予算特別委員会速記録第四号

○宇田川委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十七号議案まで及び第百二十九号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 和泉武彦委員の発言を許します。

○和泉委員 私は今回、私自身、医師としての職務を今までやっておりました。そして、その中でのさまざまな質問、そして、オリンピック・パラリンピック、これを見据えた上での東京を盛り上げていこうというための質問ということでさせていただきたいと思います。
 それでは、質問させていただきます。
 六十五歳以上のひとり暮らし高齢者、認知症高齢者の急増など、超高齢化社会を迎える中で、高齢者が安心して暮らし続けていくためには、地域住民はもちろんのこと、地域の医療機関など、多くの関係機関、多職種が連携したサポートが必要かと思われます。
 こうした観点から、都における高齢者施策について質問します。
 まず、地域包括支援センターの機能強化についてです。
 私は、地域における医療、介護、福祉のスムーズな連携のためには、地域包括支援センターの役割が極めて重要だと考えております。しかし、都内の地域包括は委託型が九割以上を占め、地域のネットワーク構築の機能が十分でないなど、解決すべき課題が多いと思われます。
 都内のセンター自体の機能の底上げを図らなければ、東京における地域包括ケアシステムの構築というものは困難であります。
 本予算特別委員会の我が党の代表質問に対し、新たな支援策として、来年度から機能強化型地域包括支援センターを設置、促進する取り組みを実施すると答弁されました。
 そこで、この具体的な取り組み内容と効果を伺います。

○川澄福祉保健局長 来年度から、新たに区市町村への設置を支援する機能強化型地域包括支援センターにおきましては、主任介護支援専門員や社会福祉士等の専門職を新たに専任で配置し、区市町村内のセンターが抱える対応が困難な事例の相談や地域の医療、介護関係者で構成する地域ケア会議の円滑な運営に対して専門的助言等を行うほか、地域の実情に応じたネットワーク構築に関する研修を実施するなど、人材の育成も行います。
 こうした取り組みを行うことにより、地域における高齢者の相談支援の拠点として、地域包括支援センターの機能は、より強化されるものと考えております。

○和泉委員 次に、介護予防について伺います。
 医療、介護に係る費用を削減するためには、健康寿命を伸ばし、地域包括支援センターが中心となって介護予防を推進する取り組みが必要であります。
 また、次期介護保険制度改正では、要支援者に対するサービスのうち、訪問介護、通所介護、これは区市町村事業へ移行するなど、介護予防事業の大きな見直しが予定されております。これに適切に対応するためには、地域包括支援センター職員の予防支援能力のさらなる向上が必要です。
 代表質問で、来年度からセンターの介護予防機能の強化に取り組む区市町村を支援するという答弁がございました。
 そこで、この地域包括支援センターの介護予防機能の強化に向けて、具体的にどのような取り組みを行うかを伺います。

○川澄福祉保健局長 地域包括支援センターの介護予防機能の強化に向け、都は来年度から、介護予防に関して幅広い知識と経験を有した主任介護支援専門員や保健師等を、介護予防機能強化支援員としてセンター等に新たに配置する区市町村を支援いたします。
 支援員は、センターの介護予防に関する取り組みがより一層進むよう、NPO法人やボランティアなど、地域のさまざまな社会資源を活用した介護予防プログラムの企画立案等を行うとともに、介護予防で効果を上げた先行事例等の紹介など、センター職員を対象に実践的な研修を行うこととしております。

○和泉委員 昨年第一回の定例会において私が質問したように、認知症の対策においては、地域の実情に応じたネットワークづくりが急務であります。
 都では、認知症の人を早期に把握し、支援につなげていくため、認知症の早期発見、早期診断推進事業を今年度から開始しております。
 そこで、事業の現在の取り組み状況と来年度の実施予定について伺います。

○川澄福祉保健局長 昨年八月に開始した認知症早期発見・早期診断推進事業は、現在、七つの二次保健医療圏の十三区市で実施をしております。
 本年二月末現在、区市町村に配置した認知症コーディネーターには、七百七十五人の認知症の疑いのある方に関する相談が寄せられておりまして、そのうち四十九人の方を認知症疾患医療センターに配置した認知症アウトリーチチームと連携して訪問し、医療機関の受診や介護サービスの利用等につなげているところでございます。
 来年度は、新たに二十二区市町が事業開始の意向を示しており、合わせて十二の二次保健医療圏の三十五区市町に実施地域を拡大する予定でございます。

○和泉委員 この事業を契機に、認知症医療、介護ネットワークづくりを進める取り組みが各地域に広がっていくのは、区市町村の認知症施策を強化する上で非常に有効であると思われます。
 そこで、都内の全区市町村がこうした認知症ネットワークを構築できるよう、都としても積極的に後押しをする必要があると思いますが、見解を伺います。

○川澄福祉保健局長 お話のように、区市町村における認知症対策を一層強化していくためには、地域における医療、介護のネットワークづくりが重要でございます。
 そのため、都は、区市町村において地域の診療所や介護事業者との連携の推進役となる認知症コーディネーターの配置を進めているところでございます。
 また、都内十二カ所に認知症疾患医療センターを設置し、区市町村、地域包括支援センター等からの相談に応じるとともに、区市町村等が行う研修へ講師を派遣するなど、認知症対応力の向上を支援しております。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、区市町村が医療と介護の両面から認知症対策のネットワークを構築できるよう、積極的に支援してまいります。

○和泉委員 ぜひ都が区市町村の意欲を引き出して強力に後押しするようお願いします。
 私は、葛飾区の医師会なんです。その中で、葛飾区で認知症のネットワークづくりというものを独自にさまざまな取り組みもやっているんです。その中で、やっぱり区がしっかりと支援をしていかなければ、このネットワークづくりは成功しないと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、介護職員の確保について伺います。
 介護職員は、他の業種に比べて精神的にも肉体的にもきついイメージがあって、なかなか介護職員になりたいという人が少ないのが現状です。
 我が党の代表質問における介護人材確保の質問に対し、新たな取り組みの紹介がありました。その中に、学生などが介護職員初任者資格を取得できる無料の研修事業が挙げられており、このような事業は大変有効な取り組みと考えます。
 そこで、具体的な事業内容と周知方法について伺います。

○川澄福祉保健局長 お話の介護職員初任者研修資格取得支援事業は、介護職を希望する学生等を対象に、介護職員初任者資格の取得から介護職場への就労までを一貫して支援する取り組みでございます。
 この事業では、八百名の学生等を対象に、百三十時間の通学講座と通信講座の無料講座を開設し、受講修了者に東京都福祉人材センターが就職相談やあっせんなどを行うこととしております。
 また、実施に当たっては、都内の大学や高校等へパンフレット等を配布するほか、インターネットを活用するなど、さまざまな媒体を通じて、介護に関心のある学生等の参加を広く呼びかけてまいります。

○和泉委員 都としての支援を着実に推進していただけるようお願い申し上げます。
 次に、訪問看護ステーションにおける人材育成について伺います。
 現在、ステーションは、地域において医師と連携し、疾病の悪化の予防、二十四時間の療養支援、みとり、こういったものを第一線で支えております。
 しかしながら、ステーションの約六割は看護職員が五人未満と小規模な事業所が多く、人材の確保や育成に苦慮しており、地域における小規模な訪問看護ステーションへの支援が求められております。
 都では、昨年十一月から教育ステーション事業をモデル的に開始しています。そこで、この教育ステーション事業の実際の取り組み内容と期待される効果について伺います。

○川澄福祉保健局長 教育ステーション事業は、規模が大きく、経験豊富な都内五カ所の訪問看護ステーションを教育ステーションに指定し、地域の小規模ステーションの人材育成等を支援するモデル事業でございます。
 教育ステーションでは、指導力のある訪問看護師に新任看護師等が同行する実地研修や、地域の医療機関、介護事業所等との合同事例検討会、訪問看護に関心のある看護師を対象とした職場体験研修等を実施しており、こうした取り組みは、訪問看護師の実践的なケア技術の向上や地域における多職種連携の推進、訪問看護ステーションへの看護師の就労につながるものと考えております。

○和泉委員 こういった訪問看護師は欠かせない存在なんです。やりがいを持って働き続けられるということが重要なんです。
 現状では、夜中に呼ばれても、夜道を歩いてステーションまで行かなければならない。そして、一人で患者さんのお宅へ行って診断をしなければならない。そして、誰も、それでもしわからないことがあっても、それを聞く人がいないというのが現状なんです。ぜひこのために、今後の訪問看護の質、量ともに充実を図るべきと考えますけれども、知事の決意を伺います。

○舛添知事 多くの高齢者は、可能な限り住みなれた地域で暮らし続けることを望んでおります。医療と介護をつなぐ訪問看護は、高齢者の在宅での療養生活を支える重要なサービスであると思います。
 そのため、都はこれまで、訪問看護ステーションの設置や訪問看護師の育成、定着を図るために、さまざまな施策を展開してまいりました。
 また、来年度は、新たに訪問看護ステーションに事務クラークを配置する事業や、訪問看護師が育児休業などをとる場合に代替職員の確保を支援する取り組みを開始いたします。
 今後も質、量の両面から訪問看護をさらに充実させ、高齢者がたとえ医療的ケアが必要となっても、地域の中で安心して暮らし続けることができる東京を実現してまいります。

○和泉委員 ありがとうございました。
 次に、都立病院の患者支援センターについて伺います。
 国は、地域包括ケアシステムの充実、医療機能の分化、連携の推進、これらを図る方向で、医療法の改正や診療報酬の改正を進めております。
 その中で、都立病院の患者支援センターの役割というのはますます重要になってくると考えられます。病気に対する疑問や不安はもとより、複雑な医療、介護制度への対応、地域包括ケアシステムとの連携など、患者、家族への相談支援機能の充実が強く求められるところです。
 我が党の代表質問において、患者支援センターによりさまざまな課題にワンストップで総合的に対応して、患者、家族をサポートするとともに、在宅療養の担い手と病院をつなぐ組織として位置づけていくという答弁でしたが、患者支援センターでは具体的にどのような取り組みを行おうとしているのか伺います。

○醍醐病院経営本部長 患者支援センターにおきまして、患者、家族への総合的なサポートを行っていくためには、ソーシャルワーカーや看護師などの専門職の知識、経験を最大限に活用していけるような組織的な対応が必要であるというふうに考えております。
 このため、同センターにおきましては、医師のセンター長を置き、医療連携、看護相談、医療相談等の各部門を一つに束ねるとともに、院内の各診療科や看護部門等との連携協力体制を確保してまいります。
 また、新たなシステムといたしまして、個々のケースの対応状況や地域の医療、介護、福祉資源情報などを蓄積する患者相談支援システムを導入し、情報やノウハウの共有を図りながら、職員のレベルアップや組織力の向上に努め、患者、家族への支援を充実してまいります。

○和泉委員 患者の支援を組織的に行うということは非常に重要だと思います。ぜひ進めていっていただきたいと思います。
 また、患者支援センターでは、さまざまな取り組みを移行支援まで行っていくということでした。円滑に行うためには、地域の在宅療養の実態を十分把握しつつ、患者の状態に即した移行支援を行っていく必要があります。
 そこで、都立病院としてはどのように取り組んでいくのかお伺いします。

○醍醐病院経営本部長 各都立病院におきましては、これまで地域の医療機関の情報は把握はしていたものの、介護、福祉資源の情報は必ずしも十分でありませんでした。
 そのため、今後、地域の訪問看護ステーション、地域包括支援センター等の職員との連絡会や合同カンファレンスに参画をし、顔の見える連携協力体制を構築しながら、常に新たな情報を収集、蓄積してまいります。
 また、都立病院の感染予防や褥瘡ケアなどのノウハウを地域の訪問看護師等への研修に活用するなど、在宅療養の担い手の人材育成にも協力をしながら、連携を深めてまいります。
 こうした活動を行いながら、地域の在宅療養に関する実態の把握に努め、患者が円滑に地域での療養生活に移行できるよう取り組んでまいります。

○和泉委員 それらの機能を十分に発揮していくためには、地域の医療機関を初めとした関係機関との連携協力が重要だと思います。その強化のためにどのように取り組んでいくのかお伺いします。

○醍醐病院経営本部長 患者支援センターの整備に当たりましては、まずは多摩総合医療センターをモデル病院として取り組んでまいりますが、その際には、病院と地元の市や地域の医師会等との検討会を新たに設置し、関係機関からの意見や要望を把握してまいります。
 また、地元の市が主催する在宅療養推進のための協議会等に参加をし、意見交換、調整を重ねてまいります。
 さらには、地域のかかりつけ医や病院との連携関係もより一層密にし、円滑な紹介、返送、逆紹介の取り組みを推進してまいります。
 患者支援センターにおきましては、こうした活動を通じて、地域の関係機関の実情や意見を十分に踏まえながら、連携協力体制を強化してまいります。

○和泉委員 ぜひ十分なコミュニケーションをとって、連携を図っていただきたいと思います。
 次に、都立病院の国際化対応について伺います。
 我が党の政策提言で、東京を世界で一番の都市にを掲げておりますが、その中で医療においては、外国人が安心して受診できる医療環境の整備というものを進めることも提言しております。
 都立病院のうち、墨東病院、広尾病院、多摩総合医療センターは、オリンピック病院として指定を受け、選手やその関係者のための病院と位置づけられます。
 また、オリンピック・パラリンピック関係者だけではなく、日本を、そして東京を訪れる外国人に対しても、日本人同様に安心して医療を受けられる環境整備が必要です。そのためには、都立病院の国際対応力を向上させる必要があると考えております。
 まず、都立病院の外国人患者の受診状況について伺います。

○醍醐病院経営本部長 本年一月に、全都立病院におきまして、新規の入院患者、新規の外来患者、それから救急患者を対象として、外国人患者受け入れ実態調査を、これは初めて行いました。
 その結果、都立病院全体で外国人の受診割合は一%でございます。外国人が最も多い病院は広尾病院で、その割合が三・二%、続いて駒込病院が一・三%、大塚病院が〇・八%、墨東病院と小児総合医療センターが〇・六%となっておりまして、各病院の地域性などが影響しているかと考えられます。
 国籍別では、中国、フィリピン、韓国、アメリカの順で多く、この四カ国で四二%を占めております。
 なお、母国語に加えまして、第二言語まで含めますと、日本語、または英語を話せる外国人患者の割合は六六%でございまして、三分の二を占めている状況にございます。

○和泉委員 病院を受診したときには、煩雑な事務手続、そして診療があります。そして、診療のときには、患者の訴えを正確に把握して治療を行うということが重要であり、日本人同様に、診察方法についてインフォームド・コンセントが必要になると思われます。
 そこで、現状では外国人患者にどのように対応しているのか、外国人の診療に対して課題となっていることについて伺います。

○醍醐病院経営本部長 最も外国人の多い広尾病院の例でございますと、来院する外国人に対応するため、院内案内板の英語表記ですとか、病院ホームページの英語版を作成しております。
 診療の際の対応といたしましては、英語版の入院案内や問診票を作成しており、説明内容が専門的な場合や他の言語を必要とする場合などは、必要に応じまして通訳サービスを利用しているところでございます。
 しかしながら、病棟での食事や薬の説明、退院時の説明など、入院から退院に至るさまざまな患者対応の場におきまして、英語ができる職員が必ずしも全て配置されているわけではございませんので、コミュニケーションに支障を来す場合も、残念ながらございます。

○和泉委員 診察には、先ほども申したように正確な意思疎通が要求されるため、医師を初めとした医療従事者の語学力の向上というものは必要です。
 日本の医療水準は、世界的に見ても非常に高く誇れるものです。この高いレベルの医療を外国人に適切に提供することが安心につながり、そしておもてなしにもなります。
 今後、外国人が日本を訪れる機会はふえるものと思われます。そこで、都立病院は外国人患者への対応について、具体的にどのように取り組みを行うのか伺います。

○醍醐病院経営本部長 病院経営本部では、本年二月、医師、看護師を初めさまざまな職種で構成される都立病院国際化対応検討委員会を設置いたしました。その中で、外国人患者の対応について、現在検討を進めておるところでございます。
 具体的には、英語を初めとする語学の研修ですとか、異なる文化への理解を図るための研修等をこれから実施してまいります。特に、オリンピック病院の広尾、墨東、多摩総合医療センターでは、常時外国人患者に対応できる体制を整備してまいります。
 また、外国人患者に円滑に受診していただけるよう、各種の書類、ホームページ等の多言語対応、それから通訳の活用や言語サポートツールなどの開発に取り組んでまいりますほか、案内表示の多言語化ですとか、ピクトグラムの活用を図ってまいります。
 これらの取り組みに加えまして、今後は外国人に対しても安全・安心の医療を提供するためのさまざまな課題につきまして、多角的な視点から検討を進めてまいります。

○和泉委員 ぜひお願いします。
 次に、障害者の雇用について伺います。
 都内企業における障害者雇用は着実に進んでいますが、企業に就職したものの、短期間で退職する障害者も少なくないと聞いています。
 障害者を雇用する上で発生する課題は、障害の特性などによっても異なり、対応方法もさまざまです。雇用を継続させるためには、発生した課題について企業が適切に対応できるよう、参考事例を提供していくことも効果的であると考えますが、都の来年度の取り組みを伺います。

○塚田産業労働局長 企業が障害者を継続して雇用するためには、職場の実態に応じた支援が重要であります。
 そのため、都では来年度から、地域の就労支援機関を通じ、障害者の継続雇用の推進に際して、課題が発生した時期やその内容などを障害種別ごとに把握、分析いたします。その上で、医療機関との連携による効果的な支援など、参考となる事例を取りまとめ、広く情報発信することにより、企業や就労支援機関による適切な対応を促してまいります。
 今後とも、障害者が就職した職場で定着し働き続けられるよう支援してまいります。

○和泉委員 近年、精神障害者の求職者数、就職者数の伸びは大きくなっており、今後も働くことを希望される精神障害者がふえていくことは見込まれますが、一方で、精神障害者は症状に波があることから、特に障害者雇用のノウハウが十分ではない中小企業での雇用を促進するためには、きめ細かな支援が必要です。
 都として、精神障害者の雇用を促進するため、どのように取り組んでいくのかを伺います。

○塚田産業労働局長 精神障害者の雇用を促進するためには、企業に対するきめ細かな支援が必要であります。
 精神障害者の雇用については、企業の理解等がいまだ十分ではない点もあり、特に雇用した経験のない企業においては不安を抱えるところも多いのが実情であります。
 このため、来年度から、東京しごと財団に精神障害者の採用や雇用管理の実務経験等を有する専任の雇用管理アドバイザーを五名配置し、中小企業等三十社に対して雇用前の環境整備から採用後三年間にわたる雇用管理まで、一貫してサポートする事業を開始いたします。
 こうした取り組みにより、精神障害者の雇用を推進してまいります。

○和泉委員 昨年四月には、法定雇用率も引き上げられ、障害者の働く場を着実に広げることが重要になってきています。
 都も、来年度から事業所の清掃を活用し、障害者の就労を支援すると聞いています。こうした取り組みは、障害者雇用の充実を主張してきた我が党の考え方が結実したものと理解しております。引き続き障害者の雇用の促進に向け、十分に力を入れていくことをお願いしておきます。
 次に、地域における観光振興について伺います。
 今後、国内外から多くの旅行者が訪れることが見込まれるこの機を捉え、都内各地域の魅力を一層磨き、地域に多くの旅行者を取り込むことで、経済の活性化を推進するべきです。
 近年、旅行者のニーズは、観光名所をめぐるだけではなくて、その地ならではの隠れた観光スポットの探訪など変化してきており、地域のさまざまな資源にも目を向けて、観光資源開発に取り組む必要があります。
 私の地元葛飾区は、寅さんで有名な柴又や「こち亀」でおなじみの亀有、世界的に有名なサッカー漫画「キャプテン翼」ゆかりの地でもあり、下町情緒の粋と人情が息づく立石など、さまざまな旅行者の興味を駆り立てる資源があふれています。
 そこで、このような地域の魅力を生かした観光ルートの開発など、地域の活性化に向けた観光振興策を充実すべきと考えますが、都の見解を伺います。

○塚田産業労働局長 地域の観光振興を進めるためには、地元のさまざまな主体が連携し、旅行者の目線に立ってその魅力を高めていくことが重要であります。
 都はこれまで、歴史、産業、舟運をテーマとして、看板、標識の整備や観光マップの作成等、旅行者の回遊性を高めるハード、ソフト両面の取り組みを支援してまいりました。
 来年度は、旅行者の趣味趣向を反映して、多様化する観光ニーズに応えるため、食、スポーツなども新たに対象とし、一千万円を上限として支援いたします。
 こうした取り組みにより、地域の自由な発想と創意工夫を一層引き出して、その土地ならではの魅力を生かした観光まちづくりを推進してまいります。

○和泉委員 次に、公衆浴場対策について伺います。
 都内の公衆浴場は、経営者の高齢化、後継者不足、利用者の減少による経営不振などにより、廃業に追い込まれるところが相次いでいます。
 昭和四十三年には戦後最高の二千六百八十七軒あった銭湯が、平成十八年には千軒を割り込み、現在は七百軒余りとなっています。
 公衆浴場は、手軽な料金で気軽に利用できる入浴施設であるだけではなく、地域住民相互の交流の場、健康づくりの場、さらには被災者支援の場であったりと、地域社会における拠点施設として重要な役割を担っています。
 銭湯が果たす社会的役割は極めて大きく、だからこそ、私は、もっと多くの都民の方々に銭湯を利用していただき、一軒でも多くの公衆浴場が事業継続していってほしいと願っています。
 公衆浴場を利用する方は地域の高齢者が多いと思いますが、若者や子育て世帯など、もっと多くの方々に公衆浴場の魅力や役割を知っていただき、利用してもらうことが重要であると考えています。
 それぞれの浴場では、親子触れ合い入浴や保健師などによる健康教室などさまざまな企画を実施していますが、せっかく行っているこうした取り組みが地域住民に十分に伝わっていないように感じております。
 都として、公衆浴場のイベント企画の情報発信など、公衆浴場組合が行う広報宣伝活動を積極的に支援し、利用者拡大につなげていっていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○小林生活文化局長 今日の公衆浴場は、都民に入浴の機会を確保することにとどまらず、お話のように健康づくりや地域住民の交流の場としての役割を担っておりまして、このことを多くの都民に周知するとともに、公衆浴場の魅力やイベント情報を伝え、利用促進を図ることは、公衆浴場の経営安定化を図る上でも大変重要であるというふうに認識をしております。
 都はこれまでも、公衆浴場組合が取り組む利用者拡大に向けたPR活動を支援してまいりましたが、来年度は、スマートフォンやツイッターなどを活用した、若者や子育て世帯向けの情報発信の強化にも取り組みを拡大してまいります。
 また、東京都提供テレビ番組などで公衆浴場の魅力を伝えるなど、都の広報媒体を積極的に活用したPRにも引き続き進めてまいります。

○和泉委員 次に、外国人に向けた銭湯のPRについて伺います。
 最近では、日本の庶民文化を気軽に味わえる銭湯が外国人観光客に人気になっております。
 こうした中で公衆浴場の組合は、昨年、外国人向けの銭湯PRや実際に銭湯を利用する際の入浴方法について知らせるパンフレットなどを作成しております。こちらの方にもあるような、このようなパンフレットでございます。
 そこでお伺いしますが、都は、公衆浴場組合がこうした取り組みを継続して実施できるよう、積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。

○小林生活文化局長 公衆浴場、いわゆる銭湯は、長い歴史を持つ我が国の伝統文化であり、東京を訪れる多くの外国人が、体験を通して日本への理解を深めることのできる観光資源の一つでもあります。
 昨年、公衆浴場組合は、外国人の理解を促進するよう銭湯の歴史や入浴マナーなどについて記載したパンフレットを英語や中国語などの多言語で作成し、羽田空港の東京観光情報センターなどで配布をいたしました。また、初めて利用する外国人向けに、銭湯の入り方を掲載した多言語表記のポスターや、日本語と外国語の併記によりまして指さしで会話するマニュアルを作成し、銭湯の受付などに備えるという取り組みも実施したところでございます。
 今後も、六年後の東京オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、ホームページの多言語化を初め、公衆浴場組合が銭湯の魅力を紹介するPR経費の一部を助成するなど、積極的に支援をしてまいります。

○和泉委員 多くの外国人に我が国独自の入浴文化に触れていただけるよう、公衆浴場組合とも連携しながら、公衆浴場の利用促進に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、無電柱化事業について伺います。
 無電柱化は、ライフラインの確保、電柱の倒壊による道路閉塞の防止など、防災上重要な役割を担っています。また、オリンピック・パラリンピックの開催に向け、美しい都市景観を生み出すためにも、無電柱化の推進は重要です。
 今回、当初予算では、センター・コア・エリア内や緊急輸送道路における無電柱化に約二百二十億、また追加補正予算では三億八千万円が計上されております。
 そこで、まず、平成二十六年度における都道の無電柱化の取り組みについて伺います。

○横溝建設局長 都は、センター・コア・エリア内を初め、周辺区部や多摩地域の緊急輸送道路、主要駅周辺などにおいて無電柱化事業を実施しております。
 平成二十六年度は、墨堤通りや東八道路など百九カ所で、施設延長約四十六キロメーターの電線共同溝の工事を進めてまいります。
 特に、センター・コア・エリア内の計画幅員で完成した都道につきましては、オリンピック・パラリンピックまでに無電柱化を完了させるため、事業を前倒しして、約二十一キロメートルの工事を実施いたします。

○和泉委員 予算の内容については理解いたしました。
 オリンピック・パラリンピック開催に向け、センター・コア・エリア内の整備促進は重要と考えます。しかしながら、私の地元である葛飾区など、センター・コア・エリア外でも美しく、災害に強い町とするため、都道の無電柱化を一層進めるべきと考えます。
 そこで、現在、無電柱化が進められている葛飾の平和橋通りの平成二十六年度の取り組みについて伺います。

○横溝建設局長 新小岩駅周辺の平和橋通りでは、安心して歩ける歩道と美しい町並みの創出のため、駅南側から江戸川区内の八蔵橋交差点までの延長約一・三キロメートルを無電柱化事業として進めてございます。
 このうち、新小岩駅南口付近は交通量が多く、商店が建ち並ぶ地域でございまして、交通管理者や地元の方々との協議のもと、工事の作業時間に制約を設け、平成二十六年度は片側約三百メートルの工事を夜間施工で実施をいたします。
 今後とも、高度防災都市の実現と風格ある都市景観の形成に向け、都道の無電柱化を積極的に推進してまいります。

○和泉委員 ぜひセンター・コア・エリア外でも強力に推進していただきたいと思います。
 葛西臨海水族園は、楽しみながら海の生物や自然について学べる人気の施設として多くの来園者が訪れていますが、近年、設備の老朽化が進行していると聞いております。
 本水族園の特色として、種の保存、調査研究、そして環境教育といったさまざまな面からの取り組みを行ってきた実績があります。
 一方、国内には沖縄美ら海水族館や名古屋港水族館初め新たな水族館が建設され、それぞれ工夫を凝らした展示内容により魅力をアピールしています。
 そうした中、海外からの来園者や団体客などの利用を促進するためにも、より多くの来園者が訪れるよう、魅力あふれる水族園としていく必要があります。
 そこで、葛西臨海水族園は、今後どのような取り組みを行っていくのか伺います。

○横溝建設局長 葛西臨海水族園は、公立の水族館として、レクリエーションの提供とともに、海洋資源の保護に貢献するため、種の保存や調査研究、環境教育に力を注いでまいりました。
 例えば、世界初のマグロの水槽内産卵を初め四十九種類もの生物を初めて繁殖させ、国内外から高い評価を受けております。また、都内の小中学校と連携して、年間二百三十五回の体験学習を実施しているほか、インターネットで遠隔授業を行うなど、教育的機能を発揮してございます。
 今後は、これまでの取り組みによる成果にとどまらず、展示方法の工夫や来園者のサービスの向上など、魅力や快適性を一層高める観点から幅広く検討を進め、より多くの来園者が訪れ、感動し、楽しめる水族園を目指して取り組んでまいります。

○和泉委員 オリンピック・パラリンピックに向け、世界の人々に海のすばらしさを伝えるにぎわい施設となるよう、魅力向上を図っていくことを期待します。
 最後ですけれども、私自身のことなんですが、私は、実は医師を、先ほどからいっているようにやっております。医師を目指そうと思ったのは、実は単純な理由で、自分は死にたくない、不老不死の薬を発明したい、こんな理由から、子供のころに医師になりたいというふうに思ったわけです。
 そして、循環器内科を私はやっておりました。これは何でかというと、これもまた単純な理由で、循環器内科というのはがんがないんです。ほとんどないんです。ですから、私は循環器内科になりたいと。でも、今、在宅医療をやっていますので、かなりの数のがんの患者さんを診ております。不思議なものだなと思います。
 その後、私は、京都大学で山中先生のiPS細胞の前段階の研究をずっとやっておりました。その中で、将来も研究をするのかどうか悩んだんですが、研究の負の部分というものも見るにつれて、もっとほかのことをやりたいかなと思いました。
 実際、今、さまざまな大学の医局に家宅捜索が入るニュースがあったり、あとは新しい発見論文が取り下げられることになりそうだとか、そういうことを見るにつれて、私の自分の先見の明があったのかなと。私自身の感想です。
 僻地病院にその後勤務したんですね。僻地病院だと、なぜかいろんな人を診なきゃいけない。釣り針が刺さった犬が来たり、もうお産で出ちゃっている人、こういった人も診なければならなかったり、もうテレビドラマよりもはるかに盛り上がる。もう毎日が劇的な一日一日を過ごしていたんです。
 その中で往診の仕事も依頼されました。聴診器、血圧計、それしかない中で、その人の状態を観察するというのは、声の色であったり、顔の色、こういったもので判断するしかなかったんです。今まで医師というのは検査至上主義だったんですけれども、それが今現在、私は医師としての感覚を研ぎ澄まされております。
 患者さんたちは来てくれてありがとう、今度顔を見られる日を楽しみにしている、このような声をたくさん聞かれます。
 現在、都議会議員として患者の診断、治療、生活のサポートだけじゃなくて、町全体の、それで都全体の診断、治療に携われるということを非常に光栄に思っております。そして、このような機会を与えていただいた皆様方に大変感謝したいと思っております。
 人生のフィナーレをどこで迎えるのかというのは、大きなテーマなんだろうと。その中で、この美しい国日本で、生まれ育ったこの東京で、私は最期を迎えたいと、このような思いを、皆さん方が同じように思いを持ってもらえるために、私は議員としてもしっかりと頑張っていきたいと。
 医療とか介護、福祉というのは、とりわけ現場の声がわかっていないと机上の空論になってしまうんです。私は、現場の声をしっかりと反映させていきたい、そのように思っております。
 しっかりと皆様方とともにこの東京を支えてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)

○宇田川委員長 和泉武彦委員の発言は終わりました。

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