予算特別委員会速記録第三号

   午後六時四十四分開議

○中屋副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○近藤委員 都議会自民党の近藤充でございます。
 それでは、平成二十六年度予算案に対しまして、幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まずは、都政運営についてでありますけれども、私ども東京都議会自民党は、東京を世界で一番の都市にするという目標を掲げて、これからご提言申し上げながら、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
 まずは、二十六年度予算編成のポイントといたしまして、財政基盤をより一層強固なものとする取り組みとあります。この緑の概要でご説明いただきましたけれども、(資料を示す)大変大きなポイントになるんだというふうに思います。一般会計六兆六千七百億円、特別四兆二千七百億円、公営企業二兆四千億円、合計十三兆三千四百億円がことしの東京都の一年間の予算でありますが、税収四兆六千七百億円、都民の皆さんに大変頭の下がる思いでございます。
 リーマンショックなどの過去の不況時の税収の落ち込みも、何とか都債やら基金の取り崩しで賄ってきました。根本的に都の財政が景気、不景気に大きく変動しないで済むような都市経営を考えるときが来たんだというふうに私は思います。
 今後、少子高齢化が速いスピードで進みます。若手の人口、すなわち生産年齢人口が減ります。税収が落ちるおそれがある中、支出すべき社会保障費の扶助費はふえ、義務的経費の割合がふえるのを見越し、財政規律を考えてみるべきであるというふうにも思います。
 景気の変動で税収が大きく減らないようにするためには、平準化した収入が期待できるよう新しいビジョンを構築し、さらなる新しい産業も導入し、事業がしやすいように規制緩和も進める必要があると考えます。
 アベノミクスの影響により、二〇二〇年のオリンピック開催までは間違いなく景気も順調であるというふうに思います。ただ、その状況にあぐらをかいているようではいけません。先ほども申し上げましたけれども、今後は戦略的な都市経営という言葉にかえても、お考えいただく必要があるんだと思います。
 知事は東京都の都政運営につきまして、ご就任間もなくてお忙しくて大変だと思いますけれども、どのような将来像を描いていらっしゃるのか、まずはお伺いしたいと思います。

○舛添知事 今後、東京は過去に例のないスピードで少子高齢化が進むと予想されております。このような状況のもと、福祉、医療や防災、治安対策などの増大する行政需要に対応するためには、経済全体のパイを拡大して税収をふやすことで財源を確保していくことが重要だと考えております。
 このため、高度な技術を持つ企業やすぐれた人材が集積している東京の潜在力を最大限に引き出しまして、成長分野の育成や新たな産業の創造を支援していきたいと思っております。
 さらに、先般、安倍総理ともお話しいたしましたけれども、国家戦略特区の活用による規制緩和やオリンピック・パラリンピックの開催準備などを経済活性化の起爆剤としてまいります。
 東京が機関車となって日本経済を力強く牽引して、都民生活をさらに向上させ、東京の活力を高めていきたいと思っております。

○近藤委員 少し昔にはやった行政の言葉でありますけれども、入るをはかりて出ずるを制すという言葉がありました。簡単な言葉でありますけれども、これは行政マンにとっては大変大切な精神だというふうに思います。
 ただいま申し上げましたように、今後の人口体系によります税収を考えたとき、思い切った東京メソッドで数々の特区構想も考える必要があると思います。知事のグランドデザインに沿って戦略的に都市経営を進める必要があります。
 所信表明でも産業集積を目指す国家戦略特区の話が出ていました。日本ならではのものづくり工場誘致を進める動きがありますが、東京都では、国家戦略特区などの制度を活用して企業誘致を狙うとされています。
 政府は、国家戦略特区の地域をこの三月下旬に指定するとのことであります。競争力のある拠点づくりを目指す特区として、東京都を中心に広域特区をつくるそうです。アベノミクスの第三の矢である成長戦略の柱の一つ、この特区を利用し、弾みをつけ、本当の好景気をつくり出さなくてはなりません。そして、成熟した東京を維持しなくてはなりません。
 そこで、東京都は、国家戦略特区制度でどのような産業を誘致しようとしているのか、お尋ねしたいと思います。

○中村知事本局長 都は、今年度の外国企業誘致におきまして、世界約百カ国で新薬やジェネリック医薬品を供給する企業や、世界最先端の音声認識技術を有する企業などの誘致に成功いたしました。
 こうした企業の誘致は、医療などの社会保障費の削減や、国内企業との住宅設備や家電などの共同研究を通じた新たな製品開発などにより、幅広い分野で東京の成長に寄与していくことが期待できます。
 今後も特区制度を活用し、福祉、医療、環境、情報通信などの分野で国内外の企業が東京で新しいビジネスを生み出せるよう取り組みを進めてまいります。

○近藤委員 今、局長からご答弁いただきましたとおり、ぜひ東京がますます元気になって、その元気を東京の隅々に、そして日本各地まで発信をしていただきたいというふうに思います。
 今ご答弁ありましたように、ちまたでは今後収益の高い可能性のある産業をフカケツと呼んでいます。福祉産業のフ、環境のカ、健康のケ、通信のツでこれをフカケツと呼んでいます。
 私はこれ以外にも、まだ東京にはポテンシャルの高い産業があるんだというふうに思います。ぜひこの戦略特区を有効利用して、びっくりするような効果を生み出してほしいと申し上げておきます。
 次に、今回の予算におけます成長産業への支援策の目玉についてお尋ねしてまいります。
 従来からある産業に加え新しいビジネスとしても、今、東京都が進めようとしているMICEというのは今後の目玉的存在になると思います。
 MICE自体は、大変裾野を広くして多くのビジネスに影響があると考えます。知事が話される治安のよい都市で、防災的にも安心ができ、おもてなしの高い東京が世界に売り出す大きな要因となるはずです。
 経済の活性化を図り、都市の成長につなげていくためには、将来的にも発展が期待できる産業分野を戦略的に支援していくことが必要だというふうに思います。
 世界観光機関によれば、世界の旅行者数は二〇一〇年の約九・五億人から、二十年後には約二倍程度まで膨らむとされています。成長が見込まれる世界の旅行市場でシェアを拡大することは、日本経済に活力をもたらすことにつながります。
 そのためには外国人旅行者誘致の強化が欠かせず、一度に多くの外国人旅行者が来訪することに加え、一万人の国際会議で約三十八億円という経済波及効果の高いMICE誘致に積極的に取り組む必要があると思います。
 MICEをより効果的に展開するためには、誘致にふさわしいエリア、例えば臨海副都心とか多摩とか八王子とか、こういうところをぜひ早いうちに選んでいただいて準備を進める必要があると思います。
 そこで、経済に大きな効果をもたらすMICEの誘致を推進する都の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○塚田産業労働局長 MICE誘致を効果的に推進するためには、東京と誘致を競い合う都市の取り組みや市場動向、主催者のニーズなどを把握し、誘致戦略を構築するとともに、開催都市としての魅力を高めるなどの取り組みを行うことが必要であります。
 このため、都は、現在調査を進めている市場の動向などを踏まえ、来年度、MICE誘致に精通した専門家の助言を受けながら効果的な戦略の構築に着手いたします。
 また、会議、宿泊、商業施設などのMICE関連施設が集積している三つのエリアを対象に、受け入れ体制の強化策を支援し、MICE拠点として育成いたします。
 さらに、本来MICE施設ではない歴史的建造物や文化施設などを会場として使用する、いわゆるユニークベニューの活用を促進するなど、開催都市としての魅力を高めてまいります。

○近藤委員 市場調査をした上で積極的にお進めいただけるということでございましたので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、特定複合観光施設、新しい産業の一つですが、IRと呼んでいます。MICE誘致を効果的に進めるためには、MICE施設とともにホテル、エンターテインメント施設、ショッピングモール、カジノなどを含む統合型リゾート、いわゆるIRの整備が非常に必要になってくるのだと思います。
 例えばシンガポールでは、IRの中核となりますカジノを解禁し、MICE誘致だけではなく、IRを国策として推進することで目覚ましい成果を上げています。IRは二〇一〇年に開業しましたけれども、その前年の二〇〇九年と比べ、二〇一二年には海外からの受け入れ旅行者数が約五割増加し、国際会議の開催件数も約四割増加したとのことであります。
 このようにIRは新しい産業として非常に有望であります。私ども都議会自民党は、カジノに長らく取り組んでまいりましたけれども、昨年三月にIR推進のための議員連盟を設立し、国に働きかけてきたところでありまして、都としても、これまで国に対し早期の法整備を求めてきたと聞いています。
 今般、IRに関する基本的事項を定めたプログラム法案である、いわゆるIR推進法案が国会の超党派の議員連盟によりようやく提出され、我が国でもカジノの解禁に向けた動きが活発になってきました。
 そこで、これまでの経緯を踏まえ、知事はIRについて今後どのようにお取り組みになるのか、見解を伺いたいと思います。

○舛添知事 IRには、有力な国際観光資源として経済効果や雇用の創出などが期待されております。一方で、いろんな問題や課題などを指摘する声もあります。
 現在、IR推進法案が国会に提出されておりまして、法案審議の過程で、今後さまざまな議論が行われることになるわけであります。この推進法案が成立すれば、一年以内に実施法案が定められることとされております。
 今後、国会審議の動向を踏まえつつ、海外における実情を把握するとともに、幅広く意見を聞きながらしっかりと検討していきたいと思っております。

○近藤委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、知事のお考えになる治安対策についてお尋ねしたいと思います。
 知事は、さきの選挙中、女性が夜中に一人でも歩けるような安全・安心な町の治安をつくると話されました。私も個人的には大賛成であります。家族を持つ父親といたしましては、大きく期待をいたします。都の一番大きな仕事は、都民の生命と財産を守ることであるというふうに知事もお話をされています。
 そこで、さきの我が党の代表質問でもお尋ねいたしましたが、知事の考える世界一治安のよい東京とはどのようなものなのか、またどのようにしてつくるのか、二十六年度単年度一年だけではできるはずはありません。直接、治安、防犯、防災に当たる警察や消防の皆さんのマンパワーの充実も考えなければならないと思います。
 二〇二〇年オリンピックに向けて段階的に進めていかなければならないと思いますが、知事のご所見をお願いしたいと思います。

○舛添知事 犯罪や事故に遭うリスクが少なく、誰もが安心して暮らして、また訪れることができる、そしてその魅力を体感することができる、そういう東京の実現は都民全ての願いでありまして、知事としての私の責務でもございます。
 ただ、それは一日にしては成らないので、都はこれまでも防犯カメラの設置に対する補助、それから地域の防犯活動の担い手の育成に加えて、社会生活を営む上での規範意識の啓発など、犯罪が起きにくい社会づくりを進めるため、重層的な取り組みを継続してまいりました。
 それから、例えば渋谷の町を歩いていると、渋谷の商店街の皆さん方が自分たちで町を守るためのパトロールをやっておられる、こういう地域コミュニティの自発的な動きも重要だと思っております。
 安全・安心の実現に近道はございません。都は、治安状況などの社会経済情勢の変化を適切に踏まえながら、引き続きこれらの取り組みを地道に積み重ねて、今でもそうですけれども、今後とも、世界でも最も治安のしっかりした安全で安心な東京を実現してまいります。

○近藤委員 ぜひ知事のお考えになる世界一の治安のよい東京をおつくりいただきたいというふうに思います。
 次に、消防行政におけます安全・安心対策をお尋ねしたいと思います。
 さきの大震災もそうでありましたが、先日の大雪もそうでした。昔から災いは忘れたころにやってくるといわれています。最近では想定外の想定も視野に入れ、防災だけでなく、万が一災害が起きてしまったとき、いかにして減災するかという議論が始まりました。
 未曽有の大災害となりました東日本大震災から三年、犠牲になられた方々に改めてご冥福を申し上げるとともに、いまだに被災地において厳しい生活を強いられている方々にお見舞いを申し上げます。
 そして、その東日本大震災において、いち早く応援部隊として駆けつけましたのが、東京のハイパーレスキュー隊を初めとする消防庁の精鋭部隊でありました。福島の原発事故を初め、千葉、宮城と広域にわたり多くの職員と装備を派遣し、被災した方々の人命を救ったことは、東京都の大きな誇りであるというふうに思います。頼もしい限りです。
 首都東京におきましても首都直下型地震が危惧されているところでありますが、昨年十二月には首都直下型地震の被害想定も公表され、その被害の甚大さには改めて驚くばかりであります。
 首都東京の安全・安心のかなめである消防部隊、東京消防庁は全国一の人員と装備を有する消防本部でありますが、そこでお伺いいたしますが、首都東京の防災のかなめである東京消防庁の人員、消防車両、現在の消防体制についてお尋ねをしたいと思います。

○大江消防総監 東京消防庁は、島しょ地域と稲城市を除く東京都全域を管轄しており、都民の生命、身体及び財産を守るため、八十一の消防署を拠点に、一万八千百五十二名の職員と、ポンプ車、救助車、救急車など千九百五十台の消防車両により、火災、救助、救急等の災害に対応しております。

○近藤委員 ただいま消防総監から、現在の消防体制につきましてご答弁をいただきました。まさしく全国一の規模の人員、車両を有する精鋭部隊であるというふうに安心をするわけであります。
 今のところ充足しているというふうには思いますけれども、必要であれば来年度の補正をかけてでも、例えば地元からの要望の高い救急車の増車、またはそれに対する人的な予算もぜひ検討していただきたいというふうに申し上げておきます。
 東京の観光客がふえれば、外国人が救急車を利用する機会もふえるというふうに思います。搬送される日本語が不自由な人に対して、外国人に対して、どこにも知事はいませんから、知事のように語学が堪能な方はそうはいません。それからすれば、消防隊の皆さんの中でも、この外国語を駆使して対応できる人材育成も急務なんだというふうに私は思います。ぜひご検討いただきたいと思います。
 ご承知のとおり、二〇二〇年に開催が決定いたしました東京オリンピック・パラリンピックには、国内外から多くの人々が東京に一気に集中します。我が都議会自民党は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けての危機管理体制の強化について重要であるというふうに認識をしており、安全・安心ビジョンとして、災害に強い安全な東京をつくりますと公約に掲げました。その実現に向け努力しているところであります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた消防体制の強化について、消防総監の力強いご決意を伺いたいと思います。

○大江消防総監 当庁はこれまで、消防行政需要の進展や、阪神・淡路大震災、東日本大震災等の教訓を踏まえ、ポンプ隊、特別救助隊、救急隊などの増強を初め、ハイパーレスキュー隊を増設するなど、消防活動体制の強化を図ってまいりました。
 今後は、さらに世界一安全な都市東京で開催されるオリンピック・パラリンピックの実現に向けて、ただいまお話のありました英語対応救急隊の運用、これは四月一日から一部運用を開始いたしますが、これらによる救急体制や、消防ヘリコプターの機動力を生かした航空消防体制に加え、競技会場や関連施設等への検査、査察の執行体制など、消防体制の充実強化に努めてまいります。
 また、開催に際しましては、国内外から来訪される方々の安心・安全を確保できるよう、庁を挙げて消防特別警戒に万全を期してまいります。

○近藤委員 ぜひ、世界中の人が東京に集まったときに、万が一のときに、東京にいてよかったなというふうに思われるような消防体制をおつくりいただきたいというふうに思います。
 次に、安心・安全対策ですけれども、児童生徒の安心・安全対策ということでお尋ねをしたいと思います。
 児童生徒が利用する通学路の安全・安心対策であります。
 我が党の要望にお応えいただき、予算案の中には、防犯カメラに関するものがあります。犯罪の抑止効果として確かに必要であります。ぜひぜひ設置を推進していただきたいと思います。
 せっかく東京都で予算化をするわけでありますから、地方自治体またはそれぞれの学校とよく相談をした上で、事業がスムーズに円滑に処理できるよう、できることなら、年度当初に実施できるようご尽力をいただきたい旨お願いをしておきたいと思います。使いづらい予算では困ります。結果として、絵に描いた餅になってはいけません。
 そこで、お尋ねいたします。この制度の仕組みと、これを実際に利用する市区町村に対し、どのように普及をさせていくのか、ご説明をいただきたいと思います。

○河合青少年・治安対策本部長 この事業は、公立小学校の通学路に設置される防犯カメラに対し、都が設置を希望する市区町村の申請に基づき、これに要する経費の二分の一を限度に補助金を交付するものであります。
 制度の詳細は、事業を執行委任する教育庁と協議していくことになりますが、ご指摘のとおり、市区町村の利用が進まないと防犯カメラの普及が進まず、結果として子供の見守りに抜け穴が生ずるということになりかねません。
 今後、教育庁と密接に連携しながら、市区町村の意見を聞くなど、地域の実情に即したきめ細かな制度設計を行い、この事業の普及拡大を図ってまいります。

○近藤委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、同じ通学路を管理されています都道ということで建設局にもお尋ねをしたいと思いますが、従来から、多くの都民からのご要望は、横断歩道や信号機の設置、歩道、路側帯の確保、白線、カーブミラー等さまざまなものがあります。
 道路橋梁費の交通安全施設費、補正合わせて三百十六億円の費用対効果は、東京都が管理する都道で交通事故が起きないようにするのが最大の費用対効果だというふうに思います。
 そこで、通学路として、全体の安全確保をしていただきたいというふうに考えています。細かいことですが、都道の通学路における交通安全施設事業の取り組みについてお尋ねしたいと思います。

○横溝建設局長 都は、通学路において学童の安全を確保するため、道路拡幅による歩道の整備を初め、防護柵の設置による歩車道の分離や、カラー舗装による歩行者部分の明示、注意を促すための看板の設置などに取り組んでおります。
 また、平成二十四年度には、交通管理者や学校関係者と一緒に現地を歩いて、通学路の合同点検を実施し、安全性の確保が必要とされた箇所について、順次対策を進めてきております。
 引き続き、交通管理者や学校関係者と連携し、子供たちが安全で安心して利用できる、通学路を含めた歩行空間を確保してまいります。

○近藤委員 国の宝である児童生徒の安全、都道の安全確保を何とかお願いしたいというふうに思います。
 地元の声を聞いて、私たち議員は日ごろから仕事をしておりますと、特に我が党の議員からもいろんな声が建設局には届くんだと思います。細かいことでありますけれども、都道の安全確保をしっかりとお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、子育て支援に関係いたしまして、児童養護についてお尋ねをしたいと思います。
 知事は、子育て支援のバックアップを唱えて、多くの都民有権者の支持を得ました。これからの少子化対策を考えたとき、何が功を奏し、少子化がとまるのか、大変難しい話だとは思います。ぜひ我が党の政策の提言もお聞き取りいただいた上で、グッドアイデアを出していきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。私ども都議会自民党、協力を惜しみません。
 なかなか、すぐに少子化をとめることはできないというふうに思います。その上で、国の宝である貴重な幼い小さな命を守ることも大変必要なんだというふうに私は思います。小児医療もそうですが、きょうは児童養護についてお尋ねをいたします。
 児童虐待の痛ましいニュースが後を絶たず、先月も都内で幼い二歳の子供が虐待で命を落としました。児童虐待は子供の心身に深い傷を与え、時に子供のその後の人生そのものを左右しかねない深刻な問題であります。
 厚生労働省がまとめた、平成二十四年度に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談対応件数は、何と六万件を超えており、十年前と比べると二・五倍の増加となっているそうです。
 また、東京都の児童虐待対応件数も右肩上がりだそうです。平成二十四年度に児童相談所が対応した件数は約五千件となっています。そのうち、何と虐待者は、血を分けた肉親が八割であります。内容としては、直接子供の体をたたく、殴る、蹴るといったものが四割近くを占めています。こうした中には、子供を一時的に保護するケースや、その後も長期間にわたって家庭に帰すことのできないケースもあると聞いています。
 そこでまず、平成二十四年度の都の児童相談所において虐待を理由に一時保護をした人数と、その後の退所先の状況をお尋ねしたいと思います。

○川澄福祉保健局長 平成二十四年度の都の児童相談所において虐待を理由に一時保護した児童の数ですが、幼児百七十人、小学生三百九十一人、中学生以上二百八十六人で、合計八百四十七人となっております。
 一時保護した後、児童相談所では、家庭調査や心理診断、行動観察などを行い、子供や家庭が抱える問題を総合的に判断した上で、子供の最善の利益を図るという観点から、援助方針を決定しております。その後の退所先は、家庭が約五割、児童養護施設や里親などが約三割となっており、その他、他県の親族や施設、医療機関への入院などとなっております。

○近藤委員 報道はされているものの、今みたいな生の数字を聞くと大変ショックであります。八百人を超す子供の命が公助によって元気に過ごすことができている、大変ありがたいことなんだと思います。ややもすれば、この八百人の命は失われていたのかもしれません。
 一時保護した後に家庭に戻れる児童は約五割にすぎないことがわかりました。子供は本来家庭で生活することが望ましいというふうに思います。一方で、家庭に帰れないケースは、再び虐待を繰り返すおそれがある場合を初め、何らかの問題があるからであります。
 虐待によって幼い命が奪われることがあってはなりません。こうした、保護者から適切な監護が受けられず、家庭で生活することができない子供たちは、児童養護施設などで生活をすることになります。虐待を受けた子供たちは、情緒、自己認知、対人関係などで大きなダメージを受けており、厚労省の資料によれば、児童養護施設に入所している子供の実に五割を超える五三%が虐待を受けた経験があるとのことであります。
 今、少し落ちつきましたけれども、テレビのドラマで「明日、ママがいない」というドラマがあります。知事はごらんになったでしょうか。実は多くの関係者の方からご非難もありますけれども、こういった公的な施設、これほどの寂しい状況ではないということは、関係者の方から、大きな声も寄せられているところでございますけれども、現実問題、そういう経験をしているお子さんも多いということであります。
 東京都では、現在、児童福祉審議会の専門部会において、こうした子供たちの養護のあり方について議論がなされていると聞いています。
 虐待によって幼い小さな命が奪われるくらいなら、セーフティーネットである公的な福祉施設で受け入れ、高校を卒業するまで専門職による養護を実施する、または準家庭的な環境の中で生活させるという福祉事業を勇気を持って進めるべきであるというふうに私は考えています。
 ご時世でありますから、小規模とかグループホームとかということも考慮します。虐待で命の危険、生活の危機に瀕しているのであれば、行政が温かい手を差し伸べ、将来を担う児童の生命、そして生活を守る必要は大であるというふうに考えます。
 児童養護施設は、将来を担う子供たちの安心・安全の場、セーフティーネットであるべきと考えます。そこで、平成二十六年度の児童養護施設の整備予定と、児童を養護するという今後の方針についてお尋ねをしたいと思います。

○川澄福祉保健局長 社会的養護のもとで暮らす子供たちを支援するため、来年度は、定員三十二名の児童養護施設の新設一件のほか、改築一件、グループホームの開設に伴う設備の整備十件に対しまして整備費を補助する予定でございます。
 都は現在、虐待を受けた子供一人一人にきめ細かなケアを行えるよう、少人数の生活単位で手厚い体制により養育を行う小規模グループケアや、専門的なケアを行う児童養護施設の拡充、家庭的な環境のもとで養育する里親への委託を進めているところでございます。
 今後、児童福祉審議会での議論も踏まえながら、社会的養護のもとで育つ子供たちが安定した生活環境の中で心身ともに健やかに成長し、自立していけるよう支援を行ってまいります。

○近藤委員 先ほども申し上げましたけれども、現実、社会福祉法人で働いていらっしゃる方は、もう本当に親がわり、兄弟がわりで、温かい手を差し伸べ、皆さん現場で働いていらっしゃいます。私は一度現場を、八王子にはたくさんあるものですから、拝見させていただいたときは、私も子供を持つ親の立場として、じんと来るものがありました。
 それでも皆さん頑張っていらっしゃいますから、ぜひ新しい施設についてもそうですし、施設で働く皆さん、先ほど知事のお話にもありましたように、保育所だけの問題ではなく、やはりそういうところで働く人たちのケア、それから待遇についても、東京都にはお考えをいただければありがたいというふうに思っております。
 次に、保健行政につきまして、人と動物の共生についてお尋ねをしたいというふうに思います。
 我々人間と動物は、単に飼い主とペットという関係ではなく、場合によっては、動物の存在が人間の生死にも影響することがあります。
 その一つ、狂犬病の存在がよい例であります。現在、日本では狂犬病の発生もなく、大変落ちついておりますけれども、これは国の狂犬病予防法、家畜伝染病予防法、人畜共通感染症予防による狂犬病予防対策が功を奏し、また、毎年の飼い主の皆さんの協力もあり、予防接種が全国的な行動となり、国内での発生は皆無となっています。
 でありますが、最近では、生活の多様化もあり、マンションや室内から戸外へ出さない未登録の飼育もあり、その結果、狂犬病予防接種の接種率は下がっているというふうに聞いています。台湾では、昨年、狂犬病の発生が確認されました。その問題は、アジアの国々を震撼させ、台湾の国の経済にも影響するといった報道がありました。
 直接は保健所などの担当の業務ではありますけれども、東京都全体としての動物と公衆衛生の向上という問題も私はあるんだというふうに思います。ペットと暮らすということは、癒やし、優しさ、思いやりの涵養、さまざまなメリットもあるというふうに思います。
 知事は以前、犬を飼っていらっしゃったそうでございますけれども、ペットとの共生といったものに対する知事のお考えをまず伺いたいと思います。

○舛添知事 動物というのは、飼い主にとって家族の一員として生活に潤いを与えてくれる、非常に大切な存在であると思っております。
 人と動物とが地域の中で共生していくためには、まず飼い主がルールやマナーを守って、動物をその命のある限り飼い続ける責務を果たすことが重要だと思っております。また、動物を飼っている人もそうでない人も、お互いに理解を深めながら生活することができる、そういう環境づくりに取り組む必要がございます。
 私は、こうした考えに立ちまして、都民やボランティア、関係団体等と連携しながら、さまざまな動物愛護の施策を進め、人と動物との調和のとれた共生社会を実現したいと考えております。今は猫がそばにおります。

○近藤委員 ただいま、動物との共生社会の実現が重要であるというふうに知事からご答弁をいただきました。私もまさしく同感であります。
 東京都は現在、動物愛護管理推進計画の改定作業中だと聞いております。そこで、今後、動物愛護管理施策をどのようにお進めになるのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

○川澄福祉保健局長 都は、本年一月に出されました動物愛護管理審議会答申を踏まえ、今月中に東京都動物愛護管理推進計画を改定する予定でございます。
 新たな計画では、四つの柱として、飼い主への適正な飼養の啓発、事業者による動物の適正な取り扱い、致死処分数のさらなる減少、災害対策を初めとする危機管理への対応を柱に位置づけておりまして、今後、計画に基づいて、都民、事業者、ボランティア、獣医師会等の関係団体、区市町村、都が、それぞれの役割のもとに連携しながら、施策の展開を図ってまいります。

○近藤委員 ありがとうございました。知事と局長から前向きなご答弁をいただきましたので心強く感じました。
 動物との共生という点では、本日の時間では語り尽くせないほど多岐にわたります。災害発生時には、ヒューマンファーストという第一義は承知しておりますけれども、発災後、少し落ちつけば、必ず家族同様に暮らしていたペットのケアの大きな問題が発生しています。災害時のペットシェルターの手法についても考えなければならないときが来ると思いますので、局長よろしくお願いいたします。
 三年前の大震災のときも、家畜たちが、牧畜関係者の災害時避難もあって、当時、野良牛、野良豚、野良犬、野良猫、野生化した鶏などが散在をしていました。今落ちつきましたけれども、都内二十三区には大型家畜は多くありませんが、ペットは、役所が把握できていないほど、数十万といわれています。
 人間の避難場所の確保が第一であるということはいうまでもありませんが、関係部局もぜひ時間をつくってお考えをいただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 今後とも、市区町村、獣医師会や関係団体とよく連携をしていただいて、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指し、動物愛護管理行政の推進に取り組んでいただくことを強く要望して、私の質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

○中屋副委員長 近藤充委員の発言は終わりました。

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