予算特別委員会速記録第四号

   午後三時十分開議

○東村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 斉藤やすひろ委員の発言を許します。

○斉藤(や)委員 質問の前に、舛添知事、ご就任おめでとうございます。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の先を見据えた、そうした東京に生まれてよかった、そして仕事で東京に来られた方も、そしてこれから東京に生まれる子供たちのためにも、美しいふるさと東京をつくっていくことが、真の意味での世界一の東京になるということを信じております。そういった思いをいたしまして、質問に入らせていただきます。
 初めに、自転車政策について伺います。
 自転車での移動は、本来、健康増進に役立ち、環境負荷の少ない移動手段であり、経済的でもあり、都市の移動手段として大いに活用すべきものだと思います。
 一方で、都においては、自転車事故が顕在化しています。警視庁の資料によれば、平成二十四年の都内の交通事故発生件数に占める自転車事故件数の割合は三六%でした。全国では一九・九%なのと比較いたしまして、極めて高い割合でございます。
 自転車は、免許も不要で、誰でも利用できる便利な乗り物ですが、反面、子供でも時に加害者になってしまいます。
 小学校五年生の少年が六十七歳の女性をはねた結果、寝たきり状態になってしまった事故で、親の損害賠償責任が問われた訴訟では、少年の母親に、親権者としての監督義務を十分に果たしていなかったとして、九千五百万円の賠償の支払いが命じられた事件もございます。大変に残念な事件でございます。
 自転車の活用は、安全利用が大前提です。自転車が怖くて、安心して歩道を歩くことができないという高齢者の方の声を伺い、自転車利用者にルールの徹底を図ることが最重要との観点から、我が党が強く求めて自転車安全利用条例が昨年成立し、本年一月には、条例に基づいて自転車安全利用推進計画が作成され、自転車安全利用のための取り組みは大きく前進いたしました。
 問題は、成人層に対する安全教育でございます。自転車販売店のご努力もありますけれども、利用者全員に行き渡らせるために、さらなる対策が求められます。
 そこで、青少年・治安対策本部長に、推進計画の概要と成人層に向けた安全教育の取り組みについて伺います。

○河合青少年・治安対策本部長 自転車安全利用推進計画は、社会全体で自転車の安全利用を推進することを基本理念として、都の施策だけでなく、自転車利用者、事業者等の関係者の取り組みを総合的に推進するために策定したものであります。
 計画には、平成二十七年の都内における自転車乗用中の交通事故死者数を二十五人以下にすることなどを目標に、安全教育の推進、放置自転車の削減といった項目ごとに関係者の具体的な取り組みを記載しております。
 また、成人層に向けた安全教育につきましては、都は引き続き、商業施設等における安全教室を開催するほか、事業者等による教育が広く行われるよう、安全教育を行う人材を育成する講習会を開催する予定であります。
 都としては、こうした関係者と連携した事業を通じ、自転車の安全利用の機運をさらに高めるための取り組みを展開してまいります。

○斉藤(や)委員 成人層の事業所内での安全教育は人づくりだと思います。ぜひとも東京都も、そういった努力する企業を支援していただきたいと思います。
 次に、学校における自転車安全教育についてお伺いします。
 私は、平成二十三年予算特別委員会で、都教育委員会が全国に先駆けて作成した教員用の指導用資料、この安全教育プログラムにおける自転車交通安全の推進を取り上げました。ここに二十五年三月版があります。間もなく二十六年版もできると思いますけれども、この安全教育プログラムの中に、非常にすぐれた実践事例、交通安全教育の実践事例が掲載されておりますけれども、この事例をいかに現場に、教員一人一人に理解をしていただいて、目の前の子供たちを自転車事故から守ることができるのかということを真剣に考えていただく、そういった教員づくりが大切だと思います。
 そこで、都教育委員会は、この安全教育プログラムに掲載されている自転車交通安全のすぐれた実践事例を、より一層普及していくべきですが、都の取り組みを伺います。

○比留間教育長 子供の自転車利用につきましては、道路に広がり並走したり、イヤホンで音楽を聞きながら、あるいは携帯電話の画面を見ながら運転するなど、危険な行為が多く見られます。
 このため、都教育委員会は、スタントマンによる事故の再現や自転車シミュレーターを活用する安全教室など、安全教育推進校のすぐれた実践事例を安全教育プログラムに掲載して、全ての教員に配布するとともに、全公立学校の安全教育担当者が参加する指導者講習会で理解促進を図っております。
 今後とも、自転車の交通ルールとマナーを守ることの重要性を児童生徒が実感を持って理解できるよう、安全教育プログラムを通して、効果的な指導方法を公立学校に普及してまいります。

○斉藤(や)委員 全員ということがとても大事でございます。今、教育長からご紹介があった自転車シミュレーターでございますが、私もちょっと乗ってみましたが、大変に自分の運転がいかに危険かということを認識させられた次第でございます。
 我が母校の目黒第九中学校でも、これを三台活用して安全教室を行ったようでございますが、大変に教員も、子供を守るためにしっかりと認識をした、再確認できたというお声でございましたし、十月には、目黒区立中根小学校でこういった安全教室を行う予定でございます。
 今後とも、安全教育を徹底することは大事でございますが、一方で、それでは自転車に乗っている方は、一体どこを走ってよいのかということになるわけでございます。いわゆる自転車の利用環境の整備というものが、これから最重要な課題となってくるわけでございます。
 国レベルでは、国土交通省と警察庁は、平成二十四年の十一月に、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを作成いたしまして、自転車の車道走行を基本とした整備の考え方を示しているところでございます。
 舛添知事は、知事就任後直ちに補正予算を編成され、快適な自転車走行空間の確保に向けた調査検討と自転車レーン整備、自転車シェアリング普及促進の予算と当初予算を合わせまして、合計で七億四千万円ほど計上しているわけでございます。
 そこで、自転車走行空間の整備状況と今後の取り組みについて伺います。

○横溝建設局長 都はこれまで、旧玉川水道道路や調布保谷線において、全体で百二十六キロメートルの自転車走行空間を整備してまいりました。
 また、これと並行して、平成二十四年度には、自転車走行空間整備推進計画を策定し、さらに知事の方針を踏まえ、オリンピック・パラリンピック開催までに、新たに百二十キロメートルを整備することといたしました。
 この計画では、車道の活用を基本として、自転車交通量が多く事故の危険性がある箇所などを優先整備区域に位置づけておりまして、平成二十六年度は、平和橋通りなど約十一キロメートルを整備してまいります。
 また、オリンピック・パラリンピックの競技場周辺などにおきましては、関係自治体と協力いたしまして、自転車が安全に走行できる推奨ルートを設定し、来訪者や観光客の自転車による回遊性を高める取り組みを進めてまいります。

○斉藤(や)委員 都道における取り組み、一生懸命頑張っておられるその進捗状況、ご報告ございましたし、これから都道をどんどん、そういった面では自転車に優しい道になっていくことが期待されるわけでございますが、実は道路は都道だけではありません。当然、国道や基礎自治体の区市町村道など、こういったものがあるわけでございまして、こういった道を一体的に整備していく必要もあるわけでございます。
 国道と都道の交差点の問題や都道と区市町村道の交差点の問題、これはまちづくりとも密接につながってくるわけでございます。
 今お手元に配布させていただいた一枚の資料でございますが、これは警視庁につくっていただいたものでございます。(パネルを示す)実は、これは文京区の千石のモデル事業でございまして、この交差点、非常に新しい試みをしております。
 これは国道と都道が交差している交差点なんですが、実は、こちらの試行前、これは横断歩道に自転車と歩行者用の信号機がついていまして、自転車はこの歩行者の横を進行することになっておりましたけれども、これを自転車レーンなどに合わせて真っすぐ直進させるために、信号機は、車の信号機を見て直進するという、そういったモデルをやっているわけでございます。
 こういったことをやるときには、交差点内、大変に交錯しますので、危険でございますので、この羽根のような、点々のような青い矢印がございます。これがナビラインと申しまして、これは現場の警視庁がお考えいただいたものでありますので、正確には自転車レーンという規格ではないんですけれども、こういったものを明示しながら、この交差点など国道と都道の複雑なエリアを何とか自転車に優しい交差点にしようということでございます。
 実は、自転車の事故は交差点で起こっておりまして、こういった交差点の問題を解決するには、実は区市町村だけでは足りませんし、また国や東京都だけでもなりません。
 これからは、そういった幅員の幅が狭い道も含めまして、どういった道が自転車レーンになるのか、あるいは、どこがそういった自転車のためにマーキングができるのかといった現場の知恵も含めまして、こういったものを推進していかなきゃならないと考えているわけでございます。
 また、道路は、行政単位を越えてつながっているものでございますので、当然広域ネットワークが重要です。今後は、一生懸命努力している基礎自治体もございますので、そういった自治体などと連携をしまして、自転車走行空間に関するビジョンやネットワークについても一緒に検討していくべきだと考えます。
 さらに、自転車やバス、タクシー、鉄道などさまざまな交通手段が相互に連携し、円滑に移動できる環境を実現するためにも、今こそ都として交通政策が必要なときを迎えていると考えるわけでございます。
 そこで、自転車を含めました総合交通体系に対する知事の見解をお伺いいたします。

○舛添知事 私は、かねてから、東京の最大の問題の一つは交通体系であると考えてまいりました。東京では、鉄道と道路が相互に有機的に関連するという発想は乏しく、また自転車が有効に活用されていないというのが私の印象でございます。
 そこで、都民の皆様に特に強く訴えてきたこの問題を解決するために、関係局に対しまして政策の具体化に向けた検討を指示したところでございます。都市づくりや交通の課題を踏まえた庁内での調査検討に加えまして、私自身も専門家のさまざまな意見を聞きながら、また、きょうの斉藤やすひろ委員の貴重なご意見も頂戴いたしましたので、広範な議論に参加していきたいと思っております。
 今後は、鉄道やバス等の有機的な連携や、自転車利用環境の整備等を含む総合的な交通政策を取りまとめ、世界一便利で快適な都市東京を実現してまいります。

○斉藤(や)委員 超高齢都市東京では、自家用車中心の移動ではなく、さまざまな移動手段、自転車や公共交通などもございますが、そういった交通と都市づくりを一体的に考えていく政策が必要であると考えるわけでございます。
 駐輪場の問題、シェアサイクルの整備など課題はさまざまございますけれども、自転車の利用環境の整備を含めた総合的な交通体系の整備を、知事の強いリーダーシップで、舛添革命を起こしていただきたいと思うわけでございます。
 次いで、高齢者の住まいについて質問をさせていただきます。
 先日、年金暮らしの男性から、妻が突然、自転車事故に遭い入院をしたのですが、数週間で退院を求められ、途方に暮れています、在宅では介護ができないので、何とか近くの施設に入れないでしょうかという切実なご相談がございました。
 私は、目黒区内でも南部地域で育ちましたけれども、この地域は、都内でも有数の木造住宅密集地域でございます。木密地域不燃化十年プロジェクトの特定整備路線にかかる住民の方々は移転の必要がございます。中でも、高齢者の方は、周辺の家賃が高いために、ただでさえ近くに住み続けることが困難な上、さらに要介護状態になってしまえば、どうしたらよいのかという不安を抱えながら、さまざまなご相談をされるわけでございます。
 このような声に応えるために、私は、病気で入院しても安心して退院ができる体制をつくらなければならないと考えてまいりました。
 これからは、バリアフリーだけでなく、医療、介護サービスが受けられるような高齢者の住まいを、住みなれた地域に数多く創出していく政策が必要になる。これから構築を目指す地域包括ケア体制の東京モデルの鍵は、医療、介護サービスと連携した住まいの確保にあると考えてまいりました。
 そうした状況を踏まえ、平成二十一年第四回定例会で我が党は、国の高齢者住まい法の改正を受けまして、都が高齢者居住安定確保計画を早急に策定して、高齢者が適切な生活支援サービスや医療介護サービスを受けながら、住みなれた地域で安心して生活が続けられる住環境を整えるべきだと訴えました。
 その結果、平成二十二年の九月、都は、高齢者向けの賃貸住宅及び老人ホームの供給目標や、目標達成のために必要な取り組み等を内容とする、高齢者の居住安定確保プランを策定いたしました。
 プラン策定後、国の高齢者住まい法の再改正を受けまして、いわゆるサービスつき高齢者向け住宅が制度化され、国は補助金を充てる仕組みを構築し、目標戸数を明確にし、整備が本格化してきたわけでございます。
 都においても、上位計画である住宅マスタープラン、そして高齢者保健福祉計画にこのプランが、高齢者の居住安定確保プランがしっかりと組み込まれているわけでございます。
 そこで、都は、平成二十五年度から、サービスつき高齢者向け住宅に関する新たな施策を推進していますが、都内での登録実績を伺いたいと思います。

○藤井東京都技監 都は、多様なニーズを持つ高齢者が安全・安心に暮らせる住まいの選択肢をふやすために、サービスつき高齢者向け住宅の供給促進に取り組んでおります。本年度からは、医療、介護サービスの事業所と連携して住宅を供給する事業者に対しまして、国と同額を加算して整備費補助を行うなど、供給の促進を図っております。
 こうした取り組みによりまして、高齢者住まい法に基づくサービスつき高齢者向け住宅の登録数は、昨年三月末に約六千百戸であったものが、本年二月末には約七千九百戸となっております。
 今後とも、サービスつき高齢者向け住宅の供給を促進してまいります。

○斉藤(や)委員 都内の供給総数という点では順調に整備が進んでいるようでございます。約七千九百戸ということですが、基礎的自治体の状況や行政の取り組みには大分温度差があるようでございまして、自治体ごとで見ますと課題もあると思います。住宅政策と福祉政策を連携させているこの東京都が、一歩前に出て、この区市町村をリードしていただきたい、このように思うわけでございます。
 舛添知事は、知事施政方針の中で、介護につきまして、地域包括ケアの考え方に基づいて、在宅での医療や介護の体制、地域での見守りなどを充実させて、あたかも地域全体が介護施設であるかのようなサービスを行き渡らせると語られておられます。まさに、在宅か施設かという二者択一ではなく、サービスがついた住宅の供給によりまして、この高齢者の住まいの選択肢をふやしていくことが重要であります。
 これからも供給促進されるサービスつき高齢者向け住宅ですが、量の拡大と同時に重要なことは、利用者側、居住する側に立ったサービスの質の確保でございます。この点、福祉保健局が、平成二十一年度より、医療、介護連携型のサービスつき高齢者向け、これは東京の住宅モデルですが、これを実施し、良質な医療、介護連携型サービスつき高齢者向け住宅の普及促進を先駆けて図ってきたことを評価したいと思います。
 私は、このモデル第一号の風のガーデンひの、これを視察させていただきましたけれども、入居者の方々が安心して住んでおられる様子を拝見して、このような住宅が、これから目指すべき高齢者向け住宅の一つの姿であるというふうに実感をしたわけでございます。
 そこで、都では、モデル事業等によりまして、こうした住宅の整備を促進してきましたけれども、各サービスを効果的に提供するために、住宅における医療介護との連携の質の確保が重要だと思います。都の見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 お話のように、サービスつき高齢者向け住宅において、高齢者のニーズに応じたサービスが効果的に提供されるためには、医療と介護が緊密に連携し、その質を確保していくことが重要でございます。
 このため、都は、モデル事業において、医療と介護の連携について検証を進めるとともに、今年度は、都内全てのサービスつき高齢者向け住宅を対象に、連携状況等の実態調査や入居者からのサービス利用状況等のヒアリングを行っているところでございます。
 来年度は、この調査結果を活用して、情報交換会の実施やITシステムの活用など、医療と介護の事業者が連携する際のポイントや具体的な事例を盛り込んだガイドラインを作成してまいります。

○斉藤(や)委員 サービスつきの高齢者向け住宅も、サービスの連携の質が問われるときになっております。連携の質の悪い住宅につきましては、空き家になる場合もありますけれども、事業者にも、新たなガイドラインをしっかりと参考にしていただきたいと考えるわけでございます。
 次に、生物多様性の保全について質問をしたいと思います。
 世界人口の約半数以上が都市に居住し、都市の住民生活と経済活動によりまして、人類が使用する資源の七五%を消費しているという事実がございます。その環境負荷の結果、環境省によりますと、年間四万種の生き物が絶滅していると推計されております。
 世界一の東京を目指すならば、生物多様性の保全に向けた実効性の高い先駆的な政策を展開することこそ、生物資源を大量に消費する大都市東京に課せられた使命です。
 平成二十一年第四回定例会及び二十三年の予算特別委員会で、私は、環境先進都市東京として、東京都の生物多様性地域戦略を策定し、世界の諸都市に向かって発信をすべきだと主張してまいりました。
 平成二十二年、愛知県で開催されました生物多様性条約締約国会議、いわゆるCOP10でございますが、これ以降、我が国におきましても、木材、石油などの生物資源を原料として扱う事業者を中心に、森づくりや蛍の生育地の保護といった生物多様性を保全する活動が行われるようになってまいりました。
 また、生物資源とは直接関係のない金融の世界、大手損保会社の呼びかけによりまして、生物多様性に配慮したまちづくりに向け、ゼネコン各社などを含めました五十以上の大手企業が共同研究を行うといった動きも出てまいりました。
 しかし、世界に目を転じてみますと、オーストラリアやドイツでは、植物や緑の質を生き物の生息地としての観点から定量的に評価する生態系評価手法が、既に環境アセスメントに導入されているなど、生物多様性の保全については、日本の一歩先を進んでいるようにも感じるわけでございます。
 こうした中、都は、緑施策には、量の視点に加えて、在来種といった質の視点が重要であるとの我が党の提案を受け、平成二十四年五月に、生物多様性地域戦略の性格をあわせ持つ緑施策の新展開を策定したことを評価いたします。
 その中で、生物多様性の危機が気候変動の危機と相まって、地球環境の器を危うくしている今、首都東京が果たすべき役割は、生物多様性の分野でも、世界の諸都市の範となる持続可能な都市モデルを世界に示し、実効性のある施策を構築することであるとし、生物多様性の保全のため、緑の質を高める東京にふさわしい生態系評価手法を検討することを打ち出しております。
 そこで、生態系評価手法の意義や目的について伺います。

○長谷川環境局長 生態系評価手法は、開発に伴う土地の改変に際して、生物多様性の保全の視点に立って、当該地や周辺の植物の状況、生き物の移動経路の確保といった観点などから、緑の質や事業計画を評価することにより、改変あるいは植栽する範囲や方法などの工夫を促すものでございます。
 事業者にとりましては、生態系に配慮すべきポイントが明確になり、効果的な対策が行いやすくなるほか、これまで配慮のために実施してきた取り組みや努力が見える化されることから、納得感が得られやすく、生物多様性の保全が促進される効果が見込まれるものでございます。

○斉藤(や)委員 生態系評価手法は、緑の質や事業者の取り組みを見える化するということでございまして、効果的に生態系への配慮を促す仕組みのことであって、これは大変画期的な考え方であると思います。
 具体的に、どのような項目でそれを評価していくのでしょうか。既に都は、海外の事例を参考にして、昨年度から検討を進めているとのことですが、現在の状況を教えていただきたいと思います。

○長谷川環境局長 現在、学識経験者による検討会におきまして、海外の先進的な評価手法の調査研究を行い、生き物の生息場所としての緑を評価するオーストラリアの手法を参考に、東京にふさわしい制度の構築を進めております。
 具体的には、在来植物の種類、周辺の緑との連続性、希少種の有無などを評価項目として設定し、それらをこれまで都内で実施された複数の開発案件に当てはめて、その結果が妥当なものであるかなどの検証を行っております。
 その際、失われる緑と新たに創出される緑の価値に対する考え方、異なる種類の植物が混在する樹林地を正確に評価する方法などに関して意見が出されており、今後はこうした点を踏まえ、さらに検討を進めることとしております。

○斉藤(や)委員 都独自の生態系評価手法の検討が進んで、徐々に形になっていることがわかりました。こうした評価手法が完成すれば、事業者にとっても、生態系に配慮した開発といったのはどういうことなのかということがわかるわけでございますし、また、社会にわかりやすくアピールすることができるといったメリットがございます。
 既に、金融機関の中には、こういったことを不動産価値へと転換する動きもあるようでございまして、不動産コンサルティングや金融商品の開発に、この生態系手法が利用され始めているわけであります。
 その一方で、評価が複雑で手間ばかりかかるようでは、せっかくそういった物差しというか、手法を開発しても、事業者の負担感だけが大きくなってしまいます。何よりも、事業者が仕組みをよく理解した上で、みずからが実施した生態系への配慮の取り組みに対する評価に納得することが重要でございまして、そういった上で運用されないと、本来の目的が、あるいは効果が得られず、つくった意味が半減してしまいます。そのため、今後の検討に際しまして、十分に事業者の声を聞いて進めるべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○長谷川環境局長 今後の検討に当たりましては、評価の視点や水準の妥当性、実際の保全内容と評価結果の整合性などの技術的課題をさらに精査していく必要がございます。また、この手法を用いて実際に評価を行うに際しては、生育する植物種の判定などに一定程度の専門知識やスキルが求められるものとなっております。
 このため、来年度から、現在構築中の評価手法を試行的に用いて、事業者の方々に実際の開発案件で評価作業を行っていただく取り組みを開始する予定でございます。
 こうした試行と検証を通じて、具体的なデータの蓄積などを図るとともに、お話のように、使い勝手や評価結果に関する事業者との意見交換などを進め、実用的でわかりやすく、かつ適正な評価が導き出される手法を構築してまいりたいと考えております。

○斉藤(や)委員 都独自の手法でございます。既に一部のディベロッパーなどでは、この開発に際する緑化や生き物への配慮などにつきまして、民間独自の指標で評価する取り組みをしているところもございます。
 先日、私は、民間の手法で最高レベルの認証を受けた港区内の再開発地域、ビルを視察しました。著名な外資系企業は、生物多様性に配慮したことを高く評価して、そのビルの最上階にオフィスを構えているわけでございます。今後、このような東京都の手法が完成しますと、民間の独自の評価手法との整合性ですとか、あるいは企業に優し過ぎて、本当の意味で生物の生態系を図っていないんじゃないかというような、民間からのそういった批判も出てこないとも限りません。
 したがいまして、これから東京都が完成を目指すものとあわせまして、民間で既にあるそういったものとの話し合いの整合性を、しっかり図っていっていただきたいと思います。
 ことしの十月には、二〇一八年冬季オリンピックの開催都市である韓国の平昌で、生物多様性条約締約国会議COP12が開催されます。ぜひ、こういった機会に、世界一の生物多様性に配慮した都市東京ということをプレゼンスしていただきたいと、これは希望でございます、よろしくお願いいたします。
 次に、生物多様性に関連しまして、野生動物の保全事業の拠点としての動物園、水族園の取り組みについて質問します。
 現在、地球上の野生生物は、かつてないスピードで絶滅の危機に瀕しておりまして、希少な野生生物を多く展示している都立動物園、水族園では、繁殖と生息地保全の取り組みを通じて、この種の保存へ貢献を強く求められているところでございます。
 これらの施設では、優先的に繁殖させる希少な野生生物をズーストック種と定めまして、ズーストック計画というのがあるんですね。それを策定して計画的な繁殖に取り組んできたと聞いております。しかし、地球温暖化などの環境の変化、大変激しいものがございまして、野生生物の減少はさらに進んでいると聞いております。
 そこで、野生生物の保全機能を強化するため、現在のズーストック計画の見直しが必要であると考えますが、都の見解を伺います。

○横溝建設局長 都は、平成元年に、絶滅の危機に瀕した野生動物を繁殖させるズーストック計画を国内で初めて策定し、五十種の動物を優先的に繁殖させることといたしました。この計画に基づき、これまでに恩賜上野動物園では、ニシローランドゴリラやスマトラトラ、多摩動物公園では、ユキヒョウやニホンコウノトリなど、三十八種類の繁殖に成功しております。このような中で、近年、動物の絶滅危惧種が急激に増加していることから、ズーストック計画における繁殖動物の種類を見直し、繁殖しやすい環境を整えるなど、野生動物のさらなる保全に貢献していくこととしております。

○斉藤(や)委員 国立の動物園、植物園が--国立の動物園のない中で、上野などは本当に日本を代表する大事な拠点となっているわけでございます。そしてそれ以外にもたくさんの園がございますが、私、かつて長崎県の対馬市長にお会いした折に、東京都に大変お世話になっておりますと、ご挨拶をされました。何なのかと思いましたら、井の頭自然文化園にツシマヤマネコが保全されているということでございました。また、多摩動物公園ではトキやコウノトリの繁殖に努力され、貢献をしております。そして今まさに、ジャイアントパンダの赤ちゃんが注目されておりますけれども、都民は懐妊を心待ちにしているところでございます。
 こうした取り組み、本当に動物園はさまざまな機能を持っているわけでございます。そのもう一つの機能に教育普及活動がございますが、これは、都立動物園、水族園には教育活動のプログラムというものが充実しているわけでございます。これは各園でつくったものを取り寄せて見せていただきました。(資料を示す)大変にすばらしい内容になっておりますが、特にこの葛西臨海水族園の教育活用ガイドブックの中を拝見しますと、動物や魚などの生息環境への理解を深めるために、命の大切さ、生きた動物にさわれるような、そういった環境もつくりまして、プログラムを作成しているわけでございます。
 直接、動物と触れ合うことは、例えば、視覚に障害のある子供たちにとって大変に価値のある経験でございまして、感動によって、より豊かな心が育まれるに違いありません。
 そこで、この教育活動プログラムを特別支援学校で活用することは大変有意義だと考えます。都の見解を伺います。

○比留間教育長 動物園や水族園が作成する教育プログラムの活用は、自然体験が不足しがちな障害のある児童生徒が、生き物に直接触れながら生物の生態や生育環境を学ぶことができるなど、大変有意義でございます。そのため、特別支援学校では、これまでも学校ごとに、こうした教育プログラムを利用して、児童生徒が生き物を実際にさわり、形や大きさ、ぬくもりなどを肌で感じることを通じて、生命を慈しむ心や自然を大切にする態度を育んでまいりました。
 今後、都教育委員会は、こうした各学校の特色ある取り組みをホームページで紹介したり、動物園や水族園の教育プログラムと関連づけた障害種別の学習モデルを新たに作成するなどし、特別支援学校における教育内容の充実を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 障害種別の学習モデル、とても大切な視点でございます。ぜひ特別支援学校の生徒の皆さんに、世界は広く、生き物には違いがあって、多様性を維持しながらともに生きているということを実感していただきたいと思うわけでございます。
 これまでも、都立動物園、水族園は、触れ合い活動やさまざまな教育活動プログラムを用意していますけれども、特別支援学校へ通う子供たちのように、校外学習を行うために支援が必要になるなど、動物園や水族園を利用しづらい子供たちへ同じように生物多様性保全について学ぶ機会を提供することが必要だと思います。
 そのための手段として、先日、今定例会一般質問、上野議員の答弁で、建設局長から答弁がございました移動水族館の専用車両を活用するなど、子供たちへの環境教育をさらに充実していく必要があると考えます。都の見解を伺います。

○横溝建設局長 都が設置している四園の動物園、水族園では、ウサギやモルモット、ヒトデやウニなどの小さな生物とゆっくりと触れ合い、本物の大きさ、形、質を感じ、生き物の大切さを知ってもらう環境教育を行っております。この環境教育には、特別支援学校の子供たちも含め、年間五万人を超える子供たちが参加をしております。
 また、わかりやすい授業を行うことができるよう、学校に学習用ビデオや動物観察シートなどの教材を提供するとともに、飼育スタッフによります出張授業を行っております。
 今後とも、子供たちが野生生物への理解を深められるよう、平成二十六年度に導入を予定してございます移動水族館を活用するなど、学校教育の現場とさらなる連携を図ってまいります。

○斉藤(や)委員 体験と感動、とても子供たちに大事でございます。教育庁とよく連携をしていただきまして、新しい取り組みをよろしくお願いいたします。
 最後の質問でございますが、目黒区内で起きました集中豪雨によります浸水対策について伺いたいと思います。
 目黒区では、昨年の七月二十三日、百ミリ以上の猛烈な豪雨によりまして、上目黒地区、八雲地区では、約二百棟の床上、床下浸水が発生しました。
 いろいろ原因を調べますと、雨水整備水準を超えているということ、それから補完用に用意していた雨水調整池もいっぱいになってしまってあふれてしまった。いわゆる雨水の整備水準のレベルをもう超えているわけですね。こういった状況になりましたら、これはもう雨水調整の整備水準のレベルアップをしていくしかないというように思うわけでございますが、この目黒区の上目黒や八雲地区におきまして、雨水整備水準のレベルアップをする対策を行うべきと考えますが、どうかということが一点ございます。
 そして、それ以外にも、実は小規模ではございますが、目黒区の中町や目黒地区などで浸水被害が点在して発生した地域もございます。こうした地域におきましても、近年の降雨状況を踏まえ、できる限りの対策を早期に行うべきでありますし、またその効果を検証することも必要と考えます。あわせて見解を伺います。

○松浦下水道局長 豪雨対策下水道緊急プランでは、くぼ地、坂下などの地形や、これまで整備してきた下水道幹線や調整池などの能力を検証、評価した上で、雨水整備水準をレベルアップした対策を実施することとしております。
 目黒区の上目黒や八雲地区は、昨年の豪雨により、床上、床下浸水が集中して発生したことなどを踏まえ、七十五ミリ対策地区として位置づけ、新たな下水道幹線などを整備することといたしました。
 具体的には、上目黒地区の蛇崩川幹線流域及び八雲地区の呑川幹線流域において、新たな幹線を既存の幹線の地下空間を活用して整備するなど、時間七十五ミリの降雨に対応できる対策を実施してまいります。
 また、被害箇所が点在し、浸水棟数が少ないなど、被害が比較的小規模な地域については、小規模緊急対策地区として位置づけ、被害要因や現場状況に応じた短期的対策を緊急に実施することとしております。
 目黒区の中町、目黒地区は浸水被害が点在して発生したため、小規模緊急対策地区として、既に地元区などと連携して、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどの対策を実施しております。さらに、対策の実施状況を踏まえ、流出解析シミュレーションを実施し、追加対策の必要性を検討してまいります。
 このような取り組みにより、平成二十八年度までに必要な対策を完了させてまいります。

○斉藤(や)委員 七十五ミリのところ、これは時間がかかるかもしれません。管の下に管を入れるという非常に難しい技術が必要でございますが、これは近隣の地元区のそういった協力もなければならないわけでございます。
 この既存の幹線の下などに新たな下水幹線など施設を整備するに当たりまして、密集した市街地での中で工事をするわけですから、これは難しい課題も多くあると思います。対策の促進を支援していきたいと考えております。これは区議会などとも連携して、しっかり応援していきたいと思うんです。
 一方で、下水道局におきましても、できるだけ早くしてほしい、もう雨が降ったら本当に不安でしようがないというお声、たくさんあります。大変な財産的な被害もございまして、できる限り早期に新たな幹線の整備などの対策を進めまして、効果をできるだけ早く発現させる工夫をすべきだと考えますが、見解を伺います。

○松浦下水道局長 既存の下水道幹線の地下空間に新たな幹線などを整備するには、幹線のトンネルなどを築造するための工事用地の確保や、既存の下水道幹線との接続方法、既存の埋設物との競合など、技術的に検討すべき課題があります。これらの課題解決のため、地元区や関係機関などとの調整を精力的に進め、工事に早期に着手してまいります。
 また、施設全体の整備が完了する前に、工事が完了した部分を暫定的に貯留施設として活用するなどの工夫を行い、できる限り早期に対策の効果を発現させることとしております。
 今後とも、頻発する豪雨に対し、都民の安全で安心な生活を支えるよう、あらゆる工夫を行いつつ、浸水対策に積極的に取り組んでまいります。

○斉藤(や)委員 備えありて憂い忘れずと。備えあっても、しっかりとソフト面も区民と都民、皆さん共通に、協力してこの水害に立ち向かっていかなければいけないと思います。質問を終わります。(拍手)

○東村副委員長 斉藤やすひろ委員の発言は終わりました。

ページ先頭に戻る