予算特別委員会速記録第三号

○宇田川委員長 清水ひで子理事の発言を許します。
   〔委員長退席、松村副委員長着席〕

○清水委員 まず初めに、都議会の予算特別委員会は、都民の負託を受けた政治家である知事と私たち議員が、一問一答で直接自由に議論を交わす、年に一度の機会です。しかも、今回は、舛添新知事が二月に就任して初めての予算特別委員会です。
 ところが、知事が昨日、知事ご自身の公約や発言に関する大山委員の質問に答弁しなかったことは、都議会と都民に対する説明責任を回避するものです。知事に対する質問は、知事ご自身で答弁されるよう求めて、質問に入ります。
 東京の高齢者人口は、二〇一五年に二三・一%、二〇三五年には二九・八%に達し、全国に先駆けて超高齢化社会になることが予測されています。
 要介護者は四十三万三千人と、この十年で急増し、要介護認定率も九%から一七%、ほぼ倍加しました。介護者の方も高齢化し、老老介護がふえており、介護者が亡くなり、それを追うように被介護者も亡くなるなど、悲惨な事件も起こっています。
 こうした中で、特養ホームの入所希望者がふえ続けています。ところが、整備がそれに追いつかず、待機者は四万三千人に達し、三年、四年と待ち続け、入所可能になったときには亡くなっているという事態が少なからず生じています。その結果、都外の無届け有料老人ホームに入所し、火災で十名が死亡する事件も発生しました。
 特養ホームは、高齢者が住みなれた地域の中で、尊厳の保持と自立した生活を実現するついの住みかとしても、地域の介護の拠点としても、ますます役割が高まっています。
 知事にお聞きいたします。東京におけるこのような特養ホームの不足をどう認識しているのですか。

○舛添知事 既に本会議でもお答えしましたとおり、今後、要介護高齢者が増加することを考えますと、特養など介護施設の定員はふやしていく必要があると思っております。そのため、来年度は特養ホームの整備費補助の単価を増額し、さらなる促進策も検討するよう、福祉保健局に既に指示しているところでございます。

○清水委員 今、特養ホームをふやしていくと答えられたのは重要です。
 我が党の代表質問で、特別養護老人ホーム整備について具体的に示すことが求められているという質問をいたしました。知事は、答弁は、工程表については本年中に策定し、長期計画の中で示していくと述べられましたが、待機者をいつまでに解消するのですか。また、どのような目標を持っていらっしゃるのか伺います。

○舛添知事 特養ホームの整備に係る工程表につきましては、本年中に策定する新たなビジョンの中で示してまいります。

○清水委員 今、四万三千人の待機者は一向に減っていないわけですけれども、待機者の解消をどう図っていくのですか、お伺いいたします。

○舛添知事 この四万三千人という数字は、特養ホーム入所申込者の実数でありまして、この中には、老健や病院など在宅以外の方々も半数以上含まれております。特養ホームの整備は、こうした状況や在宅サービスの充実など、さまざまな状況を踏まえながら考えていく必要があり、具体的な工程表については、先ほど申し上げましたように、本年中に策定する新たなビジョンの中で示してまいります。

○清水委員 四万三千人には、老健施設など在宅以外の人も含まれると今おっしゃいましたが、特養ホームに入れる日を待ちながら、老人保健施設を転々としているというのが実態なんです。多くの高齢者をそのままにしてよいというのでしょうか。
 知事に伺います。知事は、二月十日に放映されたNHKニュース「おはよう日本」で、圧倒的に特養を含めて介護施設が足りないと発言いたしました。そのとおりです。特養ホームやグループホームなど介護施設が圧倒的に足りないから、大幅にふやすのではないですか。知事、違いますか。
   〔川澄福祉保健局長発言を求む〕
   〔清水委員「知事、知事がNHKで……」と呼ぶ〕
   〔発言する者多し〕

○川澄福祉保健局長 今、知事がお話ししたとおり、今後、要介護高齢者が増加することを考えると、特別養護老人ホームなど介護施設の定員はふやしていく必要があるというふうに認識しているところでございます。

○清水委員 私は、知事にご答弁を伺ったんです。NHKでしゃべったことは、知事自身のお言葉なんです。それについて今、局長が答弁されましたけど、知事にお伺いいたしました。お答えいただきたいと思います。

○舛添知事 ふやす必要はあるということは既に申し上げたとおりで、それを、だから新たなビジョンで示していくということですから、貴重な時間ですから、次々とご質問いただきたいと思います。

○清水委員 それでは、施政方針演説では、東京を世界一の福祉先進都市にするといいましたね。長期計画をつくるといっておられますが、オリンピックまでに、特養ホームの待機者などがいない、誰もが介護施設や住みなれた地域で十分な介護や医療サービスを享受できる東京を目指すという目標を、そういう目標を掲げるべきではないんですか。知事の施政方針演説について伺います。
   〔川澄福祉保健局長発言を求む〕
   〔清水委員「知事に施政方針……」と呼ぶ〕
   〔発言する者多し〕

○松村副委員長 質問は、知事に答弁を求めていますが、どうですか。
   〔発言する者多し〕

○松村副委員長 ご静粛にお願いします。

○川澄福祉保健局長 知事は公約で、東京を世界一の福祉先進都市にしていくというふうに述べておりますので、それに基づいて、我々も精いっぱい頑張っていくということでございます。

○清水委員 全国の都道府県などが出捐している高齢者住宅財団は、一昨年三月、低所得高齢者の住宅確保と介護施設の将来像に関する調査検討という報告書をまとめました。
 この調査検討の委員会には、東京都の当時の福祉保健局長も参加されましたね。この報告書がどう指摘しているのでしょうか。介護保険施設はほぼ満床であり、最重度にならなければ入所できない、在宅生活が困難な低所得の受け皿がなく、未届け有料老人ホームや貧困ビジネスがそのすき間に入り込む要因となっている、このように書いてあるわけです。今の局長も読まれたと思いますけど。さらに今後、都市部では、住宅困難リスクを抱えた低所得高齢者が急増することが見込まれると強調しています。
 もちろん、在宅サービスの充実も急務だと思います。留意すべきは、特別養護老人ホームなどの介護保険施設は、生活支援にかかわるサービスも介護保険費用の中に含まれますが、在宅介護の場合は、介護保険の利用料に加えて、さまざまな自己負担が必要なことです。低所得者は、この利用料や自己負担が重いために、在宅介護を続けることは大きな困難が伴うわけです。この点でも特養ホームが強く求められているのです。知事は、このようなことをご存じないのでしょうか。

○川澄福祉保健局長 要介護の状況になっても、住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるという地域包括ケアシステムをきちっとやっていくと。そのためには、在宅サービス、それから施設サービス、バランスよく整備をしていくことが必要だというふうに考えております。
 低所得者対策に対しましても、来年度予算でさまざまな施策を展開してまいりますので、そういったところをしっかりと我々としてもやっていきたいというふうに思っております。

○清水委員 私は、申し込みをしている待機者を--やはりその実態に沿った計画にする必要があるんですといっています。老健施設に入っているとか、病院に入っているとかという人を除くのではなくて、その実態に沿った計画にすることを求めておきます。
 厚生労働省は、特養ホームを中重度者を支える施設に重点化するとして、入所者を三以上に限定しましたが、待機者のうち三以上の方はどれくらいいるのでしょうか、伺います。

○川澄福祉保健局長 要介護三から五の方、これは在宅、非在宅合わせてですけれども、三万二千二百八十四人いらっしゃいます。

○清水委員 要介護三以上の人はもとより、介護度一、二の人も、収入や住居、家族、症状に応じて特養に入れるようにすべきだと思いますが、どうですか。

○川澄福祉保健局長 特養ホームの待機者の話でございますけれども、先ほど四万三千人というのは入所申込者、これにつきましては、やはり実態をよく見て、どういう方が特養に入る必要があるのか、要介護一、二含めて全部の方を特養ホームに入れるというのは、それは無理な話ですから、待機者をどういうふうに捉えてやっていくのか、そういったところから工程表をつくっていくということでございます。

○清水委員 先ほども述べましたように、今後ますます住宅困窮リスクなどを抱えた方、急増するのですから、介護度の低い人は締め出すという考えは誤っているし、そんなことをいっている限り、世界一の福祉都市どころか、世界でも最低クラスの福祉都市にもなりかねないことを指摘しておきます。
 特養ホームへの入所を必要とする全ての方々を対象に整備計画をつくるよう、重ねて申し述べておくものです。
 特養をふやすためにネックになっているのが、建設費、整備費の高いことと用地費の高いことです。ところが、これまで東京の一床当たりの整備費補助単価は四百三十万円、用地費助成は廃止してしまいました。整備費が安く、用地費も安い新潟市ですら四百七万円、仙台市が三百八十二万円、川崎市は三百七十一万円です。東京都の補助単価はこれらと余り変わらないという水準だったのです。
 私たちは、一貫して補助単価の引き上げを要求してきましたが、都が来年度、整備費補助単価を五百万円に引き上げることは重要です。しかし、これだけでは不十分です。東京の整備費は、東京を除く関東地区の一・五倍も高いのです。補助単価をこれに見合うものに引き上げる必要がありますが、どうですか。

○川澄福祉保健局長 都は、特別養護老人ホームの整備を促進するために、独自の整備費補助制度を設けておりまして、今、五百万というお話ありましたけれども、整備の状況が十分でない地域におきましては一・五倍というふうにしております。定員百人規模で試算をいたしますと、特別養護老人ホームの建築費用が大体十二億五千万ぐらいでございますけれども、今回の促進係数制度を適用することで、七億五千万の補助が出るということになります。

○清水委員 整備費も、今、私が申し上げましたように、関東地区の一・五倍も高いというわけですから、引き上げていただいたことは、これまでのことは評価しますが、これでもやはり見合わないと、引き上げる必要があると思います。
 とりわけ、用地取得費が高いことがネックになっています。川崎市では、土地が高い地域事情を考慮して、促進のために、社会福祉法人が民有地で建設する際に、建設費補助として一床当たり百万円加算をしています。その結果、七施設がふえたようです。都としても、用地費助成を行うことが必要です。いかがですか。

○川澄福祉保健局長 特別養護老人ホームにつきましては、国の規制緩和により、平成十二年度から民有地の貸し付けによる整備が可能となりました。また、平成二十一年度には、定期借地権の一時金に対する補助制度が創設され、現在は定期借地権制度も多く活用されるなど、土地を取得することなく、長期的に安定した用地確保が可能となっております。
 用地取得費につきましても、独立行政法人福祉医療機構が単独で行う融資制度のほか、平成十七年度からは同機構と民間金融機関による協調融資制度が利用可能になるなど、充実が図られております。こうしたことから、用地費助成を行うことは考えておりません。

○清水委員 冷たいご返事ですね。
 定期借地権への補助は少し改善されました。定期借地権の活用も重要ですけれども、補助対象は、定期借地権を設定し、一時金を払ったときだけです。五十年以上の借地でないと補助金は出ません。しかも、定期借地は、契約満了時に建物を撤去し、原状を回復して返還することが基本とされています。せっかくつくっても、将来はなくなってしまうという問題があります。
 したがって、特養ホーム整備の用地確保については、用地購入への助成を、さまざまな方法を組み合わせて取り組むことが必要です。二〇一二年度、老人保健事業推進費等補助金による良質な特別養護老人ホームの建設コスト低減手法に関する調査研究報告書に示されている資料が、お配りした資料の三枚目にあるかと思います。これを見ていただければわかりますように、(パネルを示す)一床当たりの土地取得単価では、東京が断トツに高くなっているわけです。東京を除く関東と比べても、五倍以上の価格差になっています。また、比較的整備費が充実している川崎市や新潟市、仙台市と比較しても、川崎市の二倍、ほかの市の七倍から八倍の地価になっているのです。
 知事は、こうした事実は知っていらっしゃると思いますけど、それでも、今ご説明いただいたような補助でよいというふうに思ってられるのでしょうか、お聞きいたします。

○川澄福祉保健局長 先ほどもご説明したとおり、整備費については一・五倍というふうになっております。それから、用地費助成につきましてはいろいろな制度がございます。そうしたことから、用地費助成を行うことは考えておりません。

○清水委員 東京都社会福祉協議会のアンケートで、施設長の八二・八%が、用地費補助は用地確保に有効だというふうに回答しています。区長会も毎年、用地確保の困難さから、依然として新たな高齢者施設整備が進まない状況にあるとして、用地費助成を求めています。
 都内の自治体に、特養整備に関する国や都の要望を伺いましたが、用地費補助については、港区や台東区、文京区、大田区、世田谷区、北区、練馬区、清瀬市などが求めており、都心の高額な地価に伴い用地の確保が困難なことで、さらなる財政的支援が必要です。二十年に終了した用地費補助制度を再開していただきたいなどの声が出されているのです。これらの声に応えるべきではないですか、お聞きいたします。

○川澄福祉保健局長 先ほども答弁したとおりでございます。

○清水委員 区長会と、それから社会福祉協議会のアンケートで、施設長の八二%が要望しているんですけど、そのことについてどう思われますかということを伺いました。

○川澄福祉保健局長 先ほども答弁したとおりでございまして、さまざまな制度もございます。それから土地活用につきましては、国有地、都有地につきましては、福祉インフラ整備の検討チームで検討していくことにしております。用地費補助につきましては、復活をする予定はございません。するつもりもございません。

○清水委員 いろいろな選択肢の中からどれを選んで特養の整備を進めていくかということを、区長さんたちとか施設長さんたちは、やはり苦労しているわけです。その中の一つの用地費補助を復活してほしいという声があるわけですから、これを、さらに求めておきたいと思います。
 次に、今お話がありました都有地、国有地の活用の問題です。
 特養整備にとって、都有地、国有地を低廉な価格で活用できるようにすることが重要です。この問題は昨日、大山委員が取り上げたところですが、私も、一カ所の場所についてお伺いいたします。
 二枚目の写真を見ていただきたいと思います。(パネルを示す)これは、葛飾区の都営住宅用地の活用です。高砂団地の中の用地です。このように、空き地がこうあって、特養ホームや保育園がつくれるわけです。
 ここについては、住民の皆さんが、特養ホームや保育園をつくってほしいということを申し入れています。そして、区もこれを受けまして、特養ホーム用地としての活用を都に申し入れています。ぜひ住民の皆さんと区の要望を受けとめていただきたいのですが、いかがですか。

○藤井東京都技監 都営住宅におきましては、これまでも老朽化した住宅の建てかえを推進するとともに、敷地の有効利用を図って用地を創出いたしまして、その用地を活用して道路、公園、福祉施設整備など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後も、都営住宅の建てかえにおきましては、地域の特性や個々の土地の状況などを勘案しながら、創出用地の活用を図ってまいります。

○清水委員 今ご紹介いたしましたように、区からも二〇〇八年、二〇一一年、要望書が出されています。ぜひ実現できるように求めておきたいと思います。
 築三十年以上、四十年前に建設された特養ホーム、とりわけ、これまで多くの特養をつくり続けてきている多摩地域では、建てかえが重要な課題になっています。建てかえが必要な施設は全体でどのくらいになるのか、お伺いいたします。

○川澄福祉保健局長 特別養護老人ホームの建物の老朽化の程度は、使用状況や環境等に影響されることから、建てかえの必要性は、単純に経過年数だけで決められるものではなく、建物を所有する運営事業者が、改築や大規模改修などの方法を十分に比較検討した上で判断するものでございます。
 開設後三十年以上経過した施設の数は、都内で七十施設でございます。このうち二十八施設は既に改築済みであり、また、大規模改修費補助や耐震改修費補助を活用して改修を行った施設も十四施設ございます。

○清水委員 もちろん、事業者の運営、事業者が判断するということは当然のことですが、しかし、既に改築済みが二十八で、大規模改修はやったけれども十四ということで、あとまだ三十近くが残っているわけです。
 それで、三枚目の図を見ていただきたいと思います。(パネルを示す)今、東京都が考えているのは、清瀬小児病院の跡地に、建てかえのための仮設をつくるということです。仮設の建物を、用地を活用してつくるということです。
 今は、ここの清瀬小児病院跡地に一カ所の計画です。今お答えいただいた建てかえを必要としている老人ホームの施設というのは、都内の全域にあるわけです。とりわけ、これを多摩地域と区別すると、多摩地域の倍ぐらいあるんですね。
 ですから、私がお話を聞いた西多摩の方の施設長さんは、自分のところを建てかえたいんだけれども、用地がないと。というようなところもあるんですよね、用地がありそうですけれども。多摩地域で、ありそうですけれども、山で、広いところがとれないというところもあるんです。そういう方々も、清瀬につくるんだったら、ここはちょっと行けないよと。家族や職員がちょっと通えないよというところで、まあこのことはいいんだけれども、やはり多摩地域に二カ所、三カ所、そして区内でも一カ所、そういう要望があるんです。
 私は、とりわけこちら側の地域の方々から話を聞いてまいりましたので、ここをやるのであれば、やはり進めるためにも、二カ所、三カ所という提案をしたいと思います。いかがですか。

○川澄福祉保健局長 先ほどお答えしたとおり、特別養護老人ホームの建てかえの必要性は、単純に経過年数だけで決められるものではなくて、建物の使用状況、環境等を踏まえながら、運営事業者が判断するものでございます。
 また、建てかえを行う場合であっても、敷地内で建てかえを行うケースや、適地を確保して移転改築を行うケースもございます。
 都は来年度、代替施設活用のニーズ、利用可能な地域資源、移転に伴う課題等について調査をすることとしております。

○清水委員 建てかえれば増床ができるわけです。建てかえてふやそうと。それも、今、都が計画している増床の分が入ってくるわけです。知事は、この問題についてどう考えますか、伺います。

○川澄福祉保健局長 都有地を活用して、こういう施設の建てかえをするということは重要なことでございまして、そのために、来年度予算がついているということでございます。

○清水委員 施設長さんたちの中には、そういう要望がありますので、これ一カ所やるからいいんだということでなくて、やはりお考えいただきたいと思います。
 特養ホームの整備などを促進するため、UR団地の建てかえの際に、特養などの福祉施設整備を併設して、また、あいた土地を活用して増設することも可能ではないですか。
 多摩市諏訪二丁目のUR分譲住宅団地の建てかえでは、新築戸数を倍以上にし、マンション住民の負担も軽くなるようにしながら、国、都と市が連携し高齢者支援施設などを併設し、二〇一三年、既に竣工、入居が開始されました。
 URや民間マンションのうち、築三十年以上の建物、マンションの建てかえが今後出てくることが予想されます。URの賃貸住宅を調べましたが、建築後三十年以上たった団地は百六十一団地、四十年以上たった団地だけでも百八団地もあります。
 URが建てかえの際に、特養ホーム、保育園など福祉整備に活用させてもらうという必要があるというふうに思いますけれども、どうですか。

○川澄福祉保健局長 独立行政法人都市再生機構では、既に平成十九年度に、地域の貴重な資産であるストックを都市の福祉拠点として再生する方針を掲げております。都内においては、社会福祉法人が都市再生機構の土地を購入または賃借して、特別養護老人ホームを整備した案件が、平成十九年度以降九件あり、都は、これらの案件に整備費補助等を行っております。
 今後とも、都は区市町村及び都市再生機構と連携を図りながら、整備促進に取り組んでまいります。

○清水委員 福祉施設を増設していくためには、今お話しの東京都としての取り組みというのは、いろいろな仕組みを活用することを紹介したりとか、それから整備費補助などをやっているということは理解しています。
 しかし、本当にふやしていくということになれば、やはりここの団地がこのぐらいのときに建てかえがあるんだということをしっかり把握して、それと建てかえを希望している人とか、それから新しいところにつくるとか、そういう情報をみずから働きかけていくということが、私は、この場合大事なんじゃないかなというふうに思います。
 さて、特養ホームを整備するためにも、介護職員の人材確保、待遇改善は待ったなしです。知事が、介護士の給料が低過ぎるという認識を示し、介護士の給料を都の予算で上げようということを工夫すると述べたことを、我が党は代表質問でただしました。
 ところが知事は、国の政策に反映していくよう働きかけていく、国の動きにあわせ、あり方を議論していくとだけ答弁されました。多くの福祉や介護職員の方々は失望しています。これでは、結局、国の制度改正を待つしかないということではありませんか。知事、どうですか。

○舛添知事 歴代の厚生労働大臣の中で、介護士の処遇、とりわけ給料を上げることを最初に手がけたのは、この私でございます。そして、ファンドをつくり、そこからやりました。そして、歴代、その後の内閣、民主党内閣も私の路線を継続しております。
 何が申し上げたいかというと、これは厚生労働大臣がきちんとやるということが基本だということを申し上げたいんで、これが介護保険制度というものの基本でありますから、そのことをよく理解していただくとともに、ですから私は本会議でいったでしょう。厚生労働大臣とも十分に議論して、国の政策に反映するように働きかけていくということで、明確な答弁をしておりますので、よくご理解いただきたいと思います。

○清水委員 憲法二十五条に基づく社会保障制度、これはキャリアパスの仕組みが十分でないということが一番と述べているんですけれども、厚生労働省の賃金構造基本統計調査でも、福祉施設介護員の平均月収は約二十一・八万円、全産業平均より十万円以上低くなっています。賃金全体の底上げがなければ介護人材の不足は解決できないことは明らかだと思います。だからこそ都知事も、都の予算で賃金を上乗せをするというふうにいっていたのではないですか。お聞きします。

○舛添知事 もう一つ、先ほど申し忘れましたけれども、私がもう一つ重要なことをいっていたのは、賃金だけじゃないんです。それは保育士も介護士もそうなんですけれども、キャリアパスが明確じゃないんですよ。そこをしっかりしないとだめだということで、このキャリアパス、つまり、わかりやすくいうと、都の職員でもサラリーマンでも、係長、課長、部長、局長とか上がっていくわけですよ。それに従って生活設計ができる。それがないからだめなんであって、これは介護保険制度の中でキャリアパスの仕組みをつくるのは国だということを申し上げているので、したがって、その国に対して働きかけていく。都は既にさまざまな形で補助を、介護士に対して、介護施設に対して、しかるべき要件が整えばきちんとやっています。それをもしおわかりでないなら、福祉局長に詳細は答えさせます。

○清水委員 今、私が実態をいいました。福祉施設介護員の平均月収と全産業の月収、そういうことが実際あるわけです。ですから、国に働きかけるというのは、それは当然のことなんですけれども、東京都としてどうするのかということが問われているわけです。
 高齢者や障害者の介護、支援は、憲法で保障された暮らしと人権を守る仕事であり、働きがいのある、魅力ある職業としての社会的評価にすることが大切です。かつて厚労省の調査でも、若者が福祉の仕事を選ぶ動機は、働きがいがある仕事だからというのがトップだったんですね。
 二〇〇七年十一月二日の衆議院厚生労働委員会で、当時、舛添厚生労働大臣は、我が党の衆議院議員の質問に答えて、非常に苛酷な労働条件であって、それに見合った十分な待遇改善が行われていない、問題を一つ一つ改善し、できるだけいい待遇を上げたいと答弁されています。(発言する者多し)それは国の問題であるということもあるけれども、しかし今、都でしょう。都知事ですよ、今。知事は都知事なんですよ。だから、都の予算の中でどうするかということが求められているわけです。

○松村副委員長 ご静粛にお願いします。

○清水委員 当時は、福祉人材確保の流れの中で、東京、大阪、愛知などで、福祉施設に対し、公私間格差是正のための独自の補助制度を設けました。そして重要な役割を果たしてきました。それが今、廃止されてしまっています。知事が世界一の福祉都市にするという公約を果たすために、今、地域の高齢者介護体制の深刻な事態の中で世界一の福祉都市を目指すというなら、都としても何らかの補助の仕組みが必要ではないですか。
 国に働きかけているというのは、すごく大事なことです、それは。しかし、都としてどうするのかと。かつてやったようなことも含めて、やはり知事の国会における発言を踏まえて、都としてどう取り組むかという決意を示すべきです。どうですか。

○川澄福祉保健局長 先ほども答弁したとおり、特養につきましては、例えば特養経営支援事業とか、あるいは資格取得の支援とか、いろいろやってございます。そうしたさまざまな補助を、国の動きにあわせて、そのあり方も十分議論していきたいというふうに答弁させていただきました。

○清水委員 施設を増床したい、職員の確保が伴わなければ困難だ、ショートステイの個室ベッド確保も困難だと、都内の施設長さんたちとの懇談で強く出されました。そして、一生懸命頑張っている、あの雪の日も、普通の会社なら休むことができるかもしれないが、人の命を預かる施設、バスも出ない中で二時間以上もかけて歩いてきてくれた職員に本当に頭が下がる、希望を持てる待遇にしてあげたいというようなことは、多くの方たちが語っています。
 質の高い安定した介護サービスの提供のために、介護職員が安心して将来の展望を持って働き続けられる仕組みづくりに取り組む必要があります。福祉関係者が口をそろえて訴えていることは、人材確保。今、知事がこうした声に積極的に応えるべきではないかということを申し述べておきます。
 次に、在宅介護です。
 住みなれた地域で尊厳ある、その人らしい生活を営めるようにするために在宅支援が重要です。ところが、安倍政権のもとで、介護保険制度の重大な改悪が進められようとしています。
 都民が大きな不安を感じているのが、要支援の人のサービスを除外しようとし、区市町村の事業に移そうとしていることです。事業費には上限を設け、ボランティアに委ねようとしています。関係者は口をそろえて、専門職による支援を受けられない高齢者が続出し、重度化に拍車がかかるといっています。
 国が在宅サービスについて、要支援向け訪問介護、通所介護の市町村事業への移行などの改悪を進めています。この問題について、知事はどのようにお考えでしょうか。

○川澄福祉保健局長 現在国会に提出されている介護保険制度改正法案では、要支援者向けの訪問介護と通所介護について、介護給付サービスから地域支援事業に移行することとされております。この改正は、区市町村が地域の実情に応じ、NPOやボランティアなど地域の多様な主体の取り組みを積極的に活用することで、柔軟かつ効率的なサービス提供を目指すものと理解しております。
 今後、国会での法案審議を経た後、本年夏ごろに、国が制度改正に伴う介護予防のガイドラインの素案を示すと聞いており、都は国の動向を注視していくとともに、制度の詳細について、国に早期の情報提供を求めてまいります。

○清水委員 東京で介護予防支援を受けている要支援者はどのくらいいますか。

○川澄福祉保健局長 平成二十五年十一月時点の都内における要支援一及び要支援二の認定を受けている方は約十四万人であり、そのうち約八万人が何らかの介護保険の予防サービスを受けております。

○清水委員 最大で約八万人という方たちが影響を受けるおそれがあります。
 二〇〇八年五月二十日、舛添知事は厚生労働委員会で、自治体の介護取り上げの指導実態について、共産党の小池晃議員が調査と改善を求めたところ、介護保険というのは何が目的かというと、介護される人ないしその家族、そういう方が快適な状況になるということだ、柔軟な発想を持ってやる必要があって、何でもかんでもお金の計算だけでやるものということがどうなのかと答弁されました。その際に、知事は覚えていらっしゃるでしょうか、犬の散歩だって認めていいではないかと述べました。このときは、与野党を超えて、委員会室に拍手が起きたということなんですね。知事は覚えていらっしゃるでしょうか。
 公的な介護制度の目的は何か。それは高齢者の人権を保障し、人間らしい生活や人間的発達を支援し、保障することではないでしょうか。知事、どうですか。この立場で考えることが大事ではないですか。どんな人がどれだけ影響を受けるのか、その実態をつかむことが必要だというふうには思いませんか。知事、お願いいたします。

○川澄福祉保健局長 今の問題につきましては、国は、区市町村において介護予防支援を受けている要支援の方が平成二十九年四月までに円滑に地域支援事業に移行できるよう、本年夏をめどにガイドラインの素案を示していくこととしており、都は国の動向を注視してまいります。

○清水委員 そういいますけれども、東社協が昨年、国の介護保険制度改正についてアンケート調査を行っていますが、都内の介護事業者の約四割が、要支援を対象とした通所介護や訪問介護を市区町村事業に移行した場合、経営が困難になったり、事業の大幅な見直しが必要になったりすると考えています。
 また、医療の団体の調べでは、訪問、通所介護を使う要支援のうち、制度見直しで、日常生活ができなくなり介護度が上がる事例が六〇・八%、外出などの機会が減り、閉じこもりぎみになる事例が六六・四%に上げるなど、深刻な影響が出ることが明らかになっています。
 認知症があっても、要支援と認定されることが少ない上に、さらに、介護認定を受ける前に、簡易なチェックによって市町村事業の利用を促す考えがあるといいます。これでは、軽度認知障害や初期の認知症の人が適切なサービスを受けられなくなる。利用者と家族が安心して暮らすことができるよう、認知症の人と家族の会の方々は強く要望しています。
 利用者も事業者も、今回の改正に対して多くの意見を持っています。知事はこの声をどう受けとめますか。国にぜひいっていただきたいと思いますが。

○川澄福祉保健局長 先ほどもご答弁したとおり、国の方で本年夏を目途にガイドラインの素案を示していくこととしておりまして、都は国の動向を注視してまいります。

○清水委員 知事は、介護保険制度について、九八年三月十二日の衆議院委員会公聴会での質問にこう述べています。拙速主義でやり過ぎまして、今よりも負担が多くなります、今より負担の少なくなる方々もおられますけれども、多くなりますので、制度と人材の面で抜本的に大急ぎで充実しない限り、先生おっしゃったように、保険あってサービスなしという状況になると思いますので、そういうことから、先ほど、高齢化社会が到来したということを弁解に使って何もやらないという発想はやめてくださいということを申し上げた次第ですというふうにいわれました。このときの言葉をぜひ思い起こしていただきたいと思います。
 そして、ぜひ今回の介護保険制度改悪案の改善を強く求めていただきたいと思いますが、どうですか。

○川澄福祉保健局長 介護保険制度では、介護サービス提供の費用は、原則として九割が公費と保険料を財源とした保険給付で、一割が利用者の自己負担とされております。介護保険は、世代間、世代内の公平により成り立つ社会保険制度であり、例えば利用料として一定の自己負担を求めることは、給付と負担の公平性の観点からも必要と認識しております。

○清水委員 知事、知事の衆議院の委員会公聴会での発言を私、紹介して、今ご答弁をお願いしたんですけれども、いかがですか。

○舛添知事 私は今、国会議員でもなく、厚生労働大臣でもありません。東京都知事であります。
   〔発言する者多し〕

○清水委員 都知事として、都民の皆さんのそうした不安などを解消するためにも申し入れていただきたいということです。(発言する者多し)世界一の福祉先進都市というなら、施設も在宅サービスも両方を……

○松村副委員長 静粛にお願いします。

○清水委員 抜本的に拡充強化することを求めて、質問を終わります。(拍手)

○松村副委員長 清水理事の発言は終わりました。

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