予算特別委員会速記録第二号

   午後三時三十分開議

○東村副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 長橋桂一理事の発言を許します。

○長橋委員 都議会公明党を代表して質問をいたします。
 まず初めに、東日本大震災、三年が経過をいたしまして、改めてお亡くなりになりました方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、いまだ復興の半ばでご苦労されている全国二十六万七千人に上る被災者の方々にお見舞いを申し上げます。
 都議会公明党は、発災直後から現地にたびたび赴き、具体的な提案をしてまいりました。引き続き、イの一番で被災地、被災者支援に取り組んでいくことをお誓い申し上げて、まずは知事にお伺いをしたいと思います。
 知事も初めての予算委員会でございます。本会議の答弁をお聞きしていますと、大変真摯に答弁、お答えをされていた姿が感じられました。引き続き、この予算特別委員会でも実りある議論をしたいと思いますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 舛添知事は、東京を世界一の都市にするということを公約といたしまして、当選をされました。
 これまでの我が国の状況を見ますと、世界一を目指すというようなことはとても、私はいえる状況ではなかったんではないかと思うわけであります。六年前のリーマンショックでは、震源地のアメリカのみならず、世界も日本も経済がどん底に落ちるんではないか、そうした危機感に満ち満ちていたと思います。
 ヨーロッパでは、ご案内のとおり、ギリシャ危機が起きました。日本でも、日経の平均株価が七千円まで下落をいたしました。しかし、一昨年、自民党と公明党の政権が再び復活をいたしまして、国政が安定してきたことで、将来に、私は明るい兆しが見えてきたと思います。
 オリンピック・パラリンピックの招致が東京に決まった。景気回復の兆しも見えてきた。こうした中で、世界一を目指そうという言葉は、私は単なるスローガンではなくて、実感を込めて語れる言葉になったんだろうと思います。
 都議会公明党も、その実現に向けて、東京からリアリティーのある施策、説得力のある提案を重ねていきたいと思っております。
 一方で、景気、経済の対策ももちろん重要でありますけれども、金銭的、物質的に満ち足りるだけでは、もちろん不十分でございます。
 例えば、人間にとって長寿は喜びであります。長生きして本当によかったと、そういう社会を私は目指さなければならないと思いますし、今の若者が思い切り学んで、そして一生懸命働いて、その努力が報われる社会、その実現をしていかなければならないと思います。
 さらには、文化、芸術によって社会の潤いや豊かさを求めていくことも、私は重要であろうかと思います。
 今の社会を広く深く変えていくことが必要であると思います。そのためには、強い意志と大きな情熱が、都政にかかわる、私も含めて極めて大事だろう、このように決意をしているところでございます。
 舛添知事の発言、答弁から、そうした意志と情熱が、私は端々に感じられてきたところでございます。
 知事は、若くしてお父様を亡くされました。苦学して単身フランスに渡って学問を深めた。さらには、お母様の介護のため、東京から福岡まで七年間も通い続けたことが政治家を目指すきっかけとなったと、このようにいわれているわけでございます。
 推察するに、そうした経験、またご苦労がバックボーンにあるんではないかと思いますが、予算審議に入る前に、知事の都知事の職にかける決意、そして、これからの東京の将来、知事はどのような姿を目指しているのかお伺いをいたします。

○舛添知事 今、長橋理事にご紹介いただきましたように、私は中学生のときに父親を亡くしたものですから、いろんな意味で苦労しましたけど、この日本というのはすばらしいなと思ったのは、必ず誰か助けてくれる人がいる。そして、今おっしゃったように、努力すれば報われると。このすばらしい日本をさらにもっと前に進めたい。
 それから、母親が認知症に倒れたものですから、自分が赤ん坊のときにおむつというか、むつきを当ててもらって、今度は自分が当てる番だなと、そういう思いで介護をしたんですけれども、やっぱりこれは、いろんな行政とのかかわりを含めて大変苦労しました。
 同じような苦労は、やっぱりほかの方にさせちゃいけないというのが政治の原点でありますとともに、やはり政治の、都議会の皆さん方も私も含めて、政治家の仕事というのは、太陽のように闇とか暗いところに光を当てる仕事だというふうに思っておりますので、そういう意味で、光が当たればみんな夢と希望と温かい気持ちになれる。それが、私が都政にかける情熱であるとともに、皆さん方もそういう思いで都政に邁進していらっしゃると思っております。
 そういう意味で、例えば車椅子を置いていて、本当に段差があるところは大変なので、これはバリアフリーをやらないといけない。先ほどオリンピックの話が出ましたけど、外国の人にとって日本語がバリアなら、これも皆さんで助けてあげないといけない。だから、福祉というのは、やっぱりみんなで住みよい東京にするということの原点だと思いますので、バリアフリー。
 それから、もちろん命を守るために防災ということもやらないといけません。冒頭おっしゃったように、三年前のああいう悲劇、これからきちんと我々は反省しないといけないというふうに思っております。
 それから、やっぱり夢と希望を持たないといけないですから、芸術、文化にもお触れになりましたけれども、芸術というのは人々に、音楽にしても、絵にしても希望を与えるものだと思っていますので、その面でも一生懸命やっていきたいというふうに思います。
 そして、全ての都民が東京に生まれてよかったなと、東京で勉強できてよかったなと、東京で仕事ができてよかったなと。そのためには、ぜひ若者のために仕事もつくらないといけないと思っています。そして、病気になっても東京だったから助かった、それから、介護が必要な身になっても東京だからみんな住みなれた東京で介護ができたと、こういうことをやらないといけない。
 しかし、これは相当問題が山積しておりますので、一つ一つ積み重ねながら解決していく。そのためには、都議会の皆さん方との、ぜひ車の両輪となって前に進める作業が必要だと思っておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

○長橋委員 知事、ノー原稿で思いを語っていただきました。ぜひとも知事、全身全霊、全てをかけて都政に当たっていただきたい、このように思います。
 とりわけ、福祉に対する思いは深さを感じるわけでございます。公明党の立党の原点も福祉でございます。ぜひ、この福祉については今後、議論を深めていきたいと思っております。
 そこで、この二十六年度予算についてお伺いしますが、知事は本格的な予算は二十七年度からであると、このように知事自身が手がけていっているわけでありますけれども、まずは、最初の仕事が二十六年度の予算編成であったわけでございます。
 そこで、実際に予算編成に当たられた経験をして、まずは今後の財政運営について伺いたいと思います。

○舛添知事 こういう緊急事態での予算編成でございましたので、いろいろ思いを遂げることもできませんでしたけど、それにしても、大きな、国の財政規模に値するぐらいの大変な予算というのを組むというのは大変緊張感の要るものでありましたし、しかし、この税収構造を見たときに、若干の景気変動で大きく税収が変動すると、これも都政の運営で非常に難しい問題だというふうに思っております。
 そして、何よりも結果を出さないと話になりません。そして、先ほど申し上げましたように、太陽のように暗いところに光を当てる、つまり、強い者のためじゃなくて弱い者のためにこそ政治があるというふうに思ってはおりますけれども、しかし、そのためにはお金、財政の裏づけがないとどうしようもありませんから、今後、経済をうんと強めて財政の力を強めていきたいというふうに思っております。
 そして、健全な財政運営、これも極めて重要でありますので、そのことを堅持した上で、さらに都民の福祉のために全力を挙げていきたいと思っております。

○長橋委員 二十六年度予算、ご苦労されて、また都の財政の状況についてもわかられたということでございますが、そこで健全な財政運営、これに、今、大きな壁になっているのが、私は契約不調問題であろうかと思っております。
 昨年秋から入札不調がふえております。都の場合は、平成二十四年度の不調の発生率、これが七・二%だったものが、昨年の十二月現在で、十二月末では一二%まで増加している、一割を超えているということでありまして、さきの本会議でこの数字は示されたわけでございます。
 不調の発生についてはいろいろ要因があろうかと思いますけれども、特に東北での震災後、労務費と並んで資材単価の高騰が大きい、そうした現場の声を受け、昨年、予算特別委員会で我が会派の東村議員、後ろにいますが、資材価格等の上昇の影響のリスクの全てを、決して受注者のみに負わせることのないよう適正な発注をすべきだ、こういう質問をさせていただきました。
 その際、都からは、受注者より賃金や資材等の価格高騰による契約金額の増額請求があった場合には、全体スライド条項に基づく対応を行うと、こういう答弁があったわけであります。
 そこで、資材価格等の高騰により、受注者から増額変更に向け請求を受けて、この全体スライド条項に基づく対応はどうだったのか。まずはお伺いいたします。

○中井財務局長 全体スライドにつきましては、昨年二月に全体スライド条項の手続に関する通知を行うとともに、ホームページに掲載して周知を図ったところでございます。
 その結果、昨年十二月までに、全庁で約二百件の工事で増額変更に向けた手続が始まっております。

○長橋委員 十カ月で二百件ほどの工事で増額変更手続が開始された。これは調整をして二百件は増額をする、こういうふうになったわけでありまして、都の対応については評価をしたいと思います。
 さらに、昨年の第四回定例会では、賃金や資材の高騰価格とあわせて、現場からは技術者等の人材が不足しているという声を受けまして、質問をさせていただきました。
 都の発注工事における主任技術者の専任要件が厳格過ぎることも入札不調の一因ではないかということで、この専任要件の緩和を求めたところでございます。
 財務局長からは、関係部局が連携しながら要件設定を検討していく、こういうことでございました。
 そこで、技術者等の人材不足に対する主任技術者の専任要件緩和に関するその後の検討状況はいかがでしょうか。

○中井財務局長 主任技術者の専任配置の緩和につきましては、工事現場の多くが高密度な市街地にある都の状況を踏まえ、関係各局と連携して多様な視点から検討してまいりました。
 その結果、都が発注する工事において元請人の主任技術者の専任配置を一部緩和し、他の工事現場との兼務を認めることとし、平成二十六年四月以降に公表する契約から試行していくことといたしました。
 具体的には、高度な技術を要する工事など施工の困難性の高いものを除き、工事間の一体性、連続性が認められる工事や施工に当たり相互調整を要する工事などを対象として実施してまいります。

○長橋委員 この課題については、私も現場でたびたび話を聞いてまいりました。この四月から試行するということでございますので、必要な人材の確保にも適切に配慮されている、このように思うわけであります。
 一方、労務費については、この間、ずっと急騰を続けているわけであります。今回、国は太田国交大臣がリーダーシップをとって、労務費の上昇を適切に反映させるとともに、建設技術者の処遇改善を図るために、二月に公共工事設計労務単価を全国平均で七・一%引き上げるとともに、新たにインフレスライドを全国に運用するよう、各自治体に要請したということでございます。
 新労務単価は、平成二十四年度の労務単価に比較すると、二年間さかのぼると、二三・二%上昇しているんです。調べたら東京では二七・一%、三割近く上昇しているということでございます。今回、二月に改定発表をした、これは異例のことであるそうでありまして、毎年四月がその発表の時期なんですけれども、早めて二月に改定したということは異例な事態であると。
 都も、国交大臣の要請を受けたということでございますので、ぜひ、これをしっかりと取り組んでいただきたいと思います。資材単価や労務費の高騰が続く中で、さらに人材確保は困難、十年前から比べると建設業就業者は百万人以上減っていると、こういうことでありますから、この対応については非常に重要であろうと思いますし、特に今、中小企業はいまだに厳しい状況が続いているわけでありまして、先ほどの全体スライド、インフレスライド、どう違うんだと、このように私も聞いたんですけれども、そうしたら、全体スライドは工期が十二カ月を超える工事が対象だと、大型工事になるわけであります。それに対してインフレスライドは全ての工事が対象になるということで、小規模な工事でも適用できる、これは中小企業にとってもメリットがあるわけでございます。
 そこで、この異例として運用を決断したインフレスライドを、労務費などが急騰している今こそ速やかに適用して、中小企業の現在の苦境に対応すべきであると考えますが、答弁を求めたいと思います。

○中井財務局長 ただいま理事からお話のございました今回の国の一連の動きは、都の公共工事が置かれた状況にも効果が高いことから、工事所管局と協力しながら速やかに対応することとしたところでございます。
 この中で、緊急的に運用することになったインフレスライドは、中小企業者が請け負っている小規模な工事でも増額変更の対象となることから、今回の労務単価の改定による工事費の上昇分を契約金額に反映できる制度であると考えてございます。
 既に受注者からの請求に基づき協議を行っている案件もあり、今後ともしっかりと対応をしてまいります。

○長橋委員 このインフレスライドはずっと続くわけではないそうであります。異例の措置でありますから、速やかに適切に対応していただきたいと思います。
 次に、中小企業の関係で、中小企業に対しての融資制度、これについてお伺いをしたいと思います。
 都が来年度創設をいたします動産・債権担保融資制度についてでございます。
 この制度は、平成二十二年に開始をいたしました機械・設備担保融資制度をベースに、その対象を在庫や売掛債権にまで広げて、幅広い資産を取り扱う総合的な制度に拡充をするものであります。
 現行の制度も、中小企業の資金調達手法の多様化を推進すべきという我が党の提案で、都が創設した経緯があります。
 そこで、動産や債権を担保する融資、いわゆるアセット・ベースト・レンディング、ABLということでありますけれども、我が国ではいまだ十分に定着をしておりません。
 そこで、動産や債権などの担保価値に対する評価が大きく変わりつつある中で、まず、こうした流動資産、これを担保とする融資環境と、都が新たな制度を創設する目的について伺います。

○塚田産業労働局長 動産や債権を担保とする融資手法、いわゆるABLは不動産などの資産が少ない中小企業にとって有効な資金調達手段の一つでありますが、多岐にわたる対象物件の評価や管理が難しいことなどから、これまで一部の企業での利用にとどまっております。
 ABLの活用を促進するため、国は中小企業金融円滑化法終了に合わせて金融検査マニュアルを改定し、動産や債権を融資の担保として明確に位置づけ、必要な管理手法を具体的に記載するなどの環境整備を進めております。
 こうした状況を踏まえまして、都内中小零細企業が、建設機械、生産用機械、工作機械、車両、在庫商品、売掛債権など、みずから持つ動産や債権を活用して資金を調達できるよう、都は、担保評価等に係る課題に対応し、利用者負担の軽減などを考慮した実効性ある独自の取り組みとして、東京都動産・債権担保融資を創設することといたしました。

○長橋委員 目的についてお伺いしたわけでありますけれども、対象物件の評価や管理が非常に難しいということでなかなか利用が進んでいない。そういう中で、今、本当に局長から具体的な答弁をいただいたところでありまして、ぜひこの動産、債権の活用に向けて、都が先陣を切って取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、動産や債権を担保とする融資には、担保価値の査定や物件の保全などの面で難しい課題があることも、今、答弁があったわけであります。
 そこで、今回の制度でポイントとなるのは、中小企業が保有する多様な担保物件の資産価値を的確に判断できる目きき力が必要だと思います。
 現行の機械・設備担保融資制度では担保物件の評価や保証を行う専門の会社を活用しておりますけれども、新たな制度では、担保物件の種類が在庫や売掛債権などにさらに広がるため、しっかりした目ききを行うための仕組みが重要でございます。
 そこで、新たな制度では、担保物件の評価や保証を適切に行うため、経験や確かなノウハウを持つ機関をしっかりと選ぶべきと考えますが、いかがでしょうか。

○塚田産業労働局長 今回の制度では、対象となる担保物件がさまざまな動産や債権など多岐にわたることから、それぞれの物件の評価や管理を適切に行う必要がございます。
 このため、本制度では、担保の種類ごとに、精度の高い評価や管理を行うための専門的なノウハウや実績を有する機関を選定し、金融機関の融資をサポートいたします。
 それぞれの専門機関が、例えば車両や工作機械の使用状態を十分確認して処分時の価格を算定し、また売掛債権では、取引先企業の財務内容を詳細に分析して査定するなど、担保の特性を踏まえた評価を行いますとともに、定期的なモニタリングにより担保の保全状況を確認いたします。
 こうした新たな仕組みにより、中小零細企業が持つ多様な動産や債権に適切に対応できる融資制度といたします。

○長橋委員 ぜひこの制度、二十六年度から創設するわけでありますから、しっかりと取り組んでいただきたいと思いますけれども、今ご答弁がありましたとおり、担保物件に応じた専門性の高い機関を活用するということで、実態を踏まえた制度だろうと思っております。この都が創設した制度を都内の中小企業に広く普及する、これが大変期待されるわけでありますけれども、そうすると、従来の概念であれば、自分の工場にある機械や設備、あるいは倉庫に眠っている在庫品、車もありますが、トラックなどが融資の担保になると考える中小企業の経営者は大変少ないんだろうと思うわけであります。まずは、この新しい制度をわかりやすく説明して、理解してもらう必要があろうかと思います。
 さらには、貸す側の金融機関にも、これは説明が必要だろうと思います。金融機関の行員にもこの制度をしっかりと理解をしてもらい、経営者に対して積極的に行員から提案をしていく、こうした対応もすべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○塚田産業労働局長 都では、本制度の利用促進に向け、動産や債権を活用するという制度の特徴や担保物件の種類などをわかりやすく解説したパンフレットを作成し、商工会議所や商工会、業界団体等を通じて配布するとともに、事業者向けの説明会を開くなど、広くPRに努めてまいります。
 また、本制度を取り扱う全ての金融機関を集めた説明会を開催するとともに、個別の金融機関に直接出向いて営業職員向けの勉強会を実施するなど、一社でも多くの事業者がこの融資制度を活用できるよう、金融機関による積極的な取り組みを促します。
 こうした制度の普及に向けたきめ細かな対応により、動産・債権担保融資制度の利用を促進し、中小零細企業の資金調達手法の一つとしてABLの定着を図ってまいります。

○長橋委員 今、ご答弁で、金融機関を集めて説明会を開催する、ぜひやっていただきたい。それから、今度は個別に出向いて勉強会もやる。こうしたきめ細かな対応が、今の中小企業に対して融資の枠が広がってくる。これで希望が出てくるわけでありますので、ぜひ、意義のあるものでありますから、しっかりと取り組んでいただいて、一人でも多くの方が利用できるよう取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、中小企業も含めて、多摩振興について質問をいたします。
 知事は就任後、直ちに多摩・島しょ地域の担当副知事を任命されまして、多摩の発展に力を尽くす、こうした施政方針を表明いたしました。
 そこで、まず、多摩のビジョンについてお伺いをいたします。
 二〇一五年に人口のピークを迎える多摩地域では、その後の人口減少のスピードや少子高齢化の進展が地域ごとに異なることから、それぞれの地域でひとり暮らし高齢者の増加、または買い物弱者の発生など、地域や年代ごとに課題が顕著になってきておりますし、異なっているわけであります。
 先週、発表されました新たな多摩のビジョン行動戦略では、二十五年度に新たに設置した、東京都、市町村、民間団体など多様な主体が参画するビジョン連携推進会議を戦略の推進体制として位置づけたところであります。
 そこで、この会議で地域の実情と課題を吸い上げ、施策へと反映する仕組みをつくったことは大きく評価するわけであります。
 そこで、まずはこの推進会議の二十五年度の検討状況と、今後の活用方法についてお伺いしたいと思います。

○中西総務局長 ビジョン連携推進会議は、都や市町村に加え、多摩地域で活動いたします学識経験者や民間団体で構成する会議でございまして、新たな多摩のビジョンで掲げた目指すべき姿を共有し、関係者間の連携強化を図ることを目的としております。
 これまで、この会議において、ソフト面を含めたまちづくり、産業経済、観光、環境をテーマに、十の事例を取り上げて多角的に分析し、移動販売車を活用した町の活性化や団地再生などの、多摩振興のヒントとなるような先進的な取り組みを行動戦略に盛り込んだところでございます。
 今後もあらゆる主体が一体となって、ビジョンで掲げた目指すべき姿の実現に向けた取り組みを着実に進めていくため、本会議を活用して地域のさまざまな事例を掘り起こし、これまでの発想にとらわれない分析、検討を行ってまいります。

○長橋委員 ぜひ、先進事例をもとに多摩振興に取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、多摩のものづくりについてお伺いをしたいと思います。
 多摩地域が直面する課題の中でも特に重要なのが、ものづくりを中心とした産業の発展でございます。
 都が先月公表いたしました工業統計調査の結果によりますと、二十三区の製品出荷額は約三兆五千億円、これに対して、多摩はこれを上回る四兆七千億円でございます。エレクトロニクス関連を初め、高い技術を持つ中小企業が数多く活躍していることが多摩の産業の特色であろうかと思います。
 さらには、多摩地域には多くの大学や研究機関が集積をしておりまして、まさに多摩におけるシリコンバレーの形成に向けた期待が私は高まっていると思います。
 そこで、こうした多摩の特性を生かして、多摩地域のものづくりを中心とした産業振興への取り組みについて、多摩担当副知事を任命した知事にお伺いいたします。

○舛添知事 今、長橋理事ご指摘のように、多摩地域は東京の工業出荷額の約六割を占めております。そのことを見ても、この高度なものづくり産業の集積を擁する多摩の発展なくして東京の発展はないと、このように確信しております。
 多摩の産業の強みは、自動車、航空機、電気電子機器などの分野におけるすぐれた技術の蓄積と、多くの大学や研究機関などによる知の蓄積であります。これはもうご指摘のとおりであります。こうした資源を最大限に活用する視点と、さらにこれを将来にわたって維持発展させていくという視点が、多摩の産業振興を図る上で重要なキーとなると思います。
 そこで、多摩地域における産学公金のネットワークを強化して、連携と交流による技術革新を進めることによって、中小企業の競争力をさらに高めていきたいと思っております。
 あわせて、多摩の中小企業が、引き続きこの地域で活発に操業を続けていけるように、市町村とも協力しながら、それぞれの地域の実情に即した支援を行って、産業の集積を守り、さらに育てていきたいと思っております。
 こうした政策展開によりまして、多摩の産業の活力を高め、東京ひいては経済の発展へと着実に結びつけていきたいと思っております。

○長橋委員 今、力強く知事は、多摩の発展なくして東京の発展はない、このようにいわれました。
 多摩こそ、これから大きな期待が持てる地域だろうと思うわけでありまして、この多摩の産業集積の強みを生かした技術革新をどんどん起こしていくには、やはり産学公連携の中核となる拠点が、私は必要だろうと思います。
 多くの多摩の企業や研究機関などが一堂に集まって、展示会やさまざまな交流活動を行っていくことで、多摩の中小企業の可能性は、私はさらに大きく開かれていくと思うわけであります。
 具体的にいえば、交通網についても、本年六月には圏央道が東名高速につながり、さらに二十六年度中には東北自動車道にもつながる予定であります。
 今こそ、多摩の結束点、これは八王子であろうかと思いますけれども、八王子に開設をする予定の産業交流拠点の整備、これを着実に進めていくことが求められております。
 平成十七年の予算特別委員会で産業交流拠点の設置を提案して以来、一貫してその整備を訴えてきたところでございます。
 いよいよ来年度、施設の基本計画を策定しますが、策定に当たり、地元産業界からは、県域を越えて神奈川県や埼玉県との交流も期待をされていることから、展示スペースの広さは、具体的に二千五百平米は確保してもらいたい、こうした要望もいただいているところでございます。
 そこで、これから整備をする産業交流拠点の役割、そして施設設備の概要、あわせて今後の事業展開について伺います。

○塚田産業労働局長 都が八王子市に整備を予定している産業交流拠点につきましては、多摩地域の中小企業や研究機関、大学等が互いに交流し、連携を促進する中心的な役割を果たしていくことが必要であります。
 こうした考えのもと、都は産業交流拠点が、多摩地域における産業交流を活発に生み出す場所として十分活用されるよう、大型の展示会などに対応できるホールの設置や、企業、研究機関の研究会、交流会などに活用できる多様な会議室の配置などについて検討してまいりました。
 来年度、策定を進める施設の基本計画においては、こうした検討内容や、ただいまのご指摘も十分踏まえながら、拠点の機能や規模、管理方法を具体化してまいります。
 こうした施設の基本事項を基本計画の中でしっかり固め、平成二十七年度以降の設計、着工を着実に進めてまいります。

○長橋委員 大変具体的な、また力強いご答弁ありがとうございます。
 次に、住宅のセーフティーネットについて質問をいたしたいと思います。
 先日、都の住宅政策審議会が開催をされました。次期住宅マスタープランの策定を見据えて、この会議が開かれたわけでありますけれども、私も出席をさせていただきました。東京の住宅政策をめぐる、まずは現状や課題について意見交換がなされたわけであります。
 例えば、人口の減少に伴う都市の縮小、それからマンションの建てかえ、管理、これも大きな問題だ。それからまた、大都市問題としての貧困格差、これについても検討していかなきゃいけない。さまざまな意見、また見解が示されました。中でもやはり多かったのが、高齢者の住まいに関する問題意識がありました。
 このマスタープランは五年ごとに改定されることになっておりまして、次は平成二十八年度に見直しをされることになっておりまして、その検討がスタートしたというところでございます。
 今後、急速に少子高齢化が進行する中で、住宅のセーフティーネット、この役割がますます重要になってくるかと思いますが、知事の見解を伺います。

○舛添知事 住まいの場所、住宅というのは生活の基盤であります。都民の居住の安定を確保することは極めて重要だと考えております。中でも、ご指摘のように高齢者、それから子育て世帯などに対しては、特に配慮が必要だと考えております。
 都営住宅におきましては、これまでも、こうした配慮が必要な世帯に対して優先入居などを実施してまいりました。
 また、民間賃貸住宅につきましても、貸し主への啓発を行うなど、高齢者等の入居の機会が制約されることがないように取り組んでまいりました。
 今後とも、少子高齢化の進展など社会経済状況の変化に応じ、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能をさらに強化して、都民の居住の安定確保に全力を挙げてまいります。

○長橋委員 今、知事からご答弁をいただきました、この改定を予定されている住宅マスタープラン、これは知事が諮問をして見直しをされるわけでございまして、大事な住宅問題についても、ぜひ真剣に知事の思いを込めていただきたいと思います。
 では、具体的にお伺いをいたします。
 都は現在、住宅セーフティーネットとして、民間住宅活用モデル事業、いわゆる空き家活用モデル事業を実施しているところであります。
 これは国の住宅セーフティネット整備推進事業を活用しているわけでございまして、この事業は住宅確保要配慮者、高齢者や障害者などの入居を条件として、民間賃貸住宅の空き家改修工事の費用を補助するものでございます。
 都は二十四年度から、このモデル事業を都独自の補助も加えながら実施をしているわけでありますが、残念ながら二十四年度は応募がなかった。二十五年度は四件の応募があったと聞いているわけであります。来年度はぜひ工夫をして実績を上げてもらいたい。ここで聞きたいところですが、ぜひ頑張れというところで、この空き家の活用については、さまざまな議論が今までもございました。特に空き家というと、家賃補助の制度化、こうした議論が今までもあったんだろうと思います。
 今までの議論でも、たくさんあいている部屋を活用して住宅に困っている人に家賃補助をすべきだとか、家賃補助を使ってストックの有効活用をしたらどうか、こういう議論がございました。
 区市町村では、さらに的を絞って、子育て世帯等の定住促進や、高齢者がお住まいの住宅の取り壊しの場合に、立ち退きで転居しなきゃいけない、そうした場合には家賃補助を行っている、こうした例はあるわけでありますけれども、これはこれで、住宅政策ですから区市町村としては意義のあることだと思います。
 しかし、民間賃貸住宅に入居する低所得者等に対して、単に家賃補助をすることについては、生活保護の制度の住宅扶助との関係もありますし、さらには財政負担のあり方、または補助をすることによって家賃水準全体の上昇を招くんじゃないかという懸念もあり、課題があろうかと思います。
 そこで、空き家を家賃補助の視点で活用を考えると、なかなか私は方向性が出てこないんだろうと思います。では、どうやったら空き家を有効活用していくのか。各区市町村においてはさまざま取り組みが行われておりますけれども、なかなか有効な活用というのが出てきていないし、実績も、私はなかなか上がっていない、これからだろうと思っております。
 そこで、空き家対策で重要なのは、まず空き家の実態がどうなっているのか、どれだけ活用できるかなど調査を行って、その上で有効な施策を都も区市町村とあわせて検討していくべきだろうと思います。
 現在、都が把握している空き家の数というのは七十五万戸であります。これは総務省の住宅・土地統計調査によるものでありまして、この七十五万戸というのは、平成二十年の調査、五年ごとにやっていますので、その前の平成十五年は六十七万戸であります。だから、八万戸ふえているわけです。
 今度、平成二十五年はどうなっているかと聞いたら、ことしの夏以降に発表になるということでありますけれども、リーマンショックがあったりして新築着工は減っていますけれども、七十五万戸よりさらにふえるだろうと、このようにいわれているわけでありまして、そこで、空き家の有効活用を図る上で、建物の状況、所有者の意向、こうした把握をすることが大事だろうと思いますし、調査すべきだろうと思うわけであります。
 都は、新年度、二十六年度から、各区市町村に居住支援協議会の設立を促すとしていますけれども、その際、実態調査をあわせて促していくべきじゃないでしょうか。どうでしょうか。

○藤井東京都技監 都は、来年度早期に居住支援協議会を設立いたしまして、区市町村の協議会の設立促進及び活動支援を行うこととしております。
 区市町村の協議会が高齢者などの民間住宅への円滑な入居を支援するに当たりましては、地域の空き家を活用することも有効な手段でございます。空き家活用を進めるためには、立地や老朽化の程度、所有者の意向など、個々の状況を把握した上で取り組むことが重要でございます。
 このため、区市町村に対しまして、協議会の設立促進とあわせて、空き家の実態調査を行うよう働きかけてまいります。

○長橋委員 改めて空き家の実態調査を各区でできる居住支援協議会に働きかけていく。ぜひお願いをしたいと思うところであります。
 この空き家の実態調査、既にやっているところも、もちろん各区ではあるわけですけど、区市町村の地域の実情に応じて、利活用を目的としたり、老朽廃屋の是正を目的とする、さまざまでありますけれども、所有者へのアンケートまで実施しているのは十区市程度であるということでありまして、空き家の活用の目的でないものを含めているわけでありまして、この調査は非常に重要であろうかと思います。
 その中で、この居住支援協議会の設置を働きかける。だけれども、現在、居住支援協議会をつくっているのは三区しかないそうでありまして、板橋、それから江東区、私の地元の豊島区でございます。
 それぞれ取り組みをやっているわけでありまして、こうした先行してやっているところの先駆的な事例をぜひ紹介をしながら、国はこの居住支援協議会というパンフレット--あんまり私から、大臣がうちの太田大臣ですけれども、もう少し内容のあるものにしていただきたいと思っているわけでありますけれども、都もつくるんだろうと思いますけれども、こうしたパンフレットを使って、その調査も含めて具体的な内容にしていただきたいと思います。また、大事なのは先ほどいった先行してやっている区、例えば私の地元豊島区では居住支援バンクというのをつくったり、それからシングルマザーという、まさに必要な人たちに対する支援も行っている。
 こんなこともありますので、こうした取り組みを取りまとめて、広域的な立場として専門家の意見も聞きながら空き家の利活用方策を都として検討すべきと考えますが、あわせて見解を求めます。

○藤井東京都技監 来年度設立予定の都の協議会では、区市町村や関係団体に対しまして説明会などを実施して、協議会の設立を働きかけてまいります。
 その際、区市町村協議会の役割やさまざまな活動事例、また空き家の実態調査の例などを示したパンフレットを作成いたしまして、活用してまいります。
 また、空き家の利活用につきましては、都のモデル事業の成果の検証に加え、区市町村や他県での取り組み、学識経験者、関係団体などの意見も参考にいたしまして、その方策を検討してまいります。

○長橋委員 住宅政策、区市町村も一生懸命ご苦労されているわけでありますが、都も居住支援協議会をつくるわけでありますから、ぜひ、こうした広域的な立場でしっかりと検討をしていただきたいと思います。
 次に、防災対策に関連して何点か質問をしたいと思います。
 初めに、木密地域不燃化十年プロジェクトでございます。
 都は、東京の最大の弱点である木密地域の解消に向けて、整備地域七千ヘクタールを対象として、二〇二〇年度までに整備を完了する、このようにしております。不燃化特区については、先行実施地区の選定を当初は三地区程度としていたわけでありますけれども、先行実施地区に応募した十二地区全てで指定して、さらには六地区を加えて現在十八地区へと事業を拡大してきているわけであります。さらに、二十六年度には、各区からの応募により二十一地区をさらに追加をするというところでございます。
 また、市街地の延焼を遮断する整備地域の防災性の向上を図る特定整備路線については、二十八区間、二十六キロメートルのうち、今年度事業に着手した三区間を含め、既に九区間で事業を実施しております。お伺いしますと、来年度には全ての区間で事業着手を目指すというところであります。
 どちらも首都東京の安全性を確立するためには重要な取り組みであります。さらには、両事業をあわせて実施することで効果的な取り組みになるわけであります。特に、特定整備路線のうち不燃化特区と重なる、二十八区間のうち重なるものは二十区間以上あるということでございまして、私の地元は二十八区間のうち七区間ありますので、地元へ帰るとこれが大きな課題でございます。そういうわけで、いよいよ二十六年度はこの事業が本格化する、このように思うわけであります。
 そうした中で、私のところにもさまざま相談や問い合わせが相次いでおります。防災の取り組みに対する住民の関心も非常に高まってきております。
 そこで、知事にぜひこうした対策を行っている地域に行っていただいて、直接住民の声を聞いていただきたいと思うわけであります。そのことによって、大変ご苦労されている住民の励みにもなりますし、事業の促進も図られる。ぜひ現場に行っていただきたい。知事、どうですか。

○舛添知事 選挙期間中も私は幾つかの木密地域を回りました。本当に危険な老朽家屋、それから火事になっても消防車が入れないと、そういう狭い道、これもつぶさに見て、これはぜひとも早急に改善しないといけないと、そういう思いを強くいたしました。特に建物が倒壊する、今お話にありましたように、延焼の危険性は都民のまさに生命と財産を脅かすわけでありますので、防災ということから早急に取り組む必要があるというふうに思っております。
 先ほど、その整備地域で七千ヘクタールというのは、実は二十三区の約一一%に当たります。そこに住んでいる人口は二十三区の二割に当たる。これだけ重要な問題ですので、今後、精力的に豊島区含めて現場に行きまして、住民の皆さんの意見を聞き、現状をしっかりと把握したいと思っております。

○長橋委員 ぜひ知事、現場に来ていただいて、住民の方、また現場をつぶさに見ていただきたいと思います。道路事業といいますと、今までは数十年かかってやっと完成した。その道路にかかわった人は、中には完成するまでに亡くなってしまった方もいらして、そんなお声も聞いているわけであります。
 ところが、地元では、この特定整備路線を望む声がある一方で、突然の指定で驚きや戸惑いの声ももちろん聞かれるわけであります。それは長年住みなれた地域を離れたくない、延焼遮断帯の効果に疑問がある、このようなことで反対をしている方もいるわけであります。
 また、この道路整備によらず、感震ブレーカーによる出火対策や建物の不燃化を促進するための助成をすべきだと、こういう意見もあるわけであります。
 昨年十二月に国が公表した首都直下地震の被害想定は、都内ではマグニチュード七クラスの直下型地震が発生した場合、火災や建物の倒壊により約一万三千人の死者が発生するといわれておりまして、木密地域では大規模な延焼火災に見舞われるということが想定をされております。
 大震災の際に、木密地域のように建物や人口が密集するところでは、周辺の状況が不明のままで逃げると、私はかえって危険だろうと思います。本当の理想は、逃げる必要のない建物への建てかえ、広い幅員の道路整備を進めて安全な町をつくる、これが私は理想であろうかと思います。特定整備路線の整備は、延焼遮断帯の形成とともに、建物の耐震化、不燃化を促進する地域防災のかなめとなる重要な道路でございます。
 しかし、既存の道路を拡幅する、または道路がない地域に新たに通す、区間によって発揮される効果の度合いはそれぞれ異なるわけでありますけれども、地元の理解を得るためにも、反対をされている方々に対しても、その整備効果をきちっと明らかにすべきだと思いますが、答弁を求めます。

○横溝建設局長 木密地域では、感震ブレーカーなどの出火対策だけではなく、延焼防止には極めて効果の高い特定整備路線の整備が必要不可欠でございます。
 例えば、豊島区にございます計画幅員十六メーターの補助第一七二号線では、シミュレーションによれば、道路の整備により延焼面積を半減させることができます。
 また、地域住民の避難や緊急車両通行のための空間が確保できるとともに、沿道建物の不燃化、耐震化が促進されます。加えて、緑豊かな広い歩道の整備や無電柱化により美しい都市景観が形成され、安全で快適なまちづくりにつながるものと考えております。

○長橋委員 地元の例を引いていただいて大変恐縮でございますが、特定整備路線で延焼面積が半減する、こうしたことも含めて、ぜひ地元の皆さん方に丁寧に説明をしていただきたいと思います。
 この特定整備路線の整備に当たって最大のネックは何か、これはやはり該当する住民の方々の移転先の確保であろうかと思います。地域に長年住み続けた高齢者や、もしくは商売を営む方々の多くは地元に残りたいという思いが大変強いわけであります。さらにはこうした方々は、自力で移転先の確保をすることは非常に困難な方が多いと思います。
 そこで、生活再建に向けて、近隣での移転先の確保や、残地を活用して建物の共同化、代替地としての公有地の活用など十分なサポートが、私はこの事業の成否にかかわってくるんだと思います。
 私の手元に建設局が現在確保している都有地の代替地の一覧がございます。(資料を示す)この事業用として確保している用地、これは東京都が、ことしの二月一日現在のものでありますけれども、四十五カ所、一万六千平米がございます。それぞれ区名、地名が書いてありますので、わかるわけでありますけれども、例えば七区間もある豊島区には一カ所も入っていないんです。こういうことを考えると、なかなか近隣にマッチングする都有地の代替地はないのではないかなと思うわけであります。
 そこで、民有地はもとより、国や、そしてまた地元区の用地も含めて、さらに私は確保していくべきだと思うわけであります。
 関係権利者の生活再建、住宅だけでなく商店も含めて、このことについて都は最大の支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。

○横溝建設局長 特定整備路線の整備に当たりましては、路線ごとに相談窓口を設置し、民間事業者のノウハウとネットワークを活用して、地元にある移転先情報の提供、住宅、店舗等の建てかえプラン、共同化の提案、税金や権利関係の相談など、関係権利者お一人お一人に対しましてきめ細やかな対応を行ってまいります。
 また、移転資金の貸付金利につきましては、通常の年一・〇%から年〇・一八五%に優遇をいたします。さらに都営住宅のあっせんのほか、地元区等の協力を得て、公有地を活用した代替地も確保するなど、関係権利者の意向を踏まえた生活再建の支援を行ってまいります。
 引き続き、不燃化特区事業とも十分連携しつつ、燃え広がらない町の実現に向けて、スピード感を持って積極的に対応してまいります。

○長橋委員 代替地として地元区等の協力を得て、公有地を活用した代替地もさらに確保すると、ぜひ最大の支援、取り組みをお願いいたします。
 続きまして、防災対策に関連して豪雨対策についてお伺いをいたします。
 私が、同じく平成二十三年予算特別委員会の締めくくり総括質疑で、時間五十ミリだけではなくて、時間七十五ミリの降雨への対応をするべきでないかと、こういう質問をさせていただきました。そのとき下水道局は、浸水被害の影響が大きい大規模地下街で時間七十五ミリ対応を進めていくという答弁がありました。
 引き続き大規模地下街の浸水対策は今も進められているわけでありますが、既に対策が完了した地域では、昨年の豪雨時には浸水被害はなかったということでありまして、この効果は大きくあっただろうと思います。
 ところが一方で、昨年は都内のくぼ地や坂下などで浸水被害が多発をいたしました。七月二十三日には目黒区で時間百二ミリの豪雨が発生をいたしまして、この日だけで四百棟を超える浸水被害がありました。東京における過去三十年間の降雨数の変化を見ると、時間五十ミリを超える台風や局地的集中豪雨は、年平均二回から五・三回とふえているわけでございます。
 こうしたことを受けて、昨年十二月に下水道局が豪雨対策下水道緊急プラン、ここで初めて、地下街だけではなくて市街地においても時間七十五ミリ対策地区を新たに設ける、こういうことが発表されたわけでありまして、きめ細かな対応を工夫して、ぜひ実施をしていただきたいと思うわけであります。
 しかしながら、この七十五ミリ対応は大変多くの時間を要することが考えられます。下水道局では、できる限り早期に効果を発現させるため、一部完成した施設を暫定的に稼働させるなど、平成三十一年までには対策の効果を発揮していくと平成三十一年、まだ先は長いわけであります。
 私の地元南大塚も去年同じように豪雨災害がありまして、七十五ミリ地区の指定も受けたわけでありますけれども、その地域の方々、ほかのところもそうでありますけれども、ことしは大丈夫なのか、こういう不安があるわけでありまして、ぜひこうしたことを考えると、緊急プランはしっかりと進めていただきたいんですけれども、去年被害を受けた地域、特に七十五ミリ対応の四地区なんかは一日も早く、この効果を発現するような取り組みもあわせて一緒にやってもらいたいということでございます。この取り組みについて下水道局長の答弁を伺います。

○松浦下水道局長 下水道局では、甚大な浸水被害が発生した地区において、対策の効果を迅速に発揮させるよう具体的な取り組みを進めております。
 例えば、豊島区南大塚地区では、地形や既存施設の整備状況など、現場の状況を調査した結果を踏まえ、既存の下水道管をネットワーク化させるバイパス管の整備により、雨水排除能力のレベルアップを図ることとしております。バイパス管の整備につきましては、既に工事の準備を進めており、ことしの雨季までに完了させてまいります。
 こうした現場状況に応じた取り組みを世田谷区弦巻などの七十五ミリ対策地区や、品川区上大崎などの五十ミリ拡充対策地区において検討しつつ、段階的に雨水整備水準をレベルアップする対策を含めて施設整備を進め、浸水に対する効果を早期に発現してまいります。

○長橋委員 豊島区南大塚では、バイパス管の整備により、雨水排除能力のレベルアップをする、これはぜひ地元にしっかりとお話をして、ことしも大丈夫だよと、このように説明をしたいと思います。
 この大規模な施設整備とあわせて、迅速かつ効果的に取り組んでいくことはわかりましたけれども、他の地域においても、地元区などと連携して、雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどをぜひ推進していただきたいと思います。
 浸水に対する施設整備、いわゆるハード対策に下水道局が取り組んでいくことはよくわかりましたけれども、近年、時間百ミリを超える豪雨が各地で頻発している中で、浸水から生命や財産を守るためには、時間や事業費を要するハード対策だけではなくて、降雨情報の提供などソフト対策にもやはり一層力を入れていくことが必要であろうかと思います。
 その一つとして、下水道局が下水道施設の運転管理に活用するために独自に開発をした東京アメッシュ、私もよく活用させていただいておりますけれども、降雨情報を提供することで都民の浸水への備えを支援していくものであります。
 そこで、東京アメッシュのアクセス件数は今、一日当たり十六万件もある、こういうことでございます。そういう中で、この東京アメッシュ、設備を更新してから十年が経過しているとも聞いております。今後も安定した降雨情報を提供するには、最新技術を用いた設備に更新するなど、さらなるレベルアップを図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○松浦下水道局長 東京アメッシュのレーダー設備の老朽化に対応し、現在、観測精度の一層の向上を図るため、最新技術を導入したレーダー設備への再構築工事を実施しております。
 これまでのレーダーは、雨粒を水平方向のみで観測しておりましたが、新しいレーダーは、水平と垂直の二方向から雨粒を立体的に観測することができます。これにより、降り始めの時間一ミリ以下の弱い雨まで観測できるようになり、局地的集中豪雨などの予兆をより早く知ることが可能となります。
 今年度末までに再構築工事が完了し、来年度から新しいレーダー設備の運用状況を検証しつつ、二十七年度までに降雨情報データ処理システムの改良を完了させ、より精度の高い降雨情報をホームページやスマートフォンなどで配信し、都民の豪雨への備えを支援してまいります。

○長橋委員 ぜひ、東京アメッシュは多くの方が利用されている、更新をお願いいたします。
 一方で、都民の自助を支援する取り組みだけではなくて、地元区などが実施している水防活動、この浸水被害を予防、軽減することも重要なことであります。こうした取り組みに対しても支援をしていくべきであろうかと思いますけれども、下水道局は、下水道管内の光ファイバーを活用して幹線水位の情報提供を行い、水防活動を支援していると聞いておりますけれども、具体的な取り組みの実施状況、そして、その情報提供をさらに拡大をしていくべきだと思いますが、答弁を求めます。

○松浦下水道局長 豪雨時の浸水の発生に対応するためには、下水道幹線内の水位情報を把握し、水防管理団体である地元区にいち早く提供し、水防活動に役立てることが重要であります。
 現在、地域の水防活動を支援する取り組みとして、中野区や練馬区など地元区からの要望を受け、八つの下水道幹線の水位を光水位計で把握し、下水道管内に敷設した光ファイバーネットワークを用いて、関係区へリアルタイムで情報の提供を行っております。
 さらに、目黒川幹線などの三つの幹線について、新たに地元区へ水位情報が提供できるよう、調査設計や関係機関との協議などを進めてまいります。
 今後とも、頻発する豪雨に対して、施設整備によるハード対策を進めるとともに、ソフト対策の充実強化を図り、都民の安全・安心を確保してまいります。

○長橋委員 大変な技術力であろうかと思います。ぜひ下水道局、豪雨対策は大変重要でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、被災地支援に関連して、都内に避難をしている方々に対する支援について質問をいたします。
 大震災の発生から三年を経過した今も、いまだ八千人の方々が都内で避難生活を余儀なくされております。避難の長期化により、今後の生活再建については、ふるさとへの帰還を心待ちにしている避難者もいれば、帰還を諦め、都内での新たな生活を模索している避難者もいると聞いております。
 都は毎年、都内避難者のアンケート調査を行い、生活状況や意識動向を把握しており、本年も第三回目となる調査を先月から実施していると聞いております。昨年二月の調査では、定住希望者の割合が四四%と、前回から七%上昇をしております。また、地元県に帰りたいけれども、復興のめどが不明なため、時期が決められないという方々も三二%に上っております。
 この数字は、県によって違いが大きいんだろうと思います。事情が違うわけですから、この数字だけで判断するのは難しいと思いますけれども、こうした調査をさらに具体化していくためには、その調査内容をさらに詳細に把握するには、やはり直接面談をして調査することが必要じゃないかと思います。直接面談による調査をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○中西総務局長 都内での避難者の生活状況は、震災発生時に居住していた地域や原発事故に伴う損害賠償の有無、年齢や家族構成などによってさまざまであり、支援への要望や今後の生活再建への意向も一律ではありません。
 避難者の今後の生活再建への支援を考えるに当たっては、こうした避難者個々の事情や悩み、今後の生活への思いを踏まえることが必要でございます。
 このため、先月実施いたしました三回目のアンケート調査では、調査後に改めて避難者の状況をより詳細に把握するとともに、個別の支援も行えるよう記名式にしたところでございます。
 今後は、アンケート結果を踏まえた上で、本年五月以降、避難者を戸別に訪問して直接の面談等を実施し、避難者の置かれている状況を具体的に調査してまいります。

○長橋委員 面談をするということでございますので、この面談調査が非常に重要になってくるかと思います。発災から、ちょうどきょうから四年目に入るわけであります。応急仮設住宅から出て、避難者が安定した生活を送れることが復興の真の姿であり、生活再建のための具体的な支援は、これからが私は本番であろうかと思います。
 これは、都が一方的にできるものではありません。住民票のある被災県との綿密な連携をとらなければ進まないわけでございます。
 我が党は、昨年第四回定例会の代表質問で、被災自治体との連携機関を整えて、避難者支援を支援するよう主張いたしました。この窓口を活用して、まず、都の支援が必要な分野、被災県が対応すべきこと、そして国が行うべきことを明確に役割分担するわけであります。その上で三者が連携して対策を進めることが、都内避難者の生活再建を促進することになろうかと思いますが、見解を伺います。

○中西総務局長 都はこれまで、都内に避難された方々に都営住宅などの応急仮設住宅を約一千七百戸提供するとともに、孤立化を防ぐための訪問活動や就労支援など生活全般にわたる支援を行ってまいりました。
 震災から三年が経過し、今後は被災自治体による災害公営住宅の建設など、帰還に向けた環境整備が急がれる一方、都内に定住せざるを得ない避難者への対応も重要な課題になると認識しております。
 こうした広域避難者の帰還や定住などの生活再建については、国、被災県及び都などの受け入れ自治体が適切に連携しつつ、抜本的な対策を講じる必要がございます。
 都は、避難者が安心して生活を送れるよう生活全般にわたる支援を継続するとともに、避難者の生活再建を進める観点から、来月、被災県との新たな協議の場を立ち上げるなど、国、被災県との連携強化を図ってまいります。

○長橋委員 ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 この被災地支援に関連して、知事にお伺いをいたします。今、現地でお声を聞くのは、時間の経過による震災の風化であります。それから、放射能汚染による風評被害、この心配の声が、もう日増しに高くなってきているのではなかろうか、いつか見捨てられてしまうのではなかろうか、そんな声も聞くわけでございます。都としても、息の長い支援が求められていると思います。
 今後の被災地支援について、知事のお考えを聞きます。

○舛添知事 これまで都は、延べ三万人を超える職員の派遣、瓦れきの都内受け入れ、被災地応援ツアーなど、被災地のニーズを的確に把握しながら、総力を挙げて被災地を支えてまいりました。
 震災から三年が経過し、今おっしゃるように、記憶の風化が懸念される一方で、今なお全国で二十六万人を超える避難者が厳しい生活を余儀なくされております。復興を一日でも急がねばなりません。
 震災前の生活を取り戻すためには、国を挙げて被災地、被災者へのきめ細やかな支援を行うとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、東京が日本経済を牽引し、東北の被災地を元気にしていくことが重要であると考えております。
 こうしたことを基軸に据え、都は、風化を懸念し、風評被害に苦しむ被災地、被災者の声に引き続き耳を傾けながら、被災地の復興を力強く支援してまいります。

○長橋委員 ぜひ、公明党は、被災地の復興なくしてオリンピックの成功はないとたびたびいってまいりました。ともに全力で取り組んでいきたいと思います。
 続いて、診療報酬の改定について質問をいたします。
 二〇一四年の診療報酬改定では、在宅医療の充実が重点課題であるとして、地域包括ケアの中での有床診療所の機能を評価している点に特徴がございます。
 一方、在宅不適切事例の適正化として、同じ日に同じ建物に住む複数の患者を訪問した場合の点数を新設した結果、施設系の報酬は従来と比較して大幅に引き下げられる措置となりました。これは、いわゆる一部の悪徳医師やブローカー等の患者紹介ビジネスなどを抑止することが目的でありますけれども、真面目に診療をしているところにも影響を与えかねないのではないかと懸念をしているところであります。
 国は、求めに応じて診療に赴く往診や、末期の悪性腫瘍患者等はカウントしない等の緩和措置を発表いたしましたけれども、重症患者が必ずしも多くないサービスつき高齢者向け住宅等の集合住宅へ訪問している医師にとっては、それでもなお、患者一人当たりの診療報酬が四分の一になるわけであります。これでは、在宅医療の充実が重点課題であるとした考え方とは全く逆の方向へ進みかねないと思うわけであります。
 都は、こうした状況を認識しているのか伺います。

○川澄福祉保健局長 今回の診療報酬改定では、在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料の見直しが行われ、月二回以上、毎回同じ日に同じ建物の複数の患者を訪問した場合に減額される仕組みが導入をされました。
 この仕組みに対しましては、医師会等から特段の反対意見は出されなかったと聞いておりますけれども、一方で、集合住宅を中心に、計画的に複数の患者に対し訪問診療を行っている医師から、制度改正で大幅な減収になる、また施設から、医師が来なくなるといった不安の声が厚生労働省に寄せられていることは十分承知をしております。

○長橋委員 承知をしているということですが、ここに高齢者住宅新聞というのがあるんですね。(資料を示す)ここに、この改正について、このようにいっている方がいらっしゃいます。今回の改定では、非常勤の人件費を削る、もしくは最悪の場合、解雇せざるを得ません、結果的には職員の負担増につながって疲弊することになり、しわ寄せが施設や患者に行くことを懸念していますということでございまして、こういった問題について、高齢化が進む中で単身や夫婦のみの高齢者世帯がふえる中で、介護、医療と連携して高齢者にサービスを提供するサービスつき高齢者向け住宅の確保は極めて重要でございます。
 集合住宅に住む高齢者が、今回の診療報酬の減算によって、医師が来なくなるという不安を抱えて生活することだけは絶対避けなければならない、私はこのように考えるわけであります。
 現場の医師や都民の混乱を避けるためには、診療報酬改定の影響について、都は実態をしっかりと把握して、問題があれば国へ改善を求めていくべきだと思いますが、答弁を求めます。

○川澄福祉保健局長 今回の診療報酬改定に関する国の中央社会保険医療協議会答申では、附帯意見として、改定の影響について調査検証すべき事項の一つに、在宅不適切事例の適正化として実施される在宅時医学総合管理料等の見直しが挙げられております。
 また、厚生労働省は、サービスつき高齢者向け住宅などの施設の医師確保は、施設と医師会が連携して行うこととしており、都道府県等の医療保険事務担当者向けに開いた改定説明会の中でも、施設等に医師が訪問しなくなる事例が発生した場合には、医師会等に迅速な対応をお願いすると説明しております。
 都といたしましても、東京都医師会と連携して対応するとともに、改定による影響について情報収集を図りながら、改善が必要な事項については、国へ提案要求を行ってまいります。

○長橋委員 ぜひスピードを持ってやっていただきたいと思います。医療を取り巻く環境は刻一刻と変化をしております。そうした変化にも柔軟に対応し、やはり誰もが安心して暮らすことができる社会の実現に向けて全力で取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
 次に、医療に関連して、救急医療体制について質問いたします。
 休日・全夜間診療事業は、通年、固定で、休日及び夜間における救急患者を受け入れる診療体制と空床を確保するもので、内科系、外科系、小児科系を合わせて、現在、二百五十七施設の医療機関がこの救急医療事業に参画をしているわけであります。
 都は、空床確保料として、内科系、外科系で一ベッド当たりおよそ五百三十九万の財政支援をしております。これに対して、我が党は、医療機関によって救急患者の受け入れ実績に大きな乖離があるよ、救急医療に従事する医療機関の努力が正しく評価されていないのではないか、こういったことを指摘させていただきまして、病床規模と受け入れ実績を考慮した支援策へ転換すべきである、このように指摘をしたところであります。
 都は、救急医療対策協議会の答申を踏まえて検討を進めるというようなことでございましたけれども、休日・全夜間診療事業見直しの具体的な内容について伺います。

○川澄福祉保健局長 今回の休日・全夜間診療事業の見直しでは、医療機関における積極的な救急搬送受け入れと医療機能の充実を促進するため、空床確保料の算定基準を変更するとともに、新たに加算制度を創設いたしました。
 空床確保料につきましては、救急車の受け入れ実績をよりきめ細かく反映させるため、現行の二床または三床の二段階から、一床から四床の四段階へ変更いたしました。
 また、加算につきましては、病床規模に対する救急患者の受け入れ数、救急隊からの要請に対する受け入れ率、東京ルールの対象となった患者の受け入れ件数、医療安全や医療連携に係る診療報酬上の届け出の四項目を、医療機関の取り組みを評価する指標として設定したところでございます。

○長橋委員 評価を二段階から四段階にするということでございます。今回の見直しは、診療報酬制度との整合性にも配慮しながら、救急医療機関の努力に報いるとともに、救急患者の受け入れ実績以外にも医療連携などの医療機関の取り組みを促進するなど評価するところでございます。
 しかしながら、この休日・全夜間診療事業には、都内の救急医療機関の四分の三が参画をしており、新年度予算でも増額して約三十二億三千七百万円計上されているわけであります。こうした見直しを行う際には、事業に参画している医療機関、救急医療に従事する医療現場に混乱が生じてはならないと思います。関係者の十分な合意を得て進めるべきだと思いますが、その対策について伺います。

○川澄福祉保健局長 都は、事業の委託先である東京都医師会を初め、事業に参画している医療機関の代表者や東京消防庁等とも協議を重ね、今回の見直しを進めてまいりました。
 また、見直しの内容につきましては、都内全ての救急医療機関を対象とした説明会を特別区と多摩地区それぞれで開催するとともに、各地区の医師会などにも説明を行い、理解を得てまいりました。
 事業の実施に当たりましても、全ての救急医療機関が新たな制度に対応し、体制の一層の強化を図りながら救急患者の受け入れを進めていただけるよう経過措置期間を設けており、新制度は平成二十七年一月から実施する予定でございます。

○長橋委員 大変大きな改革でございますので、しっかりと経過措置期間を設けて周知を図っていただきたいと思います。
 もう一点、医療、福祉について、ロコモティブシンドロームという言葉がございます。要介護、要支援が必要になる原因の一番が運動器の障害、いわゆるロコモティブシンドロームと厚生労働省が調査結果を発表しているわけであります。
 このロコモティブシンドローム、なかなかいいにくいんですけれども、運動器、骨とか筋肉とか関節とか神経の障害のため自立度が低下をして、介護が必要となる危険性が高い状態をいうわけであります。
 ロコモティブシンドロームを知っている国民は、昨年の調査では二六・六%、四人に一人しかいないわけであります。このため、厚生労働省は認知度を高めるよう、健康増進の基本計画である健康日本21で、ロコモを知っている人の割合を二〇二二年までに八〇%にふやすことを目標にしているわけであります。
 都として、このロコモティブシンドロームの啓発普及、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○川澄福祉保健局長 ロコモティブシンドロームの予防には、適度な運動、適切な量と質の食事など望ましい生活習慣を若い年代から実践することが重要でございます。
 そのため、都が昨年度改定した東京都健康推進プラン21では、健康づくりの取り組みとして、ロコモティブシンドロームの予防に向けた普及啓発を盛り込んでおり、住民への健康教育の中で、効果的なトレーニング方法などの講座等を開催している区市町村もございます。
 今後、都といたしましても、ホームページにロコモティブシンドロームの解説や予防法などを掲載し、広く都民への周知を図るとともに、各種会議等を通じて取り組み事例の紹介を行うなど、区市町村における普及啓発の取り組みを積極的に働きかけてまいります。

○長橋委員 ぜひ、これからロコモティブシンドロームという言葉が普及していきますから、都が積極的に支援をしていただきたいと思います。
 次に、芸術文化のまちづくりについて伺います。
 先ほど知事も、東京の目指す将来像の中に芸術文化、私以上にそういった触れる機会があったんだろうと思いますけれども、東京の都市としての魅力を高めていくに当たって、芸術文化によるまちづくりを進めていく、こういうことから質問をしたいと思います。
 東京ではこれまで、まちづくりというと、防災の視点、環境先進都市に向けた取り組みなどが議論をされてまいりました。しかし、東京が成熟した都市として、さらに高い評価を得ていくためには、まちづくりの中で国際的に通用する文化面での魅力を高めて世界にアピールしていくことが必要であろうかと思います。そのためには、地域にある貴重な文化資源を生かしたまちづくりを進めていくことであります。
 知事は、さきの一般質問で我が党の大松議員の質問に答えて、パリにはルーブルやオルセー、オペラ座などの魅力的な文化資源があると、このように答弁をされました。もちろんニューヨークにはメトロポリタン美術館、ロンドンには大英博物館があります。じゃ、東京は何かというと、私が思いつくのは、世界的にも有名な歌舞伎座を思いつくわけでございます。これは有名な文化資源でありますけれども、各地域において、地元の特色ある文化拠点を掘り起こして、民間の力などを活用してアピールする取り組みが今行われ始めていると、このように思います。
 そこで、東京の地域の特色ある文化拠点について、都はどのように把握しているのか伺いたいと思います。

○小林生活文化局長 理事お話しのように、東京には特色のある芸術文化拠点が数多く形成され、現在、その魅力を高める新たな取り組みが活発に行われております。
 例えば上野には、東京都美術館や東京文化会館、東京国立博物館などの国や都の施設が集中しておりますが、この公立文化施設の集積を生かし、世界的な文化拠点へと発展を目指すため、これらの施設と行政機関、東京藝術大学などのメンバーから成る上野「文化の杜」新構想推進会議が昨年十二月に設置され、議論が始まっております。
 また、六本木や渋谷では、民間の美術館やギャラリー、コンサートホールなどの文化資源を核としたまちづくりが進んでおりまして、その魅力をさらに高めるため、民間主導で国家戦略特区に申請を行っております。
 さらに、東京芸術劇場のある池袋では、多数の芸術ホールを活用した大規模な演劇フェスティバルを開催しておりますが、区の庁舎などのリニューアルを契機に、東京の新たな舞台芸術の拠点を目指したまちづくりが進んでいるところであります。

○長橋委員 東京芸術劇場のある池袋も紹介をしていただきました。皆さんご存じないと思いますけれども、豊島区は東京で唯一、文化庁長官表彰をいただいているところでありまして、これは豊島区の基本構想の中に、文化によるまちづくりというのを大きな柱として位置づけているわけでございまして、この取り組みを話すと時間がなくなりますので、知っておいていただきたいと思うところで終わりにしますが、東京は、今お話のあったとおり、芸術文化の拠点が複数存在しますし、世界に誇れるものもたくさんあると思います。
 そこで、知事のいわれる東京が世界一になる、このためには、この芸術文化のポテンシャルを生かして、なおかつそれを都市づくりまで進めていく、こういう取り組みが重要であろうかと思いますけれども、芸術文化の拠点づくりを今後の東京の都市づくりに組み込んでいく、こうした取り組みをすべきだと思いますが、知事の見解を伺います。

○舛添知事 おっしゃるとおりで、世界の都市ランキング、恐らくパリが三位で東京が四位、そのことの一つはやっぱり芸術文化の拠点、これがパリに比べて相対的に充実していないということだと思いますので、今、生活文化局長が細かい場所について申し上げたとおりでございますけれども、こういうことをやりながら、今後もっとふやしていく、美術館をふやす、それからコンサートホールをふやす。それと非常に重要なのは、例えば美術館やコンサートホールの間のネットワークをきちんと形成するということが必要であります。
 私は、選挙があって、知事になって激務ですけど、ことし一回だけ美術館に行きました。八王子の東京富士美術館、すばらしい印象派の世界の名品がそろっておりました。二十三区だけではありません。三多摩地域にもすばらしい美術館があります。

○長橋委員 この文化芸術、これが世界一位になる大きな要素にもなろうかと思いますので、ぜひ知事に率先して取り組んでいただきたいと、このように思うわけであります。
 続いて、これも二〇二〇年東京オリンピックに向けて、芸術文化のまちづくりも進めていく、さらには、オリンピックを目指して一つご提案があります。無料Wi-Fiの整備でございます。
 このWi-Fi環境は、現在、日本でも家庭や飲食店などを中心に広がってきております。観光庁調査ですと、外国人観光客が日本で旅行中に困ったことの第一位が、無料Wi-Fiの環境が整っていない、公衆無線LANが整っていない、こういうことであります。
 交通局は、都バスに無料Wi-Fiを導入し、三月末までに全車両に配備をすると。次は地下鉄ですけれども、地下鉄、やったらどうですか。

○新田交通局長 交通局では、平成十八年度に、全ての都営地下鉄の駅構内に無線LAN、いわゆるWi-Fiの機器設置を行いましたほか、電車内でも携帯電話やスマートフォンを利用して、電子メールの送受信やインターネット接続ができるよう、トンネル内にケーブルを整備するなど通信インフラの構築に積極的に取り組んでまいりました。
 さらに、国内の通信事業者と契約をしていない、お話の外国人旅行者の利便性の向上に向けましては、まず、都営バスで取り組むことといたしまして、既に全ての車両に無料Wi-Fiを導入いたしました。
 今後は、地下鉄駅構内におきましても、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催を見据えまして、無料Wi-Fiの導入など、日本を訪れる外国人が情報を入手しやすい環境の整備に向けた検討を進めてまいります。

○長橋委員 すばらしい。都営地下鉄にも無料Wi-Fiを検討すると、こういうことでございます。
 外国人観光客に対する無料Wi-Fi拡大の方策の一つとして、今、都営地下鉄にも広げると。次は観光スポットであります。外国人の受け入れ環境を整備していくに当たって、この無料Wi-Fiの整備は必要だろうと思います。
 都は、二〇二〇年までに一千五百万人の受け入れ目標を立てております。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多くの外国人観光客が東京を訪れるに当たり、先ほどの観光庁調査で不満の一位となっている無料Wi-Fiを整備して、受け入れ環境を改善していくことが必要であります。
 そこで、外国人観光客が滞在中に多くの時間を過ごす宿泊施設だけではなくて、多くの観光客が訪れる観光拠点において、無料Wi-Fiの環境整備が必要と考えます。本当は知事に聞きたいんですが、産労局長、答弁をお願いします。

○塚田産業労働局長 無料でWi-Fiに接続できる環境を整備することは、外国人旅行者が手軽に観光情報を入手できるようになることから、利便性が向上し、より快適な東京滞在につながるものと認識しております。
 このため都は、今年度から、旅の拠点となる宿泊施設等が行う無料Wi-Fiの設置に対して支援をしております。
 今後の無料Wi-Fiの整備については、外国人旅行者の滞在中の利便性を高める観点から、引き続き検討してまいります。

○長橋委員 具体的な答弁はございませんでしたけれども、無料Wi-Fi、私も仕組みはよくわかっておりませんし、また、この技術は日進月歩ですから、これから、さらにまた変わったものが出てくるかもしれませんけれども、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、自民党の秋田委員からも質問があった地方分権、この質問を最後にしたいと思います。
 地方分権に当たって、地方税財政制度、いわゆる地方消費税が一%から一・七%になるわけでありまして、社会保障施策を充実するための財源としては大変重要であろうかと思います。
 そこで、地方分権の推進により地方税財政制度が変化する中で、今後の都の財政運営について簡単にご答弁をお願いします。

○中井財務局長 お話のとおり、真の地方分権を実現するためには、地方の権限と責任に見合う税財源の拡充が必要であります。
 このため、都はこれまで、国に対し偏在性が小さく安定的な財源である地方消費税の拡充を求めてきており、今回、社会保障に係る財源として地方消費税が拡充されたことは前進であると考えております。
 その一方で、東京では、この先少子高齢化が加速度的に進むと見込まれており、社会保障の充実などにさらに取り組んでいかなければならない状況がございます。
 交付税の不交付団体であり、税収変動が激しい財政構造である都が、今後とも必要な施策を確実に実施していくためには、新たな公会計制度などを活用した事業評価による施策の見直しや基金や都債の適切な活用など、中長期的な視点に立った堅実な財政運営を行っていくことが引き続き重要であると認識しております。

○長橋委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○東村副委員長 長橋桂一理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分休憩いたします。
   午後五時七分休憩