午後一時開議
○鈴木(あ)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
委員会の要求資料について申し上げます。
先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
これより総括質疑を行います。
この際、一言申し上げます。
質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに、振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせをいたします。
この際、委員の皆様に申し上げます。
質疑に際しましては、持ち時間の範囲内で答弁まで行えるようご協力をお願いいたします。
次に、理事者に申し上げます。
答弁に際しましては、委員の質問時間も限られておりますので、短時間で明快に答弁されるようお願いいたします。
なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
これより順次発言を許します。
高木けい理事の発言を許します。
○高木委員 質問に先立ちまして、昨日三月十一日は、東日本大震災から四年の日でありました。被災をされた全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。
さて、東京都議会自由民主党を代表して、総括質疑を行います。
平成二十七年度予算は、知事が編成した初めての本格予算であります。そして知事は、東京を世界で一番の都市へと飛躍させる予算案と表明をいたしております。
東京を世界で一番の都市にするためには多くの努力が必要ですが、そのプロセスを示す十年間の実行プログラムが、昨年末に発表された東京都長期ビジョンであります。その初年度がことしであり、またさらに、ことしは、二〇二〇年までの五年間という区切りの、限られた時間の中での初年度ということでもあります。
つまり、私たちが共有すべきは、第一に、東京を世界で一番の都市にするという目標と強い決意、第二に、二〇二〇年まであと五年しかないという切迫した時間の感覚、そして第三に、その状況の中で、今、何をなすべきかという時代認識にほかならないと思うわけであります。
本日の質疑は、まず、そういう視点で議論を深めていきたいと思います。
最初に、行財政運営について伺います。
改めて申し上げるまでもありませんが、予算を見れば、自治体の目指す姿そのものがわかるといっても過言ではありません。この予算の意味合いを都民にわかりやすくこの場でひもといていくことも、私たち責任政党である都議会自民党の使命でもあります。
そこで、世界で一番の都市東京の実現に向け、この平成二十七度予算編成にかけた知事の思いを改めてお伺いいたします。
○舛添知事 平成二十七年度予算は、私みずから都政の現場を歩き、また、庁内で議論を重ねながら丹念につくり上げてきたものでございまして、都民福祉のさらなる向上と、世界一の都市東京の実現という、私が日々抱き続けてまいりました思いを政策としてしっかりと反映した予算でございます。
今回の予算には、都民が今まさに必要としている施策を最大限に盛り込むことができたと確信しておりまして、長期ビジョンに息吹を吹き込み、東京を世界一の都市へと飛躍させる原動力となるものであります。
申し上げるまでもなく、予算は確実に実行してこそ価値があらわれるものでございます。この予算に掲げました施策を着実に進めることにより、都民サービスの一層の充実と東京の持続的発展を実現してまいります。
○高木委員 今回の予算編成に当たって、知事は、東京を世界で一番の都市にするため、積極果敢に事業を展開していくことを表明しています。その方針は、私たちは大変評価をしています。
そこで、積極予算として編成したことが、具体的に数字として今回どうあらわれているのかを伺います。
○中井財務局長 平成二十七年度予算は、多くの点で近年にない水準となっておりまして、東京を飛躍させるために、積極果敢な政策展開を図るという都の姿勢を明確に打ち出したものでございます。
まず、政策的経費である一般歳出は四兆八千六百八億円となり、平成十九年度以来、八年ぶりに三%を上回る伸びとなっております。
中でも投資的経費は、国が前年度と同水準にある中、二〇二〇年に向けた競技施設の整備や、災害に強い都市づくりの推進などに財源を重点的に配分した結果、平成十年度以来、実に十七年ぶりに一兆円台となっております。
また、歳出を目的別に見ると、三年連続で一兆円を上回っている福祉と保健を初め、教育と文化、労働と経済など、全ての分野で新たに創設する基金を含めた実質的な額は、前年度を上回っております。
○高木委員 東京を世界で一番の都市にするには、長期ビジョンの実現や東京五輪パラリンピックを成功させるための積極的な予算編成が必要であると私たちも実は思っています。
しかし、一方で、財政規律を保つことも重要であります。私たちは過去の教訓を忘れてはならないと思っておりまして、今でこそ東京都政は、この積極予算を組めるようになったんですが、平成十一年度末に財政再建団体の一歩手前まで追い込まれたということを忘れてはならないと思います。そこから二次にわたる財政再建プランがあって、それを実行してようやく財政再建を達成して、今の都財政の水準になっているということであります。
ですから、改めていうまでもないんですが、積極予算を進めながらも財政規律をしっかり確保していく、このことが極めて重要でありまして、今回の予算は、今後の舛添都政の試金石になるといっても過言ではないというふうに思います。
そこで、平成二十七年度予算において、財政の健全性をどのように担保しているのか伺います。
○中井財務局長 ただいま理事ご指摘いただいたとおり、財政の健全性を確保することは極めて大切なものでございまして、今回の予算編成に当たっては、積極果敢な政策展開を支える財政基盤の構築も重要な柱としたところでございます。
具体的には、ゼロベースで事業全般を検証し、必要な見直し、再構築を図ることで施策の新陳代謝を促し、前年度比一・六倍となる約四百十億円の財源を確保いたしました。
こうした自己改革を徹底した上で、都債については、前年度とほぼ同水準とし、結果、起債依存度は六・五%と低い水準を維持しております。
また、基金については、財源として活用可能な基金を九千八百八十億円確保するとともに、集中的、重点的な政策展開が必要な分野に対して、最終補正予算とあわせて、新たに七つの基金を創設いたしました。
これらにより、積極的な施策展開と将来への備えという二つの要請を両立させる予算となったと考えております。
○高木委員 ただいま基金のお話が出ておりましたので、今回、この予算の一つのポイントである基金のことについて伺います。
都には、平成二十七年度末時点の見込みで、合計三十九基金、約三兆円の残高があります。この残高だけを見ますと、東京は富裕なのではないかという議論がすぐに出てくるわけでありますけれども、それは短絡的な議論といわざるを得ないと思っています。
内訳を見ますと、そのうち一・三兆円は減債基金が占めておりまして、さらに、国庫支出金を財源とした基金や東京五輪パラリンピック開催準備基金など、いわゆる使途の明確になっている基金が大変多くあるわけであります。それを除きますと、財源として活用可能な基金残高は約一兆円ということになるわけであります。
この一兆円という基金残高は、都税収入が一年間で約一兆円減収になったという経験を私たちはしているわけでありまして、今後の財政需要などを踏まえますと、決して安心できる水準ではないというふうに思うわけであります。
つまり、こうした過去を振り返ると、都においては、基金あるいは都債、これをいかに適切に活用していくのか、これが財政運営の要諦であることは論をまたないと私たちは思っています。
そこで、今回、平成二十六年度の最終補正予算も含めて、七つの基金を新たに創設した理由についてお伺いいたします。
○舛添知事 東京が世界一の都市へと飛躍するためには、長期ビジョンに掲げますさまざまな施策を戦略的かつ着実に実施し、将来にわたって東京という都市の力を高めていかなければならないと考えております。
そのためには、予算の単年度主義の制約を超えて、複数年度にわたる政策の実施を可能とする基金の役割が非常に重要であります。
今回新たに創設しました七つの基金は、防災まちづくりの推進、福祉先進都市や水素社会の実現など、二〇二〇年とその先の未来に向けまして、今後重点的に取り組むべき施策を、景気の動向にかかわらず、切れ目なく着実に実施していくという強い決意と財政的な裏づけを示したものでございます。
今後、これらの基金を効果的に活用いたしまして、都民福祉の一層の向上、そして世界一の都市東京の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
○高木委員 二〇二〇年とその先を見据えて、東京には解決すべき課題が山積しております。今後の財政需要も膨大であると思います。
今回の基金は、その中でも集中的、重点的に取り組むべき重要課題に対して、目的を明確にして設置されておりまして、都としてこれらの政策にかける決意をはっきりと表明したものと理解をいたしております。
今後は、この基金がどの時期にどのような事業に使われるべきなのか、私たち議会としてもしっかりと議論を深めて、その執行面について継続的に注視をしていきたいと思っております。
次の質問に移りますが、東京の都市づくりについてお伺いをいたします。
知事は、先日の施政方針で、長期ビジョンのさらにその先の、二〇四〇年代の東京のあるべき姿、都市づくりのグランドデザインを取りまとめていくことを表明されました。我が党の代表質問では、基本認識について述べられました。
まず、なぜ二〇四〇年代を目標時期としたのか、改めてその理由についてお伺いをいたします。
○安井都市整備局長 二〇二〇年大会を通過点に、東京も人口減少局面を迎えます。一方、技術も進歩するなど、さまざまな社会の変化が訪れることになると思います。
これらを踏まえまして、都市活力を一層向上させるとともに、豊かでゆとりや潤いある都市空間を回復し、質の高い生活を実現して、将来世代に引き継いでいくことが重要だと考えてございます。
例えば、大手町、丸の内、有楽町地区では、官民で協議会をつくり、ビジネスのみならず、週末もにぎわいのある都心の拠点として機能更新されるまで約三十年の歳月を要しました。都市づくりには、構想から時間がかかります。
また、二〇四〇年代にはリニア中央新幹線が大阪まで開通いたします。幅広い分野におきましても技術革新が進展すると考えられまして、都民の働き方や暮らし方に大きな影響を与えると思います。
このように、今から三十年程度を見据えると、都市やそこで行われる活動も大きく変わっていく、このようなことを推しはかりまして、二〇四〇年代を目標時期と設定いたしました。
○高木委員 二〇四〇年代を目指すというのは、私は非常に適切な判断だったと思っています。今、局長がおっしゃられたように、二〇四〇年代までは、ほぼ人口の動態とか、高齢化の状態でありますとか、かなり見通せる部分がありますので、そこを目指してグランドデザインをつくるというのは大変適切だと思っています。
そこで、二〇四〇年代のグランドデザインを描く上で、何を検討テーマにしていくのか、都民にわかりやすくお示しをすることも大事だと思います。
そこで、都民の理解を得るために、どのようなことをテーマにして、あるいは課題として検討しようとしているのかをお伺いいたします。
○安井都市整備局長 都市づくりのグランドデザインでは、長期ビジョンでお示ししました、おおむね十年後の東京の姿を踏まえまして、さらにその先の社会経済情勢の変化も勘案し、これからの東京が目指すべき都市像や、その実現に向けた道筋について検討してまいります。
例えば、主要なターミナル駅などを中心に、さまざまな都市活動が行われて、経済活力を高めている拠点や、身近な地域におけます生活拠点の育成の方向、鉄道や道路など骨格的な都市インフラのあり方、それらから構成される都市構造についても検討する必要がございます。
さらに、良好な住環境、水や緑のネットワークの形成、エネルギーの面的、効率的な利用を図る都市づくりなど、課題についても検討いたしまして、安全、快適で、広い意味での環境と経済活力とが両立いたします都市のあり方を検討してまいります。
○高木委員 都市づくりのグランドデザインのテーマの一つとして、二〇二〇年東京五輪パラリンピックのレガシーというものも加味されるべきだろうと思います。
我が党は、かねてから二〇二〇年は通過点というふうにいってまいりましたので、そこで、都市づくりのグランドデザインと東京五輪パラリンピックのレガシーとの関係をどう捉えているのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○安井都市整備局長 二〇二〇年大会を契機に、また、ここを通過点といたしまして、東京の都市づくりをさらに進めていくことが重要でございます。
臨海部の選手村などでは、スマートエネルギー都市のモデルを目指すなど、持続的発展が可能で、水辺の環境も生かされた都市づくりが進められていくことになると思います。
競技会場の周辺では、施設整備とあわせまして、道路や鉄道駅のバリアフリー化などが進み、大会後も国内外から多くの人々が訪れ、しかも、安全で円滑に移動できる環境が整備されます。
六四年大会のレガシーの地でもあります神宮外苑では、新国立競技場の建設を契機に、地域の関係者と連携したまちづくりが進み、多様な機能が集積する、にぎわいのあるスポーツ文化の拠点が形成されてまいります。
このように、大会を目指し、その後も進められていく都市づくりや、その間の社会経済情勢の変化を踏まえながら、さらに発展を続けていく東京の都市像をグランドデザインとしてお示ししたいと考えてございます。
○高木委員 大変重要なお話を今、聞かせていただきました。このレガシーと都市づくりの関係、ぜひ慎重に検討しながら進めていただきたいと思っています。
そのレガシーなんですけれども、五輪会場との関係だとか、いろいろなことがあると思うんですけど、都心部がやっぱり中心になると思います。これまでの都の都市づくりというのは、やはり都心部では多様な拠点が形成をされるとともに、羽田空港の国際化、あるいは中央環状線を初めとする骨格的なインフラが整備をされてまいりました。
東京が全体として発展をしていくためには、私は、都心部だけではなくて周辺区部、あるいは多摩部を含めて、やはり東京の均衡ある発展というものも大事なんだろうと思っています。
そこで、周辺区や多摩部については、どのような課題があると捉えているのか教えていただきたいと思います。
○安井都市整備局長 二〇四〇年代を見据えた都市像を描く上で、首都圏を視野に入れ、広域的な視点の中で東京を捉えまして、バランスのよい発展を目指すことが重要でございまして、東京全体の都市像とともに、各地域の課題や特性を踏まえました地域像を明らかにしていく必要がございます。
周辺区部では、かつて特別都市計画法に基づきまして、緑地地域が指定されておりました。現在では、その内側の環状七号線を中心に木密地域が広がっております。高度経済成長期には、多くの大規模団地も建設されており、今後、更新時期を迎える中で、過去の土地利用の経緯や現状を踏まえつつ、こうした地域を安全で快適な市街地へつくり変えていくことが必要でございます。
多摩部では、少子高齢化の進行など、人口動態の変化による課題も顕在してくるのではないかと思われます。仮に、夜間人口の減少局面などを迎えましても、交流人口を伸ばしていくことが重要でございまして、このため、生活拠点を形成する都市づくりやインフラの整備などを進めまして、地域の活力が維持増進され、生活の質の向上が図られた多摩の姿を明らかにしていくことが課題と考えてございます。
○高木委員 東京全体として活力が持てる都市づくりの面で、そういう後押しといいますか、政策をぜひ進めていただきたいと思っております。
グランドデザインの策定は重要な取り組みであるために、十分議論を重ねて検討していただきたいと思っているんですが、いつごろを目途にこの取りまとめを行うのかお伺いいたします。
○安井都市整備局長 今後の都市計画道路の整備の方向性や鉄道ネットワークのあり方について、現在検討を進めているところでございます。
また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催後のレガシーについても、さまざまなテーマで検討が進められてございます。
これらの進捗を踏まえながら、しっかりと腰を据え、骨太の議論を行っていきたいと考えてございます。
都市の将来像を描くためには、ハード部分のみならず、産業経済、文化、環境など、ソフト分野の視点も欠くことはできません。このため、こうした幅広い分野の専門家などからも意見をお聞きした上で論点を整理いたしまして、来年度には、都市計画審議会に諮問したいと考えてございます。調査検討を行っていただき、答申をいただいた上で、平成二十九年度ごろを目途に公表できればと考えてございます。
○高木委員 平成二十九年度を目途に、ぜひまとめていただきたい。
オリンピックは平成三十二年度でありますから、その三年前ということになるんでしょうか。ですから、オリンピックも踏まえて、しっかりと平成二十九年度を目指して、ぜひ精力的に努力をしていただきたいと思います。
二〇四〇年代を見据えたグランドデザインを描くこと、実はこのことこそが、まさに私は、東京五輪パラリンピックのレガシーの一つだというふうに信じています。
私は前からいっておりますように、計画もレガシーと思います。ですから、そのときに何を残すのかということを考えれば、この計画もレガシーでありますから、これからの都市づくりのグランドデザインの検討に着手をするに当たって、ぜひ知事の決意を聞かせていただきたいと思います。
○舛添知事 長期ビジョンでは、おおむね十年後の東京の姿を示してあります。この中でも、都市づくりは、中央環状線の完成に約五十年を要しましたように、構想から実現まで相当の時間がかかりますことから、そのさらなる先を見据えた東京全体の都市像を描くということにいたしました。
都市づくりのグランドデザインが目標とします二〇四〇年代は、人口減少、少子高齢化が進行し、都市のありようも左右するような時代になると考えております。
一方で、都民生活や企業活動を支える技術なども大きく進歩することが考えられます。明るい未来の都市像を示して、東京の可能性を引き出していきたいと考えております。
例えば、三環状道路や骨格的な幹線道路の整備によって、都心への車の流入が減少し、渋滞が緩和されますので、歩行者優先のゆとりのある都市空間の形成が可能になると思います。
先般、三月七日に開通した中央環状線のおかげで、首都高速を走っていて、相当減ったなという実感を皆さんお持ちになったと思います。また、水素社会に転換して、環境負荷の少ない都市活動が営まれるようになると思います。また、首都高速道路の再生もしないといけない。さらには、失われました水辺環境の回復のチャンスも訪れてくるものと思っております。
将来世代に責任を持つ知事としまして、今こそ、遠い将来を見通した大きな観点から、都市づくりのいわゆる羅針盤を示すことが重要だと思います。目標とすべき東京の都市像を、都市づくりのグランドデザインとして示して、その実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
○高木委員 知事の力強い決意、大変ありがとうございました。
ここで私たちは、なぜ今、グランドデザインを描かなければいけないのかということに思いをいたすべきだろうと思います。東京の都市計画の原型というのは、帝都復興事業にあるといわれています。
帝都復興事業は、後藤新平の考えた当初案からすれば、大幅に縮小されたんですね。知事は常々、後藤新平を尊敬されているといっておりますので、このあたりについては大変お詳しいと思いますが、この後藤新平の案からすれば大変縮小されたんですけれども、それでも被災をした下町地区を中心に、骨格幹線道路や大規模公園が新設をされました。あるいは三千百十八ヘクタールに及ぶ、世界の都市政策上、未曽有の事業だったといわれておりますけれども、区画整理が実施をされた。あるいは復興小学校と小公園が一体的に整備をされるというような画期的な事業が行われた。そうした大胆な都市改造が行われたわけであります。
帝都復興事業は、構想段階において幾つかの案がありまして、当初は、後藤は総額四十億円といわれる焦土全部買い上げ案というのを考えていたんですけれども、これは当時の財政事情も当然許さないわけでありまして、国家財政自体がおよそ十五億円ぐらいの時代ですから、四十億円に上る焦土全部買い上げ案は、最初からできないということになったんですけれども、十三億円を最初、甲乙丙の甲案として閣議で決定をするんですが、政争によって削減に次ぐ削減をされていくわけです。それで復興予算は最終的に、政党のいろいろな思惑も含めてあって、四億六千八百万円というふうに縮小されていくわけであります。
東京市や当時の東京府の全面的な協力があったとはいえ、この四億六千八百万円で、これだけの都市改造を当時は行ったんですね。ですから、私たちは、もし十三億円の甲案が、後藤の考える復興事業が実現をしていたということを想像するなら、東京のまち並みというのは、恐らく今の様相とは一変をしていたのではないかなというふうに思います。
特に私は、削減をされた事業を見ておりまして残念だなと思ったのは、ライフラインを収容する共同溝事業が全額削減をされるんですね。この共同溝事業がもしやられていれば、あるいは主要幹線道路だけでもいいからやってもらっていれば、今、私たちが苦労している電線類地中化、無電柱化というのは、そんなに苦労しなくてもできたのではないか。あるいは、データでいえば、無電柱化率はもっとパーセンテージとしては上がっていたというふうに思うわけであります。
また、主要幹線道路の幅員も削減をされたり、非焼失区域に計画をされていた区画整理を初めとする事業が取りやめになったり、あるいは隅田公園や各地の広小路といわれる広場が縮小されるなど、極めて重要な課題が予算削減のあおりを受けて中止に追い込まれるわけであります。
そのときに、後藤の側近たちは、この予算削減は受け入れるべきではないんではないかと、議会を解散して国民に信を問うべきじゃないか、こう建言をする人たちが多かったといわれています。
しかし、後藤はそれに対して、議会を解散して民意に問うの道なしとせざるも、窮迫する市民の現状に鑑み、忍びがたきを忍びて、しばらく議会の修正に同意を表し、他日を期して全きを期せんとすといって、今、震災後の東京市民の窮状を見れば、議会を解散して政争に明け暮れるべきではないんだ、一日も早く復興事業に手をつけていくべきなんだということで、とにかくこの四億六千八百万円で国家の復興事業としてやっていこうではないかと、こう表明をしたわけです。
私たちが代表質問で指摘をいたしましたけれども、東京には、明治以来なし得なかった東京の都市づくりの夢というのがあるというふうに申し上げました。この夢とはまさに、この後藤が考えた本来の帝都復興計画であって、他日を期して全きを期せんとす、つまり、いつの日か、この事業は完成をさせるんだというふうに後藤がいったのは、やはり後世に続く私たちへの期待だったと私は信じています。
ところが、私たちは今まで、後藤の期待をある意味で裏切り続けてきたといっても過言ではないと思います。その後の震災復興事業、あるいはさきのオリンピック東京大会の折の都市改造においても、さまざまな制約があったんですけれども、たくさんの課題を積み残しました。そして、今日に至って、さらにその課題は大きくなっているものすらあるわけであります。
二〇二〇年まであと五年という、この年限になって、東京を世界で一番の都市にするためのグランドデザインを描こうという考えに立った今こそ、後藤がいった全きを期せんとす、その他日、いつの日かといった、その他日というのが、いよいよ私たちのこの東京に、東京都政に訪れたのではないかなと私は思っております。やっと、その日を迎えることができたのかもしれません。
どうですか、知事。このことをどう思われるでしょうか。
後藤がいった他日を期して全きを期せんとす、この決意は、やはり今、私たちがオリンピックを迎えるに当たって、これに取り組まなければいけないのではないかなというふうに思います。
都市改造するときというのは、不幸にして戦災や震災があって都市が大規模に壊れてしまったときや、あるいは国家イベントとしての、ナショナルイベントとしての、こういったオリンピックのような大事業があるときしか多分できないんだろうと思います。
ですから、こういう時期に、私たちがグランドデザインを描くというときに、なぜ今これをやらなければいけないのか、そのことに思いをいたすべきだと思いますが、知事、いかがですか。もしご感想があれば。
○舛添知事 大変すばらしいご質問、ありがとうございました。
私は、二〇二〇年の大会というのは、東京にとって、また日本にとって絶好のチャンスであるし、そしてまた、ラストチャンスになる可能性もあるというふうに考えております。
明るい未来に向かって大きなグランドデザインを描くということは、まさに後藤がなし得なかったことがやれることでありますので、都議会の皆さん方と協力しながら、この大きな構想を前に進めたいと思っております。
○高木委員 ありがとうございました。知事の決意は再三にわたって聞いておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
ところで、グランドデザインを描くに当たって必須の検討分野というのがあろうと思います。
以下、主なものを取り上げていきたいと思うんですが、まず、鉄道や道路といった基幹的かつ都市に不可欠のインフラについてでございます。
現在、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について、国の交通政策審議会で次期答申に向けた議論が行われております。
都は、去る三月六日に、次期答申に向けてこれまで検討を行ってきた内容について中間のまとめを発表いたしました。
鉄道が東京の発展に果たす役割は大きいと考えますが、鉄道ネットワークの充実について、知事の見解を伺います。
○舛添知事 都市機能が非常に高度に集積したこの東京におきまして、私は、鉄道というのは、やっぱり都民や企業などによるさまざまな活動を支えている基幹的なインフラであると思っております。
今後、少子高齢化の進展など人口動態の変化が見込まれる中で、誰もが安全で快適に移動でき、また、地域や拠点間の交流を促していくためにも、鉄道ネットワークの充実は必要でございます。
東京圏の鉄道整備につきましては、来年度、国において新たな審議会答申が出される予定でありまして、先日、都としてのこれまでの検討状況を中間まとめとして発表いたしました。
引き続き検討を深め、都の考えを国に示してまいります。
二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の先を見据えまして、鉄道ネットワークの充実に取り組み、バスなど、ほかの交通機関とも有機的に連携して、活発な都市活動を支えている東京の将来像を都市づくりのグランドデザインの中で示していきたいと思っております。
○高木委員 大量輸送機関である鉄道は都民生活や都市活動に与える影響が大きく、整備による効果が期待できる一方、整備後に永続的、安定的に運営できることも重要な視点であります。
中間のまとめでは整備効果についての整理が行われていますが、今後は採算性も含めて検討をさらに進めていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
○安井都市整備局長 先日発表いたしました中間まとめでは、国の審議会答申に示された路線などにつきまして整備効果が見込まれるとしてございます。
鉄道整備は多額の初期投資を要することなどから、お話にもございましたが、将来にわたって安定的な運営を確保する必要がございます。
今後、本格的な少子高齢社会の到来が予想されていることから、東京圏におけます将来の人口動態や複数の路線間での需要の取り合いなども考慮しながら、整備効果に加えまして採算性についても検討を深めてまいります。
○高木委員 また、グランドデザインを描いていくに当たっては、鉄道ネットワークとともに道路整備のあり方も重要な要素であります。
東京の都市機能の問題点の一つが脆弱な道路ネットワークであることは論をまたないわけでありまして、三環状道路はやっと先日、首都高速中央環状線が全線開通となって、三本のうちの一本が完成をしたということであります。
都市計画道路の問題をさらに掘り下げていきますと、東京の都市計画道路網の原型というのは、帝都復興事業で都心、下町の道路網が新設されたことを踏まえて、それと接続をするように昭和二年に決定をされた放射、環状の幹線道路網、補助線道路であることがわかります。
その後の戦災復興都市計画道路網もこの計画をベースにしておりまして、今までの東京の道路計画は、実はこの昭和二年につくられた都市計画道路の計画の原型を、数次にわたるマイナーチェンジをしてきたということに尽きるわけであります。
そのことに全く合理性がないかというとそうではなくて、合理性は当然あるわけでありますが、考えなければいけないのは、実はその当時、昭和二年は東京市の人口は約二百三十万人、そして郊外といわれた郡部を入れても約五百万人だったんですね。今は首都圏の人口が三千万人を超えていますから、大きく見て五百万人の都市計画がベースになっているということは、やはり一つの問題点として指摘せざるを得ない。
さらにいうならば、そのときに、昭和二年につくられた計画が、いまだにその計画のまま未完の道路すらあるということは、これはもう有識者の間では大変有名な話でありまして、東京の道路網の脆弱性の象徴というふうにいわれているわけであります。
都は、これまでの事業化計画を策定して、骨格幹線道路など着実に道路整備を進めてきているんですけれども、それでも都市計画道路の整備率は約六割というふうにいわれています。
そうした中、東日本大震災の教訓をもとに、燃え広がらないまちの実現に向け、木密地域の中で特に大きな被害が想定される地域を対象に、延焼遮断帯とするための主要な都市計画道路を特定整備路線というふうに位置づけて迅速に対応したことについては、私たちは大変評価をいたしています。
今後、想定される首都直下地震に備え、都民の生命と財産を守ることは行政の最大の務めであります。そのために必要な道路整備をさらに進めて、安全・安心、強靱な減災都市の実現に向けて取り組んでいくことが重要であると思います。
こうした背景を踏まえて、次期道路整備の方針について、どのような点を重視して取りまとめていくのか、お伺いいたします。
○安井都市整備局長 お話のとおり、現行の整備方針の策定以降に発生いたしました東日本大震災や首都直下地震の切迫性を踏まえまして、不燃化十年プロジェクトを立ち上げ、防災まちづくりを進める中で、延焼遮断帯の形成に取り組んでまいりました。
現行の都市計画道路の整備方針では、活力、安全、環境、暮らしの四つの基本目標を設定いたしまして、道路ネットワークの効果的な形成を図っているところでございます。
次期の整備方針では、骨格幹線道路の着実な整備はもとより、震災時におけます緊急物資の輸送や迅速な救援、救護活動に資する道路の整備など、防災の視点も一層重視いたしまして優先整備路線を選定し、平成二十七年度末までに取りまとめたいと考えてございます。
○高木委員 続いて、防災都市づくりについて伺います。グランドデザインを考える上で、これも必須の課題だろうと思います。
まず、不燃化特区について伺います。
我が党は、平成二十七年度予算編成に関する要望書の中で、木造住宅密集地域の改善に向け、都がリーダーシップを発揮し、木密地域不燃化十年プロジェクトを強力に推進すること、その際には、地域の実情を十分掌握した上で、不燃化特区の各地区における具体的な取り組みを当該区と連携して進めることを要望いたしました。
さきの我が党の代表質問に対して、戸建て住宅の建てかえ助成やまちづくりの専門家派遣について制度の改善を行う、こう答弁があったわけであります。
戸建て住宅の建てかえ助成については、設計費と工事費を分けられずに設計費の助成が受けられなかったという例もあると聞いておりますが、今回の改善でそういうものは改善されるんでしょうか。具体的にどのような今回の改善になるのか、お伺いをいたします。
○安井都市整備局長 不燃化特区の事業に着手してから二年が経過する中で、特にハウスメーカーに住宅の建てかえを依頼した場合でございますけれども、設計費が工事費の中に含まれているために設計費の助成を申請できないというような住民の声が寄せられております。
こうした実情を踏まえまして、工事費と設計費が分けられない場合でありましても、住民が確実に設計費相当の助成を受けられるよう、四月からは、延べ床面積に応じて助成金額を申請できる方法に改めます。
例えば、老朽木造住宅を延べ床面積が八十平方メートルの耐火建築物に建てかえる場合でございますけれども、約五十万円の助成を受けられることになります。
こうした見直しによりまして、住民の意欲を確実に建てかえに結びつけてまいります。
○高木委員 不燃化特区の多くが数十ヘクタールという規模であります。一つの特区内であっても、地域によってさまざまな課題を抱えています。
こうした地域それぞれの課題に的確かつ迅速に対応していくには、地域ごとの課題解決に適したまちづくりの専門家を活用できるようにすべきであります。
都は、まちづくりの専門家派遣についても改善を行うこととしていますが、その具体的内容について、ご答弁をお願いします。
○安井都市整備局長 例えば、品川区東中延地区のように、ある地域では未接道の宅地が多く単独では建てかえできない、また、他の地域では生活道路が狭く消防救急活動が困難となっているなど、同じ不燃化特区内におきましても、地域により抱える課題は一様ではございません。
このため、共同建てかえのプランの検討や狭隘道路の拡幅整備に向けた合意形成など、地域ごとの課題解決に適したまちづくりの専門家を、四月からは同じ特区内の複数の地域でも活用できるようにいたします。
まちづくりの現場の声を十分把握しながら、今後も木密地域の不燃化を加速してまいります。
○高木委員 次に、特定整備路線について伺います。
不燃化特区とともに延焼遮断帯を形成する二十八区間の特定整備路線については、平成三十二年度までに完了させるとしております。首都直下地震の切迫性が危惧される中、一刻も早い整備が求められています。
このため、重点的に予算や人員を投入するとともに、関係権利者の生活再建に十分配慮しながら、事業用地の早期取得に取り組むことが重要です。
そこで、都は、どのように特定整備路線の整備に取り組んでいくのか、見解を伺います。
○横溝東京都技監 特定整備路線二十八区間については、先月までに全区間の事業認可を取得いたしました。このうち二十区間で既に用地取得に着手しており、新年度早々には、残る全ての区間で用地説明会を開催し、本格的に用地取得を進めてまいります。
平成二十七年度は、今年度の用地取得費の約三倍に当たる四百五十億円を当初予算に計上するとともに、現場職員の増員や監理団体の活用など、執行体制の強化を図ってまいります。
一方、用地取得に当たっては、建てかえや移転先の確保など、関係権利者の生活再建をサポートすることが重要でございます。
このため、路線ごとに民間の専門事業者を活用した相談窓口を設置するとともに、優遇金利による移転資金の貸し付け、都営住宅や代替地のあっせんなどの支援を行ってまいります。
引き続き、特定整備路線の平成三十二年度整備完了を目指して全力で取り組んでまいります。
○高木委員 不燃化特区も特定整備路線も、残された時間は決して長くはないと思います。
都が長期ビジョンにおいて、安全・安心な都市の実現を都市戦略の一つに位置づけ、防災街づくり基金を創設するなど、高度防災都市の実現を目指し、全庁を挙げて取り組んでいることを、私たちは高く評価いたしております。
防災上、東京の最大の弱点といわれる木密地域の不燃化と特定整備路線の整備に向け、民間のノウハウを積極的に活用する等、あらゆる工夫を凝らして、早期に抜本的対策を進めていくよう求めておきたいと思います。
グランドデザインは、治水対策なども検討の俎上に上げなければいけないと思います。局地的集中豪雨によるレベルアップに対応した新たな調節池の整備促進について伺います。
都は、こうした施設の具体的な検討に着手するなど、新たな目標の達成に向けて取り組んでいますが、集中豪雨が頻発する中で、一刻も早く整備に着手する必要があります。
新たな調節池の整備促進に向けた取り組み状況について伺います。
○横溝東京都技監 都内で増加している時間五十ミリを超える局地的かつ短時間の集中豪雨等に対処するためには、ピーク時の洪水を貯留する調節池などを整備することが効果的であると考えてございます。
このため、都は、複数の流域から取水し、容量を相互に融通する広域調節池や、川沿いにある公園などの公共空間を活用した個別の調節池を整備してまいります。
これまでに、神田川など三流域から取水を行う仮称環状七号線地下広域調節池のほか、石神井川や都県境の境川などにおいて個別に取水を行う四施設の検討を進めており、平成二十八年度の着工を目指し、二十七年度は詳細設計を実施してまいります。
加えて、新たに豪雨対策強化流域に位置づけた谷沢川において、分水路の整備に向けた検討を開始してまいります。
引き続き、中小河川の治水安全度の早期向上に向け、積極的に取り組んでまいります。
○高木委員 浸水リスクを早期に軽減するために、時間五十ミリの対応の護岸整備を着実に進める、あるいは区部では時間七十五ミリ、多摩部では時間六十五ミリの降雨に対応できるように、新たな調節池を早急に整備すべきだということを申し上げておきます。
さらに、グランドデザインの検討は、地下調節池の問題とも関連をしますが、地上の公共施設にとどまらないと思います。地下を利用した都市施設もその検討対象としなければならないと思います。
そこでまず、現在進めている下水道事業における浸水対策について伺います。
大規模地下街の下水道の浸水対策、これは大きなターミナル駅を中心にして--大規模地下街というのは東京の活力の拠点でもあります。そこで、この大規模地下街における下水道の浸水対策の全体計画と進捗状況についてお伺いをいたします。
○松田下水道局長 下水道局では、浸水発生時に人命や都市機能への重大な影響が予想される大規模地下街九地区につきまして、時間七十五ミリの降雨に対する対策を進めております。
平成三十六年度までに全ての地区で対策を完了させる計画でございます。これまで、新宿駅や渋谷駅西口など四地区で対策を完了しております。
現在、新橋・汐留駅及び渋谷駅東口の二地区で、下水道管の増強や貯留施設の整備工事を施行中でございまして、二十七年度には新たに東京駅丸の内口と銀座駅の二地区を対象といたしまして、内径三・二五メートル、延長三・七キロメートル、貯留量二万九千立方メートルの貯留管の整備に着手いたします。
残る上野・浅草駅地区につきましても、早期の工事着手を目指して、工事用地の確保に向けて関係機関との協議を精力的に行ってまいります。
○高木委員 平成三十六年度までに対策を完了させるということを確認したんですけれども、都市活動をしながら工事をするというのは大変なんだろうと思います。これは慎重に進めていただかないといけないですし、その工事はかなりハードルが高い。
そこで、大規模地下街における下水道の浸水対策について、どのような課題があって、どう下水道局として対策をとっている、進めていこうとしているのか、お伺いします。
○松田下水道局長 大規模地下街におけます下水道の浸水対策の最大の課題は工事用地の確保でございまして、限られた用地をフルに活用して対策を行っております。
具体的に申し上げますと、シールド工事の基地となる立て坑の上屋を二、三階建てといたしまして、そこを資機材置き場とすることで工事用地の縮小を図るほか、渋谷駅東口では、民間のまちづくり事業者と連携いたしまして、駅前広場の整備に合わせて施設整備を行っております。
また、東京駅丸の内口と銀座駅の二地区の対策につきましては、隣接する両地区の対策工事を一体的に施行することによりまして必要な工事用地を最小限に抑えまして、早期の着手を図ってまいります。
今後とも、あらゆる工夫を凝らして大規模地下街における下水道の浸水対策を着実かつ効率的に進め、安全・安心な世界一の都市東京の実現に貢献してまいります。
○高木委員 さて、今までグランドデザインに関係する、現在進められている政策について取り上げてまいりました。これらの政策が二〇四〇年代までにどこまで進むのかということがグランドデザインと密接な関係にあることは、いうまでもないわけであります。
そのベースの上にこれからつくるグランドデザインに、新たなテーマとして取り上げるべき課題も数多くあるというふうに思っています。
私は、グランドデザインとは、今、考えつく限りの理想の都市像であるべきであって、それを一度描いてみる必要があると思います。こうあるべきだというのを一回描かないと見えてきませんので、理想の都市像を一回描いていただきたいと思います。その上で、実行段階で社会的、財政的、時間的制約とのバランスをとっていただいて、実現の方策を探るべきだというふうに思います。
後藤新平の話を先ほどしましたけれども、後藤は、現在に至るまで大風呂敷というふうにあだ名をつけられております。大風呂敷の代名詞のようにいわれていますが、これはなぜかといえば、東京市長時代につくった八億円計画がもとになっているわけであります。しかし、この八億円計画がなければ、帝都復興事業の基本構想が震災後三日で書き上げられるということはなかったわけでありまして、やはりそういう準備は常に必要だということのあかしだと思います。
先ほど指摘した現在進めている政策以外に、私は、グランドデザインの検討の際にぜひ取り上げていただきたい都市づくりの課題を、以下五点、挙げておきたいと思います。
第一に、地下鉄を含む全ての鉄道駅の駅前広場を計画的に設置することであります。まちの拠点である鉄道駅は、駅前広場が必要であります。ですから、これを都市計画事業として計画的に設置をされることが望ましい、こう私は考えます。
第二に、国有地あるいは都有地などの大規模公有地の利活用の促進を図っていただきたい。東京のポテンシャルの高さを、私は追求していくべきだというふうに思います。
第三に、少子高齢化の進展による木密地域のスプロール化を防いでいただきたいと思います。
そして、第四に、国際都市としての空港、港湾機能の強化を図ってもらいたい。
そして、第五に、先ほど知事も多少触れられましたけれども、昭和三十九年のオリンピック東京大会の負の遺産を、ぜひこの際、解消すべく頑張っていただけないかというふうに思うわけであります。
いずれの課題も、東京を世界で一番の都市にするために私は必要な問題意識だと思っておりまして--これ以外にも実はたくさんあるんですよ。ただ、時間がないからきょうはいいませんが、都市づくりには時間がかかるということを考えますと、やはりこのグランドデザインの中にどれだけ盛り込めるのかということが、この先の十年後、二十年後、三十年後の東京を決めていく、あるいはその先の東京を決めていく、そういうことになるんだろうと思っておりまして、こうしたことを、私は都庁全体でぜひ精力的に努力をしていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。
次の質問に移らせていただきます。
スポーツ振興と東京五輪パラリンピックについてお伺いいたします。
まず、ラグビーワールドカップ二〇一九について伺います。
三月二日に、ラグビーワールドカップ二〇一九開催都市が決定をされました。東京も開催都市の一つとして選ばれました。我が党としても、ラグビーワールドカップが東京で開催されることは、大変、東京の魅力を世界にアピールができる絶好の機会と捉えておりまして、喜ばしいことであると思います。
知事は、開催都市への立候補表明に際し、ラグビーワールドカップの東京開催は大きな意義があるというふうに述べられておりました。開催都市として決定された今、改めて知事の意気込みについてお伺いをしたいと思います。
○舛添知事 三月二日、アイルランドのダブリンにおきまして、東京がラグビーワールドカップ二〇一九の開催都市として選ばれました。大変光栄に存じております。都議会の皆様からのご協力を得まして本大会を招致できたことは、大変喜ばしいことでございます。
東京は、世界的なスポーツの祭典でありますラグビーのワールドカップとオリンピック・パラリンピックを二年連続で開催する世界初の都市となる栄誉を得たことになります。
本大会開催によりまして、都民のスポーツへの関心の向上のみならず、多くの経済波及効果も期待できます。さらに、二〇二〇年大会へ向けた運営ノウハウを蓄積できるなど、オリンピック・パラリンピック成功への大きな後押しともなります。
都は、この二つの大会に向けた取り組みをさらに加速させまして、世界一の都市東京を実現させるべく、都議会の皆様とともに、着実に大会の準備を進めてまいりたいと思っております。
○高木委員 大会成功に向けて、知事から力強い決意表明をいただいたと思います。
この大会の開催は、東京の活性化にもちろんつながるんですが、東京を起点として、被災地を含めた日本全体に活力を与えることになると思います。
そこで、ラグビーワールドカップ開催都市としての都の役割というものをぜひ教えていただきたいと思います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 東京を初め各開催都市は、それぞれ会場への観客誘導、交通規制、セキュリティー対策を行うとともに、機運盛り上げのためのイベント開催、ボランティアの確保などを行う役割を担っております。
そのほかに、組織委員会の大会運営を支援するため、各開催都市と共同して分担金を拠出することとされております。これにつきましては、来年度予算として、二〇〇二年サッカーワールドカップで各自治体が初年度拠出した額を参考に、二億五千万円を計上しております。
なお、開催都市決定に際し、組織委員会からは都に対して、三カ年にわたって総額八億円の分担金の要望があったところでございます。
今後、組織委員会と連絡調整を行いながら、開催都市の役割の規模、内容を精査しつつ、各開催都市と連携し、大会の成功に向けて準備を進めてまいります。
○高木委員 しっかり準備を進めていただきたいと思います。
次に、二〇二〇年、平成三十二年東京五輪パラリンピックについて伺います。
東京にとって五十六年ぶり二回目の開催となる二〇二〇年大会は、東京を世界で一番の都市に押し上げる、またとない好機と考えます。
二〇二〇年大会に向けて、新たなスポーツ施設の整備や、それを契機としたまちづくり、既存市街地の快適性を向上させる緑化などの環境対策、また健常者、障害者を問わず、スポーツ実施率の向上やボランティアへの積極的な参加など、都民の意識改革を促す取り組みもこれまで以上に推進すべきと考えます。
大会開催準備に関する我が党の代表質問に対して、知事は、新設を決定した施設について着実に整備をしていくと答弁をされました。また、大会開催に向けて、オール東京での機運醸成はもとより、全国を視野に入れた盛り上がりを加速させるとも述べられております。
大会の開催にとって施設整備や国民的な盛り上がりが大事であることは、これはもういうまでもないことであります。こうした取り組みを一過性のものに終わらせないで、幅広いレガシーとして東京に残していくことがさらに重要であると思います。
ハード、ソフト両面でのレガシーを残すべく取り組む知事の基本的な考え方についてお伺いいたします。
○舛添知事 オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するに当たって大事なことは、一九六四年大会が我が国発展の礎となりましたように、大会後の東京、そして日本に何を残すかということであります。すなわち、成熟社会にふさわしい新たなレガシーを創造し、未来に引き継いでいくことであります。
まず、新設する施設につきましては、私が直轄するレガシー委員会で、大会後の後利用や周辺のまちづくりも含めて、今、議論をしております。水と緑のネットワークとスポーツを気軽に楽しめる住環境、さらには業務、商業の集積など、多彩な都市機能が共存するウオーターフロントの新たな魅力の発展にもつなげてまいりたいと思っています。
また、二〇二〇年大会を最新テクノロジーのショーケースとすることで、例えば水素社会の実現など、東京が世界の未来を切り開く変革の先鞭をつけてまいります。
さらに、大会後も見据えまして、三環状道路を初めとしました交通インフラの整備などを進めまして、交通渋滞のない世界初の大都市東京を目指したいと思っております。
一方で、ソフト面も重要でございます。大会に向けまして、多様な文化プログラムや教育プログラムを展開するとともに、ボランティアによるおもてなしや国際社会で活躍できる人材を育成してまいります。
また、パラリンピック開催を機に、ユニバーサルデザインのまちづくりをさらに加速して、障害者に対して、みずから進んで手助けする意識を人々に広め、心のバリアフリーも、これを広めていきたいと思っております。
こうしたハード、ソフトの取り組みを通じて、東京全体にオリンピック・パラリンピックのレガシーを浸透させ、後世へとつながる都民共通の財産としてまいりたいと思っております。
○高木委員 大会開催を契機として、有形無形のレガシーを次世代に継承し、都民生活の向上につなげていくことは重要であると思います。
そこでまず、有形のレガシーの代表ともいえる新規恒久施設の後利用についてお伺いしたいと思います。
既に、有明アリーナ等の三施設は基本設計に着手していますから、大会後の利用をしっかりと見据え、設計に反映していくことが喫緊の課題であります。
都は、新規恒久施設の後利用の方向性をどう捉えているのか、見解を伺います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 都が整備する新規恒久施設は、大会後も都民、国民の共通の財産として有効活用していく必要がございます。
そこで、大会後、多くの都民、国民が訪れるよう、国際、国内競技大会のほか、レクリエーションや集客イベントなど、さまざまな活用を図ってまいります。
また、施設のバリアフリー化や多言語による案内表記の充実など、アクセシビリティーにも配慮してまいります。
さらに、施設単体で後利用を考えるだけではなく、周辺の公園や自然環境、臨海部における新規恒久施設全体との連携も視野に入れ、地域的に広がりのあるレガシーの検討も行ってまいります。
新規恒久施設を、インドア、アウトドアスポーツ双方にわたり、バラエティーに富んだスポーツが体験できる貴重な場として、また、文化やレジャー活動など多くの人が集い、にぎわう拠点として最大限活用してまいります。
○高木委員 今回、私が特にお聞きしたいのは、海の森水上競技場についてであります。
ここは中央防波堤という廃棄物の埋立地の間に整備をされるわけでありまして、ちょっと一般の都民にはイメージが湧きづらいと思います。
そこで、この施設を大会後にどのように幅広く都民、国民に利用してもらうのか、見解を伺います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 海の森水上競技場は、延長約二千メートル、幅約二百メートルの広大で静穏な、いわゆる穏やかな水面を自由に利用できる、臨海部の新たなランドマークになり得る施設でございます。
また、現在植樹が進む海の森公園と隣接しておりまして、水と緑のネットワークの拠点として、スポーツに限らず、レジャーやイベントなど多様な活用が期待できます。
例えば、大会後は国際大会や国内大会の会場はもとより、カヌーやボートなどの水上スポーツを初め、総合的なアウトドアスポーツや野外イベントなどを楽しめる場として、また、海の森公園や施設周辺の環境関連施設とも連携した青少年の活動の場としてまいります。
今後、さらに調査を進め、大会後も都民、国民のためのレガシーにふさわしい有効な活用策を検討してまいりますとともに、利便性の向上を図るため、駐車場の確保を初めとした施設のアクセス改善にも取り組んでまいります。
○高木委員 ぜひ、すばらしいレガシーとして残すように、研究をしていただきたいし、工夫をしていただきたいと思っています。
次に、オール東京での取り組みについて伺います。
我が党は、区市町村連携による盛り上げが重要であるということを常々訴えてきました。大会成功の重要な鍵の一つは、都内全域で展開される区市町村の取り組みだと思います。
都は、これから二〇二〇年に向け、大会本番に都民の気持ちを最高潮に持っていくように、戦略を持って区市町村の取り組みを支援すべきと考えます。
都がこれまで実施している施設整備費への補助に加え、来年度から新たに、二〇二〇年大会の普及啓発を初めとするソフト事業の補助制度を創設し、ハード、ソフト両面にわたって地域の多様なニーズに対応できる制度にしたことは評価をいたしております。
しかしながら、活用されなければ意味がないわけでありますから、区市町村にとって使いやすい制度となるよう、都はどのような工夫をしたのか、お伺いいたします。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 まず、来年度新設いたしますソフト事業補助につきましては、区市町村が事業の企画をしやすいよう、各種スポーツイベント、事前キャンプ誘致など多様なメニューから選択できるよう工夫し、事業費の二分の一を補助いたします。
また、障害者が参加するスポーツ事業につきましては、五分の四と高い補助率で支援いたしまして、パラリンピックに向け、今後一層の振興を図ってまいります。
さらに、今年度から実施しております施設整備費補助につきましては、区市町村からのご要望を踏まえまして、夜間照明の設置など利用時間の拡大に資する工事なども補助対象に追加をいたしまして、予算総額も今年度の六倍に当たります十二億円に増額しております。
今後、本補助制度の活用により、二〇二〇年に向けて、区市町村の主体的な取り組みを促進することで、多くの都民の参加を得て都内全般で開催機運を盛り上げてまいります。
○高木委員 先ほど来、レガシーの話をしていましたけれども、私はオリンピック・パラリンピックの国民に対する一番のレガシーというのは、やっぱり心の中に残る感動とか思いということだと思うんですね。
実は、私の地元の、ある町会の方がおっしゃっていたんですが、昭和三十九年のオリンピックのときに、連合町会で聖火リレーをやったと。聖火を自分たちでつくって、それを、バトンを渡していくような形で地域の町会でそういうことをやったというのは、写真も見せてもらいましたけれども、大変心に残っていると。そういうことは、やっぱりこの一つのイベントをきっかけにした、後世に残る心の中のレガシーだと思うんです。
ですから、こうした都民の心に、あるいは国民の心に残るそのレガシー、都は今後どうやってこういうものを残していく取り組みをするのか、お伺いします。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 都民が、多くの大会関係者や観客を迎える開催都市の一員として大会への参加意識を持ち、実際に参加いただくことで、二〇二〇年大会を自分たちのものだと感じてもらうことが一番重要でございます。
このため、大会に向けた機運醸成イベントや教育・文化プログラムなどを通じまして、さまざまな都民参加の機会を提供してまいります。
そして、相互理解、多様性の尊重などのオリンピズムを普及させますとともに、自国の文化への理解を深め、日本人らしいおもてなしの心を浸透させてまいります。
さらに、大会に向けてボランティアの育成などを通して、都民の大会への参加を促してまいります。
これらにより、二〇二〇年大会を都民が主体的にかかわり、来訪者をもてなす大会とし、大会時の得がたい体験や交流を通じまして、人々の心の中に確かなレガシーを残してまいりたいと思います。
○高木委員 次に、人材の確保と育成についてお伺いいたします。
まず、東京五輪パラリンピックの人材確保についてお伺いいたします。
大会を成功に導くには人材の確保が特に重要だと私たちは思っておりまして、私はさきの定例都議会の代表質問でも、将来にわたって都民の負託に応えていくための都庁の人材の確保と執行体制の強化が不可欠なことを指摘いたしました。
人材確保も、将来展望を持って広域で考える必要があろうと思います。オリンピック・パラリンピックの人材確保という意味でいえば、他の自治体から職員を一定期間派遣してもらって、そこで貴重な体験を地元に持ち帰って生かしてもらう、こういうことも必要、あるいは、いいのではないかというふうに思います。
実は、私は二〇一六年のオリンピック招致に失敗をしたときに、ある都庁の技術系の職員の方からこういわれました。私たちの腕を発揮する機会が失われたんだと、これは本当に残念なことなんだと、一生に一度これにかかわれるかどうかなのに、この機会がなくなったということは、私たちにとっては大変残念だということをいわれた経験があります。
つまり、これは多分、全国の自治体や国も含めて、恐らくそう思っている方って、技術系の職員の方を中心に、そのときに自分の腕を発揮したいというふうに、このイベントに一生に一度かかわれるかどうかわからないと、そういう方ってたくさんいらっしゃるんだろうと思うんです。
ですから、それを東京都で、短期でも、あるいは、ある一定期間でもいいから派遣をしてもらって、かかわっていただいて、地元に持って帰っていただく。そうした今後の人材確保というのもいいのではないかと思いますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
○中西総務局長 これまで大会開催準備に向け、適材の育成、配置に努めるとともに、職員採用数の増、技術職の採用方法の見直し、任期つき制度の改正など、さまざまな工夫を行ってまいりました。
ご指摘の、ほかの自治体からの職員派遣は、単なるマンパワーの確保にとどまらず、開催準備を通じまして自治体間連携を深め、派遣職員が開催に携わった経験をみずからの自治体に波及させていく観点からも意義のあることでございます。
今般、都の執行体制及び人材育成の一層の強化に向け、全職場、職員が共有すべき指針として都庁組織・人事改革ポリシーを策定いたしましたが、この中でも、さまざまな課題に応じ、臨機応変な人材確保や多様な人材交流を進めることを重要な取り組みと位置づけております。
今後も、都みずからの取り組みの強化とあわせまして、ほかの自治体等との人材交流の拡大を通じて、必要な人材確保に万全を期してまいります。
○高木委員 次に、都市外交人材育成基金を活用した、留学生の受け入れによる人材の育成についてお伺いいたします。
都は、都市外交人材育成基金を創設し、これまでのアジア人材育成基金ではアジア地域に限定をされていた人材育成を世界のさまざまな都市に拡大するとともに、多都市間での協力事業を展開していくということを表明されました。
アジアのみならず、世界の都市と実務レベルで、真の意味での交流を深めることは大変結構なことだと思っています。この基金を活用した首都大学東京で行う人材育成についても、国が行っている国費外国人留学生制度の枠にとどまることなく、多くの海外都市から留学生を積極的に受け入れることで、将来母国に戻った後も東京とのかけ橋となる若い優秀な人材を数多く育てていくことが重要であろうと思います。
そこで、新しい都市外交人材育成基金により、卒業後も母国で東京に愛着を持つ親日家を数多く育成していくために、首都大学東京においてはどのような取り組みを行うのか伺います。
○中西総務局長 留学生が卒業後も東京に愛着を持ち続け、さまざまな形で東京のさらなる発展に寄与する人材として活躍することは、長期にわたる都市間関係の安定に寄与するものでございまして、大学はもとより、都にとっても非常に重要でございます。
そのため、新たに設ける都市外交人材育成基金を活用して、首都大独自の留学生受け入れ基準により、海外諸都市から東京との相互理解や友好親善に意欲のある留学生を積極的に受け入れていくとともに、帰国後における大学とのつながりの維持強化に取り組んでまいります。
具体的には、留学生同窓会の開催、母国で教育研究に携わる留学生が短期的に首都大で研究を行う際の活動の支援、若手日本人研究者との継続的な国際共同研究の実施など、帰国後のフォローアップ体制を充実していくことで、持続的な人的ネットワークを形成してまいります。
○高木委員 私、この都市外交人材育成基金、大変期待していまして、アジアの枠を広げたというのは大変結構なことだと思っています。
例えば、かつて私、質問でも指摘しましたが、世界で最も日系人比率の高い国というのは、太平洋のミクロネシア連邦であります。ここなんかも、実は国費留学生では来られないような今仕組みになっていまして、そういうのをぜひ受け入れてもらいたい。
あるいは、ヨーロッパで、恐らく私、唯一だと思いますが、日本語学科という、そういうものを持っている大学が幾つかあるポーランドなんていうところも同じだと思います。ポーランドでは、日本語の弁論大会すら開かれているんですね。
ですから、こういうところにぜひ広げてほしいし、あるいは、エルトゥールル号事件以来の友好関係のあるトルコ、こういうところもいいと思いますし、あるいはインドなども、やはり戦略的に私たちがしっかりと友好関係を結んでいく必要があろうと。
数限りなくそういうところはあると思います。ですから、優秀な人材をぜひこういうところで育てていただきたい。これは知事の思いにも、私はかなうんだろうと思います。
次に、高度金融専門人材の育成について伺います。
これも首都大学東京で行う取り組みの一つでありまして、これからの東京国際金融センター構想を実現する上で、この人材育成が大事だといわれています。
都においては、高度な金融専門人材をどのように育成をしていくのか伺います。
○中西総務局長 東京の金融市場を国際的に競争力のあるものにするためには、金融界を牽引できるようなプロフェッショナルを育成していくことが重要でございます。
首都大学東京では、金融分野で世界トップクラスの大学の教育プログラムを参考に、平成二十八年四月開講を目指し、カリキュラムを検討しております。
魅力ある金融商品の開発を担う専門人材を養成するため、実務経験や基礎知識を有する優秀な人材を対象に、少人数でのディスカッションを中心とする演習などにより、時間をかけて徹底的に指導を行います。
こうしたプログラムにより、金融の現場における実務と最先端の金融工学の理論とを結びつける教育を行い、東京国際金融センター構想を支える人材を輩出し、東京の産業の活性化に寄与してまいります。
○高木委員 次に、国家戦略特区について伺います。
この取り組みは既に一年近くになりまして、四月一日から東京都はワンストップセンターも運営をするということで、大変期待が高まっているわけであります。
そこで、国家戦略特区の今後の展開の方向性について、知事の見解を伺いたいと思います。
○舛添知事 東京は日本経済の機関車の役割を担う立場としまして、国家戦略特区を有効活用することで、国際的なビジネス環境の整備、創薬--薬づくりですね、創薬等のライフサイエンス産業の活性化など、新たな競争力を生み出しております。
一方で、ご指摘のように、東京全体を考えながら、都市としての実力を向上させていくということも不可欠でございます。
これは長期ビジョンでも掲げましたけれども、将来にわたる東京の持続的発展にもつながるものでありまして、東京の各地域がその特色を生かしつつ、企業や人材の集積といった経済的基盤を整えて、それを支える都市インフラ、水と緑の空間などを確保していく必要がございます。
これを実現する手段としても、この国家戦略特区は有効だと考えております。東京をバランスよく発展させるために、区市町村や現場の声にしっかりと耳を傾けまして、地元の資源を活用した取り組みを後押しするとともに、今般の都市農業特区のように、東京都みずからが主体的に取り組んでまいりたいと思っております。
さまざまな取り組みを多角的に進めることで、東京を次の世代にふさわしい形に生まれ変わらせると、こういう道筋をつけていきたいと考えております。
○高木委員 この国家戦略特区の取り組みの中で、経済に即効性があるといわれているのが外国企業の誘致ということであります。
そこで、この外国企業の誘致について、これまでの誘致の進捗状況、そしてその投資効果について、あるいは誘致企業の具体例、これをお示しいただきたいと思います。
○川澄政策企画局長 本日までに誘致目標五十社に対し、医療健康、情報通信、環境など今後成長が見込まれる分野で、外国企業三十社から東京進出の意思決定を得ております。これらの企業の拠点設置三年後までの投資予定額は、誘致費用八・二億円の約二十三倍の約百九十億円となっております。
外国企業の誘致におきましては、都内の中小企業振興といった視点のみならず、都外への波及効果という視点も重視して取り組んでおります。
その具体例としては、東京に自動車部品の研究開発拠点の設置を予定している企業が、九州に製品テストの拠点を設置する準備を進めるといったケースも出てきております。
このように、誘致企業が日本でのビジネスを展開していけば、東京のみならず全国にも経済効果が及んでいくものと考えております。
○高木委員 注目に値する、多分、東京で受け入れて地方に波及をさせるということが既に実現をしていると思うわけであります。こういうことを一つ一つ積み重ねていって、地方創生にも寄与する東京都という評価をぜひいただけるように頑張っていただきたいと思います。
次に、東京水道の国際展開について伺います。
ミャンマーのヤンゴンで、昨年から、東京水道が持つ漏水防止技術を生かした無収水対策に取り組んでいると聞いておりますが、これは私たちも後押しをしてまいりました。
そこで、このヤンゴンにおける事業の特徴と進捗状況、これをまず伺います。
○吉田水道局長 ヤンゴンの事業は、現地セミナーや訪日研修などを経て、昨年十月から、パイロット事業として、漏水や盗水など収入に結びつかない無収水の改善対策を行っております。
事業の特徴は、民間企業との連携、漏水調査機器などの日本製資器材の調達、国の財政支援としてのODAの活用など、新しいプロジェクトモデルとなっております。
また、進捗状況につきましては、日本製資器材の通関手続及び搬入を経まして、その資器材を使用した詳細調査が終了しております。
現在、ヤンゴン水道に、技術やノウハウを伝えながら、水道管の修繕及び取りかえを実施しているところであり、年度末までにこのパイロット事業は完了の予定でございます。
○高木委員 年度末までにはパイロット事業が完了ということで、東京の協力により、目に見える形の改善が実現をするということだと思います。
今回の事業を記念して、東京水道ではマグカップをつくった、これね。(実物を示す)どうぞ、知事のところにちょっと、お渡ししてください。(実物を渡す)これは数が余りありませんので、ちょっと見ていただいて。これ、よくできておりまして、私が一番評価をしているのは、ここにちゃんとメード・イン・ジャパンと、このカップがメード・イン・ジャパンでつくられていると。これは大変なことだと思います。
そして、このマグカップを使って水を飲むことによって、ああ、日本の協力があったんだな、東京の協力があったんだな、そういうことがわかるという意味でも、これはすばらしいアイデアだと思います。できることなら、これに水道局のマスコットである水滴くんの絵をどこかに入れていただけないかなと思いますが、やはり私はそのぐらいの価値があるものというふうに思います。
ところで、この答弁の中にODAというお話がありました。ODAは、例えばエスカレーターがつくられたのに、修理ができないために単なる階段になっている例があるとか、いろいろと問題があるやにも聞いております。
しかし、東京水道のパイロット事業の違うところは、インフラを支える人づくりの仕組みも組み合わせた、そういう事業だということだと思います。
こうした実情を踏まえて、人づくりからプロジェクトに至るさまざまな国際展開の取り組みを、東京水道の強みとして示していく必要があると思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○吉田水道局長 途上国への人材育成は、自立に向けた支援ができるほか、人的パイプを強化することやプロジェクトの組成に生かせることなど、戦略的な取り組みとして、途上国と日本との双方にメリットがございます。
ご指摘のように、これらを東京の強みといたしまして示していくことが大変重要と認識しております。
このため、人材育成や技術協力を初め、プロジェクトに至る総合的な取り組みを体系化し、国際展開プログラムとして、来年度早期に策定してまいります。
さらに、このプログラムを国内外に広く発信し、国際展開を一層進めていくことにより、アジアの水道事情の改善を図るとともに、日本企業の海外展開を後押ししてまいります。
○高木委員 途上国は、やっぱり我が国に大変熱い視線を向けていると思いますし、東京が自立に向けた支援を、そういうインフラの部分で特にしていただけるというのは、これは本当に期待にかなうことだと思いますので、これからもぜひしっかり取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、中小企業支援について伺います。
まず、海外販路開拓について伺います。
今、産業労働局では、中小企業の稼ぐ力というものを強くしていこうという取り組みをしているわけでありますが、その一つとして、経済成長が著しいASEAN地域の需要を取り込むということを目標にしているわけであります。
都は来年度、その中心的な存在となっているタイに、中小企業振興公社の拠点を設けて、現地での、タイでの支援を開始すると聞いております。海外市場に果敢に挑戦する中小企業にとって、大変これは心強いと思います。
このタイの現地拠点における中小企業への支援について、所見を伺います。
○山本産業労働局長 都内の中小企業が、海外で取引を拡大し、継続的に事業を発展させることができるようにするため、来年度、タイに設置する拠点におきましては、豊富な情報網や人脈を持つ現地のビジネス事情に通じた人材を配置いたしまして、最新の情報をもとに企業のニーズに応じた効果的なサポートを展開いたします。
具体的には、販売代理店や生産委託先等とのマッチング、現地商談会の開催、営業拠点を設置する際の情報提供や諸手続へのフォロー、契約上のトラブルへの速やかな対応などを行ってまいります。
また、現地での商談や活動準備のためのスペースも提供するほか、技術面でのサポートを行う都立産業技術研究センターのタイの拠点とも連携をするなど、多面的な支援に取り組んでまいります。
○高木委員 次に、販路開拓のためのメディアの活用について伺います。
昨今、テレビを見ておりますと、必ずショップチャンネルとかがあります。あるいは、インターネットショッピングも大変需要が高い。ところが、こういうメディアを活用した販路拡大は、大きな企業はすぐに出られるんでしょうけれども、中小企業はなかなかハードルが高くて出づらいというふうにいわれています。
そこで、通信販売を含めた新たなメディアを使った販路開拓に対する実践的なサポートというものを、私は都としても行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○山本産業労働局長 家庭用品や雑貨など一般消費者向けの商品を取り扱う都内中小企業が、メディアを活用した販路開拓に円滑に取り組めるように、都は来年度、通信販売事業者と中小企業をマッチングする新たな支援を実施いたします。
まず、通信販売の活用を希望する中小企業を対象にいたしまして、通販業界の最新動向や在庫管理手法、販売体制、PR技法などに関する実践的なセミナーを四回にわたって開催いたします。
この中で、参加企業にテレビやインターネットを活用した販売への適性や課題をみずから認識していただきまして、その上で、通信販売事業者との商談会を開催することで、双方の効果的なマッチングにつなげてまいります。
こうした取り組みによりまして、企業の実情に応じたきめ細かな支援を行い、より多くの意欲ある中小企業が通信販売を活用できるように、積極的に後押しをしてまいります。
○高木委員 これも中小企業にとっては大変心強いことだと思います。
次に、女性、若者、シニア創業支援について伺います。
この創業支援事業、東京都は創業を一〇%台にしていくという目標を掲げておりますが、やはりこれから私たちが進めていくべきことは、こうした女性や若者やシニア、新たな創業をしていただける方の層の開拓だというふうに思います。
そこで、意欲ある創業者への多様な資金ニーズに柔軟に対応していくために、本事業の融資限度額などを私は見直していくべきだというふうに考えますが、都の見解を伺います。
○山本産業労働局長 女性・若者・シニア創業サポート事業の利用をさらに促進していくためには、創業の実態に即したきめ細かな対応が重要でございまして、都は来年度、融資条件の緩和や経営サポートの拡充を行ってまいります。
具体的には、開業費用が大きい医療、福祉分野のように、現行の融資限度額では十分に対応できない業種があることから、限度額を一千万円から一千五百万円に引き上げます。
また、商品開発や販路開拓等に必要となる新たな資金需要に対応をしていくため、創業から五年間の追加融資が可能となるよう支援の拡充を図ってまいります。
これに加えまして、セミナーを充実し面談の回数をふやすなど、アドバイザーによる支援を拡充いたしまして、創業者一人一人のニーズに応じた適切なサポートにより、地域に根差した創業を強力に支援してまいります。
○高木委員 次に、創業活性化特別支援について伺います。
先ほどの若者、女性、シニアの創業と同じように、創業あるいは開業、これを一〇%台に進めていくという政策の一つとしてこれがあると。そして、これは私たちの主張した、我が党が中小企業振興公社に百億円の基金を造成してということで、実現をして、起業家や創業支援施設への助成を新たに開始することが決まったわけであります。
この基金を活用して思い切った創業者に対する支援の拡充をしていくべきと考えますが、この内容についてお伺いしたいと思います。
○山本産業労働局長 次代を牽引する多くの起業家を輩出していくために、都は、基金を活用いたしまして、来年度から、六年間にわたり創業活性化特別支援事業を実施いたします。
まず、有望なビジネスプランを有する創業予定者や創業間もない事業者に対しまして、登記費用や事務所経費、広告費等の三分の二につきまして、三百万円を限度に助成をいたします。
また、民間事業者や区市町村による創業支援を促進するため、すぐれた運営計画を持つ民間創業支援施設の整備、改修経費、その後の二年間の運営に係る経費の三分の二につきまして最高九千万円まで、また、区市町村の創業支援施設につきましては、経費の二分の一につきまして最高七千万円まで、それぞれ助成を行ってまいります。
○高木委員 これも大変心強いことと思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
次に、産業政策の最後として、百年先の東京を育てる多摩の森林産業の復興について伺います。
多摩地域を中心に広がる森林は、実に多くの機能を有しています。これは都民共有の財産といっても過言ではないと思います。
森を育てるには、五十年、百年といったスパンでの取り組みが必要です。そこで、この森林をどうしていくのか。これは、例えば伐採、利用、植栽、保育という森林循環のサイクルがきちんと機能しなければいけない。そのためには総合的な取り組みが必要というふうに思います。
この多摩の森の再生と林業振興に向けた具体的な事業展開についてお伺いしたいと思います。
○山本産業労働局長 都民共有の財産である豊かな森林を健全な姿で次世代に継承していくため、都は、林業の振興、森林循環の促進に向けまして、多摩産材の生産、利用の両面から対策を強化してまいります。
まず、生産面では、市町村等が行う林道や林道と作業道を接続する取りつけ道などの基盤整備を促進するため、十分の十の補助を行うほか、花粉発生源対策を再構築いたしまして、杉林の伐採、更新規模を拡大するとともに、林業サポート隊の創設による新たな担い手の確保も進めてまいります。
また、多摩産材の利用拡大の対策といたしまして、保育園等における内装、遊具等の整備に対する都独自の補助を大幅に拡充するとともに、オリンピック・パラリンピック大会の関連施設整備におきまして多摩産材の活用が図られるよう、国際認証の取得などにも取り組んでまいります。
○高木委員 取り組みは、これは大変難しいんですけれども、多摩産材の問題を含めて、林道、それから作業道、取りつけ道、こうした、要するに木を切るための基盤整備というんですかね、これをしっかりやっていただいた上で進めていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
福祉、保健、医療分野について伺います。
さきの我が党の代表質問で、地域包括ケアシステムの構築に向けて、高齢者保健福祉計画に基づく具体的な取り組みの進め方について伺いました。
ここでは、都内の特養への入所申込者の数と、在宅で入所を希望している方の状況について、まずお伺いしたいと思います。
○梶原福祉保健局長 平成二十五年十一月に都が実施した調査では、都内の特別養護老人ホームの入所申込者の数は、四万三千三百八十四人でございます。
このうち、介護保険施設や病院、社会福祉施設等にいる方を除いた在宅の申込者は二万一千八百三十九人でございまして、その中で、各区市町村の入所基準により、特別養護老人ホームへの入所の必要性が高いと判断された方が七千百二十七人、入所申込者のうち約一六%となっております。
要介護度で見ますと、在宅の申込者で要介護三以上の方は一万四千六百八十七人、そのうち、入所の必要性が高いと判断された方が六千百三十七人で、入所申込者の約一四%となっております。
○高木委員 特養に入所を希望されている方々の中にはさまざまな状況の方がいて、必ずしも直ちに特養での介護サービスを必要としているわけではないというのは、データの上ではそういうことだと思いますし、また、国の調査でも、優先して入所させるべき割合というのは一一%というふうにいわれております。
そこで、長期ビジョンで掲げている介護基盤の整備を、具体的にこれからどのように推進しようとしているのか伺います。
○梶原福祉保健局長 二〇二五年には、都内の要介護者は約五十五万人と、今後おおむね十年間で約十六万人増加すると推計されております。
こうした将来を見据えまして、長期ビジョンでは、地域包括ケアシステムの構築を目指して、施設サービスと在宅サービスの整備をバランスよく進めていくこととしております。
そのうち、特別養護老人ホームは、都独自の施設整備費補助や用地確保策で、二〇二五年度末までに新たに約二万人分を整備することとしておりまして、要介護者の増加を見込んでも、在宅の申込者のうち、入所の必要性が高い方は速やかに入所できるようになると試算しております。
また、認知症高齢者グループホームや老人保健施設などのほか、高齢者向けの住まいや地域密着型サービス、ショートステイ等在宅生活を支える介護基盤の整備についても、都独自の支援策を講じまして整備を進めてまいります。
○高木委員 高齢者の増加に伴って、同時に医療的ケアが必要な方も増加することが見込まれています。
そこで、在宅医療の推進に向けた、医療と介護の連携強化にかかわる都の取り組みについてお伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 都はこれまで、地域における在宅療養体制を整備するために、医療と介護の連絡調整窓口を設置する区市町村への支援や、複数の在宅医が相互に補完し、訪問看護ステーションと連携しながら、二十四時間体制で訪問診療等を行う地区医師会への支援などを行ってまいりました。
また、今年度から、在宅療養患者にかかわる多職種がICTの活用などにより効果的に情報を共有する体制の構築を行う地区医師会への支援も開始しております。
来年度からは、退院調整や地域の医療と介護の連携に取り組む看護師等を配置する中小病院への支援や、介護従事者等からの相談対応に医師を配置する区市町村への支援を新たに実施することとしておりまして、今後とも、医療と介護の連携強化に向けた取り組みを積極的に推進してまいります。
○高木委員 現在、我が国は医療制度について改革を迫られていまして、今までとは違った形に、これからつくりかえられるんだろうと思います。
今までは急性期を中心にした治す医療だった。それがこれからは、治療をした後に治し支える医療へと、地域で支えるというんですかね、そういう医療に転換を迫られているといわれています。
国は、医療介護総合確保推進法を昨年六月に公布をいたしまして、これから病床の機能分化を図っていくということになると思います。
改めて伺うんですが、まず、この病床の機能分化を図る意味での地域医療構想というのをこれからつくると思うんですけれども、この地域医療構想を策定する基本的なそもそもの目的と、その内容についてお伺いしたいと思います。
○梶原福祉保健局長 地域医療構想は、地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進することを目的としておりまして、医療需要の将来推計や病床機能報告制度の情報等を活用して、二次医療圏を原則とした構想区域ごとに、二〇二五年の医療需要と病床の必要量を推計しまして策定するものでございます。
その中には、二〇二五年における入院、外来別患者数等の医療需要、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の四つの医療機能ごとの必要量、目指すべき将来の医療提供体制、その実現のための施設整備や医療従事者の確保、養成等の施策を盛り込むこととされております。
○高木委員 実は、国は、東京も地方も関係ないということで一律の制度を今つくろうとしていますが、これはやっぱり都市部と地方はなかなか同じようにいかないと思います。
本日開催される検討会で、この地域医療構想の基本的な、一つの国が示すスタンダードがあるんですけれども、その指針となるガイドラインについての報告がまとまると聞いています。
これはそれぞれの地域に当てはめていくと、東京は多分圧倒的に当てはまらないという状況になってきまして、先日、私たちは、この問題を塩崎厚生労働大臣に直接、東京はやっぱり事情が違いますと、東京は全国一律の制度にはなかなか当てはまりづらいと、逆にいうと、東京をそれに当てはめてしまうと、東京の医療水準というのは確実に下がるし、おかしくなってしまいますよということを申し上げてまいりました。
そこで、東京における、いわゆる今問題になっているベッド数をどう切り分けていくのか、そのことにおける特定機能病院の現状についてお伺いしたいと思います。
○梶原福祉保健局長 特定機能病院は、高度な医療の提供や医療技術の開発、評価などを実施する病院として厚生労働大臣の承認を受けた病院でございまして、集中治療室や無菌病室等を備えていること、病床数が四百床以上であること、通常の病院の二倍程度の医師を配置すること、省令で定める十六の診療科を持つことなどが要件とされております。
現在、全国で八十六病院が承認されておりますが、そのうち十六病院が都内に集積しております。
また、その病床数は約一万五千床でございまして、都内の病床数の約一五%を占めてございます。
○高木委員 東京の特定機能病院問題は、東京の医療機能の生命線を握る一つのファクターだと私たちは思っています。
この医療制度改革の一つの問題は、地域を医療圏ごとに考えてくださいということだと思うんですが、東京においては、医療圏というものの存在自体が、交通手段がしっかりしているとか、あるいは近いとか、その面積だとか、病院の件数だとかいろいろありまして、これはなかなか医療圏ごとに完結をするというわけにいかないと思います。
そこで、都の医療圏における医療資源の現状がどうなっているのか伺います。
○梶原福祉保健局長 都は、保健医療計画におきまして、都民に包括的な保健医療サービスを提供するための地域的な単位として、複数の区市町村から成る二次保健医療圏を設定しております。
二次保健医療圏の医療資源は、島しょ保健医療圏を除きまして、いずれの医療圏も民間病院や中小病院の占める割合が高く、都内全体では民間病院が約九割、二百床未満の病院が約七割となっておりまして、地方とは違うという状況になっております。
また、都は、こうした二次保健医療圏を基本としながら、各圏域の医療資源の状況や、疾病、事業ごとの特性などを踏まえて医療提供体制を整備しておりまして、小児救急医療では、こども救命センターを中核に、都内全域を四つのブロックに分け、また、周産期搬送体制では、総合周産期母子医療センターを中核に、都内を八つのブロックに分けております。
○高木委員 先日、塩崎厚生労働大臣に申し入れに行ったときに、きょう出される予定になっているガイドラインの、東京は弾力的な運用をしてほしい、東京だけは、ほかの地域からもたくさんの患者も来る、全国的な規模で患者が来るというような事情もあったり、特徴が、ほかと全く違うから弾力的な運用をしてほしいということを申し上げたら、大臣からは、東京の実態に即した新制度の弾力的運用が必要だというお答えを実はいただいております。
ですから、これからこの問題を詰めていくわけでありますけれども、このガイドラインをどのように都は受けて、そして、どのように策定作業を進めていくのか伺いたいと思います。
○梶原福祉保健局長 ガイドラインが出て、あわせて国は、三月末に省令等の制定及び改正を予定しております。
都といたしましては、今後とも、機会を捉え、地域ごとの特性を地域医療構想に反映できるよう国に求めてまいりたいと考えております。
また、来年度から、地域医療構想の策定に向け、保健医療計画推進協議会のもとに、学識経験者、医療関係団体、区市町村、保険者等で構成する策定部会を設置いたしまして、具体的な検討を開始する予定でございます。地域の医療機関、関係者からの意見も聴取する機会も設ける考えでございます。
こうした手順を積み重ねながら、都にふさわしい地域医療構想の策定に取り組んでまいります。
○高木委員 東京の実情に合わせて、しっかりと地域医療構想を策定していただきたいと思います。
次に、社会的養護の問題について伺います。
最近、本当に残念ですが、虐待のニュースが後を絶ちません。子供たちの命、かけがえのない命を守っていくためには、東京都として、しっかり仕事をしなきゃいけない。
そのためには、児童相談所が、より積極的に虐待に対して取り組みを行っていく必要があると思いますが、都の見解を伺います。
○梶原福祉保健局長 都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に取り組むため、児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置、保健師の資格を有する医療連携専門員の配置などを行ってまいりました。
来年度は、虐待相談件数の増加に対応するとともに、児童の家庭復帰を見据えた支援を強化するため、児童福祉司を十三名増員いたします。また、虐待通告への初期対応を行う虐待対応協力員を五名増員いたしますとともに、警察との連携や困難ケースへの対応力を強化するための警察官OBを十一名増員し、全ての児童相談所において、それぞれの業務に複数名で対応する体制を整えることとしております。
さらに、急増する一時保護需要に対応するため、一時保護所も増設し、児童相談所の対応力をより一層強化してまいります。
○高木委員 この虐待の問題は、今、虐待で親元で暮らせない子供たちが都内で約四千人いるといわれているんですね。ですから、これは大変深刻なことだと思います。
こうした社会的養護を必要とする子供たちの養育環境を充実させて、より一層きめ細やかな支援を行うことが求められていると思います。
都はどのように取り組みますか、お伺いいたします。
○梶原福祉保健局長 都はこれまで、社会的養護のもとで生活する子供の養育環境を充実するため、家庭的養護の推進、施設の専門機能の強化、自立支援の充実などに取り組んでまいりました。
来年度は、家庭的養護をより推進するため、グループホーム等の後方支援拠点の整備や法人が運営するファミリーホームの補助者の配置等に対する独自の支援を行います。
また、虐待を受けた子供などに専門的なケアを行うため、医師等を配置する児童養護施設をふやすとともに、新たに乳児院においても同様の取り組みを試行的に実施いたします。
さらに、退所後の自立につなげるため、中学生のみが対象であった学習支援を、小学生と高校生にも拡大いたします。
現在策定中の社会的養護施策推進計画では、これからの施策の方向性を盛り込む方針でございまして、今後とも、一人一人の子供の状況に応じた養育環境の整備を推進してまいります。
また、計画では、平成四十一年度末までに家庭的養護の割合を現在の三割から六割へ引き上げる方針でございまして、今後、具体的な方策について、学識経験者等の専門家の意見も聞きながら検討していく予定でございます。
○高木委員 どうぞ取り組みをしっかり行っていただきたいと思います。
最後になりましたが、都庁舎のセキュリティーについて伺いたいと思います。
都庁舎はシティーホールでありますから、自由に都民が出入りができるという部分が当然必要ですし、実務をやっているところもありますから、それも大事だと思います。
しかし、余りにもフリーパスでもいけないと思っておりまして、もう少しセキュリティーを強化すべきではないのかな。特に、この議会棟、あるいは本庁舎、第二庁舎もそうですが、それらのセキュリティーはより強化をして、オリンピック・パラリンピックに向けて、私たちしっかり取り組みを行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○中西総務局長 都庁舎は、都民に開かれたシティーホールとして建設され、多くの都民や事業者、観光客が許認可や助成金の申請、福祉の相談、展望室の見学などに訪れております。
都はこれまで、来庁者の安全確保のため、巡回や防犯カメラによる監視などの対策を講じてまいりました。
テロの脅威が高まる中、来庁者の生命、身体等を保護し、都のヘッドクオーター機能を維持するためには、都庁舎のセキュリティー強化は喫緊の課題でございます。
このため、都庁舎の各フロアの特性を踏まえ、警備体制を再点検するなど、セキュリティーの強化対策を講じてまいります。同時に、テロ災害などに的確に対処するため、避難誘導体制の強化、整備も図ってまいります。
今後とも、都民サービスと警備のバランスを念頭に、都庁舎の機能維持と来庁者の安全を確保してまいります。
○鈴木(あ)委員長 高木けい理事の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十二分休憩
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