予算特別委員会速記録第四号

○中屋副委員長 やながせ裕文委員の発言を許します。
   〔中屋副委員長退席、東村副委員長着席〕

○やながせ委員 私からは、行政改革、公営企業の改革について何点か質問をしていきたいと、そのように思います。
 まず、バス事業についてお伺いをします。
 平成二十四年度決算では、バス事業は四億円の赤字ということで厳しい状況にあります。交通局では、不断の経営改革に取り組んできたわけであります。その一環として、平成十五年度より、はとバスにバス事業の運行管理の委託を実施しているというふうに聞いております。この管理の委託をしたことによる削減効果額を尋ねたところ、十二億円であるという回答がありました。それは事業費の三〇%に当たるという額であり、非常に大きな削減効果であるということがわかります。
 都が直営でバスを走らせていたところを民間事業者に委託したところ、三〇%コストが削減されたということですね、都で実施すれば百のところを民間では七十でできた。この三割という話を聞いて、私非常に驚いたわけでございますけれども、これはすばらしい削減効果だなと思う反面、この三割の中身というのは何だろうというふうに思うわけであります。
 そこで、この削減された三割というのは具体的に何の費用であるというのか、どのように認識しているのか、その点について、まずお伺いしたいと思います。

○新田交通局長 バス事業におきましては、経費全体に占める人件費の割合が高いことから、三割の削減効果の内訳につきましても、人件費が大部分を占めております。
 ただし、交通局とはとバスとでは、職員の年齢構成や勤続年数、雇用形態などが異なりますため、人件費を単純に比較することはできないと考えております。

○やながせ委員 バス事業のランニングコストというのは、人件費が大部分を占めておるということで、この十二億円、三割の削減というのは、ほとんど人件費だというご答弁でございました。
 はとバスに委託する場合の人件費と交通局が直営で行う場合の人件費というのは、三割違うということになります。都が直営でやった場合は、民間の人件費の、これ逆のいい方すると一・四五倍、約一・五倍ぐらいの人件費がかかるということですね。
 平成二十五年度東京都人事行政の運営等の状況によりますと、東京都のバス運転手は、年収が約七百二十三万円、民間では五百四十万円とありまして、これによると一・三四倍であるということが記載されています。けれども、実態としては、先ほどの一・五倍という数字の方が近いのだと思います。まず、知事には、この事実を知っていただきたいんですね。私は、ここのところに都営バスの大きな課題があるんだろうというふうに考えています。
 ただ、何でも安ければいいというものではありません。当然、バス事業ですから、安全というのが大前提ですし、サービスの水準というのは保たなければならないということだと思います。
 そこで、現状、はとバスに委託をしているということですけれども、安全やサービス面の水準は、直営の場合と比較してどのような状況にあるのか、この点についてお聞かせいただければと思います。

○新田交通局長 はとバスは交通局と同様に、一般乗合旅客自動車運送事業の許可を受けている事業者でございます。バス事業運営のノウハウを有しております。さらに、交通局では、委託契約に当たりまして、安全の確保や乗務員の接遇などについて、当局と同水準のサービスを提供するよう、研修や教育訓練をはとバスに義務づけておりまして、基本的に、直営と委託とで安全及びサービスの水準に違いはございません。

○やながせ委員 都の直営でも、民間に委託しても、安全やサービスの水準は変わらずに事業を行うことができるということを確認しました。その上で、直営と比較して三〇%コストを安くできる。 さらには、バス事業は現状赤字であるというこの三つの論理を合わせると、この民間委託、これをしっかりと拡大するべきだということがいえると思いますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。

○新田交通局長 交通局では、経済性の発揮と公共の福祉の増進という地方公営企業の基本原則を踏まえまして、これまでも、バス乗務員等の給与水準の見直しや車両の使用期間の延長による経費削減など、経営効率化のためのさまざまな取り組みを通じて、収支状況の改善を図り、その公共的役割を果たしてまいりました。
 都営バス事業の管理の委託も、こうした取り組みの一つでございますが、一方におきまして、委託対象となる赤字路線を委託営業所に集約しますため、車庫からの回送距離が延び、運行効率が低下するなどの課題もございます。今後の管理の委託につきましては、都営バスの収支状況や事業環境を踏まえまして適切に対応してまいります。

○やながせ委員 この民間委託を拡大する上では、いろいろなハードルがあるということでございます。民間委託は、公営で行う上でのコスト削減の手段ということでございますけれども、そもそも、このバス事業を公営でやる必要があるのかどうか、このことを考えたいと思うんです。
 もともと、都のバス事業は、関東大震災後の大正十三年に、都民の足を確保するということ、ここから始まりました。きょうまで大きな役割を果たしてきたのは事実であります。しかし、環境は大きく変わってまいりました。乗合バス事業は、平成十四年に規制緩和がされ、都営バスのエリアにも民間事業者が参入し、新たなバス路線が生まれてきています。
 一方で、都営バスは路線の見直しを行い、赤字路線などを廃止しています。昨年も五路線が廃止になっているんですね。その中で、特筆すべきなのは、練馬区の新江古田から大泉学園駅を結ぶ新江62系統という路線、これは都営バスが路線を廃止し、撤退した後、西武バスが同じ区間で運行を開始したという、こういう事実があるんですね。
 これ何をあらわしているのかということなんですけれども、都バスが赤字の路線から撤退した、その同じ区間に民間バスが参入した。これは、都営バスでは人件費が高いから赤字だけれども、民間だと採算がとれる、こういうことなのです。こうした現状を踏まえたときに、バス事業を公営で行う意義、これは薄れているんではないかと、このように考えるわけですけれども、都営バスを公営で行うことの意義について、お伺いをしたいと思います。

○新田交通局長 交通局では、乗客潮流の変化を的確に捉え、公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるようバス事業を運営しておりまして、これに資する路線につきましては、たとえ赤字でありましても、黒字路線の収入で支えるなど総合的な運営を行い、都民の足としての役割を果たしております。
 ただいまご指摘のありました新江62でございますが、もともと西武バス、それと私ども、並行して走っていた。それで足の確保ができるということで、撤退したという経緯がございます。
 また、ハイブリッドバスやノンステップバスの先進的導入など、環境や福祉に配慮した取り組みを進めてまいりました。災害時の輸送等にも迅速に対応してきたところでございます。
 このように、一般行政施策と連携して、公営企業ならではの役割を果たしますとともに、臨海地域など新たなまちづくりに対応した路線の新設や、オリンピック・パラリンピックへの積極的な対応などを通じまして、今後とも、東京の発展に貢献していくことが都営バスの使命であると考えております。

○やながせ委員 今のご答弁ですと、この赤字路線を維持するためには公営であることが必要であると。そうだとすれば、私は、目的と手段が合致していないんではないかと、こう思うんですね。公営でやるとコストが高いわけですから、逆に赤字路線を存続、維持することができないわけであります。だから都では、毎年のように路線を廃止しているという事実があるんですね。そしてそこに民間が参入すると。都だと採算が合わない路線でも、民間だと利益が見込まれるから参入するということになるんです。
 今後、高齢化が進むとバス事業の役割はますます大きくなってきます。バス事業を維持していくためには、経営の効率化をさらに進めることが重要であります。安全やサービスの水準が保たれるのであれば、民間企業でできることは民間企業に任せると、このことが大事です。
 まず、民間委託の拡大を進め、将来的には民営化を検討するべきであるというふうに考えます。そして、民営化してもどうしても採算に合わないんだ、けれどもさまざまな視点から存続させなければいけない、そういう路線があればこれはしっかりと税金を投入していくということ、これが必要だろうと思うのですね。
 今の都営と民間のコスト差であれば、民営化すれば都内の路線を全て存続しても黒字になるということは間違いないのではないですか。少ないコストで運営ができれば利益が上がる、それを原資として料金の値下げ、ベンチや上屋の設置、快適なバスの導入、そういったことにも投資ができるわけであります。それだけサービスの向上を図ることができる、それが都民に広く還元される、都民の利益につながるというふうに考えます。ぜひご検討いただきたいと思います。
 続いて、公営企業における収益の改善に向けて申し上げたいと思います。
 まず、知的財産の活用について、下水道局に聞いてまいります。
 東京下水道は、これまで多くのすぐれた技術を生み出してまいりました。代表的な技術について三点紹介します。
 まず水面制御装置、これは水の流れを活用して、電力などの動力を要せず雨天時の合流式から河川などへ放流されるごみの流出を七割以上を除去できる装置ですね。
 また、SPR工法、皆さんご存じだと思うんですけれども、下水道管がどんどん古くなっている。それをとめることなく、つまり使用しながら、大きな穴をあけて工事をすることなく再生をすることができる工法ということで、これなんかは、東京が急いで、低予算で再構築をしなければいけないといった課題を抱えていて、そういった課題を克服するために生まれてきた工法であるということであります。
 それからフロートレス工法、震災時の液状化によるマンホールの浮上を抑制する工法ということで、震災対策ということを丁寧に考えてきた東京ならではの生み出された、きめ細やかな技術があります。
 これ代表的な三つでございますけれども、どれも東京の下水道の発展のために、現場の創意工夫から、下水道局を初めとして、非常に多くの皆さんがご苦労をされて生み出されてきた技術であり、これ視点を変えれば、これは都民が長年払ってきた利用料、または都民の税金、これによって培われた技術というということもいえるわけです。つまり、これらの技術は都民の大切な資産であります。ですから、この技術を大事に扱っていただきたいと思うんです。
 そこで、先ほどの三つの技術、水面制御、SPR、フロートレスに関する国内の特許、海外の特許の都の保有状況、これについてお伺いします。

○松浦下水道局長 下水道局では、下水道事業が直面するさまざまな課題を解決するため、監理団体である東京都下水道サービス株式会社、TGSとともに、これまで技術開発に積極的に取り組み、知的財産の保全などのため特許等を保有しております。
 これにより得られた技術の特許等でありますが、雨天時に河川などへのごみの流出を抑制する技術である水面制御装置については、国内及び海外ともに当局も特許を保有しております。
 老朽化した下水道管を更生する技術であるSPR工法は、昭和六十年より平成十八年までの間、当局も当初の開発技術について国内での特許を保有しておりましたが、現在は、法律上の存続期間が終了しております。
 震災時のマンホールの浮上を抑制する技術であるフロートレス工法については、その開発に携わったTGSが国内特許を保有しております。

○東村副委員長 ちょっと待ってください。計測とめて。
 この際、やながせ委員に申し上げます。
 発言の際には、声を出して挙手の上、許可を求めてください。
 計測を再開してください。

○やながせ委員 これら三つの技術は、一緒に共同開発した民間企業がおりまして、この各企業は特許を保持しているんですね。例えば、水面制御装置であればTGSと日本工営、SPRに関しては積水化学や足立建設、そういった共同開発した民間企業は、国内特許、海外特許ともに保有しているわけであります。それはなぜかというと、特許の維持にはお金がかかるけれども、将来利益を生み出す可能性があるからなんですね。民間企業の目線だと維持した方が得だということになるんです。
 ですから、先ほどのSPRに関しても、これは改良特許という形で一般企業は持っているということなんです。私は、これらの知的財産の保持は、これからのグローバルな水市場で勝ち抜くためには、必要不可欠なんではないかと考えているわけであります。
 世界での下水関連市場がどうなっているのかということでございますが、下水道の普及率が高い先進国では、新規の案件は期待できませんけれども、東京と同じように更新投資が必要とされています。特にアメリカですね。新興国や途上国では、都市に人口が集中する都市化が進展している、人口一千万人以上の過密都市がどんどんできているわけです。そういったメガシティーでの下水需要に対応するには、東京が培ってきた技術というのは非常に優位性があるといえます。
 経済産業省では二〇一〇年の発表で、市場は二〇二五年には三十五・五兆円にまで拡大する--下水ですね、そうなると、当然世界の水メジャーがその拡大市場をめぐってしのぎを削る争いになる。水メジャーというのは、トップスリーで、大体三兆円から六兆円の売り上げがある。給水人口も一億を超えている。資本力もある。上下水の経営、運営、維持管理のノウハウが非常に豊かな企業であるということであります。
 フランスのヴェオリアに関しては、日本をこの下水に関しても大きな市場と捉えて、埼玉県と広島県の下水道の維持管理、包括委託二件を三十四億円で受注するということになっております。
 下水道の国際展開というのは、こういった水メジャーとどう伍していくのか、どう戦っていくのかということにほかなりません。その肝が、先ほどの東京ならではのすばらしい技術だと思うんです。
 拡大する市場に対して、水メジャーのやり方というのは安易でございまして、ノウハウや技術を持っている会社をどんどん買収していくんですね。ですから、ヴェオリアが日本進出をする前に、西原環境、これは上水の中堅会社でありますけれども、西原環境をまず買収したと。それから日本環境クリアー、日本浄水管理、技術や優位性を持った企業を次から次へと買収しているという実情があるわけです。
 ですから、例えば、先ほどの下水道局が開発した技術の特許を保有する民間企業が買収されると、そんな可能性もあるんです。その結果、都が開発した技術であるにもかかわらず、その技術を使用するのに対価を払わなければいけない、そんなことになる可能性があるんですね。
 この現状から、ちょっと心配になりまして、私、東京都の保有する特許の一覧、これを調べてみました。資料をお配りしていませんので読み上げますけれども、平成二十四年度末で合計二百四十一件、これは東京都全体ですね。思ったより少ないなという印象でございます。内訳としては、知事部局が三十、交通局は五、水道局四十七、下水道局が百五十九という内訳になっています。現場を持っている公営企業が圧倒的に多いという、よくわかります。
 気になったのが、この四年間で八十八件も保有特許が減少しているということなんですね。その減少分のほとんどが下水道局で、二百四十七件から百五十九件に減少しておるという状況が見られました。理由としては、監理団体に保有を移しているということなのかなというふうに思いますけれども、ここで、コストがかかるということだけで、現在のコストだけを捉えて、これをオープンにする、手放すということには慎重になっていただきたいと思います。
 そこで、こういった知的財産の扱いは慎重を期すべきであり、将来への投資と考え、その後の技術開発に積極的に取り組み、改良特許、これも取得できるようにすべきと考えますけれども、下水道局長の見解を伺います。

○松浦下水道局長 下水道局では、監理団体であるTGSとともに、これまで技術開発に積極的に取り組んでおり、当局及びTGSが保有する特許等の件数を合わせますと、ここ数年、三百数十件で推移しております。当初開発した技術のその後の改善などに伴う改良特許については、TGSが引き続き取得することで公共性を担保しております。
 当局では、開発した技術について、その技術を活用し、下水道事業全体の発展に寄与することを主眼として権利を保全し、また、特許を取得する有用性や民間における技術開発の活性化などの観点も踏まえ、特許取得の可否を判断しております。
 当局としては、今後とも、下水道事業促進のため、これまで同様、技術開発に積極的に取り組んでいく考えでございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。ぜひ積極的に技術開発に取り組んでいただきたいと思います。
 これらの技術は、都民の大切な資産でありますし、今後、公営企業が世界展開するというための非常に大きな武器だろうというふうに考えますので、しっかりと維持管理に努めていただきたいと要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 公営企業について質問をしておりますけれども、交通局にお伺いします。
 交通局の経営改善の中で大切なのが関連事業による収入だということです。広告収入はその核になるものだと思います。
 そこで、都営地下鉄における中づりの掲載率、広告料収入の推移、これを確認したいと思います。

○新田交通局長 都営地下鉄の中づり有料広告の掲載率は、リーマンショックによる不況の影響等により、交通広告全体が低迷している中、平成二十四年度で二四・九%にとどまっております。都営交通全体の広告料収入は、平成二十年度から二十四年度まで、それぞれ四十四億八千万、三十八億五千万、三十四億三千万、三十五億二千万、三十六億六千万円となっております。

○やながせ委員 ありがとうございます。中づりの掲載率が約二五%であるということで、四分の一しか売れていないという非常に厳しい状況だということなんですね。先ほどお示しいただいた広告料収入もかなり低迷しておるということで、これを打開するために、何点か提案をしていきたいと思います。
 私、広告代理店の方に八年ほど勤めておりまして、都営交通の広告を販売したこともあります。質疑に当たりましては、さまざまな代理店の仲間に、昔の仲間でありますけれども、声を、都営交通どうなのかということについて拾ってみましたので、ちょっと厳しいことをいうかもしれませんけれども、聞いていただきたいと思います。
 私が考えた課題は大きく二つであります。一つ目は、販売する体制がなかなか整っていないということです。二つ目は、都営地下鉄全体のブランディングができていないということだと思います。
 一つ目の課題は、先ほど中づり掲載率二五%だという答弁がありました。これは四つの商品があって一つしか売れなかったということですね。厳しい環境だということはわかるんですけれども、民間だと、十円でも百円でも売ってこいという話になるわけでありまして、東京メトロの中づり掲載率が七〇%ということ、これも出ています。乗降客数の多さだけでこの違いになっているわけではないと思います。売れば評価される仕組み、責任の所在のあり方など組織の問題だというふうに私は考えます。これ最も公営企業で弱いところであり、改善を要望したいと思います。
 二つ目のブランディングについては、簡単にいうと、多くの方々の声を聞いたんですけれども、都営地下鉄のイメージ、印象が余りよくないということなんですね。今になってわかったんですけれども、都営地下鉄というのは、バリアフリーとか、エレベーターとか、機能の向上、これをきっちり優先させてやってきたんです。大変、当然のことですし、大事なことなんです。
 ただ、その一方で、デザイン、まあ美しさですね、イメージ戦略、ここには余りお金をかけてこなかったんだというふうに思います。だからブランドを大事にするクライアントは出稿をためらう傾向にあるということなんですね。逆に、東京メトロはどうかというと、これは、一定の洗練されたイメージがあるということなんですね。
 私は、これを聞いて、非常に悔しいなというふうに思っておりまして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックのときには、世界中の人からクールだといわれる都営地下鉄にしていきたいと、ぜひこれをお願い申し上げたいというふうに思うんです。
 広告の話に戻りますけれども、駅を急に洗練されたデザインにしていくというのは、時間がかかる話であります。そこで、今できることで効果があるのではないかということ、これちょっと瑣末なことも含まれるんですけれども、三点提案したいと思います。
 まず、媒体を整理統合するということでございます。ごちゃごちゃしているということで価値を下げているんではないか、こういったご意見を聞きました。スペースいっぱいにたくさんの媒体をつけたり、ポスターとかサインボードとか、目いっぱいつけるのではなく、逆に間引く、整理整頓して注目率を高くしてあげる。一旦、現状ある媒体を見直してみることが必要だと思います。
 二点目は、これまたちょっと難しい戦略なのですけれども、強い媒体にのっかるという戦略ですね。都営の中づりの掲載率は二五%ですが、東京メトロは七〇%、利益は少なくなりますけれども、同じ地下鉄ですから、地下鉄セットということで販売をするということですね。これは地下鉄でタイアップしていくということでございます。サービスの一体化ということをいっておりますので、可能性はあるのではないか。
 三点目は、流通を絡めて販売するということでございます。都営地下鉄にはメルシーという売店があります。どこの代理店でもよくやっておりますけれども、売店に商品を置いてあげるから広告も出してよ、このタイアップの戦略でございますね。どこでもやっていることが都営ではなかなか実施されていない状況があるようでございます。こういった広告収入の増収策、これを提案したいと思いますけれども、増収策についての見解を伺いたいと思います。

○新田交通局長 交通局といたしましては、これまで、広告の掲載率を上げるために、車両の小さい大江戸線における中づり掲出方法の改良や、新たな広告ニーズを獲得するための掲出期間の弾力化、新規掲出に対する割引料金の適用など、さまざまな販売促進策を実施してまいりました。
 また、包括外部監査のご意見も踏まえ、来月から、広告代理店がより意欲的、積極的に営業活動を展開できるよう、手数料制度を見直すことといたしました。
 今後とも、さまざまな手法を検討し、交通局にとって重要な財源であります広告料収入の確保に努めてまいります。

○やながせ委員 ありがとうございました。ぜひ、この広告収入の増収策に取り組んでいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、水道局に、土地の活用についてお伺いをしていきたいと思います。
 水道局は、再開発ビルや共同ビルなどを保有しており、そのテナント賃料により収益を上げておるというふうに聞いております。また、その管理委託については、多くのビルを東京都市開発株式会社に随意契約により委託しているというふうに聞いています。
 それらの契約が随意契約である理由について、また、都の収入と管理委託料の実績についてお伺いをしたいと思います。

○吉田水道局長 再開発事業などによりまして、当局と東京都市開発株式会社とがともに床を所有いたしますビルにつきましては、一括管理することで、管理の効率化や優良テナントの誘致が図れることから、随意契約により同社にテナントの募集やビルの管理などの業務を委託しております。
 また、これらの再開発ビルなどから当局が得た賃料収入は、平成十八年度から二十四年度までの期間で約三百二十八億であり、同期間に東京都市開発株式会社に支払った管理委託料は約十三億円であります。

○やながせ委員 そもそもこの都庁の周辺は、淀橋浄水場があった場所でございまして、水道局が多くの土地を保有していました。そして、この浄水場を廃止した跡地にたくさんの再開発ビルを建てた。その相棒が東京都市開発株式会社、この後、TUDと略させていただきますけれども、このTUDは、都の報告団体でございまして、代表取締役社長は歴代元水道局長が務めている会社でございます。水道局が土地を提供し、TUDがディベロッパーとなって建設費を支出した。そして、でき上がったビルを水道局とTUDが案分で所有することになったということでございます。
 そこまではまだわかるんですけれども、この水道局の持ち分、全ての床の管理委託をこのTUDに随意契約で発注しているとのことです。管理委託というのは、テナント探しと保守管理を指します。その面積は、都心の一等地にある七つのビル、これを合わせて七万四千二百平米になります。古いビルだと昭和五十九年に建てられていますから、この年から随意契約で三十年間、毎年更新がなされているということなんですね。この七年間では三百二十八億円が局に収入として入り、TUDには約十三億円の管理委託料が支払われたということでございます。
 しかし、この後、平成十八年度から、水道局の保有する一部の別のビルに関しては、委託管理について競争入札を実施したというふうに聞きました。現在、入札で管理しているビルについては、どのような契約となっているのか、お伺いしたいと思います。

○吉田水道局長 先ほどご答弁申し上げました再開発事業、東京都市開発に管理委託しているものにつきましては、ビルを建てる際、ご答弁申し上げましたけれども、共同の事業者として、私ども水道局が土地を提供し、TUDが資金を調達してビルを建てているということで、それぞれがビルの中に床の面積を持っているということでございますので、それを一括してテナント募集等する方がスケールメリットが出る。また、実際にTUDとしても、みずからの所有分についての空室率を下げるというインセンティブがありますので、そこのところを勘案して随意契約をしているということでございます。
 一方、ただいまご質問のありました、平成十八年度から競争入札で管理委託をしているビルもございます。ここにつきましては、私ども水道局と共同で共同ビルを建てる事業者がみずからビルを管理する意思がない、そういうものにつきましては、競争入札により貸し付けをしております。
 具体的には、ビルの管理契約の形態は、五年間の年額固定賃料によるサブリース方式でございます。
 なお、このサブリース方式には、定額の賃料収入が保証されるというメリットがありますが、一方で、テナント賃料が上昇局面にある場合にも、当局がその収益増加を享受できないというデメリットがある面もございます。

○やながせ委員 よくわかりました。この四つのビルに関しては、平成十八年度から入札しているんですね。しかし、七つのビルに関しては、TUDと随意契約を行っているということなんです。そして、今ご答弁いただいた随意契約の理由、これは、水道局の持っている床とTUDの持っている床、これをあわせて賃貸に出した方がスケールメリットが出るからということでございました。
 私は、そうであるならば、その七つのビルと四つのビルをあわせて入札した方が、よりスケールメリットが出るんじゃないか、普通そういうふうに考えるわけであります。随意契約でなければスケールメリットが出ないなんてことはないんじゃないかと考えます。
 そこで、東京都市開発の管理物件についても、入札をした方が収益が向上する可能性があると考えます。契約の見直しをすべきと考えますけれども、見解を伺います。

○吉田水道局長 まず、先ほどの共同ビルのスケールメリットの件でございますけれども、あくまで一つの建物の中で共同で募集した方がスケールメリットがある。例えば、千平米、千平米の床があった場合、片方ずつですと大きなテナントさんが入らないという事情がございます。そういうことからしまして、別のビルをあわせて、一括で管理を委託するといっても、必ずしもこの場合はスケールメリットが出ないというふうに考えてございます。
 ただいまご質問のございました、毎年の契約の際、見直しをすべきではないかということでございますが、局有資産の有効活用につきましては、これまでも、効率性と公共性を両立させる観点から、物件の特性にあわせまして、契約形態を適切に選択してきたところでございます。
 今後も、毎年の契約時に内容を判断し、収益の拡大に努めてまいります。

○やながせ委員 どちらの方がスケールメリットが出るのかというのは非常に難しい問題でございます。だから正解はどちらかわからぬということが正解なんだろうというふうに思うんですね。
 四つのビルに関しては、各フロアを東京都が持っているわけですけれども、がっちゃんこして入札に出しているわけです。七つのビルに関しては、TUDと東京都が一緒になって、一つのビルごとに賃貸のスケールメリットを出しているということですよね。
 だから場合によっては、これをがっちゃんこして全部で賃貸を考えるということ、これが一番スケールメリットが出るということも想定できるわけであります。つまり正解はわからないんですよ。とすれば、これは随意契約ではなくて入札に付すべきだ、公募をするべきだ、そうすれば、正しい市場価格がおのずとついてくるということ、これが正解なんではないかというふうに考えます。ですから、ぜひこれ、見直しを求めていきたいというふうに考えます。
 局の大事な資産ですから、少しでも収益を多くできるように見直しを求めてまいりたいと思います。基本的には、入札をしなければいけない。それが三十年間、見直されることなく随意契約をしてきた。相手方が局長の再就職先であると。このような事例は都民にとってなかなか理解されないのではないかというふうに考えるわけであります。
 今回、水道局と東京都市開発の随意契約について質疑をしましたけれども、局と外郭団体との契約に関する問題については、過去からずっと続いているんですね。
 例えば、一つ例を挙げますと、交通局の日・舎ライナーの車両保守委託契約であります。監査報告書を抜粋しますと、車両保守の仕事を、交通局が業者Bとの間で特命契約をしてきたけれども、翌年度に、交通局は、東京交通サービスに変更して特命契約をした、Bから交通サービスに変更したということですね。しかし、状況を確認すると、この交通サービスが業者Bに再委託をしていたことが判明した。だから、交通サービスと特命で契約する必要は認められず、適正ではないとされた、これ監査報告書の抜粋であります。
 東京交通サービスは、東京都が一〇〇%出資する監理団体、常勤役員三人は全て都の退職者、常勤職員のうち都の退職者は九十四人、天下りを受け入れている監理団体が、公営企業からの随意契約によってその事業を総取りし、その実施は民間企業に丸投げをしている、そんな例であります。
 このように、合理的な理由がなく、特命随意契約を締結していたという事例は、毎年のように監査で指摘されているんですね。十年間で数えますと六十八件の指摘がありました。
 監査というのは、膨大な事業、契約の一部を調査するものであります。この六十八件は氷山の一角だといえます。各局から監理団体への特命随意契約の状況は、平成二十三年度分で三百十二件、九百八十六億円に上ります。これだけの金額をどうチェックするか、これが課題であります。
 そこで、今後は、監査で指摘された事項を全庁的に実施できるような仕組みをつくり、同じような指摘を受けることがないよう、積極的に事務事業の改善に活用すべきであると考えますけれども、見解を伺います。

○中西総務局長 都におきましては、包括外部監査人から指摘等を受けた場合は、監査対象となった局が直ちに改善計画を作成し、おおむね二年以内にその計画に基づく措置を講じ、監査人みずからがその検証を行うこととしております。この仕組みは都独自のものであり、監査の実効性の確保にも有効に機能しております。
 さらに、他局においても同様に指摘を受ける可能性の高い事項につきましては、今年度から監査結果の事例集を作成、配布いたしまして、職員一人一人の意識改革や事務改善の取り組みにつなげております。
 今後も、包括外部監査の結果を活用し、こうした事務事業の適正化を着実に進めてまいります。

○やながせ委員 毎年同じ指摘がなされないように、これは期待をしたいというふうに思います。
 都の外郭団体でも、とりわけ監理団体については、都と結びつきも大変強く、その事業運営については、都民などから疑念を持たれないよう、日ごろから気をつけていく必要があります。
 平成二十五年八月一日現在の状況を調べてみますと、監理団体三十三団体、全体で七十三人の常勤役員がいますけれども、このうち七割近い五十一人が都の退職者となっています。これらの監理団体が、都から多くの業務を請け負い、事業を運営しているという実情があります。
 こうしたことを踏まえ、しっかりとチェックをすること、適切な団体運営が求められますけれども、今後の監理団体、再就職のあり方について知事の見解を伺います。

○舛添知事 都におきましては、監理団体が、地下鉄や上下水道を初め、都民生活に密接にかかわるさまざまな事業運営を補完、支援していることから、これを都政の重要なパートナーと位置づけて活用しております。
 このため、監理団体につきましては、団体の統廃合や負債総額の圧縮、さらには事業評価制度の導入など不断の改革を進めてまいりました。
 さらに、国とは異なりまして、公認会計士等による包括外部監査を活用しまして、外部の視点から、団体の経営管理について検証と見直しを重ねております。
 また、監理団体への幹部職員の再就職につきましては、都政との密接な連携のもと、適切な事業運営が行われるよう、都の判断で有為な人材を推薦し、再就職した役員に対しては、業績評価などによって自律的な経営のかじ取りを厳しく求めております。これにあわせまして、幹部職員全員の再就職情報を公表するなど透明性の向上を図り、都民の理解と納得が得られるよう適切に運用しております。
 今後、私みずから、監理団体も含め都政の現場をつぶさに見た上で、団体を十分に活用した質の高い都政運営の実現を目指してまいります。

○やながせ委員 ありがとうございました。ぜひ現場を見ていただきたいというふうに思います。
 私は、この包括外部監査と定例監査は非常に有効に機能しておるというふうに考えています。私も毎年、これ熟読しています。それで、どこに問題点があるのかということを考えるようにしています。非常に有効な手段です。これを一回の監査で終わらせない、全庁的な取り組みにしていくということが最も大事なことなんだろうというふうに考えています。
 最後に、公営企業の話に戻りたいと思いますけれども、最初にバス事業についてお話をしました。民でできることは民で、ネットワークを維持するためには、コストが高い公営より民営の方が適しているのではないか。交通体系が東京都の大きな問題だと知事はおっしゃっていますけれども、東京の交通網を、予算をかけずに利便性を飛躍的に向上することができるのが、地下鉄の経営一元化であります。一つの駅にメトロと都営の二人の駅長がいる。競合しながら、それぞれの利益を追求する中でサービスの一体化を進めようとしても、これは限界があるんです。実現に向けては、ハードルが幾つもありますけれども、都民の利益のためには可能性を模索するべきだというふうに考えます。
 水道、下水道については、水辺ビジネスをめぐる環境が大きく変わりつつあり、外資水メジャーによる日本の浄水場、下水処理場の買収が行われるようになり、自治体がこれらの企業に運営を委託する傾向が見られます。
 政府は、上下水道は成長産業と位置づけ、海外展開を後押ししています。東京の上下水道は、これまで一千三百万都民の水を守ってきました。この実績を持って、次のステージを検討するべきであります。
 国家戦略特区の話もありました。ここで上下水道民営化、こういったものを入れたらいいんじゃないか、これを訴える識者の方もいらっしゃいます。大きな方向性を示すのが知事の役割とおっしゃっているわけでございまして、その際には、庁内の意見をしっかり聞いていただきたい、そのことと同時に、外部の有識者の方の意見も聞いていただきたいというふうに思うわけであります。
 公営企業のあり方について、外部有識者の声を聞いて方向性を示していただきたいと思いますけれども、知事の見解を伺います。

○舛添知事 これまで再三申し上げてきましたように、私は、万機公論に決すべしと、そういう政治信条で、さまざまな意見を聞く、特に私に反対する方の意見もしっかりと聞いていきたいと思っております。
 本会議でも答弁しましたように、東京都の公営企業のあり方につきましては、さらなる東京の発展や都市としての快適性の向上といった課題と切り離して考えることはできません。東京という都市を将来どのようにしていくのかという観点を十分に踏まえながら、今後考えるべき事柄だと思っております。
 東京をどうするか、そういうビジョンをまずしっかり示して、そして、それから官を使うか民を使うか、そういうことについては、よくさまざまな意見を聞いた上で決定したい、そして最後、決断したときは私が責任をとる、そういう決意であります。

○やながせ委員 大変頼もしい答弁ありがとうございました。
 この公営企業の民営化の話というのは、庁内からはなかなか--なかなかというか、聞こえてこないことだろうというふうに思います。ただ、私は、この公営企業にこだわるのは、これは非常に大きな金の卵だというふうに思うんです。東京において最も大切な財産といっても過言ではないぐらいの、非常に成長の可能性を秘めたのが、この水道、下水道、交通もそうです、この三局をどうやって育てていくのかということが大事だろうというふうに考えております。
 私たち、この後も、しっかりとこういったことを主張して、ぜひ、知事の一考に値するようにお話をしていきたいと考えております。ありがとうございました。質問を終わります。(拍手)

○東村副委員長 やながせ裕文委員の発言は終わりました。

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