした中で、建設資材の単価の上昇、現場における技術者の不足など、昨今の公共工事を取り巻く状況は非常に厳しくなっております。
 工事の入札不調の問題においても、最大の要因は価格面でのミスマッチだと感じておりますけれども、もう一方で大変大きな問題は、現場における人手不足の問題であります。
 そのような観点から、私は昨年の予算特別委員会の総括質疑において、技術者不足への対策として、主任技術者の専任配置義務の緩和について質問をさせていただきました。これに対して都は、専任技術者の緩和に向け準備をし四月から実施をしていくとの答弁でございました。去年の四月から実施をしていく。
 そこでまず、主任技術者の専任配置義務の緩和制度を利用して入札に参加した事業者はどのぐらいあったんでしょうか、伺います。

○中井財務局長 主任技術者の専任配置義務の緩和は、既に施工中の工事との間の一体性、連続性が認められる場合などに技術者の兼務ができる制度として、本年度から実施しているものですが、十二月末での九カ月間に十三件の工事で制度適用の申請がございました。

○長橋委員 この制度を活用したところがあったというところでございまして、ぜひ周知をさらに図っていただきたいと思います。
 そうした中で、特に高密度の市街地工事におきましては、大変困難な現場が多い、また、現場を進めていくに当たっても、東京ならではの困難性があろうかと思います。
 しかしながら、現場の技術者不足の解消に向けては、まだまだ私は十分といえないと思います。これ以外にも、さまざまな状況に対応する必要があろうかと思います。
 例えば技術者が少ない中小企業の場合は、工事が集中する今どき、年度末の時期などには専任技術者を確保できず、新年度早々から工事の受注が困難になっていると、このようにも聞いております。
 都は、技術者を切れ目なく効率的に配置できるよう、年間を通して工事発注の平準化を図る対策を進めていることは承知をしておりますが、工事を継続的に、事業者の方からすれば継続的に受注をしていきたい、こういうためには、年度末に終わる工事に続く次の工事の入札に早く参加をしたい、このように考えているわけであります。そういう事業者が参加の機会を逸していることについても、実効性ある対策が私は必要であろうかと思います。
 そこで、年度末の技術者不足という喫緊の課題への対応について見解を伺いたいと思います。

○中井財務局長 本年度から、いわゆるゼロ都債を活用し発注を前倒しする工事におきまして、年度内には技術者の配置を要しない技術者配置準備期間というものを試行的に設定することといたしました。
 これにより、三月末の竣工に向けて工事を施工中のため、技術者を確保できない中小企業を初めとした事業者も、年度内に契約し、翌年度早期に着手する工事への参加が可能となりました。
 本年度、この制度を適用した実績は四十八件に達しております。
 引き続き都は、現場の技術者不足に対し、運用の改善などの工夫を通じて、入札に参加しやすい環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。

○長橋委員 技術者配置準備期間を試行的に設定するということでございます。年度末まで工事をしている、そして新年度から早々に工事をしたい、でも、新年度からの契約は三月に行われると。そうしますと、この技術者というのが、工事が始まっていないにもかかわらずいなきゃいけないと。こういうことを解消するということでありますので、実績は四十八件あるということでございますので、これは中小企業にとってみれば、仕事が継続できる、せっかく仕事をとれるのに、こうしたことでできないというのは、事業者にとっては大変に困難な、難しいことであると思いますので、よろしくお願いいたします。
 ぜひ、これまで取り組んできた入札契約制度の成果をしっかり活用して、この運用面の改善をさらに図っていただきたいと思いますし、ましてやオリンピック・パラリンピック開催に向け、施設整備に万全を期すのはもちろんのこと、この東京の課題である老朽化対策や災害対策など、東京の社会インフラ整備、そして維持に全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、文化振興についてお伺いをいたします。
 ことし創立五十周年を迎える東京都交響楽団の今後の活動について、まずはお伺いしたいと思います。(小林生活文化局長発言を求む)いや、まだ。
 以前、我が党の代表質問でお尋ねした際に、創立五十周年に当たる年にヨーロッパへの記念公演が予定されているとの答弁がございました。いよいよ首都東京の音楽大使、東京都交響楽団が音楽の本場、ヨーロッパへの諸都市へ満を持して遠征公演を行うということで、都民の期待は、私は大変高いと思います。
 東京オリンピック・パラリンピックを見据え、五十年目を迎える都響が世界に羽ばたくための活動がいよいよ始まるということでございまして、東京都交響楽団の今後の活動について、局長、伺います。

○小林生活文化局長 失礼いたしました。東京都交響楽団では、創立五十周年を迎えることし一月、前文化庁長官の近藤誠一氏が新理事長に就任をいたしました。近藤氏は、外交官としても国際舞台で活躍をされておりまして、四月に就任する大野和士次期音楽監督とあわせ、都響を国際的にアピールできる最高の布陣を敷くことができたと考えております。
 ことし十一月からのヨーロッパ公演では、ストックホルムを皮切りに、アムステルダム、ベルリン、ウィーンなど計六都市で、その都市を代表するホールを会場に、都響のために日本人作曲家に委嘱した新曲など、大野次期音楽監督の指揮による意欲的なプログラムを演奏いたします。
 今後、東京文化ビジョンの素案で加えましたオリンピック文化プログラムに先駆けて実施するリーディングプロジェクトや、都内の音楽ホールを中心として展開する世界クラスの新たな芸術祭におきまして、都響が中核的な役割を果たせるよう、都としてもしっかり支援を行ってまいります。

○長橋委員 この五十周年を機に、世界に羽ばたくとしているわけでございます。ぜひヨーロッパ公演、大成功して、日本にこの東京都交響楽団ありというすばらしい演奏を期待しています。
 続いて、今ご答弁がありました東京都交響楽団のように、東京の文化的魅力を発信する存在がある一方で、都内の各地域にはそれぞれさまざまな文化活動を地道に続けている人々もおります。
 昨年末に、私の地元で恐縮ですが、私の地元豊島区では、雑司が谷で郷土玩具、すすきみみずくの保存、地域文化拠点の発信拠点となる雑司が谷案内処の設置、運営などに地元の人々が大変長年にわたって活動されてきまして、日本ユネスコ未来遺産に登録認定をされたわけでありまして、地元では大変な喜びでございます。このような活動も、文化的特色や魅力を形成しているんだと私は思います。
 そこで、このような地域で文化活動を行う人々を支援することで、都内の文化拠点の魅力をさらに高めていくべきであろうかと思いますが、見解を伺います。

○小林生活文化局長 大規模な文化事業の展開や文化施設の機能強化とともに、地域で守り受け継がれてきた伝統行事や郷土芸能、そこに根差した芸術文化事業も、都内の文化拠点の魅力を向上させるための重要な要素でございます。
 これまでも都は、都民芸術フェスティバルにおける地域に伝わる郷土芸能を初め、地元のまちづくり協議会やNPOとともに行う地域特性を生かしたイベントなどを実施し、文化活動を支援してまいりました。
 今後は、こうした事業を引き続き展開するとともに、郷土芸能や地域の文化資源を紹介するプログラム等に対する新たな助成制度も活用し、都内各地の活力や魅力を高めるための文化活動を積極的に支援してまいります。

○長橋委員 こうした地域の文化、これをぜひ大事にし、育てていただきたいと思います。
 東京の文化的魅力を世界に発信する上で、今お話をいたしました東京都交響楽団、さらには地域の文化活動への支援も大切でありますが、やはり東京として文化創造発信拠点としての都立文化施設も欠かせない存在であろうかと思います。
 都が先ごろ示した東京文化ビジョン素案では、東京における文化発信の重要な発信源として、都立文化施設を挙げているわけでございます。都内各地には数多く集積する美術館、博物館、そして音楽ホールや劇場、映画館などの役割をこれまで以上に考えていかなければならないと思います。
 特に、東京から世界に向けた文化芸術発信の中心の役割を担うのは、東京文化会館、東京芸術劇場、さらには江戸東京博物館など八カ所の都立文化施設がございます。
 前回、いわゆる昭和三十九年の東京オリンピックのときには、都立の文化施設といえば、上野の東京都美術館と東京文化会館の二カ所しかなかったわけでございます。現在、八カ所にまでふえ、江戸東京の歴史から現代アート、最先端の舞台芸術まで、多彩な東京の文化的魅力を伝えていくことができるわけであります。
 これらの施設を活用して、二〇二〇年大会に向け東京の文化発信を進めていくことが重要であろうかと考えます。
 そこで、広く世界に向けた発信の中核として、文化ビジョンで改めて位置づけた上で、この都立文化施設の機能充実をさらに図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○小林生活文化局長 都立文化施設では、大規模改修を計画的に行うことはもちろんのこと、多言語化やWi-Fi環境を整備するとともに、東京の芸術文化の創造発信拠点としての機能の充実をしっかりと図る必要がございます。
 このため、舞台芸術や音楽では、東京芸術劇場の野田秀樹芸術監督が進めております海外の劇場との共同公演など、内外の一流の劇場等との連携による事業を強化してまいります。
 また、美術分野でも、現代アートの分野で新人賞を受けるなどした有望なアーティストに、現代美術館等で創造や発表の場を提供するとともに、先端技術との融合など新たな芸術の発信の場としての機能も強化をしてまいります。
 さらに、子供や青少年に向けて、プロの芸術家によるすぐれた芸術文化体験の場としての活用も積極的に図ってまいります。
 今月末に策定する東京文化ビジョンでは、施策の中に今後の各都立文化施設の運営方針を盛り込み、来年度以降、これに基づいた取り組みを具体化してまいります。

○長橋委員 豊島区池袋には東京芸術劇場がございます。野田秀樹芸術監督が就任されて、大変期待をしておりますので、ぜひ魅力の向上、さらに高めていただきたいと思います。
 それでは、一方で、海外からの観光客は、一つの文化拠点だけに行くわけではございません。東京、あるいは近県の複数の文化施設や文化拠点、さらには観光地をめぐって、日本の文化に触れるものでありますし、そうした希望が多いと思います。
 我が党は、昨年五月、オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、我が国の文化芸術の一層の振興を図るため、政府に対して、我が国の文化芸術を全ての人々のために、世界の文化の発展のためにという提言を行いました。
 この提言の中で、劇場など公演情報へのアクセス環境の整備や、公演や展覧会などのチケットの電子チケット化にも触れているわけでございます。
 現在、お伺いしましたら、東京にはこのぐるっとパスというのがあります。(実物を示す)これは冊子になっていまして、それを一つ一つ、全部が無料じゃないですね。割引券の方が多いぐらいなんですけれども、これをちぎって参加していくと。
 ところが、このぐるっとパス、どちらかというと、愛好家の人には大変すばらしいパスだと思いますけれども、海外からいらした観光客にとってみれば、使い勝手ももう一歩かなと思うわけでありますし、また、このぐるっとパスに入っているのは、都内に限定してスタートしたということがございます。
 また、よく見ると、有名な美術館も参加していない。そうした施設も若干あると聞いておりますし、そうした意味では、この文化施設へのチケット、アクセスのための環境をどう整備していくかということは重要であろうかと思います。
 知事が、東京は世界第四位--文化の面では、そうした電子チケットみたいな取り組みは、ロンドン、ニューヨーク、パリではもう既に行われていると聞いております。
 そこで、文化芸術へのアクセスを容易にするためにも、これらの文化施設や文化拠点が東京、ひいては首都圏全体で拠点の枠を超えて、東京を超えて、ネットワークを組んで、芸術文化都市としての魅力を向上させていくことが、また、世界一の都市東京に向けての重要な取り組みであろうかと思いますが、知事、いかがでしょうか。

○舛添知事 東京が文化の魅力を国内外に発信していくためには、都内を初めとして首都圏に数多く存在します国公立の民間の文化施設が連携することが非常に有効でございます。
 私は、知事就任以来、都内や近県のさまざまな美術館や博物館を訪ね、直接館長と意見交換をしてまいりましたけれども、例えば多摩には地域で特色を出している美術館があるなど、どの施設も魅力的でございまして、そのポテンシャルは非常に高いと感じております。
 また、各館長からは、文化施設の連携の重要性や都立美術館による支援、情報発信面での都の支援を求める声も伺っております。
 こうした文化施設が、上野など各文化拠点の地域内にとどまることなく、広域ネットワークを形成するということが、首都圏全体の魅力向上につながると思っております。
 今後、都立文化施設が推進の中核となりまして、ICカードによる広域共通パスの導入、開館時間の延長や多言語化、さらにWi-Fi環境の整備などを進めるともに、広報や企画の面での支援も強化してまいりたいと思っております。
 このため、来年度は、都が先頭に立って首都圏の核となる美術館、博物館に呼びかけて、推進母体を立ち上げまして、文化施設のネットワーク化に向けた取り組みを加速化させたいと思っております。

○長橋委員 やはりこうした取り組みが世界から評価される要因にもなろうかと思いますので、知事がリーダーシップをとって、ぜひこの取り組みをオリンピックからじゃなくて、いち早く進めていただきたい、このように思うわけでございます。
 続いて、今度は話題を変えまして、介護報酬の問題についてお伺いをしたいと思います。今回の介護報酬と介護保険料の関係でございます。
 国は、来年度から介護報酬を全体で二・二七%引き下げることを決定いたしました。これに伴って、介護事業者の収入が減少し、職員の給与は下がり、職員の確保が困難になり、ひいては介護難民がますますふえる事態になりかねないといった批判の声が聞こえてくるわけでございます。
 しかし、社会保障制度は、何よりも持続可能性が担保されることが重要であります。さきの本会議で我が党の代表質問でも答弁があったとおり、今回の改定は、国の社会保障審議会の答申に基づいたものであり、改定率は、各サービスの収支状況を踏まえて算出されたものであると、こういう答弁がございました。
 介護報酬の原資は、もちろん介護保険料と税金が半々であり、いずれも国民が負担するものでございます。介護報酬全体が引き上げられれば、介護保険料の大幅な上昇を招くことになりかねません。
 そこで、いわゆる共産党や一部の労働組合が中心となって、介護報酬の削減には反対、介護保険料の引き上げも反対といった署名運動が行われておりますけれども、余りにも乱暴で一方的な議論であり、私は責任ある公党として、そうした対応をすることはおかしいと思います。
 そこで、一部の方が主張するように、介護報酬を引き上げても、六十五歳以上の方が負担する保険料を引き下げることができるのか、まずは、これについて伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 介護報酬は、事業者が介護サービスを提供した場合に、その対価として支払われるものでございまして、このうち、介護報酬から利用者負担分を差し引いた介護給付費等は、保険料と公費で五〇%ずつ負担することとなっております。
 そのため、制度上、介護報酬が引き上げられた場合には、介護給付費は増加し、区市町村が決定する六十五歳以上の方が負担する介護保険料の上昇にもつながることとなります。

○長橋委員 まさに自明の理でありまして、介護報酬が引き上がれば介護保険料も上昇する。今、局長が、まさに明快な答弁をしていただいたとおりでございます。
 二兎を追うような一方的な議論ではなくて、介護保険制度を持続可能なものにしていくための地についた建設的な議論をされるよう強く求めておきたいと思います。
 この報酬全体が引き下がる中で、介護の現場で働く方の中には、もらえる給料が減ってしまうのではないか、いわゆる介護報酬を引き下げるということを受けて、そう思っている方もまだいらっしゃるんです。そうした方も、私のところにはお問い合わせが来ております。
 今回の報酬改定では、介護職員の賃金を上げるための処遇改善加算の拡充が予定をされております。
 国の説明では、現行の介護職員処遇改善加算では、一人当たり月額一万五千円相当、新たに創設される加算区分については、月額一万二千円相当が上乗せされると聞いております。
 そこで、介護職員処遇改善加算に新たに創設される加算区分では、どのようにして処遇改善を図る仕組みになっているのか、また、現行の加算の都内事業所の取得状況をあわせて伺いたいと思います。

○梶原福祉保健局長 今回の介護報酬改定の改定率は、全体ではマイナスとなっておりますが、職員の処遇改善については充実が図られております。
 現行の処遇改善加算は、キャリアパス要件等を満たすかどうかにより、三段階に分かれておりまして、職員一人当たり月額一万五千円に相当する最上位の加算Ⅰは、職位、職責等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること、または、職員の資質向上のための計画を策定して研修の機会を設けることのいずれかを満たすことなどが要件となっております。
 本年四月から新たに創設される加算区分では、その両方を満たすこと等を要件といたしまして、さらに月額一万二千円相当が加算されることとなります。
 現行の加算につきましては、本年一月一日時点で、都内事業所の八三%に当たります八千七百六十三カ所から届け出がございまして、そのうち、最上位の加算Ⅰを取得している事業者が九八%を占めております。

○長橋委員 今、局長からご答弁があったとおり、それをわかりやすくしたのがこの図でございまして、(パネルを示す)現状は、この加算Ⅰ、Ⅱ、Ⅲのうち、加算Ⅰの説明がございました。これについて、この現状の加算Ⅰに、この最上位の加算Ⅰを取得する事業者が九八%もいると、こういうことでございます。
 さらに今度は、ここに書いてあるとおり、キャリアパス要件の〔1〕か〔2〕、どちらかをしていれば加算Ⅰだったのが、新たな加算区分では、両方満たせば、さらに一万二千円プラスをして、二万七千円相当がアップをするということでございまして、こうしたことを、ただ介護報酬云々という話ではなくて、しっかりと説明をしていくことによって、持続可能な社会を築いていけると、このように思うわけでございまして、都としても、また私も、こうした説明をしっかりと重ねていきたいと思っております。
 続いて、介護報酬の次は、知事も選挙公約にも掲げていました待機児童の問題について伺いたいと思います。
 待機児童解消を図るために、区市町村が地域のさまざまなニーズに応じて多様な保育サービスを適切に組み合わせ、拡充できるよう、都は、区市町村の取り組みを柔軟かつ強力に支援していくことが重要でございます。
 我が党も、保育を必要としている全ての人に対して、安心して子供が預けられ、働くことができる社会の実現を目指して、これまでも待機児童解消を繰り返し繰り返し求めてまいりました。
 そこで、知事の熱い思いも込めて、待機児童解消に向けた知事の決意を改めて伺いたいと思います。

○舛添知事 待機児童を解消するためには、保育の実施主体であります区市町村が、地域の実情に応じて、認可保育所、認証保育所、認定こども園など、多様な保育サービスにより整備を進めていくことが必要であります。
 そのため、都はこれまで、区市町村や事業者の負担軽減、都有地の減額貸付、国有地、民有地の賃借料補助など、都独自のさまざまな支援策を実施してまいりました。
 昨年十二月に策定しました長期ビジョンでは、選挙時の公約であります待機児童の解消ということのために、平成二十九年度末までに、保育サービスを四万人分ふやす目標を掲げ、各年度の具体的な工程表をお示しいたしました。
 そのために、来年度は、保育サービスの整備促進策に加え、保育士の確保、定着を促進するためのキャリアアップ導入への取り組みや、保育の質の向上に向けた取り組みへの新たな支援策も講じてまいります。
 今後とも、待機児童解消に向け、さまざまな施策を講じ、区市町村の取り組みを強力に支援してまいります。

○長橋委員 待機児童を解消するという長期ビジョンに示された目標は、知事の思いで、既に選挙公約でいっていたことでございます。答弁にもあったとおりでございます。
 都有地の貸し付けなどで施設の増設が見込まれる中で、あわせて重要なのが、今度は保育の質の問題であります。質の確保が重要であろうかと思います。
 保育を利用する子供の中には、障害児やアレルギー児など、特に配慮が必要な子供がふえていると聞いております。
 こうした現状を踏まえて、我が党は、昨年の第三回定例会代表質問におきまして、障害のあるお子さんの受け入れが、地域の保育所で進むよう求めたところでございます。
 特別な配慮が必要な場合であっても、多様な保育サービスの中から自分に合ったサービスが選べるよう、全てのサービスに一定の質が確保されていることが望まれるわけでございます。
 そこで、こうした保育ニーズに応えていくべきと考えます。障害児、アレルギー児、こうしたお子さんにも、保育のニーズにできるような体制を整えていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○梶原福祉保健局長 都はこれまで、区市町村が地域の実情に応じて多様な保育ニーズに対応できるよう、子育て推進交付金や包括補助による支援を行いますとともに、社会福祉法人等が設置する認可保育所に対しましては、サービス推進費補助による支援を行ってまいりました。
 来年度は、障害児やアレルギー児などの特に配慮が必要な児童に対する保育の充実を図るため、サービス推進費補助を再構築し、保育サービス推進事業を創設いたします。
 この新たな事業では、株式会社やNPOを含む全ての事業主体を対象に、認可保育所、認定こども園、認証保育所、小規模保育等の多様な保育サービスを幅広く支援することとしております。
 今後とも、保育サービスの向上に向けた区市町村や事業者の取り組みを積極的に支援してまいります。

○長橋委員 まさに、特に配慮が必要な児童に対する保育の充実を図るために、このサービス推進費補助を再構築するということでございます。
 我が党が一貫してこうした問題に取り組んできたところでありまして、ぜひしっかりと推進をお願いしたいと思います。
 この子育て支援に関連して、一問、このシャープ八〇〇〇番についても聞いておきたいと思います。
 それは何かといいますと、シャープ八〇〇〇番に電話しても、なかなか通じにくいという声をよく聞くようになりました。
 また、都における平日の実施時間は午後十時まででありますけれども、翌朝まで実施している自治体も多いというふうにも聞いております。
 そこで、ぜひ回線数をふやし、時間を延長するなど、実施体制を改善すべきと考えますが、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 お話の小児救急電話相談シャープ八〇〇〇は、平日は午後五時から午後十時まで、土日、休日は午前九時から午後五時まで実施しておりまして、保健師、助産師等の相談員が対応し、必要に応じて小児科につないでおります。
 現在、シャープ八〇〇〇は、平日四回線を確保しておりますが、電話が通じにくいときがあるということは課題として認識しております。
 今後、他県の実施状況も参考にしながら、実施時間帯等も含め、より利用しやすくなるよう、実施体制の改善に向け、検討を行ってまいります。

○長橋委員 検討するということでございますので、もちろん時間帯の延長、また、つながりやすい体制、なるべく早く整えていただきたいと思います。
 それでは、続いて教育問題についてお伺いをいたします。
 さきの質問でも、我が党の野上議員が、高校中退対策について取り上げまして、前向きな答弁をいただいたところでございます。私も重ねて、この高校の中途退学問題についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 高校の中途退学の状況は、数としては減少傾向にあると、このように聞いておりますけれども、平成二十五年度でも全国で五万人もいると。五万人を超えるという状況でありますし、東京においても、都立高校だけで三千二百人もいるわけでございます。
 中でも、この中退、一番多いのが高校一年での中退でありまして、これが全体の六割を占めているということでございます。なおかつ、時期としては、高校に四月に入学して、六月、七月あたりで中退してしまうことが多いと。中には、入学した途端に学校に行けなくなってしまう、こういうケースも多々あるそうであります。
 中退の理由は、大きく三つあるそうでありますけれども、学校が合わない、環境が合わない、また、友人関係で行けなくなってしまう、学力不振で行けなくなってしまう。せっかく進学校に入っても、そこで壁に当たって行けなくなってしまう、さまざまなケースがあるわけでございます。
 都は、そうしたことを受けて、既に不登校経験者や中退者を受け入れるチャレンジスクール、定時制高校を設置しておりますけれども、この入学選抜の倍率が一・七倍を超える高い倍率で、本当に狭き門になってきていると、このように聞いております。
 そう考えると、このチャレンジスクール、また定時制でも救い切れていないと、こういう状況であろうかと思います。
 また、さらに、私立の通信制高校など、サポート校も含めて行きますと、経済的負担が多いと。一部には、年間で百万円かかるという話も聞いております。
 そこで、経済的負担が少なく、学校をかえる、いわゆる環境を変えることができるのが、私はこの東京都が先駆的に始めた補欠募集制度であろうかと思います。
 都立高校は、毎年三回補欠募集を行っております。八月と十二月と三月、学期ごとに補欠募集をしているということであります。
 特にこの年三回の募集のうち、特に高校一年生の第二学期補欠募集が八月に行われるのですが、この高校一年の第二学期補欠募集は、例えば普通科から専門学科への変更もできる。全日制からやはり定時制に行くこともできる。もちろん私立からもオーケーでございます。また、一学期なんで、履修単位も問わない。こういうことがあって受検しやすくなっているわけでございます。
 そこでまず、昨年八月に実施した一年から三年までの補欠募集全体の募集人員、それから受検人員、合格人員、どうであったのか、また、その他の補欠募集、八月以外の補欠募集もどうであったのか、数も含めてご答弁をお願いします。

○比留間教育長 平成二十六年八月に実施した都立高校の補欠募集の実施状況は、全日制においては、募集人員四千三百二十三人、受検人員二百七十一人、合格人員八十人で、受検率は六・三%、合格率は二九・五%でございました。
 定時制においては、募集人員二千九百十七人、受検人員六十二人、合格人員五十八人で、受検率は二・一%、合格率は九三・五%でございました。
 また、同じ二十六年三月及び十二月に実施した補欠募集におきましても、全日制、定時制ともに受検率、合格率は、八月に実施した補欠募集とほぼ同様の数値でございました。

○長橋委員 今初めてこの数字が明らかになりました。今まで募集人員は、取りまとめて公表していたんです。ところが、募集人員に対して何人受検して、何人合格したのかは明らかになっていなかったんです。
 今、答弁のあったとおり、全日制でおよそ四千三百人の募集人員に対して、合格者はわずか八十人。定時制では二千九百人の募集人員に対して、合格はわずか五十八人。この受検率が全日制で六%、定時制に至れば二・一%しか受検されていない、こういうことでございます。
 それだけ募集人員の門戸を広げておきながら、この受検する人も、さらに合格する人はわずか数%だと、こういうことでございます。
 これはひとえに、募集人員に対して、受検者数、合格数が明らかになっていなかったということが、私は原因ではないかと、このように考えているわけであります。
 高校入学後、さまざまな事情により、入った高校で学業を続けられなくなる生徒がいることを考えると、特に高校一年の八月に実施する補欠募集は、私は重要であろうかと思います。
 何の対策も講じなければ、それらの生徒は高校からドロップアウトをして、中途退学者となってしまう、中卒になってしまうということであります。後で知事にお見せしますが、高校中退者の七割が、アルバイトや何もしていないというのが七割もいるというんです。
 そういったことを考えると、補欠募集の制度は、中途退学者の増加防止に有効な方策と私は考えます。
 転学により生徒を中途退学させず、補欠募集を生徒の学業継続のための有効な制度とするためには、この制度について、結果を公表しなきゃいけない。そして、それを周知していかなきゃいけない。特にポイントは、学校別に、この結果も含めて公表すべきであろうかと思いますが、教育長の見解を伺います。

○比留間教育長 都教育委員会は、補欠募集について、生徒の入学後の進路変更希望に応え、教育を受ける機会を確保することを目的として行うことを明らかにするため、平成二十六年二月に、実施要綱を改正したところでございます。
 この要綱改正について、これまで高校には周知をしてまいりましたが、生徒が卒業した中学校に転学の相談をすることがあるために、今後、区市町村教育委員会や校長会などに説明するなど、中学校に対しても、補欠募集の制度について周知を図ってまいります。
 また、高校、中学校等が適切に転学先等について指導助言できるよう、今後、補欠募集の選考結果については、一般入試と同様に、学校ごとの受検人員や合格人員について公表してまいります。

○長橋委員 今後、学校ごとの受検人員、合格人員についても公表していくと、こういうことでございました。これは、私は大変大きな答弁であろうかと思います。
 この制度をお伺いすると、中学校の先生は、ほとんど知らない方が多い、このようにも聞いております。ましてや、私立の中学校、高校の先生は、この制度について知らない。
 先ほど申し上げましたけれども、高校に入って、中退者の六割は高校一年だと。なおかつ六月七月が多い。ほとんど学校、高校へ行けていないわけです。
 どこへ相談に行くといったら、送り出してくれた中学校の先生じゃないでしょうか。その中学校の先生が、どこの学校がどのぐらい合格しているのか--その子のことを一番わかっているのは中学校の先生だと思うわけであります。
 高校の先生は、せっかく自分の学校に入ったのに、もううちの学校に来なくていいよとか、やめたらとは、なかなか高校の先生はいえないんです。
 ぜひ、きょうの答弁で、いち早く中学校の先生、私立も含めて周知を図っていただきたい。私は、これが大きな、中途退学を阻止する、増加を防止する有効な方法であろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、今度は高校中退者への支援についてお伺いをしたいと思います。
 実は先日、この間の三月七日、しごとセンターが実施した高校中退者や保護者、さらには高校の進路指導担当者を対象としたセミナーがございまして、私も参加をしてまいりました。
 セミナーに参加して、都立高校補欠募集の活用で高校中退者をいかに減らせるかなどについて、非常に私は参考になったところでございます。
 そこで、今回の、高校中退、そうしたテーマにしたセミナーは、しごとセンターでは初めてやった、このようにお伺いをしておりますけれども、まずは今回、セミナーをなぜ開催したのか、開催の目的、さらにはその内容、そして、こうしたセミナーは、ぜひ継続をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○山本産業労働局長 しごとセンターでは、高校の中途退学者を含むフリーターに対しまして、就業支援を行っているところでございます。
 今年度は、中途退学者や保護者、進路指導担当者を対象にいたしまして、相談先の情報提供や将来を考えるきっかけづくりを目的といたしまして、セミナーを開催いたしました。
 セミナーでは、教育庁や地域の支援機関等と連携いたしまして、NPOの専門家を講師に招いて今後の進路を考えるためのアドバイスを行うとともに、参加者と中途退学の経験のある若者との意見交換を実施いたしました。来年度は、二回開催する予定でございます。

○長橋委員 こうしたセミナーは、来年度は二回開催をするということでございます。このセミナーに中途退学の経験のある若者も参加していたんです。私が行きましたら、お会いをいたしました。今や非常に明るくなって、将来に希望を見出しているような表情を--東京都の職員も一緒にいましたので、お互いにそんな話もしたところでございまして、ぜひ継続をしていただきたいと思います。
 そこで、この事業の継続をぜひお願いしたいと思いますし、その会場はちょっと人数が、そんなに広いところじゃなかったので、もっともっと大勢の人に募れば参加もするんだろうと思いますし、自分の子供がそういう中退、不登校になっている保護者の皆さんはわらをもすがる思いでありますので、ぜひ継続をお願いしたいと思います。
 次に、高校を中退した若者の中には、フリーターなど非正規雇用となる者も少なくございません。都は来年度、非正規雇用対策として新たな助成金制度を初めとした取り組みを開始いたしますが、一人でも多くの若者が正規雇用になれるよう、制度の周知を図って企業側に働きかけていただきたいと思います。
 そこで、この助成金制度などを含め、広くこうした非正規雇用対策の周知を図るべきと考えますが、見解を求めます。

○山本産業労働局長 都は来年度、年間五千人の正社員化に向けまして、しごとセンターでの取り組み等とあわせて、二つの助成金を創設いたします。
 一つは、国の若者応援企業が正社員を採用して六カ月職場定着をした場合に、一人当たり十五万円の奨励金を支給して、千人の正社員化を後押しするものでございます。
 もう一つは、社内での正社員転換に最高五十万円を支給し、国と合わせまして最高百万円とすることで、千五百人の正社員化を図ってまいります。
 実施に当たりましては、企業向け説明会のほか、人事労務の専門家に制度を説明して企業への働きかけを促すとともに、車内広告、国と連携したPR、事例集配布等によりまして幅広く周知を図ってまいります。

○長橋委員 知事、今、中途退学について質疑を重ねてまいりました。(パネルを示す)この表は、皆さんにお配りしていますけれども、これは教育庁が調査した結果でございます。先ほどもいいましたが、中途退学者の多くは、何もしていなかったり、アルバイトに従事、これがおおよそ七割いるんです。中退だとアルバイトか、何もしていない。ひきこもりも入っているかもしれません。
 それから、中途退学者は、退学後、公的支援機関を余り利用していない。中途退学者、特に利用したところはないというのが六六%もあるわけであります。こうした生徒にしっかりと行政が支援をしていく、これが私は大変重要だろうと思うわけでございます。
 知事が我が党の本会議の代表質問に対して、若者が安定した雇用を実現し、生活の不安をなくすことで、新しい人生への可能性があると、このように答弁をされました。中退しても新しい人生の可能性があることを知事は含めていわれたんだろうと思います。
 また、施政方針において、高校中退の問題は雇用の問題にもつながる大きな課題であり、知事と教育委員会が力を合わせて取り組んでいくともいわれました。
 高校を中退した若者に対して支援の手を差し伸べるため、中退対策を初めとした就業支援--将来は働かなきゃいけないんです。支援に関係部署との連携をとり、この問題について知事が先頭となって全庁を挙げて取り組むべきと考えますが、知事の決意を伺います。

○舛添知事 少子高齢、人口減少社会の到来という東京が直面する課題の解決のためには、次の世代を担う若者が能力や個性を十分に発揮して、社会の一員として生き生きと活躍することが不可欠でございます。しかし、多くの高校中途退学者が生じておりまして、将来の展望が見えずにいるのが現状でございます。
 高校中退の問題に対しましては、まずは中途退学の未然防止に取り組むことが必要であります。また、中途退学をしたとしても、復学や進学、就職など多様な選択肢を与え、再チャレンジを可能にすることが求められます。
 就業に向けましては、若者に対して、関係機関が協力して働きかけを行い、きめ細かな支援を実施していくことが重要であります。
 このため、先般、私と厚生労働大臣との間で雇用対策協定を締結しましたけれども、その協定に基づきまして、運営協議会を直ちに先月立ち上げたところであります。その中で、国のハローワークとの連携を一層強化するとともに、雇用、教育、青少年対策などの分野の庁内各局が一体となって取り組みを進め、総合的な対策を講じてまいります。
 若者たちが新しい人生の夢と希望を持つことができるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

○長橋委員 ぜひ、将来の東京を担う、日本を担う、こうした若者に全庁を挙げて取り組んでいくということであります。たとえ中途退学をしたとしても、どこかに必ず才能があるわけでありますし、そうしたことをきちっと東京がフォローアップしていく、こうした体制をぜひ今回を機に強化をしていただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
 続いて、住宅対策について質問をいたします。
 我が党は、さきの代表質問で、高齢化の進展や介護の増大、または子育て支援の充実には、全ての行政サービスの基盤である住宅政策の強化が必要と訴え、都の取り組みをただしたところでございます。
 そこで、東京の最大の弱点である木密地域の改善を加速するため、住宅などの不燃化、建てかえを推進する不燃化特区制度について質問をしたいと思います。一問であります。
 都は、地域危険度が高く老朽化した木造住宅が密集する約七千ヘクタールの整備地域の不燃化は、都民の生命、財産を守るため、一段と加速をしていかなければなりません。その加速度を増す起爆剤となるのが、都が推進するこの不燃化特区制度でございます。
 ところが、我が党の議員が現場で聞いてきた声がございます。特区制度の戸建て建てかえ助成は、事務所、店舗、倉庫などの建物は対象外であることであります。そのため、商店街の建てかえが進まない、また、避難道路の沿道に老朽化した事務所、店舗があり、倒壊したら避難さえ困難になる、そうした声を聞いてきたところであります。
 こうした声を受け、都議会公明党は、昨年六月に当時の藤井都技監に、実効性ある不燃化特区制度に改善すべきとの要望書を出させていただきました。さらには、第三回定例会でも制度の改善を求めてきたところであります。
 そこで改めて、この不燃化特区の現場の状況を踏まえて、戸建て建てかえ助成の対象を拡大すべきと考えますが、見解を伺います。

○安井都市整備局長 不燃化特区制度の建てかえ助成は、建物用途の二分の一以上が住宅であることを要件としてございます。
 これまでの先行実施地区などにおける取り組みを通じまして、以前は店舗併用住宅であっても、現在は専用店舗として使われているなど、助成の対象外となる事例が見られてございます。
 地域の不燃化を着実に進めていくためには、こうした建築物についても、住民の意欲を後押しして確実に建てかえに結びつけていく必要がございます。このため、来年度から、助成の対象を住宅に限定せず全ての用途に拡大することといたします。
 引き続き、地域の実態も十分把握しながら、必要な制度の改善を行うなど、区の取り組みを支援いたしまして、木密地域の不燃化を推進してまいります。

○長橋委員 去年から求めてきた改善、今回、対象を住宅に限らず全ての用途を対象にする、これは大変重要な答弁であります。不燃化特区、進めていかなきゃいけませんので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、この整備地域に多いといわれるのが空き家でございます。そこで、東京で八十二万戸ある空き家対策について質問をしたいと思います。
 国では、空家等対策の推進に関する特別措置法が昨年末に制定をされ、先月二十六日にその一部が施行されました。さらには、今後、五月には、危険な状態になっている空き家、いわゆる特定空き家のガイドラインが決められ、この特措法が全面施行されることになります。区市町村の空き家対策が、私はここからいよいよ本格化するんだろうと思います。
 文京区では既に、危険な状態になっている空き家を除去した跡地を所有者から借り上げ、防災など行政目的に活用するといった取り組みが始まっております。空き家の活用を進めるため、都は、来年度から区市町村が実態調査や空き家対策を総合的に実施するための計画策定、高齢者世帯などへの賃貸を目的とした改修助成に対して財政支援を行うとしております。
 しかしながら、地域によって、マンションの多い地域もありますし、低層の戸建て住宅などがある地域もございます。そうした状況は、区市によっても、また地域によってもまちまちであるわけであります。具体的な空き家の活用については、さまざまな手法を駆使していかなければなりません。
 都として、まずは区市町村が利用しやすい制度となるよう仕組みを構築すべきと考えますが、見解を伺います。

○安井都市整備局長 空家等対策特別措置法では、区市町村が空き家の活用を含む総合的な計画を作成し実施すると定められております。計画の作成等に当たりましては、市街地や住宅の状況が地域により異なることから、区市町村が地域特性に応じて創意工夫して取り組むことが重要でございます。
 このため、実態調査や計画策定、空き家の改修に対する助成につきましては、区市町村の取り組み状況や意見を踏まえまして、例えば、実態調査を二カ年に分けて区域ごとに実施する場合も補助対象とするなど、来年度から柔軟に活用できる制度とし、地域の実情に応じた区市町村の空き家対策の取り組みを促進してまいります。

○長橋委員 次に、今後重要なのは、我が党は一貫して住宅政策が重要だといってまいりましたけれども、特に住宅と福祉の連携が重要でございます。
 ひとり暮らしの高齢者は、居室内の事故等に対する不安などから、民間賃貸住宅に入居しづらい状況にございます。住宅に困窮する高齢者や家主の不安を解消するためには、住宅の確保支援だけではなくて、入居後も継続的に生活支援を実施することが重要でございます。
 都は今年度から、住宅に困窮し日常生活に不安のある低所得高齢者に対して、住まいの確保と生活支援を一体的に提供する区市町村の取り組みを支援する事業を開始したと聞いております。
 今年度は、まずは杉並区がモデル事業として、民間団体と連携して、住まいの相談、あっせんや安否確認などを行っていると聞いております。まさに、住宅政策と福祉政策が連携した取り組みであり、今後の取り組みに期待をしたいと思います。
 そこで、今後、他の区市町村においても住宅と福祉が連携した対策が進むよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○梶原福祉保健局長 都が今年度から実施しておりますモデル事業は、区が地域の不動産関係団体や社会福祉協議会等と連携いたしまして、低所得者高齢者等を対象に、アパートの空き室のあっせんと入居後の安否確認等をあわせて行う取り組みでございます。
 来年度は、住宅への手すりの設置や段差解消等のバリアフリー改修を補助対象に加えるなどの充実を図りまして、新たに、生活支援付すまい確保事業として実施いたします。
 今後とも、住まいに困窮した高齢者等が住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、居住支援協議会の設置促進とあわせまして、この取り組みを積極的に推進してまいります。

○長橋委員 ぜひこの取り組みを、まだモデル事業でございますので、拡充をしていただきたいと思います。
 先ほど、東京の課題の中に、高齢者がどれだけふえるか、こんなお話もさせていただきました。それは、イコール独居老人がふえるということにもつながるわけでございます。
 局長が最後に、居住支援協議会の設置促進、このようにいっておられました。福祉保健局長がいっておられましたけれども、いまだ居住支援協議会は全区市に設置をされていない。お伺いすると、まだまだ少ない。さまざまな制度がある中で、居住支援協議会についても--去年、私はこの場で質問しましたけれども、まだまだ進んでいない。ぜひ、この空き家対策を機に、また高齢者の支援も含めて、居住支援協議会の推進をお願いします。
 以上で終わります。(拍手)

○小磯副委員長 長橋桂一理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後四時三十六分休憩