予算特別委員会速記録第三号

○宇田川委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十七号議案まで及び第百二十九号議案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 きたしろ勝彦委員の発言を許します。

○きたしろ委員 私は、日本を道義の国、礼節の国にしたいと思っております。そこで、初めに、日本人の心を取り戻す教育について伺います。
 日本には、独自の風土や歴史の中で営々と築いてきたモラルがあります。勤勉さやおおらかさ、思いやりや親切、そして何よりも礼儀正しく節度があるということが世界の中でも高く評価されてきました。
 日本では、従来から、家庭で子供たちに礼儀や挨拶、立ち居振る舞いなどの基本的生活習慣を教え、その基盤に立ち、学校教育において規範意識や思いやりなど、日本人として生きる上で大切にすべき価値観を身につけさせてきました。
 しかしながら、日本の現状はどうだろうか。戦後、欧米の個人主義を、伝統と文化の異なるこの日本に、ただいたずらに持ち込んだ結果、日本人の行動の基準が善悪から損得に取ってかわり、自分さえよければよいという利己主義が横行しました。日本国憲法の国民主権、基本的人権の尊重や平和主義といった普遍的な原理さえも、自分の都合のよいように解釈したため、あしき平等主義や我欲などが蔓延し、私たちがこれまで大切にしてきた基本的な価値観までも忘れ去られている状況にあるのではないでしょうか。
 まさしく、日本人が二千六百有余年にわたり培い、大切に受け継ぎ、つくり上げてきた価値観は、残念ながら大きく損なわれているのが現状です。
 また、学校での道徳教育においては、日教組による戦後教育によって戦前の価値観は全て否定され、古来、日本人が守り続けてきた当然の美徳までもが教えられなくなりました。
 このような歴史的な経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があることや、教員にその理念が十分に理解されておらず、効果的な指導方法も共有されていないことなど、多くの課題が指摘されており、あるべき姿からはほど遠い状況といわざるを得ません。
 今後、東京の子供たちが日本人として、首都東京に生きる都民としての誇りを持ち、グローバル社会の一員として世界で活躍し、国際貢献を果たすためにも、戦後教育から現在までの教育を見直し、人を思いやる心、他者と協調する力、社会的モラルや伝統的な文化の継承や創造など、いつの時代にも変わることのない日本人の心を取り戻すための教育が不可欠であると考えます。
 国では、現在、小中学校における道徳の教科化や、高等学校における新教科、公共の設置が検討されています。教科化することによって世代を超えて垂直に継承させたい日本人の価値観を教えることができます。
 そこで、都教育委員会として、どのように日本人の心を取り戻す教育に取り組むのか、まずお伺いをいたします。

○比留間教育長 現在の子供たちは、社会のあり方を反映し、公共の精神や規範意識、思いやりの心がかつてと比べて希薄化し、また、みずからの行動を決める判断基準を持てず、どのように生きていけばよいのか決めかねている傾向が多く見られます。
 このため、日本人として大切にすべき価値観を、学校教育において、みずからの生き方の指針として深く認識させることは大変重要でございます。
 都教育委員会は、小中学校において、都独自の教材を活用した道徳教育の一層の充実を図るとともに、都立高校では国に先駆け、人としてのあり方、生き方を学ぶ新教科の設置に取り組むなど、公共の精神、人々のきずなや礼儀、規範意識、おもてなしの精神といった、日本人としての心を育む教育を推進してまいります。

○きたしろ委員 大変すばらしい答弁をいただきました。やっぱり日本人としての心、誇りを持つということは大切なことだと思いますので、ぜひともお願いをいたしたいと思います。
 次に、心の東京革命について伺います。
 現在、国では、道徳の教科化に向けた検討が進んでいます。子供たちの規範意識や日本人としての価値観を醸成していくために、学校における道徳教育が重要であることはいうまでもありません。
 しかし、その前に、まずは各家庭や地域社会において礼節や我慢、他者への思いやりなど、社会の中で生きていく上での基本的なルールをしっかりとしつけていくことが何よりも重要だと思います。ところが、この家庭や地域社会で子供たちをしつけるという当たり前のことが当たり前にできていないのが、現在の日本の状況であります。
 都では、心の東京革命と銘を打ち、親や大人が各家庭や地域でしっかりと子供を育んでいこうという運動を展開していますが、その理念と活動内容についてお伺いをいたします。

○河合青少年・治安対策本部長 心の東京革命は、親と大人が自覚と責任を持ち、みずからが手本となりながら、次代を担う子供の正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていこうという取り組みであります。平成十二年から普及啓発に取り組んでまいりました。
 都では、家庭や地域などでの具体的な取り組み指針を示した行動プランを策定するとともに、家庭でのしつけについての講演会やグループワークの実施、アドバイザーの育成などを行っております。また、青少年育成団体と心の東京革命の趣旨に賛同いただいた企業及び都民等で構成する推進協議会や庁内各局と連携しながら、さまざまな普及啓発事業を展開し、親や大人に心の東京革命の理念が確実に伝わるよう、活動を進めているところであります。

○きたしろ委員 心の東京革命の理念と、青少年育成団体などのさまざまな主体が協力し普及啓発を実施していることはわかりました。
 しかしながら、この運動を開始してから十年以上が経過しているわけです。この間に、親や大人に心の東京革命の理念が浸透し、東京の子供たちが、人が生きていく上での当然の心得がしっかりと身についてきたかといえば、まだまだ不十分ではないかと感じます。
 オリンピック・パラリンピック開催に向けても、都は、親や大人たちの意識改革、心の革命をこれまで以上に推進し、家庭や地域社会での子供たちのしつけの後押しをしていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○河合青少年・治安対策本部長 ご指摘のように、オリンピック・パラリンピック開催に向け、子供の公徳心や思いやりの心を醸成し、おもてなしを実践するためにも、親や大人が果たすべき役割はますます大きくなってきております。
 このため、都では、行動プランを親や大人にもアピールするよう改定するとともに、そのパンフレットを小学校入学時にあわせて保護者に配布するなど、親や大人一人一人に心の東京革命の理念を伝える取り組みを拡充してまいります。
 また、新たに子供のスポーツ指導者に研修を実施するほか、オリンピアンなどがチームワークや困難に立ち向かうことの大切さを、児童とともに親や大人にも伝えるようプログラムを拡充するなど、従来にも増してスポーツの力を活用した普及啓発を展開していくこととしております。

○きたしろ委員 この心の東京革命、これは石原元知事が提唱し始めたものでありますが、私たち親や大人がその責任を自覚するとともに、子供たちに人が生きていく上での当然の心得をしっかりと伝えていこうという理念は、普遍的に大切なものであります。
 舛添知事には、しっかりとこの心の東京革命を推進していっていただくことを要望いたしておきます。
 さて、日本人の心を取り戻すという観点から議論を進めてきましたが、ちょっと話題から外れますが、舛添知事、あなたは学生運動華やかなりしころ、東大の三鷹寮にいらっしゃいましたね。私は、そのころ警視庁神田署の警察官として勤務しておりました。
 東大闘争では、東大全共闘が結成され大学ストライキに突入。そのような状況の中で、授業を再開しようというクラス連合が創設されました。先頭でストライキの収束を図ったのが舛添知事、あなたです。
 私も、そのころあなたが書いたガリ版刷りの檄文を、最近、読ませていただきました。この檄文から、あなたの学問に対する真摯な姿勢がうかがえます。あの混乱の時代にも、あなたは明確な規範意識をお持ちでした。知事と私は三歳年が違いますが、同年配といってよいと思います。
 先ほども述べてまいりましたが、私たちがこれまで大切にしてきた規範意識や社会のルール、マナーなど基本的価値観などが忘れ去られているのではないでしょうか。日本人の心を取り戻し、次代を担う若者が夢と希望を持てる東京の実現は、私たちの共通の願いだと思います。
 舛添知事、あなたは日本人の心の現状についてどのような認識をお持ちか、率直な感想をお伺いいたします。

○舛添知事 きたしろ委員から、昔の懐かしい思い出を話していただいて、ありがとうございました。
 その檄文というのは四十六年前に書いたものでございまして、私も全く持っていなかったんで、ある意味で本当に懐かしい思い出ですけど、あのとき私が思いましたのは、神田署のお巡りさんも、本富士警察のお巡りさんも、東大のキャンパスの中に入れなかったんです。つまり、キャンパスの中だけは治外法権、法の支配が貫徹しない、暴力あれ何であれ自由である。そういうことは許すことはできないんで、やっぱり法治国家は法の支配をちゃんとしないといけないと。それから学問の自由というのは基本と、しっかりと守らないといけないということで、いろんな紆余曲折がありましたけれども、有志を募って、これはおかしいじゃないかということで、いろいろ闘ってきたわけです。
 ちなみに、そのとき一緒に闘っていたのは、衆議院議員の町村信孝さん、参議院議員の中川雅治さんであります。
 さて、本題に戻りますけれども、私は日本人の行動基準について、実は、その後、ヨーロッパで勉強しまして、柔道をやっていましたから、柔道の仲間で礼に始まって礼に終わると。日本人よりはるかにヨーロッパ人の柔道家の方が礼、もうきちんと守っていると。だから、外国人にむしろ教えられることが多くて、やはり日本人のすばらしさというのはそういうところにあるんだろうと。
 柔道、剣道、武道、全部、道がつきます。だから、道がつくということの基本を私たちはしっかりすべきだということと、それからやっぱり、外国から見て非常に感動を覚えたのは、三年前の大震災に際して、本当に日本人が力を合わせたと。秩序正しく、泥棒する人もいない、行列をきちんと待つ。こういうのはやはり日本人しかできないと。
 こういういいところをしっかりと守っていきたいというふうに思いますので、私はむしろ、外国から見て日本のよさというのを思い起こしましたので、ぜひそういうことは全力を挙げて、もっともっとよくしていきたいし、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックのときには何を日本から発信するか。昨日も秋田先生のご質問に対してお答えしましたけど、日本文化のよさを発信するべきだと思っておりますので、全力を挙げて頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。

○きたしろ委員 私も警視庁のときには柔道をやっておりましたので、そういった道は、礼に始まり礼に終わるという気持ちは十分に持っておりますので、これはやはり日本人として守り伝えて、そして伝承していくべきだと、私もそう思っております。
 次に、海洋立国日本を支える青少年の育成について伺います。
 日本は四方を海に囲まれ、海を隔てて世界とつながり、海とともに発展してきました。そうした認識のもと、平成十九年に海洋基本法が制定され、その基本的施策の一つとして、海洋に関する国民の理解の増進と人材育成が挙げられ、海洋教育の推進がうたわれました。
 青少年に対する海洋教育の担い手として、海のボーイスカウトとも呼ばれる海洋少年団があります。バルセロナ・オリンピックで金メダルをとった水泳の岩崎恭子選手も海洋少年団の出身であります。
 都においては、警視庁で交通少年団、東京消防庁で消防少年団の育成をしています。東京は海に面した水辺の町であり、青少年の育成に海洋少年団も大きな役割が果たせるものと思います。
 都内には七つの少年団と音楽隊があります。昨年には、名誉総裁である高円宮妃殿下ご臨席のもと、日本海洋少年団の全国大会が三十三年ぶりに東京で開催され、全国各地、海外から約千人の子供たちが集い、日ごろの訓練の成果を見せてくれました。
 こうした海洋少年団の活動に対し、都はどのような認識を持ち、これまでどのような支援を行ってきたのか、また、団員数の減少という課題に対して必要な支援を行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○多羅尾港湾局長 我が国の経済活動や人々の暮らしは、港湾や海上交通に支えられており、将来を担う子供たちにこうした点を理解してもらうために、海洋教育を推進することは重要であり、海洋少年団の活動はそれに資するものであると考えております。
 都はこれまで、東京みなと祭で手旗信号など日ごろの活動の成果を披露する場を提供してきたほか、昨年東京で開催された全国大会の運営を全面的にバックアップするなど、積極的にその活動を支援してまいりました。
 今後は、多くの人々でにぎわう臨海副都心で催されるイベントなどでの活動の場の提供や、港湾や臨海地域関係の広報誌に情報の掲載を働きかけるなど、海洋少年団の活動を都民に紹介し、知名度の向上にもつなげてまいります。
 さらに、青少年を育成する関係局とも連携しながら、海洋少年団に対する支援を行ってまいります。

○きたしろ委員 頑張っている子供たちを温かい目で見守り、支えていくために、ぜひ関係局とも連携して、しっかりとした支援を行っていっていただきたいと思います。
 次に、海の森事業について伺います。
 海の森事業は、ごみの山を緑の森によみがえらせるプロジェクトであります。事業が着手されて以来、私の提案するガーデンシティーの実現や青少年育成の場としても活用できるのではないかとの期待から、ボーイスカウト連盟の皆さん方とも現地視察を行い、植樹祭にも参加しました。
 この事業は、資源循環と協働による森づくりの両方をコンセプトにしており、そのような事業は、ほかに類を見ません。このような海の森の生い立ちを後世まできちんと伝えていくようなソフトの取り組みもとても重要です。
 そのためにも、森の整備の過程を体感し、愛着を持って森の成長を見守ってもらえるよう、整備の段階からより多くの方に来ていただく工夫が必要だろうと考えます。
 そこで、海の森倶楽部設置の狙いと企業等の参加状況、そしてイベントの実施状況についてお伺いをいたします。

○多羅尾港湾局長 海の森の事業の意義を広く知っていただくためには、経験豊富な民間のノウハウを取り入れて、開園前から多様なイベントを開催することが有効でございます。そこで、環境問題への意識の高い企業等がアイデアを持ち寄り、よりよい企画にブラッシュアップさせていく場として、東京都海の森倶楽部を設置し、会員企業等によるイベント等を実施していくことといたしました。
 十二月に会員を公募したところ、マスコミやメーカー、そしてボーイスカウト等、多様なジャンルから予想を大きく上回る四十団体の参加をいただきました。早速、三月中には、ペルーやネパールなど緑豊かな国々の駐日大使館の職員やその家族が、一般の来場者と植樹を行いながら国際親善を図る、国際森林デー二〇一四みどりの地球など、三件のイベントを実施いたします。

○きたしろ委員 円滑なスタートが切れたようで安心をいたしました。多くの参加企業等が、より意欲的に活動できるよう倶楽部を運営するとともに、例えば防災などのテーマと絡めたイベントなども実施してもらいたいと思います。
 そこで、海の森倶楽部を今後どのように発展させていくのかお伺いをいたします。

○多羅尾港湾局長 イベント等の企画検討に当たっては、ジャンルの異なる事業者を取り持ち、倶楽部会員相互の交流の機会を拡充することで、新たなコラボレーションを引き出していきます。また、新規参加を募る際には、社員研修の場としての利用やイベント時における企業のPRが可能であるなどのインセンティブの周知を図り、多くの会員を得ていきます。
 こうした取り組みにより、ご提案の防災等と連動した企画についても、例えば、サバイバルキャンプイベントなどアウトドアグッズメーカーや、青少年育成団体などの会員相互の協力による実現を目指します。
 東京をより一層、委員お話しのガーデンシティーに近づけるには、都民や企業等の協力が不可欠であり、この東京都海の森倶楽部を活用することにより、緑の確保や環境を大事にする意識の啓発に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 個人個人が海の森と出会うことをきっかけとして、ライフスタイルを見詰め直し、自然との共生を大切にするようになり、そうした機運が地域や社会に広がり、ありとあらゆる主体が環境を大事にし、緑をふやしていくような展開がとても重要です。神宮の森も百年であのような森になったわけです。臨海部は、首都東京の大きな特徴でもあります。この臨海部から始まるガーデンシティーの実現を期待をいたします。
 次に、防災対策について質問をいたします。
 千年に一度といわれる未曽有の大災害となった東日本大震災が発生してから三年もの月日がたちました。犠牲となられた方々に改めてご冥福をお祈りするとともに、いまだ厳しい生活を強いられている多くの被災者に心からお見舞いを申し上げます。そして、改めて、災害時に都民の命を守る、命をつなぐ、そして生活を取り戻すという使命をしっかり果たしていかなければならないと思っております。
 昨年十二月、国が首都直下地震の被害想定を公表しました。私も一読しましたが、経済的被害は国家予算に匹敵する約九十五兆円と想定しています。
 三十年以内に七〇%の確率で起きるとされるマグニチュード七クラスの首都直下地震への対策の一つとして、感震ブレーカーが注目を集めております。
 感震ブレーカーは、地震を感知すると同時に電源供給を遮断し、火災の発生を抑制する装置です。とりわけ木造住宅密集地域では、電気ストーブや白熱電球などによる通電火災の発生を軽減できることが期待できます。
 そこで、都は今後、感震ブレーカーの普及促進について積極的に検討されることを要望しておきます。
 次に、都民の命と安全を守るためには、強靱な都市づくりが重要です。道路や港湾、鉄道など交通関連施設は、東京の活動を支える重要な基盤としての役割を担っています。こうした施設が、首都直下地震により損壊などの被害をこうむると、機能不全に陥るばかりでなく、人命救助や物資輸送等の重要な対応が困難になってしまいます。特に橋梁については、倒壊や落橋といった事態に陥ると、その影響ははかり知れず、その地域は陸の孤島と化す可能性があり、絶対に防がなければなりません。
 とりわけ緊急輸送道路ネットワークの確保は必須のものであり、その中でも都道における橋梁の耐震化はかなめと考えますが、現在の取り組み状況をお伺いいたします。

○横溝建設局長 震災時における都民の安全な避難や緊急輸送を確保し、救命、復旧活動を迅速に行うためには、橋梁の耐震性向上が重要でございます。
 都では、震度七を記録した阪神・淡路大震災や東日本大震災級の地震にも耐えられるよう、都道において緊急輸送道路等の橋梁四百一橋を対象として、橋脚の補強や落橋防止装置の設置など必要な耐震化に重点的に取り組んでおりまして、平成二十五年度末までに対策が完了、もしくは工事に着手する橋梁は三百七十一橋、九三%となっております。
 引き続き、平成二十七年度の完了を目指し、橋梁の耐震化を推進することで安全の確保を図り、高度防災都市の実現に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 国の被害想定でも、東京湾沿岸における石油コンビナート地区で多くの被害が見込まれております。さらに、物流網の途絶により、外部からの石油供給も途絶える可能性があり、首都直下地震発生時には、都内においてガソリンなど多くの燃料不足が懸念されます。こうした中、発災直後から関係機関が活動する上で、燃料は必要不可欠であります。
 都でも燃料確保に取り組んでいますが、発災時の国家備蓄の放出など、国において安定的に燃料を供給できる体制をあらかじめ整備しておくことが極めて重要だと思います。
 そこで、都は国に対し、必要な体制整備などを要望していくべきと考えますが、見解をお伺いをいたします。

○中西総務局長 大規模災害の発生時には、被災者の救出救助、支援物資の運搬、災害拠点病院の運営など、さまざまな応急対策活動に必要となる燃料を確保することが重要でございます。このため都は、東日本大震災発生直後から、国に対し、災害時における安定的な燃料供給体制の確立を求めてまいりました。国は、平成二十四年に石油備蓄法を改正し、発災した際の国家備蓄石油の放出や地域における中核的な給油所の整備などの取り組みを進め、災害時の石油供給体制を強化させています。
 都としては、今後も国家備蓄燃料の都内への供給ルートの設定など、燃料供給対策の一層の充実を国へ求めるとともに、国の取り組みとも連携を図りながら、発災時の燃料確保に取り組んでまいります。

○きたしろ委員 大規模水害対策についてお伺いをいたします。
 東京には区部東部低地帯を中心に海抜ゼロメートル地帯が広がっていますが、ここ最近の集中豪雨などの様相を見るに、大規模な水害に対する備えも万全を期す必要があります。護岸や堤防の整備といったハード対策の重要性はいうまでもありませんが、ソフト対策の充実も非常に重要です。
 最近、ある区では、河川の氾濫などに備えるため救命ボートを数艇購入し、地元消防団に対してそのボートを無償で貸与し、消防署とともに操船などの訓練を住民参加型で実施したと聞いております。非常にすばらしい取り組みだと感心をしたと同時に、大規模災害時に大きな力になると確信をしております。
 大規模水害に対して、地元消防団、消防署、地元区が一体となって日ごろからしっかりとした備えを行うことは、被害を大幅に軽減し都民の命を守ることにつながっていきます。平素から特別区消防団が消防署、地元区と連携して大規模水害の備えを十分に進めておくことが必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。

○大江消防総監 大規模水害に備えて、特別区消防団は、平素から各区や消防署等と連携した水防訓練を実施しております。
 東京消防庁では、今年度、各消防団にモデル分団を定め、地域の災害特性を踏まえた教育訓練を推進しており、大規模水害の発生が予測される地域の消防団は、消防署と連携し、救命ボートを活用した住民救出など実践的な訓練を実施したところでございます。
 また、津波による浸水危険の大きい地域の消防団を中心として救命胴衣を整備し、消防団員の安全を確保したところであり、今後とも、関係機関と連携して水防活動体制の強化を図ってまいります。

○きたしろ委員 昨年十月の台風二十六号による大島の土砂災害から五カ月がたちました。今なお、その爪跡は深刻です。また、ことしに入り二度にわたる大雪は都内各所に被害をもたらし、東京の課題が浮き彫りになりました。都には、ハード、ソフト両面にわたり復興対策を講じるとともに、この教訓を今後の防災対策に十二分に生かすよう要望いたしておきます。
 次に、道路整備について伺います。
 先日、都が、環状第二号線新橋-虎ノ門間の今月末開通を発表しました。長年整備できずにきたこの道路が、立体道路制度や再開発事業の活用等により、このたび開通までこぎつけました。さらに、五月末には、この地域のシンボルともなる虎ノ門地区の超高層ビルも完成すると聞いております。これまでの長い経緯を思い、地元議員としては大変感慨深いものがあります。
 中でも、地上部道路に対しては、かねてから強い関心を持っておりました。私は常々、水と緑の都、環境に優しいガーデンシティー東京の実現を提唱しており、それを実現するとともに、知事もいわれているヒートアイランド対策にも寄与する、緑豊かで魅力的な道路として整備すべきと主張してきました。
 振り返れば、この道路の空間が確保されるまでの間には、まちづくりを進める上で、さまざまな紆余曲折がありました。地域分断の原因とされた掘り割り式の道路構造が変更されたのもその一つであり、地元権利者の理解と協力があったからこそ、現在のような地上部の広い空間ができたわけであります。
 したがって、地元も道路景観検討に積極的に参加するとともに、最近では、地上部道路の愛称が新虎通りに決まり、道路を舞台にエリアマネジメントの動きが始まるなど、地上部道路に対する地元の関心は非常に高いものがあります。
 再開発により地域に残る権利者はもちろん、ぜひ地区外に転出された方々も再びこの地を訪れ、歩いてみたいと思えるような、魅力的な道路に仕上げていってもらいたいと思います。
 そこで、改めて、地上部道路の整備概要と完成見通しについてお伺いをいたします。

○藤井東京都技監 新橋-虎ノ門間の地上部道路は、幅員四十メートルの広い空間を生かしまして、この地域にふさわしい魅力やにぎわいを創出していくことが期待されます。このため、両側に幅十三メートルの歩行者、自転車空間を設け、街路樹を二列に配置するとともに、四季を感じられるよう樹木の種類を変化させるなど、景観に配慮した質の高い道路として整備してまいります。
 また、地元では、地域住民によるエリアマネジメント活動といたしまして、道路愛称のロゴマークの検討や、町の清掃活動を行うなど、具体的な取り組みを始めております。
 今後の整備予定といたしましては、本線地下トンネルと地上部道路を今月末に交通開放いたしまして、引き続き、植栽工事など歩道の仕上げを行い、来年度に完成させます。

○きたしろ委員 もうすぐ東京を代表する魅力あふれる道路空間ができ上がるわけですが、道路整備に加えて、道路空間を生かした活気とにぎわいのあるまちづくりを進めることが重要であります。パリのシャンゼリゼ大通りではオープンカフェ等が歩道のにぎわいと魅力を高め、多くの観光客が訪れる名所となっています。
 先般、建設局では、道路をにぎわいの場として活用し、町の活性化を図っていく東京シャンゼリゼプロジェクトを公表したところですが、この制度の概要についてお伺いをいたします。

○横溝建設局長 これからの東京では、公共空間としての道路を生かし、周辺地域と一体となって町の活性化を図っていくことが重要でございます。そのため、都は、道路においてオープンカフェ等の利用を促進する東京シャンゼリゼプロジェクトを立ち上げました。
 この制度では、一、都市再生特別措置法における都市再生整備計画の区域内にあること、二、歩行者の通行部分が三・五メーター以上確保されること、三、歩行者と自転車の走行の分離が可能であることなどの条件を備えた都道が対象となっております。
 また、対象となる区域では、地元の要望を踏まえ、交通管理者や区、商店会等で構成する検討委員会で、歩道の利用方法や施設の設置運営などについて合意形成を図り、道路占用や道路使用の手続を経て実施していくということになります。

○きたしろ委員 地上部道路の新虎通りは、虎ノ門のシンボリックな超高層ビルに続く、緑豊かな広幅員の歩道が整備されます。また、地元では、この新虎通りの整備を機に、沿道を含めたにぎわいのあるまちづくりを進めていく機運が高まっています。
 新虎通りにおいて、東京シャンゼリゼプロジェクトを活用し、広い歩道空間においてオープンカフェ等を展開し、国際都市東京にふさわしい、活力に満ちたまちづくりを進めるべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。

○舛添知事 パリのシャンゼリゼ大通りは、凱旋門からコンコルド広場に至る大きな大街路でありまして、フランスの歴史と文化の象徴であります。沿道にはグラン・パレなどの歴史的建築物やホテルなどが建ち並び、歩道では広いスペースを活用してカフェなどが設置されて、多くの観光客でにぎわっております。
 道路を生かした活気とにぎわいの創出は、世界の大都市では常識でありまして、東京においても積極的に進めていく必要があると考えております。
 環状二号線の新虎通りは地元の機運も高まっておりますし、幅が広い歩道はあります。それから、ご指摘のように、自転車走行空間なども所定の前提条件を満たしているために、東京シャンゼリゼプロジェクトの対象となります。早急に検討を行うように指示いたします。

○きたしろ委員 次に、私立学校施設の耐震化についてお伺いいたします。
 次代を担う子供たちの命を守るため、学校の耐震化は喫緊の課題であります。自己資金で耐震化を進めなければならない私学にとっては大きな負担であり、行政の支援が不可欠であります。
 今、最大で五分の四という全国でも例を見ない補助率に引き上げられました。その後も都は内容の充実を図ってきておりますが、都内私立学校の耐震化の現状と今後の取り組みについてお伺いをいたします。簡潔なご答弁をお願いいたします。

○小林生活文化局長 私立学校の耐震化につきましては、各学校の積極的な取り組みによりまして、平成二十五年四月一日時点での耐震化率は幼稚園八三・一%、小学校九六・二%、中学校九六・八%、高等学校八九・四%となっておりまして、これら全体で八六・九%で、補助制度開始前の平成十四年度末に比べ、約三四ポイント上昇いたしました。
 このうち小学校及び中学校につきましては、個別の事情がある一部の学校を除けば、今年度末までに一〇〇%の耐震化が図られる見込みでございます。
 このように都内私立学校の耐震化は着実に進んできておりますが、生徒の命を守るためには、できるだけ早期に幼稚園や高等学校についても耐震化を完了させる必要があり、今後も手厚い支援を継続することが重要だと考えております。
 このため、平成二十一年度から実施してきた補助率のかさ上げを来年度においても延長し、私立学校の一〇〇%の耐震化を目指して、引き続き各学校の取り組みを支援してまいります。

○きたしろ委員 次に、私立高校の保護者負担軽減についてお伺いをいたします。
 私は常々、私立高校の先生方から、一番経済的に苦しいのは年収三百五十万から五百万程度の世帯との話を聞いております。
 代表質問において、国の就学支援金制度見直しを受けた都の特別奨学金の対応を伺ったところ、国が創設した奨学のための給付金の対象とならない低所得者層と、三百五十万から五百九十万円の所得者層について、補助率を引き上げるなどとのことでありますが、その考え方と内容を伺います。

○小林生活文化局長 今回の国の制度改正によりますと、同じ低所得者層でも、奨学のための給付金が支給される年収二百五十万円未満の低所得者層と、給付金が支給されない二百五十万円以上の所得者層では、保護者の実負担額に大きな差が生じることとなります。
 また、今回、就学支援金が新たに加算されることになった三百五十万円以上の所得者層につきましては、従来から経済的に最も厳しいという多くの声があると私立学校の現場から聞いております。
 こうしたことを踏まえまして、都の特別奨学金のあり方につきましては、国の制度とあわせて、所得区分ごとの給付バランスを勘案して特別奨学金の給付額を充実することといたしました。
 具体的には、奨学のための給付金の対象とならない年収二百五十万円以上三百五十万円未満の低所得者層の補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、三百五十万円以上五百九十万円未満の所得者層につきましては、就学支援金の加算措置を生かすため、従来の補助率三分の一を上回る単価設定を行い、保護者の実負担額を減じることができるようにしてまいります。

○きたしろ委員 福祉保健局にも通告しておりましたけれども、時間の関係がありますので割愛をさせていただきます。
 最後に、冒頭申し上げたとおり、日本人の心を取り戻す道義都市国家東京をつくることが日本の再生であり、オールジャパンで勝ち取ったオリンピック・パラリンピック大会を世界最高の大会にするとともに、東京を世界で一番の都市にする道筋につながるものであると考えます。
 これからの舛添知事のリーダーシップを期待して、質問を終わります。(拍手)

○宇田川委員長 きたしろ勝彦委員の発言は終わりました。

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