予算特別委員会速記録第四号

○東村副委員長 栗山欽行委員の発言を許します。
   〔東村副委員長退席、委員長着席〕

○栗山委員 自由民主党の栗山欽行でございます。
 まず、水道水質の向上についてお伺いをいたします。
 私は、長年、地元狛江市の市議会議員として、常に住民の日々の暮らしに接してまいりましたが、中でも水道は、住民生活に直結し、安全でおいしい水が現代の都市生活に不可欠であるということを常に強く感じてまいりました。
 歴史をたどってみますと、かつてのヨーロッパ文明都市などでは、都市の発展に水道が大きな役割を果たしてまいりました。一方、今の東京水道は、ミネラルウオーターにまさるとも劣らない水が、いつでも、どこでも入手できるようになりました。
 先日の施政方針表明で、知事は、東京は世界一の都市を目指すと宣言されました。その実現には、都民の誇りである先進的な東京の水道のことを世界に強くアピールすることが重要であろうと思います。
 そこで、東京の水道に対する知事の基本的認識をお伺いいたします。

○舛添知事 水道は、都市活動はもとより、人々が健康で豊かな生活を営むために欠くことのできない社会基盤であるということはいうまでもありません。私は、東京の水道は世界一だと思っております。
 若いときにパリに留学したとき、何に困ったかといったら、水道の水、飲めないんです。だからミネラルウオーターを買わないと飲めない。それは、ある意味で非常にカルチャーショックでありました。
 それから、歴史上、水道は、今、栗山委員おっしゃったように、都市の発展に重要な役割を果たしておりまして--ローマというのはなぜ成ったか、それは基礎的なインフラとして水道が普及して、ローマ帝国発展の礎となったわけであります。
 それから、議会制度の生みの親であります、近代議会制度のイギリス、ウエストミンスター国会議事堂、夏、審議がとまりました。なぜでしょうか。余りにテムズ川の悪臭でやっておれなくて、窓をあけているとやれない、そういう状況でありましたので、これはチフスがはやると。ロンドンというのは、近代の水道を築くまでは、議会活動さえできないぐらいにひどかった。
 そういう歴史を踏まえますと、東京、江戸時代の玉川上水、すばらしいものが既にありました。そして、第二次世界大戦の戦火に見舞われて、当時の漏水というのは八割まで達していましたけれども、今では無収水率が三%、本当に漏水しないということで、これも飛躍的に進化してまいりました。私は、この進化によって、高品質な水をいつでも得られるシステムが東京という巨大都市に備わっているのは誇りでありまして、都民の宝であると思っております。
 私は、このシステムは、世界一の都市として不可欠な東京の水を供給する大きな底力であると思っておりますし、ぜひ、東京オリンピック・パラリンピック、蛇口ひねっただけでこんなおいしい水が飲めるんだよっていうことを、大きな東京の魅力として世界中に発信していきたいと思っております。

○栗山委員 ただいまの知事の力強い発言を受けとめ、ともに世界で一番の都市東京の実現に邁進をしていきたいというふうに考えております。
 さて、私は、昨年の定例会で水の見える化を提案し、水道局は水道水質モニター制度を創設いたしました。私も、いただきました測定キットを使い、水質測定を行ってみましたが、自分で結果を求められる、よい試みだと感じました。(実物を示す)こうしたものが水道局から配られておりました。硬質ですとか、標準色、残留塩素、そして鉄、こうしたものを測定するということでございます。
 この水道水質モニター制度の実施でどのような成果が得られたのかお伺いいたします。また、成果を踏まえて、来年度はどのように実施をしていくのか、あわせてお伺いをいたします。

○吉田水道局長 飲み水としての水道水が不満とする方の中には、水道局が安全でおいしい水をつくっていることは理解しているものの、自分の家や周辺の地域の水質が心配で、みずから確かめたいという方がいらっしゃいます。
 そこで、水道水の安全性やおいしさをお客様自身が体感し、その情報を共有できる仕組みとして、全国で初めて水道水質モニターを創設し、実施いたしました。その結果、約七割の方から、モニターになる前に比べ、水道水に対する満足度が向上したとの評価が得られております。また、安全に自信があるからこその制度などの声も多数寄せられたところでございます。
 来年度は、当局の広報紙であります水道ニュースで広く周知いたしますとともに、モニターの規模を千人程度に倍増し、実施してまいる予定でございます。

○栗山委員 この成果を踏まえ、来年度もぜひ実施をしていただきたいと思います。
 これまでの取り組みによって、お客様満足度は向上しているものの、水道水のよさは理解せずに、残念ながら、浄水器やウオーターサーバーを利用していらっしゃる方がいることも事実であろうと思います。
 高度浄水一〇〇%によって、安全でおいしい水がどこでも飲めて安いことに加え、水道水は環境面でもすぐれております。
 ニューヨーク市やパリ市などの世界の大都市では、環境の意識の高まりから、水道水のよさを見直す動きが市民に広がっていると伺っております。高度浄水施設の整備が完了し、世界一といえる水道システムが完成したことを機に、さらに水道水のよさが都民の皆様に伝わりますよう、世界の都市とも共同して取り組んでいくべき、こう思いますが、所見をお伺いいたします。

○吉田水道局長 水を得る方法といたしまして、水道水は車両による輸送などを必要としないことから、環境負荷が低く、社会的コストにおきましてもすぐれております。お客様にこのような水道水の優位性を訴えかけていくことは、環境負荷抑制などの側面からも大変有益でございます。
 ただいまお話にございましたニューヨーク市やパリ市では、水道水の環境や価格面及び利便性などのメリットを、キャンペーンなどを通して市民に積極的にPRしております。
 そこで、先進的な世界の都市とお互いに連携し、相乗効果によって運動を広める仕組みを築くとともに、水道水質の見える化や環境に優しい水道水の理解促進といった視点を盛り込んだ新たなプロジェクトを平成二十六年度に立ち上げ、局を挙げて推進してまいります。

○栗山委員 東京の水道が、都市の魅力として都民に浸透することが極めて重要でございます。
 また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会開催のときには、国内外から訪問する多くの方々にも、ぜひ東京の水道水のすばらしさを実感していただきたいというふうに思っています。
 さらに、東京の水道が、都市の魅力として国内外を問わず浸透していくことは極めて重要であると思います。蓄積してきましたノウハウの国際展開をどう実施していくのか、あわせてお伺いいたします。

○吉田水道局長 東京水道では、これまで百十五年にわたる事業運営の中で、幾多の時代時代に合わせた技術、事業運営のノウハウを積み重ねてきております。
 そうしたものを、アジアを中心とした海外の水需要に貢献できるよう、相手からの研修受け入れ、また、私どもからの情報発信を含めて最大限活用していきたいというふうに思っております。

○栗山委員 首都の都市の魅力を高めていくことは、極めて重要であると思います。
 次に、公園の整備についてお伺いをいたしたいと思います。
 首都東京の魅力を高め、防災機能をあわせ持った都市施設として防災を重視している、これは極めて重要な視点であろうと思います。都内には多くの公園がございますけれども、この都市公園、今までどのように整備をされてきたか、この観点についてお伺いをいたします。

○横溝建設局長 都市公園の整備の考え方でございますけれども、都市公園におきましては、優先整備区域というものを設定してございまして、その選定に当たりましては、まず、公園が備えるべき基本的事項でございます防災、環境保全、レクリエーション、景観の各機能と、水と緑のネットワーク形成の観点から、整備を優先すべき緑地、公園を絞り込みます。
 その上で、さらに防災の観点から、災害時における避難場所としての効果や都市型水害を軽減する効果などを加味して評価し、平成三十二年度までに事業に着手する優先整備区域というものを設定しております。

○栗山委員 首都の魅力を高めて、防災機能をあわせ持った都市施設として防災機能を重視しているということは十二分に理解をできました。
 防災、減災対策というのが、区部が重視される傾向というのがあるように若干思われがちでありますけれども、多摩地域でも区部に比較的近いところに、防災拠点である神代植物公園がございます。過日、都立神代植物公園の整備計画(改定)が答申をされましたけれども、多摩部の防災拠点である神代植物公園の整備計画についてお伺いをいたします。

○横溝建設局長 神代植物公園は、五千株を超えるバラを初め、桜やツバキなど約四千八百種類、十万本に及ぶ植物を展示し、年間約七十万人の来園者を迎える、日本を代表する植物公園でございます。
 この公園の拡張整備に当たりましては、平成二十六年二月の公園審議会答申を踏まえまして、江戸園芸文化の情報発信の拠点、世界の花々を集めた花壇の設置、約十ヘクタールに及ぶ避難場所ともなる新たな芝生公園の整備、さらには、ヘリコプターの離着陸場ともなる駐車場の設置などによりまして、神代植物公園の魅力アップと防災機能のさらなる向上を図っていくということにしてございます。

○栗山委員 防災機能の強化というのは、高度防災都市の構築には極めて不可欠な視点でございます。公園施設も含めて、環境保持をしながら、不測の事態に万全な備えができるように努力をしていただきたいと思います。
 次に、中小企業の環境対策についてお伺いをいたします。
 長引くデフレからの早期脱却と経済再生を図るためには、都民、国民の生活を支えるエネルギー供給の安定化は不可欠でございます。エネルギーの安定化には、安全、安定、コスト、地球温暖化にも配慮しながら、多様なエネルギー供給を実現するのみならず、家庭や企業活動に過度の負担を強いることなく省エネを進めていくべきというふうに考えます。
 特に、我が国経済の新たな源となる高効率な創エネ、そして、省エネ機器の普及拡大も重要な視点でございます。都内に六十九万あります中小事業所に対して、こうした取り組みを促していくことは、エネルギーの効率化と市場の活性化の観点から、極めて有効であると思います。
 昨年十二月、我が党は、東京を世界で一番の都市にするための政策提言を行い、その中で、中小医療福祉施設や中小テナントビルへの省エネや節電対策の推進について提言をしてまいりました。
 まず、さらなるエネルギーの効率化を進めるためには、熱需要が一定以上ある施設での熱を含めたエネルギーマネジメントの導入が効果的であり、給湯などに熱を多用している中小医療福祉施設に対して、電気と熱のエネルギーマネジメントを今後どのように推進をしていくのか、お伺いをいたします。

○長谷川環境局長 エネルギー利用の効率化の一層の推進のためには、ご指摘のとおり、熱需要が一定以上ある施設での熱を含めたエネルギーマネジメントの導入が効果的でございます。
 このため、都は、熱を多用する中小医療福祉施設を対象に、設備改修やエネルギー管理サービスなどを提供するESCO事業者を活用した新たな補助制度を創設いたします。
 この制度は、中小の医療福祉施設に対して、電気と熱のエネルギーマネジメントを実施することを条件に、燃料電池や太陽光パネルなどの創エネ機器や、LED照明、高効率空調機器などの省エネ機器の導入を支援するものでございます。

○栗山委員 今、ESCO事業を活用し、中小医療福祉施設を支援することをご答弁いただきましたが、具体的に、どのようなスキームで、どのようなメリットがあるのかお伺いをいたします。

○長谷川環境局長 ESCO事業では、ESCO事業者が設備改修やエネルギー管理サービスなどを提供し、施設側は光熱水費の削減分で機器のリース代やサービス経費を賄うこととなります。
 中小の医療福祉施設は、熱利用によるエネルギー効率化の余地が大きいものの、大規模施設と比較して光熱水費等の削減規模が小さいことから、エネルギー利用の効率化に有効なESCO事業の活用がほとんど進んでおりません。このため、新たな補助制度により、その活用を後押ししてまいります。
 これにより、施設側は、初期投資を直接負担せずに、創エネ、省エネ機器の導入が可能となり、また、専門の人材を配置することなくエネルギーマネジメントが実現されることにもなるため、熱利用の大きい施設でのエネルギーの有効活用が一層推進されるものと考えております。

○栗山委員 我が党が提案をいたしました中小医療福祉施設の省エネ、節電対策について理解ができました。
 着実に事業を執行することで、中小医療福祉施設のエネルギーの有効活用を推進するとともに、災害時の事業継続性、BCPを図り、都民の安全・安心の確保を行っていただくことを要望し、続いて、都内に数多くございます中小テナントビルの省エネ対策についてお伺いをいたします。
 先般、我が党の桜井議員の一般質問に対し、都は来年度、中小テナントビルの省エネレベルを示すカーボンレポートをビルオーナーに提供するとともに、省エネ改修の支援をしていくということでありました。これについて、二点質問をいたします。
 これがそのカーボンレポートを拡大したもので、環境局からお借りをしてきたものでございます。(パネルを示す)ビルの名称、そして、排出量は四十六・二キログラム、排出レベルが段階的に色分けをしてあります。
 例えば、このビルの場合、二〇一二年度のCO2排出量は、床面積が一平方メートル当たり四十六・二キログラムでありまして、上から三番目のレベルのA2ということがわかります。これにより、ビルのオーナーが、ビルの省エネをアピールしてテナントの入居を促進することが可能であり、ビルのオーナーの省エネ意欲を高めていくものでございます。
 しかし、このビルは、改修前の二〇一〇年でございますけれども、省エネ度はB1でした。高効率の照明や空調設備に更新した結果、ベンチマークのレベルが、先ほどのこのA2まで上がったということでございます。
 あらかじめ改修効果というのが予測でき、カーボンレポートで見える化をすれば、ビルの省エネ改修を促進させていくことが可能になっていく、こういうふうに考えるわけであります。都の見解を求めます。

○長谷川環境局長 今ご紹介いただきましたカーボンレポートは、中小テナントビルの現状の省エネレベルをわかりやすく示すものでございますけれども、委員ご指摘のとおり、省エネ改修を一層推進していくという観点からは、ビルオーナーが、あらかじめ改修効果を予測でき、その効果をテナントや入居の希望者に対して提示、説明できるようにすることが有効と考えます。
 そこで、都は来年度、中小テナントビルの省エネ改修に関する実績データを収集し、改修効果を予測、評価して、わかりやすく見える化する仕組みの構築に取り組んでまいります。

○栗山委員 環境負荷低減の取り組みにインセンティブを与えていくことは、極めて重要であるというふうに認識をしております。
 現状の省エネレベルに加えて、省エネ改修の効果について見える化を行い、ビルのオーナーのメリットにつなげていくということが重要であろうというふうに思いますけれども、具体的にどのように進めていくのかお伺いをいたします。

○長谷川環境局長 都は、平成二十六年度、二十七年度の二カ年度で、なかなか改修が進みにくい中小テナントビルを所有する中小事業者等に対して、LED照明や高効率の空調設備などの更新費用の一部を助成いたします。
 この助成に当たりましては、改修後の実績データの提供を条件といたしまして、二百件程度のデータを収集することで電気使用量等の削減効果を検証して、省エネ改修の効果をシミュレーションできる省エネ改修評価ツールを構築いたします。この省エネ改修評価ツールとカーボンレポートをあわせて用いることで、ビルオーナーがテナントや入居希望者に対して、改修による省エネ性能の向上をアピールできるようになり、省エネ性能の高いビルへ入居を促すことが可能となります。
 これにより、ビルオーナーの改修意欲を高め、中小テナントビルの省エネを推進してまいります。

○栗山委員 省エネの見える化というものは、大変有効な方法であるというふうに思います。今回の取り組みは、それを中小テナントビルに応用していくものでございまして、大きな効果が期待できると思います。
 都は、この取り組みの普及促進を着実に図り、中小テナントビルの省エネをさらに推進していただきたいというふうに思います。
 次に、環境問題の中で長年の懸案事項となっておりますPCBの処理についてお伺いいたします。
 PCBは、昭和四十三年のカネミ油症事件を契機に、昭和四十七年に製造が中止されましたが、現在でも、いまだなお処理が続いております。
 PCBが含まれたトランスやコンデンサーなどの電気機器には、絶縁油に高濃度のPCBを使用し、四十七年以前に製造されたものと、微量PCBがリサイクル過程などで意図せずに絶縁油に混入してしまったものがございます。
 このうち、微量PCBを含むトランスやコンデンサーなどの処理につきましては、国の助成がないことから、我が党は、従前から都による中小企業への支援を求めてまいりました。
 都は、平成二十三年から全国に先駆けた処理支援事業を開始いたしましたけれども、昨年の秋の平成二十四年度決算特別委員会の第三分科会において、我が党の舟坂議員から事業の進捗状況について確認したところ、必ずしも順調に推移をしているわけではないとの答えでございました。
 処理が進んでいないのは、無害化処理認定施設の整備がおくれていることが主な原因でありまして、特にトランスやコンデンサーなどの本体については、北九州市、岡山県、愛媛県などの遠方の施設まで運ばなければならないことから、運搬費用も含めた処理費用が高額となっているということでございました。
 最近、幾つかの処理施設が整備をされまして、東京の近郊におきましても、本体の処理ができる施設が稼働いたしましたけれども、状況がどうなっているのかお答えをいただきたいと思います。

○長谷川環境局長 都はこれまで、国に対して早期の施設整備を求めてきており、本年二月末現在、国の認定等によるPCB無害化処理施設の数は、全国では一年前に比べ七カ所ふえて十六カ所となっておりまして、このうち、トランスやコンデンサーの本体の処理もできる施設は二カ所ふえて六カ所となっております。
 東京近郊では、昨年十月に、機器本体の処理もできるものとしては、初めて千葉県市原市の施設が国の認定を受けて、現在、部分稼働しており、四月以降、本格稼動の予定でございます。
 この施設で処理を行う場合には、遠方の処理施設で行う場合と比べ、処理費用が半額以下に抑えられるというふうに考えられます。

○栗山委員 処理費用というのが半額以下になるということは、中小企業の負担を軽減して、今後の処理の進捗にも期待ができるというふうに思います。東京都内には、まだ多くのPCBが含まれました電気機器が残っており、早急な処理が必要だろうというふうに思います。近県の施設が稼働しても、関東地域にトランスやコンデンサー本体の処理ができる施設がほかにないことから、処理をしていくには一定の限界があるわけであります。
 現実的には、処理の順番を待たざるを得なかったり、あるいは高額な費用を負担してでも遠方の施設へ運ばざるを得なかったりしている、こう考えられます。したがって、今後さらに処理を加速していくためには、近郊の施設一カ所だけに頼ることはできないわけでございます。
 実際の処理費用は十万円から百万円を超えるものもあるというふうに伺っておりますけれども、都による助成は、機器の大きさごとに上限が設定されておりまして、その額は、最大で十二万円にとどまっております。これでは、中小企業がいかに積極的に処理を進めようと思っても、実際には困難であるといわざるを得ません。
 そこで、処理費用の実態に即して、大胆な上限の見直しを早急に行うことが必要であろうというふうに思いますけれども、都の見解をお伺いいたします。

○長谷川環境局長 都の助成額は、処理経費の二分の一でございますが、上限額を設けており、ご指摘のとおり、中小企業の負担が高額となる例も多くございました。
 このため、これまでの助成の実績を踏まえ、中小企業のPCB処理を一層促進する観点から、本年四月より、機器の大きさごとに定めている助成金額の上限を、現状の最大十二万円から四十五万円とするなど、実態に即した額に引き上げることといたします。
 これにより、遠方の施設で処理を行う場合であっても、標準的な処理経費の二分の一程度の助成が可能となり、中小企業の負担が軽減され、早期の処理が促進されるものと考えております。
 都は、この支援事業を活用し、適正保管、適正処理の指導、助言も一層強化して、早期の処理を推進してまいります。

○栗山委員 今回、ただいまのご答弁にありましたとおり、上限を引き上げたことは、微量PCBの廃棄物処理の進捗に大きな期待となっていくわけでありますけれども、このことを事業者が知らなければ意味がございません。
 四月から助成額の見直しを事業者へ着実に周知をしていただき、一日も早い微量PCB廃棄物の処理を完了することを要望させていただきたいと思います。
 次に、地域振興についてお伺いをいたします。
 私の住みます多摩地域は、都全体の人口の約三分の一に当たる四百万人もの人口を擁し、前段で質疑をさせていただいた、ものづくりに代表される企業や、研究機関の集積に加え、豊かな自然と歴史文化に恵まれている一方で、平成二十七年度をピークに、区部に先行して人口減少局面を迎えるほか、六十五歳以上の割合が、平成四十二年には約二八%に増加するなど、急速な少子高齢化社会を迎える状況にあります。
 こうした中で、地域課題であります防災、高齢者の見守りなどの活動において、町会、自治会が果たす役割の重要性はますます高まっておりますが、反面で、町会、自治会自体は、高齢化や共同住宅の増加などを背景とした加入率の低下や担い手不足に悩んでおりまして、私としても、地域コミュニティの弱体を憂慮しております。
 私の地元、狛江市でも、小規模なアパートがたくさんありますけれども、入れかわりが極めて激しく、町会、自治会の加入率を下げている一つの要因となっております。
 町会、自治会も、ただ手をこまねいてこの事態を見ているわけではなく、地元の多摩川住宅では、団地に住む住民同士の交流を目的としたイベントであります団地祭りなどを開催するなど、自治会の皆さんが主体的に、さまざまな活動に取り組んでおります。
 都は、こうした町会、自治会の活動を直接支援する地域の底力再生事業に取り組んでおりますけれども、多摩地域の町会あるいは自治会は、この助成事業がどのように活用されているのか、まず、その実績と特徴についてお伺いをいたします。

○小林生活文化局長 地域の底力再生事業の多摩地域における平成二十五年度の助成実績は、都全体の申請件数四百十一件のうち百五十件であり、平成二十二年度以降、申請件数は約三倍に増加しております。また、助成総額は、都全体約一億二千七百万円のうち、多摩地域は約四千五百万円となってございます。
 私どもといたしましては、区部と市町村部の町会、自治会数はほぼ同数の約四千四百であることから、多摩地域の利用には、まだまだ拡大の余地が十分にあるというふうに考えております。
 助成内容の特徴といたしましては、多摩地域は団地単位の自治会が多いことから、団地で高齢者を見守る活動が活発に行われております。また、歴史や文化に恵まれていることから、郷土芸能の伝承を通じた青少年健全育成活動も取り組みが進んでございます。
 具体的事例といたしましては、自治会連合会による老人クラブや民生児童委員と協力したひとり暮らし高齢者の見守りネットワークづくりや、祭りばやしの継承活動を通じた子供たちの地域活動への参加促進などがございます。

○栗山委員 先ほどの答弁で、町会あるいは自治会の数に比べ、区部と多摩地域の申請の実績に差があるということがわかりました。
 だからこそ、多摩地域での活用促進を図っていくことが必要であろうというふうに考えております。先ほど活用事例の紹介がございましたけれども、さらに多くの多摩地域の町会あるいは自治会に活用していただくためには、よりきめ細やかな対応が必要であるんだろうというふうに思います。
 そこで、今後どのように取り組みを進めていくのかお伺いをいたします。

○小林生活文化局長 都はこれまで、「広報東京都」や市区町村の広報誌などを初め、ホームページでの情報提供、活用事例集や手引の作成と配布など、さまざまな方法で多摩地域への事業周知に取り組んでまいりましたが、活用状況には市町村により大きなばらつきがございます。
 このため、来年度は、利用拡大に向けて、利用実績の少ない市町村と協力し、募集の時期に都の担当職員が直接、町会、自治会に説明を行うなど、働きかけを強めてまいります。あわせて、新たに多摩地域の特性を生かした事例集を取りまとめ、町会、自治会向けに広く紹介をしてまいります。
 また、多摩地域の市町村や町会、自治会から寄せられた助成制度に関するご意見やご要望につきましては、今後の制度の改善や見直しに積極的に活用してまいります。

○栗山委員 ただいま多摩地域における本助成事業の活用促進を図るために、都が積極的に取り組んでいくというご答弁をいただきました。この助成事業が平成二十四年度から本格実施となりまして、来年度で三年目を迎えることになります。私は、都が直接、町会あるいは自治会の活動を支援する事業は、時局を捉えた大変有意義なものというふうに捉えております。
 都はこれまでも、本助成事業の見直しや事務手続の簡素化というのを図ってまいりましたけれども、町会、自治会にとって、さらに使いやすい事業とするために、ぜひ足を運んでいただいて、町会、自治会の皆さんの声をしっかり受けとめまして、今後の見直しに生かしていただくことを要望させていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、調布飛行場についてお伺いをいたします。
 調布飛行場の利便性の向上についてお伺いをします。
 私の地元、調布飛行場では、現在、大島、新島、神津島便が、一日計十往復運航されておりますけれども、昨年六月から計器飛行方式が導入され、天候に余り左右されずに運航されることになったほか、ことしの四月からは、三宅島便が加わるなど、より一層の利用者の増が見込まれると、こういう状況になってございます。
 その調布飛行場に、昨年四月、ターミナルビルが新設されましたけれども、新ターミナルビルは、空港利用者のためだけでなく、航空機を見ることのできる展望デッキや地域コミュニティの活動の場等となるスペースがありまして、地域に開放される施設となっており、最近では多くの見学者が訪れるようになっております。
 改めていうまでもなく、調布飛行場は、地元の理解と協力の上に成り立っておりまして、この点からも、新ターミナルビルが新たな人気スポットとして地域に親しまれる施設となっていることを大変うれしく思っております。
 このように、近年、調布飛行場の価値が高まってきておりますけれども、残念ながら飛行場へのアクセスは依然としてすこぶる悪い、こういわざるを得ません。このため、多くの方々がタクシーの利用を余儀なくされている状況にございます。
 我が党では、かねてよりアクセスの改善を求めてまいりましたけれども、残念ながら、これまで実現されておりません。
 この四月から、三宅島航空路線開設で利用者の大幅増が見込まれるわけでありますけれども、これを契機に調布飛行場へのアクセス改善を図るべきというふうに思いますけれども、都の見解を伺います。

○多羅尾港湾局長 都ではこれまで、地元の路線バス会社に調布飛行場へのバス路線の増便等を要請してきましたが、バス会社からは、利用者は多くは見込めないとのことで実現には至りませんでした。しかし、四月二日からは、三宅島航空路線が新たに開設される予定であり、利用者増が見込まれることから、改めて昨年三月以降、再三小田急バスに要請を行ってまいりました。
 その結果、ことしの七月を目途に、調布駅北口と調布飛行場とを結ぶ路線を、現在の一日四便から十五往復の三十便程度に増便する予定との回答を得ました。バスの増便で離島航空路利用者はもとより、飛行場見学者等にも便利な交通手段として広く認識され、定着することにより、調布飛行場の機能が一段と向上するものと期待しております。

○栗山委員 調布飛行場と最寄りの駅であります調布駅を結びますバス路線の増便で、大幅に利便性が高まりますことは、島民を初め調布飛行場利用者にとって大変な朗報でございます。協力してくれたバス会社にも、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 次に、航空機利用の利便性の観点から、大島空港の運用時間について伺います。
 調布飛行場は、日中のみの運用となっておりまして、このため、島からの最終便は、日没の遅い夏場は、新島と神津島については六時前後の到着となっています。しかし、大島からの最終便だけは、夏場でも四時台のままでございます。これは聞くところによりますと、大島空港の運用時間が一年を通じて同じであるために、夏場の出発時間を遅くすることができない、こういう理由だそうでございます。
 このため、運航会社である新中央航空には、かねてから夏場はもっと遅い時間に到着するように変更してほしいと、こういう要望が寄せられております。そこで、利用者ニーズにも応えるためにも、大島空港の夏場の運用時間を遅くするべきというふうに考えますが、所見をお伺いいたします。

○多羅尾港湾局長 大島空港の運用時間は、通年で十六時三十分までであり、委員ご指摘のとおり、都としても以前から夏場については、新島、神津島と同様に、運用時間延長が必要と考えていたところでございます。
 しかし、大島空港には、大島上空を通過する航空機に対して情報提供業務を行っている東京航空局の出張所があり、運用時間延長については、東京航空局との調整が課題となっておりました。
 このため粘り強く交渉してきた結果、このたび、東京航空局との協議が調い、大島空港について、日没が遅くなる三月から九月までの運用時間を十七時三十分まで延長することとし、五月を目途に実施することになりました。
 これにより、大島発調布行きの最終便の出発時刻を遅くできるなど、利便性の向上に役立つものと考えております。

○栗山委員 大島空港の運用時間の延長は、旅行客が大島に滞在する時間を長くするというメリットがあるだけでなく、大島空港の運用時間が長くなれば、新中央航空が就航する四島のダイヤ編成全体の自由度を広げることになりまして、調布飛行場を含めた他の島への効果が絶大に上がっていくものというふうに思っております。
 伊豆諸島と本土を結ぶ調布飛行場の結節点としての機能をさらに充実させることにつながるとともに、離島航空全体にとって利便性のさらなる向上に資するところでございまして、その効果に期待をいたしたいというふうに思っております。
 二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が、東京、首都で開催されるわけでございます。世界遺産に指定をされております小笠原も含めて、伊豆七島の観光の利便性を強化していくこと、これは、三多摩・島しょ、オール東京で東京の発展に資するものと私は確信をいたしております。
 どうか、世界で一番の都市東京の実現のために、知事を中心に、私たちも一緒に努力をさせていただきたいと思います。そして、おもてなしの心を持って、世界の皆さんが本当にご納得をいただけるような、そんな環境をつくっていくこと、そして、何よりも大切なことは、次世代に残すきちんとしたレガシー、こうしたものを残していくことが肝要であろうと思います。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○宇田川委員長 栗山欽行委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時五十八分休憩

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