予算特別委員会速記録第三号

○松村副委員長 西沢けいた委員の発言を許します。
   〔松村副委員長退席、中屋副委員長着席〕

○西沢委員 それでは、私から幾つか質問を始めさせていただきたいと思います。
 まず最初に、ホームドアについてお伺いをいたします。
 電車の駅のホームドア、ホーム柵につきましては、先週の本会議やきょうも議論があったところでございます。ホームドア、ホーム柵の設置につきましては、誰もが、これは必ず必要だと、設置をしていきたいと、設置してほしいと思うものであります。
 こうしたことから、「十年後の東京」、これは平成十八年、八年前の二〇〇六年十二月の、オリンピックを東京に二〇一六年という、この中には--十年後ですから、平成二十八年までの目標ということですね。ここでは長期的な政策を示したわけでございます。この中には、ホームドアまたはホーム柵、転落検知マット等を都内全ての駅に設置し、ホームからの転落による事故を防止すると書いてあるわけであります。
 この長期計画というのは、政策が場当たり的になったりしないように、大変意義のあるものであります。これをつくったのは、当然、舛添知事ではありませんが、現在もその目標というものは引き継がれているものでなければいけないと、こういうふうに思っているわけであります。
 この状況をどういうふうにしていくのかというのはまだわかりませんが、転落に対しての最も効果的な対策は、やはりホームドアではないかと思います。しかし、平成十八年の「十年後の東京」では、都内全ての駅にホームドアの対策はするということなんですが、現実としては進んでいないところがあります。これはどういうことが課題と認識しているのかを、まず最初にお伺いいたします。

○藤井東京都技監 平成十八年に策定した「十年後の東京」におきましては、ホームドアや転落検知マットなどを含む、転落による事故の防止対策を実施することとしてまいりました。そのうち、ホームドアにつきましては、扉の位置の異なる列車への対応や、停車時間の増大による輸送力の低下、膨大な投資費用など、さまざまな課題がございまして、整備が進まない状況であったことから、鉄道事業者の取り組みを促すため、都は平成二十三年度から、ホームドアの設置に関する費用に対する補助を試行的に実施してまいりました。

○西沢委員 今のご答弁、扉の位置の問題、費用の問題というのは、これは昔からわかってきたことでもあると思うんです。現状は、もう十年前から、八年前からの状況というのと全く同じ課題であるということをまず指摘したいと思います。
 この扉の位置の話については、移動式のホームドアというものがあります。もしくは昨日の朝日新聞の夕刊の一面にもありましたが、移動するホームドアというのが、技術が進んでいるところでございますが、こうした技術の導入についての見解をお伺いいたします。

○藤井東京都技監 国におきましては、扉の位置の異なる列車に対応可能なホームドアや、軽量化したホームドアの技術開発を行っておりまして、本年度、実証実験が開始されました。今後、実験を通して、安全性、実用性、耐久性などを検証すると聞いておりまして、実用化されればホームドアの整備が進むことが期待されております。
 都といたしましては、その動向を踏まえ、適切に対応してまいります。

○西沢委員 ぜひ適切に対応していただきたいと思います。話を聞くと、この移動式のホームドアはまだまだ課題はあるということです。かなり期待のできるものだというようにも思います。ぜひ改めてお願いしたいというところであります。
 それで、この設置の優先順位につきましては、一日の利用者が十万人以上を超える駅から設置を進めていくというようなところ、今回の一定の議論でもございました。私としては、これはぜひ進めて、利用者の多いところに設置していくというのは当然重要であろうというように思いますが、ただ単に人数の多い少ないだけではなくて、限られた予算ですから、効果的につくるために、もっと分析をしていくことも重要ではないのかと思います。
 駅の中で、新宿駅や東京駅、利用者が多いのはもちろんです。ただ、駅も、ホームも多いです。路線も多いです。人数も多いので、当然、その一つのホーム当たりの人数というわけではありません。
 ホーム柵ができる前の大江戸線の、例えば光が丘駅というところ、ホーム柵ができる前には事故が少し多かったというところもあります。こうしたところは、路線によってばらつきがあるのが実態でありまして、一日十万人以上、多くあるところには当然設置をすべきなんですが、各駅ごとに現状というものが違うかもしれませんから、この各駅ごとの状況がどうなっているのかをお伺いいたします。

○藤井東京都技監 転落事故件数につきましては、国土交通省関東運輸局が、鉄道事業法などに基づいて鉄道事業者などから報告を受け、取りまとめをしております。都内で発生した転落事故件数につきましては総数のみが掲載されておりまして、駅ごとの件数につきましては公表されておりません。

○西沢委員 各駅ごとのケースは公表されていないのでわからないということであります。
 私は、この駅ごと、駅のつくりであったりとか混みぐあい、工事の進みぐあいなどが複雑に絡み合っているのではと思います。調査をしたらいいと思いますので、要望させていただきたいと思います。
 そして、この「十年後の東京」に書かれた内容でございますけれども、公営企業委員会の中で交通局の方に質疑をいたしました。昨年十一月十四日の公営企業委員会の交通局の答弁では、「十年後の東京」にあるホームドアの対策というものに関して、三田線、大江戸線につきましては、既にホームドアを全駅に整備しているところでございます、また、浅草線及び新宿線につきましては、国が平成二十三年八月に新たに示した基準に従いまして、全ての駅において、内方線を付加した点状ブロック、これを設置済みにしております、こういう形で、「十年後の東京」で目指しましたホームからの転落による事故の防止対策は完了しておりますと、こういった答弁だったんです。もう完了しているという答弁をしたんですね。私は、これはおかしいと思います。
 このホームドアの設置というのは望ましくて--これは国がやる、一日十万人以上はやるということでありますけれども、ホームドアの設置は誰もが望ましいと思う、東京都も推進して助成もしていくということでありますけれども、プログラムの進捗というものはどうなんですかというと、これは対策が完了していますという答弁だったわけなんです。これは、私は、ちょっとおかしいのではないかと思います。
 では、対策が完了しているのであれば、その後ホームからの転落はないのか、これはあるとしたらどれくらいの件数なのか、転落事故の多い駅はどのような駅なのか、お伺いいたします。

○新田交通局長 都営地下鉄四路線のうち、三田線と大江戸線につきましては、ホームドアの設置完了以降、ホームからの転落は発生しておりません。
 一方、浅草線と新宿線の転落件数は、平成二十四年度において五十三件ございましたが、これには、駅員によるホーム上の列車非常停止ボタンの操作によって、列車との接触が回避された、運行に支障が生じなかったものも含まれておりまして、国に報告し、国から公表されております人身障害事故の件数としましては、二件となっております。
 転落件数の多い駅は年度によって異なっており、また、転落の多くは酒に酔ったお客様、いわゆる酔客でございまして、必ずしも一定の傾向があるわけでございません。

○西沢委員 対策はしているものの、やはり転落事故というのは起きているという現実があります。交通局としても、対策--当然ほったらかしということではありません。転落事故を防止するためにどのような対策を行っているのか、お伺いいたします。

○新田交通局長 現在、ホームドアを設置していない浅草線と新宿線につきましては、国の基準に基づきまして、ホームの内側を示す内方線つき点状ブロックを設置しますとともに、まずは新宿線にホームドアを設置することとしております。
 このほか、ソフト面の対策といたしまして、駅員によるラッシュ時のホーム監視や、駅の構内放送、展示物等による注意喚起を行っておりますほか、転落やトラブルの多い夜間等には、乗りかえ駅や乗降客の多い駅などにガードマンを配置し、また、年末年始等には駅員による巡回を強化するなどの対策を講じ、転落防止に努めております。

○西沢委員 交通局の対応はわかりました。ただ、この交通局の対応だけではなくて、当然、JRであったり私鉄も含めて考えていかなければならない。この「十年後の東京」に示されているのは、都内全ての駅であります。当然、交通局所管のもの、都営のものだけではありません。
 転落防止対策については、都内の鉄道事業者では対策が完了しているのか、これは都市整備局の認識をお伺いいたします。

○藤井東京都技監 都内でホームドア、転落検知マット、または非常停止押しボタンのいずれかが整備されている駅は、地下鉄では一〇〇%でございまして、JR東日本及び私鉄では約九六%でございます。
 都といたしましては、さらに駅の安全度を高めるため、来年度からJR東日本及び私鉄を対象に、利用者数十万人以上の駅を優先して、ホームドアに関する補助制度を本格実施することといたしました。

○西沢委員 最後に、このホームドアについて知事にお伺いするわけでありますが、今、対策についてどうなのかというところでは、地下鉄に関しては一〇〇%完了しています、JRと私鉄を合わせて九六%、ほとんどやっていますよというような答弁でございました。
 それで、東京都福祉のまちづくり推進計画素案というものがございます。この中では、視覚障害者の皆さんの転落防止に対する設備として非常に高いホームドアについての記述がございます。整備を進めていくことが重要ですが、都内での整備率は約二七・八%にとどまっていますと、こういった記述になっております。そうした上で、総合的に勘案した上で、優先的に整備すべき駅を検討し、可能な限り支援するなど、ホームドア等の整備を促進する必要がありますと、こういうふうに書いてあります。
 これは、どちらの数字も正しいと思いますよ。どちらの数字も正しいと思いますけれども、なぜこういうばらつきがあるのかというと、知事も大臣時代に役所文化と戦うということでしたが、いわゆるこの等という言葉がポイントだと思うんですね。
 ホームドアの等というところには、先ほど非常停止ボタン、それから内方線、これで対応しましたと。だから一〇〇%、そして九六%という数字が出てくるわけでありまして、そして長期計画については既に完了済みという、こうした答弁になっているわけであります。
 ホームドアは設置するのが望ましい、これは誰もが思いますし、幾度となく議会でも議論されてきたわけでありますが、結果的に、このまま、進捗について聞くとこういった数字が返ってくるというのは、私は残念なんです。
 これは、知事が決断をして、リーダーシップをとって、今の、ほぼ設置完了というような都の見解ではなくて、いついつまでにやるということはいえなくても、積極的に促進していくというような、こうした言葉を、方針を打ち出すことが重要だと思います。
 ホームドアの整備に対する知事の決意を伺います。

○舛添知事 高齢者や障害者を初め、誰もが安心して町に出られるような、そういうバリアフリーのまちづくりを進め、そして東京を世界一安心・安全な都市にしていかなければならないと考えております。
 そのためには、公共交通のかなめであります鉄道の安全性を高める取り組みが必要であります。その取り組みの一つとして、今ずっとご指摘のホームドアにつきましては、鉄道駅での転落事故を踏まえて、国や鉄道事業者と連携しながら、整備をさらに促進していきたいと思っております。

○西沢委員 促進をしていくという知事からの答弁、ぜひお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問に移りますが、沿道建築物の耐震化について伺います。
 これも既に、きょうときのうの質疑の中で幾つか出ていますので、質問の方を幾つかはしょりながら、質疑の方をさせていただきたいと思います。
 首都直下地震の切迫性が指摘される中で、東京の防災力のさらなる向上は重要です。東京において、震災時の救急救命、消火活動、物資輸送など、復旧、復興の大動脈となる緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化は、首都機能を維持するためにも極めて重要であります。
 このため都は、震災時における緊急輸送道路の機能確保を目的に、国に先駆けて、二十三年三月に耐震化推進条例を制定いたしました。この四月には、平成二十三年四月からの施行から三年が経過をするわけでありますが、都はこの条例によって、約五千棟に対しての耐震診断の実施を義務づけているわけであります。
 この条例の施行にあわせて、耐震化に要する費用の助成を手厚くするということでありまして、これについては、原則として自己負担がない制度とするとともに、設計や改修工事について助成率の拡充をしたわけでございます。これは平成二十七年までと予定されている事業でありまして、これまでの進捗というのが気になるわけであります。
 これまでの対象がどれくらいで、どれほど進んできたのか、施行後からこれまでの耐震化助成の実績についてお伺いをいたします。

○藤井東京都技監 都は、条例制定後、区市町村や関係団体とも連携いたしまして、個別訪問などにより、建物所有者に対しまして、耐震化に向けた取り組みを粘り強く働きかけてまいりました。
 その結果、診断の助成件数につきましては、平成二十三年の条例施行前までは都内全域で百件にも満たなかったものが、条例施行から昨年十月末までの約二年半で約二千七百件と、大幅に増加しております。また、補強設計と耐震改修の助成件数につきましても、それぞれ約三百件、約百四十件となっておりまして、条例施行前より大幅に増加しております。

○西沢委員 診断の助成件数については劇的にふえているというような話でありました。延長もしましたし、全体では約七五%ほど終わってきているという、こうした議論もございまして、かなり進んでいるんではないかというように感じるわけであります。
 それで、この先の支援を強化すべきではないかという話でございますが、これは先ほど全く同じような質疑がございました。助成の助成率というものを引き上げていくと。それで自己負担率の方はかなり少なくて済むような形になってきているというような答弁がございました。分譲マンションについても、これから、来年度から規模にかかわらず、改修工事の助成率を最大十分の九にまで上げるということでございまして、これも引き続き一〇〇%の目標に向けてやる、すばらしいことだと思います。
 さらに、この助成の後押しになる区市町村の制度の内容でございますが、これは区市町村によって異なるということでございました。ここも先ほどちょっと質疑が出ましたので、あえて質問はしませんが、ポイントは、約八割を超える区市町村はやっているという話ですが、裏を返せば、二割の区市町村はまだやっていないというようなことがわかるわけであります。区市町村が助成制度をつくらなければ、かなりこの所有者の方の負担が大きくなってしまうので、ここがポイントなどではないかなというように思っているところでございます。
 この目標期限は残すところ二年でございますが、この所有者にどのような対応をしていくのか、都の見解をお伺いいたします。

○藤井東京都技監 建物所有者には、資金調達、相続、不動産の利活用などさまざまな事情がございまして、改修工事を進めるためには、建物所有者のニーズに応じて必要な支援を的確に行っていくことが重要でございます。
 このため、都は本年度から、建設業者や税理士、不動産コンサルタントなど、改修工事に向けた具体的な相談に対応する各種アドバイザーを派遣しております。
 先ほど先生からお話のありました助成制度の拡充とともに、引き続きこうした取り組みを行うことによりまして、特定沿道建築物の耐震化に向け、全力で取り組んでまいります。

○西沢委員 ぜひ進めていただきたいと思います。特に派遣については、専門家に限らず、税理士などの派遣--相続について、やっぱり所有者の方が年配であったり、もしくは古いものですから、複雑な権利関係などというところがありますが、必ずしも建物だけの専門知識で進めるものではないのだろうというように感じるわけであります。ぜひ進めていただきたいと、こう思います。
 それで、この問題について、知事に最後に答弁を求めたいと思うわけでありますが、約五千件が対象となっているわけでありますが、東京都の耐震改修促進計画を見ると、七割の改修が必要な可能性があると、こういうふうにいわれております。約三千五百が必要だというところです。
 先ほど進捗をお伺いしたところ、先ほどの答弁でしたが、昨年の二十五年十月までで百四十件となっています。四%ぐらいですね。あと二年でこれを一〇〇%にするというのは極めて難しい。もちろん皆さんご尽力いただいていると思いますが、これは大変に厳しい額です。
 助成についてはこれから進めていくということですが、あと二年たったときに、これはもう終了しますというようなことでは、これは、耐震化もしくは防災に対して、非常に、私は問題になってくるんではないかと思います。
 ぜひ、二十七年度までには終わらせないとというような意気込みなど、ここについて、知事に直接ダイレクトに聞いた答弁がありませんでしたので、ぜひ知事の決意をお伺いいたします。

○舛添知事 都民の生命と財産を守ることが、私は知事としての最大の使命だと思っておりますので、首都直下地震などの災害に万全な備えをするということが重要であると思います。
 建物の倒壊や延焼のおそれがある木密地域の改善に加えまして、災害時の救援活動や復旧、復興に欠かせない大動脈となる都内の主要な道路の機能を確保するため、引き続き、特定沿道建築物の耐震化を促進してまいります。
 こうした取り組みを通じて、災害に打ちかつ力強い都市を構築して、世界一安心・安全な高度防災都市の実現を目指してまいりたいと思っております。

○西沢委員 期日が迫っている中、ぜひお願いしたいと思います。
 それでは、行政改革についてお伺いをいたします。
 知事は公約の中で、新たな政治主導モデルを実践するとして、都庁一丸となって都民サービスを向上させながら、行政の無駄を排除していくことが必要だと訴えてこられました。私も、都庁の古い体質の改善を図るという行政改革は重要であるというところに関しては、全く同じであります。
 行政改革については、最後に知事にお伺いいたしますが、これまでの都の行政改革を振り返ります。まず、現在、都が行政改革と位置づけている事業評価を開始した経緯をお伺いいたします。

○中井財務局長 都は、平成十年度決算で過去最高の千六十八億円もの赤字を計上いたしまして、財政再建団体への転落の危機に直面したわけでございます。このことから、平成十二年度から二次にわたる財政再建推進プランを進めまして、集中的に事業の見直しに取り組んできたわけでございますが、その後、事業評価制度を、こうしたこれまでの見直し努力をさらに続けるということから、組織としてこれを継続していくということで、予算編成の一環として制度を再構築して実施をしてきているものでございます。

○西沢委員 財政再建以後も取り組みを緩めなくて、自己改革を継続して行うという、ここについては当然評価できるものでございますが、事業評価といってもさまざまな手法がございますが、これまでに具体的にどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

○中井財務局長 事業評価では、財務局だけでなく、各局と連携をしながら多面的な検証を行い、その結果を的確に予算に反映させております。
 幾つか例を挙げさせていただきますと、例えば、事後検証による評価として、事業所管局と連携しながら事業の成果や決算状況などを厳しく検証し、必要性、有益性のほか、将来の影響等にも十分留意した上で、各事業について見直し、再構築などの方向づけを行っております。
 また、情報システムや執行体制の見直しは総務局と、監査結果に基づく見直しについては監査事務局とといったように、専門性やノウハウを有する部署と連携をしながら、事業の検証を行っているところでございます。

○西沢委員 財務局だけではなくて、各局と連携して、都庁一丸となって自己改革に取り組むと。職員に対して行政改革の意識を植えつけるためにも有効な手段であると考えます。
 経団連による国への提言の中では、この事業評価の取り組みというのが紹介をされ、評価を得ているというところでございます。これについて、予算案の概要を見ると、さまざまな評価手法を導入して多面的に検証を進めているように感じられるところでございます。
 今年度の事業評価では新たにどのような取り組みを行ったのか、また、事業評価の成果はどのようなものか、お伺いいたします。

○中井財務局長 今年度は新たな取り組みとして、職員提案制度等を活用し、優良な事例については、その改善内容を迅速かつ的確に予算に反映するとともに、他局においても同様の見直しが可能な類似事例などがないかどうか、横断的な検証を行っております。加えて、監査結果を活用した評価について、新たに横断的な検証が可能となる事例集を作成し、評価の取り組みのさらなる拡充を図ったところであります。
 こうした取り組みにより、今年度は四百九十二件の評価結果を公表するとともに、評価結果を通じ、約二百六十億円の財源確保を図っております。

○西沢委員 全ての事業の評価をするというものが当然望ましいわけですが、そういうわけにもいきません。
 今答弁のありました評価件数、それから評価の金額というのが、それが多いのか少ないのかというのも判断しなければいけないわけですが、財務局としてはこの件数や金額をどのように評価しているのか、お伺いいたします。

○中井財務局長 予算上の分類による都の事業数は、大きなくくりで見れば、二千五百事業程度でございまして、年間約五百件というのは、五年間で大方の事業の評価結果が公表できる規模でありますことから、適切な規模であるというふうに考えております。
 また、今年度の財源確保額、約二百六十億円ですが、見直しの効果は蓄積するものでありますことから、平成十八年度からの確保額の累計は約二千五百億円となるなど、着実に成果を積み重ねていると認識をしております。
 今後も関係部局と連携を密にし、都庁の不断の自己改革努力として、事業評価の一層の強化、さらなる活用を図ってまいりたいと思います。

○西沢委員 二千五百億円という数字が出てきました。そして、年間五百件ということで、二千五百事業を見るわけでございますが、五年間で全体を検証できる規模ということで、つまりどの事業も五年間で一度は見直す、もしくは評価されるというようなことになるわけであります。
 これを継続していくのは非常に重要なことだと思いますが、同様の事業を数年でやるということになって、一回も事業が見直されない、評価されないということがあるのかもしれません。本当の事業評価というのは、そういったことを含めて行う必要があって、それを公開することが私は重要だと思います。
 この事務事業の取り組みというのは、一過性のものとして終わってしまい、適切な見直しが行われず、形骸化しがちなものであります。
 今年度も新たな評価手法を導入するなど、制度自体もPDCAサイクルの中で見直しが行われていることは、これらの成果を導くことにつながっていると思います。
 今後もこのような姿勢を崩すことなく取り組みを継続していただきたいと思います。
 同様の視点から、監査事務局にお伺いをいたします。
 監査結果を紹介する事例集が事業評価に活用されたと、先ほど答弁がありました。このような取り組みに関して、監査委員としてどのように認識されているのか、お伺いいたします。

○松井監査事務局長 平成二十五年度の予算編成から、事業評価の取り組みとして、監査結果に基づく事業の見直し内容を評価し、予算へ反映される仕組みが導入されました。
 監査事務局では、各局における事務の見直しに資するよう、全庁横断的な指摘を類型化した事例集を作成し、各局に周知を図っております。この事例集が事業評価に活用されることなどによって、各局における事務事業の見直しが進むものと認識しております。
 今後とも、監査結果が都の事務事業の改善につながるよう、充実した監査を実施してまいります。

○西沢委員 監査結果が、監査を受けた局だけでなくて、その事例を参考に横断的に見直しの取り組みを展開しようとするのは、行政の事務改善を行っていく上で有効であるというように思います。
 一方で、民主党政権下で事業仕分けという形で、第三者を交えた客観的な事業の評価を行ってきたわけであります。この事業の課題、見直しの方向性などを国民にわかりやすく示したもので、有効な取り組みであったと思います。
 この事業仕分けに関しては、公明党が発起して、そして超党派でも進められてきたものであります。また、自治体ごとによっては、自治体が経済的に非常に厳しいというところの切り札として首長が提案をしてきた、そういった使われ方をしてきたものであります。
 この手法というものは大変見習うものがあると、今でもこれは有効なものだと私は思います。これは都民の意見を取り入れる仕組みになるわけであります。
 そして、この外部の目を取り入れるという話になると、包括外部監査で東京都は意見を取り入れているというようにいうわけであります。
 そこで、都が行っている包括外部監査について、その取り組み状況についてお伺いをするわけであります。都では、平成十一年度よりこの包括外部監査が行われているということですが、包括外部監査による指摘等の実績はどの程度なのか、お伺いいたします。

○中西総務局長 包括外部監査制度は、平成九年の地方自治法の改正により、自治体における監査機能の独立性と専門性の強化を目的として制度化されたものでございまして、都におきましては、条例制定など必要な整備を行った上で、平成十一年度から導入いたしております。
 制度導入以来の包括外部監査の指摘、意見等は、会計処理、事務事業、組織のあり方など多岐にわたる事項に対しまして、延べ一千三百七十件となってございます。

○西沢委員 包括外部監査では、これまでのさまざまなテーマを設定して監査が行われてきています。どのようなテーマを設定して監査を行っていくかは、監査結果に基づき行政改革を効果的に進めていく上で非常に重要であります。
 このテーマは、誰がどのように選定しているんでしょうか。

○中西総務局長 包括外部監査は、監査機能の独立性と専門性の強化を目的としていることから、そのテーマにつきましては、包括外部監査人自身が、過去の監査実施状況や各局の事業動向を把握した上で選定しております。これまでの主なテーマといたしましては、上下水道や交通、病院などの経営管理、公有財産の管理運用や補助金等のあり方、さらには監理団体の経営管理などがございます。

○西沢委員 包括外部監査人は、どのような人が選定され契約しているのか、またこれまでどのような成果を上げたのかを伺います。

○中西総務局長 包括外部監査契約を締結できる者は、制度上、弁護士、公認会計士等とされております。包括外部監査が財務に関する事務や経営管理のあり方を対象としていることから、都におきましては、公認会計士を包括外部監査人として選定し、議会の議決を経て決定しております。
 これまでの包括外部監査の主な成果といたしましては、契約内容の工夫や民間委託の推進などによるコスト管理の徹底、業務執行体制の見直しによる都民サービスの向上などがあり、都の事務事業のさまざまな改善が図られております。

○西沢委員 包括外部監査の制度で、専門的知識に基づいて無駄を指摘するというのは、一定の効果をなしてきたことは間違いないと思いますが、一方で、監査メンバーや実績を伺うと、その内容、成果が限定的であるというように感じます。
 都の包括外部監査人は、これまで会計の専門家に限定されておりますが、監査結果などに偏りが生じるのではないか、見解を伺います。

○中西総務局長 包括外部監査人は、みずから設定したテーマに応じて必要な専門家を活用し、会計の視点のみならず、さまざまな視点から組織的に監査を実施しております。
 例えば、都市公園等の整備や管理運営の監査においては、公認会計士に加え、弁護士、樹木医など二十六名の補助者とともに監査を実施しています。
 また、今年度行いました地下鉄事業等の経営管理の監査におきましても、公認情報システム監査人や建設コンサルタントなど十八名の補助者とともに、情報セキュリティーの確保や適切な構造物の維持管理、都民の視点に立ったサービスの向上など、多角的な視点から監査を実施しております。
 今後も、こうした外部の専門家の視点を生かした包括外部監査を活用して、個々の事務事業の改善を着実に進めてまいります。

○西沢委員 包括外部監査制度については、当然、今後も積極的に取り組んでほしいと思います。これを否定することはあり得ないと思います。
 そして、こうした議論を進めていくと、私は都民を交えた議論が必要であるというように感じます。知事もこれまで会見などにおいて、タスクフォースを行う際には、賛成派、反対派、両方の意見を伺うことが重要とするなど、さまざまな意見を聞くことが重要としているわけであります。
 都政においても、都民などからより幅広く意見をいただくような制度を構築することが必要ではないかと考えます。
 これまでの話は、都庁のこれまでしてきた事業の評価について質疑をしてきたわけであります。これからの事業、これをどうするかということも当然重要であります。政策をどうしていくのかということに関して外部の目をいかに取り入れるかということが重要であります。これは、知事が諮問して、審議会や協議会などの附属機関に意見を聞くことがあるわけでありますが、外部の目を取り入れる大変有意義なことであります。
 一方で、これは関係者のガス抜きだとか、話を聞いた実績をつくるというアリバイづくりは、これは国も同じだと思います。形骸化しているという指摘もあるわけであります。
 私が議会局を通じて調べたものでありますが、中には出席者のほとんどが発言をしていなかったり、半数が欠席しているというような、そういった実態がわかりました。東京都が選任している有識者というのが、これは全部の協議会など合わせて九割です。東京都がみずから選んでいる有識者というのが九割。ほとんどが東京都みずからが決めているという実態があるわけです。
 平成二十四年の総務局長の答弁では、附属機関の運営に当たりましては、幅広く各方面の人の意見を聞くことが求められることから、附属機関等設置運営要綱の取り扱いにおいて、可能な場合は都民からの公募を積極的に行うように努めることと、こういうふうに定めているわけであります。現在もこの要綱は変わっていないというように聞いております。つまり、公募は積極的に行うということが決まっているわけであります。この答弁については総務局長にお聞きいたしませんけれども、現在もそのような認識であるというようなことであります。
 これについて、都民公募も含めて、私は新鮮な人材の登用をこれから図っていくということが重要になると思います。
 外部からの人材確保というのは、知事も厚生労働大臣時代に書籍の中でいろいろと書かれております。知事が書かれた「内閣総理大臣」、この中では、年金や医療制度改革など個別の問題について大臣直属のプロジェクトチームを設置するときには必ず厚労省に批判的な専門家を入れた、官僚でない人たちの意見が聞けるからだと。舛添メモの中には、大臣直属の検討会をつくり、厚生労働省に最も批判的な識者を動員するなど、外部の知恵をかりて、この伏魔殿ともいうべき巨大官庁を手術台の上に置いたと、こうあります。
 こうした中で、行政改革のプランについては、知事は、さまざまな声に耳を傾け、都政の現状を見きわめた上で、しかるべき改革の方向を示したいと、こういうふうに答弁をしているわけであります。同様の質問に対して、総務局長は、あらかじめ目標や期限といった範囲を区切るより、個々の事業の検証と見直しを繰り返し徹底していくことが重要と。ちょっと違うんですね、いっていることが。
 行政改革というのは、行政が嫌がることをやるわけでありますから、最後に、この知事の、外部の多様な目を入れた行財政運営を行っていくことが必要と考えるが、知事に伺います。

○中屋副委員長 西沢けいた委員の発言は終わりました。(拍手)

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