予算特別委員会速記録第五号

○宇田川委員長 山内れい子委員の発言を許します。

○山内委員 締めくくり総括質疑、最後となりました。
 まず、子宮頸がん対策についてお伺いいたします。
 女性特有のがんの一つである子宮頸がんの最も有効な予防策は定期検診です。子宮頸がんを引き起こすHPVウイルスは、男性にも女性にも感染する、ごくありふれたウイルスで、一時的に感染しても自然に消滅します。しかし、女性の場合、まれに数年から十数年後に子宮頸がんを発症すると考えられています。そのため、定期的に検診を受け、感染をチェックし、がんになる前に発見することが重要です。早期治療することで出産も可能です。
 子宮頸がんの罹患率が、近年、若い世代で増加しており、若い女性に検診の大切さの周知を進めていくべきです。しかし、都における受診率は約三五%で、年代別に見ると二十代前半の受診率は一〇・九%と低いのが現状です。
 これまで東京都は、検診の受診率向上のために各種の取り組みをしており、その努力は認めるところでございますが、さらに受診率を上げる必要があります。都の見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 都は、子宮頸がん検診の受診率向上に向け、個別の受診勧奨などに取り組む区市町村を、包括補助事業を活用して支援するとともに、企業に対しては、検診の重要性に関するハンドブックの配布や、講演会を開催し、健康管理担当者等への啓発を行っております。
 また、都民に対しては、ポスターやフリーペーパー、イベントなどにより、がん検診の意義や具体的な受診方法について広く周知を図っているところでございます。
 さらに、今年度からは、特に受診率が低い二十代をターゲットに、大学と連携し、女子大学生向けのパンフレットや、例えば学生食堂での卓上スタンド型広告などを用いて、きめ細かく受診を呼びかけております。
 今後も、こうした取り組みを進め、子宮頸がん検診の受診率向上を図ってまいります。

○山内委員 厚生労働省は、子宮頸がんワクチン接種の積極的勧奨を一時中止しましたが、接種そのものは継続されています。全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会に寄せられた相談件数は一千件を超え、副反応は二百十二件もあります。副反応は、接種直後に異変が起こる場合だけでなく、二年以上たってから症状があらわれる事例も複数報告されており、厚労省の検討部会にも報告されています。
 子宮頸がんワクチンは、副反応症状の深刻なケースが多いです。
 被害をこれ以上拡大させないため、国は定期接種を中止すべきと考えますが、今、都がすべきは、副反応に関する情報を提供することだと考えます。都の見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 定期予防接種等の実施に際しましては、医師から予診の際に、被接種者または保護者に対し、副反応が生じる可能性や重い副反応が生じた場合の健康被害救済制度について説明を行うこととされております。これに加え、HPVワクチンにつきましては、現在、積極的な勧奨を行っていないことを伝えるとともに、ワクチンの有効性や安全性等を記載した資料を用いて十分説明の上、接種することとされております。
 都は国に対し、ワクチンに関する情報提供や、重い副反応が生じた場合の医療体制の整備等、安心して予防接種が受けられる環境整備を行うよう提案要求してまいりました。
 また、ホームページにより、副反応についての情報を含め、予防接種に関する情報提供を行っており、今後とも、都民に対し必要な情報を迅速に提供してまいります。

○山内委員 日本線維筋痛症学会も、三月二十日、実態調査を求める要望書を厚労省に提出したと報道がありました。
 鎌倉市、茅ヶ崎市、大和市では、ワクチンの被接種者全員に調査を行い、鎌倉市では、回答した千七百九十五人のうち四五・六%に当たる八百十八人が体調の変化があり、そのうち一・三%は変調が長期継続していると聞いております。
 初登庁の記者会見で、知事は、東京都としても実態を把握して、何らかの救済手段とかできるか、厚生労働大臣時代に私もかかわっておりますので、厚生労働省とも協議しながら、一番いい方法を考えたいと思っていますと述べられました。ぜひ力になってほしいと思います。知事の見解を伺います。

○舛添知事 HPVワクチンの接種は、平成二十二年度から、国のワクチン接種緊急促進事業によりまして、また、平成二十五年四月からは、予防接種法に基づく定期予防接種として実施されていることはご承知のとおりでございます。
 予防接種は、その有効性と安全性を踏まえ、国としてどうすべきかを考える問題であります。そうした観点から、私も厚労大臣時代に、さまざまな議論を行いましたが、今回の副反応の問題も、基本的には厚生労働大臣が指揮をとって対応していただきたいというふうに思っております。
 現在、国では、医師から報告された症例や海外での調査結果等について、専門家による検討が進められております。また、ワクチン接種後に持続的に痛みを訴える患者を診察する拠点病院を指定しまして、専門的な診療を行うとともに、医学的な知見を集積し、治療方法などの調査研究が行われております。
 都といたしましても、求めがあれば厚生労働省に最大限の協力をする、また、国の動きや副反応に関する情報は、先ほど局長が申しましたように、今後とも、都民に対して迅速にお伝えしていくつもりでございます。

○山内委員 まだまだ、どこにも相談できずに副反応で苦しんでいる子供たちもいるに違いありません。相談体制、救済の仕組みの充実は急務です。十代の女性が苦しんでいることに、真摯に向き合っていただきたいと思います。
 私の地元国立市では、今定例会で実態調査を実施することになりました。都としても、ワクチンを受けた全員を調査し、副反応の実態を把握することを強く要望いたします。
 実の親の病気や死亡、貧困、虐待などの理由により、施設や里親などの社会的養護のもとで育てられる十八歳までの子供は、都内に約四千人います。毎年およそ五百人の子供たちが、十八歳になると、施設や里親のもとから離れて社会に出ていきます。生活全般のあらゆるものが提供され、与えられた範囲で暮らしていた環境から、自分で住まいを探し、仕事を見つけ、自活しなければならない状況に置かれることになります。大きな負担と不安を抱える若者たちに対するアフターケアの充実が必要です。
 児童養護施設や里親委託後の自立支援について、都の取り組みについて伺います。

○川澄福祉保健局長 都は、児童養護施設を退所した児童に、生活や就労などの支援を行う施設に対して、独自の補助を行うほか、昨年度から、関係機関とも連携し、入所児童の自立支援や退所後の相談支援等を行う自立支援コーディネーターを専任で配置する取り組みを開始し、現在四十九施設で実施しているところでございます。
 また、委託期間を終えた里子の自立に向けて、養育家庭等が行う生活援助、就学相談、就労援助などの取り組みに対しても、昨年度から補助を行っております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、社会的養護のもとで育つ子供たちの自立を支援してまいります。

○山内委員 施設等を退所した子供が社会に出た後、つまずいたときに、施設のほかにも相談できる場があることが大切であると思いますが、都の支援状況を伺います。

○川澄福祉保健局長 都は、児童養護施設等を退所した児童が気軽に集まって交流でき、生活や就労上の悩みや相談に答えるふらっとホーム事業を平成二十年度から開始し、現在、区部一カ所、多摩地区一カ所の計二カ所で実施をしております。
 このふらっとホームでは、専任のスタッフが、相談支援、就職活動支援、生活支援などを行い、児童の自立を支援しており、また、子供たちが集まって、意見交換や情報交換、情報発信等を行える場所にもなっているところでございます。

○山内委員 施設の子供が中学卒業や高校中退で就職すると、原則十八歳までいられるはずの施設を十八歳より前に出されるケースもあると聞いています。また、満二十歳まで期間を延長できる仕組みもありますが、余り活用されていないようです。
 大学や専門学校に進学しても、経済的な理由で続かず中退したり、職についても定着できなかったり、孤立しがちです。社会的養護のもとで育った子供たちが、孤独感、孤立感、金銭問題、職場での人間関係など、さまざまな困難を乗り越え、自立できるようになるには、一年や二年では無理があります。
 アフターケアを行う施設は、都内ではふらっとホームが二カ所ありますが、受け入れや支援体制は不十分であり、対策の強化を要望いたします。
 水道事業について伺います。
 水は一日たりとも生活に欠かせない大切なものです。水道事業は、極めて公共性の高い事業でありながら、独占事業であり、都民が東京水道以外の水道を選択することはできません。
 消費税の税率改定に伴って、水道料金の値上げが提案されています。水道局は、漏水対策によって漏水率を二%まで低減し、安全でおいしい水を供給する経営努力と健全な財政運営を行っております。
 ここで、二〇一二年度末で資金残高の見込み額は幾らか、その使い道はどんなものであるかをお伺いし、また、積立金、今後老朽化した施設の更新及び延命化が必要になるため、毎年五十億円の積み立てをしていると聞いております。しかし、二〇〇三年に出したものと同じ過大な水需要予測の方向が示されており、既に水需要は減少傾向が続いており、将来人口が減少し、水需要はさらに減っていくことが確実な中で、それを踏まえた東京全体の施設能力の見直しが必要となってきております。
 長期的な財政計画が必要と考えますが、以上二点について、東京都の見解をお伺いいたします。

○吉田水道局長 現金、預金などの流動資産につきましては、平成二十四年度末で約三千四百七十億円でありますが、これらは、短期的な債務であります流動負債約一千百五十億円のほか、管路の耐震継ぎ手化を推進するための修繕引当金が約一千三百十億円、平成三十年代から本格化いたします大規模浄水場の更新に先立ち、代替の浄水施設を整備するための積立金が二百五十億円、さらに、平成二十二年度に都営一元化いたしました奥多摩町の水道施設を整備するための積立金が約二十億円など、いずれも今後安定的に事業運営を行っていくために必要不可欠な資金であります。
 また、減価償却費などの損益勘定留保資金とともに、資本的収支不足額の補填財源となる利益剰余金約二百九十億円も含まれているものでございます。
 次に、長期的な財政計画が必要だというお尋ねでございます。
 水道局では、今後の事業運営につきまして、お客様への説明責任を果たすために、料金水準などの考え方を示しました財政計画を定期的に策定しておりますが、長期の計画では、社会経済情勢の変化など不確定要素が大きくなりますので、おおむね三年程度を期間としております。
 現在は、平成二十五年度から二十七年度までを計画期間とする東京水道経営プラン二〇一三に基づき、震災対策や施設の老朽化への対応など、必要な事業を積極的に推進するとともに、事務事業の効率化など、可能な限り経営努力に取り組み、現行の料金水準を維持したままで収支均衡となる財政計画としております。
 しかしながら、水道事業は装置産業でありますので、整備した施設は長期間にわたり使用することとなるため、その経営につきましては、当然のことながら長期的な視点が必要であります。このため、約四半世紀にわたる施策の方向性を示しました東京水道長期構想STEPⅡや、平成二十四年に策定しました東京水道施設再構築基本構想などにより、将来を見据えながら、この経営プラン二〇一三を策定しております。
 なお、お話にございました水道需要の見通しにつきましては、これまでの実績を長期的に分析しまして、最新のデータを用いて、統計的手法により、適切に見通したものでございます。

○宇田川委員長 山内れい子委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして付託議案に対する締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 第一号議案から第二十七号議案まで及び第百二十九号議案に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宇田川委員長 異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はいずれも終了いたしました。
 なお、あすは午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いをいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後七時三十八分散会

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